JPH0631213B2 - イソクロマン類の製造方法 - Google Patents

イソクロマン類の製造方法

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JPH0631213B2
JPH0631213B2 JP20862586A JP20862586A JPH0631213B2 JP H0631213 B2 JPH0631213 B2 JP H0631213B2 JP 20862586 A JP20862586 A JP 20862586A JP 20862586 A JP20862586 A JP 20862586A JP H0631213 B2 JPH0631213 B2 JP H0631213B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は合成ジャコウ系香料、医薬品等の中間体として
有用なイソクロマン類の効率良い製造方法に関する。
「従来技術」 イソクロマン類の製造方法として、従来から塩化水素の
存在下アリールアルカノールとホルムアルデヒドを反応
させる方法が一般的であり(米国特許第3360530号参
照)、又上記の改良法としてアリールアルカノールをホ
ルムアルデヒド及びカルボン酸無水物又は該酸のメチレ
ンジエステルと反応させる方法(特開昭59-157082号参
照)等が提案されている。
「発明が解決しようとする問題点」 しかしながら、前述の米国特許に示される方法にあって
は、実質的に2段階の反応であるため、操作が煩雑で反
応完結まで長時間を要したり、腐食性の強い塩化水素ガ
スを大量に使用しなければならないといった問題があ
り、更に反応の中間物としてその発癌性が問題となって
いるクロロメチルエーテルが生成するといった如き深刻
な問題が生じてきている。
一方、前記特開昭59-157082号公報に示される方法にあ
っては、クロロメチルエーテルの生成はみられないもの
の、用いるアリールアルカノールに対するイソクロマン
類の収率が高々85%程度以下であるばかりでなく、反
応によって大量の酢酸、酪酸の如き低級脂肪酸の副生が
避けられない。周知の様に上記の如き低級脂肪酸は腐食
性を持ち、更に刺激臭及び腐敗臭が強く、従って該イソ
クロマン類を香料等に用いる様な場合にはこれらの脂肪
酸がたとえ微量といえども混入することは致命的な欠点
となり、該方法は工業的なイソクロマン類の製法として
は必ずしも有利な製法とは言い難い。
これらの先行技術に鑑み、本発明者らは、上記の如き欠
点を除き、工業的に有利にイソクロマン類を単純な方法
で短時間のうちに実質的に定量的に製造する方法を見出
し本発明に到達した。
「問題を解決するための手段」 即ち、本発明は下記一般式[I]にて示されるアリール
アルカノール類と下記一般式[II]にて示されるアルデヒ
ド類あるいはその縮合体を、 CHO……[II] [ここに、Rは水素原子又はメチル基を示す。] 酸触媒の存在下、100℃〜200℃の温度で反応させ下記一
般式[III]にて示されるイソクロマン類を製造するに際
し、 該反応系に下記一般式[IV]にて示されるジハロアルキル
炭酸エステル を共存させ、反応を進めることを特徴とするイソクロマ
ン類の製造方法である。
本発明方法で使用する前記一般式[I]にて示される化
合物としては、例えば、β−フェニルエチルアルコー
ル、2-フェニル-1-プロパノール、1-(2-ヒドロキシエチ
ル)-3,5-ジエチルベンゼン、1-(2-ヒドロキシエチル)
-2-メトキシ-4-メチルベンゼン、2-(1′,1′,2′,3′,
3′−ペンタメチルインダン-5′−イル)-1-プロプノー
ル、2-(1′,1′,2′,3′,3′−ペンタメチルインダン-
5′−イル)エタノール、2-(1′,1′,2′,3′,3′−ペ
ンタメチルインダン-5′−イル)-1-ペンタノール、2-
(1′,1′,4′,4′−テトラメチルテトラリン-6′−イ
ル)-1-プロパノール、2-(1′,1′,4′,4′−テトラメ
チルテトラリン-6′−イル)エタノール等を例示出来る
が、これらは一種又は二種以上の混合物として使用され
る。
本発明方法で使用する前記一般式[II]にて示されるアル
デヒドとしては具体的にはホルムアルデヒドあるいはア
セトアルデヒドであり、これらの縮合体としてはパラホ
ルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン等を例
示できる。
本発明方法を実施するに当っては、前述した如く、上記
二種の原料の他に一般式[IV]にて示されるジハロアルキ
ル炭酸エステルを反応系に加える訳であるが、この化合
物は反応に関与しない成分として単に加えられるのでは
なく自らも反応に関与し、イソクロマンの生成反応の進
行に伴い炭酸ガスの発生と共にハロアルキルアルコール
となる。この随伴反応の結果、イソクロマン生成反応の
進行が円滑に進み、しかも先行技術に見られる様な、ジ
クロロメチルエーテルの如き好ましくない副生物の発生
を避けることが出来、且つイソクロマン類の収率を向上
させることが出来る。その理由については未だ明確では
ないが、この事実こそが本発明の大きな特徴である。
この一般式[IV]に示されるジハロアルキル炭酸エステル
は、例えば特公昭60-22697号公報に示される様にH(OC
HR4-CHR5)mXなる化合物とエチレンカーボネート等か
ら容易に製造することが出来る。
該炭酸エステルの両末端は、前述の如く、ハロゲン置換
されてなければならず、置換されていなければ、理由は
定かではないが本発明に示される特徴的な効果はあらわ
れない。又、該一般式[IV]中に示されるm及びnが3を
超えると前述の如き効果がはっきりと現れず好ましくな
い。
これらの化合物として、ビスー(2-ハロエチル)カーボ
ネート、ビス(2-ハロエトキシエチル)カーボネート、
ビス(2-ハロエトキシエトキシエチル)カーボネート、
ビス(2-ハロプロピル)カーボネート、ビス(2-ハロプ
ロポキシプロピル)カーボネート或はビス(2-ハロプロ
ポキシプロポキシプロピル)カーボネート等を例示で
き、ハロゲンとしては塩素、臭素又は沃素を例示でき
る。これらは必要に応じ一種又は二種以上の化合物或は
混合物として使用出来る。本発明方法にあっては、これ
らのうちでも特に2-ハロエチル基を持ったビス(2-ハロ
エチル)カーボネートが好ましく用いられる。
前述の酸触媒としては特に限定はなく、公知の如何なる
酸でも用いることが出来、例えば硫酸、p-トルエンスル
ホン酸、燐酸等を例示出来る。
本発明方法を実施するに当り、アリールアルカノールに
対するアルデヒドの使用量は該アルカノール1モル当り
アルデヒド単位が0.2〜10モルの範囲が好ましく、0.5〜
5モルの範囲が更に好ましい。
同様にジハロアルキル炭酸エステルの使用量は該アルカ
ノール1モル当り0.2〜10の範囲が好ましく、0.5〜5の
範囲が更に好ましい。
触媒としての酸の使用量はその種類に因って多少は変化
させるべきであるが、概ね反応系全体の重量に対して0.
1〜50重量%でよいが、0.5〜30重量%が好ましい。
前述した如き原料及び触媒を用いて一般式[III]にて示
されるイソクロマン類を製造するに当っては、前述のア
リールアルカノール、アルデヒド、ジハロアルキル炭酸
エステル及び触媒を一括して反応器に入れ、所定温度に
保ち加熱することによって簡単に行なう事が出来る。こ
れら原料の仕込みは分割でも一括でも良く、仕込み方法
によって本発明方法に悪影響を与える事は無い。云いか
えるなら、本発明方法を用いれば、前述の特開昭59-157
082号公報に示される方法に潜在する欠点を解決し、簡
単にイソクロマン類を製造することが出来る。
本発明方法を実施するに当り、反応温度は100〜200℃の
範囲にあることが好ましく、反応時間は用いる原料の種
類に因って変わるが、概ね3時間以内で十分である。更
に、所望の反応温度が得られるなら、反応圧力には限定
はなく、常圧、減圧、加圧いずれの状態であってもよ
い。
前述の如く、本発明方法にあっては、反応の進行に伴い
ハロアルキルアルコールが発生してくるが、これは蒸留
によって系外に除去すれば良い。
かくして得られる反応後の混合物を水酸化ナトリウム、
炭酸ナトリウム等の如きアルカリ水溶液で中和し、必要
ならば、洗浄後、蒸留、抽出等の公知の方法によって精
製して製品とすればよい。
「実施例」 以下に実施例及び比較例を挙げ本発明を更に詳しく説明
するが、これらに限定されるものではない。
実施例1 攪拌機、温度計及び蒸溜装置を備えた0.5フラスコに
β−フェニルエチルアルコール122g、パラホルムアル
デヒド30g、ビス(2-クロロエチル)カーボネート187
g及びp-トルエンスルホン酸8gを入れ、140±5℃迄
加熱し、2.5時間同温度で攪拌反応させた。この間実質
的にエチレンクロロヒドリンからなる溜出液161gが得
られた。
冷却後反応液を30重量%水酸化ナトリウム水溶液で中和
し有機層を分液後、減圧蒸溜し、沸点72〜78.5℃/3mmH
gを有する溜分130.4gを得た。
このものを分析した所、イソクロマンであることが判明
した。使用したβ−フェニルエチルアルコールに対して
収率は97.3%であった。尚、上記分析はガスクロマトグ
ラフィー(GC)、赤外分光法(IR)及びNMRで行なった。
比較例1 ビス(2-クロロエチル)カーボネートを添加しないで実
施例1記載の方法を繰り返した所、イソクロマンは86.4
gしか得られなかった。収率は用いたアルコールに対し
て64.5%と低かった。
実施例1と本例を比較すれば明らかな如く、ジハロアル
キル炭酸エステルを反応系に加えるといった本発明の効
果が明確に表われていることが理解される。
実施例2 攪拌機、温度計及び蒸溜装置を備えた1フラスコに2-
(1′,1′,2′,3′,3′−ペンタメチルインダン-5′−イ
ル)-1-プロパノール246g、パラホルムアルデヒド30
g、ビス(2-クロロエトキシエチル)カーボネート275
g及び濃硫酸3gを入れ、120±30mmHgの減圧下、140±
5℃迄加熱し、2.5時間同温度で攪拌反応させた。この
間実質的に2-(2′−クロロエトキシ)エタノールからな
る溜出液246.5gが得られた。反応液を冷却後、30重量
%炭酸ソーダ水溶液で中和し、有機層を分液後、減圧蒸
溜して沸点154〜158℃/3mmHgを有する溜分249gを得
た。
この溜分は分析によって6−オキサ-1,1,2,3,3,8-ヘキ
サメチル-2,3,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H-ベンズ[f]
インデンであることが確認された。用いたアリールアル
カノールに対する収率は96.5%であった。
比較例2 ビス(2-クロロエトキシエチル)カーボネートを添加し
ないで、実施例2記載の方法を繰り返した所、目的とす
るイソクロマンは156.6gしか得られなかった。用いた
アリールアルカノールに対する収率は60.7%と低かっ
た。
実施例2と本例を比較すれば明らかな用に、ジハロアル
キル炭酸エステルを共存させ反応を進める事によって本
発明の特徴的な効果が具現することが理解される。
実施例3〜7 種々のアリールアルカノール及びジハロアルキル炭酸エ
ステルを用いて実施例1又は実施例2記載の方法を繰返
し、それらの結果を第1表に示した。
尚、これらの反応に於いてはアリールアルカノールとジ
ハロアルキル炭酸エステルとのモル比は全て1/1とし、
反応温度は140℃とし、そして反応時間は2.5時間とし
た。
「発明の効果」 従来、安全にしかも簡単な操作で高収率でイソクロマン
類を得ることが困難であったが、本発明方法によれば、
安全且つ簡単な操作で短時間のうちに実質的に定量的に
高品位のイソクロマン類を製造することが出来る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式[I]にて示されるアリールア
    ルカノール類と下記一般式[II]にて示されるアルデヒド
    類あるいはその縮合体を、 CHO……[II] [ここに、Rは水素原子又はメチル基を示す。] 酸触媒の存在下、100℃〜200℃の温度で反応させ下記一
    般式[III]にて示されるイソクロマン類を製造するに際
    し、 該反応系に下記一般式[IV]にて示されるジハロアルキル
    炭酸エステル を共存させ、反応を進めることを特徴とするイソクロマ
    ン類の製造方法。
  2. 【請求項2】ジハロアルキル炭酸エステルが下記一般式
    [V]にて示される [ここに、Xは前述と同じである。] ジハロエチル炭酸エステルである特許請求の範囲第1項
    記載の製造方法。
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