JPH0631438B2 - 皮革粉の処理方法、処理皮革粉及び該皮革粉を含有する樹脂組成物 - Google Patents

皮革粉の処理方法、処理皮革粉及び該皮革粉を含有する樹脂組成物

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JPH0631438B2
JPH0631438B2 JP1956488A JP1956488A JPH0631438B2 JP H0631438 B2 JPH0631438 B2 JP H0631438B2 JP 1956488 A JP1956488 A JP 1956488A JP 1956488 A JP1956488 A JP 1956488A JP H0631438 B2 JPH0631438 B2 JP H0631438B2
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leather
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は合成樹脂等に配合したり、合成樹脂に付着させ
て使用される皮革粉の処理方法及びこれにより得られた
処理皮革粉及びこの皮革粉を含有する成形品用、塗料用
等に用いられる樹脂組成物に関する。
〔従来の技術〕
合成樹脂からなるシート、フイルム、レザー、型物成形
品などは、帯電による汚染を生じたり、吸放湿性に劣
り、またプラスチック的感触がなじめないなど、天然物
に劣る欠点を有している。
これを改良するために、特開昭53−121902号公
報に樹脂に皮革粉を配合した樹脂組成物から成形された
樹脂成形品が記載されているが、通常の皮革粉は原料の
革製品がクロムなめし処理等の種々の処理を受けている
ため、皮革粉としての性状が安定していない。このた
め、樹脂配合物の耐熱性、特に加熱時に発泡するという
問題がある。
クロムなめし皮革の製造においては、クロムなめし工程
の後に炭酸ナトリウムなどによる中和工程が設けられて
いる場合があるが、皮革粉製造用原料は、くず皮の混合
物であり、中和処理されたものばかりとは限らず、また
たとえすべて中和処理された場合であっても皮革粉とし
て処理されていないので、皮革粉は中和処理の程度、処
理時間が異なることになり、均一性に劣り、性状が安定
せず、前記問題を生ずる。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、樹脂に配合した場合に、樹脂との混練時、得
られた樹脂組成物の成形時はもとより、この樹脂組成物
から得られた製品を150℃以上といった高温に加熱し
たときに発泡を生じない皮革粉及びその製造方法を提供
することを目的とする。
さらに、本発明はこの皮革粉を含有してなる樹脂組成物
で、耐熱性に優れた製品を得ることができる樹脂組成物
を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた
結果、皮革粉に特定の処理を施すことにより、その目的
に適合した皮革粉が得られ、また樹脂にこの皮革粉を配
合することにより耐熱性に優れた製品が得られることを
見出し本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1記載の発明の皮革粉の処理方法は、
なめし処理された皮革粉の粉砕皮革粉を酸化又は中和処
理することを特徴とする。
本発明の皮革粉は、例えば次に示すような方法で製造す
ることができる。
なめし処理された原料皮革を通常5〜30mm以下に細片
化しこれを温度100〜120℃、水分含量40〜60
重量%程度の条件で10〜60分で蒸気加熱して膨潤さ
せ、次いで蒸気加熱した細片を水分が3重量%以下にな
るまで乾燥し、次いで乾燥した細片を好ましくはファイ
ンビクトリーミル等を用いて粉砕し、篩を用いて分粒す
る。
原料皮革としては、クロムなめしなどのなめし処理をさ
れた、牛皮、豚皮、羊皮等が好ましく用いられる。ま
た、床皮、シェービング屑等も用いることができる。
分粒して得られた皮革粉は、40メッシュ篩を通過する
ものが好ましく、粒径が大きいと、これから得られる樹
脂組成物の成形性、成形品の外観が低下する。より好ま
しくは60メッシュ篩を通過したものが用いられる(A
STM標準篩)。
また、皮革粉の見掛比重が0.3g/cm3未満であると成形
性、成形品の外観に劣り、また、樹脂に対する充填量を
多くすることができなくなるとともに、混合が非常に困
難になる。より好ましくは0.35〜0.6g/cm3とする。
尚、ここで用いられる見掛比重は、空気混入かさ比重
(Aerated Bulk Density)である。篩を振動させて皮革
粉を該篩に通して100ccの容器に投入した後、容器の
上部をすり切って秤量するもので、数値は皮革粉の重量
÷100で表示している。
本発明の皮革粉の処理方法は、このようにして得られた
皮革粉に酸化処理又は中和処理を行うことを特徴とす
る。これらの処理には、皮革粉を酸化剤又は中和剤と直
接接触させる乾式処理と、皮革粉を酸化剤又は中和剤の
溶液に接触処理させた後、溶剤を分離乾燥させる湿式処
理があるが、いずれの方法で行ってもよい。
酸化処理としては、過酸化水素等の過酸化物を用いた処
理、空気、酸素、オゾン等の酸素化合物を用いた処理が
挙げられ、中和処理としては重炭酸ナトリウム等の重炭
酸塩を用いた処理、ギ酸ナトリウム等のギ酸塩を用いた
処理が挙げられる。
過酸化水素は濃度0.01〜5%の水溶液として、炭酸ナト
リウム、ギ酸ナトリウムは濃度0.1〜10%の水溶液と
して、皮革粉に含浸させ、その後乾燥させることにより
処理する方法が好ましく用いられる。
酸化処理、中和処理により発泡を生じない理由について
は明らかではないが、中和処理を行うとクロムなめし時
の硫酸に起因する硫酸根が除去されている。中和処理の
際、強塩基を用いるとコラーゲンのゼラチン化が起こり
好ましくない。
次に、原料皮革には一般に原料皮の地油や皮革を加工す
る際に加脂工程で加えられた油脂が含まれているため、
酸化処理又は中和処理の前後の何れか、又は両方におい
て皮革粉の脱脂処理を行うことが好ましい。この処理は
通常は溶剤を用いた抽出により行なわれるが、高温加熱
を伴わない方法が皮革粉の変質(ゼチラン化)防止のた
めには好ましい。溶剤としては、クロロホルム、ベンゼ
ン、アセトン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、ジク
ロルメタン、トリクロルトルフルオルエタン、ジブロム
テトラフルオルエタン、ヘキサン、石油エーテル、石油
留分(DLN)等が用いられる。
脱脂処理は動物性油脂の含有量が1重量%以下、好まし
くは、0.8重量%以下とする。
上記のようにして得られた請求項3記載の皮革粉は皮革
粉としての性能に優れ、安定した品質を有している。
請求項4記載の樹脂組成物は樹脂に前記請求項1記載の
皮革粉を配合したものである。
本発明で用いられる樹脂としては、天然樹脂、合成樹脂
等各種のものが用いられる。合成樹脂としては、熱可塑
性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも用いることができ
る。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(低密度ポリ
エチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リル酸系共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1等
のポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニル(可塑剤を含有したものを含む)、ポリカ
ーボネート;エチレン−プロピレンゴム、ウレタンゴ
ム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム等の各種ゴムが
挙げられる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹
脂、各種の熱硬化性のゴム等が挙げられる。
樹脂には必要に応じて、可塑剤、安定剤、硬化剤、触
媒、充填剤、着色剤、反応性モノマー、溶剤、分散剤、
その他の各種添加剤を含有させて樹脂コンパウンドとし
て使用することもできる。また、固体であっても、液状
であってもよい。
樹脂に皮革粉を配合して樹脂組成物とする際の組成比
は、樹脂組成物を成形して得られる成形品の用途、形
状、要求特性により決定されるが、通常、組成物中に樹
脂又は樹脂コンパウンドが30〜98重量%、好ましく
は40〜95重量%、皮革粉が2〜70重量%、好まし
くは5〜60重量%含まれるように配合することが好ま
しい。皮革粉の配合量が2重量%未満であると皮革粉を
入れた効果が得られず、70重量%を超えると樹脂に金
属不活性化剤の種類、量を均一に分散できなくなる。
また、樹脂と皮革粉の接着性を改良するためにカップリ
ング剤を配合することもできる。その配合量は組成物中
の皮革粉に対して通常、0.1〜5重量%、好ましくは0.5
〜2重量%配合する。
カップリング剤としては繊維強化プラスチックに通常用
いられているものが使用可能であり、ビニルシラン、ア
ルコキシシラン、アミノシラン、クロロシラン、エポキ
シシラン等のシラン系カップリング剤、ボラン系カップ
リング剤、チタネート系カップリング剤などが挙げられ
る。好ましくは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエ
チル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等
のアミノ系シランカップリング剤が用いられる。また、
イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、イ
ソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェートチタ
ネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイ
ト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェー
ト)オキシアセテートチタネートなどのチタネート系カ
ップリング剤が好ましく用いられる。
上記の樹脂、皮革粉、カップリング剤は通常の混練機で
容易に混練することができ、得られた樹脂組成物はカレ
ンダー成形、押出成形、射出成形など通常の樹脂成形法
により容易に成形することができる。そして、得られた
成形品は耐熱性に優れ、180℃に加熱してもシートの
発泡はなかった。
本発明の樹脂組成物から得られた成形品は吸放湿特性、
帯電防止性、摩耗性が優れており、そのすぐれた感触と
ともに天然の皮革に似た柔軟なフイルム、シート、さら
には椅子の肘かけ、壁材、家具、コンソールボックス、
ハンドルグリップなどとして広く用いられる。さらに本
発明の樹脂組成物は金属製品や樹脂成形品の表面に皮革
のような外観を与える塗料、被覆材としても使用するこ
とができるなど、各種方面の用途が期待される。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。
実施例1 クロムなめしされた皮革片(10mm以下)を水蒸気処理
後乾燥し、ミルにより破砕し、40メッシュ篩通過、見
掛比重0.39g/cm3の皮革粉を得た。この皮革粉1kgに対
し、過酸化水素水(0.1%)10を加え処理した。
次いで水で洗浄し、脱水、乾燥を行い、皮革粉を得た。
この皮革粉20重量部と直鎖状低密度ポリエチレン(エ
チレン−ブテン−1共重合体)MI=25g/10分、
密度0.915g/cm3〔出光ポリエチレン−L〕80重量部を
180℃の混練機で混練し、0.8mm厚みのシートを15
0℃で圧縮成形により得た。このシートを100℃で3
時間予備乾燥した後、180℃で加熱したが、60分後
も全く発泡は認められなかった。
実施例2、3 実施例1において処理液として過酸化水素水に代えて、
重炭酸ナトリウム1重量%溶液、及びギ酸ナトリウム2
重量%溶液を用いた以外は同様にしてテストした。得ら
れたシートは同様に発泡は全く認められなかった。
実施例4 実施例1において過酸化処理前の皮革粉をアセトンを用
いて抽出処理を行い油脂含有量を0.1重量%とし、これ
に過酸化処理を行い、他は同様とした。得られたシート
は同様に発泡は全く認められなかった。
実施例5 実施例1において、直鎖状低密度ポリエチレンに代えて
ポリ塩化ビニル樹脂コンパウンドを用い、混練温度16
0℃とした他は同様とした。得られたシートは同様に発
泡は全く認められなかった。
比較例1 実施例1において、過酸化処理をしない皮革粉を用いた
以外は実施例1と同様に行った。得られたシートは20
分後にすでに発泡がみられ、60分後には激しく発泡
し、使用に耐えないものであった。
なお、実施例、比較例において120℃3時間の乾燥に
おいて、シートの含水量は1.8重量%で変化はなかっ
た。
〔発明の効果〕
請求項1記載の処理方法により性能、品質の安定した皮
革粉が得られた。
請求項2記載の処理方法により、樹脂に配合して成形
性、成形品の外観に優れた樹脂組成物を与える皮革粉が
得られた。
請求項3記載の皮革粉は性能品質が安定している上、こ
れを配合した請求項4記載の樹脂組成物は、耐熱性に優
れ180℃以上に加熱した場合にも発泡しないシート製
品を得ることができた。したがって、射出成形、押出成
形など広範囲の成形が可能になった。また、これらの製
品は吸放湿特性においても優れ、擬皮革製品をはじめ多
くの成形品分野において各種用途に用いることができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】なめし処理された皮革の粉砕皮革粉を酸化
    又は中和処理することを特徴とする皮革粉の処理方法。
  2. 【請求項2】粉砕皮革粉が40メッシュ篩を通過する粒
    径を有し見掛比重が0.3g/cm3以上である請求項1記載の
    皮革粉の処理方法。
  3. 【請求項3】なめし処理された皮革の粉砕皮革粉を酸化
    又は中和処理してなる処理皮革粉。
  4. 【請求項4】樹脂になめし処理された皮革の粉砕皮革粉
    を酸化又は中和処理してなる処理皮革粉を配合してなる
    樹脂組成物。
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