JPH06310379A - アルミニウム電解コンデンサおよびアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサおよびアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液

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JPH06310379A
JPH06310379A JP12198493A JP12198493A JPH06310379A JP H06310379 A JPH06310379 A JP H06310379A JP 12198493 A JP12198493 A JP 12198493A JP 12198493 A JP12198493 A JP 12198493A JP H06310379 A JPH06310379 A JP H06310379A
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秀美 山田
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亘 田代
Noboru Haga
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Abstract

(57)【要約】 【目的】外部へ漏液しないで電気伝導度が高く、かつ誘
電体酸化皮膜に対する皮膜修復能力に優れた電解コンデ
ンサ駆動用電解液を使用したアルミニウム電解コンデン
サを提供すること。 【構成】ラクトン類およびグリコール類から選ばれた少
なくとも1種以上の溶媒に、芳香族カルボン酸のジエチ
ルメチルアミン塩を溶解させた電解コンデンサ駆動用電
解液を用いてアルミニウム電解コンデンサを作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサ駆動用電
解液を使用したアルミニウム電解コンデンサに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム電解コンデンサは、アルミ
ニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔とをセパレータを介
して巻回したコンデンサ素子に電解コンデンサ駆動用電
解液を含浸し、このコンデンサ素子を封口体とともに外
装ケース内に組み込んだ構造を有する。また、陽極箔お
よび陰極箔にそれぞれ固着されたリード線は封口体を介
して外部に引き出されている。ところで、電解液は実質
的に誘電体である電極箔(陽極箔)の酸化皮膜層に接
し、真の陰極として機能する。このため電解液自身の電
気伝導率や高温使用下での長期信頼性が、電解コンデン
サ自体の特性に直接影響を及ぼすことになる。
【0003】したがって、高性能の電解コンデンサを得
るには、優れた特性の電解液を用いることが不可欠の条
件とされている。
【0004】そこで、その好適な電解液として有機極性
溶媒にカルボン酸またはその塩を溶解したものがよく使
用され、特に低圧用の電解コンデンサにはγ−ブチロラ
クトンを主体とした溶媒に芳香族カルボン酸の第4級ア
ンモニウム塩やトリエチルアミン塩を溶質として溶解し
た電解液が多く使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第4級
アンモニウム塩を含有する電解液は電気伝導度は高い
が、ブチルゴムなどの封口体を膨潤させ外部への漏液の
原因となる。また、特に陰極箔に固着されたリード線の
タブ端子の近傍において電解液のpHが強アルカリとな
り、タブ端子を腐食させてゴム封口体に穿設された透孔
との嵌合が弱まりゴム封口体とタブ端子の間から外部へ
漏液しやすくなるという問題がある。
【0006】一方のトリエチルアミン塩を含む電解液は
電気伝導度が第4級アンモニウム塩と比べてかなり劣
り、さらに誘電体酸化皮膜に対する皮膜修復能力が低い
という問題点がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来の課題
に鑑みなされたもので、電解液の外部への漏液防止と良
好な電気伝導度、酸化皮膜修復能力を得るものである。
本発明は、ラクトン類およびグリコール類から選ばれた
少なくとも1種以上の溶媒に、芳香族カルボン酸のジエ
チルメチルアミン塩を溶解した電解コンデンサ駆動用電
解液および同電解液を使用した電解コンデンサを提供す
るものである。
【0008】本発明に用いられる芳香族カルボン酸とし
ては、フタル酸、安息香酸 、サリチル酸またはレゾル
シル酸が好ましい。
【0009】また、ラクトン類としてはβ−ブチロラク
トン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−
バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラク
トン、γ−ヘプタラクトン、γ−ヒドロキシ−n−カプ
リル酸ラクトン、γ−ノナラクトン、δ−デカラクト
ン、γ−ウンデカラクトンなどが挙げられる。
【0010】また、グリコールとしてはエチレングリコ
ール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチ
レングリコールジアルキルエ−テル、プロピレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモ
ノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキル
エーテル、ポリエチレングリコール、グリセリンなどが
挙げられる。
【0011】本発明に係る電解液において、ラクトン類
やグリコール類などの溶媒中における芳香族カルボン酸
のジエチルメチルアミン塩の含有量は種々に選択し得る
が、飽和溶液の状態が最も電気伝導度が高く好適であ
る。芳香族カルボン酸のジエチルメチルアミン塩の含有
量は電解液中1〜60重量%、好ましくは10〜40重
量%程度であり、60重量%を超えると溶解しなくな
る。
【0012】本発明において、ラクトン類やグリコール
類をそれぞれ単独で用いることもできるが、混合して用
いる方が高い電気伝導度が得られやすい。ラクトン類と
グリコール類の混合割合は重量比20対80から95対
5程度が採用される。
【0013】本発明においては、本発明に係る電解液の
火花発生電圧を向上させるために硼酸、リン酸、タング
ステン酸、ヘテロポリ酸などの無機酸またはその塩やマ
ンニット、ソルビットなどの多糖類を0.1〜10重量
%、好ましくは0.1〜5重量%添加してもよい。
【0014】さらに、電解コンデンサの初期の損失角の
正接(tanδ)を改善するために、本発明に係る電解
液にケトン類、ニトロ化合物またはその塩を0.1〜1
0重量%、好ましくは0.1〜5重量%を添加してもよ
い。
【0015】本発明に係る電解液のpHは必要に応じて
所望のpH調整剤を添加することにより4〜12、好ま
しくは5〜7に調整される。また、電解液中水分の存在
はアルミニウム箔の腐食の原因などとなるので、出来る
だけ存在しない方が望ましいが、5重量%程度以下であ
れば特に不都合は生じない。
【0016】
【作用】本発明においては、電解質として芳香族カルボ
ン酸のジエチルメチルアミン塩を用いることにより、電
解液が外部へ漏液せず、さらに溶媒に対する高いイオン
解離性により高い電気伝導度(μS/cm)と良好な酸
化皮膜修復を有する。よって、損失角の正接(tan
δ)、漏れ電流ともに低いアルミニウム電解コンデンサ
を得ることができる。
【0017】
【実施例】まず、本発明に係る駆動用電解液の組成を比
較例とともに説明する。なお、比較例1および実施例1
に関しては、その電気伝導度(μS/cm;液温40℃
にて)および火花発生電圧(V;液温85℃にて)を測
定した。
【0018】〈比較例1〉 電解液組成; フタル酸テトラエチルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量% 電気伝導度は10500μS/cm、火花発生電圧は7
0Vであった。
【0019】≪実施例1≫ 電解液組成;フタル酸ジエチルメチルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量% 電気伝導度は10000μS/cm、火花発生電圧は8
5Vであった。
【0020】〈比較例2〉 電解液組成; フタル酸トリエチルアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 5重量%
【0021】≪実施例2≫ 電解液組成; フタル酸ジエチルメチルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 5重量%
【0022】〈比較例3〉 電解液組成; 安息香酸トリエチルアミン塩 25重量% γ−バレロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量%
【0023】≪実施例3≫ 電解液組成; 安息香酸ジエチルメチルアミン塩 25重量% γ−バレロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量%
【0024】〈比較例4〉 電解液組成; サリチル酸トリエチルアミン塩 20重量% γ−バレロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0025】≪実施例4≫ 電解液組成; サリチル酸ジエチルメチルアミン塩 20重量% γ−バレロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0026】〈比較例5〉 電解液組成; レゾルシル酸トリエチルアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量%
【0027】≪実施例5≫ 電解液組成; レゾルシル酸ジエチルメチルアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量%
【0028】〈比較例6〉 電解液組成; フタル酸テトラメチルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 5重量%
【0029】≪実施例6≫ 電解液組成; フタル酸ジエチルメチルアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 5重量%
【0030】≪実施例7≫ 電解液組成; フタル酸ジエチルメチルアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 68重量% エチレングリコール 5重量% ケイタングステン酸 2重量%
【0031】次に、比較例1の電解液と実施例1の電解
液を用いて定格35V47μF(製品サイズ;直径8m
m、軸長5mm)のアルミニウム電解コンデンサを各々
50個作製し、105℃の温度下で実効電流100m
A、100kHzのリプル電流を重畳し、負荷試験を2
000時間実施したところ、比較例1の電解液を用いた
アルミニウム電解コンデンサは28個漏液したが、実施
例1の電解液を用いたアルミニウム電解コンデンサの漏
液は皆無であった。
【0032】比較例1、実施例1ともに電解液の特性は
ほぼ同等であるが、本発明に係る芳香族カルボン酸のジ
エチルメチルアミン塩を用いた電解液は高温使用下での
長期信頼性が高いことが分かった。
【0033】
【表1】
【0034】さらに、比較例2〜6および実施例2〜7
による電解液を用いて定格63V2200μF(製品サ
イズ;直径18mm、軸長35.5mm)のアルミニウ
ム電解コンデンサを各々20個作製し、その静電容量
(μF)、損失角の正接(tanδ)、漏れ電流(1分
値;μA)を測定した平均値を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】このように、実施例2〜7の電解液を用い
た電解コンデンサの損失角の正接(tanδ)、漏れ電
流値ともに比較例2〜6と比較して格段に低く、本発明
に係る芳香族カルボン酸のジエチルメチルアミン塩を用
いた電解液は高い電気伝導度と優れた誘電体酸化皮膜修
復能力を有していることが分かる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ラ
クトン類およびグリコール類から選ばれた少なくとも1
種以上の溶媒に芳香族カルボン酸のジエチルメチルアミ
ン塩を溶解したことにより、電気伝導度が高く誘電体酸
化皮膜修復能力に優れた外部へ漏液しない電解液を用い
たアルミニウム電解コンデンサを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一杉 健一 神奈川県藤沢市辻堂新町2丁目2番1号 エルナ−株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラクトン類およびグリコール類から選ばれ
    た少なくとも1種以上の溶媒に、芳香族カルボン酸のジ
    エチルメチルアミン塩を溶解したことを特徴とするアル
    ミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。
  2. 【請求項2】ラクトン類およびグリコール類から選ばれ
    た少なくとも1種以上の溶媒と、芳香族カルボン酸のジ
    エチルメチルアミン塩とを溶質とした電解コンデンサ駆
    動用電解液を使用することを特徴としたアルミニウム電
    解コンデンサ。
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