JPH0630687U - 熱交換器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 チューブエレメントのタンクに一体に設けら
れる出入口部とパイプ接続用のスペーサとが気密洩れな
く良好にろう付けできるようにする。 【構成】 チューブエレメント１ｂのタンク１８に突出
して設けられる出入口部３に挿入されるパイプ接続用の
スペーサ６を具備し、このスペーサ６の外周であって出
入口部３に臨む部位にリング状のろう材７を面接触にて
外嵌し、このリング状のろう材７を外嵌したスペーサ６
を出入口部３に挿入して一体にろう付けする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、主に車両用空調装置に用いられる熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の熱交換器において、２枚の成形プレートを接合して成るチュー ブエレメントのタンクの側方に熱交換媒体の出入口となる出入口部を一体に形成 し、この出入口部にスペーサを介して熱交換媒体の出入口パイプを接続するよう にしたものが公知である（例えば、実開昭６３─１５４９８５号公報参照）。

【０００３】 この先行技術において出入口部は、略半円筒状の湾状突起の外側に突出形成さ れたろう付け代をろう接して構成され、出入口部へのスペーサの取付は、スペー サを出入口部内に挿入してろう付け固定するものであった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記先行技術においては、出入口部にスペーサを挿入し、炉中 ろう付けするが、その際にジグで熱交換器を固定する圧力によって出入口部の接 合部が外側に拡がってしまい、スペーサとの間にＲ状の隙間が生じ、その隙間部 分にろう材が完全に行き渡らない結果、その部分がろうで埋まらずに接続され、 気密洩れが生じてしまうという問題点があった。

【０００５】 また、上記出入口部の接合部に限らず、出入口部とスペーサとの間には隙間が 生じ、ろう付け不良が良好になされない場合がある。

【０００６】 そこで、この考案は、上記問題点に鑑み、出入口部とスペーサとが気密洩れな く良好にろう付けできるように図った熱交換器を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、この考案に係る熱交換器は、２枚の成形プレート を接合して成るチューブエレメントのタンクに突出して設けられる出入口部に挿 入されるパイプ接続用のスペーサを具備し、前記スペーサの外周であって前記出 入口部に臨む部位にリング状のろう材を面接触にて外嵌し、このリング状のろう 材を外嵌したスペーサを前記出入口部に挿入して一体にろう付けするようにした ものである。

【０００８】

【作用】

したがって、スペーサに外嵌したリング状のろう材が溶融すれば、この融けた ろう材が出入口部の内周部とスペーサの外周部との間に流れ込み、隙間を良好に 埋めてろう接がなされる。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図面により説明する。

【００１０】 図１において、熱交換器は、炉中ろう付け前の状態を示しており、チューブエ レメント１ａ，１ｂ間にフィン２を介挿すると共に、積層途中に配されたチュー ブエレメント１ｂ，１ｂに熱交換媒体の出入口部となる出入口部３，３が突出形 成され、この出入口部３，３に熱交換媒体の出入口パイプ５を接続するためのリ ング状のろう材７を外嵌したスペーサ６，６が挿入されており、これらは積層方 向を上下にして配置され、炉中でろう付けされて一体に組付けられるようになっ ている。

【００１１】 チューブエレメント１ａ，１ｂは、略矩形状のもので、下記する成形プレート １０ａ，１０ｂを２枚最中合わせに接合して構成される。

【００１２】 成形プレート１０ａ，１０ｂは、例えばアルミニウム若しくはアルミニウム合 金等に片面又は両面にろう材がクラッドされて成り、プレス成形されるもので、 長手方向の一端側にタンク形成用膨出部１１，１２が膨出形成され、該タンク形 成用膨出部１１，１２の間から他端側に向けて突条１３が延設されていると共に 、該突条１３の周縁に前記タンク形成用膨出部１１，１２に通じる略Ｕ字状の熱 交換媒体通路形成用膨出部１４が膨出形成されている。また、この成形プレート １０ａ，１０ｂの他端側には、チューブエレメント間の間隙の距離を規定するチ ューブエレメント突当部１５が外方に向けて突出形成されていると共に、成形プ レート１０ａ，１０ｂの周縁には、この２枚を接合してろう付けするためのろう 付け代１６が形成されている。

【００１３】 なお、熱交換媒体の出入口を構成するための成形プレート１０ｂのタンク形成 用膨出部１１，１２の側方には、該タンク形成用膨出部１１，１２に通じる湾状 突起１７，１７が突出形成されており、該湾状突起１７，１７の接合によって後 述する出入口パイプ５が接続される出入口部３が構成されるようになっている。

【００１４】 上記構成の成形プレート１０ａ，１０ｂを個々に２枚最中合わせに接合するこ とでチューブエレメント１ａ，１ｂが構成され、その一端側では相対するタンク 形成用膨出部１１，１２から一対のタンク１８，１９が構成され、内部では相対 する熱交換媒体通路形成用膨出部１４から略Ｕ字状の熱交換媒体通路２２が構成 され、前記タンク１８，１９は熱交換媒体通路２２を介して連通するようになっ ている。

【００１５】 そしてこのチューブエレメント１ａ，１ｂは、チューブエレメント１ａを主体 に積層され、その積層途中に２枚のチューブエレメント１ｂを配するようになっ ており、両端のタンク１８，１９及びチューブエレメント突当部１５を隣接する 同士で当接して複数段積層され、当接されたタンク同士は、各タンク形成用膨出 部１１，１２に形成されたタンク連通孔２０，２１を介して連通するようになっ ている。

【００１６】 なお、積層された中央の一方のチューブエレメント１ａであって、その一方の タンク形成用膨出部（図示前方）にはタンク連通孔が形成されておらず、図示前 方のタンク１８の連通は中央で仕切られて２分される。その結果、積層された熱 交換器は中央で２分され、左側ブロックと右側ブロックとに分割される。

【００１７】 上記構成の熱交換器は、例えば図示左方の出入口パイプ５からそれに連通の左 側ブロックのタンク群（図示前方左側のタンク１８の連通によって構成）に流入 された熱交換媒体が、左側ブロックの各チューブエレメント１ａ，１ｂの熱交換 媒体通路２２内を流れ、通路タンク群（図示後方の全てのタンク１９の連通によ って構成）内を平行移動し、そこから右側ブロックのタンク群（図示前方右側の タンク１８の連通によって構成）に集められ、図示右方の出入口パイプ５から排 出される（又は逆の経路を辿る）、所謂４パスのフローパターンが構成されてい るものである。

【００１８】 次に、図２及び図３を参照して本考案の特徴点となる出入口部３近傍の構造を 解説する。

【００１９】 出入口部３は、タンク１８の一端側に突出して設けられており、半円筒状の湾 状突起１７を接合して略円筒状に構成され、円形に開口する挿入口２５内に下記 するスペーサ６の挿入部６ａを挿入するようになっている。

【００２０】 スペーサ６は、出入口パイプ５を溶接するために上記出入口部３との間に介挿 されるもので、外面にろう材がクラッドされており、出入口部３内に挿入される 小径の挿入部６ａと出入口パイプ５を挿入するための大径のパイプ挿入口６ｂと から構成されている。そしてこのスペーサ６の外周には、リング状のろう材７が 外嵌されている。

【００２１】 リング状のろう材７は、出入口部３とスペーサ６の挿入部６ａとの間に生じる 間隙を埋めるためのもので、断面矩形状のリング状に形成されている。そしてこ のリング状のろう材７は、出入口部３に接触しないようにスペーサ６のパイプ挿 入口６ｂの出入口部３に臨む端部に面接触するようにかしめて嵌め込まれ、固定 されている。

【００２２】 次に、上記構成における出入口部３とスペーサ６との接続構造の作用について 述べる。

【００２３】 熱交換器の炉中ろう付けは、前述したようにチューブエレメントの積層方向を 上下にして配置されて行われるから、熱交換器は縦置きになり、図４に示される ように出入口部３の接合部は横方向を向く。そして、出入口部３の接合部とスペ ーサ６との間には、Ｒ状の隙間Ａが生じる。

【００２４】 この状態にあって炉中で高熱が付与されると、スペーサ６の温度上昇に伴って これに外嵌されたリング状のろう材７も温度が上昇していき、融点に達すると溶 解して図５に示されるように出入口部３とスペーサ６との間に流れ込んでいく（ 図中×印）。さらに、この融けて流れ込んでいくろう材は出入口部３とスペーサ ６との間の隙間を介して垂下していき、Ｒ状の隙間Ａを効果的に埋める。その結 果、出入口部３とスペーサ６との間の隙間には洩れなく融けたろう材が行き渡り 、出入口部３とスペーサ６との間は洩れなく気密性良くろう接されることになる 。なお、当然ながら、成形プレート１０ａ，１０ｂの表面のろう材及びスペーサ ６のろう材も溶解し、出入口部３とスペーサ６とろう接に供されると共に、前記 リング状のろう材７と混合されて共にＲ状隙間Ａを埋める作用も行われる。

【００２５】 なお、リング状のろう材７を面接触にてスペーサ６に固定したのは、スペーサ ６から効果的に熱伝導を受けるためであり、これによって完全にリング状のろう 材７が溶解して出入口部３とスペーサ６との間に流れ込むことができる。仮に、 リング状のろう材７を出入口部３に接触する部位に位置させると、リング状のろ う材７の融が悪かったり、リング状のろう材７と出入口部３との間に空洞が生じ たりして、本案の目的を達成できない恐からである。

【００２６】

【考案の効果】 以上述べたように、この考案によれば、スペーサの外周に面接触にてリング状 のろう材を外嵌固定し、ろう付けを行うようにしたので、該リング状のろう材の 溶融性が良くなり、出入口部とスペーサとの間の隙間に良好に融けたろう材が行 き渡り、洩れなく効果的に気密性良くろう接される。また、リング状のろう材を かしめて固定することができるから、治具が不要である。さらに、出入口部とス ペーサとの間のろう接性が良好となるから、若干の隙間が生じてもスペーサを出 入口部に圧入して挿入することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】熱交換器の斜視図である。

【図２】要部の分解斜視図である。

【図３】要部の断面図である。

【図４】スペーサの嵌め込み状態を説明する図である。

【図５】ろう材の流れ込みを説明する図である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ チューブエレメント ２ フィン ３ 出入口部 ５ 出入口パイプ ６ スペーサ ７ リング状のろう材 １０ａ，１０ｂ 成形プレート １８，１９ タンク

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２枚の成形プレートを接合して成るチュ
   ーブエレメントのタンクに突出して設けられる出入口部
   に挿入されるパイプ接続用のスペーサを具備し、 前記スペーサの外周であって前記出入口部に臨む部位に
   リング状のろう材を面接触にて外嵌し、 このリング状のろう材又を外嵌したスペーサを前記出入
   口部に挿入して一体にろう付けするようにしたことを特
   徴とする熱交換器。