JPH06317600A - 発光走査型トンネル顕微鏡および顕微測定方法 - Google Patents

発光走査型トンネル顕微鏡および顕微測定方法

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JPH06317600A
JPH06317600A JP10786493A JP10786493A JPH06317600A JP H06317600 A JPH06317600 A JP H06317600A JP 10786493 A JP10786493 A JP 10786493A JP 10786493 A JP10786493 A JP 10786493A JP H06317600 A JPH06317600 A JP H06317600A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高い空間分解能及び高感度を有し、かつ試料表
面のみならず当該試料深部に埋設された量子構造の光学
的評価をも可能とする発光走査型トンネル顕微鏡および
顕微測定方法を提供する。 【構成】表面に光透過自在に極く薄く単体金属薄膜3を
被着しかつ試料表面4aに対し垂直に配設された光透過
率の高い材料からなる透明探針1と、当該透明探針1に
一端を光学的に接続された光導波路2と、当該単体金属
薄膜3を介して前記透明探針1及び前記試料4間にバイ
アス電圧を印加するバイアス電源5と、前記光導波路2
の他端に接続され前記試料4からの発光Lを検出する光
検出器8とを備えたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料或いは試料内部に
埋設された量子構造内に電子を注入することによって、
生じた発光を測定及び分析し、当該試料或いは当該量子
構造の極微小領域の光学的特性評価に供される発光走査
型トンネル顕微鏡および顕微測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、正孔或いは励起子等の粒子
を、それと同等程度のナノメートル・オーダーの寸法を
有する半導体構造(以下、量子構造と呼ぶ)内に束縛す
ることにより量子力学的効果を発現させ、高速・高機能
な電子デバイスや光デバイス等の、いわゆる量子効果デ
バイスを実現しようとする要請が高まっている。
【0003】近年、半導体結晶の成長・加工技術の進展
により量子構造の形成が可能になってきている。この程
度の微小な寸法を有する構造においては当該粒子は顕著
な量子力学的効果を発現するので、この特性を有効に制
御・利用することによる量子効果デバイスの実現が期待
される。量子効果デバイスでは量子構造の寸法精度や特
性が量子効果デバイス自体の特性に大きく影響するた
め、良好な特性を有する量子効果デバイスを実現する為
には、量子構造の評価が重要な課題となる。
【0004】量子構造に閉じ込められた励起子は、閉じ
込め状態を敏感に反映するスペクトルを有する光を発す
るため、この発光を測定することが量子構造の特性を詳
細に知る有効な手段となる。通常、量子構造は当該量子
構造とは異なる物性を有する材料で囲撓されて形成され
ており、当該量子構造は試料内部に埋設されていること
が多い。
【0005】この量子構造を、励起子からの発光を用い
て光学的に測定する手法及び手段として、フォトルミネ
ッセンス法、カソードルミネッセンス法、走査型トンネ
ル顕微鏡、フォトン走査顕微鏡等が存在する。
【0006】発光走査型トンネル顕微鏡は、探針から励
起ビームを試料の極めて狭い領域に注入し、当該領域の
発光を測定する装置である。原理としては、走査型トン
ネル顕微鏡において、探針から試料に注入されるトンネ
ル電子が試料の極めて狭い領域に集中する性質を利用し
たものである。
【0007】発光走査型トンネル顕微鏡では、探針先端
から試料表面に僅かな空間距離をトンネルして電子が注
入される。トンネル電子は電子顕微鏡で使用される電子
ビームに比べて極めてエネルギーが小さいので、極微小
領域において電子・正孔対を生成させ発光させることが
できる。
【0008】また、極微小領域を光学的に測定する別の
装置として、探針とは別個独立に設けられたレーザ光源
から発せられた励起光によって生じた、試料表面の極く
近傍に局在するエバネセント光を、光透過率の高い透明
な探針に入射・導光させて検出するフォトン走査顕微鏡
が存在する。
【0009】フォトン走査顕微鏡では試料を励起させる
手段として、電子の注入に代えてレーザ光の照射により
行っているため、光学的特性として光透過率の高い材質
が要求される。この要求を満たす材質としては製造が容
易かつ安価なガラス等が一般的に用いられており、電気
的絶縁性が高いことから、探針先端に電流を供給する機
能を有していなかった。
【0010】さらに、フォトン走査顕微鏡の変形例とし
て、試料と探針間の距離を制御するためにトンネル電流
を利用したフォトン走査顕微鏡も存在する。この装置で
は、光透過率の高い探針の表面に、遮光に十分な厚さを
有する金属を蒸着し、先端部に極めて微小な開口部を貫
設し、試料の発光を当該開口部から探針内部に入射させ
て導光し検出を行っていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フォトルミネッセンス法やカソードルミネッセンス法を
用いる方法や従来の走査型トンネル顕微鏡、フォトン走
査顕微鏡等の装置は、以下に列挙する理由により量子構
造の極微小領域の測定を行うには不十分な方法若しくは
装置であった。
【0012】先ず、フォトルミネッセンス法では、空間
分解能が励起光の波長に依存し制限されるため、通常使
用する可視光励起による場合ではサブミクロン程度の空
間分解能が限界であり、より微小なナノメートル・サイ
ズの領域の測定情報が得られない欠点を有していた。
【0013】また、カソードルミネッセンス法では、注
入する電子のビーム径を極めて細くできる利点がある
が、当該注入する電子のエネルギーが大きいため試料内
部で電子が広範囲に拡散され、電子・正孔対を生成する
体積、則ち生成体積がビーム径よりも格段に大きくなる
為、ナノメートル・サイズの領域の測定が困難であっ
た。同様に、試料の微小な測定領域に高エネルギー・大
電流が集中するため、当該測定領域の変質や状態変化を
引き起こす虞があった。
【0014】さらに、従来の発光走査型トンネル顕微鏡
では、探針は専ら試料にトンネル電子を供給する目的の
みに使用されるので、当該探針の材質としては一般的に
電気的良導体たる金属が用いられる。しかし金属は光透
過率が極めて低いことから、探針自体には検出光を導入
して検出する機能を有していなかった。この為、集光手
段を探針とは別個独立に設ける必要があり、探針に反射
鏡を添設して集光していた。
【0015】ところで、試料表面から放出される発光の
強度はほぼ余弦則に従い、試料表面に対し垂直方向、則
ち探針の軸方向に最も強く放出される。従って、従来の
発光走査型トンネル顕微鏡が採用する構造では、この放
出された発光の強度が最大となる方向に探針が存在し、
試料からの発光が遮蔽され利用されていなかった。
【0016】その為、集光可能な光量が少なく、検出光
の強度が微弱なものとなり、信号対雑音比が低下して高
感度・高精度の測定を行うことが困難であった。また、
フォトン走査顕微鏡では、探針先端の開口部の直径に依
存して空間分解能と集光能力が相互に反比例の関係にあ
り、空間分解能を高めようとすると当該開口部の直径を
広げられず集光効率が極めて低くなる欠点を有してい
た。
【0017】フォトン走査顕微鏡は、試料の光透過率が
低いことから、測定可能領域が試料表面の極く近傍に限
定され、試料の深部に埋設された量子構造の評価が不可
能であった。さらに、探針から試料に注入されるトンネ
ル電流は、専ら探針と試料表面の距離の測定及び制御の
為のみに用いられており、注入されたトンネル電子は励
起を行っていなかった。
【0018】このように、量子構造の光学的評価におい
て、フォトルミネッセンス法及びカソードルミネッセン
ス法は、必要な空間分解能が得られず測定が不可能であ
った。また、従来の発光走査型トンネル顕微鏡は測定が
可能であるが、当該従来装置に採用されていた集光方法
は集光効率が低く、光検出信号が微弱であり、高精度・
高感度の測定に十分な信号強度及び信号対雑音比が得ら
れない。
【0019】さらに、フォトン走査顕微鏡は原理的に試
料表面の極く近傍しか評価ができない欠点を有してい
た。ここにおいて、本発明は高い空間分解能及び高感度
を有し、かつ試料表面のみならず当該試料深部に埋設さ
れた量子構造の光学的評価をも可能とする発光走査型ト
ンネル顕微鏡および顕微測定方法を提供せんとするもの
である。
【0020】
【課題を解決するための手段】前記課題の解決は、本発
明が次に列挙する特徴的構成手段および手法を採用する
ことにより実現される。すなわち、本発明手段の第1の
特徴は、表面に光透過自在に極く薄く単体金属薄膜を被
着しかつ試料表面に対し垂直に配設された光透過率の高
い材料からなる透明探針と、当該透明探針に一端を光学
的に接続された光導波路と、前記単体金属薄膜を介して
前記透明探針及び前記試料間にバイアス電圧を印加する
バイアス電源と、前記光導波路の他端に接続され前記試
料からの発光を検出する光検出器とを備えてなる発光走
査型トンネル顕微鏡である。
【0021】本発明手段の第2の特徴は、表面に極く薄
く被着された導電性透明薄膜の少なくとも針端部位上に
光透過自在に単体金属薄膜を重層被着しかつ試料表面に
対し垂直に配設された光透過率の高い材料からなる透明
探針と、当該透明探針に一端を光学的に接続された光導
波路と、前記導電性透明薄膜を介して前記透明探針及び
前記試料間にバイアス電圧を印加するバイアス電源と、
前記光導波路の他端に接続され前記試料からの発光を検
出する光検出器とを備えてなる発光走査型トンネル顕微
鏡である。
【0022】本発明手段の第3の特徴は、前記手段の第
1又は第2の特徴における光検出器が、測定データを処
理・表示するデータ処理・表示装置に接続されてなる発
光走査型トンネル顕微鏡である。
【0023】本発明手法の特徴は、表面導電透明処理し
た透明探針先端を垂直に臨ませた試料間との接近距離を
調整して相互に亙り印加したバイアス電圧を所要一定に
保持制御しつつ、前記探針先端から前記試料にトンネル
電流を注入して、表面又は内部量子構造からの発光を前
記探針先端部で捕えて内部を透過せしめ、次いで、当該
透過光を分析測定してなる発光走査型トンネル顕微測定
方法である。
【0024】
【作用】本発明は、前記のような手段および手法を採用
したので、透明探針に被着された導電性材料を介して励
起用のトンネル電流を試料表面又は内部に注入すると共
に、当該試料から生じた発光を、試料に対し光強度が最
大となる直角軸方向に配設された当該透明探針内に導入
し検出することができる。
【0025】
【実施例】
(装置例1)本発明の第1装置例につき図面を用いて詳
説する。図1は本装置例を示す発光走査型トンネル顕微
鏡の断面構成概念図である。
【0026】図中、αは発光走査型トンネル顕微鏡、I
はトンネル電流、Lは測定光、1は透明探針、1aは透
明探針先端、2は光ファイバ,ガラスロッド等の高い光
透過率を有しかつ十分な機械的強度を有する材料よりな
る光導波路、3は金、タングステン、白金、アルミニウ
ム等からなる単体金属薄膜、4は試料、4aは試料表
面、4bは量子構造、5はバイアス電源、6はトンネル
電流検出器、7は探針駆動機構、8は光検出器、9はデ
ータ処理・表示装置である。
【0027】図1に示す本実施例の発光走査型トンネル
顕微鏡αにおいて、透明探針1は、透明探針先端1aを
尖形に形成したガラス等の透明材料にて構成され、他端
には光導波路2が光学的に接続されており、当該透明探
針先端1aには光透過率を十分確保可能な所定の厚さ以
下の単体金属薄膜3が均一に蒸着により極く薄く被着形
成されている。
【0028】(方法例)当該第1装置例に適用する本発
明の方法例の実行手順を図1につき説明する。予め、透
明探針1直下には試料表面4aを対面して試料4が極く
近接して置かれており、前記単体金属薄膜3と試料4と
の間に単体金属薄膜3が試料4に対して負電位となるよ
うにバイアス電圧をバイアス電源5から印加する。ま
ず、バイアス電源5に直列に接続されたトンネル電流検
出器6により、トンネル電流Iが所定の値になるように
透明探針1と試料表面4a間の距離を探針駆動機構7を
用いて制御する。
【0029】当該探針駆動機構7は前記透明探針1を挟
持しており、当該探針駆動機構7を構成するピエゾ圧電
子等の電歪素子に駆動用の別電源から印加する駆動用直
流電圧を変化させることにより、当該探針駆動機構7は
上下方向に微動し透明探針1と試料4間の距離を微細に
制御する。
【0030】これにより、透明探針先端1aから試料表
面4aに向かい空間媒質を介してトンネル電子eが注入
される。ここで、空間媒質は、安定なトンネル効果が生
じる絶縁層の厚さと光測定に十分な光透過率を有する限
り、真空、気体、液体等の何れを問わない。
【0031】次に、試料4内に到達したトンネル電子e
は、試料4内をバイアス電圧に応じた所定の距離だけ直
進する。この距離の間に量子構造4bが存在する場合
は、到達した電子により当該量子構造4b内の電子・正
孔が励起され、再結合を誘起し、当該再結合によるエネ
ルギー放出現象により測定光Lを発生する。
【0032】この測定光Lの発光スペクトルのエネルギ
ーや強度等の分布は量子構造4bを如実に反映し、発光
スペクトルから量子構造4bの寸法等を原子の寸法のオ
ーダーの空間分解能で測定することが可能である。
【0033】引続き、測定光Lは、試料表面4aからほ
ぼ余弦則に従って放出されるため、試料表面4aに対し
て垂直方向から測定光Lを集光することにより検出され
る測定光Lの光強度を最大とすることができ、信号対雑
音比の高い光信号の検出が可能となる。本方法例では、
光強度が最大となる方向に光透過性の高い材料よりなる
透明探針1を配設して高い光強度を得ている。
【0034】さらに、この単体金属薄膜3を透過して光
導波路2に入射した測定光Lは高い光強度を保ったまま
光検出器8に導入され、当該光検出器8に内蔵された何
れも図示しない分光器及び光電変換器により波長毎に電
気信号に変換され、当該光検出器8内蔵の信号処理手段
で処理され、或いは必要に応じてデータ処理・表示装置
10に送出され、測定データの処理・蓄積・解析等がな
され画像処理を経て表示される。
【0035】このように、試料表面4aに対向した一点
に透明探針1を固定して、このような測定光Lを測定す
ることにより、当該量子構造4b近傍における極微小領
域の詳細な光学的測定が可能である。また、透明探針1
を試料表面4aに対し平行な面上で走査し、走査位置に
対応させつつ測定光Lを測定することにより、量子構造
4bの試料4全体に亙る光学的特性の空間分布を連続的
に測定することも可能である。
【0036】本方法例はこのような手法を採用するの
で、トンネル電子の注入と測定光の導入を同軸上で行
い、高い空間分解能及び高感度で試料内部の量子構造の
光学的評価を行うことができる。
【0037】(装置例2)本発明の第2装置例につき図
面を用いて詳説する。図2は本装置例を示す透明探針先
端の拡大縦断面図、図3は同・変態様例を示す透明探針
先端の拡大縦断面図である。図中、1’は透明探針、1
a’は透明探針先端、3’は単体金属薄膜、10は導電
性透明薄膜である。
【0038】図2に示す透明探針1’において、当該透
明探針1’の表面には、前記第1装置例の単体金属薄膜
3に代えて、導電性透明薄膜10が蒸着により極く薄く
被着形成されている。さらに、導電性透明薄膜10表面
全体に、光透過率を損なわない範囲において、単体金属
薄膜3が蒸着により極く薄く重層され被着形成されてい
る。これは、透明探針先端1a’方向から通常の金属蒸
着を行えば容易に実現可能で、品質の揃った透明探針
1’を安価かつ大量に量産するのに適している。
【0039】本装置例との比較として前記第1装置例で
は、金、タングステン、白金、アルミニウム等の通常状
態において光学的に不透明な単体金属を、単体金属薄膜
3として薄膜化して透明探針1表面に蒸着することによ
り、光透過率を改善して用いた。この際、一定以上の光
透過率を確保する為に、当該単体金属薄膜3の膜厚を数
十ナノメートルと極めて薄く形成する必要がある。
【0040】しかし、光導波路2として用いられる光フ
ァイバの主な材料であるケイ素等は金属に対する密着性
が低いため、当該光導波路2表面に蒸着する単体金属薄
膜3の膜厚を極めて薄くすると単体金属が光導波路2表
面に粒状に分散し、トンネル電流Iが通過するために十
分な導電率を確保することができなくなる。
【0041】そこで導電率と光透過率を両立して確保す
るために、単体金属薄膜3に代えて、ケイ素との結合が
強固で、且つ金属単体と比較して光透過率が高い材料を
透明探針1表面に蒸着して導電性透明薄膜10を形成す
る。このような性質を有する材料の一例としては酸化イ
ンジウムが挙げられる。
【0042】酸化インジウムは、電気伝導率が金、タン
グステン、白金、アルミニウム等の単体金属と比較して
やや劣るものの、光透過率が高く、前記第1実施例にお
ける単体金属薄膜3と比較して透明探針1表面に厚く蒸
着することにより、十分な導電率及び光透過率を確保す
ることができる。
【0043】ところで、酸化インジウムは複数の原子種
からなる化合物であるため、これを直接透明探針先端1
a’に用いてトンネル電子eを注入すると、トンネル電
流特性を決定する透明探針先端1a’の原子のエネルギ
ー準位が不安定となり、原子の状態を確定することが困
難となる。そこで透明探針先端1a’の原子の種類と状
態を常時同じ状態に保証するため、少なくともトンネル
電子が放出される透明探針先端1a’には単体金属薄膜
3’を用いる必要がある。
【0044】図2に示す本装置例では透明探針1表面全
体に亙り、図3に示す本装置例の変態様例では透明探針
先端1aに限定して導電性透明薄膜10上に単体金属薄
膜3’を重層して被着形成することにより、トンネル電
子eを注入する透明探針先端1aには少なくとも単体金
属薄膜3を形成している。
【0045】透明探針先端1a’は微小な構造を有する
為、当該単体金属薄膜3’を作成する方法としては、金
属ビーム等を用いた蒸着法等を用いて行う。これによ
り、透明探針先端1a’を鋭利な尖形に形成することも
できる。
【0046】もっとも、測定に要するトンネル電流Iは
導電性透明薄膜10を通して供給されるため、単体金属
薄膜3’は極めて薄くて構わない。このように、透明探
針先端1a’の導電性透明薄膜10表面に単体金属薄膜
3’を、必要な光透過率を損なわない範囲の厚さで被着
することにより、透明探針先端1a’の原子の状態が確
定するので透明探針先端1a’のエネルギー準位が安定
化し、トンネル電流特性が安定するので雑音の少ない透
明探針1を実現可能である。
【0047】当該単体金属薄膜3’の蒸着が必要な領域
は、少なくともトンネル電子が放出される透明探針先端
1a’の極く狭い領域のみであれば差し支えないが、製
法によって、種々の応用例が考えられる。
【0048】本装置例はこのような手段を採用するの
で、光透過率及び導電率の何れも高く保ったまま、試料
4内部の量子構造4bの光学的特性を極めて高い空間分
解能で測定することができる。
【0049】また、透明探針先端1a’近傍以外に単体
金属薄膜3’が被着されていない場合には、全体的に光
透過率を高くすることができるとともに、透明探針先端
1a’形状をより鋭利な尖形に形成可能なため、凹凸の
著しい試料表面4aを有する試料4の測定にも適用する
ことが可能となる。
【0050】
【発明の効果】かくして、本発明によれば、試料内部に
埋設された量子構造の微小領域の光学的特性を極めて高
い空間分解能及び高感度で測定でき、従来実現し得なか
った高性能な発光走査型トンネル顕微鏡および顕微測定
方法を提供することができる。
【0051】従来の発光走査型トンネル顕微鏡の構成の
一部を変更するのみで実現可能なことから、経済的かつ
付加的に構成することが可能である。また、量子構造の
光学的特性の測定の他に、従来の走査型トンネル顕微鏡
の機能も併有するので、量子構造以外にも試料自体や試
料表面の光学的評価へも適用可能であり、優れた汎用
性、融通性、機能性、有用性を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1装置例を示す発光走査型トンネル
顕微鏡の断面構成概念図である。
【図2】本発明の第2装置例を示す透明探針先端の拡大
縦断面図である。
【図3】同上・変態様例を示す透明探針先端の拡大縦断
面図である。
【符号の説明】
α…発光走査型トンネル顕微鏡 1,1’…透明探針 1a,1a’…透明探針先端 2…光導波路 3,3’…単体金属薄膜 4…試料 4a…試料表面 4b…量子構造 5…バイアス電源 6…トンネル電流検出器 7…探針駆動機構 8…光検出器 9…データ処理・表示装置 10…導電性透明薄膜 I…トンネル電流 L…測定光 e…トンネル電子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に光透過自在に極く薄く単体金属薄膜
    を被着しかつ試料表面に対し垂直に配設された光透過率
    の高い材料からなる透明探針と、当該透明探針に一端を
    光学的に接続された光導波路と、前記単体金属薄膜を介
    して前記透明探針及び前記試料間にバイアス電圧を印加
    するバイアス電源と、前記光導波路の他端に接続され前
    記試料からの発光を検出する光検出器とを備えたことを
    特徴とする発光走査型トンネル顕微鏡。
  2. 【請求項2】表面に極く薄く被着された導電性透明薄膜
    の少なくとも針端部位上に光透過自在に単体金属薄膜を
    重層被着しかつ試料表面に対し垂直に配設された光透過
    率の高い材料からなる透明探針と、当該透明探針に一端
    を光学的に接続された光導波路と、前記導電性透明薄膜
    を介して前記透明探針及び前記試料間にバイアス電圧を
    印加するバイアス電源と、前記光導波路の他端に接続さ
    れ前記試料からの発光を検出する光検出器とを備えたこ
    とを特徴とする発光走査型トンネル顕微鏡。
  3. 【請求項3】光検出器は、測定データを処理・表示する
    データ処理・表示装置に接続されたことを特徴とする請
    求項1又は2記載の発光走査型トンネル顕微鏡。
  4. 【請求項4】表面導電透明処理した透明探針先端を垂直
    に臨ませた試料間との接近距離を調整して相互に亙り印
    加したバイアス電圧を所要一定に保持制御しつつ、前記
    探針先端から前記試料にトンネル電流を注入して、表面
    又は内部量子構造からの発光を前記探針先端部で捕えて
    内部を透過せしめ、次いで、当該透過光を分析測定した
    ことを特徴とする発光走査型トンネル顕微測定方法。
JP10786493A 1993-05-10 1993-05-10 発光走査型トンネル顕微鏡 Expired - Lifetime JP3143884B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10311794A (ja) * 1997-05-09 1998-11-24 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 走査型発光顕微鏡
JP2012052846A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Tohoku Univ 構造解析方法および構造解析システム

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