JPH07320985A - アルミニウム電解コンデンサおよびアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサおよびアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液

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JPH07320985A
JPH07320985A JP18652294A JP18652294A JPH07320985A JP H07320985 A JPH07320985 A JP H07320985A JP 18652294 A JP18652294 A JP 18652294A JP 18652294 A JP18652294 A JP 18652294A JP H07320985 A JPH07320985 A JP H07320985A
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electrolytic capacitor
electrolytic
electrolytic solution
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aluminum
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Hidemi Yamada
秀美 山田
Hiroyuki Kurihara
博之 栗原
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Elna Co Ltd
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Elna Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アルミニウム電解コンデンサ内部のアルミニウ
ム電解コンデンサ駆動用電解液が外部に漏洩しないアル
ミニウム電解コンデンサを得る。 【構成】下記の構造式[1]に示したカルボン酸の第4
級アンモニウム塩を溶質としたことを特徴とするアルミ
ニウム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化1】 (式中、Xは芳香族カルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン
酸または脂肪族不飽和ジカルボン酸を示し、Rは置換基
を示す。Rの炭素数は1〜3である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解コンデンサ駆動用電
解液およびその電解コンデンサ駆動用電解液を使用した
アルミニウム電解コンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム電解コンデンサは、表面に
酸化皮膜を形成した陽極箔と陰極箔とをセパレータを介
して巻回したコンデンサ素子に電解コンデンサ駆動用電
解液を含浸し、このコンデンサ素子を封口体とともに外
装ケース内に組み込んだ構造を有する。また、陽極箔お
よび陰極箔にそれぞれ固着されたリード線は封口体を介
して外部に引き出されている。
【0003】このような構造を有するアルミニウム電解
コンデンサ(以下、「電解コンデンサ」という。)は、
電極箔の表面に形成された酸化皮膜を誘電体として用い
ている。電解コンデンサ駆動用電解液(以下、「電解
液」という。)は、この電解コンデンサの陽極箔表面に
形成された酸化皮膜に接し、真の陰極として機能してい
る。さらには、酸化皮膜を誘電体に用いる構造を有する
電解コンデンサは通電中、常に酸化皮膜を電解液との化
学反応により修復し、コンデンサ特性を安定させてい
る。よって、電解コンデンサの特性を向上させるため
に、電解液は高い電気伝導性と優れた酸化皮膜修復能力
および高温使用下での長期信頼性などが求められてい
る。
【0004】電解コンデンサの特性の向上を図るため
に、従来は電解液には非プロトン溶媒を主溶媒としてカ
ルボン酸またはその塩を溶解したものがよく用いられて
いる。最近では、カルボン酸の第4級アンモニウム塩を
溶質とした電解液が高い電気伝導性と優れた酸化皮膜修
復能力および高温使用下での長期信頼性などの特性に優
れているためによく用いられている。
【0005】例えば、特開昭62−145715号公報
にはγ−ブチロラクトンを主溶媒とし、芳香族カルボン
酸の第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液が開示さ
れている。芳香族カルボン酸の第4級アンモニウム塩を
溶質とした電解液は、特に低電圧用電解コンデンサによ
く用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
上述した芳香族カルボン酸の第4級アンモニウム塩など
からなる第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液は、
電圧を印加した場合に電解液のpHが上昇し、強アルカ
リが発生してしまうという問題があった。このために従
来、第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液を使用し
た電解コンデンサに電圧を印加すると、陰極側のタブ端
子近傍の電解液に強アルカリが発生していた。強アルカ
リとなった電解液は、電圧を印加した電解コンデンサの
陰極側のタブ端子を腐蝕させ、さらには陰極側のタブ端
子に嵌合するゴム封口体の透孔部を膨潤させてしまう。
よって、陰極側のゴム封口体に穿設された透孔とタブ端
子との嵌合を弱めて、ゴム封口体とタブ端子の間から電
解液が外部に漏液し易くなるという問題があった。
【0007】この問題点を解決するために、第4級アン
モニウム塩に代えてカルボン酸の第3級アンモニウム塩
を溶質とした電解液など様々な電解液が提案されてい
る。しかし、第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液
と比較すると電気伝導度および長期信頼性などの電解液
の特性が劣っているのが現状である。
【0008】また、第4級アンモニウム塩を溶質とした
電解液をゴム封口体の厚みの薄い小形の電解コンデンサ
に用いるために種々の検討がなされている。例えば、陰
極側のタブ端子の表面に強アルカリへの耐蝕性向上のた
めに化成皮膜を形成したり、強アルカリへの耐蝕性に優
れたゴムを封口体に採用したりしているが、未だ完全に
は解決されていない。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した従来の
課題に鑑みなされたもので、本発明者らは種々の実験と
検討を重ねた結果、上述した課題を克服することのでき
る第4級アンモニウム塩を溶質とした電解液を発明し
た。
【0010】本発明に係る電解液の特徴は、好ましくは
非プロトン溶媒を主溶媒として下記の化13に示す構造
式[1]のカルボン酸の第4級アンモニウム塩を溶質し
たことにある。さらに本発明による電解コンデンサの特
徴は、好ましくは非プロトン溶媒を主溶媒として下記に
示す構造式[1]のカルボン酸の第4級アンモニウム塩
を溶質とした電解液を用いたことにある。
【0011】
【化13】 (式中、Xは芳香族カルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン
酸または脂肪族不飽和ジカルボン酸を示し、Rは置換基
を示す。Rの炭素数は1〜3である。)
【0012】芳香族カルボン酸の具体例としてはフタル
酸、安息香酸、サリチル酸、レゾルシル酸がある。
【0013】構造式[1]に示される芳香族カルボン酸
の第4級アンモニウム塩の代表的な具合例としてはフタ
ル酸ペンタメチルエチレンジアミン塩、安息香酸ペンタ
メチルエチレンジアミン塩、サリチル酸ペンタメチルエ
チレンジアミン塩、レゾルシル酸ペンタメチルエチレン
ジアミン塩、フタル酸ペンタエチルエチレンジン塩、安
息香酸ペンタエチルエチレンジアミン塩、サリチル酸ペ
ンタエチルエチレンジアミン塩、レゾルシル酸ペンタエ
チルエチレンジアミン塩、フタル酸ペンタプロピルエチ
レンジアミン塩、安息香酸ペンタプロピルエチレンジア
ミン塩、サリチル酸ペンタプロピルエチレンジアミン
塩、レゾルシル酸ペンタプロピルエチレンジアミン塩、
フタル酸ペンタブチルエチレンジアミン塩、安息香酸ペ
ンタブチルエチレンジアミン塩、サリチル酸ペンタブチ
ルエチレンジアミン塩、レゾルシル酸ペンタブチルエチ
レンジアミン塩、フタル酸テトラメチルエチルエチレン
ジアミン塩、安息香酸テトラメチルエチルエチレンジア
ミン塩、サリチル酸テトラメチルエチルエチレンジアミ
ン塩、レゾルシル酸テトラメチルエチルエチレンジアミ
ン塩、フタル酸トリメチルジエチルエチレンジアミン
塩、安息香酸トリメチルジエチルエチレンジアミン塩、
サリチル酸トリメチルジエチルエチレンジアミン塩、レ
ゾルシル酸トリメチルジエチルエチレンジアミン塩、フ
タル酸ジメチルジトリエチルエチレンジアミン塩、安息
香酸ジメチルジトリエチルエチレンジアミン塩、サリチ
ル酸ジメチレンジアミン塩またはレゾルシル酸ジメチル
トリエチルエチレンジアミン塩などが挙げられる。
【0014】さらには、下記の化14に示す構造式
[2]のフタル酸ペンタメチルエチレンジアミン塩が容
易に合成して作り出すことできることから、本発明に係
る電解液の溶質として用いることが特に好ましい。
【0015】
【化14】
【0016】また本発明に係る構造式[1]の脂肪族飽
和ジカルボン酸の具体例としてはマロン酸、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼ
ライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二
酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二
酸、タプシン酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二
酸、ノナデカン二酸、アイコサン二酸、またはドコサン
二酸などが挙げられる。
【0017】構造式[1]の脂肪族飽和ジカルボン酸の
第4級アンモニウム塩の代表的な具体例としては、マロ
ン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩、コハク酸ペンタ
メチルエチレンジアミン塩、グルタル酸ペンタメチルエ
チレンジアミン塩、アジピン酸ペンタメチルエチレンジ
アミン塩、マロン酸ペンタエチルエチレンジン塩、コハ
ク酸ペンタエチルエチレンジアミン塩、グルタル酸ペン
タエチルエチレンジアミン塩、アジピン酸ペンタエチル
エチレンジアミン塩、マロン酸ペンタプロピルエチレン
ジアミン塩、コハク酸ペンタプロピルエチレンジアミン
塩、グルタル酸ペンタプロピルエチレンジアミン塩、ア
ジピン酸ペンタプロピルエチレンジアミン塩、マロン酸
ペンタブチルエチレンジアミン塩、コハク酸ペンタブチ
ルエチレンジアミン塩、グルタル酸ペンタブチルエチレ
ンジアミン塩、アジピン酸ペンタブチルエチレンジアミ
ン塩、マロン酸テトラメチルエチルエチレンジアミン
塩、コハク酸テトラメチルエチルエチレンジアミン塩、
グルタル酸テトラメチルエチルエチレンジアミン塩、ア
ジピン酸テトラメチルエチルエチレンジアミン塩、マロ
ン酸トリメチルジエチルエチレンジアミン塩、コハク酸
トリメチルジエチルエチレンジアミン塩、グルタル酸ト
リメチルジエチルエチレンジアミン塩、レゾルシル酸ト
リメチルジエチルエチレンジアミン塩、マロン酸ジメチ
ルジトリエチルエチレンジアミン塩、コハク酸ジメチル
ジトリエチルエチレンジアミン塩、グルタル酸ジメチレ
ンジアミン塩またはアジピン酸ジメチルトリエチルエチ
レンジアミン塩などが挙げられる。
【0018】さらには、下記の化15に示す構造式
[3]のマロン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩また
は下記の化16に示す構造式[4]のコハク酸ペンタメ
チルエチレンジアミン塩が容易に合成して作り出すこと
できることから、本発明に係る電解液の溶質として用い
ることが特に好ましい。
【0019】
【化15】
【0020】
【化16】
【0021】さらに本発明に係る構造式[1]の脂肪族
不飽和ジカルボン酸の具体例としてはマレイン酸、シト
ラコン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコン酸、アリ
ルマロン酸、テラコン酸、メサコン酸またはムコン酸な
どがある。
【0022】脂肪族不飽和ジカルボン酸の第4級アンモ
ニウム塩の代表的な具体例としては、マレイン酸ペンタ
メチルエチレンジアミン塩、シトラコン酸ペンタメチル
エチレンジアミン塩、フマル酸ペンタメチルエチレンジ
アミン塩、イタコン酸ペンタメチルエチレンジアミン
塩、マレイン酸ペンタエチルエチレンジン塩、シトラコ
ン酸ペンタエチルエチレンジアミン塩、フマル酸ペンタ
エチルエチレンジアミン塩、イタコン酸ペンタエチルエ
チレンジアミン塩、マレイン酸ペンタプロピルエチレン
ジアミン塩、シトラコン酸ペンタプロピルエチレンジア
ミン塩、フマル酸ペンタプロピルエチレンジアミン塩、
イタコン酸ペンタプロピルエチレンジアミン塩、マレイ
ン酸ペンタブチルエチレンジアミン塩、シトラコン酸ペ
ンタブチルエチレンジアミン塩、フマル酸ペンタブチル
エチレンジアミン塩、イタコン酸ペンタブチルエチレン
ジアミン塩、マレイン酸テトラメチルエチルエチレンジ
アミン塩、シトラコン酸テトラメチルエチルエチレンジ
アミン塩、フマル酸テトラメチルエチルエチレンジアミ
ン塩、イタコン酸テトラメチルエチルエチレンジアミン
塩、マレイン酸トリメチルジエチルエチレンジアミン
塩、シトラコン酸トリメチルジエチルエチレンジアミン
塩、フマル酸トリメチルジエチルエチレンジアミン塩、
イタコン酸トリメチルジエチルエチレンジアミン塩、マ
レイン酸ジメチルジトリエチルエチレンジアミン塩、シ
トラコン酸ジメチルジトリエチルエチレンジアミン塩、
フマル酸ジメチレンジアミン塩またはイタコン酸ジメチ
ルトリエチルエチレンジアミン塩などが挙げられる。
【0023】さらには、下記の化17に示す構造式
[5]のマレイン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩ま
たは下記の化18に示す構造式[6]のシトラコン酸ペ
ンタメチルエチレンジアミン塩が容易に合成して作り出
すことできることから、本発明に係る電解液の溶質とし
て用いることが特に好ましい。
【0024】
【化17】
【0025】
【化18】
【0026】本発明に係る電解液において、電解液中の
構造式[1]に示されるカルボン酸の第4級アンモニウ
ム塩の含有量は種々に選択し得るが、含有量が1重量%
未満であると電解液特性が不充分である。また、構造式
[1]に示されるカルボン酸の第4級アンモニウム塩の
電解液中の含有量が60重量%を超えると、構造式
[1]に示されるカルボン酸の第4級アンモニウム塩が
溶解しづらくなる。よって、構造式[1]に示されるカ
ルボン酸の第4級アンモニウム塩の含有量は電解液中1
重量%〜60重量%が好ましい。さらには、飽和溶液の
状態が最も電気伝導度が高く好適である。しかし、構造
式[1]に示されるカルボン酸の第4級アンモニウム塩
の電解液中の含有量が40重量%を超えると、低温で構
造式[1]に示されるカルボン酸の第4級アンモニウム
塩が析出しやすくなるので、さらに好ましくは10重量
%〜40重量%である。
【0027】本発明に係る電解液に溶媒として用いる非
プロトン溶媒としてはβ−ブチロラクトン、γ−ブチロ
ラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、
γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−ヘプタ
ラクトン、γ−ヒドロキシ−n−カプリル酸ラクトン、
γ−ノナラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクト
ンおよびγ−ウンデカラクトンなどのラクトン類が挙げ
られ、これらのラクトン類を単独または混合して溶媒と
して用いるのが好ましい。特に好ましくは、γ−ブチロ
ラクトンを用いるのが安価であり好ましい。また、本発
明に用いられる非プロトン溶媒はラクトン類のみに限定
するものではない。
【0028】また、本発明においては非プロトン溶媒を
単独で用いてもよいが、非プロトン溶媒に他の溶媒を混
合してもよい。この場合、混合する溶媒はグリコール類
が好ましい。非プロトン溶媒にグリコール類を混合した
場合は、非プロトン溶媒単独で本発明に係る構造式
[1]に示される第4級アンモニウム塩を溶解するより
も高い電気伝導度を得られやすい。非プロトン溶媒に混
合するグリコール類としてはエチレングリコール、エチ
レングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコ
ールジアルキルエ−テル、プロピレングリコール、ジエ
チレングリコール、ジエチレングリコールモノアルキル
エーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、
ポリエチレングリコールおよびグリセリンなどが挙げら
る。これらグリコール類を各々単独で非プロトン溶媒と
混合して主溶媒として用いるか、これらのグリコール類
を混合するとともに非プロトン溶媒とも混合して主溶媒
として用いるのが好ましい。さらには、エチレングリコ
ールを非プロトン溶媒に混合して用いるのが安価である
ので好ましい。また、本発明で混合される溶媒はグリコ
ール類のみに限定するものではない。
【0029】本発明に係る電解液において、ラクトン類
とグリコール類の混合割合は重量比95対5から80対
20程度が電解液の特性上好適である。
【0030】従って、本発明はラクトン類とグリコール
類を混合して主溶媒とし、上述した構造式[2]を有す
るフタル酸ペンタメチルエチレンジアミン塩、または構
造式[3]を有するマロン酸ペンタメチルエチレンジア
ミン塩、または構造式[4]を有するコハク酸ペンタメ
チルエチレンジアミン塩、または構造式[5]を有する
マレイン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩、または構
造式[6]を有するシトラコン酸ペンタメチルエチレン
ジアミン塩を溶解して電解液とするのがより好ましい。
【0031】以上のことから本発明に係る電解コンデン
サは、ラクトン類とグリコール類を混合して主溶媒と
し、構造式[2]を有するフタル酸ペンタメチルエチレ
ンジアミン塩、または構造式[3]を有するマロン酸ペ
ンタメチルエチレンジアミン塩、または構造式[4]を
有するコハク酸ペンタメチルエチレンジアミン塩、また
は構造式[5]を有するマレイン酸ペンタメチルエチレ
ンジアミン塩、または構造式[6]を有するシトラコン
酸ペンタメチルエチレンジアミン塩を溶解して電解液と
して用いるのがより好ましい。
【0032】本発明に係る電解液は、本発明に係る電解
液の酸化皮膜修復能力などの電解液特性を向上させるた
めに無機酸を電解液中に添加してもよい。さらには、無
機酸塩を電解液特性向上のために電解液中に添加しても
よい。また、無機酸および無機酸塩を混合して電解液中
に添加してもよい。
【0033】添加する無機酸および無機酸塩の種類と電
解液への添加量は硼酸0.1重量%〜10重量%、好ま
しくは0.1重量%〜5重量%、硼酸塩0.1重量%〜
10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、リン
酸0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%
〜5重量%およびリン酸塩0.1重量%〜10重量%、
好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
【0034】また、上述した無機酸および無機酸塩と同
様に本発明に係る電解液の酸化皮膜修復能力などの電解
液特性向上のためにマンニット、ソルビットなどの多糖
類を添加してもよい。さらには、多糖類を無機酸または
無機酸塩と混合して電解液中に添加してもよい。多糖類
の電解液への添加量は各々0.1重量%〜10重量%、
好ましくは0.1重量%〜5重量%である。
【0035】さらには、ニトロ化合物などをガス吸収剤
として0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.1重
量%〜5重量%添加してもよい。
【0036】さらに、電解コンデンサの初期の損失角の
正接(tanδ)を改善するために、本発明に係る電解
液にケトン類を0.1重量%〜10重量%、好ましくは
0.1重量%〜5重量%を添加してもよい。
【0037】本発明に係る電解液のpHは必要に応じて
所望のpH調整剤を添加することによりpH4〜pH1
2、好ましくはpH5〜pH7に調整される。また、電
解液中に水分が存在するとアルミニウム箔の腐蝕の原因
などとなるので、存在しないのがより望ましいが、5重
量%程度以下であれば特に不都合は生じない。
【0038】
【実施例】まず、本発明に係る芳香族カルボン酸の第4
級アンモニウム塩を用いた電解液の組成を比較例ととも
に説明する。なお、比較例1および実施例1について
は、電気伝導度(μS/cm;液温40℃にて)と火花
発生電圧(V;液温85℃にて)を測定した。
【0039】〈比較例1〉 電解液組成;フタル酸テトラメチルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 74重量% 水 1重量% 電気伝導度は13000μS/cm、火花発生電圧は5
0Vであった。
【0040】〈比較例2〉 電解液組成;フタル酸テトラメチルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 5重量%
【0041】〈比較例3〉 電解液組成;安息香酸テトラプロピルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% ジエチレングリコール 15重量%
【0042】〈比較例4〉 電解液組成;サリチル酸メチルトリエチルアンモニウム塩 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0043】〈比較例5〉 電解液組成;レゾルシル酸テトラプロピルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量%
【0044】〈実施例1〉 電解液組成;フタル酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 74重量% 水 1重量% 電気伝導度は13000μS/cm、火花発生電圧は8
5Vであった。
【0045】〈実施例2〉 電解液組成;フタル酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 5重量%
【0046】〈実施例3〉 電解液組成;安息香酸ペンタエチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% ジエチレングリコール 15重量%
【0047】〈実施例4〉 電解液組成;サリチル酸ペンタエチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0048】〈実施例5〉 電解液組成;レゾルシル酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量%
【0049】〈実施例6〉 電解液組成;フタル酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 67重量% エチレングリコール 10重量% マンニット 3重量%
【0050】〈実施例7〉 電解液組成;安息香酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 79重量% p−ニトロ安息香酸 1重量%
【0051】〈実施例8〉 電解液組成;フタル酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−バレロラクトン 65重量% ジエチレングリコール 10重量%
【0052】〈実施例9〉 電解液組成;フタル酸テトラメチルエチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 40重量% γ−バレロラクトン 35重量%
【0053】比較例1の電解液と実施例1の電解液を用
いて定格電圧6.3V100μF(製品サイズ;直径1
8mm、軸長5mm)の電解コンデンサを各々50個作
製した。次に、比較例1および実施例1の電解液にて作
製した電解コンデンサに、定格電圧6.3Vを印加しな
がら110℃の温度下で負荷試験を2000時間実施し
た。高温負荷試験後に、比較例1および実施例1の電解
コンデンサの電解液の漏液検査を目視にて行なった。こ
れを比較例1および実施例1の電解液の電気伝導度およ
び火花発生電圧とともに電解コンデンサの漏液個数を表
1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】比較例1および実施例1の電解液はともに
電気伝導度は同等であるが、実施例1の電解液は比較例
1の電解液と比べて火花発生電圧が高い。さらには、比
較例1および実施例1の電解液を用いて作製した電解コ
ンデンサの高温負荷試験後の目視検査の結果、従来のカ
ルボン酸の第4級アンモニウム塩を溶質とした比較例1
の電解コンデンサは多数漏液しているのに比べて実施例
1の電解コンデンサは電解液の漏液が皆無であることが
分かる。
【0056】次に、比較例2〜比較例5および実施例2
〜実施例9による電解液を用いて定格電圧63V33μ
F(製品サイズ;直径6.3mm、軸長7mm)の電解
コンデンサを各々50個作製し、静電容量(μF)、損
失角の正接(tanδ)および漏れ電流(1分値;μ
A)を測定した。次に、作製した電解コンデンサに定格
電圧63Vを印加しながら温度85℃、湿度85%の雰
囲気中に3000時間暴露して負荷試験を行なった。
【0057】比較例2〜比較例5および実施例2〜実施
例9による電解液を用いて作製した電解コンデンサそれ
ぞれの静電容量(μF)、損失角の正接(tanδ)お
よび漏れ電流(1分値;μA)の平均値と、負荷試験後
の電解コンデンサの外部への電解液の漏液状態を目視検
査した結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】実施例2〜実施例9の電解コンデンサは比
較例2〜比較例5の電解コンデンサに比べて損失角の正
接(tanδ)および漏れ電流(1分値;μA)に優れ
ていることが分かる。さらには、比較例2〜比較例5の
電解コンデンサは各々50個中6個〜8個漏液が発生
し、電解コンデンサの陰極側のタブ端子と嵌合されるゴ
ム封口体の透孔部が腐蝕および膨潤していることが確認
された。これに対して実施例2〜実施例9の電解コンデ
ンサの漏液は皆無であり、電解コンデンサの陰極側のタ
ブ端子と嵌合されるゴム封口体の透孔部に腐蝕および膨
潤が見られなかった。よって、本発明に係る構造式
[1]に示される芳香族カルボン酸の第4級アンモニウ
ム塩を用いた電解液は強アルカリを発生しないことが分
かる。
【0060】以上のことから本発明に係る構造式[1]
に示される芳香族カルボン酸の第4級アンモニウム塩を
用いた電解液は、従来の第4級アンモニウム塩を用いた
電解液に比べて優れた電解液特性と長期信頼性があるこ
とが分かる。
【0061】次に、本発明に係る脂肪族飽和ジカルボン
酸の第4級アンモニウム塩を用いた電解液の組成を比較
例とともに説明する。なお、比較例6、7および実施例
10、11については、電気伝導度(μS/cm;液温
40℃にて)と火花発生電圧(V;液温85℃にて)を
測定した。
【0062】〈比較例6〉 電解液組成;マロン酸テトラメチルアンモニウム塩 23重量% γ−ブチロラクトン 76重量% 水 1重量% 電気伝導度は9000μS/cm、火花発生電圧は60
Vであった。
【0063】〈比較例7〉 電解液組成;コハク酸テトラメチルアンモニウム塩 20重量% γ−ブチロラクトン 79重量% 水 1重量% 電気伝導度は8500μS/cm、火花発生電圧は82
Vであった。
【0064】〈比較例8〉 電解液組成;マロン酸テトラメチルアンモニウム塩 20重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 10重量%
【0065】〈比較例9〉 電解液組成;コハク酸テトラプロピルアンモニウム塩 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% ジエチレングリコール 20重量%
【0066】〈比較例10〉 電解液組成;グルタル酸メチルトリエチルアンモニウム塩 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0067】〈比較例11〉 電解液組成;アジピン酸テトラプロピルアンモニウム塩 22重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 18重量%
【0068】〈実施例10〉 電解液組成;マロン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 23重量% γ−ブチロラクトン 76重量% 水 1重量% 電気伝導度は9000μS/cm、火花発生電圧は95
Vであった。
【0069】〈実施例11〉 電解液組成;コハク酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 79重量% 水 1重量% 電気伝導度は8500μS/cm、火花発生電圧は10
5Vであった。
【0070】〈実施例12〉 電解液組成;マロン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 10重量%
【0071】〈実施例13〉 電解液組成;コハク酸ペンタエチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% ジエチレングリコール 20重量%
【0072】〈実施例14〉 電解液組成;グルタル酸ペンタエチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0073】〈実施例15〉 電解液組成;アジピン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 22重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 18重量%
【0074】〈実施例16〉 電解液組成;マロン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 67重量% エチレングリコール 10重量% ソルビット 3重量%
【0075】〈実施例17〉 電解液組成;コハク酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 79重量% p−ニトロベンズアルデヒド 1重量%
【0076】〈実施例18〉 電解液組成;マロン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−バレロラクトン 65重量% ジエチレングリコール 10重量%
【0077】〈実施例19〉 電解液組成;マロン酸テトラメチルエチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 40重量% γ−バレロラクトン 35重量%
【0078】比較例6、比較例7、実施例10および実
施例11の電解液を用いて定格電圧50V4.7μF
(製品サイズ;直径5mm、軸長5mm)の電解コンデ
ンサを各々50個作製した。次に、作製した電解コンデ
ンサに定格電圧50Vを印加しながら110℃の温度下
で負荷試験を2000時間実施した。次に、高温負荷試
験後の各々電解コンデンサからの電解液の漏液の有無を
目視にて検査した。表3に電解コンデンサ漏液個数を電
解液の電気伝導度および火花発生電圧とともに示す。
【0079】
【表3】
【0080】電解液の電気伝導度は比較例6の電解液と
実施例10の電解液ともに9000μS/cm、比較例
7の電解液と実施例11の電解液はともに8500μS
/cmであり比較例と実施例に差異は見られない。しか
し、電解液の火花発生電圧は比較例6の電解液が60V
であるのに対して実施例10の電解液は95V、同様に
比較例7の電解液が82Vであるのに対して実施例11
の電解液は105Vであり、実施例の電解液は比較例の
電解液と比較して火花発生電圧が格段に高い。さらに
は、高温負荷試験後の電解液の漏液を起こした電解コン
デンサの個数が比較例6および比較例7は9個〜10個
漏液しているのに比べて、実施例10および実施例11
は電解液の漏液個数が皆無である。
【0081】次に、比較例8〜比較例11および実施例
12〜実施例19による電解液を用いて定格電圧63V
27μF(製品サイズ;直径8mm、軸長5mm)の電
解コンデンサを各々50個作製し、静電容量(μF)、
損失角の正接(tanδ)および漏れ電流(1分値;μ
A)を測定した。次に、作製した電解コンデンサに定格
電圧63Vを印加しながら温度85℃、湿度85%の雰
囲気中に3000時間暴露して負荷試験を行なった。
【0082】比較例8〜比較例11および実施例12〜
実施例19による電解液を用いて作製した電解コンデン
サそれぞれの静電容量(μF)、損失角の正接(tan
δ)および漏れ電流(1分値;μA)の平均値と、負荷
試験後の電解コンデンサの外部への電解液の漏液の有無
を目視検査した結果を表4に示す。
【0083】
【表4】
【0084】
実施例12〜実施例19の電解コンデンサは比較例8
〜比較例11の電解コンデンサに比べて損失角の正接
(tanδ)および漏れ電流(1分値;μA)に優れて
いることが分かる。さらには、比較例8〜比較例11の
電解コンデンサは各々50個中10個〜14個漏液が発
生し、電解コンデンサの陰極側のタブ端子と嵌合される
ゴム封口体の透孔部が腐蝕および膨潤していることが確
認された。これに対して実施例12〜実施例19の電解
コンデンサの漏液は皆無であり、電解コンデンサの陰極
側のタブ端子と嵌合されるゴム封口体の透孔部に腐蝕お
よび膨潤が見られなかった。よって、本発明に係る構造
式[1]の脂肪族飽和ジカルボン酸の第4級アンモニウ
ム塩を用いた電解液は強アルカリを発生しないことが分
かる。
【0085】以上のことから本発明に係る構造式[1]
の脂肪族飽和ジカルボン酸の第4級アンモニウム塩を用
いた電解液は、従来の第4級アンモニウム塩を用いた電
解液に比べて優れた電解液特性と長期信頼性があること
が分かる。
【0086】さらに本発明に係る脂肪族不飽和ジカルボ
ン酸の第4級アンモニウム塩を用いた電解液の組成を比
較例とともに説明する。なお、比較例12および実施例
20については、電気伝導度(μS/cm;液温40℃
にて)と火花発生電圧(V;液温85℃にて)を測定し
た。
【0087】〈比較例12〉 電解液組成;マレイン酸テトラエチルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 74重量% 水 1重量% 電気伝導度は19000μS/cm、火花発生電圧は4
5Vであった。
【0088】〈比較例13〉 電解液組成;マレイン酸テトラメチルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 5重量%
【0089】〈比較例14〉 電解液組成;シトラコン酸テトラプロピルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% ジエチレングリコール 15重量%
【0090】〈比較例15〉 電解液組成;フマル酸メチルトリエチルアンモニウム塩 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0091】〈比較例16〉 電解液組成;イタコン酸テトラプロピルアンモニウム塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量% プロピレングリコール 10重量%
【0092】〈実施例20〉 電解液組成;マレイン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 74重量% 水 1重量% 電気伝導度は19000μS/cm、火花発生電圧は6
0Vであった。
【0093】〈実施例21〉 電解液組成;マレイン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 70重量% エチレングリコール 5重量%
【0094】〈実施例22〉 電解液組成;シトラコン酸ペンタエチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% ジエチレングリコール 15重量%
【0095】〈実施例23〉 電解液組成;フマル酸ペンタエチルエチレンシアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 10重量% プロピレングリコール 10重量%
【0096】〈実施例24〉 電解液組成;イタコン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 60重量% エチレングリコール 15重量%
【0097】〈実施例25〉 電解液組成;マレイン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 67重量% エチレングリコール 10重量% マンニット 3重量%
【0098】〈実施例26〉 電解液組成;シトラコン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 20重量% γ−ブチロラクトン 79重量% p−ニトロフェノール 1重量%
【0099】〈実施例27〉 電解液組成;マレイン酸ペンタメチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−バレロラクトン 65重量% ジエチレングリコール 10重量%
【0100】〈実施例28〉 電解液組成;マレイン酸テトラメチルエチルエチレンジアミン塩 25重量% γ−ブチロラクトン 40重量% γ−バレロラクトン 35重量%
【0101】比較例12の電解液と実施例20の電解液
を用いて定格電圧10V120μF(製品サイズ;直径
6.3mm軸長7mm)の電解コンデンサを各々50個
作製した。次に、作製した電解コンデンサに定格電圧1
0Vを印加しながら110℃の温度下で負荷試験を20
00時間実施した。次に、高温負荷試験後の各々の電解
コンデンサからの電解液の漏液の有無を目視にて検査し
た。表5に電解コンデンサの漏液個数を電解液の電気伝
導度および火花発生電圧とともに示す。
【0102】
【表5】
【0103】比較例12の電解液と実施例20の電解液
の電気伝導度は19000μS/cmと同等である。し
かし、比較例12の電解液の火花発生電圧が45Vであ
るのに対して実施例20の電解液の火花発生電圧は60
Vであり、実施例20の電解液は比較例12の電解液と
比べて火花発生電圧が格段に高い。さらには、高温負荷
試験後の電解液の漏液を起こした電解コンデンサの個数
が比較例12は31個あるのに対して実施例20の電解
コンデンサは電解液の漏液が皆無であることが分かる。
【0104】次に、比較例13〜比較例16および実施
例21〜実施例28による電解液を用いて定格電圧35
V33μF(製品サイズ;直径6.3mm、軸長5m
m)の電解コンデンサを各々50個作製し、静電容量
(μF)、損失角の正接(tanδ)および漏れ電流
(1分値;μA)を測定した。その後、作製した電解コ
ンデンサに定格電圧35Vを印加しながら温度85℃、
湿度85%の雰囲気中に3000時間暴露して負荷試験
を行なった。
【0105】比較例13〜比較例16および実施例21
〜実施例28による電解液を用いて作製した電解コンデ
ンサそれぞれの静電容量(μF)、損失角の正接(ta
nδ)および漏れ電流(1分値;μA)の平均値と、負
荷試験後の電解コンデンサの外部への電解液の漏液の有
無を目視検査した結果を表6に示す。
【0106】
【表6】
【0107】実施例21〜実施例28の電解コンデンサ
は比較例13〜比較例16の電解コンデンサに比べて損
失角の正接(tanδ)および漏れ電流(1分値;μ
A)に優れていることが分かる。さらには、比較例13
〜比較例16の電解コンデンサは各々50個中9個〜1
3個漏液が発生し、電解コンデンサの陰極側のタブ端子
と嵌合されるゴム封口体の透孔部が腐蝕および膨潤して
いることが確認された。これに対して実施例21〜実施
例28の電解コンデンサの漏液は皆無であり、電解コン
デンサの陰極側のタブ端子と嵌合されるゴム封口体の透
孔部に腐蝕および膨潤が見られなかった。よって、本発
明に係る構造式[1]の脂肪族不飽和ジカルボン酸の第
4級アンモニウム塩を用いた電解液は強アルカリを発生
しないことが分かる。
【0108】以上のことから本発明に係る構造式[1]
の脂肪族不飽和ジカルボン酸の第4級アンモニウム塩を
用いた電解液は、従来の第4級アンモニウム塩を用いた
電解液に比べて優れた電解液特性と長期信頼性があるこ
とが分かる。
【0109】
【発明の効果】上述したように、非プロトン溶媒に構造
式[1]に示されるカルボン酸の第4級アンモニウム塩
を溶解したことにより、電圧を印加しても強アルカリの
発生しない電解液を得ることができる。よって、電解コ
ンデンサの陰極側のタブ端子と嵌合されるゴム封口体の
透孔部から外部へ電解液が漏液しない、従来の第4級の
アンモニウム塩を溶質とした電解コンデンサに比べて長
期信頼性に格段に優れた電解コンデンサを得ることがで
きる。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の構造式[1]に示したカルボン酸の
    第4級アンモニウム塩を溶質としたことを特徴とするア
    ルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化1】 (式中、Xは芳香族カルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン
    酸または脂肪族不飽和ジカルボン酸を示し、Rは置換基
    を示す。Rの炭素数は1〜3である。)
  2. 【請求項2】下記の構造式[2]にて示されるフタル酸
    ペンタメチルエチレンジアミン塩を溶質としたことを特
    徴とするアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化2】
  3. 【請求項3】下記の構造式[3]に示したマロン酸ペン
    タメチルエチレンジアミン塩を溶質としたことを特徴と
    するアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化3】
  4. 【請求項4】下記の構造式[4]に示したコハク酸ペン
    タメチルエチレンジアミン塩を溶質としたことを特徴と
    するアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化4】
  5. 【請求項5】下記の構造式[5]に示したマレイン酸ペ
    ンタメチルエチレンジアミン塩を溶質としたことを特徴
    とするアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化5】
  6. 【請求項6】下記の構造式[6]に示したシトラコン酸
    ペンタメチルエチレンジアミン塩を溶質としたことを特
    徴とするアルミニウム電解コンデンサ駆動用電解液。 【化6】
  7. 【請求項7】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔
    とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電解
    コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子
    を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有す
    る電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [1]に示したカルボン酸の第4級アンモニウム塩を溶
    解した電解コンデンサ駆動用電解液を用いたことを特徴
    とするアルミニウム電解コンデンサ。 【化7】 (式中、Xは芳香族カルボン酸、脂肪族飽和ジカルボン
    酸または脂肪族不飽和ジカルボン酸を示し、Rは置換基
    を示す。Rの炭素数は1〜3である。)
  8. 【請求項8】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔
    とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電解
    コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子
    を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有す
    る電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [2]にて示されるフタル酸ペンタメチルエチレンジア
    ミン塩を溶解した電解コンデンサ駆動用電解液を用いた
    ことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。 【化8】
  9. 【請求項9】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極箔
    とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電解
    コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素子
    を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有す
    る電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [3]に示したマロン酸ペンタメチルエチレンジアミン
    塩を溶解した電解コンデンサ駆動用電解液を用いたこと
    を特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。 【化9】
  10. 【請求項10】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極
    箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電
    解コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素
    子を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有
    する電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [4]に示したコハク酸ペンタメチルエチレンジアミン
    塩を溶解した電解コンデンサ駆動用電解液を用いたこと
    を特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。 【化10】
  11. 【請求項11】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極
    箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電
    解コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素
    子を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有
    する電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [5]に示したマレイン酸ペンタメチルエチレンジアミ
    ン塩を溶解した電解コンデンサ駆動用電解液を用いたこ
    とを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。 【化11】
  12. 【請求項12】アルミニウム陽極箔とアルミニウム陰極
    箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に電
    解コンデンサ駆動用電解液を含浸し、このコンデンサ素
    子を封口体とともに外装ケース内に組み込んだ構造を有
    する電解コンデンサにおいて、溶媒に、下記の構造式
    [6]に示したシトラコン酸ペンタメチルエチレンジア
    ミン塩を溶解した電解コンデンサ駆動用電解液を用いた
    ことを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ。 【化12】
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