JPH08227828A - アルミニウム電解コンデンサおよびアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサおよびアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液

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JPH08227828A
JPH08227828A JP5518395A JP5518395A JPH08227828A JP H08227828 A JPH08227828 A JP H08227828A JP 5518395 A JP5518395 A JP 5518395A JP 5518395 A JP5518395 A JP 5518395A JP H08227828 A JPH08227828 A JP H08227828A
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JP
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acid
salt
electrolytic
electrolytic capacitor
aluminum
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JP5518395A
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English (en)
Inventor
Hidemi Yamada
秀美 山田
Hiroyuki Kurihara
博之 栗原
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Elna Co Ltd
Original Assignee
Elna Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アルミニウム電解コンデンサ内部のアルミニウ
ム電解コンデンサ駆動用電解液が外部に漏洩しないアル
ミニウム電解コンデンサを得る。 【構成】下記の構造式[1]に示したカルボン酸のジア
ミノメタン塩を溶質としたことを特徴とするアルミニウ
ム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化1】 (式中、Xは芳香族カルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン
酸または脂肪族不飽和ジカルボン酸を示し、Rは置換基
を示す。Rの炭素数は1〜3である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサ駆動用電
解液およびその電解コンデンサ駆動用電解液を使用した
アルミニウム電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム電解コンデンサは、表面に
酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とをセパレータを介
して巻回したコンデンサ素子に電解コンデンサ駆動用電
解液を含浸し、このコンデンサ素子を封口体とともに外
装ケース内に組み込んだ構造を有する。また、陽極箔お
よび陰極箔にそれぞれ固着されたリード線は封口体を介
して外部に引き出されている。
【0003】このような構造を有するアルミニウム電解
コンデンサ(以下、「電解コンデンサ」という。)は、
電極箔の表面に形成された酸化皮膜を誘電体として用い
ている。電解コンデンサ駆動用電解液(以下、「電解
液」という。)は、この電解コンデンサの陽極箔表面に
形成された酸化皮膜に接し、真の陰極として機能してい
る。さらには、酸化皮膜を誘電体に用いる構造を有する
電解コンデンサは通電中、常に酸化皮膜を電解液との化
学反応により修復し、コンデンサ特性を安定させてい
る。よって、電解コンデンサの特性を向上させるため
に、電解液には高い電気伝導性と優れた酸化皮膜修復能
力が求められる。また電解液には前記の特性に加えて高
温使用下での長期信頼性なども求められている。
【0004】電解コンデンサの特性の向上を図るため
に、従来は電解液には非プロトン溶媒を主溶媒としてカ
ルボン酸またはその塩を溶解したものがよく用いられて
いる。最近では、カルボン酸の第4級アンモニウム塩を
溶質とした電解液が高い電気伝導性と優れた酸化皮膜修
復能力および高温使用下での長期信頼性などの特性に優
れているためによく用いられている。
【0005】例えば、特開昭62−145715号公報
にはγ−ブチロラクトンを主溶媒とし、芳香族カルボン
酸の第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液が開示さ
れている。芳香族カルボン酸の第4級アンモニウム塩を
溶質とした電解液は、特に低電圧用電解コンデンサによ
く用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
上述した芳香族カルボン酸の第4級アンモニウム塩など
からなる第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液は、
電圧を印加した場合に電解液のpHが上昇し、強アルカ
リが発生してしまうという問題があった。このために従
来、第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液を使用し
た電解コンデンサに電圧を印加すると、陰極側のタブ端
子近傍の電解液に強アルカリが発生していた。強アルカ
リとなった電解液は、電圧を印加した電解コンデンサの
陰極側のタブ端子を腐蝕させ、さらには陰極側のタブ端
子に嵌合するゴム封口体の透孔部を膨潤させてしまう。
よって、陰極側のゴム封口体に穿設された透孔とタブ端
子との嵌合を弱めて、ゴム封口体とタブ端子の間から電
解液が外部に漏液し易くなるという問題があった。
【0007】この問題点を解決するために、第4級アン
モニウム塩に代えてカルボン酸の第3級アンモニウム塩
を溶質とした電解液など様々な電解液が提案されてい
る。しかし、第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液
と比較すると電気伝導度および長期信頼性などの電解液
の特性が劣っているのが現状である。
【0008】また、第4級アンモニウム塩を溶質とした
電解液をゴム封口体の厚みの薄い小形の電解コンデンサ
に用いるために種々の検討がなされている。例えば、陰
極側のタブ端子の表面に強アルカリへの耐蝕性向上のた
めに化成皮膜を形成したり、強アルカリへの耐蝕性に優
れたゴムを封口体に採用したりしているが、未だ完全に
は解決されていない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した従来の
課題に鑑みなされたもので、本発明者らは種々の実験と
検討を重ねた結果、上述した課題を克服することのでき
るジアミノメタン塩を溶質とした電解液を発明した。
【0010】本発明に係る電解液の特徴は、好ましくは
非プロトン溶媒を主溶媒として下記の化13に示す構造
式[1]のカルボン酸のジアミノメタン塩を溶質したこ
とにある。さらに本発明による電解コンデンサの特徴
は、好ましくは非プロトン溶媒を主溶媒として下記に示
す構造式[1]のカルボン酸のジアミノメタン塩を溶質
とした電解液を用いたことにある。
【0011】
【化13】
【0012】(式中、Xは芳香族カルボン酸、脂肪族飽
和ジカルボン酸または脂肪族不飽和ジカルボン酸を示
し、Rは置換基を示す。Rの炭素数は1〜3である。)
【0013】芳香族カルボン酸の具体例としてはフタル
酸、安息香酸、サリチル酸、レゾルシル酸がある。
【0014】構造式[1]に示される芳香族カルボン酸
のジアミノメタン塩の代表的な具体例としてはフタル酸
N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩、
安息香酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメ
タン塩、サリチル酸N,N,N’,N’−テトラメチル
ジアミノメタン塩、レゾルシル酸N,N,N’,N’−
テトラメチルジアミノメタン塩、
【0015】フタル酸N,N,N’,N’−テトラエチ
ルジアミノメタン塩、安息香酸N,N,N’,N’−テ
トラエチルジアミノメタン塩、サリチル酸N,N,
N’,N’−テトラエチルジアミノメタン塩、レゾルシ
ル酸N,N,N’,N’−テトラエチルジアミノメタン
塩、
【0016】フタル酸N,N,N’,N’−テトラプロ
ピルジアミノメタン塩、安息香酸N,N,N’,N’−
テトラプロピルジアミノメタン塩、サリチル酸N,N,
N’,N’−テトラプロピルジアミノメタン塩、レゾル
シル酸N,N,N’,N’−テトラプロピルジアミノメ
タン塩、
【0017】フタル酸N,N,N’,N’−トリメチル
エチルジアミノメタン塩、安息香酸N,N,N’,N’
−トリメチルエチルジアミノメタン塩、サリチル酸N,
N,N’,N’−トリメチルエチルジアミノメタン塩、
レゾルシル酸N,N,N’,N’−トリメチルエチルジ
アミノメタン塩、
【0018】フタル酸N,N,N’,N’−ジメチルジ
エチルジアミノメタン塩、安息香酸N,N,N’,N’
−ジメチルジエチルジアミノメタン塩、サリチル酸N,
N,N’,N’−ジメチルジエチルジアミノメタン塩、
レゾルシル酸N,N,N’,N’−ジメチルジエチルジ
アミノメタン塩、
【0019】フタル酸N,N,N’,N’−メチルトリ
エチルジアミノメタン塩、安息香酸N,N,N’,N’
−メチルトリエチルジアミノメタン塩、サリチル酸N,
N,N’,N’−メチルトリエチルジアミノメタン塩、
レゾルシル酸N,N,N’,N’−メチルトリエチルジ
アミノメタン塩などが挙げられる。
【0020】さらには、下記の化14に示す構造式
[2]のフタル酸N,N,N’,N’−テトラメチルジ
アミノメタン塩が容易に合成して作り出すことできるこ
とから、本発明に係る電解液の溶質として用いることが
特に好ましい。
【0021】
【化14】
【0022】また本発明に係る構造式[1]の脂肪族飽
和ジカルボン酸の具体例としてはマロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二
酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二
酸、タプシン酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二
酸、ノナデカン二酸、アイコサン二酸、またはドコサン
二酸などが挙げられる。
【0023】構造式[1]の脂肪族飽和ジカルボン酸の
ジアミノメタン塩の代表的な具体例としては、マロン酸
N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩、
コハク酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメ
タン塩、グルタル酸N,N,N’,N’−テトラメチル
ジアミノメタン塩、アジピン酸N,N,N’,N’−テ
トラメチルジアミノメタン塩、
【0024】マロン酸N,N,N’,N’−テトラエチ
ルジアミノメタン塩、コハク酸N,N,N’,N’−テ
トラエチルジアミノメタン塩、グルタル酸N,N,
N’,N’−テトラエチルジアミノメタン塩、アジピン
酸N,N,N’,N’−テトラエチルジアミノメタン
塩、
【0025】マロン酸N,N,N’,N’−テトラプロ
ピルジアミノメタン塩、コハク酸N,N,N’,N’−
テトラプロピルジアミノメタン塩、グルタル酸N,N,
N’,N’−テトラプロピルジアミノメタン塩、アジピ
ン酸N,N,N’,N’−テトラプロピルジアミノメタ
ン塩、
【0026】マロン酸N,N,N’,N’−トリメチル
エチルジアミノメタン塩、コハク酸N,N,N’,N’
−トリメチルエチルジアミノメタン塩、グルタル酸N,
N,N’,N’−トリメチルエチルジアミノメタン塩、
アジピン酸N,N,N’,N’−トリメチルエチルジア
ミノメタン塩、
【0027】マロン酸N,N,N’,N’−ジメチルジ
エチルジアミノメタン塩、コハク酸N,N,N’,N’
−ジメチルジエチルジアミノメタン塩、グルタル酸N,
N,N’,N’−ジメチルジエチルジアミノメタン塩、
アジピン酸N,N,N’,N’−ジメチルジエチルジア
ミノメタン塩などが挙げられる。
【0028】さらには、下記の化15に示す構造式
[3]のマロン酸N,N,N’,N’−テトラメチルジ
アミノメタン塩または下記の化16に示す構造式[4]
のコハク酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノ
メタン塩が容易に合成して作り出すことできることか
ら、本発明に係る電解液の溶質として用いることが特に
好ましい。
【0029】
【化15】
【0030】
【化16】
【0031】さらに本発明に係る構造式[1]の脂肪族
不飽和ジカルボン酸の具体例としてはマレイン酸、シト
ラコン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコン酸、アリ
ルマロン酸、テラコン酸、メサコン酸またはムコン酸な
どがある。
【0032】脂肪族不飽和ジカルボン酸のジアミノメタ
ン塩の代表的な具体例としては、マレイン酸N,N,
N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩、シトラコ
ン酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン
塩、フマル酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミ
ノメタン塩、イタコン酸N,N,N’,N’−テトラメ
チルジアミノメタン塩、
【0033】マレイン酸N,N,N’,N’−テトラエ
チルジアミノメタン塩、シトラコン酸N,N,N’,
N’−テトラエチルジアミノメタン塩、フマル酸N,
N,N’,N’−テトラエチルジアミノメタン塩、イタ
コン酸N,N,N’,N’−テトラエチルジアミノメタ
ン塩、
【0034】マレイン酸N,N,N’,N’−テトラプ
ロピルジアミノメタン塩、シトラコン酸N,N,N’,
N’−テトラプロピルジアミノメタン塩、フマル酸N,
N,N’,N’−テトラプロピルジアミノメタン塩、イ
タコン酸N,N,N’,N’−テトラプロピルジアミノ
メタン塩、
【0035】マレイン酸N,N,N’,N’−トリメチ
ルエチルジアミノメタン塩、シトラコン酸N,N,
N’,N’−トリメチルエチルジアミノメタン塩、フマ
ル酸N,N,N’,N’−トリメチルエチルジアミノメ
タン塩、イタコン酸N,N,N’,N’−トリメチルエ
チルジアミノメタン塩、
【0036】マレイン酸N,N,N’,N’−ジメチル
ジエチルジアミノメタン塩、シトラコン酸N,N,
N’,N’−ジメチルジエチルジアミノメタン塩、フマ
ル酸N,N,N’,N’−ジメチルジエチルジアミノメ
タン塩、イタコン酸N,N,N’,N’−ジメチルジエ
チルジアミノメタン塩、
【0037】マレイン酸N,N,N’,N’−メチルト
リエチルジアミノメタン塩、シトラコン酸N,N,
N’,N’−メチルトリエチルジアミノメタン塩、フマ
ル酸N,N,N’,N’−メチルトリエチルジアミノメ
タン塩、イタコン酸N,N,N’,N’−メチルトリエ
チルジアミノメタン塩などが挙げられる。
【0038】さらには、下記の化17に示す構造式
[5]のマレイン酸N,N,N’,N’−テトラメチル
ジアミノメタン塩または下記の化18に示す構造式
[6]のシトラコン酸N,N,N’,N’−テトラメチ
ルジアミノメタン塩が容易に合成して作り出すことでき
ることから、本発明に係る電解液の溶質として用いるこ
とが特に好ましい。
【0039】
【化17】
【0040】
【化18】
【0041】本発明に係る電解液において、電解液中の
構造式[1]に示されるカルボン酸のジアミノメタン塩
の含有量は種々に選択し得るが、含有量が1重量%未満
であると電解液特性が不充分である。また、構造式
[1]に示されるカルボン酸のジアミノメタン塩の電解
液中の含有量が60重量%を超えると、構造式[1]に
示されるカルボン酸のジアミノメタン塩が溶解しづらく
なる。よって、構造式[1]に示されるカルボン酸のジ
アミノメタン塩の含有量は電解液中1重量%〜60重量
%が好ましい。さらには、飽和溶液の状態が最も電気伝
導度が高く好適である。しかし、構造式[1]に示され
るカルボン酸のジアミノメタン塩の電解液中の含有量が
40重量%を超えると、低温で構造式[1]に示される
カルボン酸のジアミノメタン塩が析出しやすくなるの
で、さらに好ましくは10重量%〜40重量%である。
【0042】本発明に係る電解液に溶媒として用いる非
プロトン溶媒としてはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロ
ラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、
γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−ヘプタ
ラクトン、γ−ヒドロキシ−n−カプリル酸ラクトン、
γ−ノナラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクト
ンおよびγ−ウンデカラクトンなどのラクトン類が挙げ
られ、これらのラクトン類を単独または混合して溶媒と
して用いるのが好ましい。特に好ましくは、γ−ブチロ
ラクトンを用いるのが安価であり好ましい。また、本発
明に用いられる非プロトン溶媒はラクトン類のみに限定
するものではない。
【0043】また、本発明においては非プロトン溶媒を
単独で用いてもよいが、非プロトン溶媒に他の溶媒を混
合してもよい。この場合、混合する溶媒はグリコール類
が好ましい。非プロトン溶媒にグリコール類を混合した
場合は、非プロトン溶媒単独で本発明に係る構造式
[1]に示されるジアミノメタン塩を溶解するよりも高
い電気伝導度を得られやすい。非プロトン溶媒に混合す
るグリコール類としてはエチレングリコール、エチレン
グリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコール
ジアルキルエ−テル、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ジエチレングリコールモノアルキルエー
テル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリ
エチレングリコールおよびグリセリンなどが挙げられ
る。これらグリコール類を各々単独で非プロトン溶媒と
混合して主溶媒として用いるか、これらのグリコール類
を混合するとともに非プロトン溶媒とも混合して主溶媒
として用いるのが好ましい。さらには、エチレングリコ
ールを非プロトン溶媒に混合して用いるのが安価である
ので特に好ましい。また、本発明で混合される溶媒はグ
リコール類のみに限定するものではない。
【0044】本発明に係る電解液において、ラクトン類
とグリコール類の混合割合は重量比95対5から70対
30程度が電解液の特性上好適である。
【0045】従って、本発明はラクトン類とグリコール
類を混合して主溶媒とし、これに上述した構造式[2]
を有するフタル酸N,N,N’,N’−テトラメチルジ
アミノメタン塩、または構造式[3]を有するマロン酸
N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩、
または構造式[4]を有するコハク酸N,N,N’,
N’−テトラメチルジアミノメタン塩、または構造式
[5]を有するマレイン酸N,N,N’,N’−テトラ
メチルジアミノメタン塩、または構造式[6]を有する
シトラコン酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミ
ノメタン塩を溶解して電解液とするのがより好ましい。
【0046】以上のことから本発明に係る電解コンデン
サは、ラクトン類とグリコール類を混合して主溶媒と
し、構造式[2]を有するフタル酸N,N,N’,N’
−テトラメチルジアミノメタン塩、または構造式[3]
を有するマロン酸N,N,N’,N’−テトラメチルジ
アミノメタン塩、または構造式[4]を有するコハク酸
N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩、
または構造式[5]を有するマレイン酸N,N,N’,
N’−テトラメチルジアミノメタン塩、または構造式
[6]を有するシトラコン酸N,N,N’,N’−テト
ラメチルジアミノメタン塩を溶解して電解液として用い
るのがより好ましい。
【0047】本発明に係る電解液は、本発明に係る電解
液の酸化皮膜修復能力などの電解液特性を向上させるた
めに無機酸を電解液中に添加してもよい。さらには、無
機酸塩を電解液特性向上のために電解液中に添加しても
よい。また、無機酸および無機酸塩を混合して電解液中
に添加してもよい。
【0048】添加する無機酸および無機酸塩の種類と電
解液への添加量は硼酸0.1重量%〜10重量%、好ま
しくは0.1重量%〜5重量%、硼酸塩0.1重量%〜
10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、リン
酸0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%
〜5重量%およびリン酸塩0.1重量%〜10重量%、
好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
【0049】また、上述した無機酸および無機酸塩と同
様に本発明に係る電解液の酸化皮膜修復能力などの電解
液特性向上のためにマンニット、ソルビットなどの多糖
類を添加してもよい。さらには、多糖類を無機酸または
無機酸塩と混合して電解液中に添加してもよい。多糖類
の電解液への添加量は各々0.1重量%〜10重量%、
好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
【0050】さらには、ニトロ化合物などをガス吸収剤
として0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重
量%〜5重量%添加してもよい。
【0051】さらに、電解コンデンサの初期の損失角の
正接(tanδ)を改善するために、本発明に係る電解
液にケトン類を0.1重量%〜10重量%、好ましくは
0.1重量%〜5重量%を添加してもよい。
【0052】本発明に係る電解液のpHは必要に応じて
所望のpH調整剤を添加することによりpH4〜pH1
2、好ましくはpH5〜pH7に調整される。また、電
解液中に水分が存在するとアルミニウム箔の腐蝕の原因
などとなるので、存在しないのがより望ましいが、5重
量%程度以下であれば特に不都合は生じない。
【0053】
【実施例】まず、本発明に係るカルボン酸のジアミノメ
タン塩を用いた電解液の組成を比較例とともに説明す
る。なお、比較例1、2および実施例1、2について
は、電気伝導度(μS/cm;液温40℃にて)と火花
発生電圧(V;液温85℃にて)を測定した。
【0054】〈比較例1〉
【0055】 電解液組成;フタル酸テトラメチルアンモニウム 24重量% γ−ブチロラクトン 59重量% エチレングリコール 15重量% 水 2重量% 電気伝導度は8000μS/cm、火花発生電圧は55
Vであった。
【0056】〈比較例2〉
【0057】 電解液組成;シトラコン酸テトラメチルアンモニウム 24重量% γ−ブチロラクトン 65重量% エチレングリコール 10重量% 水 1重量% 電気伝導度は10000μS/cm、火花発生電圧は8
0Vであった。
【0058】〈比較例3〉
【0059】 電解液組成;フタル酸テトラエチルアンモニウム 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% ジエチレングリコール 20重量%
【0060】〈比較例4〉
【0061】 電解液組成;マレイン酸テトラメチルアンモニウム 20重量% γ−ブチロラクトン 79重量% pーニトロ安息香酸 1重量%
【0062】〈実施例1〉
【0063】 電解液組成;フタル酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン 24重量% γ−ブチロラクトン 59重量% エチレングリコール 15重量% 水 2重量% 電気伝導度は13000μS/cm、火花発生電圧は1
40Vであった。
【0064】〈実施例2〉
【0065】 電解液組成;シトラコン酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン 24重量% γ−ブチロラクトン 65重量% エチレングリコール 10重量% 水 1重量% 電気伝導度は16000μS/cm、火花発生電圧は1
50Vであった。
【0066】〈実施例3〉
【0067】 電解液組成;フタル酸N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% ジエチレングリコール 15重量%
【0068】〈実施例4〉
【0069】 電解液組成;フタル酸N,N,N’,N’−テトラエチルジアミノメタン 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0070】〈実施例5〉
【0071】 電解液組成;マロン酸N,N,N’,N’−ジメチルジエチルジアミノメタン 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 20重量%
【0072】〈実施例6〉
【0073】 電解液組成;アジピン酸N,N,N’,N’−トリメチルエチルジアミノメタン 20重量% γ−ブチロラクトン 69重量% エチレングリコール 10重量% マンニット 1重量%
【0074】次に、比較例1、2の電解液と実施例1、
2の電解液を用いて定格電圧6.3V120μF(製品
サイズ;直径6.3mm、軸長5mm)の電解コンデン
サを各々50個作製した。次に、作製した電解コンデン
サに、定格電圧6.3Vを印加しながら温度85℃、湿
度85%の雰囲気下で負荷試験を2000時間実施し
た。試験後に電解コンデンサの電解液の漏液検査を目視
にて行なった。電解液の電気伝導度および火花発生電圧
ならびに電解コンデンサの漏液個数を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】比較例1、2の電解液と実施例1、2の電
解液の電気伝導度を比較すると実施例の電解液の方が格
段に高い。さらに比較例1、2の電解液の火花発生電圧
と実施例1、2の電解液の火花発生電圧を比べると、実
施例1、2の電解液は比較例1、2の電解液と比べて火
花発生電圧が格段に高く優れている。さらには、作製し
た電解コンデンサの負荷試験後の電解液の漏液発生数を
比較すると比較例1、2では全数で発生したのに対して
実施例1、2の電解コンデンサは電解液の漏液の発生が
皆無であることが分かる。
【0077】次に、比較例1〜比較例4および実施例1
〜実施例6による電解液を用いて定格電圧25V10μ
F(製品サイズ;直径5mm、軸長5mm)の電解コン
デンサを各々50個作製し、静電容量(μF)、損失角
の正接(tanδ)および漏れ電流(1分値;μA)を
測定した。その後、作製した電解コンデンサに定格電圧
25Vを印加しながら温度85℃、湿度85%の雰囲気
中に2000時間暴露して負荷試験を行なった。
【0078】比較例1〜比較例4および実施例1〜6に
よる電解液を用いて作製した電解コンデンサそれぞれの
静電容量(μF)、損失角の正接(tanδ)および漏
れ電流(1分値;μA)の平均値と、負荷試験後の電解
コンデンサの外部への電解液の漏液状態を目視検査した
結果を表2に示す。
【0079】
【表2】
【0080】実施例1〜実施例6の電解コンデンサは比
較例1〜比較例4の電解コンデンサに比べて損失角の正
接(tanδ)および漏れ電流(1分値;μA)に優れ
ていることが分かる。さらには、比較例1〜比較例4の
電解コンデンサは全個漏液が発生し、電解コンデンサの
陰極側のタブ端子が腐蝕するとともに嵌合されるゴム封
口体の透孔部が膨潤していることが確認された。これに
対して実施例1〜実施例6の電解コンデンサの漏液は皆
無であり、電解コンデンサの陰極側のタブ端子の腐蝕と
嵌合されるゴム封口体の透孔部の膨潤が見られなかっ
た。よって、本発明に係る構造式[1]に示されるカル
ボン酸のジアミノメタン塩を用いた電解液は強アルカリ
を発生しないことが分かる。
【0081】以上のことから本発明に係る構造式[1]
に示されるカルボン酸のジアミノメタン塩を用いた電解
液は、従来の第4級アンモニウム塩を用いた電解液に比
べて優れた電解液特性と長期信頼性があることが分か
る。
【0082】
【発明の効果】上述したように、構造式[1]に示され
るカルボン酸のジアミノメタン塩を溶質としたことによ
り、電圧を印加しても強アルカリの発生しない電解液を
得ることができる。よって、電解コンデンサの陰極側の
タブ端子と嵌合されるゴム封口体の透孔部から外部へ電
解液が漏液しない、従来の第4級のアンモニウム塩を溶
質とした電解コンデンサに比べて長期信頼性に格段に優
れた電解コンデンサを得ることができる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の構造式[1]に示したカルボン酸の
    ジアミノメタン塩を溶質としたことを特徴とするアルミ
    ニウム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化1】 (式中、Xは芳香族カルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン
    酸または脂肪族不飽和ジカルボン酸を示し、Rは置換基
    を示す。Rの炭素数は1〜3である。)
  2. 【請求項2】下記の構造式[2]にて示されるフタル酸
    N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩を
    溶質としたことを特徴とするアルミニウム電解コンデン
    サ駆動用電解液。 【化2】
  3. 【請求項3】下記の構造式[3]に示したマロン酸N,
    N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩を溶質
    としたことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ駆
    動用電解液。 【化3】
  4. 【請求項4】下記の構造式[4]に示したコハク酸N,
    N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩を溶質
    としたことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ駆
    動用電解液。 【化4】
  5. 【請求項5】下記の構造式[5]に示したマレイン酸
    N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩を
    溶質としたことを特徴とするアルミニウム電解コンデン
    サ駆動用電解液。 【化5】
  6. 【請求項6】下記の構造式[6]に示したシトラコン酸
    N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン塩を
    溶質としたことを特徴とするアルミニウム電解コンデン
    サ駆動用電解液。 【化6】
  7. 【請求項7】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔
    とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電解
    コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子
    を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有す
    る電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [1]に示したカルボン酸のジアミノメタン塩を溶解し
    た電解コンデンサ駆動用電解液を用いたことを特徴とす
    るアルミニウム電解コンデンサ。 【化7】 (式中、Xは芳香族カルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン
    酸または脂肪族不飽和ジカルボン酸を示し、Rは置換基
    を示す。Rの炭素数は1〜3である。)
  8. 【請求項8】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔
    とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電解
    コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子
    を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有す
    る電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [2]にて示されるフタル酸N,N,N’,N’−テト
    ラメチルジアミノメタン塩を溶解した電解コンデンサ駆
    動用電解液を用いたことを特徴とするアルミニウム電解
    コンデンサ。 【化8】
  9. 【請求項9】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔
    とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電解
    コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子
    を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有す
    る電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [3]に示したマロン酸N,N,N’,N’−テトラメ
    チルジアミノメタン塩を溶解した電解コンデンサ駆動用
    電解液を用いたことを特徴とするアルミニウム電解コン
    デンサ。 【化9】
  10. 【請求項10】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極
    箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電
    解コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素
    子を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有
    する電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [4]に示したコハク酸N,N,N’,N’−テトラメ
    チルジアミノメタン塩を溶解した電解コンデンサ駆動用
    電解液を用いたことを特徴とするアルミニウム電解コン
    デンサ。 【化10】
  11. 【請求項11】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極
    箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電
    解コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素
    子を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有
    する電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [5]に示したマレイン酸N,N,N’,N’−テトラ
    メチルジアミノメタン塩を溶解した電解コンデンサ駆動
    用電解液を用いたことを特徴とするアルミニウム電解コ
    ンデンサ。 【化11】
  12. 【請求項12】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極
    箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電
    解コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素
    子を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有
    する電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [6]に示したシトラコン酸N,N,N’,N’−テト
    ラメチルジアミノメタン塩を溶解した電解コンデンサ駆
    動用電解液を用いたことを特徴とするアルミニウム電解
    コンデンサ。 【化12】
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