JPH06317514A - 物品熱処理装置 - Google Patents

物品熱処理装置

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JPH06317514A
JPH06317514A JP10459293A JP10459293A JPH06317514A JP H06317514 A JPH06317514 A JP H06317514A JP 10459293 A JP10459293 A JP 10459293A JP 10459293 A JP10459293 A JP 10459293A JP H06317514 A JPH06317514 A JP H06317514A
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秀樹 田中
Shuzo Sasaki
修造 佐々木
Tsutomu Hirata
勉 平田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来装置に比べると、コンパクトに構成して
装置設置面積を節約でき、物品処理槽内の雰囲気の温度
乱れが抑制され、また、無酸化雰囲気等要求される雰囲
気を作り出しやすく、それだけ目的とする物品熱処理を
精度よく実施でき、塵埃による汚染が少なく、塵埃を嫌
う物品の熱処理にも適用できる物品熱処理装置を提供す
る。 【構成】 気体供給循環部15により物品処理空間14
に所定温度気体を供給循環させる物品処理槽1の該空間
14に被処理物S又は被処理物を装填した補助支持具を
装脱できる物品支持体2を配置し、該支持体2を物品処
理槽1の下方に配置した昇降駆動装置3で昇降させ、支
持体2に上下複数段に設けられた物品支持部20のうち
処理槽1の物品通口101、102に臨む位置の物品支
持部20に対し被処理物S又は補助支持具を装填、取出
しする物品熱処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種電気、電子装置、
その部品、各種材料等を所定の温度にさらしてその耐熱
性、耐寒性等を試験したり、所望の加熱処理を加える等
の物品熱処理を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来知られている代表的な物品熱処理装
置を例示すると、図11に示すとおりである。図11の
(A)図に示す従来装置は、所定温度雰囲気を得る処理
槽Hの中にチエーンコンベアのようなコンベアC1を循
環させ、このコンベアに物品Aを載せて処理雰囲気中を
通過させるものである。
【0003】(B)図に示す従来装置は、処理槽H内に
ローラコンベアC2を配置し、このコンベアに物品Bを
載せて処理雰囲気中に通過させるものである。 (C)図に示す従来装置は、処理槽H中にベッドbを配
置するとともに、このベッド上面より下降したり、該ベ
ッド面より上方に突出することができる物品搬送ビーム
aを配置し、該ビームaを側方から見て矩形軌道を描く
ように回動させることにより、ベッドb上に配置した物
品Cを間欠的に前進させ、処理雰囲気中に通過させるも
のである。また、これに類似する装置として、ベッドb
をホットプレートとし、このホットプレートで物品Cを
熱処理するものも知られている。
【0004】このほか、実公平3−2840号公報に開
示された搬送装置を用いた熱処理装置もある。この装置
では、図12にその原理を示すように、恒温槽の中に配
置した物品挾持案内用のレールRと、このレールと平行
で軸線方向に移動可能且つ円周方向に回動可能のシャフ
トSと、シャフトSにその半径方向に突設した突出片P
とを含み、レールRに挾持案内される物品Tにシャフト
Sの回動にて突出片Pを臨ませ、その状態でシャフトS
を軸方向に移動させることで物品Tを所定距離送り、そ
のあとシャフトSを戻し回動させて突出片Pを物品Tの
下に配置し、シャフトSを初期位置へ後退させて次の搬
送に備える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来装置によると、いずれの場合も、物品が水平方向に搬
送されるため、多量の物品を所定時間、処理温度にさら
すためには処理槽を水平方向に長く形成しなければなら
ず、その結果、熱処理装置の設置面積が大きくなるとい
う問題がある。
【0006】また、このように処理槽が水平に長く、低
く形成されるため、処理槽内の高さに比べ、物品の搬入
搬出口寸法の割合が大きくなり、その結果、搬入搬出口
から槽外へ処理気体が漏出したり、逆に外気が槽内へ侵
入したりし易く、そのため、処理槽内の温度乱れが大き
くなって物品を均一に加熱できなくなるなど、要求され
る熱処理を精度よく実施できなくなって処理装置の信頼
性が低下したり、槽内を無酸化雰囲気等にすることが要
求される場合でもその雰囲気を作り出し難いという問題
がある。
【0007】さらに、処理槽内から処理槽雰囲気が漏出
したり、処理槽内へ外気が侵入し易いことや、物品処理
量に比べて処理槽内容積が大きくなることから、物品処
理量に比べ、処理槽に付設される送風機、加熱器等の容
量、場合によっては要求される排気装置の容量が大きく
なり、初期設置費用、その後のランニングコストが高く
つくという問題がある。
【0008】また、実公平3−2840号公報記載の装
置では、物品搬送時に物品Tと案内レールR間等におけ
る摺動のため発塵し易く、塵埃付着を嫌う物品、例えば
液晶ディスプレイ等、各種薄膜デバイスの製造途中にお
ける各種部品の処理に供し難いという問題もある。図1
1に示す各従来装置においても、コンベア等の可動部分
から発塵し易いため同様な問題があり、図11の(C)
図の装置においてベッドbをホットプレートとするとき
には、例えば被処理物の塗料膜乾燥処理において塗料が
プレートに付着し、これが塵埃発生の原因となり、その
清掃に手間を要するという問題がある。
【0009】そこで本発明は、従来装置に比べると、
コンパクトに構成して装置設置面積を節約でき、物品
処理槽内の雰囲気の温度の乱れが抑制され、また、無酸
化雰囲気等要求される雰囲気を作り出しやすく、それだ
け目的とする物品熱処理を精度よく実施でき、塵埃に
よる汚染が少なく、塵埃を嫌う物品の熱処理にも適用で
き、装置の初期設置費用、その後のランニングコスト
を低く抑えることができる物品熱処理装置を提供するこ
とを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の物品熱処理装置は、物品処理空間を有し、該空間に
所定温度気体を供給循環させる気体供給循環手段が付設
され、少なくとも一側部に前記空間への物品の搬入、搬
出のための物品通口を有する物品処理槽と、前記物品処
理空間に配置され、被処理物又は被処理物を装填した補
助支持具を装脱できる物品支持部を上下に所定間隔で複
数段有する物品支持体と、前記物品処理槽の下方に配置
され、該処理槽壁を昇降可能に貫通する連結部材にて前
記物品支持体に連結され、該連結部材を介して該物品支
持体を昇降させて前記各物品支持部を前記物品通口に順
次臨ませるための昇降駆動手段と、前記物品通口を経て
前記物品支持体の物品支持部に対し被処理物又は補助支
持具を装填、取出しする物品搬入及び搬出のための手段
とを備えたことを特徴とする。
【0011】前記物品支持体における各物品支持部とし
ては、一つには、被処理物又は補助支持具を受け支える
受け部材片を有し、該各受け部材片が、それに支持され
る被処理物に対する熱処理気体の流れ方向に沿って、小
空気抵抗の流線形状に形成されているものを例示でき
る。この場合、ここに言う「流線形状」とは、熱処理気
体が流れてくる方向に長く、それに直角な方向の幅が十
分小さい形状、或いはさらに、熱処理気体の流れ方向に
おいて、少なくとも上流側端部が空気抵抗が少ないよう
に丸められていたり、凸部に形成されていたりする形状
等であって、被処理物に対する熱処理気体の流れ(層
流)をできるだけ乱さない形状を意味する。
【0012】また、前記各受け部材片には、被処理物を
点状に受け支える凸部を形成しておいてもよい。また、
前記補助支持具として、被処理物が板状体であるよう
な場合にこれを載置するパレットのようなものの他、
被処理物を受け支えることができ、下面側から前記物品
処理空間の熱処理気体により加熱されて蓄熱する蓄熱プ
レート(熱容量の大きいプレート)、及び該プレートを
覆い、被処理物の出入口を有するプレートカバーを備え
ているものや、被処理物下面の大部分を前記物品処理
空間の熱処理気体に露出させることができる受け部材及
び該受け部材を覆い、被処理物の出入口を有するカバー
を備えているもの等を例示することができる。
【0013】また、前記物品支持体における各物品支持
部として、今述べたような補助支持具構成相当のものを
採用してもよい。すなわち、物品支持部自体が、被処
理物を受け支えることができ、下面側から前記物品処理
空間の熱処理気体により加熱されて蓄熱する蓄熱プレー
ト、及び該プレートを覆い、被処理物の出入口を有する
プレートカバーを備えているものや、被処理物下面の
大部分を前記物品処理空間の熱処理気体に露出させるこ
とができる受け部材及び該受け部材を覆い、被処理物の
出入口を有するカバーを備えているものである。
【0014】この場合、前記カバー内に前記物品処理槽
外から所定のガス(例えば乾燥空気、乾燥窒素ガス等)
を導入するためのガス導入手段を設けてもよい。なお、
前記物品処理槽に設けられる被処理物の搬入、搬出のた
めの物品通口は、物品の搬入及び搬出の双方を兼ねる物
品通口であってもよいし、物品搬入専用の物品通口、物
品搬出専用の物品通口をそれぞれ設けてもよい。また、
該物品通口を経て前記物品支持体の物品支持部に対し被
処理物又は補助支持具を装填、取出しする物品搬入及び
搬出のための手段は、例えば、前記物品通口が物品の搬
入及び搬出の双方を兼ねる物品通口であるときには、物
品の搬入操作及び搬出操作の双方を兼ねる手段であって
もよいし、物品通口が物品搬入用及び物品搬出用にそれ
ぞれ設けられているときは、それら物品通口に対し物品
搬入専用の手段及び物品搬出専用の手段を設けてもよ
い。
【0015】
【作用】本発明の物品熱処理装置によると、例えば次の
ようにして被処理物を所定温度雰囲気に曝して所望の熱
処理を行える。すなわち、当初は、前記物品支持体を上
昇(又は下降)させて該支持体の最下段(又は最上段)
の物品支持部を物品通口に臨ませておくとともに、この
状態で気体供給循環手段にて物品処理空間に所定温度気
体を供給し循環させる。物品支持体の昇降はこれを昇降
させるための昇降駆動手段により行う。
【0016】次に、物品搬入手段により被処理物又はこ
れを装填した補助支持具を物品通口から物品処理槽内へ
搬入し、それを物品支持体の最下段(又は最上段)の物
品支持部に支持させ、その後、該支持体を物品支持部1
段分下降(又は上昇)させ、次段の物品支持部に前記と
同様にして被処理物又は補助支持具を搬入する。このよ
うにして次々と物品支持体を1段分ずつ移動させて被処
理物又は補助支持具を搬入する。
【0017】すべての物品支持部へ被処理物又は補助支
持具の搬入が完了すると、最初に搬入した被処理物はす
でに所定温度雰囲気に十分曝され、所定の熱処理が完了
しているので、ここで物品支持体を全段分一度に上昇又
は下降させ、最初に搬入した被処理物又は補助支持具を
物品搬出手段により物品処理槽外へ搬出し、この搬出に
よって空いた部分へ、物品搬入手段にて次の被処理物又
は補助支持具を搬入する。
【0018】しかるのち、物品支持体を1段分下降(又
は上昇)させ、次段支持部上の被処理物又は補助支持具
の搬出と、その結果空いた部分への被処理物又は補助支
持具の搬入を行う。このように次々と物品支持体を1段
分ずつ下降(又は上昇)させ、被処理物又は補助支持具
の搬出と搬入を繰り返す。
【0019】なお、当初の全段支持部への被処理物搬入
において、一番最後に搬入された被処理物は、全段搬入
終了後、物品支持体が当初位置まで上昇(又は下降)せ
しめられ、その後、1段分ずつ下降(又は上昇)する過
程で所望の熱処理が完了する。すなわち、一つ一つの被
処理物を見ると、物品支持体の全段支持部に被処理物が
搬入される時間、物品処理槽内に置かれ、所望の熱処理
が施されることになる。
【0020】なお、被処理物を物品処理槽内で上下に移
動させることなく、搬入位置で所定時間熱処理し、その
後そのまま搬出することも可能である。前記物品支持体
における各物品支持部が、被処理物又は補助支持具を受
け支える受け部材片を有し、該各受け部材片が、それに
支持される被処理物に対する熱処理気体の流れ方向に沿
って、小空気抵抗の流線形状に形成されているときに
は、該受け部材片の空気抵抗がそれだけ少なく、従って
被処理物に対する熱処理気体の流れ(層流)の乱れの発
生が抑制され、それだけ被処理物の各部が均一に熱処理
されることになる。
【0021】また、該受け部材片が被処理物を点状に受
け支える凸部を有するときには、例えば、該被処理物に
塗液が塗布してあってこれを乾燥する処理において被処
理物側面や下面に塗液垂れが発生しているような場合で
も、該塗液が受け部材片の広範囲に付着し、その後の清
掃が困難になったり、それが原因で発塵し易くなる等の
不都合が抑制される。
【0022】また、前記補助支持具や物品支持体の物品
支持部自体が、被処理物を受け支えることができ、下
面側から前記物品処理空間の熱処理気体により加熱され
て蓄熱する蓄熱プレート、及び該プレートを覆い、被処
理物の出入口を有するプレートカバーを備えている場合
や、被処理物下面の大部分を前記物品処理空間の熱処
理気体に露出させることができる受け部材及び該受け部
材を覆い、被処理物の出入口を有するカバーを備えてい
る場合においては、例えば、被処理物の上面に塗液が塗
布してあり、この塗膜を乾燥処理する場合において、被
処理物はその塗膜を塗った上面とは反対側の下面側から
主として加熱されることになるので、塗液中の溶剤が塗
膜中に残存することなく円滑に放出され、気泡の無い優
れた乾燥塗膜が得られる。
【0023】また、前記物品支持体における各物品支持
部がこのように形成されている場合において、前記カバ
ー内に前記物品処理槽外から乾燥空気や窒素ガス等を導
入するためのガス導入手段を設けてあるときには、例え
ば、乾燥空気や窒素ガスを導入することによって、熱処
理により被処理物から発してその上方に漂うことがある
ガスや粒子を排除することができ、窒素ガスを採用する
場合には、これとともに被処理物に接する雰囲気を無酸
化雰囲気とすることができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1から図7は本発明の1実施例を示し、図8及
び図9は本発明の他の実施例を、図10は本発明のさら
に他の実施例を示している。図1は本発明の1実施例で
ある物品熱処理装置の要部の、側方からみた断面図、図
2は図1に示す装置の正面側から見た断面図である。図
3は図1及び図2に示す装置の平面図である。図4は物
品支持体の概略側面図、図5は図4に示す物品支持体の
上板を取り外した状態の概略平面図、図6は物品支持体
の詳細を一部省略して示す側面図、図7の(A)図及び
(B)図は図6に示す物品支持体における物品受け部材
片及びそれに通された軸棒を示すもので、(A)図は軸
棒部分を断面で示す平面図、(B)図は受け部材片を断
面で示す側面図である。また、図7の(C)図は(A)
図及び(B)図に示す物品受け部材片の取付け状態及び
その動作状態を説明するための図である。
【0025】この図1から図7に示される物品熱処理装
置は物品処理槽1を含んでいる。処理槽1は断熱壁に囲
まれており、その内部は、処理槽底壁1Bから立ち上が
るフィルタ11、該フィルタ上端から正面側へ斜めに上
昇する上仕切板12及び該仕切板上端から処理槽天井壁
1Aまで立ち上がる通気板13によって物品処理空間1
4及び気体供給循環部15に区分けされている。
【0026】フィルタ11は気体供給循環部15の構成
員であり、ヘパ(HEPA)フィルタと通称されている
高集塵性能のフィルタである。通気板13は多数の通気
孔を備えている。フィルタ11及び上仕切板12の上方
空間には加熱ヒータ16及び空気循環用ファン17が配
置されており、ファン17は処理槽1の背面に固定した
モータ171により回転駆動される。
【0027】物品処理空間14の正面側には断熱扉18
が開閉可能に設けてあり、該扉18の内側にはダクト1
81を設けてある。ダクト181は物品処理空間14及
び通気板13に臨む多数の通気孔を有している。物品処
理空間14には後ほど詳述する物品支持体2が配置され
ており、さらに、該支持体2の下端と処理槽1の底壁1
Bとの間にダクト141が配置されている。
【0028】以上説明した気体供給循環部15による
と、加熱ヒータ16により所定温度に加熱された空気が
回転駆動されるファン17に吸い込まれ、該ファン17
からフィルタ11の背後に吹き出され、該フィルタを通
ることで浄化されて物品処理空間14に層流状態で流入
し、ここで物品支持体2上に支持された後述する被処理
物の熱処理に供されてのち、扉18内側のダクト181
内へ流入し、さらにそこから通気板13を通って気体供
給循環部15に戻り循環する。
【0029】また、フィルタ11を通過した気体の一部
は物品処理空間14底部のダクト141に流入し、物品
支持体2の正面側に流出してダクト181に流入する。
このダクト141は物品支持体2に支持される被処理物
を所定温度雰囲気に曝すための断熱部として作用し、ま
た、後述する昇降駆動装置3を物品支持体2に連結する
ロッド35を予熱するとともに、昇降駆動装置3からの
発塵がたとえロッド35の貫通部を通って処理層1内へ
侵入しても、これを速やかに扉ダクト181へ排除し、
空気循環の過程でフィルタ11により除去する作用をな
す。
【0030】物品支持体2についてはその詳細を後述す
るが、この支持体2は物品処理槽1の下方に設けた昇降
駆動装置3によって物品処理空間14内を昇降せしめら
れる。昇降駆動装置3は側面から見るとコの字形の部材
31、この部材31に回転可能に支持されたねじ棒3
2、ねじ棒32に螺合する雌ねじ部材33、雌ねじ部材
33が固定された水平部材34、水平部材34の四隅か
ら立ち上がる4本のロッド35、サーボモータ36、及
びサーボモータ36とねじ棒32とを連結するベルト伝
動装置37を含んでいる。これら部品のうち部材31及
びサーボモータ36は図示しない部材を介して物品処理
槽1に支持されている。また、各ロッド35は物品処理
槽1の底壁1Bに設けられたスライドベアリング38を
昇降自在に貫通し、さらにダクト141(図1参照)を
貫通して物品支持体2の下板21に連結されている。
【0031】この昇降駆動装置3によるとモータ36の
正転(逆転)運転によりねじ棒32が正転(逆転)する
ことで該ねじ棒に螺合する雌ねじ部材33が上昇(下
降)し、これに伴って該雌ねじ部材に連結されている水
平部材34も上昇(下降)し、さらにこれに伴って4本
のロッド35が上昇(下降)することで物品支持体2が
上昇(下降)する。
【0032】このように昇降駆動装置3が物品処理槽1
の下方に配置されていることで装置全体がコンパクト化
されている。また、昇降駆動装置3はスライドベアリン
グ38を昇降自在に貫通するロッド35によってのみ物
品支持体2と連結されているので、昇降駆動装置3の部
分から発する塵埃が物品処理槽1に侵入することが十分
抑制されており、塵埃を嫌う被処理物の処理にも適して
いる。
【0033】物品処理空間14に供給、循環される気体
の温度はヒータ16の制御により調節できるが、次の構
成によっても制御でき、同時に換気制御できるようにな
っている。すなわち、物品処理槽1の天井壁1Aのうち
ヒータ16より正面側の部分に通気孔191が形成され
ているとともに、該通気孔191に空気浄化フィルタ1
92が被せられている。さらに、物品処理槽1の底壁1
Bのうち、気体供給循環部15の底部にあたる部分には
通気孔193が形成されているとともに該通気孔の下方
にダクト194が連なり、これにダンパ195が設けら
れ、該ダンパはハンドル196により開度調節可能とな
っている。このダクト195の開度を適当に調節するこ
とにより外部気体がフィルタ192によって浄化されて
天井壁孔191から気体供給循環部15に流入する一
方、気体供給循環部15の気体の一部が処理槽底壁孔1
93から処理槽外へ排出される。これによって物品処理
空間14に供給される空気の換気量が調節可能となって
いる。
【0034】また、図2に示すように、物品処理槽1の
一側壁1Cにはスリット状の物品通口101が形成され
ているとともに、反対側の側壁1Dには前記物品通口1
01に対向する位置で物品通口102が形成されてい
る。このように上下に高く、内容積の大きい割には、物
品搬入搬出口として小さい物品通口101、102が設
けられているだけであるから、物品処理空間14から外
部への処理気体の漏出や、外部からの外気の侵入が抑制
され、それだけ処理槽内雰囲気が所望の温度や状態(例
えば窒素ガス導入による無酸化雰囲気)に管理し易く、
従来より被処理物の各部を均一に熱処理できる等、熱処
理精度が向上する。
【0035】また、処理槽1内から処理槽雰囲気が漏出
したり、処理槽内へ不要な外気が侵入することが抑制さ
れるので、気体供給循環部容量がそれだけ小さく済み、
初期設置費用、その後のランニングコストが安価に済
む。物品処理槽1の物品通口101の外側には物品搬入
装置41が配置され、反対側の物品通口102の外側に
は物品搬出装置42が配置されている。 これら装置4
1、42は同一構造のものであるが、互いに向きを反対
にして配置してある。これら装置41(42)は基台4
01に昇降可能に設けたロッド402の上端に水平ボッ
クス403を固定し、該ボックス403に該ボックスの
長手方向に沿って往復動可能の物品支持アーム404を
設けたものである。この装置は、それ自体すでに知られ
ているタイプのもので、基台401内に組み込んだ駆動
機構によりロッド402を昇降させることができるとと
もに回動させることができ、ボックス403に組み込ん
だ駆動機構により物品支持アーム404を前進後退させ
ることができるものである。
【0036】図3に示すように、被処理物Sはアーム4
04上に支持される。装置41によると、図示しないコ
ンベアにより搬送されてアーム404上に載置された被
処理物Sは、アーム404の図2に示す矩形軌道を描く
動作サイクルCY1によって物品処理槽1の物品通口1
01から処理槽内に搬入される。すなわち、装置41の
ロッド402が上昇することでアーム404も上昇し、
これによって図示しないコンベアにて運ばれてきた被処
理物Sがアーム404によって持ち上げ支持される。次
にアーム404が物品通口101から処理槽1内に進入
することで、該被処理物Sは処理槽1内に待ち受ける、
後述する物品支持体2の物品支持部20の上方に位置す
る。次にロッド402が下降することで物品Sは該物品
支持部に載置され、空になったアーム404は後退し、
当初位置に復帰して次の物品搬入に備える。
【0037】また、装置42によると、物品支持体2上
の処理済みの物品Sがアーム404の図2に示す矩形軌
道を描く動作サイクルCY2によって処理槽1から搬出
され、処理槽外に待ち受ける図示しないコンベア上に渡
される。すなわち、先ずアーム404が前進し、物品通
口102から処理槽1内に進入して処理済みの1つの物
品Sの下方に位置すると、ロッド402が上昇し、それ
によってアーム404上に処理済みの物品Sが支持され
る。その状態でアーム404を後退させ、しかるのちロ
ッド402を下降させることでアーム404上の処理済
み物品が図示しないコンベア上に渡される。かくして該
図示しないコンベアにより次の工程へ向け搬送される。
なお、装置41、装置42のいずれにおいても、必要
に応じ、アーム404はボックス403と共に最大18
0°まで往復回動される。
【0038】次に物品支持体2を図4、図5、図6及び
図7を参照して詳細に説明する。この物品支持体2は、
図4及び図5に示すように、下板21及びこれに対向す
る上板22を有し、これら両板の四隅がそれぞれロッド
2Aによって連結されている。また、上下板21、22
間には物品支持部20が上下に複数段に配置されてい
る。
【0039】各物品支持部20は、図5及び図6に示す
ように、被処理物Sの周辺部を下方から受け支える4個
一組の受け部材片23を含んでいる。各受け部材片23
は一側面から見ると図6に示す形状をしており、平面か
ら見ると図7の(A)図に示す形状をしており、その断
面は図7の(B)図に示すとおりである。すなわち、こ
の受け部材片23は水平板部231及びこれに連結され
た中央筒部232とからなっており、水平板部231
は、各段の物品支持部20に支持される被処理物Sを熱
処理する空気の流れ、すなわち図1においてフィルタ1
1から吹き出される空気の層流方向X(図5、図6及び
図7も参照)の方向に長寸法Lを有し、これと直角な幅
方向に小さい幅寸法Wを有する板部であり、空気層流方
向Xにおいて上流側端部及び下流側端部がそれぞれ平面
からみて三角形状に形成され、さらに先端に丸みをつけ
られており、全体が層流方向Xに沿って流線形状に形成
されている。筒部分232も層流方向Xの方向に長く、
これと直角の幅方向に狭くなるように偏平に形成され、
該筒部分の層流方向Xにおける上流側端部及び下流側端
部はそれぞれ平面から見て円弧面に形成され、全体とし
て層流方向Xに流線形状に形成されている。また、水平
板部231の上流側端部及び下流側端部の上面にはそれ
ぞれ被処理物Sを点状に受け支える凸部233が形成さ
れている。
【0040】物品支持体2の上下板21、22間の4個
所のそれぞれに上下に一直線上に複数段に配置される受
け部材片23は軸棒24に緩みの無い状態で順次外嵌さ
れている。その状態は図6及び図7にに示してある。各
軸棒24は図7の(A)図に示すように、気体の層流方
向Xに細長く、該層流方向において上流側端部及び下流
側端部が台形状に突出するように形成されており、全体
として流線形状に形成されている。
【0041】図6に示すように、各軸棒24の下端及び
上端には該軸棒24の中心から偏心した位置で補助軸棒
241及び242が上下方向に突設されており、下側の
補助軸棒241は軸受け部材25に回転可能に貫通し、
さらに、下板21を貫通している。また上側補助軸棒2
42は上側軸受け部材26に回転可能に貫通し、さらに
上板22を貫通している。下側の軸受け部材25は下板
21の上面に固定した部材251に連結固定されてお
り、上側の軸受け部材26は上板22の下面に固定した
部材261に連結固定されている。
【0042】これら補助軸棒241、242の、下板及
び上板を貫通した部分には、図示しない回し道具を係合
させる係合部243が設けられており、この部分を回動
させることで補助軸棒241及び242を中心にして軸
棒24及びこれに嵌合された受け部材片23を180°
往復回動させることができる(図7の(C)図参照)。
【0043】以上説明したように物品支持体2による
と、各物品支持部20における受け部材片23に被処理
物Sの周辺部が下方から受け支えられる。そして各受け
部材片23は熱処理気体の層流方向Xに流線形状に形成
されているので、該層流Xの乱れが少なく、従って被処
理物Sの各部は、この点からも均一に熱処理されること
になる。また、各被処理物Sは物品受け部材片23の水
平板部231上面の凸部233によって点状に受け支え
られるので、例えば該被処理物Sが液晶ディスプレイ用
のガラス基板であって、その上面に塗膜を塗布したもの
であり、ガラス基板端部に液垂れが発生しているような
場合でも、該液垂れが受け部材片23の広範囲にべた付
着することが防止され、この物品支持体の汚染がそれだ
け防止され、延いては発塵が少なくなり、清掃の手間も
省ける利点がある。
【0044】また、係合部243を回動操作すること
で、反対側の物品受け支え凸部233を被処理物を受け
支える位置に配置することができ、この場合、図5に示
すように、該回動が偏心して行われるため、いずれかの
凸部233により大きい被処理物S1又は小さい被処理
物S2のいずれでも支持することができる。なお、図5
においてYは被処理物Sの搬入搬出方向を示している。
【0045】なお、上下に隣合う被処理物Sの間隔調整
は筒部232の高さの選択により行えるが、該筒部間に
スペーサを挿入することによっても行える。次に、以上
説明した物品熱処理装置により、液晶デイスプレイ装置
のガラス基板S上に該装置製作の過程で必要とされる塗
液を塗布し、これを乾燥させる場合について説明する。
【0046】当初は、物品支持体2を上昇(又は下降)
させて該支持体の最下段(又は最上段)の物品支持部2
0を処理槽1の物品通口101、102に臨ませてお
き、この状態で気体供給循環部15にて物品処理空間1
4に所定温度気体を供給し、循環させる。物品支持体2
の昇降は昇降駆動装置3のモータ36を正転又は逆転さ
せて行う。
【0047】次に、物品搬入装置41により塗液を塗布
したガラス基板Sを物品通口101から物品処理槽1内
へ搬入し、それを物品支持体2の最下段(又は最上段)
の物品支持部20に支持させ、その後、支持体2を1段
分下降(又は上昇)させ、次段の物品支持部20に前記
と同様にしてガラス基板Sを搬入、載置する。このよう
にして次々と物品支持体2を1段分ずつ移動させてガラ
ス基板Sを各支持部20に搬入載置する。
【0048】すべての物品支持部20へのガラス基板S
の搬入が完了すると、最初に搬入した基板Sはすでに所
定温度雰囲気に十分曝され、所定の熱処理が完了してい
るので、ここで物品支持体2を全段分一度に上昇又は下
降させ、最初に搬入した基板Sを搬出装置42により処
理槽1外へ搬出し、この搬出によって空いた部分へ、搬
入装置41にて次の基板Sを搬入する。
【0049】しかるのち、物品支持体2を1段分下降
(又は上昇)させ、次段支持部20上の基板Sの搬出
と、その結果空いた部分への次の基板Sの搬入を行う。
このように次々と物品支持体を1段分ずつ下降(又は上
昇)させ、基板Sの搬出と搬入を繰り返す。なお、当初
の全段への基板Sの搬入において、一番最後に搬入され
た基板Sは、全段搬入終了後、物品支持体2が当初位置
まで上昇(又は下降)せしめられ、その後、1段分ずつ
下降(又は上昇)する過程で所望の熱処理が完了する。
【0050】すなわち、一つ一つの基板Sを見ると、物
品支持体2の全段支持部20に基板Sが搬入される時
間、物品処理槽1内に置かれ、所望の熱処理が施される
ことになる。そしてこの熱処理装置によると、既述のと
おり、従来処理装置に比べ、コンパクトに構成して装置
設置面積を節約できる。また、物品処理槽1内の雰囲気
の温度の乱れが抑制され、また、無酸化雰囲気等要求さ
れる雰囲気を作り出し易く、それだけ目的とする物品熱
処理を精度よく実施できる。また、物品処理空間14に
おける塵埃汚染が抑制され、塵埃を嫌う物品の熱処理に
も利用できる。
【0051】次に本発明の他の実施例を図8及び図9を
参照して説明する。図8の(A)図は、物品熱処理装置
の要部の側方から見た断面図であり、(B)図は(A)
図に示す要部の、正面側から見た断面図である。また図
9は図8に示す装置における物品支持体の物品支持部を
示すもので、(A)図はそれを側方から見た断面図であ
り、(B)図は同支持部の正面側から見た断面図であ
り、(C)図は該支持部とそれに関係する部分の、平面
側から見た断面図である。
【0052】この物品熱処理装置は、物品処理槽100
を含んでいる。処理槽100は断熱壁に囲まれており、
その内部は、処理槽底壁100Bから立ち上がるフィル
タ110、該フィルタ上端から正面側へ水平に延びる上
仕切板120及び該仕切板端部から処理槽天井壁100
Aまで立ち上がる通気板130によって物品処理空間1
40及び気体供給循環部150に区分けされている。
【0053】このフィルタ110も図1に示す装置にお
けるフィルタ11と同様に高集塵性能のフィルタであ
る。通気板130は多数の通気口を備えている。上仕切
板120の上方空間には加熱ヒータ160及び空気循環
用ファン170が配置されており、ファン170は処理
槽1の天井壁に固定したモータ172により回転駆動さ
れる。
【0054】物品処理空間140には後ほど詳述する物
品支持体200が配置されている。空間140の正面側
には開閉可能の扉180を設けてある。気体供給循環部
150によると、加熱ヒータ160により所定温度に加
熱された空気が回転駆動されるファン170に吸い込ま
れ、該ファン170からフィルタ110の背後に吹き出
され、該フィルタを通ることで浄化されて物品処理空間
140に層流状態で流入し、ここで物品支持体200上
に支持された後述する被処理物の熱処理に供されての
ち、上方の通気板130から気体供給循環部150内に
戻り循環する。
【0055】物品支持体200は物品処理槽100の下
方に設けた昇降駆動装置300によって物品処理空間1
40内を昇降することができる。昇降駆動装置300は
図示しない部材を介して物品処理槽100に連結固定さ
れた上下の水平部材301、302を備えており、これ
ら両部材間に縦方向のガイドロッド303が連結固定さ
れているとともに、ロッド303と平行な縦方向のねじ
棒304が回転可能に支持されている。
【0056】ガイドロッド303には、これに沿って昇
降可能なスライダ305が嵌挿されており、ねじ棒30
4には雌ねじ部材306が螺合されている。これらスラ
イダ305及び雌ねじ部材306には水平部材307が
連結固定されており、該水平部材307のほぼ四隅部分
からそれぞれロッド308が立ち上がっており、各ロッ
ド308は上側部材301を昇降可能に貫通し、さらに
物品処理槽100の底壁100Bに設けたスライドベア
リング309を昇降可能に貫通して物品支持体200の
下板201に連結固定されている。また下部材302の
下面にはサーボモータ310が固定され、これによって
ねじ棒304が正転又は逆転駆動される。
【0057】物品支持体200に連結固定されたロッド
308は、本例ではいずれも中空ロッドであり、これら
ロッドのうち、物品処理槽100の一側壁100C側に
配置されている2本のロッド308aには流量制御エレ
メントF、開閉弁V1、V2を介してガス源G1、G2
が配管接続されている。この例ではガス源G1は乾燥空
気源であり、ガス源G2は乾燥窒素ガス源である。ま
た、ロッド308aから流量制御エレメントFに至る配
管は可撓性のあるホースであり、図8には直線で示され
ているが、実際にはロッド308aの昇降に追随できる
ように余裕を持った長さが採用されている。なお、ロッ
ド308aとは反対側の2本のロッド308bにもこれ
らガス供給装置を接続しておいてもよい。
【0058】この昇降駆動装置300によると、モータ
310の正転(逆転)運転によりねじ棒304が正転
(逆転)することで該ねじ棒に螺合する雌ねじ部材30
6が上昇(下降)し、これに伴って該雌ねじ部材に連結
されている水平部材307も上昇(下降)し、さらにこ
れに伴って4本のロッド308が上昇(下降)すること
で物品支持体200が上昇(下降)する。
【0059】図8の実施例においても、このように昇降
駆動装置300が物品処理槽100の下方に配置されて
いるので、装置全体がコンパクト化されている。また、
昇降駆動装置300はスライドベアリング309を昇降
自在に貫通するロッド308によってのみ物品支持体2
00と連結されているので、昇降駆動装置300の部分
から発する塵埃が物品処理槽100に侵入することが十
分抑制されており、塵埃を嫌う被処理物の処理にも適し
ている。
【0060】また、図8の(B)図に示すように、物品
処理槽100の一側壁100Cにはスリット状の物品通
口103が形成されている。このようにこの装置は上下
に高く内容積の大きい割には、物品搬入搬出口として小
さい物品通口103が設けられているだけであるから、
物品処理空間140から外部への処理気体の漏出や、外
部からの外気の侵入が抑制され、それだけ処理槽内雰囲
気が所望の温度や状態(例えば窒素ガス導入による無酸
化雰囲気)にし易く、従来より被処理物の各部を均一に
熱処理できる等、熱処理精度が向上している。
【0061】また、処理槽100内から処理槽雰囲気が
漏出したり、処理槽内へ不要な外気が侵入することが抑
制されるので、気体供給循環部150の容量がそれだけ
少なく済み、初期設置費用、その後のランニングコスト
がそれだけ安価に済む。物品搬入搬出のための物品通口
103の外側には、図8には示していないが、図2に示
す物品搬入、搬出装置41、42と同構成の搬入搬出装
置が配置される。但し、物品搬入排出のためのアーム4
04に代えて、図9の(C)図に示すアーム404aが
採用される。
【0062】物品支持体200は図8に示すように、前
記ロッド308を連結された下板201及びこれに対向
する上板202を有し、これら両板の四隅がそれぞれ中
空筒状のロッド203によって相互に連結されている。
また、上下板201、202間には物品支持部50が上
下に複数段に設けられている。各物品支持部50は、図
9に示すように、被処理物Sを受け支えることができ、
下面側から物品処理空間140の熱処理気体により加熱
されて蓄熱する熱容量の大きい蓄熱プレート501及び
該プレートを覆うプレートカバー502を備えている。
プレートカバー502は被処理物Sの出入口503を備
えている。出入口503は物品処理槽100の物品通口
103の側に向けられている。
【0063】蓄熱プレート501はプレートカバー50
2に支持されており、プレートカバー502はその四隅
が上下板201、202を相互連結する4本のロッド2
03にそれぞれ支持されている。ロッド203のうち物
品通口103がある側に配置さている2本のロッド20
3aは、前記昇降駆動装置300における中空昇降ロッ
ド308aに連通するように接続されており、ガス源G
1又はG2からガスの供給を受けることができる。前述
のように、駆動装置300における昇降ロッド308b
にもガス供給装置を接続しておくときは、支持体200
のロッド203のうち、前記ロッド203aとは反対側
の各ロッド203bも該昇降ロッド308bに連通接続
しておけばよい。
【0064】また、各ロッド203a(或いはさらに各
ロッド203b)の中空部は、プレートカバー502に
おける物品出入口503に近い位置で、該プレートカバ
ー502内に連通口204を介して連通している。従っ
てロッド203a(或いはさらにロッド203b)に供
給されたガスは、この連通口204を通ってプレートカ
バー502内に進入することができる。
【0065】また、図9の(C)図に示すように、物品
処理槽100内のフィルタ110とそれに隣合う物品支
持体200における2本の縦方向ロッド203a、20
3bとの間には物品処理空間140内に上下方向に延び
る仕切板104が設けられ、さらに該仕切板104と物
品処理槽100の両側壁100C、100Dとの間に風
量制御板105が設けられている。風量制御板105は
多数の通気孔を有し、フィルタ110に隣合って物品処
理空間140内に上下方向に延びている。
【0066】以上説明した物品支持体200によると、
昇降駆動装置300による昇降操作によって物品支持部
50のうちのいずれかが物品通口103に臨む位置に配
置され、このように配置された物品支持部50に対し、
物品搬入搬出装置のアーム404aにより被処理物Sが
物品通口103及びプレートカバー502の出入口50
3を経て蓄熱プレート501上に搬入載置されるか、或
いは熱処理の終わったプレート501上の被処理物Sが
逆に物品処理槽外へ搬出される。
【0067】また、この物品支持部50によると、図9
の(C)図に示すように、フィルタ110を通過し、両
仕切板104の間を通って供給されてくる熱処理気体の
層流Xによりプレート501がその下面から加熱される
ことで蓄熱し、且つ、該プレート上の被処理物Sがその
下面側から加熱処理される。従って、被処理物Sが、例
えば、液晶ディスプレイ用のガラス基板であって、その
上面に塗液を塗布したものである場合、該ガラス基板は
その塗液を塗った上面とは反対側の下面側から加熱され
ることになるので、塗液中の溶剤が塗膜中に残存するこ
となく円滑に放置され、気泡のない優れた乾燥塗膜が得
られるという利点がある。
【0068】また、フィルタ110を通過して流れる熱
処理気体のうち両仕切板104の間を通って蓄熱プレー
ト501の下面に沿って流れるものについては、仕切板
104の外側に流量制御板105が設けてあって、この
部分を通る風量が抑制されることから風量が十分大き
く、プレート501を十分加熱することができる状態と
なっている。
【0069】また、以上説明した物品支持体200によ
ると、ガス源G1から乾燥空気を、或いはガス源G2か
ら乾燥窒素ガスを昇降駆動装置における中空昇降ロッド
308a(或いはさらにロッド308b)及び物品支持
体における縦方向中空ロッド203a(或いはさらにロ
ッド203b)に供給し、そこから各プレートカバー5
02内に供給することができる。このようにプレートカ
バー502内に供給されたガスgは図9の(C)図に示
すように、プレートカバー502の物品出入口503か
らカバー外へ流出する。従って、このようにガスgをプ
レートカバー内に供給することにより、熱処理の過程に
おいて被処理物Sから発生することがある不要なガスや
塵埃を、該ガスgの流れによってプレートカバー外へ誘
導排出することができ、この点でも被処理物Sを清浄度
の高い状態で処理することができる。また、窒素ガスを
導入するときには、プレートカバー502内を無酸化雰
囲気とし、その状態下で被処理物Sを処理することもで
きる。
【0070】次に本発明のさらに他の実施例について説
明する。この実施例は図8及び図9に示す物品熱処理装
置において、物品支持体200における物品支持部50
に代え物品支持部60を採用したものである。また、こ
の実施例では、物品搬入搬出装置のアームとして、図1
0の(C)図に示すように、図2に示す物品搬入搬出装
置41、42におけるアーム404と同じアーム404
が使用される。
【0071】この実施例における各物品支持部60は図
10に示すように、被処理物Sの下面の大部分を物品処
理空間140の熱処理気体に露出させることができる平
面視コの字形の受け部材601及び該受け部材を覆うカ
バー602を備えており、カバー602は物品出入口6
03を有している。物品出入口603は物品処理槽10
0の物品通口103のある側に向けられている。また、
カバー602はその出入口603近傍で、連通孔204
を介してロッド203aの中空部に連通している。これ
ら受け部材601及びカバー602はその四隅部分が縦
方向の中空ロッド203に連結支持されている。その他
の点は図8及び図9に示すものと同様の構成である。こ
の実施例においても、駆動装置300における昇降ロッ
ド308bにガス供給装置を接続しておくときは、支持
体200のロッド203のうち、ロッド203aとは反
対側の各ロッド203bも該昇降ロッド308bに連通
接続させ、さらにロッド203bも連通孔204にてカ
バー602内に連通させておけばよい。
【0072】この物品支持部60によると、被処理物S
はその周辺部が受け部材601に支持され、該受け部材
の開口601aから被処理物Sの下面の大部分が直接物
品処理空間140の熱処理気体の層流Xに曝されて処理
される。この物品支持部60によると、前記物品支持部
50におけると同様の効果が達成される。また、図8及
び図9に示す物品熱処理装置、並びに図10に一部を示
す物品熱処理装置におけ物品支持体200の昇降、支持
体200の物品支持部50、60に対する被処理物の搬
入搬出等の全体的な一連の操作は、図1から図7に示す
装置におけると同様に行われる。但し、物品の搬入搬出
は一つの物品通口103により行われる。
【0073】なお、必要に応じ、前記物品支持部50、
60の物品出入口503、603をカバー502、60
2の反対側にも設け、さらに処理層100の物品通口1
03を、図2に示す装置の処理層1におけると同様に左
右に搬入専用、搬出専用に設けておいてもよい。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、従
来装置に比べ、コンパクトに構成して装置設置面積を
節約でき、物品処理槽内の雰囲気の温度の乱れが抑制
され、また、無酸化雰囲気等要求される雰囲気を作り出
しやすく、それだけ目的とする物品熱処理を精度よく実
施でき、塵埃による汚染が少なく、塵埃を嫌う物品の
熱処理にも適用でき、装置の初期設置費用、その後の
ランニングコストを低く抑えることができる物品熱処理
装置が提供される。
【0075】物品支持体における各物品支持部が、被処
理物又は補助支持具を受け支える受け部材片を有し、該
各受け部材片が、それに支持される被処理物に対する熱
処理気体の流れ方向に沿って、小空気抵抗の流線形状に
形成されているときには、該受け部材片の空気抵抗がそ
れだけ少なく、従って被処理物に対する熱処理気体の流
れ(層流)の乱れの発生が抑制され、それだけ被処理物
の各部が均一に熱処理される。
【0076】また、該受け部材片が被処理物を点状に受
け支える凸部を有するときには、例えば、該被処理物に
塗液が塗布してあってこれを乾燥する処理において被処
理物側面や下面に塗液垂れが発生しているような場合で
も、該塗液が受け部材片の広範囲に付着し、その後の清
掃が困難になったり、それが原因で発塵し易くなる等の
不都合が抑制される。
【0077】また、補助支持具や物品支持体の物品支持
部自体が、被処理物を受け支えることができ、下面側
から物品処理空間の熱処理気体により加熱されて蓄熱す
る蓄熱プレート、及び該プレートを覆い、被処理物の出
入口を有するプレートカバーを備えている場合や、被
処理物下面の大部分を物品処理空間の熱処理気体に露出
させることができる受け部材及び該受け部材を覆い、被
処理物の出入口を有するカバーを備えている場合におい
ては、例えば、被処理物の上面に塗液が塗布してあり、
この塗膜を乾燥処理する場合において、被処理物はその
塗膜を塗った上面とは反対側の下面側から主として加熱
されることになるので、塗液中の溶剤が塗膜中に残存す
ることなく円滑に放出され、気泡の無い優れた乾燥塗膜
が得られる。
【0078】また、物品支持体における各物品支持部が
このように形成されている場合において、前記カバー内
に物品処理槽外から乾燥空気や窒素ガス等を導入するた
めのガス導入手段を設けてあるときには、例えば、乾燥
空気や窒素ガスを導入することによって、熱処理により
被処理物から発してその上方に漂うことがあるガスや粒
子を排除することができ、例えば窒素ガスを採用する場
合には、これとともに被処理物に接する雰囲気を無酸化
雰囲気とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例である物品熱処理装置の要部
の、側方からみた断面図である。
【図2】図1に示す装置の正面側から見た断面図であ
る。
【図3】図1及び図2に示す装置の平面図である。
【図4】物品支持体の概略側面図である。
【図5】図4に示す物品支持体の上板を取り外した状態
の概略平面図である。
【図6】物品支持体の詳細を一部省略して示す側面図で
ある。
【図7】(A)図及び(B)図は図6に示す物品支持体
における物品受け部材片及びそれに通された軸棒を示す
もので、(A)図は軸棒部分を断面で示す平面図、
(B)図は受け部材片を断面で示す側面図であり、
(C)図は(A)図及び(B)図に示す物品受け部材片
の取付け状態及びその動作状態を説明するための図であ
る。
【図8】本発明の他の実施例を示すもので、(A)図は
その要部の、側方から見た断面図であり、(B)図は
(A)図に示す要部の、正面側から見た断面図である。
【図9】(A)図は図8に示す装置における物品支持体
の物品支持部の、側方から見た断面図であり、(B)図
は同支持部の、正面側から見た断面図であり、(C)図
は該支持部とそれに関係する部分の、平面側から見た断
面図である。
【図10】(A)図は本発明のさらに他の実施例におけ
る物品支持体の物品支持部の、側方から見た断面図であ
り、(B)図は同支持部の、正面側から見た断面図であ
り、(C)図は該支持部とそれに関係する部分の、平面
側から見た断面図である。
【図11】(A)、(B)及び(C)図はそれぞれ従来
例の説明図である。
【図12】さらに他の従来例の一部の斜視図である。
【符号の説明】
1 物品処理槽 14 物品処理空間 15 気体供給循環部 101、102 物品通口 2 物品支持体 20 物品支持部 3 物品支持体2の昇降駆動装置 41 物品搬入装置 42 物品搬出装置 23 被処理物の受け部材片 233 部材片23における凸部 100 物品処理槽 140 物品処理空間 150 気体供給循環部 103 物品通口 200 物品支持体 300 物品支持体200の昇降駆動装置 50 物品支持部 501 蓄熱プレート 502 プレートカバー 503 物品出入口 60 物品支持部 601 被処理物の受け部材 602 カバー 603 カバーの物品出入口 G1 乾燥空気源 G2 乾燥窒素ガス源 V1、V2 開閉弁 F 流量制御エレメント 308(308a、308b) 中空昇降ロッド 203(203a、203b) 中空ロッド 204 連通孔

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物品処理空間を有し、該空間に所定温度
    気体を供給循環させる気体供給循環手段が付設され、少
    なくとも一側部に前記空間への物品の搬入、搬出のため
    の物品通口を有する物品処理槽と、 前記物品処理空間に配置され、被処理物又は被処理物を
    装填した補助支持具を装脱できる物品支持部を上下に所
    定間隔で複数段有する物品支持体と、 前記物品処理槽の下方に配置され、該処理槽壁を昇降可
    能に貫通する連結部材にて前記物品支持体に連結され、
    該連結部材を介して該物品支持体を昇降させて前記各物
    品支持部を前記物品通口に順次臨ませるための昇降駆動
    手段と、 前記物品通口を経て前記物品支持体の物品支持部に対し
    被処理物又は補助支持具を装填、取出しする物品搬入及
    び搬出のための手段とを備えたことを特徴とする物品熱
    処理装置。
  2. 【請求項2】 前記物品支持体における前記各物品支持
    部が、被処理物又は補助支持具を受け支える受け部材片
    を有し、該各受け部材片は、それに支持される被処理物
    に対する熱処理気体の流れ方向に沿って、小空気抵抗の
    流線形状に形成されている請求項1記載の物品熱処理装
    置。
  3. 【請求項3】 前記各受け部材片が被処理物を点状に受
    け支える凸部を有している請求項2記載の物品熱処理装
    置。
  4. 【請求項4】 前記補助支持具が、被処理物を受け支え
    ることができ、下面側から前記物品処理空間の熱処理気
    体により加熱されて蓄熱する蓄熱プレート、及び該プレ
    ートを覆い、被処理物の出入口を有するプレートカバー
    を備えている請求項1又は2記載の物品熱処理装置。
  5. 【請求項5】 前記補助支持具が、被処理物下面の大部
    分を前記物品処理空間に露出させることができる受け部
    材及び該受け部材を覆い、被処理物の出入口を有するカ
    バーを備えている請求項1又は2記載の物品熱処理装
    置。
  6. 【請求項6】 前記物品支持体における前記各物品支持
    部が、被処理物を受け支えることができ、下面側から前
    記物品処理空間の熱処理気体により加熱されて蓄熱する
    蓄熱プレート、及び該プレートを覆い、被処理物の出入
    口を有するプレートカバーを備えている請求項1記載の
    物品熱処理装置。
  7. 【請求項7】 前記物品支持体における前記各物品支持
    部が、被処理物下面の大部分を前記物品処理空間に露出
    させることができる受け部材及び該受け部材を覆い、被
    処理物の出入口を有するカバーを備えている請求項1記
    載の物品熱処理装置。
  8. 【請求項8】 前記カバー内に前記物品処理槽外から所
    定のガスを導入するためのガス導入手段を有する請求項
    6又は7記載の物品熱処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003065943A (ja) * 2001-08-24 2003-03-05 Fujitsu Ltd 温度・湿度調製装置及び環境試験方法
KR100705964B1 (ko) * 2005-12-02 2007-04-12 오성엘에스티(주) 개별셔터방식의 도어시스템을 구비한 열처리장치
CN104596916A (zh) * 2015-02-11 2015-05-06 中国华能集团公司 一种曲柄滑块机构控制的循环氧化实验装置及氧化性能测试方法

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