JPH06316047A - 良好な表面滑性と改善された遮蔽性を合わせ持つ多層の延伸されたヒートシール性ポリプロピレンフイルム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリジメチルシロキサンを含まない次の構
造： ＡＢＣＢＡ （ ここで ａ）Ｃはポリプロピレンと分子量が２０００ｇ／モル以
下で軟化点が１３０℃以上の炭化水素樹脂および０．０
５〜０．５重量％のエルカ酸アミドよりなる芯層である
ことを特徴とし、 ｂ）Ｂは炭化水素樹脂を含まない高度にアイソタクティ
ックなポリプロピレン（アイソタクティシティ＞９４
％）からなる２層の被覆層（ジャケット層）であり、被
覆層の厚さと基材層の厚さ間の比が０．０１から０．１
の間にあり、 ｃ）Ａはヒートシール可能なポリオレフィン共重合体、
三元共重合体からなる２層の表面層であり、これら表面
層は少なくとも一種のブロッキング防止剤、帯電防止剤
を含み、滑剤として、０．０５〜０．５重量％のエルカ
酸アミドを含む）を持つことを特徴とする良好な表面滑
性と改善された遮蔽性を合わせ持つ多層の延伸されたヒ
ートシール可能なポリプロピレンフイルム。 【効果】 良好な表面滑性と、良好なシール性を合わせ
持っており、高速包装機での使用に十分耐える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は良好な表面滑性と水蒸気
に対する改善された遮蔽効果および全面にわたる低減さ
れた移行性を合わせ持つ多層の延伸されたヒートシール
性のポリプロピレンフイルムに関する。

【０００２】本発明によるフイルムは、ポリプロピレ
ン、炭化水素樹脂及び滑剤としてのエルカ酸アミドより
なる基層と、該基層を包む炭化水素樹脂及びエルカ酸ア
ミドを含まない高度にアイソタクティクなポリプロピレ
ンの２層（以後被覆層と称する）と、エルカ酸アミドを
含むオレフィン共重合体または三元共重合体よりなるヒ
ートシール可能な２表面層、からなっている。

【０００３】

【従来の技術】高速包装機でポリプロピレンフィルムを
使用する場合、良好な表面滑性を有するフイルムを使用
しなければならない。高速包装機は特にタバコ箱の包装
に使用されている（〜８００箱／分）。高スリップ性ポ
リプロピレンフイルムの製造には滑剤として一般にはポ
リジメチルシロキサンが用いられる。ヨーロッパ特許第
００２７５８６号明細書にポリジメチルシロキサンを滑
剤として用いた高表面滑性のポリプロピレンフイルムが
記載されている。該フイルムは良好な表面滑性を有する
が、水蒸気に対する遮蔽効果は不十分である。

【０００４】ヨーロッパ特許第２４７，８９８号明細書
には炭化水素樹脂の添加により機械的、光学的性能が改
善されたプロピレンフイルムが記載されており、また該
フイルムは水蒸気及び酸素に対する改善された遮蔽性を
示している。

【０００５】残念なことに、このフイルムは粘着性の炭
化水素樹脂を使用しているため、その表面滑性は理想と
するものにはるか及ばないものである。（炭化水素樹脂
の主要用途はホットメルト接着剤である。）ヨーロッパ
特許出願公開第４６８，３３３号明細書には炭化水素樹
脂を含む水蒸気及び酸素に対する改善された遮蔽性と、
機械中を円滑に通過する性能を合わせ持ったポリプロピ
レンフイルムが記載されている。しかしながらここで得
られた機械中を通過する際の円滑性は高速包装機用とし
ては不十分である。さらに炭化水素樹脂を含有（１０〜
４０重量％）するフイルムは非常に大きな全面移行値
（global migration values)を有している。

【０００６】全面移行値とはフイルムと接触している間
に該フイルムから包装内容物（特に食品）へ移行する粒
子の全量を表す測定値である。

【０００７】本発明のようなフイルムの全面移行性は同
等の水蒸気遮蔽効果をもつ３層フイルムよりも少なくと
も３０％は低くなっている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明で
解決しようとする課題は、高速包装機で使用する際、非
常に良好な表面滑性を示し、同時に良好な水蒸気遮蔽性
と低い全面移行性をもっているフイルムを提供すること
にある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この課題は請求項１に記
載されたフイルムにより解決される。

【００１０】本発明の好ましい特徴として、ポリプロピ
レンよりなる基層がさらに１〜４０重量％、さらに具体
的には５〜３０重量％、の炭化水素樹脂（ここで使用し
た重量％の両方、および以下で使用する重量％は該特定
された層を基準にしている。）と０．０５〜０．５重量
％のエルカ酸アミドを含んでいる。該基層は好ましくは
融点１６０℃〜１７０℃のアイソタクチックポリプロピ
レンてあり、該ポリプロピレンは２３０℃の温度下、
２．１６ｋｇの荷重をかけて測定した熔融流動指数（Ｍ
ＦＩ）（ＤＩＮ ５３７３５）が１ｇ／１０分から９ｇ
／１０分、さらに具体的には１．６から４．２ｇ／１０
分の範囲にあることを特徴としている。

【００１１】該低分子量炭化水素樹脂は＞１３０℃（Ａ
ＳＴＭ Ｅ ２８）の軟化点を持つ事を特徴とした樹脂
である。

【００１２】文献（ヨーロッパ特許第４６８，３３３号
明細書）より、このような樹脂を含ませることにより水
蒸気遮蔽性や光学的性質および機械的性質を改善できる
ことが知られている。該炭化水素樹脂は３つのグルー
プ、すなわち石油樹脂類、テルペン樹脂類およびコール
タール樹脂類に分類できる。石油樹脂類のグループ内で
はシクロペンタジエン、スチレン及びメチルスチレン樹
脂類が好ましく使用される。該樹脂類はオリゴマー状重
合体または共重合体で、分子量が２０００ｇ／モル以下
のものである。

【００１３】ポリプロピレンフイルムは通常無色透明に
製造されるので、該樹脂は触媒存在下で完全に水素添加
されていなければならない。テルペン樹脂類はもともと
ピネン、β−ピネン及びジペンテン（Ｄ，Ｌ リモネ
ン）等のモノマー類からできているオリゴマー状の水素
添加重合体を含んでおり、これもまたポリプロピレンの
改質に用いることができる。 ポリプロピレンの水蒸気遮
蔽効果を改善するためには水素添加されたオリゴマー状
のシクロペンタジエン樹脂（ＨＯＣＰ）で軟化点温度が
１３０℃またはそれ以上のものが特に適している。

【００１４】該エルカ酸アミドで使用に適したものは、
アミド含有量が少なくとも９８％（赤外分光分析で測
定）で、エルカ酸含有量が少なくとも９０％（ガスクロ
マトグラフィーで測定）であることを特徴としている。

【００１５】被覆層(jacket layers)は炭化水素樹脂お
よびエルカ酸アミドを含まず、アイソタクテイシティー
が９４％（¹³Ｃ−ＮＭＲで測定、Ｊ．Ｃ．Ｒａｎｄａｌ
ｌ，Ｊ．Ｐｏｌｙｍ．Ｓｃｉ．：Ｊ．Ｐｏｌｙｍ．Ｐｈ
ｙｓ，Ｅｄ．１２，７０３−７１２（１９７４）および
１４，１６９３−１７００（１９７６））以上を特徴と
する高度にアイソタクティックなポリプロピレンを含ん
でいる。

【００１６】熔融点が１５８〜１７０℃である材料が使
用に適している。該被覆層の厚さは０．５μｍから２μ
ｍの範囲にある。

【００１７】良好なシール性と共に機械中を滑らかに通
過する性質を保証するためシール層または表面層に添加
剤を含ませなければならない。このような層に使用され
る数多くの物質の中で以下のものが好ましいものであ
る： − 統計的プロピレン／エチレン共重合体類 − 統計的プロピレン／１−ブテン共重合体類 − 統計的プロピレン／エチレン／オレフィン三元共
重合体 − 上記したポリマー類の２種または３種の混合物 ９０〜９９％のポリプロピレンと１．０〜１０％のポリ
エチレンを含む共重合体が特に好ましい。このシール層
の材料は熔融温度が１１０℃〜１５０℃、さらに具体的
には１２０℃〜１４０℃、の範囲にあることを特徴とし
ている。

【００１８】帯電防止剤類はその分子の一部が親水性で
あり、また長鎖の疎水性の炭化水素基をもっている。該
フイルムでは、これら帯電防止剤類は、親水性部がフイ
ルム表面で水を蓄積できるように配向しており、その結
果表面抵抗を減じ、最終的には帯電防止効果を発現して
いる。 好ましい帯電防止剤類として、特に帯電防止効果
をもつと共に食品工業分野で使用しても安全である、エ
トキシ化アミン類、Ｎ−（Ｃ_12-18−アルキル）−Ｎ’
Ｎ”−ビス−（２−ヒドロキシエチル）−アミン類が挙
げられる。

【００１９】カルボン酸アミド類が滑剤として用いら
れ、典型的な例としてエルカ酸アミドおよびオレイン酸
アミドが挙げられる。ポリアルキルシロキサン類に属す
るポリマーもまた滑剤として用いられる。驚くべきこと
にポリジメチルシロキサンは炭化水素樹脂を含むフイル
ムでは良好な効果を発揮しないが、エルカ酸アミドを
０．０５〜０．５重量％（表面層基準）の濃度で使用す
ると、該５層構造のフイルムに良好な表面滑性を持たせ
ることができることが見いだされた。

【００２０】好ましいブロッキング防止剤として二酸化
ケイ素、珪酸塩または表面層原料と混じり合わないポリ
マー類（例えばポリカーボネート、ポリアミド、ポリメ
チルメタアクリレート）が挙げられる。炭化水素樹脂を
含む高滑性ポリプロピレンフイルムに対してはとりわけ
０．１〜０．３重量％濃度（表面層基準）のＳｉＯ₂が
良好なブロッキング防止剤になることが分かった。

【００２１】本発明のフイルムはラミネーション、コー
ティングまたは熔融共押し出しのような標準的な方法で
製造できる。キャスティングロール上で厚いフイルムと
して固化させた後、該フィルムを１２０℃から１５０℃
の温度で長さ方向に４：１〜７：１に延伸する。横方向
への延伸比は８：１〜１２：１にすることが好ましく、
該フイルムは１３０℃から１７０℃の温度で横方向に延
伸される。

【００２２】引き続いて熱−固定段階を横方向への延伸
温度より１℃〜４０℃低い温度で実施する。実質上非極
性のフイルム表面の印刷インキに対する親和性を確保す
るため、該フイルムをコロナ（スプレー）前処理にかけ
なければならない。このような方法でフイルム表面に空
気中の酸素をカルボニル、エポキシド、エーテルまたは
アルコール基として導入する。ポリプロピレンフイルム
の前処理の他の方法として炎前処理、プラズマ前処理お
よびフッ素前処理がある。

【００２３】

【実施例】

実施例１ 上記方法で製造された２軸配向フイルム（表面延伸比４
５：１；長さ方向延伸温度１４２℃；横方向延伸温度１
６０℃）は次の構造を持っている。（重量％で表示され
た全ての量は特定の層基準になっている。）： 総厚さ：２５μｍ表面層 厚さ ：１μｍ 材料 ：３．５％のエチレンを含むプロピレン／エチレ
ン共重合体，ＭＦＩ：５．０ｇ／１０分．，０．１２５
％ＳｉＯ₂，平均粒子径：２．０μｍ、０．１５％エル
カ酸アミド、アミド含有量＞９８％、エルカ酸含有量＞
９０％被覆層 厚さ ：１μｍ 材料 ：高度にアイソタクティックなポリプロピレン；
アイソタクティシティ：９７％芯層 ： 厚さ ：２１μｍ 材料 ：６９．８５％アイソタクティックポリプロピレ
ン、ＭＦＩ：３．０ｇ／１０分 ３０％炭化水素樹脂マスターバッチ（ポリプロピレン基
準、樹脂含有量５０％），軟化点：１４０℃；該炭化水
素樹脂は水素添加されたオリゴマー状のシクロペンタジ
ェン樹脂である。

【００２４】０．１５重量％のエルカ酸アミド；アミド
含有量＞９８％、エルカ酸含有量＞９０％。

【００２５】実施例２ 芯層が０．２重量％のエルカ酸アミドを含んでいる以外
は実施例１と同じ方法でフイルムを製造した。

【００２６】実施例３ 芯層が０．２５重量％のエルカ酸アミドを含んでいる以
外は実施例１と同じ方法でフイルムを製造した。

【００２７】比較例 １ 芯層又は表面層にエルカ酸アミドを含めず、そのかわり
に表面層に０．７重量％のポリジメチルシロキサンを含
ませた以外は、実施例１と同じ方法でフイルムを製造し
た。

【００２８】比較例 ２ 芯層又は表面層にエルカ酸アミドを含めず、そのかわり
に表面層に０．３重量％のポリジメチルシロキサンを含
ませた以外は、実施例１と同じ方法でフイルムを製造し
た。

【００２９】比較例 ３ 表面層と芯層からなり、被覆層（ジャケット層）を持た
ない３層フイルムを実施例１と同じ方法で製造した。

【００３０】次の表は本発明の方法によるフイルムが水
蒸気遮蔽効果を同じにした場合、表面滑性については比
較例よりかなりの優位性を持っていることを示してい
る。

【００３１】

【表１】

【００３２】測定方法 水蒸気に対する不浸透性の測定: 水蒸気に対する不浸透
性はＤＩＮ ５３１２２，第２部の２３℃／８５％相対
大気湿度差法に従って測定した。

【００３３】摩擦の測定：摩擦挙動（フイルム／フイル
ム）は製造した一週間後に、前処理された面についてＤ
ＩＮ ５３，３７５の方法により測定した。

【００３４】本発明の特徴と、実施態様は次の通りであ
る。

【００３５】１．ポリジメチルシロキサンを含まずかつ
下記構造： ＡＢＣＢＡ ここで ａ） Ｃはポリプロピレンと分子量が２０００ｇ／モル
以下でありかつ軟化温度が１３０℃以上である炭化水素
樹脂及び０．０５〜０．５重量％のエルカ酸アミドより
なる芯層であり、 ｂ） Ｂはベース層との厚さ比が０．０１から０．１で
ある炭化水素樹脂を含まない高度にアイソタクティック
なポリプロピレン（アイソタクティシティー度＞９４
％）からなる２つの被覆層であり、 ｃ） Ａは少なくとも一種のブロッキング防止剤と帯電
防止剤と、滑剤として０．０５〜０．５重量％のエルカ
酸アミドを含むヒートシール可能なポリオレフィン共重
合体または三元共重合体よりなる２つの表面層である を有することを特徴とする、改良された水蒸気遮蔽効果
とかなり低下された摩擦係数を合わせ持つ配向、さらに
具体的には２軸配向されたヒートシール可能なポリプロ
ピレンフイルム。

【００３６】２．基材層が、石油樹脂、テルペン樹脂ま
たはコールタール樹脂の群から選ばれる一種の炭化水素
樹脂を含むことを特徴とする上記１記載のシール可能な
フイルム。

【００３７】３．炭化水素樹脂が水素添加されたオリゴ
マー状のシクロペンタジエン樹脂であることを特徴とす
る上記２記載のシール可能なフイルム。

【００３８】４．表面層が実質的には − 統計的プロピレン／エチレン共重合体 − 統計的プロピレン／１−ブテン共重合体 − 統計的プロピレン／エチレン／オレフィン三元共重
合体 − 上述したポリマー類の２種または３種の混合物 よりなることを特徴とする上記１〜３に記載されたシー
ル可能なフイルム。

【００３９】５． 表面層Ａがブロッキング防止剤とし
て二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ポリメチルメタアク
リレート、ポリカーボネート、シリコーンまたはＨＤＰ
Ｅ（高密度ポリエチレン）を含むことを特徴とする上記
１〜４に記載されたシール可能なフイルム。

【００４０】６．基材層Ｃおよび／または表面層Ａが帯
電防止剤を含むことを特徴とする上記１〜５に記載され
たシール可能なフイルム。

【００４１】７．片面または両面がコロナ、炎、プラズ
マまたはフッ素で前処理された上記１〜６のいずれかに
記載されたフイルム。

【００４２】８．上記１〜７の一つ以上に記載されたシ
ール可能なフイルムの包装材料としての用途。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ウルリヒ・ライナース ドイツ・デー29643ノイエンキルヘン・ブ ルメンシユトラーセ15 (72)発明者 アントン・クラルマン ドイツ・デー29683フアリングボステル・ アムビートープ15 (72)発明者 エベルハルト・アルビヌス ドイツ・デー29699ボムリツツ・アウグス ト−ボルフ−シユトラーセ18 (72)発明者 ネーレ・ネーレン ドイツ・デー29683フアリングボステル・ コルクベーク９

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリジメチルシロキサンを含まずかつ下
   記構造： ＡＢＣＢＡ ここで ａ） Ｃはポリプロピレンと分子量が約２０００ｇ／モ
   ル以下でありかつ軟化温度が１３０℃以上である炭化水
   素樹脂及び０．０５〜０．５重量％のエルカ酸アミドよ
   りなる基層であり、 ｂ） Ｂは炭化水素樹脂を含まない高度にアイソタクテ
   ィックなポリプロピレン（アイソタクティシティ＞９４
   ％）からなる２つの被覆層（ジャケット層）であり、該
   被覆層の厚さと基層の厚さ間の比が０．０１から０．１
   の間にあり、 ｃ） Ａはヒートシール可能なポリオレフィン共重合
   体、三元共重合体からなる２つの表面層であり、これら
   表面層は少なくとも一種のブロッキング防止剤、帯電防
   止剤を含み、滑剤として、０．０５〜０．５重量％のエ
   ルカ酸アミドを含む を有することを特徴とする、改良された水蒸気遮蔽効果
   とかなり低下された摩擦係数を合わせ持つ配向、さらに
   具体的には２軸配向されたヒートシール可能なポリプロ
   ピレンフイルム。
2. 【請求項２】 請求項１記載のシール可能なフィルムを
   用いる包装材料。