JPH0631584B2 - 燃料噴射ポンプ用フイルタ - Google Patents

燃料噴射ポンプ用フイルタ

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JPH0631584B2
JPH0631584B2 JP62068585A JP6858587A JPH0631584B2 JP H0631584 B2 JPH0631584 B2 JP H0631584B2 JP 62068585 A JP62068585 A JP 62068585A JP 6858587 A JP6858587 A JP 6858587A JP H0631584 B2 JPH0631584 B2 JP H0631584B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明は燃料噴射ポンプ用フィルタに関し、詳しくは燃
料噴射ポンプの高圧の加圧室からの燃料の流路に用いら
れるフィルタの構造に関する。
[従来の技術] 従来、ディーゼル機関の燃料噴射ノズルに燃料を圧送す
る燃料噴射ポンプの加圧室に連通する通路内に、弁体や
ピストン等の可動部材を設けたものが知られている。例
えば、加圧された燃料の溢流時期を制御する電磁スピル
弁を設けたもの(特開昭58−187537号公報)
や、パイロット噴射用のバルブを設けたもの等がある。
電磁スピル弁は、加圧室で加圧された燃料の高い圧力に
抗して、所定のタイミングまでは全閉状態を保ち、開弁
すべきタイミングとなった時には速やかに開状態となる
ことが要求される。また、パイロット噴射用のバルブ
は、所定のタイミングで可動して加圧室の容積を変化さ
せて燃料圧力を制御することが要求される。
[発明が解決しようとする問題点] しかしながら、こうした燃料噴射ポンプでは、その製造
・組立等の過程において塵埃・金属微粒子等を完全に除
去することができないため、燃料と共に運ばれるこれら
微粒子によって燃料噴射ポンプの動作不良等を招致する
といった問題があった。例えば微粒子が電磁スピル弁の
シール部や可動部に侵入・付着すると、加圧燃料のリー
クや溢流の遅れ等を生じ、燃料噴射量や時期に不具合を
生じる。
そこで本願出願人は、こうした問題を解決するために、
既に特願昭61−73951号において、加圧室からの
燃料流路に用いるのに好適なフィルタについて提案して
いる。このフィルタは、微粒子を捕捉して電磁スピル弁
の良好な動作を確保する優れた構造のものであるが、燃
料噴射ポンプが高回転で運転されているとき、フィルタ
に遮られた微粒子は、高速でフィルタに衝突を繰り返す
ことになり、これがフィルタの耐久性向上における隘路
となっていた。特に、こうしたフィルタでは、流体に対
する強度上の要請から、上流側に目の細かい(素線の細
い)ものを配し、下流側に粗い(素線の太い)ものを配
するが一般的であり、微粒子等の衝突に対しては不利な
構成とせざる得ない。
本発明の燃料噴射ポンプ用フィルタの目的はフィルタに
遮られた微粒子に起因する上記問題を解決し、その耐久
性を一層向上させることにある。
発明の構成 かかる目的を達成する本発明の構成について以下に説明
する。
[問題点を解決するための手段] 噴射ノズルに燃料を圧送する高圧ポンプの加圧室と該加
圧室に連通する通路内を可動する可動部材との間に配さ
れ、加圧室側から導かれる燃料の異物を除去する目の細
かい網部材を有する本発明の燃料噴射ポンプ用フィルタ
は、 前記網部材の上流側近傍に、該網部材の素線径より大き
な幅の燃料流衝突部分を有する防護部材を設けたことを
特徴とする。
ここで、防護部材としては、フィルタを通過する燃料流
路の中心部を覆う板材として形成してもよいし、微粒子
を捕捉するために配設された目の細かい網部材より太い
素線径の金網により形成してもよい。金網によって防護
部材を形成する場合には、少なくとも素線径0.1ミリ
以上、目開き0.2ミリ以下の金網とすることが好適で
ある。
[作用] 上記構成を有する本発明の燃料噴射ポンプ用フィルタ
は、噴射ノズルに燃料を圧送する高圧ポンプの加圧室と
該加圧室に連通する通路内を可動する電磁スピル弁、パ
イロット噴射装置等の可動部材との間に用いられ、上流
側に配設された目の細かい網部材によって微粒子等の異
物を除去する。しかもこの網部材の上流側近傍に設けら
れた防護部材は、該網部材の素線径より大きな幅の燃料
流衝突部分を有するので、加圧室からは高速に可動部材
に導かれる噴流は、燃料流衝突部材に衝突して拡散し、
目の細かい網部材に至るときには、その速度は低下す
る。従って、燃料と共に運ばれる微粒子が、目の細かい
網部材に高速で衝突する確率は充分に低いものとなる。
[実施例] 以上説明した本発明の構成を一層明らかにする為に、次
に本発明燃料噴射ポンプ用フィルタの好適な実施例につ
いて説明する。第1図,第2図および第3図は、このフ
ィルタの構成を示す断面図、上流側から見た平面図およ
び背面図である。
第1図ないし第3図に示すように、このフィルタ1は、
ステンレスなど金属製のケーシング1a内に、金属製の
多孔板1b、金網積層体2、防護部材を兼用する金属製
の押え板1dを備えている。金網積層体2は3層の金網
からなり、400kg/cm2程度の高圧燃料の通過に耐
えることができるように、燃料の流れに向って濾過用の
最も細かい目の金網2a(本発明の網部材に相当)、こ
れを補強する少し粗い目の金網2b、さらに補強するた
めの最も粗い目の金網2cの順序で構成されている。押
え板1dはケーシング1aに圧入され、多孔板1b,金
網積層体2をケーシング1a内に固定する。
この押え板1dの中心部には略円形のプロテクト部1e
(直径D)が形成されており、その周囲には、支持部1
f,1gを除いて、開口部が設けられている。従って、
燃料は、この開口部から金網積層体2,ケーシング1a
の開口部を介して貫流する。尚、押え板1dは、中炭素
鋼等の材料で形成されている。また、プロテクト部1e
が本発明の燃料流衝突部分に相当し、フィルタ1を通過
する燃料流路の中心部を覆う板材により形成されてい
る。第1図及び第2図から明らかなように、プロテクト
部1eの幅は、金網2aの素線径よりも大きく設計され
ている。
以上説明したフィルタ1は、燃料噴射ポンプによって加
圧された燃料の溢流を制御する電磁スピル弁への流路に
設けられている。第4図は、このフィルタを組み込んだ
燃料噴射ポンプの電磁スピル弁の構造を示す断面図であ
る。図示するように、高圧ポンプのハウジング3に形成
された流入ポート5と、ハウジング3に形成された流出
ポート7との間に、電磁スピル弁9が取り付けられてい
る。尚、流入ポート5は図示しない加圧室に連通されて
いる。
電磁スピル弁9において、11は図示しない電子制御回
路の制御信号にしたがって通電するコイル、13はコイ
ル11の通電時に図面下方への磁気吸引力を受けるムー
ビングコア、15はムービングコア13に常時図面下方
向の押圧力を加えるスプリング、17は上記ムービング
コア13に固定かつ延長して設けられた棒状体、19は
棒状体17と当接することなく、棒状体17の移動を許
す貫通孔、21は該貫通孔19が形成された壁体、23
は該壁体21の貫通孔19を上記ムービングコア13と
は反対の側すなわち図面下方側から開閉する蓋体、25
は該蓋体23に常時図面上方向すなわち貫通孔19を閉
じる方向の押圧力を加えるスプリングを表わす。
27は円柱状の自由移動体、29は該自由移動体27が
摺動自在に嵌挿される第1の円筒状固定部材、31は円
筒状固定部材29の前端33に形成された絞り孔、35
は上記円筒部材29の外周面37と対向する内周面39
をもつ円筒状弁体、41は該円筒状弁体35の前端43
に形成されたオリフィス、45は上記円筒状体35に常
時図面方向の押圧力を加えるスプリング、47は上記円
筒弁体35が摺動自在に嵌装されかつ該円筒状弁体35
の弁座としての機能をもつ第2の円筒状固定部材、49
は該円筒状固定部材47に形成された通路、51は上記
円筒状固定部材47に形成された他の通路を表わす。
尚、円筒状弁体35が本発明の可動部材に相当する。
53は上記自由移動体27の前端面55の上記第1の円
筒状固定部材29の絞り孔31を含む内周面57とで形
成される本発明にいう液室を表わす。液室53は後述す
るように自由移動体27の図面上方向へ移動によりその
容積が増大し、絞り孔31を介して燃料が室内に流入す
る。
59は上記自由移動体27の後端面61と上記第1の円
筒状固定部材29の内周面57と上記壁体21の貫通孔
19を含む端面61とにより形成される他の液室であ
り、該液室59は蓋体23が壁体21に密着していると
き密閉状態となり、離間しているとき低圧燃料側と連通
状態となる。
またフィルタ1は、第4図に示すように、押え板1d側
を流入ポート5側に対向させ、ケーシング1aが、ハウ
ジング3に形成された段付部63に、電磁スピル弁9の
第2の円筒状固定部材47の前端により押しつけられて
固定されている。
次に動作例を中心として概略的に説明する。
高圧ポンプが加圧動作を開始する時点にはコイル11を
非通電状態のままとし、蓋体23を壁体21と密着した
状態に保ち、液室59を密閉状態に保つ。加圧動作の進
行につれて加圧室の燃料圧が上昇してゆき、それに伴い
流入ポート5、フィルタ1、第2の円筒状固定部材47
の通路49、円筒状弁体35のオリフィス41を介して
自由移動体27の前端面55に加わる燃料圧が増大して
ゆくが、自由移動体27の背圧室としての液室59を前
記のように密閉状態に保つことなどにより円筒状弁体3
5が弁座から離間しないようにする。
この加圧動作中にコイル11に対して電流を流し、棒状
体17により蓋体23を壁体21から離間される。これ
により液室59が低圧燃料側と連通し、自由移動体27
に加わる背圧が急激に低下し、自由移動体27が図面上
方に急速に移動する。この自由移動体27の急速な移動
は液室53に大きな負圧を発生させ、絞り孔31を介し
て正圧側の燃料を大きな流速で吸い込む。この液室53
への燃料の吸込みに伴う燃料の流れにより円筒状弁体3
5の内周面39に加わる背圧を大きな負圧にし、円筒状
弁体3を図面上方に移動させるようにする。この円筒状
弁体35の移動すなわち弁座からの離間により加圧室の
高圧燃料が流入ポート5,フィルタ1,オリフィス4
1,通路49および51を介して流出ポート7に流れ、
図示しない燃料噴射ノズルによる燃料噴射を終了させ
る。このときフィルタ1に加わる燃料圧力は400kg
/cm2程度の高圧にまで達しているが、これに対しフィ
ルタ1は3層の金網積層体2と、さらにこれを補強する
多孔板1bとからできているので、この燃料圧力によっ
て変形することなく良好に燃料を濾過する。
しかも本実施例のフィルタ1は、濾過用の金網積層体2
の上流側の押え板1dにプロテクト部1eを設けてお
り、加圧室からの噴流は、このプロテクト部1eに衝突
する。従って、燃料内に微粒子等の異物が混入していた
としても、異物が直接金網積層体2に衝突することはな
く、金網積層体2、特にその素線径の最も細い金網2a
に損傷を生じることはない。燃料はプロテクト部1eに
衝突した後、押え板1dの開口部を貫流するが、開口部
面積は、流入ポート5の断面積より大きいので、その流
速はかなり低下する。従って、異物がプロテクト部1d
に衝突した後、金網積層体2に至ったとしても、もはや
金網を傷つけることはなく、フイルタ1により確実に捕
捉される。この結果、燃料中の異物が取り除かれて電磁
スピル弁9の動作不良の原因となるといった問題は解消
され、更にフィルタ1の耐久性は格段に向上する。ま
た、高圧燃料の噴流を緩和するために流入ポート5の径
を太くしたり、流路を屈折したりしていないので、燃料
噴射ポンプ加圧性能を低下させるといった問題を招致す
ることもない。尚、本実施例では、フィルタ1はシール
用のガスケットとしても用いられている。
次に本発明の第二実施例について説明する。第5図は第
二実施例の燃料噴射ポンプ用フィルタ100の断面図、
第6図はフィルタ100を燃料流路上流側からみた平面
図、第7図は同じくその背面図である。図示するよう
に、このフィルタ100は、第一実施例とほぼ同様の構
成を有し、押え板101(押え板1dに相当)金網積層
体102(金網積層体2に相当)との間に、プロテクト
金網105(本発明の燃料流衝突部分に相当)を備えた
ものである。
このプロテクト金網105は、その素線径が0.12
[ミリ],目開き0.12[ミリ]であって、第8図に
断面を拡大して模式的に示すように、金網積層体102
の最も細かい金網102aと較べて十分に太い。また、
流入ポート5の端部から金網積層体102までの距離d
1が約0.5〜1.0[ミリ]であるのに対して、プロ
テクト金網105からの距離d2は約0.2〜0.3
[ミリ]とされている。
以上の構造を有するフィルタ100は、流入ポート5か
ら高速に噴き出す燃料の噴流に対し、プロテクト金網1
05が燃料の流速を緩和するよう働く。即ち、プロテク
ト金網105の太い素線が燃料の流れの抵抗となり、燃
料の流れが金網積層体102に至った時には、その速度
は十分に低下する。また、微粒子等の異物が噴流中に含
まれている場合に、こうした微粒子がプロテクト金網1
05の素線に衝突してもステンレス製の太いプロテクト
金網105は十分にもちこたえることができ、一方微粒
子が素線間を通り抜けた場合でも、燃料の流速が急速に
低下していることから、金網積層体102に損傷を与え
ることはない。
従って、第二実施例のフィルタ100には、第一実施例
とほぼ同様の効果を奏する上、押え板101の加工形状
を簡略化することができるという利点が得られる。
尚、プロテクト金網105の素線径,目開きは、0.1
2[ミリ]に限定されるものではなく、金網積層体10
0およびプロテクト金網105自体に損傷を生じること
がないものを、燃料噴射ポンプの燃料圧力等を勘案して
選択すればよい。例えば本実施例では、第9図に示すよ
うに、素線径0.1ないし0.15[ミリ]目開き0.
2[ミリ]以下の範囲で良好な結果が得られた。第9図
中、符号「○」はフィルタ100としての耐久性が格段
に改善された事例を、符号「×」はフィルタ100の耐
久性の改善がみられなかった事例を、符号「△」は若干
の改善がみられた事例を、各々示している。更にプロテ
クト金網105の形状も図示のものに限られるべきでは
なく、燃料噴射ポンプの燃料圧力等を勘案して種々選択
でき、例えば金網の素線径、目開きに相当する目開きを
持った多孔板としても良い。
以上本発明のいくつかの実施例について電磁スピル弁に
用いた例を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施例
に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を変更し
ない種々なる態様で実施することができる。また例えば
第10図(A),(B)に示すように、本発明のフィル
タFTを、ピストン式もしくは圧電アクチュエータ式の
パイロット噴射装置201,202との間に配設するな
ど、様々な形態で用いることができる。
発明の効果 以上詳述したように、本発明の燃料噴射用フィルタは、
高圧燃料中の微粒子等の異物を確実に捕捉することがで
き、燃料噴射ポンプに用いられる可動部材の異物による
動作不良の問題を十分に解消することができる。しか
も、高速に流入する燃料中の異物によって目の細かい網
部材が損傷するという問題を、流路断面積の増加等を招
くことなく解決し、フィルタの耐久性を飛躍的に向上さ
せることができるという極めて優れた効果を奏する。こ
の結果、フィルタのメンテナンスが長期に亘って不要と
なり、異物除去の機能を十二分に発揮させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明第一実施例としてのフィルタの構造を示
す断面図、第2図,第3図は同じくその平面図,背面
図、第4図は燃料噴射ポンプの電磁スピル弁に実施例の
フィルタを装着した状態を示す断面図、第5図,第6
図,第7図は各々第二実施例のフィルタの構造を示す断
面図,平面図,背面図、第8図はプロテクト金網と金網
積層体との関係を示す説明図、第9図は第二実施例にお
けるプロテクト金網の素線径と目開きとの選択の範囲を
示すグラフ、第10図(A),(B)は各々本発明のフ
ィルタの他の使用例を示す説明図、である。 1……フィルタ、1d……押え板 1e……プロテクト部、2……金網積層体 9……電磁スピル弁、100……フィルタ 102……金網積層体 105……プロテクト金網

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】噴射ノズルに燃料を圧送する高圧ポンプの
    加圧室と該加圧室に連通する通路内を可動する可動部材
    との間に配され、加圧室側から導かれる燃料の異物を除
    去する目の細かい網部材を有する燃料噴射ポンプ用フィ
    ルタであって、 前記網部材の上流側近傍に、該網部材の素線径より大き
    な幅の燃料流衝突部分を有する防護部材を設けたことを
    特徴とする燃料噴射ポンプ用フィルタ。
  2. 【請求項2】前記防護部材は、フィルタを通過する燃料
    流路の中心部を覆う燃料流衝突部分を有する板材である
    特許請求の範囲第1項記載の燃料噴射ポンプ用フィル
    タ。
  3. 【請求項3】前記防護部材は、前記配設された網部材よ
    り太い素線径の燃料流衝突部分を有する金網である特許
    請求の範囲第1項記載の燃料噴射ポンプ用フィルタ。
  4. 【請求項4】燃料流衝突部分としての金網は、少なくと
    も素線径0.1ミリ以上、目開き0.2ミリ以下である
    特許請求の範囲第3項記載の燃料噴射ポンプ用フィル
    タ。
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