JPH06306777A - 着色処理方法及び着色物 - Google Patents

着色処理方法及び着色物

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JPH06306777A
JPH06306777A JP5113624A JP11362493A JPH06306777A JP H06306777 A JPH06306777 A JP H06306777A JP 5113624 A JP5113624 A JP 5113624A JP 11362493 A JP11362493 A JP 11362493A JP H06306777 A JPH06306777 A JP H06306777A
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color
fine particles
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JP5113624A
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English (en)
Inventor
Yosuke Kitagawa
陽介 北川
Ryuichi Hoshikawa
隆一 星川
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Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
Original Assignee
Matsui Shikiso Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維製品類の連続状物を、熱および/または
光可逆変色性微粒子により効率よく高濃度に着色する方
法及びその着色物。 【構成】 繊維製品類の連続状物を窒素カチオン性ポリ
マーで処理するカチオン化処理工程と、カチオン化処理
工程を経た繊維製品類の連続状物を熱および/または光
可逆変色性微粒子で処理する着色処理工程とを有する。
これらの各工程における処理は、繊維製品類の連続状物
をエンドレス状に循環させてバッチ式で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維製品類の連続状物
を可逆変色材料により着色する方法及びその方法によっ
て得られた着色物に関する。
【0002】
【従来の技術及び解決しようとする課題】近年、衣料
品、装飾品、インテリア用品等の繊維製品では、様々な
付加価値を高める努力がなされており、特に色彩効果を
重要視する分野においてその傾向が顕著である。例え
ば、従来の静的な色彩要素に換えて、動的な色彩要素、
即ち各種の外的要因によりドラマチックな変化を起こす
可逆変色材料を様々な手法により繊維製品へ適用せんと
する試みがなされており、いくつかのユニークな商品が
市場にあらわれている。
【0003】しかしながら、これらの可逆変色材料は、
従来の静的な色彩要素たる通常の染顔料類に比し一般的
に着色濃度が低いため、いかにして高濃度の着色物を得
るかが最大の課題となっている。また、このような可逆
変色材料は、その固有の性質を十分に発揮させるため
に、マイクロカプセル化等の手段により外界とは独立し
た系内において使用されることが多い。そのため、繊維
製品等に適用する手段が制約されると共に、生産効率を
低下させる原因ともなっており、好適且つ良好な生産性
を有する手段の開発が切望されている。
【0004】そこで本発明者らは、如上の点に鑑み種々
の検討を重ねた結果、最終製品として縫製等の加工がな
される以前の繊維製品類の連続状物(例えばシート状ま
たは束状をなすもの)を、可逆変色材料により効率よく
高濃度に着色することができれば、生産効率の向上に最
も効果的に貢献できると考え、更に研究を重ねた結果、
本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明の目的は、繊維製品類の連
続状物を、熱および/または光可逆変色性微粒子により
効率よく高濃度に着色する方法及びその着色物を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の着色処理方法
は、繊維製品類の連続状物を窒素カチオン性ポリマーで
処理するカチオン化処理工程と、カチオン化処理工程を
経た繊維製品類の連続状物を熱および/または光可逆変
色性微粒子で処理する着色処理工程とを有してなり、こ
れらの各工程における処理を、繊維製品類の連続状物を
エンドレス状に循環させてバッチ式で行うものとしてい
る。
【0007】本発明において用いる繊維製品類の連続状
物を構成する繊維種を例示すれば、木綿、麻等のセルロ
ース繊維、羊毛、絹等のタンパク繊維、ビスコースレー
ヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテ
ート等の半合成繊維、及びポリアミド、ポリエステル、
ポリウレタン、ポリオレフィン、アクリル等の合成繊維
等を挙げることができる。これらは、2種以上組み合わ
せてもよい。
【0008】次に、これらにより構成される繊維製品類
の連続状物としては、例えば次のようなシート状物や、
束状物が挙げられる。ここでいうシート状物とは、次に
述べる束状物という用語に対して相対的に用いられる用
語であり、具体的には、単一の連続工程に使用可能な織
物、編物、不織布等の長反物状の布帛を指す。これら
は、生産性を向上させる意味において、数十cm〜数m
幅で長さ数十m以上のものが好ましく用いられるが、こ
れより短い各布帛を簡単に仮縫製して、長反物状とした
ものを用いることもできる。
【0009】次に束状物という用語は、これまた前記し
たシート状物という用語に対して相対的に用いられる用
語であり、前記同様、連続的な着色工程に用いうるもの
であれば、特に限定されるものではない。具体的には、
糸、ひも、ロープ等の線状の形状を有してなるものを示
し、それらを数本乃至数百本束ねたり、撚られたりして
なるものをも指す。これらは、長さ数十m以上のものが
好ましく用いられるが、それよりも短い各線状体を軽く
結って、適切な長さのものとして用いることも可能であ
る。更に、これらの繊維製品類は、予じめ着色されたも
のを使用することもできる。
【0010】本発明に用いることができる窒素カチオン
性ポリマーを例示すれば、一般にジシアンジアミドタイ
プ、ポリアミンタイプ、ポリカチオンタイプ等と呼ばれ
る高分子化合物を挙げることができる。
【0011】より具体的には、ジシアンジアミドのホル
マリン縮合物、ポリアルキレンポリアミン、ポリアルキ
レンポリアミンとグアニジン誘導体との縮合物、ポリエ
チレンイミン類、ポリアミドポリアミン類、ポリアミノ
アルキルアクリレート類、ポリアミノアルキルメタクリ
レート類、ポリアミノアルキルオキシアルキルアクレー
ト類、ポリアミノアルキルオキシアルキルメタクリレー
ト類、ポリ−4−ビニルピリジン塩酸塩、特開昭54−
64186号公報に開示されているようなポリアクリロ
ニトリルポリマーなどの第3級アミンポリマー、特公昭
43−243号公報に開示されているようなジメチルア
ミン−エピクロルヒドリン縮重合物、特開昭57−11
2480号公報に開示されているような2−メタクリル
オキシプロピルトリメチルアンモニウム塩ポリマー、特
開昭55−76177号公報に開示されているようなジ
メチルジアリルアンモニウムクロライド系ポリマー、特
開昭51−112987号公報に開示されているような
ポリエピクロルヒドリン−トリメチルアミン反応物、特
開昭57−210083号公報に開示されているような
1−ビニルイミダゾールの4級化物重合体、特開昭60
−9979号公報及び特開昭60−9980号公報に記
載されているようなポリアルキレンポリアミン類のエポ
キシ化合物による4級化物のポリマー、特開昭57−4
7309号公報記載のアクリルアミド及びこれと共重合
可能なカチオン性単量体の共重合物、特開昭63−23
4007号公報記載の4級アンモニウム塩基を有するカ
チオン性重合体、特開昭63−284225号公報記載
のアミノアルキルアクリルアミド系ポリマーの4級塩な
どの4級アンモニウム塩タイプのポリマー、特開昭56
−128382号公報に開示されている次式[I]のモ
ノマー単位からなるポリマー(式中、R1 及びR2 は、
互いに独立して、水素、アルキル基又はアリール基を表
わし、Xはハロゲンを表わす。)、
【0012】
【化1】
【0013】次式[II]のモノマー単位からなるポリマ
ー(式中、R1 及びR2 は、互いに独立して、水素、ア
ルキル基又はアリール基を表わし、Xはハロゲンを表わ
す。)(商品名:シャロールDCシリーズ、第一工業製
薬社製)、
【0014】
【化2】
【0015】並びに、これらの4級アンモニウム塩ポリ
マーと他のビニル系ポリマーからなる共重合物などを挙
げることができる。
【0016】これらの窒素カチオン性ポリマーで繊維製
品類の連続状物を処理するカチオン化処理工程は、繊維
製品類の連続状物をエンドレス状に循環させてバッチ式
で行うので、繊維製品類の連続状物上に窒素カチオン性
ポリマーを物理的および/または化学的に担持させるこ
とを、所謂吸尽染色に類似した処理方法によって効率良
く行うことができる。窒素カチオン性ポリマーで繊維製
品類の連続状物を処理する方法(カチオン化処理工程)
の一例は次のとおりである。
【0017】繊維製品類の連続状物をエンドレス状に循
環させるバッチ式の染色機中の染色浴に、繊維製品類の
連続状物に対して5乃至50重量倍(好ましくは10乃
至30重量倍)の水と、同連続状物に対して0.01乃
至20重量%(好ましくは0.1乃至5重量%)程度の
窒素カチオン性ポリマーを準備し、繊維製品類の連続状
物(好ましくは精練済のもの)を連続的に浸漬させ得る
ように染色機を作動させ、染色浴の温度を常温乃至95
℃程度に3乃至60分間程度保持させると、窒素カチオ
ン性ポリマーが繊維製品類の連続状物上に物理的および
/または化学的に担持される。
【0018】また、上記染色浴中に必要に応じ、例えば
酢酸、シュウ酸、酒石酸等の酸性物質、あるいはカセイ
ソーダ、ソーダ灰等のアルカリ性物質を加えることによ
ってその染色浴のpHを調節したり、尿素やエチレング
リコール等の湿潤剤を含有させて窒素カチオン性ポリマ
ーの浸透性を調節したりすることも可能である。
【0019】上記のような染色機としては、液流染色機
(ジェット染色機)、ウインス染色機、ジッガー染色
機、ウインスター染色機、ドラム染色機、パドル染色
機、ロータリー染色機、噴射式自動綛染機等を例示する
ことができる。本発明で使用される可逆変色性微粒子に
は、熱によって可逆的に変色する所謂サーモクロミック
型の微粒子と光によって可逆的に変色する所謂フォトク
ロミック型の微粒子の双方が包含され、変色サイクルに
おいてヒステリシス現象を示すものも含まれる。勿論、
得られる繊維製品類のカラーバリエーションを豊富化
し、より付加価値を高めることを目的として、熱により
変色するタイプの微粒子と光により変色するタイプの微
粒子をそれぞれ1種以上併用することも可能である。
【0020】これらの微粒子について、より具体的に例
示すれば、まずサーモクロミック型の熱可逆変色性微粒
子としては、酸顕色性物質、酸性物質及び溶媒から成る
3成分系混合物;酸顕色性物質及び酸性物質から成る2
成分系混合物;並びにコレステリック型の単独あるいは
混合液晶等を皮膜形成性の高分子化合物で内包化したマ
イクロカプセルや、同様の高分子化合物により前記3成
分系混合物等を固溶体化したマイクロカプセル、あるい
は合成樹脂マトリックス中に前記3成分系混合物等を分
散したものの微粒子、すなわちマトリックス微粒子等を
挙げることができる。また、金属錯塩系の化合物を微粉
砕してなる微粒子を使用することもできる。しかしなが
ら、色種の豊富さ、変化のダイナミックさ等を考慮すれ
ば、前記3成分系混合物を内包化し、あるいは固溶体化
したマイクロカプセルを用いることが好ましい。また、
着色された繊維製品類の種々の堅牢度を考慮すれば、大
略50μm以下の粒径のものを用いるのが好適である。
【0021】次に、フォトクロミック型の光可逆変色性
微粒子としては、スピロピラン系、スピロオキサジン
系、ナフトピラン系、フルギド系などの所謂有機フォト
クロミック化合物を、合成樹脂マトリックス中に分散し
たものの微粒子、すなわちマトリックス微粒子や、かか
るマトリックス微粒子を前記皮膜形成性の高分子化合物
で内包化したマイクロカプセル及び該有機フォトクロミ
ック化合物がヒンダードアミン類、ヒンダードフェノー
ル類、可塑剤、高沸点溶媒、合成樹脂等の媒体中に溶解
または分散した混合物を前記皮膜形成性の高分子化合物
で内包化したマイクロカプセル等を挙げることができ
る。ハロゲン化銀等のフォトクロミック金属塩を微粉砕
してなる微粒子を使用することもできるが、色種の豊富
さ、光応答性、安定性等を考慮すれば、前記した有機フ
ォトミック化合物を内包化したマイクロカプセルを用い
ることが好ましい。着色された繊維製品類の諸堅牢度を
考慮すれば、大略50μm以下の粒径のものを用いるの
が好適である。
【0022】なお、上記各微粒子類は、更に皮膜形成性
の高分子化合物で被覆するなどして複層構造としたり、
アニオン性基を有する皮膜形成性物質や各種の界面活性
剤等により、例えば表面電位を負に帯電させるなどの表
面処理を施したりすることができる。カチオン化処理工
程を経た繊維製品類の連続状物を可逆変色性微粒子で処
理する方法(着色処理工程)の一例は次のとおりであ
る。
【0023】繊維製品類の連続状物をエンドレス状に循
環させるバッチ式の染色機中の染色浴に、繊維製品類の
連続状物に対して5乃至50重量倍(好ましくは10乃
至30重量倍)の水と、同連続状物に対して0.1乃至
50重量%(好ましくは1乃至25重量%)程度の可逆
変色性微粒子を準備し、カチオン化処理工程を経てカチ
オン化された繊維製品類の連続状物(好ましくは、カチ
オン化の後、軽くゆすぎ、余分の窒素カチオン性ポリマ
ーを取り除いたもの)を連続的に浸漬させ得るように染
色機を作動させ、染色浴の温度を常温乃至95℃程度に
3乃至60分間程度保持させると、可逆変色性微粒子が
繊維製品類の連続状物に吸尽される。通常、カチオン化
処理工程において用いた染色機を引き続き利用するが、
別の染色機を用いることも勿論可能である。
【0024】なお、必要に応じて上記染色浴は、カチオ
ン化処理工程と同様に、pHを調節したり、浸透性を調
節したりすることができるほか、各種界面活性剤や保護
コロイドにより、可逆変色性微粒子の分散状態を適宜調
節することが可能である。また上記各種の調節条件を満
たしている場合には、可逆変色性微粒子の製造時に最終
的に得られる水性分散液をそのままの状態で使用しても
差し支えない。また、これらの可逆変色性微粒子と通常
の染顔料類を共存させて用いることもでき、この場合、
カラーバリエーションが更に豊富化される。
【0025】また更に、上記調節条件の範囲内であれ
ば、可逆変色性微粒子と共に、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、帯電防止剤、難燃剤、防腐剤、忌避剤、防虫剤、樹
脂架橋剤、粘度調節剤、可塑剤、柔軟剤、香料、紫外線
発光型色素、蛍光顔料、蓄光顔料、蛍光増白剤、体質顔
料、電解質、防抜染剤、熱硬化性樹脂、乾燥調節剤等の
併用が可能である。前記した可逆変色性微粒子の変色特
性を損なわないものであれば、それらの微粒子中に前記
のような物質を共存させて用いても差し支えない。
【0026】本発明において繊維製品類の連続状物を使
用する理由は、第一に生産性を向上させることにある。
すなわち、これらの長物を用いれば、単一の工程にて一
度に大量の処理を行うことが可能となるため、個々の最
終製品単位で処理を行う場合に比し、生産性が大幅に向
上する。
【0027】この繊維製品類の連続状物を窒素カチオン
性ポリマーで処理してその連続状物上に窒素カチオン性
ポリマーを物理的および/または化学的に担持させるこ
とにより、可逆変色性微粒子に対し、繊維製品類への親
和性を付与することができるようになった。そのため、
従来これらの可逆変色性微粒子を繊維製品類に適用する
にあたって種々存した制約的因子を完全に排除すること
が可能となった。
【0028】すなわち、従来は、可逆変色性微粒子は、
通常の染料類が有するような繊維製品類に対する親和性
を本来的に有していないので、これを用いて繊維製品類
を着色するためには、合成樹脂等の接着成分の併用を必
要不可欠としていた。ところが、同様な手段を必要とす
る通常の顔料類に比し単位重量当りの着色濃度が低いこ
とから、可逆変色性微粒子により十分な着色濃度を得る
ためには、可逆変色性微粒子の使用量が多くなってしま
い、それに伴って、接着成分の使用量が多くなり、必然
的に繊維製品類の風合い及び感触を損ねる原因となって
いた。これに対して本発明の着色処理方法では、これら
の問題点を悉く克服することによって、高濃度で而も風
合い等が良好な着色物を提供することを可能としてい
る。
【0029】更に、本発明の着色処理方法は均染性にも
優れたものとなっており、その着色物は、反始から反末
に至るまで着色濃度の均一性が高い。このような良好な
均染性は、本発明において使用される所謂長物を着色す
る場合に特に望まれることである。
【0030】このような良好な均染性が得られる原因は
必ずしも明確ではないが、本発明者等は、カチオン化処
理工程において使用される窒素カチオン性ポリマーに一
種の緩染作用が存するためであると考えている。
【0031】すなわち、カチオン界面活性剤等として知
られているような低分子量の窒素カチオン性化合物を用
いた場合には、処理の初期において大部分のものが繊維
製品類の連続状物に急激に担持されてしまい、この結
果、反始から反末に至る間に低分子量の窒素カチオン性
化合物が不均一に存在することとなる。そのため、後の
着色処理工程における可逆変色性微粒子の吸尽の具合に
もその影響が及ぶものと考えられる。更に、一旦繊維製
品類に吸尽された可逆変色性微粒子は、窒素カチオン性
ポリマーを用いた場合、静電的作用に加えてポリマー自
体が本来的に有する物理的な接着作用をも伴うため、そ
の固着強度が強固なものとなるのに対して、低分子量の
窒素カチオン性化合物の場合には物理的な接着作用が得
られないために可逆変色性微粒子の離脱が容易に生じ、
均染性を悪化させる今一つの要因となっているものと考
えられる。
【0032】このように、本発明においては、窒素カチ
オン性ポリマーを用いてカチオン化処理工程を施すこと
により、風合等を損なうことなく繊維製品類の連続状物
上に可逆変色性微粒子を強固に而も多量に固着させて極
めて均一に着色された着色物を得ることが可能となっ
た。そしてこのことによって、所謂長物の繊維製品類を
用いて生産効率を向上させることが可能となった。
【0033】また本発明においては、可逆変色性微粒子
に対して強力な親和性が付与され、且つ物理的な接着作
用によりその離脱が防止されたので、着色処理工程が極
めて短時間のうちに完了する。それによって、生産効率
が更に向上すると共に、繊維製品類や可逆変色性微粒子
に及ぶダメージが最小限度のものとなる。
【0034】上記緩染効果を十分に発揮させるために
は、窒素カチオン性ポリマーの分子量は大略500以上
であることが望ましい。これらの窒素カチオン性ポリマ
ーは、2種以上組合せて用いることもできる。一般的に
窒素カチオン性バインダーと呼ばれているところの、以
下に例示されるような窒素カチオン性ポリマーは、前記
した物理的な接着作用(所謂バインダー効果)が特に強
化されるので、好適に使用することができる。この窒素
カチオン性バインダーは、その他の窒素カチオン性ポリ
マーとの間に明確な化学的差異は存しないが、分子量が
比較的大きいものである。
【0035】この窒素カチオン性バインダーの例として
は、アクリル酸エステル系エマルジョン(例えば、大日
本インキ化学工業社製のボンコート[商標]SFCシリ
ーズ、カネボーNSC社製のヨドゾール[商標]AFシ
リーズ、住友化学工業社製のCGCシリーズ)、特開昭
62−187702号公報開示のカチオン性エマルジョ
ン、特開昭62−201914号公報開示のカチオン性
ポリマー、特開昭62−263211号公報開示のカチ
オン性ラテックス等を挙げることができる。このような
窒素カチオン性バインダーは、2種以上併用することも
でき、その他の窒素カチオン性ポリマーと併用すること
も可能である。
【0036】可逆変色性微粒子は、繊維製品類の連続状
物に担持された窒素カチオン性ポリマーの作用により、
その繊維製品類に効率よく吸尽される。これは、可逆変
色性微粒子の表面電位が、通常、相対的に負となってお
り、窒素カチオン性ポリマーとの間に静電的な親和力が
生じるためである。更に、一旦吸尽された可逆変色性微
粒子は、この静電的な結合に加えて窒素カチオン性ポリ
マーの物理的な接着作用により、繊維製品類からの離脱
が防止される。このようにして、堅牢且つ濃厚に、而も
均一に着色された着色物が、極短時間の処理で提供され
るのである。
【0037】通常、本発明にて使用する如き長物の繊維
製品類を効率よく着色する方法としては、所謂パディン
グ法が知られているが、該法においては選択吸収の問題
があり、着色剤が選択的に吸尽されないこと、すなわ
ち、常に浴濃度と同一濃度で繊維製品類に付着すること
が条件となるため、本法におけるような濃厚な着色物を
得ることはできなかった。従って本発明は、従来に例を
見ない高効率性と高着色性の双方を高度に両立させたも
のと言い得る。
【0038】本発明にて得られる着色物は、上記した各
処理工程を経るだけで十分な洗濯堅牢度及び摩擦堅牢度
等の諸堅牢度を有するものが得られるが、必要に応じ熱
可塑性高分子化合物にて処理することによって、更にそ
れらの諸堅牢度を向上させることができる。この熱可塑
性高分子化合物は、可逆変色性微粒子を繊維製品類に対
し物理的に固着させる作用(所謂バインダー作用)を発
揮する。
【0039】このような熱可塑性高分子化合物として
は、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル
樹脂、スチレンブタジエンラテックス、ポリオレフィン
樹脂、アクリル酸樹脂、メタクリル酸樹脂、もしくはこ
れらの誘導体並びにこれらと他のビニル系ポリマーとの
共重合物等、一般にバインダーと呼ばれているものであ
ればいかなるものを使用しても差し支えない。しかし、
諸堅牢度並びに繊維製品類の風合及び感触をより良好な
ものとする上で、これらの中でもアクリル酸エステル樹
脂やポリウレタン樹脂を用いることが特に好ましい。こ
れらの熱可塑性高分子化合物は、通常、水性エマルジョ
ン又は水溶液として使用される。
【0040】熱可塑性高分子化合物にて処理を行なう時
期については、特に限定されない。例えば、カチオン化
処理や着色処理と同時に行なったり、或は、着色処理工
程後に、別の工程として独立的に行なうこともできる。
このように独立的に行なう場合には、前記した2つの工
程と同様にして行うことができる。すなわち、繊維製品
類の連続状物をエンドレス状に循環させるバッチ式の染
色機を用いて、浴比1:5乃至50(好ましくは1:1
0乃至30)の下、常温乃至95℃程度の温度で3乃至
60分間程度処理する。このような熱可塑性高分子化合
物の使用量は、繊維製品類の風合や感触を損なわない程
度に用いることが好ましく、一般的には、繊維製品類に
対して0.01乃至10重量%程度であり、好ましくは
0.3乃至5重量%である。
【0041】
【発明の効果】本発明の着色処理方法によれば、繊維製
品類の連続状物を、熱および/または光可逆変色性微粒
子により、均一に、而も、風合を損なわずに必要に応じ
高濃度に着色することができ、得られる着色物の洗濯堅
牢度や摩擦堅牢度等の諸堅牢度にも優れる。また、着色
処理工程が極めて短い時間で完了するので、可逆変色性
微粒子や繊維製品類に与えるダメージが最小限にとどま
る。それゆえ、良好な品質の可逆変色性着色物を極めて
効率良く得ることができる。また、可逆変色性微粒子が
ほとんど全て繊維製品類に吸尽されるので、材料が有効
活用されると共に環境汚染対策上も有用性が高い。従っ
て本発明の着色物は、可逆変色性微粒子により、均一
に、而も、風合を損なわずに必要に応じ高濃度に着色さ
れ、その可逆変色性微粒子や繊維製品類が受けているダ
メージは最小限であり、洗濯堅牢度や摩擦堅牢度等の諸
堅牢度に優れるものである。
【0042】
【実施例】以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】実施例1 精練済みの綿糸30Wで丸編みされた50cm幅の綿編
物(天ジク)50kg(300m長)を裏返し、その綿
編物がループ状で循環する2000リットル容量の液流
染色機を用いて浴比1:30となるように水を投入後、
染色機を作動させて綿編物の循環を開始させた。続いて
生地重量に対し3重量%の第4級アンモニウム塩タイプ
の窒素カチオン性ポリマー水溶液[固形分約30重量
%](窒素カチオン性ポリマーは、式[II]〔式中、R
1 及びR2 はメチル基、Xは塩素〕のモノマー単位から
なるポリマー〔分子量:約2万〕)を予め100重量倍
の水で希釈し、徐々に染色機内に投入後、徐々に昇温し
て70℃で30分間処理し、前記綿編物をカチオン化し
た。その後続いて3分間のすすぎを2回繰り返し行い、
余分なカチオン化合物を取り除いた。
【0044】一旦循環を停止させた後、この染色機に浴
比1:20となるように水を投入し、再び循環を開始さ
せた。次いで、熱可逆変色性微粒子[3−ジエチルアミ
ノ−7,8−ベンゾフルオラン(酸顕色性物質)1重量
部、ビスフェノールA(酸性物質)3重量部、ミリスチ
ルアルコール(溶媒)25重量部の3成分系混合物をエ
ポキシ樹脂10重量部にて固溶体化したマイクロカプセ
ル]の50%水系分散液を生地重量に対し15重量%
と、フタロシアニンブルーの50%分散液(商品名:PG
Color Blue MI IG 、松井色素化学工業所社製)を生地
重量に対し0.5重量%用意して、それらを予め100
重量倍の水で希釈し、徐々に染色機内に投入して常温で
30分間処理した後、徐々に昇温し、60℃で15分間
処理した。すると、処理前紫色であった分散液が、透明
な無色の液体となった(20℃において観察した。)。
すなわち、カチオン化された綿編物に着色剤がほぼ完全
に吸尽されたことを示す。次いで、同染色機内におい
て、着色されたその綿編物を2分間すすいだ。
【0045】一旦循環を停止させた後、同染色機に浴比
1:20となるように水を投入し、循環を再開させた。
続いて生地重量に対し7重量%のアクリル酸エステル共
重合物(熱可塑性高分子化合物)エマルジョン〔エチル
アクリレート:ブチルアクリレート:2−エチルヘキシ
ルアクリレートの2:1:1の共重合物の50%エマル
ジョン〕を予め20重量倍の水で希釈したものを染色機
内へ徐々に投入した後、昇温して70℃で15分間処理
した。次いで、同染色機内で2分間すすぎを行なった
後、綿編物を染色機から取り出し、遠心脱水機を用いて
脱水した。そして、テンタリングマシンを用いて100
乃至120℃で綿編物を乾燥させた。
【0046】このようにして熱可逆変色性微粒子により
着色された綿編物は、22℃以下になると紫色を呈し、
32℃以上になると青色を呈するものであって、この変
色現象は可逆的に何度でも繰り返すことができた。しか
も、綿編物上における幅方向及び長さ方向において色相
差及び濃度差は全く認められず、着色の均一性が高いも
のであった。また該編物は、感触、風合、耐摩擦性、耐
洗濯性にもすぐれたものであった。
【0047】実施例2 ポリエステル35%・綿65%の90cm幅のピンク色
に地染めされた混紡編物(スムースニット)50kg
(150m長)を、拡布状態で循環するように2000
リットル容量の液流染色機にセットし、浴比1:20と
なるように給水した後、染色機を作動させてその混紡編
物の循環を開始させた。続いて、生地重量に対し5重量
%の窒素カチオン性ポリマー(商品名:サンドフィック
スWE、サンド社製)と生地重量に対し8重量%の窒素
カチオン性バインダー(商品名:バインダーMRC、松
井色素化学工業所社製)を、予め100重量倍の水で希
釈し、徐々に染色機内に投入した。そして徐々に昇温し
て70℃で15分間処理し、続いて3分間のすすぎを2
回繰り返し行い、余分なカチオン化合物を取り除いた。
【0048】一旦循環を停止させた後、この染色機に浴
比1:20となるように給水し、循環を再開させた。そ
して、熱可逆変色性微粒子[3成分系混合物含有マイク
ロカプセル]の50%水系分散液(商品名:Chromicolo
r Aqualite Ink Turq. BlueAQー27 、松井色素化学工業
所社製)を生地重量に対し20重量%用意して予め10
0重量倍の水で希釈し、それを徐々に染色機内に投入し
た後、常温で20分間処理した。そして更に、徐々に昇
温して50℃で15分間処理した。すると、処理前青色
であった分散液が、透明な無色の液体となった(20℃
において観察した。)。これは、カチオン化された混紡
編物に熱可逆変色性微粒子が、完全に吸尽されたことを
示す。次いで同染色機内で、着色された混紡編物を2分
間すすいだ。
【0049】その後、この着色布を染色機から取り出
し、遠心脱水機を用いて脱水した後、テンタリングマシ
ンを用いて120乃至140℃で乾燥した。このように
して熱可逆変色性微粒子により着色された混紡編物は、
22℃以下になると紫色を呈し、32℃以上になるとピ
ンク色を呈するものであって、この変色現象は可逆的に
何度でも繰り返すことができた。而も、着色の均一性、
感触、風合、耐摩擦性、耐洗濯性等は、実施例1で得た
着色布と同様に優れていた。
【0050】この着色布を胴部に用い、実施例1で得た
着色布を襟及び袖部に用いたTシャツは、22℃以下で
は全体が紫色であったが、32℃以上では胴部がピンク
色、襟・袖部が青色に変化する、多彩な色彩を呈するも
のであった。
【0051】実施例3 レーヨン100%・太さ2デニールの糸の束5kgを5
束準備し、1000リットル容量の噴射自動綛染機に、
この糸束がループ状に循環するようにセットし、浴比
1:15となるように染色機内に水を投入した後、染色
機を作動させて糸束の循環を開始させた。続いて、糸重
量に対して5重量%の窒素カチオン性ポリマー(商品
名:サンフィックスPAC−7、三洋化成社製)を予め
50重量倍の水で希釈したものを徐々に染色機内に投入
した後、常温で30分間処理して糸をカチオン化した。
次いで3分間のすすぎを2回繰り返して行い、余分な窒
素カチオン性ポリマーを取り除いた。
【0052】一旦循環を停止させた後、この染色機に浴
比1:15となるように水を投入し、循環を再開させ
た。そして糸重量に対し20重量%の光可逆変色性微粒
子の50%水系分散液(商品名:Photopia Aqualite In
k Blue AQ-T 、松井色素化学工業所社製)及び生地重量
に対し5重量%の蛍光色顔料分散液(商品名:Glow Col
or Pink MIB 、松井色素化学工業所社製)を、予め10
0重量倍の水で希釈し、それらを染色機内へ徐々に投入
した。続いて徐々に昇温して70℃で30分間処理し
た。すると、光を照射した状態において、処理前には前
記2種類の分散液の混合物が紫色であったものが、処理
後は透明な無色の液体となった。これは、カチオン化さ
れた糸に光可逆変色性微粒子及び蛍光色顔料がほぼ完全
に吸尽されたことを示す。その後、前記染色機内で、着
色された前記の糸を2分間すすいだ。
【0053】再度循環を停止させた後、同染色機内に浴
比1:15となるよう水を投入し、循環を再開させた。
続いて糸重量に対し8重量%のポリウレタン樹脂エマル
ジョン(熱可塑性高分子化合物)(商品名:ハイドラン
HW311:大日本インキ社製)を、予め20重量倍の
水で希釈し、それを染色機内へ投入して徐々に昇温した
後、80℃で15分間処理した。再び循環を停止させ、
同染色機内へ浴比1:7となるよう水を投入し、循環を
再開させた。続いて、糸重量に対し5重量%のシリコー
ン系柔軟剤(商品名:ソフナーAQ、松井色素化学工業
所社製)を投入し、40℃に昇温の後3分間処理した。
そして、着色した糸を染色機から取り出し、遠心脱水機
を用いて脱水した後、タンブラー乾燥機を用いて80乃
至100℃で乾燥させた。
【0054】このようにして光可逆変色性微粒子により
着色された糸は、日光が直接当たらない室内ではピンク
色を呈し、直接日光が当たる窓際や屋外では濃い紫色を
呈するものであって、この変色現象は可逆的に何度でも
繰り返すことができた。而も、着色の均一性、耐摩擦
性、耐洗濯性等は、実施例1で得た着色布と同様に優れ
ており、感触及び風合は更に柔軟であった。
【0055】実施例4 精錬済みの絹100%の織物50kg(幅90cm、長
さ400m)を、2000リットル容量のジッガー染色
機に、その織物が拡布状態で繰り返し反転往復するよう
セットし、浴比1:15となるように水を投入した後染
色機を作動させて織物の反転往復を開始させた。続いて
生地重量に対し2重量%の窒素カチオン性ポリマー(商
品名:Fixer P、松井色素化学工業所社製)を予
め50重量倍の水で希釈し、それを徐々に染色機内に投
入した後、45分間常温で処理し、この織物をカチオン
化した。続いて3分間のすすぎを2回繰り返し行ない、
余分な窒素カチオン性ポリマーを取り除いた。
【0056】一旦反転往復を停止させ、この染色機に浴
比1:15となるように水を投入した後、反転往復を再
開させた。次いで光可逆変色性微粒子の50%水系分散
液(商品名:Photopia Aqualite Ink Yellow AQーG 、松
井色素化学工業所社製)を生地重量に対し10重量%用
意してこれを予め50重量倍の水で希釈したものを、徐
々に染色機内に投入し、徐々に昇温して、50℃で15
分間処理した。続いて、生地重量に対し5重量%のポリ
アクリル酸エステル共重合樹脂[熱可塑性高分子化合
物](商品名:バインダーMRY、松井色素化学工業所
社製)及び生地重量に対し0.5重量%のエチレン尿素
系縮合物架橋剤(商品名:フィクサーF、松井色素化学
工業所社製)を予め10重量倍の水で希釈し、それらを
同染色機内に投入して50℃で30分間処理した。次い
で2分間のすすぎを1回行ない、この織物を染色機から
取り出した。
【0057】続いてこの着色した織物を遠心脱水機を用
いて脱水した後、テンタリングマシンを用いて120乃
至140℃で乾燥させた。このようにして光可逆変色性
微粒子により着色された織物は、日光が直接当たらない
室内では白色であるが、直接日光が当たる窓際や屋外で
は黄色に発色するものであって、この変色現象は可逆的
に何度でも繰り返すことができた。而も、着色の均一
性、感触、風合、耐摩擦性、耐洗濯性等は、実施例1で
得た着色布と同様に優れており、耐ドライクリーニング
性に特に優れたものであった。
【0058】比較例1 精練済の綿糸30Wで丸編みされた50cm幅の綿編物
(天ジク)50kg(300m長)を裏返し、2000
リットル容量の液流染色機に実施例1と同様にこの綿編
物をセットして浴比1:20となるように水を投入し、
染色機を作動させて綿編物の循環を開始させた。次いで
実施例1で用いたのと同じ熱可逆変色性微粒子[3成分
系混合物含有マイクロカプセル]の50%水系分散液を
生地重量に対し15重量%と、実施例1で用いたのと同
じフタロシアニンブルーの50%分散液を生地重量に対
し0.5重量%用意して、それらを予め100重量倍の
水で希釈し、徐々に染色機内に投入して常温で30分間
処理した後、徐々に昇温し、60℃で15分間処理し
た。
【0059】実施例1では、処理前紫色であった分散液
が処理後透明な無色の液体となったが、この比較例1で
は処理前とほとんど変化なく紫色であった(20℃にお
いて観察した。)。これは、綿編物に各着色剤がほとん
ど吸尽されなかったことを示す。次いで、同染色機内
で、着色された前記綿織物を2分間すすいだ。一旦循環
を停止させた後、同染色機に浴比1:20となるように
水を投入し、循環を再開させた。続いて生地重量に対し
7重量%の実施例1で用いたのと同じアクリル酸エステ
ル共重合物を予め20重量倍の水で希釈し、染色機内へ
除々に投入した後昇温し、70℃で15分間処理した。
次いで同染色機内で2分間すすいだ後、その綿織物を染
色機から取り出して遠心脱水機により脱水した。その後
テンタリングマシン用いて100乃至120℃で乾燥さ
せた。
【0060】このようにして得られた着色物を実施例1
と比較した結果を表1に示す。各項目の評価方法は次の
とおりである。 色相:各温度で目視判定を行なった。 濃度:ミノルタ社製CR121色差計を用いて色差(△
E)を測定した数値を基に、実施例1の濃度を100%
として算出した。 耐摩擦堅牢性:AATCC 8−1979に基づいて試
験し、グレースケールで判定した。 耐洗濯性:JIS L0844 A−2法に基づいて試
験し、グレースケールで判定した。
【0061】
【表1】
【0062】実施例5 精練済みの綿糸30Wで丸編みされた50cm幅の綿編
物(天ジク)50kg(300m長)を裏返し、200
0リットル容量の液流染色機に、この綿編物が拡布状で
循環するようにセットし、浴比1:30となるように水
を投入した後、染色機を作動させて綿編物の循環を開始
させた。続いて、生地重量に対して3重量%の第4級ア
ンモニウム塩タイプの窒素カチオン性ポリマー水溶液
(窒素カチオン性ポリマーは、式[II]〔式中、R1
びR2 はメチル基、Xは塩素〕のモノマー単位からなる
ポリマー〔分子量:約2万〕)を予め100倍量の水で
希釈し、これを徐々に染色機に投入した後、徐々に昇温
して70℃で30分間処理し、綿編物をカチオン化し
た。続いて、3分間のすすぎを2回繰り返し、余分な窒
素カチオン性ポリマーを取り除いた。
【0063】一旦循環を停止させ、染色機に浴比1:2
0となるように水を投入した後、循環を再開させた。次
いで、熱可逆変色性微粒子[3成分系混合物含有マイク
ロカプセル]の50%水系分散液(商品名:Chromicolo
r Aqualite Ink Turq. BlueAQー27 、松井色素化学工業
所社製)を生地重量に対し15重量%用意して予め10
0重量倍の水で希釈し、徐々に染色機内に投入し、常温
で30分間処理した後、徐々に昇温して60℃で15分
間処理した。すると、処理前青色であった分散液が透明
な無色の液体となった(いずれも20℃において観察し
た。)。これは、カチオン化された綿編物に熱可逆変色
性微粒子がほぼ完全に吸尽されたことを示す。次いで同
染色機内で、着色された綿編物を2分間すすいだ後、こ
れを染色機から取り出し遠心脱水機により脱水し、テン
タリングマシンを用いて100乃至120℃で乾燥し
た。
【0064】このようにして熱可逆変色性微粒子により
着色された綿編物は、22℃以下になると青色を呈し、
32℃以上になると繊維本来の白色を呈するものであっ
て、この変色現象は可逆的に何度でも繰り返すことがで
きた。しかも、この綿編物は、幅方向及び長さ方向にお
いて着色の均一性が良好で、感触、風合、耐摩擦性、耐
洗濯性にも非常に優れたものであった。
【0065】比較例2 実施例5と同様の綿織物を、実施例5と同一の染色機
に、実施例5と同様にセットし、浴比1:20となるよ
うに水を投入した後循環を開始させた。続いて、実施例
5と同一の熱可逆変色性微粒子を用いて実施例5と同様
の処理を行なったところ、実施例5のように分散液が透
明な無色の状態となることはなく、処理前とほとんど変
わらない青色の分散液のままであった。これは、綿編物
に熱可逆変色性微粒子が吸尽されなかったことを示す。
次いで、実施例5と同様に、すすぎを行なった後、遠心
脱水し、綿編物を乾燥させた。
【0066】比較例3 窒素カチオン性ポリマーをステアリルトリメチルアンモ
ニウムクロライドに換えること以外、すべて実施例5と
同様に処理して着色物を得た。その途中で、熱可逆変色
性微粒子による処理後の分散液の状態を20℃において
観察したところ、透明な無色の液となっていることが観
察されたが、後のすすぎ工程のすすぎ液を観察すると、
実施例5のすすぎ液に比し、明らかに濃い青色を呈して
いた。これは、一旦綿編物に吸尽された熱可逆変色性微
粒子が、すすぎにより離脱したことを示している。
【0067】得られた着色物は、幅方向及び長さ方向に
おいて着色むらが大きく、摩擦堅牢度及び洗濯堅牢度も
実施例5の着色物に比し劣っていた。比較例2及び比較
例3においてそれぞれ得られた着色物を実施例5による
着色物と比較した結果を下記の表2に示す。各項目の評
価方法は次のとおりである。
【0068】色相、耐摩擦堅牢性及び耐洗濯性:表1の
場合と同様。 最大発色濃度:0乃至50℃の間で連続的に温度を変化
させながら、ミノルタ社製CR121色差計を用いて最
大色差を求め、実施例5のものを100%として算出し
た。 着色の均一性:温度20℃において、各綿編物上の幅方
向の最大色差(△E)及び長さ方向の最大色差(△
E’)を前記色差計にて測定した。
【0069】
【表2】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維製品類の連続状物を窒素カチオン性ポ
    リマーで処理するカチオン化処理工程と、カチオン化処
    理工程を経た繊維製品類の連続状物を熱および/または
    光可逆変色性微粒子で処理する着色処理工程とを有して
    なり、これらの各工程における処理を、繊維製品類の連
    続状物をエンドレス状に循環させてバッチ式で行うこと
    を特徴とする着色処理方法。
  2. 【請求項2】上記窒素カチオン性ポリマーの少なくとも
    一部がバインダー効果を有するものである請求項1記載
    の着色処理方法。
  3. 【請求項3】上記カチオン化処理工程及び着色処理工程
    のうち少なくとも一方を、熱可塑性高分子化合物を併用
    して行う請求項1記載の着色処理方法,
  4. 【請求項4】着色処理工程を経た繊維製品類の連続状物
    を、熱可塑性高分子化合物で処理するバインダー処理工
    程を有する請求項1、請求項2又は請求項3記載の着色
    処理方法。
  5. 【請求項5】繊維製品類の連続状物が予め着色処理され
    たものである請求項1、請求項2、請求項3又は請求項
    4記載の着色処理方法。
  6. 【請求項6】請求項1、請求項2、請求項3、請求項4
    又は請求項5記載の着色処理方法によって得られた着色
    物。
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