JPH0630835Y2 - 溶融金属撹拌装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、溶融金属攪拌装置に関し、特にガス吹き込み
用ポーラスプラグと羽口れんがとを一体的に形成した溶
融金属攪拌装置に関する。

従来の技術 近年、鋼材の品質を向上するために、ガス吹き込み用ポ
ーラスプラグを介してアルゴン、窒素等の不活性ガスを
溶融金属容器の溶融金属中に吹き込んで溶融金属を攪拌
し、溶融金属の温度を均一化するとともに非金属介在物
を除去することが増加している。

ポーラスプラグは取鍋等の溶融金属容器の底部に配置さ
れるため、その残存量の判断は非常に重要であり、もし
ポーラスプラグの寿命の限界を越えて使用した場合に
は、湯漏れ等の重大な事故を引き起こすおそれがある。

そこで、ポーラスプラグの安全性のために使用する限界
の残存寸法を決めているが、正確さが得られず、経験や
勘で判断したり、限界寸法を大きくして安全をはかって
いた。

また、ポーラスプラグは、その周囲の羽口れんがに比べ
て溶損が大きく、羽口れんがの一代の寿命に対してポー
ラスプラグを複数回取り替えて使用するのが一般的であ
った。

しかし、ポーラスプラグの取り替えは、一般に熱間状態
で行われることと、ポーラスプラグと羽口れんがとの間
に地金が溶着して非常に取りにくいもので、大変な労働
力を必要とする。

さらに、ポーラスプラグを交換しても、周囲の羽口れん
がが既に溶損しているため、新しいポーラスプラグの先
端が羽口れんがより突き出る形となり、熱スポーリング
によって取り替える前のポーラスプラグよりも大幅に寿
命が低下したり、取り替え時のポーラスプラグの設置が
悪いとポーラスプラグの目地部から漏鋼する危険性があ
った。

考案が解決しようとする課題 そのため、考案者らはポーラスプラグとポーラスプラグ
を装着する羽口れんがとを一体化していろいろ研究して
いるが、１個のポーラスプラグの装着だけではポーラス
プラグ部の溶損量が大きく、複数個のポーラスプラグを
装着して複数個のポーラスプラグを選択的に使用する
と、ポーラスプラグの溶損量を平準化できて好ましいこ
とが分かった。

しかし、ポーラスプラグの使用末期等になると、ポーラ
スプラグの溶損量に比してポーラスプラグ間の羽口れん
がの溶損量が少ないため、ポーラスプラグ部が特にへこ
んだ状態となり、ガス吹き込み終了後のポーラスプラグ
の上に溶鋼が溜まって凝固し、次のガス吹き込み時にガ
スが吹き出ない場合が生じて操業に支障をきたすもので
あった。

課題を解決するための手段 本考案は上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を
解決するために、溶融金属容器にポーラスプラグを装着
して溶融金属を攪拌する溶融金属攪拌装置において、ポ
ーラスプラグから選択的にガスを吹き込み可能に複数個
のポーラスプラグを羽口れんがに一体的に装着するとと
もに、ポーラスプラグ部と羽口れんが部の溶損量を平準
化するために上記複数のポーラスプラグ間の羽口れんが
部に所定深さの凹部を設けたことを特徴とする溶融金属
攪拌装置を提供するにある。

作用 本考案によれば、ポーラスプラグから選択的にガスを吹
き込み可能に複数個のポーラスプラグを羽口れんがに一
体的に装着したことによって、ポーラスプラグ部の溶融
金属容器への装着が容易となるとともに、ポーラスプラ
グと羽口れんがとの間の目地部から漏鋼することがなく
なり、またポーラスプラグを選択的に使用することによ
って、ガスを吹き込まないポーラスプラグ部の溶損を少
なくし、複数個のポーラスプラグの溶損量を平準化でき
て溶融金属容器の寿命を向上できる。

また、複数のポーラスプラグ間の羽口れんが部に所定の
深さに凹設した凹部によって、ポーラスプラグを選択的
に使用して使用末期等になっても、ポーラスプラグ部と
羽口れんが部との溶損状況が平準化でき、ガス吹き込み
終了後のポーラスプラグの上に溶鋼が溜まって凝固する
を防止でき、次のガス吹き込みを正常に行える。

実施例 以下、本考案を実施例にもとづいて説明する。

第１図以下は、本考案の一実施例である。ガス吹き込み
のポーラスプラグ１は、第１図のように先端側が細くな
った円錐台形状に形成していて、複数個（図面では２
個）を一定の間隔で羽口れんが２に一体的に装着して、
このポーラスプラグ１、羽口れんが２を一体成形したガ
ス吹き込み攪拌用ブロック体３をブロック毎に取鍋等の
溶融金属容器４の底部に取り替え可能に装着するように
している。

ポーラスプラグ１は、それぞれ図のように周部に被覆し
た鉄皮５にガスが通過可能な高耐蝕性の多孔質の通気性
耐火物６を内装し、その下部にガス溜まり部７を設ける
とともに放射状に配設した１〜５mmの細径で４０〜２０
０mm長さのステンレス管のガス供給を兼ねた漏鋼凝固部
８を接続している。漏鋼凝固部８の下端は箱状の蓄圧部
９にそれぞれ接続し、蓄圧部９に配管したガス供給用接
続管１０からアルゴン、窒素等の不活性ガスを供給して
ポーラスプラグ１から選択的にガスを吹き出せるように
している。

羽口れんが２は、高耐蝕性、耐スポーリング性のジルコ
ンまたはハイアルミナ質で形成していて、第１図、第２
図のように複数のポーラスプラグ１を一体的に装着し、
上端部の周部を斜め状の尖端部１２とするとともにポー
ラスプラグ１の間の羽口れんが２にＶ字状の所定深さの
凹部１１を設け、選択的に使用するポーラスプラグ１部
と羽口れんが２部との溶損状態を平準化できるようにし
ている。

１３はポーラスプラグ１の周囲を被覆した鉄皮５の上部
に鉄板を折り曲げて設けた吊り部で、吊り部１３にクレ
ーンのフック（図示せず）を引っ掛けてガス吹き込み攪
拌用ブロック体３を容易に搬送できるようにし、溶融金
属容器４の所定部に装着しやすくしたもの、１４は段
部、１５は溶融金属容器４形成の底板である。

使用例 本実施例のガス吹き込み攪拌用ブロック体を４５トンの
溶鋼の取鍋の溶融金属容器に装着し、ガス供給用接続管
を介して左右のポーラスプラグを適宜に選択して３０回
にわたって連続してガス吹き込みを行った。

その結果、羽口れんがに凹部を設けない場合には４〜５
回位ガス吹き込みができなかったが、本実施例ではすべ
て問題なく、それぞれのポーラスプラグからガス吹き込
みが行えた。また、ポーラスプラグの使用末期には、第
３図のようにポーラスプラグ部、羽口れんが部の溶損状
態が平準化され、ポーラスプラグの上に溶鋼が溜まりに
くい状態となって、溶鋼が凝固するのを防止できたもの
である。

このようにして、羽口れんがに装着した左右のポーラス
プラグを切り替えてガスを吹き込むことによって、溶融
金属容器の連続使用時間の延長がはかれ、寿命も延長で
きた。

特に、本実施例では、ポーラスプラグの下部に所定の長
さの細管の奪熱効果を有する漏鋼凝固部を配設している
ため、１のポーラスプラグからのガス吹き込みを停止し
ても、漏鋼は漏鋼凝固部で自然凝固して漏鋼事故の発生
を確実に防止でき、安全なものである。

上記実施例では、羽口れんが部にＶ字状の凹部を凹設し
たが、Ｕ字状等その他、羽口れんが部の溶損量をポーラ
スプラグ部と均一化できる形状のものとすることができ
る。また上記実施例では、１の羽口れんが部に２個のポ
ーラスプラグを装着したが、必要により３個や４個のポ
ーラスプラグを同様にして装着することができるもので
ある。

以上の実施例では、取鍋について説明したが、他の溶融
金属容器についても適用できるものである。

考案の効果 以上のように本考案にあっては、ポーラスプラグ部の溶
融金属容器への装着が容易であるとともに、ポーラスプ
ラグと羽口れんがとの目地部からの漏鋼の防止を確実に
はかれる。また、複数のポーラスプラグを選択して使用
してポーラスプラグ部と羽口れんが部の溶損量を平準化
でき、ガス吹き込み終了後のポーラスプラグの上に溶鋼
が溜まって次のガス吹き込み時にポーラスプラグからの
ガス吹き込みができなくなるのを回避できるとともに、
溶融金属容器の連続使用時間を延長することができ、溶
融金属容器の寿命を延長することができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本考案の一実施例の側断面図、および
平面図、第３図は同上の使用状態説明用の側断面図であ
る。 １……ポーラスプラグ、２……羽口れんが、３……ガス
吹き込み攪拌用ブロック体、４……溶融金属容器、１１
……凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】溶融金属容器にポーラスプラグを装着して
   溶融金属を攪拌する溶融金属攪拌装置において、ポーラ
   スプラグから選択的にガスを吹き込み可能に複数個のポ
   ーラスプラグを羽口れんがに一体的に装着するととも
   に、ポーラスプラグ部と羽口れんが部の溶損量を平準化
   するために上記複数のポーラスプラグ間の羽口れんが部
   に所定深さの凹部を設けたことを特徴とする溶融金属攪
   拌装置。