JP2000508984A - 湿分遮断性の高いポリプロピレン基材フィルム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 改善された湿分遮断特性及び高められ機械的性質を有するポリマーフィルム。このフィルムは、９３％よりも大きいアイソタクティック立体規則性を有する第１のポリプロピレンポリマー、９０〜９３％のアイソタクティック立体規則性を有する慣用のポリプロピレンポリマー、及び基層の９重量％以下の装填レベルの樹脂改質剤を含むブレンドを含む基層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 湿分遮断性の高いポリプロピレン基材フィルム 本発明は、改善された湿分遮断性及び高められた機械的性質を示す、プロピレ ン基材多層フィルムに関する。 ポリマーフィルムは多くの商業的用途において使用されている。一つの特に重 要な用途は食物製品の包装である。食物包装産業において使用されるフィルムは 適切な食物包み込みのために必要な特性を与えるように選択及び／または設計さ れている。そのような特性は水蒸気遮断性、酸素及びガス遮断性並びに香味及び アロマ遮断性を含む。 ポリプロピレンは食物包装産業において使用されるフィルムの製造において通 常使用されるポリマーである。多層フィルムの場合はポリプロピレンは典型的に 基層またはコア層内に使用される。未改質のポリプロピレンに本来備わっていな い望まれる特性を得るためにしばしばポリプロピレン層が改質される。例えば、 樹脂改質材及び／または添加剤がポリプロピレンとブレンドされる。 ポリプロピレンの特性を変える試みはしばしば得られるフィルムの湿分遮断性 を改善することに向かう。この目的のために、ポリプロピレンを樹脂改質剤とブ レンドするとそのような改善を与えることが既知である。典型的には、水蒸気透 過性における望まれる低下を達成するためには１０〜２０％の樹脂改質剤が添加 されなければならない。 しかし、前述の範囲内の樹脂改質剤の添加はその不利点を伴わないことはない 。特に、本技術において典型的に使用される添加範囲において、ポリプロピレン は寸法安定性のかなりの減少を被る。このことは次に得られるフィルムの機械適 性及び加工性を妨げ、製造経費を高め、そして／または劣った品質のフィルムを 生じる。 ポリマーフィルムの機械的性質は、特にタバコ製品の包みのような用途に関し て、他の重要な特性である。高められた機械的性質を有するフィルムは、そのよ うなフィルムが典型的な産業機械にさらに容易に適合するので取り扱い及び包装 を容易にする。ポリプロピレン基材フィルムの機械的性質（フィルムの剛性及び モジュラスによって測定されたもの）を高めるために、延伸を増すことを通して 及び／または添加剤の添加による試みがなされてきた。しかし、延伸を増すこと は製造の間のフィルムの分離の傾向を増し、また一方添加剤の添加は典型的に機 械的性質の限られた向上を与えるが寸法安定性及び透明度のような他のフィルム 特性に悪影響する。 共通して所有される同時係属中の米国特許出願番号０８／４９０，０８１号（ １９９５年６月１３日出願）及び０８／５４２，２０９号（１９９５年１０月１ ２日出願）は、高結晶度ポリプロピレン及び８重量％以下の樹脂改質剤の基層を 有するフィルム構造体を開示する。スキン層は基層の向かい合った表面に接着さ れ得る。この開示されるフィルム構造体は改善された湿分遮断性及び高められた 機械的性質を示すと同時に、寸法安定性、機械適性、加工性及び透明度を保持す る。しかし、開示されたフィルム構造体中での高結晶度ポリプロピレンの使用は 該構造体の製造、特にフィルムの延伸及びスリッチングのような製造工程に関す る困難性を増す。高結晶度ポリプロピレンの使用はまたフィルム構造体の経費を 増す。 従って、減じられた経費で容易に製造でき、同時に改善された湿分遮断性、高 められた機械的性質、寸法安定性、機械適性、加工性及び透明度を示す樹脂改質 ポリプロピレン基材フィルムに対する要求がいまだに存在する。 従来の技術の要求に取り組む本発明は、改善された湿分遮断特性及び高められ 機械的性質を有するポリマーフィルムに関する。このフィルムは、９３％よりも 大きいアイソタクティック立体規則性を有する第１のポリプロピレンポリマー、 ９０〜９３％のアイソタクティック立体規則性を有する第２のポリプロピレンポ リマー、及び基層の９重量％以下の添加レベルの樹脂改質剤のブレンドを含む基 層を有する。 一つの好ましい態様において、基層は６０〜９４重量％、好ましくは７０〜８ ８重量％んの第１のポリプロピレン、３〜３７重量％、好ましくは４〜２６重量 ％の第２のポリプロピレン、及び３〜９重量％、好ましくは４〜８重量％の樹脂 改質剤を含む。樹脂改質剤は好ましくは水素化炭化水素である。 他の好ましい態様において、少なくとも１つのスキン層が基層に接着されてお り、好ましくはその上にコーティング層を伴う。スキン層は好ましくはエチレン −プロピレンランダムコポリマーまたはエチレン−プロピレン−ブテン−１・タ ーポリマーから形成される。一つの特に好ましい態様において、スキン層は、巻 かれたときにフィルムのブロッキングを減じるために有効な量の抗ブロッキング 剤及びフィルムの曝露された表面上の低い摩擦係数を維持するために有効な量の シリコーン油を含む。 結果として、本発明は、改善された湿分遮断性及び高められた機械的性質を示 すポリプロピレン基材フィルム構造体を提供する。これらの改善された性質は寸 法安定性の損失なく、かつ透明度のような他のフィルム特性に悪影響することな く得られる。従って、フィルム構造体は高度の機械適性及び加工性を示し、より 高い品質のフィルム及び／または減じられた製造経費を与える。最後に、フィル ム構造体は容易に製造し得る。 共通して所有される同時係属中の米国特許出願番号０８／４９０，０８１号（ １９９５年６月１３日出願）及び０８／５４２，２０９号（１９９５年１０月１ ２日出願）に開示されるように、ＨＣＰＰから形成されたポリマーフィルム構造 体は、少量の樹脂改質剤の添加によって予期されぬ大きな水蒸気透過性の減少を 示す。樹脂改質剤の添加レベルが、最大樹脂改質剤８％まで増すにつれてこの湿 分遮断性は増す。すなわち、８％より大きい添加レベルは湿分遮断性にさらに実 質的な増加を与えない。さらに、最大の湿分遮断性を達成するために２０％より も多い樹脂改質剤を必要とし得た従来技術のフィルム構造体において普通であっ たような寸法安定性及び透明度における損失を被ることなく、ＨＣＰＰ−基材フ ィルム構造体は高められた機械特性を与える。しかし、フィルム構造体中のＨＣ ＰＰの使用はフィルム構造体の製造の困難性、特に延伸及びスリッチングのよう な製造工程に関しての困難性を増す。 ここに、共通して所有される同時係属中の米国特許出願番号０８／４９０，０ ８１号及び０８／５４２，２０９号に開示されるＨＣＰＰ基材フィルム構造体は その中に通常量の慣用のアイソタクティックポリプロピレンをブレンドすること によってさらに改善されることが発見された。さらに詳細には、本発明は、高結 晶度ポリプロピレン（ＨＣＰＰ）及び通常のアイソタクティックポリプロピレン （ＰＰ）を樹脂改質剤とブレンドすることによって調製されて基層前駆物質を形 成する。ＨＣＰＰは９３％より大きい、好ましくは９４〜９８％のアイソタクテ ィック立体規則性を有し、一方ＰＰは９０〜９３％のアイソタクティック立体規 則性を有する。ブレンドされた基層は製造効率における有意の増加を与え、同時 に共通して所有される同時係属中の該出願中に開示される構造体において達成さ れる高められた性質を維持する。さらに、ブレンドされた基層は経費の有意な減 少を、材料及び製造経費の両面で与える。 ＨＣＰＰ及びＰＰのブレンドは好ましくは、９％よりも多い樹脂改質剤の添加 レベルにおいて実質的にゼロ勾配を有する、湿分遮断性−対−樹脂改質剤添加レ ベル曲線を、基層に与えるのに有効な量のＨＣＰＰを含む。すなわち、水蒸気透 過率（ＷＶＴＲ）−対−％樹脂改質剤のプロットは、添加レベル９％まで水蒸気 透過率において予期されぬ大きな初期低下を示す。樹脂改質剤の９％よりも高い 添加レベルにおいては、プロットの勾配は実質的にゼロになり、これによって添 加レベルを増しても湿分遮断性のさらに実質的な増加は与えられない。プロット の勾配に関して、「実質的にゼロの勾配」なる用語は、ここで、樹脂改質剤の装 填レベルが９％を超えたときに、ほぼ１０％未満、さらに好ましくはほぼ５％未 満の、追加の湿分遮断性が達成されることを意味するものとして定義される。 基層は好ましくは６０〜９４重量％のＨＣＰＰ、さらに好ましくは７０〜８８ 重量％のＨＣＰＰを含む。基層の残りの百分率はＰＰから形成され、基層を可塑 化し、得られた押し出しフィルム構造体の加工性を増すのに有効な量、さらに好 ましくは基層に存在する樹脂改質剤の量と少なくとも同じくらいの量で存在する 。 商業的に適したＰＰは、Ｆｉｎａ３３７１（テキサス州ダラスのFina Oil and Chemical Co.から入手できる）、Ｅｘｘｏｎ４６１２及びＥｘｘｏｎ４０５２ （テキサス州ホーストンのExxon Chemical Co.から入手できる）及びＡｍｏｃｏ ６３６１（イリノイ州シカゴのAmoco Chemical Co.から入手できる）を含む。商 業的に適したＨＣＰＰはＡｍｏｎｏ９１１７及びＡｍｏｃｏ９１１９（イリノイ 州シカゴのAmoco Chemical Co.から入手できる）、及びＣｈｉｓｓｏ ＨＦ５０ １０及びＣｈｉｓｓｏ ＸＦ２８０５（日本東京のチッソ化学株式会社から入手 できる）を含む。適切なＨＣＰＰはまたヨーロッパのＳｏｌｖａｙからも入手で きる。 ＨＣＰＰは高いアイソタクティック立体規則性を有し、通常のアイソタクティ ックポリプロピレンよりも高い結晶度、すなわち９３％よりも大きい結晶度を生 じる。（ここで通常のアイソタクティックポリプロピレンとは９０〜９３％のア イソタクティック立体規則性を有するものとして定義される。）従ってＨＣＰＰ は、通常のアイソタクティックポリプロピレンより高い剛性、表面硬度、より高 温におけるより低い撓み及びより良好なクリープ性を示す。製造方法を含むＨＣ ＰＰに関するさらなる情報は米国特許第５，０６３，２６４号に開示されている 。 本発明の目的のために、立体規則性は、Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ａｐｐｌｉｅ ｄ Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｓｃｉｅｎｃｅ、第９巻３５９〜３６７頁（１９６５年） のＪ．Ｌ．Ｋｏｅｎｉｇ及びＡ．Ｖａｎ Ｒｏｇｇｅｎ著の「ポリプロピレンに おける立体規則性の積分赤外バンド強度測定」及びＪａｃｋ Ｌ．Ｋｏｅｎｉｇ 著の「ポリマー鎖の化学微細構造（Ｃｈｅｍｉｃａｌ Ｍｉｃｒｏｓｔｒｕｃｔ ｕｒｅ ｏｆ Ｐｏｌｙｍｅｒ Ｃｈａｉｎｓ）」Ｊｏｈｎ Ｗｉｌｅｙ ａｎ ｄ Ｓｏｎｓ社（ニューヨク、チチェスター、ブリズベーン、トロント）に述べ られる手順に従ってＩＲ分光分析によって決定できる。立体規則性はまたデカヒ ドロナフタレン（デカリン）溶解性及び核磁気共鳴分光分析（ＮＭＲ）によって も決定できる。 述べたように、ＨＣＰＰ及びＰＰ成分は樹脂改質剤とブレンドされて基層前駆 物質を形成する。樹脂改質剤は９重量％まで、好ましくは４〜８重量％、そして さらに好ましくは６重量％の量で存在する。配合はＨＣＰＰ、ＰＰ及び樹脂改質 剤をフィルム押出機に直接供給するか、またはマスターバッチの使用によって達 成し得る。成分の配合の一つの好ましい方法はＰＰ及び樹脂改質剤、例えば８０ ％のＰＰ及び２０％の樹脂改質剤から形成されたマスターバッチを利用する。こ のマスターバッチは、次にＨＣＰＰとブレンドされて、ＰＰ及び樹脂改質剤の両 方の濃度を最終的な望まれるレベルに減じる。 樹脂改質剤は好ましくは、ＨＣＰＰ及びＰＰポリマーと相溶性であり、かつフ ィルム特性の望まれる向上を与える、低分子量の水素化炭化水素である。好まし い樹脂改質剤は５０００未満、好ましくは２０００未満、さらに好ましくは５０ ０〜１０００の数平均分子量を有する。樹脂改質剤は天然または合成のものであ り得、好ましくは６０℃〜１８０℃の軟化点を有する。続いて水素化できる特に 適切な炭化水素は炭化水素樹脂である。好ましい炭化水素樹脂は、数ある中で石 油樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂及びシクロペンタジエン樹脂を含む。 本発明において使用するための商業的に入手できる水素化炭化水素樹脂の例は デラウェアのHercules CorporationによってＰＩＣＣＯＬＹＴＥ、ＲＥＧＡＬＲ ＥＺ及びＲＥＧＡＬＩＴＥの商標で、並びにテキサス州のホーストンのExxon Ch emical CompanyによってＥＳＣＯＲＥＺの商標で販売されているものである。 一つの特に好ましい樹脂改質剤は飽和脂環式樹脂とここで呼ばれる。飽和脂環 式樹脂は芳香族炭化水素樹脂の水素化によって得られる。芳香族樹脂はそれら自 体は、二重結合を一般に側鎖内に含む芳香族炭化水素を主成分として含む反応性 不飽和炭化水素を重合することによって得られる。さらに詳細には、脂環式樹脂 は芳香族樹脂から、芳香族樹脂を芳香環内の二重結合を含む全ての、またはほと んど全ての不飽和が消失するまで水素化することによって得られる。 本発明において使用される飽和脂環式樹脂は８５〜１４０℃、好ましくは１０ ０〜１４０℃、の環球法によって測定される軟化点を有する。本発明において使 用するために適切な商業的に入手できる飽和脂環式樹脂の例は、日本の荒川林業 化学産業株式会社によってＡＲＫＯＮ−Ｐの商標で販売されているものである。 一つの好ましい態様において、オレフィンポリマーの少なくとも１つのスキン 層が基層の少なくとも１の側に接着される。スキン層は好ましくは基層と共押出 される。追加の好ましい態様において、スキン層は基層の両側上に同時に共押出 される。 さらに他の好ましい態様において、コーティングがスキン層の外側表面に適用 される。改善された印刷性、機械適性及びアロマ遮断特性を与えるアクリルコー ティングがスキン層の一方に適用され得る。エチレンメチルアクリレート（ＥＭ Ａ）またはエチレンアクリル酸（ＥＡＡ）のようなヒートシールコーティングが 他のスキン層に適用し得る。他の適切なコーティングは塩化ポリビニリデン８Ｐ ＶＤＣ）、ポリビニルアルコール（ＰＶＯＨ）及び共通して所有される米国特許 第５，４１９，９６０号に開示される低温ヒートシールコーティングを含む。 スキン層として利用される適切なオレフィンポリマーはｉ）エチレンホモポリ マー、ｉｉ）エチレンとプロピレンのコポリマー、ｉｉｉ）エチレンまたはプロ ピレンとブチレンまたは５〜１０の炭素原子を有する他のアルファオレフィンと のコポリマー、ｉｖ）エチレン、プロピレン及びブチレンまたは５〜１０の炭素 原子を有する他のアルファ−オレフィンのターポリマー、並びにｖ）これらの混 合物を含む。 スキン層のために特に好ましいオレフィンポリマーは、プロピレンを主成分と し、かつエチレン含量が２〜１０重量％（コポリマーの重量に対して）のエチレ ン−プロピレンコポリマー；プロピレンを主成分とし、かつブチレン含量が０． ５〜２５重量％（コポリマーの重量に対して）のエチレン−ブチレンコポリマー ；並びにプロピレンを主成分とし、０．５〜７重量％のエチレン及び５〜３０重 量％のブテン−１（それぞれのときにターポリマーの重量に対して）のエチレン −プロピレン−ブテン−１・ターポリマー；並びにこれらの混合物を含む。コポ リマー及びターポリマーは好ましくはランダムポリマーである。 得られたフィルムのある特性をさらに改善するために、抗ブロッキング剤、静 電防止剤及び／またはスリップ剤のような添加剤の有効量が基層及び／またはス キン層内に含まれ得る。 好ましい抗ブロッキング剤はシリカ、タルク、クレー、ケイ酸ナトリウムアル ミニウム、及び慣用の無機抗ブロッキング剤を含む。他の適切な抗ブロッキング 剤は、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ケイ珪酸マグネシウウ、ケイ酸アルミニ ウム、燐酸カルシウム等の無機添加剤、及び／またはポリアミド、ポリエステル 、ポリカーボネート等の非相溶性有機ポリマーを含む。 好ましい静電防止剤は、アルカリアルカンスルホネート、及び１０〜２０の炭 素原子を有する脂肪族基を含み、かつ２−ヒドロキシアルキル−（Ｃ₁〜Ｃ₄）基 によって置換されている、本質的に直鎖の飽和脂肪族第３アミンを含む。好まし いアミンは１０〜２０、好ましくは１２〜１８の炭素原子をそれらのアルキル基 内に有するＮ，Ｎ−ビス−（２−ヒドロキシエチル）−アルキルアミンである。 静電防止剤の有効量は層の重量に対して、０．０５〜３重量％の範囲で変化する 。 好ましいスリップ剤は高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、ワックス、金 属石鹸及びポリジメチルシロキサンのようなシリコーン油を含む。潤滑剤の有効 添加量は０．１〜２重量％に変化する。 本発明の一態様において、フィルム構造体はコア層の相対する側に接着された 一対のスキン層を含む。スキン層の各々は抗ブロッキング剤（例えばシリカ）を 巻かれたフィルムのブロッキングを減じるために有効な量で含み、そして少なく とも１つのスキン層はスキン層の曝露された表面上の低い摩擦係数を維持するた めに有効な量のシリコーン油（例えばポリジメチルシロキサン）を含む。抗ブロ ッキング剤は好ましくは０．１〜０．３重量％の量で存在する。シリコーン油は ０．５〜２．０重量％、好ましくは０．８〜１．２重量％の量で存在し、３５０ 〜１００００００センチストークス、好ましくは１００００〜６００００センチ ストークスの粘度を有する。シリコーン油は両方のスキン層に添加されると、Ａ ＢＡ構造体がつくられる。もしシリコーン油がスキン層の一方のみに添加される これらの態様において（ＡＢＣ構造が生じる）、ある量の油がフィルムの巻きの 際に相対するスキン層に移行し得る。この特別のＡＢＣ構造において、巻かれる 前に、油を含まない側は火炎またはコロナ処理され得る。 本発明の多層フィルムは、樹脂を共押出するための商業的に入手できるシステ ムを使用して製造し得る。述べたように、ブレンドされたＰＰ，ＨＣＰＰ及び樹 脂改質剤は好ましくはスキン層を形成する少なくとも１つの第２の層と共に共押 出される。ポリマーは溶融状態にされ、通常の押出機からフラットシートダイを 通して共押出され、溶融流れは、ダイから押し出される前にアダプター内で結合 される。ダイオリフィスを出た後、多層フィルム構造体が急冷される。 本発明のフィルム構造体は好ましくは２軸延伸されている。一つの好ましい態 様において、フィルム構造体は縦方向（ＭＤ）に４．５〜６倍及び横方向（ＴＤ ）に６〜１３倍に伸張される。全延伸（ＭＤ×ＴＤ）は好ましくは２５〜８０の 範囲である。延伸後、フィルムのエッジがトリムでき、そしてフィルムが心上に 巻かれる。 本発明のフィルム構造体はまた、慣用のアイソタクティックポリプロピレン基 材コア層を有するフィルム構造体を超える、予期されない、増加された剛性及び モジュラス（ＭＤ及びＴＤ）を示す。増加された剛性及びモジュラスはフィルム 構造体に高められた機械的性質を与え、これは次にそれに続く取り扱い及び包装 を容易にする。さらに、ＭＤ及びＴＤのモジュラスの増加は比較的低い延伸にお いて達成され、従って製造経費及び関連する分離（splitting）の傾向を減じる 。 本発明のブレンドされた基層はまた、ライン操作性及びラインの百分率動作時 間を増し、このような改善は本発明のフィルム構造体の製造中に観察される。例 えば、共通して所有される係属中の米国特許出願番号０８／４９０，０８１号（ １９９５年６月１３日出願）及び０８／５４２，２０９号（１９９５年１０月１ ２日出願）中に開示されるフィルムに比べて、ブレンドされた基層はフィルムを 伸張するために必要な力を減じ、さらに押出フィルムのエッジのトリミングを容 易にする。これらの改善は、さらに製造経費の減少を与える。これらの改善され た性質が以下に述べられる実施例において示される改善された湿分遮断性を保持 したまま、そして寸法安定性及び透明度のような他のフィルム特性に悪影響なく 得られることに注目するべきである。最後に、ブレンドされた基層は材料経費の 減少の見地から追加の節約を与え得る。 本発明のフィルム構造体は１０〜６０ミクロン、好ましくは１５〜５０ミクロ ンの範囲の厚さを有して形成される。実施例 以下の各実施例における水蒸気透過率（ＷＶＴＲ）は３７．８℃（１００°Ｆ ）及び９０％相対湿度（ＡＳＴＭ Ｆ−３７２）において測定され、そしてｇ／ ６４５．１６ｃｍ²（１００インチ²）／日／ミルで示される。実施例１ 試料１を慣用のアイソタクティックポリプロピレン基材フィルム構造体の湿分 遮断性を示すために製造した。２３．７５ミクロンの厚さを有するアイソタクテ ィックポリプロピレン（Ｆｉｎａ３３７１）のコア層を、各々０．６ミクロンの 厚さを有するエチレン−プロピレンランダムコポリマー（Ｆｉｎａ８５７３ＨＢ ）のスキン層と共に押し出してＡＢＡ押出物を製造した。このＡＢＡ押出物を縦 方向に４．３倍及び横方向に９倍に伸張した。 実施例２ 試料２ａ〜２ｃを、種々のレベルの樹脂改質剤を含む慣用のポリプロピレン基 材フィルム構造体の湿分遮断性を示すために製造した。１８．８ミクロンの厚さ 及びメルトブレンディングによって添加した種々のレベルのテルペンポリマー（ ＰＩＣＣＯＬＹＴＥ Ｃ−１１５）を有するアイソタクティックポリプロピレン （Ｆｉｎａ３３７１）のコア層を各々０．６ミクロンの厚さを有するエチレン− プロピレンランダムコポリマー（Ｆｉｎａ８５７３）のスキン層と共に押し出し てＡＢＡ押出物を製造した。このＡＢＡ押出物を縦方向に４．３倍及び横方向に ９倍に伸張した。 実施例３ 試料３をＨＣＣ基材フィルム構造体の湿分遮断性を示すために製造した。実施 例１を高結晶度ポリプロピレン（Ａｍｏｃｏ９１１７）のコア層を使用して繰り 返した。 実施例４ 試料４ａ〜４ｊを、種々のレベルの樹脂改質剤を含むＨＣＰＰ基材フィルム構 造体の湿分遮断性を示すために製造した。８０％ＨＣＰＰ（Ａｍｏｃｏ９２１ ８）及び２０％の樹脂改質剤（ＡＲＫＯＮ Ｐ−１１５）のマスターバッチを追 加のＨＣＰＰ（Ａｍｏｃｏ９２１８）とブレンドし、その後エチレン−プロピレ ンランダムコポリマー（Ｆｉｎａ８５７３ＨＢ）のスキン層と共押出して、ＡＢ Ａ押出物を製造した。このＡＢＡ押出物を縦方向に４．３倍及び横方向に９倍に 伸張した。 実施例５ 試料５ａ〜５ｉを種々のレベルの樹脂改質剤を含むＨＣＰＰ／ＰＰ基材のフィ ルム構造体の湿分遮断性を示すために製造した。８５％ＰＰ及び１５％樹脂改質 剤（ＥＳＣＯＲＥＺ）のマスターバッチをＨＣＰＰ（Ａｍｏｃｏ９２１８）とブ レンドし、その後エチレン−プロピレンランダムコポリマー（Ｆｉｎａ８５７３ ＨＢ）のスキン層と共押出して、２７ミクロンの厚さを有するＡＢＡ押出物を製 造した。このＡＢＡ押出物を縦方向に４．３倍及び横方向に９倍に伸張した。 実施例６ 試料６ａ〜６ｇは実施例１、４及び５の同定されたフィルムについての剛性及 びモジュラスの平均値を示す。 実施例７ 試料７ａ〜７ｆを、種々のレベルの樹脂改質剤を含むＨＣＰＰ／ＰＰ基材フィ ルム構造体の寸法安定性を示すために製造した。８０％ＰＰ及び２０％樹脂改質 剤（ＥＳＣＯＲＥＺ）のマスターバッチをＨＣＰＰ（Ａｍｏｃｏ９２１８）とブ レンドし、その後エチレン−プロピレンランダムコポリマーのスキン層と共押出 して、２５ミクロンの厚さを有するＡＢＡ押出物を製造した。このＡＢＡ押出物 を縦方向に４．３倍に伸張した。 上記のデータから、本発明が、改善されたＷＶＴＲ（実施例１の従来技術フィ ルムと比べて）を示し、改善された剛性及びモジュラスを有し（試料６ａに記述 される従来技術のフィルムと比較して）、寸法安定性を維持し（実施例７に示す ように）、そして製造の容易さ、例えば増加されたライン操作性及びライン百分 率動作時間を与える（本発明のフィルム構造体の製造中に観察される）フィルム 構造体を提供することは容易に明らかである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．改善された湿分遮断特性及び高められた機械的性質を有するポリマーフィ ルムであって、 ９３％よりも大きいアイソタクティック立体規則性を有する第１のポリプロピ レンポリマー、９０〜９３％のアイソタクティック立体規則性を有する第２のポ リプロピレンポリマー、及び基層の９重量％以下の添加レベルの樹脂改質剤のブ レンドを含む基層 を含む前記のフィルム。 ２．９％より大きい樹脂改質剤の装填レベルにおいて、前記基層に実質的にゼ ロの勾配を有する湿分遮断性−対−樹脂改質剤装填レベル曲線を与えるために有 効な量の該第１のポリプロピレンポリマーを、前記基層が含む、請求項１記載の フィルム。 ３．基層が６０〜９４重量％の第１のポリプロピレン、３〜３７重量％の第２ のポリプロピレン及び３〜９重量％の樹脂改質剤を含む、請求項１または２に記 載のフィルム。 ４．第１のポリプロピレンが９４〜９８％の立体規則性を有する、請求項１、 ２または３に記載のフィルム。 ５．樹脂改質剤が水素化炭化水素である、請求項１、２、３または４に記載の フィルム。 ６．混合物がさらに、抗ブロッキング剤、静電防止剤及びスリップ剤から選択 される添加剤を含む、請求項５に記載のフィルム。 ７．基層の少なくとも１つの側に接着された少なくとも１つのスキン層をさら に含み、該スキン層がエチレン−プロピレン・ランダムコポリマー及びエチレン −プロピレン−ブテン−１・ターポリマーより成る群から選択される、請求項１ 、２、３また４に記載のフィルム。 ８．スキン層がさらに、抗ブロッキング剤、静電防止剤、スリップ剤及びシリ コーン油より成る群から選択される添加剤を含む、請求項７に記載のフィルム。 ９．スキン層が１０００〜３０００重量ｐｐｍの抗ブロッキング剤及び０．５ 〜２．０重量％のシリコーン油を含み、該シリコーン油が１００００センチスト ークス〜６００００センチストークスの粘度を示す、請求項８に記載のフィルム 。 １０．スキン層の外表面上に、アクリル系、エチレンメチルアクリレート、エ チレンアクリル酸、塩化ポリビニリデン及びポリビニルアルコールより成る群か ら選択されるコーティング層をさらに含む、請求項７に記載のフィルム。