JPH06309688A - 光集積回路、光ピックアップおよび光情報処理装置 - Google Patents

光集積回路、光ピックアップおよび光情報処理装置

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JPH06309688A
JPH06309688A JP5101548A JP10154893A JPH06309688A JP H06309688 A JPH06309688 A JP H06309688A JP 5101548 A JP5101548 A JP 5101548A JP 10154893 A JP10154893 A JP 10154893A JP H06309688 A JPH06309688 A JP H06309688A
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貴彦 中野
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武尚 石原
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政宏 河村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造プロセスの簡略化が図れ、量産性の向上
と大幅なコストダウンが可能になる光集積回路を実現す
る。 【構成】 透明樹脂材料をモールドする時に光電子集積
基板10をその内部に取り込んで光集積回路1を作製す
る。発光素子11、受光素子12および電子集積回路等
の電子デバイスは、表面実装技術等の既存の半導体プロ
セス技術を用いて直接光電子集積基板10上に形成され
る。また、ホログラムビームスプリッタ14、集光機能
を持つホログラムレンズ15等の光学部品も同様に既存
の半導体プロセス技術を用い、かつ刻印技術を用いて光
電子集積基板10表面の所定箇所に溝形状を刻み込むこ
とにより形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばレーザビームを
微細な光スポットに絞って光ディスク等の情報記録媒体
の記録面に入射させ、記録面からの反射光を多分割受光
素子等の検出手段により検出し、これにより、光ディス
ク等に書き込まれた信号情報を読み取るために供される
光集積回路およびこのような光集積回路を備えた光ピッ
クアップ、並びにこのような光集積回路を備えたレーザ
プリンタや光距離計等の光情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク上に記録された信号情報を読
み取る光ピックアップには、フォーカシング用及びトラ
ッキング用のサーボ機能が搭載され、このサーボ機能に
より、光ディスクの回転に伴う面振れや偏心等のメカニ
カルな変動に、光ピックアップを精度良く追従させてい
る。
【0003】ところで、光ピックアップの追従性を向上
させ、その信頼性を高めるためには、光ピックアップの
小型化および軽量化を図る必要がある。すなわち、その
ようにすれば、光ピックアップの可動部を高速で駆動で
き、また慣性の悪影響を抑制できるからである。
【0004】このような要請に答える小型化、軽量化さ
れた光ピックアップの一従来例として、特開昭62−1
17150号公報に開示されたものがある。図8はこの
光ピックアップを示す。直方体状をなす透明基板100
0の上面には、例えば半導体レーザ素子からなる発光素
子1001が取り付けられており、発光素子1001か
ら透明基板1000の内部に向けて出射されるレーザ拡
散光は、透明基板1000の上面に形成された回折格子
1002によって図上右側に相当する方向に光路を変更
される。
【0005】続いて、透明基板1000の表裏(上下)
両面に形成された反射面(全反射面)1003、100
4、1005によって順に反射され、透明基板1000
内をジグザグ状に伝送される。そして、透明基板100
0の上面に形成された回折格子1006によって平行光
線化され、回折格子1006の真上の位置に所定距離を
隔てて別途設けられた対物レンズ1007によって光デ
ィスク1110の記録面に集光される。これにより、光
ディスク1110の記録面に光スポットが形成される。
【0006】光ディスク1110からの反射光は、上記
とは逆の経路を辿って透明基板1000内を図上左側に
相当する方向に伝送され、透明基板1000の裏面に形
成した凹レンズ1008、上面に形成されたシリンドカ
ルレンズ1009の各反射面で反射され、最終的に多分
割受光素子1010に検出され、これによりディスク面
に記録された信号情報の読み取りが行われる。また、多
分割受光素子1010の検出結果を利用して、フォーカ
シングサーボおよびトラッキングサーボが行われる。
【0007】ところで、上記構成の光ピックアップは、
回折格子1002、1006、凹レンズ1008および
シリンドカルレンズ1009等の光学部品を透明基板1
000の表裏両面に組み付ける構成をとるため、これら
光学部品相互の透明基板1000に対する位置決めが困
難であり、組み付け精度上の制約により、組み付け作業
が煩わしく、コストアップを招来するという欠点があ
る。
【0008】このような欠点を解消するために、上記の
特開昭62−117150号公報では、光学部品に相当
する光学素子を透明基板1000の表裏両面に成形技術
を利用して一体成形する方法が他の実施例として開示さ
れている。
【0009】しかるに、この他の実施例においても、上
記構成同様に透明基板1000に別体の対物レンズ10
07を組み付ける構成をとるため、依然として組み付け
精度上の制約により、迅速な組み付け作業が行えず、コ
ストアップを招来するという欠点がある。また、対物レ
ンズ1007と回折格子1006との間に所定の離隔寸
法を必要とするため、光ピックアップの厚み寸法が全体
として大きくなり、特に光ピックアップの薄型化を図る
上でのネックになっていた。
【0010】このような従来技術の欠点を解消するもの
として、本願出願人が、例えば特願平3−332232
号で先に提案したものがある。図9および図10はこの
光ピックアップに搭載される光集積回路を示す。
【0011】この光集積回路200は、直方体状をなす
透明基板230の上面における一端側にシリコン基板か
らなる光電子集積基板240を組み付けて構成される。
透明基板230は刻印技術を含む成型法により形成され
る。すなわち、一例として、PMMAやPC等の透明樹
脂材料を金型内に流し込み、同時に上下(表裏)両面に
刻印技術を用いて0次光、±1次光の3ビームを形成す
るための回折格子232、ピッチの異なる2種類の回折
格子からなるホログラムビームスプリッタ233および
ホログラムコリメートレンズ234が形成される。ま
た、反射用のミラー236および非球面対物レンズ23
5が形成される。
【0012】具体的には、該透明基板230の上面23
0aにおける長手方向他端部に、非球面対物レンズ23
5が膨出形成され、下面230bにおける非球面対物レ
ンズ235の真下に位置する部分にホログラムコリメー
トレンズ234が形成されている。また、ホログラムビ
ームスプリッタ233は、上面230aの長手方向中央
部から非球面対物レンズ235側に若干偏位した位置に
形成される。更に、下面230bの長手方向中央部に3
ビーム形成用の回折格子232が形成されている。
【0013】加えて、上面230aの長手方向一端部に
は、底面側に向けて狭幅になった角穴状をなす収納凹部
231が形成されている。この収納凹部231は、透明
基板230の上面側に組み付けられている光電子集積基
板240に組み込まれた半導体レーザ素子241および
この半導体レーザ素子241が搭載されたサブマウント
243を収納するために設けられる。
【0014】このような構成によれば、組み付け状態に
おいて半導体レーザ素子241が外部から密閉されるの
で、半導体レーザ素子241に水分が付着する等してそ
の寿命が劣化することがない。また、半導体レーザ素子
241の出力の安定化が図られる。
【0015】図10に示すように、光電子集積基板24
0の表面には半導体レーザ素子241の出力をモニター
するための受光素子242、その制御回路(図示せ
ず)、多分割フォトダイオードからなる多分割受光素子
244、およびその信号処理回路(図示せず)がモノシ
リックに組み付けられている。具体的には、表面実装技
術等の既存の製造プロセス技術を用いて組み付けられ
る。そして、その後、半導体レーザ素子241が搭載さ
れたサブマウント243が組み付けられる。
【0016】サブマウント243は図示するように、三
角柱状をなし、傾斜面243aの上端部に半導体レーザ
素子241が実装されている。サブマウント243と光
電子集積基板240との電気的な接続は、該サブマウン
ト243と、光電子集積基板240の表面に形成された
電極ランド246とをワイヤボンディングして行われ
る。
【0017】また、モニター手段としての受光素子24
2は、半導体レーザ素子241から出射されるレーザビ
ームを受光し、受光量を電気信号に光電変換して制御回
路にフィードバック信号として与える。これにより、制
御回路が半導体レーザ素子241の出力レベルを常時一
定の値に制御する。
【0018】信号処理回路はノイズフィルタ、アンプ等
を備えており、多分割受光素子244から与えられる検
出信号を信号処理して、光電子集積基板240の長手方
向一端部における表面に形成された電極ランド245を
介して外部に出力する。
【0019】このような構成の光集積回路によれば、そ
の製造プロセスにより上記した従来技術の欠点を解消で
き、光ピックアップの低コスト化に寄与できる。
【0020】しかしながら、図9および図10に示す光
集積回路では以下に示す問題点を有するため、製造効率
およびコストダウンを図る上でまだまだ改善の余地があ
るのが現状である。
【0021】(1)光電子集積基板240に半導体レー
ザ素子241からなる発光素子を搭載したサブマウント
243を実装する時、この光集積回路の光学系の機能を
損なわないようにするために、極めて高い精度でレーザ
光の出射位置や出射方向を合わせる必要がある。このた
め、実装時に複雑な製造プロセスを必要とする結果、製
造効率が悪く、コストアップを招来するという問題があ
る。
【0022】このような問題は、半導体レーザ素子24
1からなる発光素子を直接光電子集積基板240に実装
する場合も同様である。
【0023】(2)光電子集積基板240の製造工程
は、受光素子242、信号処理回路、電極ランド24
5、246等を光電子集積基板240上に集積化する集
積回路製造プロセスを用いる工程と、半導体レーザ素子
241からなる発光素子を搭載したサブマウント243
を光電子集積基板240上に実装し、このサブマウント
243と光電子集積基板240上の電極ランド246と
をワイヤボンディングするアセンブリ工程との2工程か
ら構成されているが、この2つの工程は大きく異なって
いるため、製造工程を一元化することが困難である。こ
のため、両工程を分割して行わなければならず、処理時
間がかかるため、この点においても、コストアップを招
来するという問題がある。
【0024】このような問題は、半導体レーザ素子24
1からなる発光素子を直接光電子集積基板240に実装
する場合も同様である。
【0025】このような先行技術が有する問題点を解消
するものとして、その後に、本願出願人が特願平4−3
07408号で提案した光ピックアップがある。
【0026】図11および図12はこの光ピックアップ
に搭載される光集積回路を示す。この光集積回路100
は、透明樹脂材料をモールドする時に光電子集積基板1
10を取り込んで製造される。図11に示すように、こ
の光電子集積基板110は、GaAs/GaAlAs系
基板、InP/InGaAsP系基板等の化合物半導体
を材料とし、その上面(表面)に半導体レーザ素子から
なる発光素子111、受光素子112および図示しない
電子集積回路からなる電子部品と、ホログラムビームス
プリッタ114、ホログラムコリメートレンズ115か
らなる光学部品とを設けて構成される。
【0027】ここで、発光素子111、受光素子112
および電子集積回路は既存の半導体プロセス技術を用い
て直接光電子集積基板110上に形成される。また、ホ
ログラムビームスプリッタ114およびホログラムコリ
メートレンズ115も同様に半導体プロセス技術を用い
て光電子集積基板110上に表面溝形状を刻み込むこと
により形成される。
【0028】モールド時に光電子集積基板110を取り
込む透明樹脂成型体120は、一例として、PMMA、
PC等の透明樹脂を材料とし、この透明樹脂を金型に流
し込み光電子集積回路110を内部に取り込むようにし
て形成される。この時、直方体状をなす透明樹脂成型体
120の上面120aに非球面対物レンズ121と、反
射面122a、122b、122cおよび122dが形
成される。
【0029】今少し具体的に説明すると、非球面対物レ
ンズ121は透明樹脂成型体120の上面120aの図
上右端部に相当する長手方向一端部に膨出形成される。
また、反射面122b、122c、122dは上面12
0aの長手方向中央部から長手方向他端部側にかけて形
成される。更に、反射面122aは長手方向他端部端面
に傾斜面として形成される。
【0030】そして、光電子集積基板110の非球面対
物レンズ121の真下に位置する表面部分にホログラム
コリメートレンズ115が形成される。また、ホログラ
ムビームスプリッタ114は、光電子集積基板110上
の長手方向中央部に形成される。
【0031】半導体レーザ素子からなる発光素子111
は、光電子集積基板110の長手方向他端部に、その端
面を光電子集積基板110の端面110bと面一状態に
して形成される。発光素子111から光電子集積基板1
10の内部に向けて出射されるレーザビームの光路は光
電子集積基板110の表面に平行となり、かつ端面11
0bに対し垂直となる。また、受光素子112は光電子
集積基板110の表面であって、ホログラムビームスプ
リッタ114から長手方向他端部側に若干偏位した位置
に形成される。
【0032】受光素子112は多分割フォトダイオード
からなり、光電子集積基板110と透明樹脂成型体12
0の間を伝播してくる光を受光し、電気信号に光電変換
する。また、電子集積回路は、受光素子112から与え
られる検出信号を処理して、光電子集積基板110上に
形成された電極ランド(図示せず)を介して外部に出力
する。
【0033】この光集積回路100を光ピックアップに
利用する場合、非球面対物レンズ121が光ディスクの
記録面の下方に位置するように配設する。発光素子11
1から出射されたレーザビームは、反射面122a、1
22bで反射された後、光電子集積基板110上に形成
されたホログラムビームスプリッタ114を経て反射面
122cで反射され、光電子集積基板110上に形成さ
れたホログラムコリメートレンズ115に導かれる。続
いて、ホログラムコリメートレンズ115によって平行
光線化され、この平行光は非球面対物レンズ121によ
り集光されて、光ディスクの記録面に光スポットとして
照射される。
【0034】一方、光ディスクからの反射光は、上記と
は逆の経路を辿ってホログラムビームスプリッタ114
の位置に導かれ、反射面122dによって反射された
後、受光素子112に入射する。受光素子112の多分
割フォトダイオードは、光ディスクからの反射光を検出
し、検出した光を光電変換して電子集積回路に与える。
電子集積回路は、与えられた電気信号を信号処理するこ
とにより、光ディスクに記録されている信号情報、トラ
ッキング誤差信号およびフォーカシング誤差信号を出力
する。
【0035】尚、この光集積回路100を光ピックアッ
プに利用する場合は、フォーカシング用アクチュエータ
およびトラッキング用アクチュエータが光集積回路10
0に搭載される。フォーカシング用アクチュエータは、
フォーカシング誤差信号に基づき光ピックアップ、すな
わち光集積回路100をサーボ制御する。また、トラッ
キング用アクチュエータはトラッキング誤差信号に基づ
き光集積回路100をサーボ制御する。
【0036】このような光集積回路100によれば、透
明材料で透明樹脂成型体120をモールドする時に、光
電子集積基板110を取り込んで製造されるので、上記
した先行技術の問題点を解消し得て、低価格の光ピック
アップを実現できる。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図11
および図12に示す光集積回路100では、以下に示す
新たな問題点がある。
【0038】(1)この光集積回路100は、上記のよ
うに、透明樹脂材料をモールドする時に光電子集積基板
110を取り込んで製造され、この時、透明樹脂成型体
120の上面120aに非球面対物レンズ121が形成
されるが、モールド時に、光電子集積基板110と非球
面対物レンズ121の位置関係、特に角度に関する位置
関係が設計上の位置関係から外れると、非球面対物レン
ズ121によって集光される光には大きな光線収差が発
生し、光ディスクの記録面で微小な光スポットに絞るこ
とができなくなるため、光ディスク面に記録された信号
情報を読み損なうおそれがある。即ち、光ピックアップ
の信頼性が損なわれるおそれがある。
【0039】このような問題を解消するためには、光電
子集積基板110と非球面対物レンズ121の位置関係
を高精度に保てばよい。しかるに、そのようにするため
には、複雑な製造工程を必要とし、製造に時間を要する
結果、コストダウンを図ることが困難になる。このよう
なコスト上の制約により、光ピックアップの信頼性の向
上を図る上で限界があったのが現状である。
【0040】このような問題は、透明樹脂で光電子集積
基板をモールドする代わりに、光電子集積基板110を
透明樹脂又はガラス材を材料とする透明材料成型体12
0の内部に収納するように取り付けた構成の光集積回路
についても同様である。
【0041】(2)この光集積回路100は、透明樹脂
成型体120の上面120aに非球面対物レンズ121
が膨出形成されるため、その分、光集積回路100の寸
法の小型化、特に厚みの薄型化を図ることが困難であ
る。
【0042】このような問題は、透明樹脂で光電子集積
基板をモールドする代わりに、光電子集積基板110を
透明樹脂又はガラス材を材料とする透明材料成型体12
0の内部に収納するように取り付けた構成の光集積回路
についても同様である。
【0043】本発明は、このような従来技術の諸欠点を
解消するものであり、製造プロセスの簡略化が図れ、量
産性の向上と大幅なコストダウンが可能になる光集積回
路を提供することを目的とする。
【0044】本発明の他の目的は、小型化および薄型化
が図れ、かつ信頼性を格段に向上できる光集積回路を提
供することを目的とする。
【0045】また、本発明の他の目的は、このような光
集積回路が有する利点を享受できる光ピックアップおよ
び光情報処理装置を提供することにある。
【0046】
【課題を解決するための手段】本発明の光集積回路は、
半導体レーザ素子で形成される発光素子、受光素子およ
び電子集積回路等の電子デバイスと、反射型ホログラム
ビームスプリッタおよび集光機能を持つ反射型ホログラ
ム等からなる光学部品を、半導体基板上に半導体プロセ
ス技術を用いて直接形成した光電子集積基板を内部に取
り込むようにして透明樹脂材料でモールドしており、そ
のことにより上記目的が達成される。
【0047】また、本発明の光集積回路は、請求項1記
載の光電子集積基板を、透明樹脂又はガラス材を材料と
する透明材料成形体の内部に収納するように取り付けて
おり、そのことにより上記目的が達成される。
【0048】また、本発明の光ピックアップは、請求項
1又は請求項2記載の光集積回路を備えている。
【0049】また、本発明の光情報処理装置は、レーザ
プリンタ、光距離計等に利用される光情報処理装置であ
って、請求項1又は請求項2記載の光集積回路を備えて
いる。
【0050】
【作用】上記のような構成によれば、半導体レーザ素子
からなる発光素子、受光素子および電子集積回路等の電
子デバイスと、反射型ホログラムビームスプリッタおよ
び集光機能を持つ反射型ホログラム等の光学部品を半導
体プロセス技術を用いて一体的に形成することができる
ので、製造工程の簡略化が可能になる。従って、製造能
率の効率化が図れる。
【0051】また、集光機能を持つ反射型ホログラムを
有するので、上記の先行技術で必要であった非球面対物
レンズを膨出形成する必要がない。従って、薄型、かつ
小型、軽量の光集積回路を実現できる。また、信頼性の
向上が図れる。
【0052】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。
【0053】(光集積回路の実施例1)図1および図2
は本発明の光集積回路の実施例1を示す。本実施例1の
光集積回路1は、透明樹脂材料をモールドする時に光電
子集積基板10をその内部に取り込んで作製される。即
ち、透明樹脂材料をモールドして作製される直方体状の
透明樹脂成型体20の内部に光電子集積基板10を取り
込んで作製される。
【0054】図2に示すように、この光電子集積基板1
0は、GaAs/GaAlAs系基板、InP/InG
aAsP系基板等の化合物半導体を材料とする基板の上
面に、半導体レーザ素子からなる発光素子11、受光素
子12および図示しない電子集積回路等の電子デバイス
と、ホログラムビームスプリッタ14および集光機能を
持つホログラムレンズ15等からなる光学部品を設けて
構成されている。
【0055】発光素子11、受光素子12および電子集
積回路(図示せず)等の電子デバイスは、表面実装技術
等の既存の半導体プロセス技術を用いて直接光電子集積
基板10上に形成される。また、ホログラムビームスプ
リッタ14、ホログラムレンズ15等の光学部品も同様
に既存の半導体プロセス技術を用い、かつ刻印技術を用
いて光電子集積基板10表面の所定箇所に溝形状を刻み
込むことにより形成される。
【0056】上記の透明樹脂成型体20は、一例とし
て、PMMA、PC等の透明樹脂を材料とし、この樹脂
を金型に流し込み、光集積回路10を内部に取り込むよ
うにして形成される。この時、透明樹脂成型体20の上
面に光線入出射面21、反射面22a、22b、22c
および22dが形成される。
【0057】具体的には、光線入出射面21は透明樹脂
成型体20の上面20aにおける図上右端部に相当する
長手方向一端部に形成されている。また、反射面22
b、22c、22dは、上面20aの長手方向中央部か
ら長手方向他端部側にかけて反射面22c、22d、2
2bの順に形成されている。また、反射面22aは透明
樹脂成型体20の長手方向他端面に設けられた傾斜面上
に形成されている。
【0058】光電子集積基板10の光線入出射面21の
真下に位置する部分には、集光機能を持つホログラムレ
ンズ15が形成されている。また、ホログラムビームス
プリッタ14は光電子集積基板10の長手方向中央部に
形成されている。
【0059】更に、半導体レーザ素子からなる発光素子
11は、光電子集積基板10の長手方向他端部に、出射
面を光電子集積基板10の端面10bと面一状態にして
形成されている。それ故、発光素子11の出射面から出
射されるレーザビームは光電子集積基板10の表面に平
行となり、端面10bに対して垂直になる。また、光電
子集積基板10表面の発光素子11とホログラムビーム
スプリッタ14の中間位置に受光素子12が形成されて
いる。
【0060】図2に示すように、受光素子12は多分割
フォトダイオードからなり、光電子集積基板10と透明
樹脂成型体20の間を伝播してくる光を受光し、電気信
号に光電変換する。受光素子12の検出出力はこれに電
気的に接続された電子集積回路に与えられる。電子集積
回路は、ノイズフィルタ、アンプ等を備えた信号処理回
路からなり、光電子集積基板10上の所定の位置に形成
されている。電子集積回路は、受光素子12から与えら
れた検出信号を信号処理して、光電子集積基板10上に
形成された電極ランド(図示せず)を介して外部に出力
する。
【0061】このような構成の光集積回路1を光ピック
アップに利用する場合は、光線入出射面21が光ディス
クの記録面の下方に位置するように配設される。以下に
光集積回路1を光ピックアップに利用する場合の動作を
説明する。
【0062】発光素子11から光電子集積基板10の表
面に平行に出射されたレーザビームは、光電子集積基板
10をモールドする透明樹脂成型体20の反射面22a
で斜め上方に反射され、続いて透明樹脂成型体20の上
面に形成された反射面22bで再反射された後、光電子
集積基板10上に形成されたホログラムビームスプリッ
タ14に導かれる。続いて、ホログラムビームスプリッ
タ14を経て反射面22cで反射され、光電子集積基板
10上に形成されたホログラムレンズ15に導かれる。
ホログラムレンズ15に導かれた光は、該ホログラムレ
ンズ15によって集光され、集光光線に変換される。こ
の集光光線は、ホログラムレンズ15の真上に形成され
た光線入出射面21を経て、光ディスク303(図7参
照)の記録面に光スポットとして照射される。
【0063】光ディスク303からの反射光は、上記と
は逆の経路を辿ってホログラムビームスプリッタ14の
位置に導かれ、続いて反射面22dによって下方に反射
された後、受光素子12に入射する。受光素子12を形
成する多分割フォトダイオードは、光ディスク30から
の反射光を検出し、検出した光を光電変換して電子集積
回路1に与える。電子集積回路は、入力信号の信号処理
を行って光ディスク303に記録されている信号情報、
トラッキング誤差信号およびフォーカシング誤差信号を
出力する。
【0064】なお、この光集積回路1を光ピックアップ
に利用する場合は、フォーカシング用アクチュエータお
よびトラッキング用アクチュエータが光集積回路1に搭
載される。フォーカシング用アクチュエータとしては、
例えばフォーカシング用コイルが用いられる。また、ト
ラッキング用アクチュエータとしては、一対のトラッキ
ング用コイルが用いられる。このようなアクチュエータ
については、本願出願人が先に提案した特願平3−33
2232号に詳しく説明されているので、ここでは省略
する。
【0065】フォーカシング用アクチュエータは、電子
集積回路から与えられるフォーカシング誤差信号に基づ
き、光集積回路1をフォーカス方向に駆動してフォーカ
シングサーボを行う。同様に、トラッキング用アクチュ
エータは、トラッキング誤差信号に基づき、光集積回路
1をトラック方向に駆動してトラッキングサーボを行
う。
【0066】上記のような構成によれば、発光素子1
1、受光素子12および電子集積回路等の電子デバイス
と、反射型のホログラムビームスプリッタ14および集
光機能を持つホログラムレンズ等の光学部品を、刻印技
術を含む表面実装技術等の既存の半導体プロセス技術を
用いて、透明樹脂成型体20の内部に光電子集積基板1
0を取り込んだ光電子集積回路1に一体的に形成するこ
とができるので、上記の先行技術に比べて製造プロセス
を格段に簡略化することが可能になる。従って、製造能
率の効率化が図れる。
【0067】また、集光機能を持つ反射型ホログラムを
有するので、上記の先行技術で必要であった非球面対物
レンズを膨出形成する必要がない。従って、薄型、かつ
小型、軽量の光集積回路を実現できる。また、信頼性の
向上が図れる。
【0068】図3および図4は光集積回路1の変形例を
示す。この変形例では、発光素子11の光電子集積基板
10に対する取り付け態様が上記実施例とは異なり、そ
の出射面から出射されるレーザビームが光電子集積基板
10の表面に垂直になるように取り付けられている。こ
のため、この変形例では、傾斜面22aが発光素子11
の上方に形成されている。また、図4に示すように、こ
の変形例では、レーザビームを光電子集積基板10の端
面から出射する必要がないので、発光素子11は光電子
集積基板10の長手方向他端部に形成されている。以下
にその動作を説明する。
【0069】発光素子11から出射されたレーザビーム
は、反射面22aで反射された後、光電子集積基板10
上に形成されたホログラムビームスプリッタ14に導か
れる。続いて、ホログラムビームスプリッタ14により
反射された後、透明樹脂成型体20の上面に形成された
反射面22cで斜め下方に反射され、光電子集積基板1
0上に形成されたホログラムレンズ15に導かれる。ホ
ログラムレンズ15はこの反射光を集光光線に変換す
る。続いて、この集光光線は、ホログラムレンズ15の
真上に形成された光線入出射面21を経て、光ディスク
303(図7参照)の記録面に光スポットとして照射さ
れる。
【0070】以下上記実施例同様にして、光ディスク3
03の記録面からの反射光が受光素子12によって受光
されて光電変換され、最終的に電子集積回路が光ディス
ク303に記録されている信号情報、トラッキング誤差
信号およびフォーカシング誤差信号を外部に出力する。
【0071】この変形例によれば、発光素子11の光電
子集積基板10に対する形成方法が簡単になる利点があ
る。
【0072】なお、上記実施例と対応する部分について
は同一の番号を付し、具体的な説明は省略する。
【0073】(光集積回路の実施例2)図5は本発明の
光集積回路の実施例2を示す。この実施例2の光集積回
路1は、光電子集積基板10を透明樹脂又はガラス材を
材料とする透明材料成型体30の内部に収納するように
取り付けて作製される。本実施例2の光電子集積基板1
0は図2に示す実施例1の光電子集積基板10と同一で
ある。
【0074】透明材料成型体30は、一例として、PM
MA、PC等の透明樹脂又はガラス材を材料とし、この
透明樹脂又はガラス材を金型に流し込み形成される。こ
の時、透明材料成型体30の表裏両面に光線入出射面3
1、反射面32a、32b、32c、32dおよび凹部
33が形成される。光電子集積基板10は透明材料成型
体30の下面30bに形成された凹部33に収納するよ
うに取り付けられる。
【0075】具体的には、光線入出射面31は透明材料
成型体30の上面30aの長手方向一端部に形成され
る。また、反射面32b、32c、32dは上面30a
の長手方向中央部から長手方向他端部側にかけて、反射
面32c、32d、32bの順に形成されている。更
に、透明材料成型体30の長手方向他端面に反射面32
aが傾斜面として形成されている。
【0076】透明材料成型体30を収納する凹部33
は、2種類の凹部33a、33bを有し、透明材料成型
体30の厚みと略同寸法の深さ、対応する長手寸法およ
び幅寸法を有する凹部33bに透明材料成型体30が収
納されている。一方、凹部33bの長手方向他端部に連
設された角穴状の凹部33aの深さは凹部33bの深さ
より若干深くなっている。この凹部33aの位置に発光
素子11が位置するようにして、凹部33bに光電子集
積基板10が収納して取り付けられている。この取り付
けは、具体的には屈折率等の光学的特性ができるだけ透
明材料の特性に近い接着剤を用いて行われる。
【0077】尚、その他の構成要素や動作原理は上記の
実施例1と同じであるので、対応する番号を付し、具体
的な説明は省略する。
【0078】図6は実施例2の光集積回路1の変形例を
示す。この変形例の光集積回路1は、図3に示す変形例
の光電子集積基板10と同一の光電子集積基板10を使
用する。このような、構成において、発光素子11から
出射されたレーザービームは、透明材料成型体30の長
手方向他端部における上面30aに形成された反射面3
2aで反射された後、光電子集積基板10上に形成され
たホログラムビームスプリッタ14を経て反射面32c
で反射され、光電子集積基板10上に形成されたホログ
ラムレンズ15に導かれ、ホログラムレンズ15によっ
て集光光線に変換される。続いて、この集光光線は光線
入出射面31を経て、光ディスク303(図7参照)の
記録面に光スポットとして照射される。
【0079】以降の動作原理は上記の実施例2と同じで
あるので、対応する部分に同一の番号を付し、具体的な
説明は省略する。
【0080】以下に、実施例1および実施例2の光電子
集積基板10上に形成される、集光機能を持つ反射型の
ホログラムレンズ15の設計方法について、このような
光集積回路1を光ピックアップに利用する場合を例にと
って説明する。
【0081】図7はこの場合のホログラムレンズ15の
設計時における光学的配置を示す。同図において、透明
樹脂又はガラス材を材料とする媒質301(透明樹脂成
型体)の中にある点Oと、光ディスク303の記録面上
にある点Rからホログラムレンズ311に向けて、それ
ぞれ物体光および参照光として、球面波321、322
を発する。この時、点Rからの球面波322は光ディス
ク303、空気からなる光線入出射面と光ディスク30
3との間の空間302および透明基板301a(光電子
集積基板)を通過して、光線収差を含んだ非球面波32
3となる。
【0082】ここで、ホログラムレンズ311のホログ
ラムパターンは球面波321と非球面波323の相互干
渉により定義され、下記の(1)式で定義される位相差
がπの整数倍となる曲線として表現される。
【0083】
【数1】
【0084】但し、Φoは点Oを光源としたときのホロ
グラムレンズ311面上での球面波の位相、ΦRは透明
材料301中にあると仮定した点Rを光源としたとき
の、ホログラムレンズ311面上での球面波の位相、
x,yはホログラムレンズ311面上での座標、λは空
気中での光源から発せられる光の波長、nは透明材料3
01の屈折率である。
【0085】上記(1)式の第3項は光収差を与える項
であり、係数Cijと次数i、jを最適に選ぶことによ
り、再生時に光ディスク303上の記録面での光スポッ
トの収差を最小にすることができる。
【0086】具体的には、図7に示された配置構成の光
学系で光線追跡のシュミレーションを行い、光ディスク
303上の記録面での波面収差を求め、この収差が最小
になるように上記(1)式中の係数Cijを、例えば減衰
最小2乗法(DLS法)等の数学的手法により決定す
る。
【0087】そして、このようにして決定された係数C
ijに従ってホログラムレンズ311を設計し、そのよう
なホログラムレンズ311を備えた本発明の光集積回路
を上記の方法で作製する。
【0088】以上の説明では、本発明の光集積回路と、
この光集積回路の応用例である光ピックアップのみにつ
いて説明したが、本発明の光集積回路は、レーザプリン
タや光距離計等の光情報処理装置にも同様に適用でき
る。
【0089】例えば、レーザプリンタに応用する場合
は、画像処理部から送られて来る画像信号に対応して半
導体レーザ素子を駆動し、光集積回路内を伝送されるレ
ーザビームを感光体ドラム等の作像手段に露光する構成
により達成される。
【0090】また、光距離計に応用する場合は、測定対
象からの反射光の多分割受光素子に対する受光位置の偏
差を利用する構成により達成される。更には、イメージ
スキャナ等の他の光情報処理装置についても応用するこ
とが可能である。
【0091】
【発明の効果】請求項1又は請求項2記載の光集積回路
によれば、半導体レーザ素子からなる発光素子、受光素
子および電子集積回路等の電子デバイスと、反射型ホロ
グラムビームスプリッタおよび集光機能を持つ反射型ホ
ログラム等の光学部品を半導体プロセス技術を用いて一
体的に形成することができるので、製造工程の簡略化が
可能になる。従って、量産性の向上と大幅なコストダウ
ンが可能になる光集積回路を実現できる。
【0092】また、集光機能を持つ反射型ホログラムレ
ンズを有するので、上記の先行技術で必要であった非球
面対物レンズを光電子集積基板の表面から膨出形成する
必要がない。従って、薄型、かつ小型、軽量の光集積回
路を実現できる。更には、大きな光線収差を発生するこ
とがないので、信頼性の向上が図れる。
【0093】また、請求項3記載の光ピックアップによ
れば、このような光集積回路が有する効果を享受できる
光ピックアップを実現できる。
【0094】また、請求項4記載の光情報処理装置によ
れば、このような光集積回路が有する効果を享受でき
る、レーザプリンタ、光距離計およびイメースキャナ等
の光情報処理装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明光集積回路の実施例1を示す側面断面
図。
【図2】図1に示される光集積回路の光電子集積基板を
示す斜視図。
【図3】本発明光集積回路の実施例1の変形例を示す側
面断面図。
【図4】図3に示される光集積回路の光電子集積基板を
示す斜視図。
【図5】本発明光集積回路の実施例2を示す側面断面
図。
【図6】本発明光集積回路の実施例2の変形例を示す側
面断面図。
【図7】本発明光集積回路に形成されるホログラムレン
ズの設計方法を示す側面断面図。
【図8】光ピックアップの一従来例を示す側面断面図。
【図9】本願出願人が先に提案した光集積回路を示す側
面断面図。
【図10】図9に示される光集積回路の光電子集積基板
を示す斜視図。
【図11】本願出願人が先に提案した、また別の光集積
回路を示す側面断面図。
【図12】図11に示される光集積回路の分解斜視図。
【符号の説明】
1 光集積回路 10 光電子集積基板 10a 光電子集積基板の上面 10b 光電子集積基板の端面 11 発光素子 12 受光素子 14 ホログラムビームスプリッタ 15 ホログラムレンズ 20 透明樹脂成型体 21 光線入出射面 22a、22b、22c、22d 反射面 30 透明材料成型体 30a 透明樹脂成型体の上面 31 光線入出射面 32a、32b、32c、32d 反射面 301 透明材料からなる媒質 301a 透明基板 302 空間 303 光ディスク 311 ホログラムレンズ 321、322 球面波 323 非球面波
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 式雄 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体レーザ素子で形成される発光素
    子、受光素子および電子集積回路等の電子デバイスと、
    反射型ホログラムビームスプリッタおよび集光機能を持
    つ反射型ホログラム等からなる光学部品を、半導体基板
    上に半導体プロセス技術を用いて直接形成した光電子集
    積基板を内部に取り込むようにして透明樹脂材料でモー
    ルドした光集積回路。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光電子集積基板を、透明
    樹脂又はガラス材を材料とする透明材料成形体の内部に
    収納するように取り付けた光集積回路。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の光集積回路
    を備えた光ピックアップ。
  4. 【請求項4】 レーザプリンタ、光距離計等に利用され
    る光情報処理装置であって、 請求項1又は請求項2記載の光集積回路を備えた光情報
    処理装置。
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