JPH06303022A - アンテナ装置 - Google Patents

アンテナ装置

Info

Publication number
JPH06303022A
JPH06303022A JP5087067A JP8706793A JPH06303022A JP H06303022 A JPH06303022 A JP H06303022A JP 5087067 A JP5087067 A JP 5087067A JP 8706793 A JP8706793 A JP 8706793A JP H06303022 A JPH06303022 A JP H06303022A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mode
mode information
phase
phase shift
beam direction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5087067A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruichi Higuchi
晴一 樋口
Yoshizo Shibano
儀三 芝野
Masaya Yamada
雅也 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP5087067A priority Critical patent/JPH06303022A/ja
Publication of JPH06303022A publication Critical patent/JPH06303022A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Variable-Direction Aerials And Aerial Arrays (AREA)
  • Mobile Radio Communication Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】簡単な構成で到来電波を捕捉することができる
アンテナ装置を提供する。 【構成】アンテナ素子A1,A2,A3,A4の出力信
号は、移相器B1,B2,B3,B4を介して合成器1
に入力されて合成される。移相器B1,B2,B3,B
4における移相量を制御することで、合成放射指向性の
主ビーム方向が制御される。主ビーム方向は所定の量子
化間隔で量子化される。そして、量子化された主ビーム
方向に対応したモード番号が、CPU20から生成され
る。モード番号に対応したアドレスがROM10に与え
られる。これに応答して、ROM10は、移相器B1,
B2,B3,B4の各移相量を設定するための制御信号
を移相器ドライバD1,D2,D3,D4に与える。初
期捕捉動作時には、振幅検出器2が検出する受信レベル
が最大となるモードが設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車などの移動体に
搭載されて用いられ通信衛星や地上に固定設置された通
信中継局などのような電波発生源からの電波を捕捉する
ことができるアンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地上に固定設置された通信中継局と自動
車などの移動体との間で通信を行う移動体通信において
は、移動体の移動に伴って移動体から見た通信中継局の
方向が刻々と変化する。そのため、移動体に搭載される
通信用アンテナには、無指向性に近い広い放射指向性を
有するものが適用され、電波の到来方向によらずに通信
中継局からの電波を受信できるようにするのが通常であ
る。
【0003】ところが、広い指向性のアンテナを用いる
と、どの方向からの電波も受信され、また、どの方向に
対しても電波が放射される。そのため、マルチパス等に
よるフェーディングが発生し、通信品質が劣化が避けら
れない。通信中継局ではなく通信衛星を利用した移動体
通信の場合、たとえば、放送衛星からの電波を自動車に
おいて受信する場合においても、事情は同じである。
【0004】したがって、移動体のアンテナには指向性
を持たせるとともに、通信中継局や通信衛星を追尾する
機能を持たせることが好ましい。すなわち、移動体の移
動に伴って移動体に対する通信中継局または通信衛星の
方向が変化しても、放射指向性の主ビーム方向が通信中
継局または通信衛星の方向を向くようにすることで、安
定した送受信を継続することができ、通信品質を向上す
ることができると考えられる。
【0005】また、固定通信の場合であっても、長期的
に見れば、送受信アンテナ間の電波の伝搬経路は環境に
よって左右される。したがって、移動体通信に限らず、
固定通信であっても、受信アンテナの放射指向性の主ビ
ーム方向を送信アンテナからの電波の到来方向に自動的
に向くようにすることが好ましい。また、アンテナビー
ムの方向を電波の到来方向に自動的に向けることができ
れば、アンテナの初期設定時において精密な方向調整を
行う必要がなくなるから、アンテナの初期設定作業を軽
減できる。
【0006】このように、通信用アンテナの指向性の主
ビームの方向を自動的に電波到来方向に合致させること
ができれば、種々の効果を生むことが期待される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようない
わば自動追尾機能を備えることは、アンテナ装置の構成
を複雑化するとともに、コストの増大に繋がるという問
題を生じさせる。そこで、本発明の目的は、上述の技術
的課題を解決し、簡単な構成ででアンテナの指向性の主
ビーム方向を電波到来方向に自動的に向けることができ
るアンテナ装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】上記の目的を
達成するための請求項1記載のアンテナ装置は、複数の
アンテナ素子と、各アンテナ素子にそれぞれ接続され、
移相量を可変制御することができる複数の移相手段と、
上記複数のアンテナ素子の上記複数の移相手段でそれぞ
れ移相された各出力を合成する合成手段と、この合成手
段の出力レベルを検出するレベル検出手段と、所定の量
子化間隔で量子化された上記複数のアンテナ素子の合成
放射指向性の主ビーム方向のいずれかに対応したモード
情報を生成するモード情報生成手段と、このモード情報
生成手段が生成したモード情報に基づいて上記複数の移
相手段の各移相量を制御し、上記複数のアンテナ素子の
合成放射指向性の主ビーム方向を制御するビーム方向制
御手段と、所定の電波を上記複数のアンテナ素子に受信
させたときに上記レベル検出手段が検出する上記合成手
段の出力レベルが最大となるようなモード情報を、上記
モード情報生成手段に生成させる初期捕捉手段とを含む
ことを特徴とする。
【0009】上記の構成によれば、複数のアンテナ素子
の出力を合成手段で合成したときの合成放射指向性の主
ビーム方向は、各アンテナ素子にそれぞれ接続された複
数の移相手段の各移相量を制御することによって、変化
させることができる。本発明では、上記の主ビーム方向
は、所定の量子化間隔で量子化されており、そのいずれ
かに対応したモード情報がモード情報生成手段から生成
される。
【0010】モード情報生成手段が生成したモード情報
は、ビーム方向制御手段に与えられる。ビーム方向制御
手段は、与えられたモード情報に対応する移相量を各移
相手段に設定し、これによって、モード情報に対応した
方向に上記主ビーム方向を制御する。合成手段の出力レ
ベルはレベル検出手段で検出されており、このレベル検
出手段の出力に基づいて電波の初期捕捉が行われる。す
なわち、レベル検出手段が検出する合成手段の出力レベ
ル(すなわち、受信レベル)が最大となるように、上記
モード情報が決定される。この決定されたモード情報を
上記モード情報生成手段が生成することによって、初期
捕捉が達成される。すなわち、合成放射指向性の主ビー
ム方向が自動的に電波到来方向を向く。
【0011】また、請求項2記載のアンテナ装置は、上
記合成手段に入力される前の上記移相手段を介した各ア
ンテナ素子の出力信号と上記合成手段で合成された信号
との位相差を検出する位相差検出手段と、この位相差検
出手段が各アンテナ素子毎に検出した位相差に基づい
て、上記モード情報生成手段が生成しているモード情報
が適切か不適切かを判定する手段と、上記モード情報生
成手段が生成しているモード情報が不適切であると判定
されたときに、この不適切なモード情報に対応した上記
合成放射指向性の主ビーム方向よりも電波が到来する方
向に近い方向に上記合成放射指向性の主ビーム方向を設
定することができる他のモード情報を上記モード情報生
成手段に生成させるモード情報更新手段とをさらに含む
ことを特徴とする。
【0012】この構成では、電波源の自動追尾を行え
る。すなわち、移相手段を介したアンテナ素子の出力信
号と合成手段で合成された信号との位相差が検出され、
この位相差に基づいてモード情報の適否が判定される。
そして、モード情報が不適切であると判定されると、モ
ード情報更新手段はモード情報を更新する。すなわち、
モード情報生成手段に、電波到来方向に近い方向に上記
主ビーム方向を設定することができる他のモード情報を
生成させる。これにより、主ビーム方向を常に電波到来
方向に向けることができる。
【0013】さらに、請求項3記載のアンテナ装置は、
上記ビーム方向制御手段が、各モード情報に対応するア
ドレスに、そのモード情報に対応して設定すべき上記複
数の移相手段の各移相量に相当する制御情報を記憶して
いるとともに、アドレスが与えられたことに応答して、
そのアドレスに記憶されている制御情報を出力する記憶
手段と、上記モード情報生成手段が生成したモード情報
に対応するアドレスを上記記憶手段に与える手段と、上
記記憶手段が出力する上記制御情報に基づいて上記複数
の移相手段を駆動する駆動手段とを含むことを特徴とす
る。
【0014】この構成では、各モード情報に対応した制
御情報が記憶手段に記憶されている。制御情報は、モー
ド情報に対応するアドレスに記憶されている。記憶手段
にモード情報生成手段が生成したモード情報に対応する
アドレスを与えると、そのモード情報に対応する制御情
報が出力される。この制御情報に基づき、駆動手段が移
相手段を駆動する。その結果、記憶手段にアドレスを与
えることで、モード情報に対応した方向に上記主ビーム
方向を設定することができる。
【0015】また、請求項4記載のアンテナ装置は、上
記記憶手段に与えられるアドレス、または、上記駆動手
段に与えられる制御情報を不変に保つ保持状態と、上記
アドレスまたは制御情報の変化を許容する設定許可状態
とに制御することができるラッチ手段と、上記モード情
報生成手段から生成させるべきモード情報が確定する以
前の期間には上記ラッチ手段を上記保持状態に制御し、
上記モード情報生成手段から生成させるべきモード情報
が確定したことに応答して上記ラッチ手段を上記設定許
可状態に制御する制御手段とをさらに含むことを特徴と
する。
【0016】この構成では、モード情報が確定する以前
の期間には、ラッチ手段の働きによって、記憶手段に与
えられるアドレスまたは駆動手段に与えられる制御情報
は不変に保たれる。したがって、モード情報が不確定な
期間において、主ビーム方向に不所望なゆらぎが生じる
ことを防止することができる。その結果、通信の連続性
を確保できる。
【0017】なお、請求項5に記載されているように、
上記複数のアンテナ素子の合成放射指向性の主ビーム方
向が、所定の第1平面に沿った第1角φに関して間隔d
φで量子化され、かつ、上記第1平面に直交する第2平
面に沿った第2角θに関してdθで量子化されており、
上記量子化された第1角φおよび第2角θをそれぞれ下
記(A)式および(B)式で表したときに、上記モード
情報が、モード番号i,jの組(j,i)で表現され、
上記記憶手段が、モード番号iに対応したIビットのア
ドレス入力端子を有するとともに、このモード番号iに
対応したIビットのアドレス入力端子よりも上位ビット
にモード番号jに対応したJビットのアドレス入力端子
を有しているときには、上記モード情報に対応する上記
記憶手段のアドレスIADD(j,i)は、下記(C)
式で与えられることが好ましい。
【0018】 φ=φ1 +(i−1)dφ ・・・・ (A) ただし、φ1 は定数であり、iはモード番号であり、i
=1,2,3,・・・・である。 θ=θ1 +(j−1)dθ ・・・・ (B) ただし、θ1 は定数であり、jはモード番号であり、j
=1,2,3,・・・・である。
【0019】 IADD(j,i)=B(i+j・2I ) ・・・・ (C) ただし、B( )は( )内の数値を2進数表現するこ
とを表す記号である。また、請求項6に記載されている
ように、モード番号の組(j,i)で表されるモード情
報に対して第k番目の移相手段に設定すべき移相量Φk
が所定の量子化間隔DΦで量子化され、各移相手段が、
それぞれDΦ、2・DΦ、22 ・DΦ、23 ・DΦ、・・
・・、2 n-1 ・DΦだけ位相変化を生じさせることができ
るn個の移相器ユニットをカスケード接続して構成され
ているときには、上記記憶手段が出力する制御情報OT
DATAは、下記(D)式で表されることが好ましい。
【0020】
【数3】
【0021】ただし、Nk (j,i)=B(|Φk (j,
i)/DΦ|)であり、B( )は( )内の数値を2進
数表現することを表す記号である。さらに、請求項7に
記載されているように、モード番号の組(j,i)で表
されるモード情報に対して第k番目の移相手段に設定す
べき移相量Φk が所定の量子化間隔DΦで量子化され、
各移相手段が、それぞれDΦ、2・DΦ、3・DΦ、4
・DΦ、・・・・、m・DΦだけ位相変化を生じさせるため
に駆動されるm本の駆動端子を備えているときには、上
記記憶手段は、第k番目の移相手段に対応した制御情報
として、下記(E)式で表される制御情報OTDATA
k を出力するものであることが好ましい。
【0022】
【数4】
【0023】ただし、Nk (j,i)=B(|Φk (j,
i)/DΦ|)であり、B( )は( )内の数値を2進
数表現することを表す記号である。
【0024】
【実施例】以下では、本発明の実施例を、添付図面を参
照して詳細に説明する。 1.基本構成 図1は本発明の一実施例の全体の構成を示すブロック図
であり、車両などの移動体に搭載されるアンテナ装置の
構成が示されている。通信衛星などからの電波を受信す
るためアンテナ素子A1,A2,A3およびA4は、た
とえば図2に示されているように、水平面に沿ったxy
平面上に、電波伝搬特性の相関関係が小さくなるように
等間隔で配置される。
【0025】アンテナ素子A1,A2,A3,A4はそ
れぞれ移相器B1,B2,B3,B4を介して合成器1
に接続されている。この合成器1で合成されて得られた
信号は通信端子Tに導出される。通信端子Tは、図示し
ない受信機に接続される。移相器B1,B2,B3,B
4は、後述するようにその移相量を可変制御することが
できるものである。移相器B1,B2,B3,B4は、
それぞれ駆動手段としての移相器ドライバD1,D2,
D3,D4によって駆動される。
【0026】移相器ドライバD1,D2,D3,D4に
は、記憶手段としてのROM(リード・オンリ・メモ
リ)10から移相量に対応した制御信号が入力される。
ROM10のアドレス入力端子にはラッチング回路11
に保持されたアドレスデータが入力されており、このR
OM10は入力されたアドレスに格納されたデータを移
相器ドライバD1,D2,D3,D4に与える。ラッチ
ング回路11には、モード情報生成手段、初期捕捉手
段、モード情報更新手段および制御手段などとして機能
するCPU(中央処理装置)20の出力ポートP5,P
6からのデータが与えられる。また、ラッチング回路1
1には、保持データを不変に保つ保持状態と、CPU2
0から与えられるデータを内部に読み込む設定許可状態
とを切り換えるための制御端子CTRが設けられてい
る。この制御端子CTRは、CPU20の出力ポートP
7に接続されている。
【0027】一方、合成器1の出力信号は、切換えスイ
ッチS1を通って、レベル検出手段としての振幅検出回
路2と位相差検出回路3とに選択的に入力される。振幅
検出回路2の出力は、CPU20の振幅入力ポートP1
に入力され、位相差検出回路3の出力は位相差入力ポー
トP2に入力されている。スイッチS1は、CPU20
が出力ポートP4に導出する制御信号に基づきドライバ
5によって切り換えられる。
【0028】位相差検出回路3には、スイッチS1から
の信号のほかに、切換えスイッチS2からの信号も入力
されている。このスイッチS2は、合成器1に入力され
る以前のアンテナ素子A1,A2,A3,A4の出力信
号(正確には移相器B1,B2,B3,B4の出力信
号)を切り換えて順に出力するものである。その切換え
は、CPU20が出力ポートP3に導出する制御信号に
基づき、ドライバ5によって行われる。
【0029】上述のような構成によって、当該装置の動
作開始時にはアンテナ素子A1,,A2,A3,A4の
合成放射指向性の主ビーム方向を電波到来方向に向ける
ための初期捕捉動作が行われる。そして、初期捕捉動作
が行われた後には、電波到来方向の変化に応じてその方
向に合成放射指向性の主ビーム方向を向けるための追尾
動作が行われる。合成放射指向性の主ビーム方向の制御
は、移相器B1,B2,B3,B4における各移相量を
制御することによって行われる。
【0030】たとえば、任意のアンテナ素子Ak(k=
1,2,3,4)が図3に示すようにxy平面上に配置
されているとすると、放射指向性の主ビーム方向をベク
トルP方向に向けるためには、アンテナ素子Akに接続
された移相器Bkの移相量Φ k を下記第(1) 式に示すよ
うに定めればよい。 Φk =−βRksinθPcos(φP −φk ) ・・・・ (1) ただし、Rk は原点Oからアンテナ素子Akまでの距離
(図2の配置では、R1 =R2 =R3 =R4 =R) φk はアンテナ素子Akの水平角 θP はベクトルPの垂直角 φP はベクトルPの水平角 β=2π/λ、λは自由空間波長 この第(1) 式に示された移相量Φk は連続θP ,φP
連続関数であるが、これをデータ制御が容易に行えるよ
うに適当に定めた移相ステップDΦで量子化する。この
とき、量子化された移相量Φk は下記第(2) 式のように
表される。
【0031】
【数5】
【0032】なお、移相ステップDΦは、放射指向性の
主ビーム方向切換え角度間隔、量子化による方位誤差お
よび不要放射ローブ等の指向性性能などを考慮して定め
られる。通常、DΦ=30度程度に設定することが妥当
な場合が多い。図4(a) および(b) は、移相量を30度
ずつ変化させることができる移相器Bkの構成例を示す
ブロック図である。図4(a) の構成例では、移相量がそ
れぞれ30度(=DΦ)、60度(=2・DΦ)、12
0度(=22 ・DΦ)、240度(=23 ・DΦ)の移
相器ユニット31,32,33,34がカスケード接続
されている。各移相器ユニット31,32,33,34
は、ドライバ36,37,38,39から制御端子31
a,32a,33a,34aにバイアス電圧を加えるこ
とにより、非バイアス時に比較してそのユニットに割り
当てられた値だけ位相遅れが生じるように構成されてい
る。バイアス電圧を加える移相器ユニット31,32,
33,34の組合せによって、0度乃至450度の間で
30度間隔で移相量を設定することができる。たとえ
ば、移相器ユニット32と移相器ユニット34とを同時
に駆動し、移相器ユニット31,33を非バイアス状態
とすれば、300度の位相遅れを生じさせることができ
る。
【0033】図4(b) の構成では、30度、60度、9
0度、・・・・・・・・、300度、330度のように、30度
間隔で駆動端子を設けた移相器40が用いられる。各駆
動端子は、ドライバd1,d2,d3,・・・・,d12に
よって駆動される。この構成では、ドライバd1,d
2,d3,・・・・,d12でいずれか1つの駆動端子を駆
動することによって、30度間隔で設定された任意の位
相遅れを生じさせることができる。 2.ビーム方向の設定方法 次に、放射指向性の主ビーム方向を設定する方法につい
て説明する。放射指向性の主ビーム方向を設定すること
は、図3のベクトルPの垂直角θP および水平角φP
設定することにほかならない。 2−1.設定ビーム方向の量子化 ビーム方向をCPU20によるディジタル処理によって
設定するためには、垂直角θP および水平角φP を量子
化することが必要である。ここでは、垂直角θ P は間隔
dθP で量子化し、水平角φP は間隔dφP で量子化す
るものとする。
【0034】垂直角θP には、当該アンテナ装置の適用
システムによって規定される範囲が存在する。たとえ
ば、静止衛星からの電波を日本全国で受信することを目
的としたシステムでは、垂直角θP は20度〜70度の
範囲内の値をとることができればよい。この角度範囲外
に放射指向性の主ビーム方向を設定することは意味がな
いからである。垂直角θP が採りうる角度範囲がθ1
θ2 であるとすると、垂直角θP の量子化の結果とし
て、設定されうる垂直角θP の値は、θ1 ,θ1 +dθ
P ,θ1 +2dθP ,・・・・,θ2 となる。これを一般的
に表現すれば、下記第(3) 式のとおりとなる。
【0035】 θPj=θ1 +(j−1)dθP ・・・・ (3) ただし、j=1,2,3,・・・・である。水平角φP に関
しても同様であり、φ1 〜φ2 (移動体通信の場合には
φ1 =0°、φ2 =360°−dφP )の角度範囲で、
下記第(4) 式のとおりに量子化される。
【0036】 φPi=φ1 +(i−1)dφP ・・・・ (4) ただし、i=1,2,3,・・・・である。間隔dθP およ
びdφP は、アンテナ装置の総合指向性の観点から決定
される。たとえば、垂直角θP の間隔dθP は主放射ビ
ームの垂直半値角程度に設定され、水平角φP の間隔d
φP は主放射ビームの水平半値角程度に設定される。 2−2.ビーム方向の指定方法 CPU20によって、合成放射指向性の主ビーム方向を
指定する方法について説明する。
【0037】上述のように主ビーム方向を量子化する
と、jおよびiを定めれば主ビーム方向が決まる。そこ
で、jおよびiによって定まるビーム状態をモード
(j,i)と定義し、jおよびiをモード番号と定義す
る。この場合、CPU20からモード番号jおよびiを
出力したときに、各移相器B1,B2,B3,B4にモ
ード(j,i)に対応した移相量を設定することができ
る制御信号をROM10から出力させるようにしておけ
ば、CPU20によるビーム方向の指定が達成される。
【0038】たとえば、CPU20の出力としては、モ
ード番号jおよびiをそれぞれ並列出力型の2進数B
(j) ,B(i) で表現するものとし、B(j) を表現するた
めにJ本の出力端子を割り当て、B(i) を表現するため
にI本の出力端子を割り当てる。そして、たとえば、図
5に示されているように、ROM10のアドレス入力端
子A0 〜AI-1 をB(i) に対応させ、アドレス入力端子
I 〜AI+J-1 をB(j)に対応させる。2進数B(j) ,
B(i) とROM10のアドレス入力端子との上位/下位
の対応付けは、図5の場合と逆に設定されてもよい。た
だし、以下では、図5のような対応関係を前提として説
明する。
【0039】なお、図5では、I=7、J=3の場合が
示されている。また、この図5のROM10は、16ビ
ットのアドレスデータが入力される16本のアドレス入
力端子A0 〜A15を備えている。アドレス入力端子A0
〜A15に与えられたアドレス信号はデコーダ51でデコ
ードされて記憶部52に入力される。そして、記憶部5
2に記憶された16ビットのデータが出力端子O0 〜O
15に導出されることになる。
【0040】ROM10のアドレス入力端子A0 〜A15
に入力される入力アドレスIADD(j,i)は、結
局、下記第(5) 式で表されることになる。 IADD(j,i)=B(i+j・2I ) ・・・・ (5) ただし、iは水平角φP を指定するモード数(10進
数) jは垂直角θP を指定するモード数(10進数) B( )は( )内の数値を2進数表現することを表す
記号 なお、ROM10の残りのアドレス入力端子は全てロー
レベルに固定されているものとする(ただし、正論理で
ある。)。
【0041】すなわち、CPU20からはモード(j,
i)を指定するために並列型でB(j) ,B(i) を出力
し、ROM10には入力アドレスとして第(5) 式の値を
与えるものとする。 2−3.移相器ドライブデータ 移相器Bkを駆動するためのデータは、移相器Bkの具
体的な構成によって異なる。
【0042】まず、図4(a) の構成の移相器Bkを用い
る場合の移相器ドライブデータについて説明する。アン
テナ素子数(移相器の数)が4であり、DΦ=30°で
あり、ROM10のデータ出力端子が16本の場合、移
相器B1,B2,B3,B4とROM10のデータ出力
端子O0 〜O15との対応関係は、たとえば、図6のよう
に設定される。すなわち、最初の4ビット分の出力端子
0 〜O3 が移相器B1に割り当てられ、次の4ビット
分の出力端子O4 〜O7 が移相器B2に割り当てられ、
さらに次の4ビット分の出力端子O8 〜O11が移相器B
3に割り当てられ、上位の4ビット分の出力端子O12
15が移相器B4に割り当てられる。
【0043】移相器Bkのモード(j,i)に対する量
子化された移相量Φk は、上記第(2) 式に第(3) 式およ
び第(4) 式を代入することによって定められる。ここ
で、下記第(6) 式で表されるNk を計算してみると、こ
のNk は移相器Bkをドライブするために割り当てられ
たROM10の4本の出力端子の状態を2進数表現した
ものとなっている。
【0044】 Nk (j,i)=B(|Φk (j,i)/DΦ|) ・・・・ (6) たとえば、Φk (j,i)=−210°であるとする
と、 |Φk (j,i)/DΦ|=210/30=7 であるから、 Nk (j,i)=B(7)=(0111)2 ・・・・ (7) となる。この場合には、Nk の最下位ビットによって図
4(a) の移相器ユニット31(位相遅れは30°)、下
から2位のビットによって移相器ユニット32(位相遅
れは60°)、下から3位のビットによって移相器ユニ
ット33(位相遅れは120°)が励振される。その結
果、合計で210°の位相遅れが設定される。このよう
に、Nk (j,i)は、移相器Bkの励振状態を2進数
で表現したものであることがわかる。
【0045】ここで、図6を参照すると、移相器Bkを
駆動するROM10の出力端子は最下位ビット(端子O
0 に相当する。)よりも4(k−1)ビットだけ上位に
シフトしていることがわかる。したがって、ROM10
が出力端子O0 〜O15に出力する全体のデータは、下記
第(8) 式で表現されることになる。
【0046】
【数6】
【0047】一方、移相器Bkを図4(b) の構成で実現
する場合には、移相器Bkに与えられるROM10の出
力データOTDADAは、下記第(9) 式で表される(こ
の第(9) 式が正しいことは、容易に検証されるから、式
の誘導および証明は省略する。)。
【0048】
【数7】
【0049】この場合には、図4(b) の構成から理解さ
れるように、1つの移相器Bkを駆動するために12ビ
ットを要するから、図6に示されたような16ビット出
力のROMを用いる場合には、同様なROMが各移相器
Bkごとに必要となり、全体で4個のROMを要する。
ROMの有効利用という観点からは図4(a) の構成の方
が図4(b) の構成よりも優れていると言えるが、いずれ
の構成を採用するかについては、移相器の構成およびR
OMの有効利用の観点を勘案して総合的に判断すること
が好ましい。 2−4.ROMデータの設定 次に、ROM10へのデータの設定について説明する。
【0050】ROM10の入力データ(入力アドレス)
と出力データとが定まると、ROM10に必要なデータ
を書き込む必要がある。必要な全てのj,iについて、
まず、上記第(5) 式によって、ROM10への入力アド
レスIADD(j,i)を計算する。次に、IADD
(j,i)によってアプローチされるROM10のアド
レスを確認する。これは、使用するROMの取扱説明書
に従って確認することになるが、図5や図6に例示され
たような入力16ビット出力16ビットのROMでは、
2・IADD(j,i)および2・IADD(j,i)
+1が対応するメモリアドレスであることが多い。
【0051】このようにして決定されるROM10のメ
モリアドレスに、移相器構成に応じて、上記第(8) 式ま
たは上記第(9) 式によって定まるOTDATAまたはO
TDATAk (k=1,2,3,4)を書き込めば良
い。データの書込方法については、使用するROMの仕
様により定まる。 2−5.ビーム方向の設定 上述のようにして装置を構成することにより、主ビーム
方向の設定は、基本的には、CPU20が出力ポートP
5,P6にモード番号j,i(すなわち、上記第(5) 式
のデータ)を出力するだけで行われることになる。
【0052】ところが、当該アンテナ装置が車両などの
移動体に搭載される場合には、移動体の移動に伴ってビ
ーム方向を変化させる必要があり、また、当該アンテナ
装置が固定的に設置される場合であっても環境の変化に
伴ってビーム方向を変化させる必要が生じる。このよう
な動作を実現するために、後述するようにCPU20
は、その内部でビーム方向をどちらの方向に向けるのが
一番よいかを検討するための処理を行う。この処理中に
はCPU20の出力が変化するから、それに応じてアン
テナのビーム方向が変化すると、通信の連続性が保証さ
れなくなるおそれがある。
【0053】この問題を避けるために、本実施例では、
図7に示す構成が採用されている。すなわち、CPU2
0とROM10との間にラッチング回路11が接続され
ている。このラッチング回路11は、データの設定を許
容する設定許可状態と、保持データを不変に保つ保持状
態との2つの状態を選択的にとることができるものであ
り、この動作状態を指定するための制御端子CTRを備
えている。この制御端子CTRには、CPU20の出力
ポートP7から動作指定信号が与えられる。たとえば、
制御端子CTRにローレベルの信号を与えるとラッチン
グ回路11は設定許可状態となり、ハイレベルの信号を
与えると保持状態となる。
【0054】したがって、出力ポートP7にハイレベル
の動作指定信号を出力させておけば、CPU20の出力
データが変化しても、ラッチング回路11の出力は不変
に保たれる。その結果、ROM10の出力データは不変
に保たれ、移相器B1,B2,B3,B4の動作状態は
変化しないから、ビーム方向が変化することがない。図
8は、CPU20の動作を説明するためのフローチャー
トである。CPU20は、通常は、出力ポートP7にハ
イレベルの動作指定信号を導出しておき(ステップm
1)、ラッチング回路11を保持状態としておいて、モ
ードを決定するための処理などを行う(ステップm
2)。そして、モードを変化させる必要がある場合に
は、新たに決定されたモード番号を出力ポートP5,P
6に出力し(ステップm3)、動作指定信号をローレベ
ルとする(ステップm4)。これにより、ラッチング回
路11には新たなデータが取り込まれ、アンテナの放射
ビームモードは、瞬間的に新たな指定状態に変化する。
その後、CPU20は直ちに動作指定信号をハイレベル
とし(ステップm1)、次のプロセスに移る。
【0055】すなわち、モードが決定する以前に期間に
は、ラッチング回路11は保持状態となり、ビーム方向
は不変に保たれる。そして、モードが決定した時点で、
ラックング回路11は設定許可状態に制御される。この
ようにして、モード変更時の過渡的なビームの乱れを防
ぎつつ、安定した通信状態を保つことができる。なお、
CPU20の内部処理の影響によるビーム方向の変化を
防止するためには、図9に示す構成を採用することもで
きる。すなわち、この構成では、ROM10の入力側に
はラッチング回路11を設ける代わりに、ROM10の
出力側と移相器ドライバD1,D2,D3,D4との間
に、ラッチング回路11Aが設けられている。このラッ
チング回路11Aは、ラッチング回路11と同様な構成
を有する。そして、ラッチング回路11Aの制御端子C
TRには、CPU20の出力ポートP7からの信号が入
力されている。CPU20の動作は、図7に示された構
成の場合と同様である。
【0056】この構成では、CPU20の内部処理に応
じて出力ポートP5,P6に導出されるデータの変化に
伴い、ROM10への入力アドレスは変化する。しか
し、移相器ドライバD1〜D4に与えられるデータは、
ラッチング回路11によって不変に保つことができる。
これにより、結果的に、図7の構成の場合と同様な動作
が達成される。 3.アンテナの制御動作 次に、アンテナ素子A1〜A4の信号の位相を変化させ
ることにより、合成放射指向性の主ビーム方向を電波到
来方向に向けるための制御動作について説明する。この
制御動作は、当該アンテナ装置を設置して動作開始させ
るときに最初に電波源を捕捉するための初期捕捉動作
と、初期捕捉動作の後に移動体の移動や環境の変化に応
じて電波源を自動追尾するための追尾動作とを含む。 3−1.初期捕捉動作 先ず、初期捕捉動作について説明する。
【0057】通信開始する以前には、アンテナの放射ビ
ームの方向がいずれの方向を向いているかが不明であ
る。そのため、電波を受信することができるようにアン
テナのをモードを設定する必要がある。そこで、アンテ
ナのモードを初期設定するに当たり、CPU20は、ド
ライバ5を制御して、切換えスイッチS1を振幅検出回
路2側に接続させる。そして、設定可能なすべてのモー
ドを走査し、振幅検出回路2で検出される受信レベルが
最大となるモードを見出す。この受信レベルが最大値を
とるモードが、初期捕捉のためのモードとして決定され
ることになる。
【0058】図10は、初期捕捉動作をさらに詳細に説
明するためのフローチャートである。CPU20は、ま
ず、適当に設定した初期モードのモード番号j0,i0
を出力する(ステップn1)。これによりアンテナモー
ドは、(j0,i0)となる。換言すれば、モード(j
0,i0)に相当する方向に放射指向性の主ビーム方向
が設定される。設定されたモード(j,i)の番号は、
図示しないモードメモリに記憶される(ステップn
2)。このモードメモリには、たとえば、CPU20の
ワークエリアとして使用される図外のRAM(ランダム
・アクセス・メモリ)の一部の記憶領域が割り当てられ
る。
【0059】次いで、CPU20は、入力ポートP1か
ら現在の受信レベルを取り込み、上記のRAMに記憶す
る(ステップn3)。そして、取り込まれた受信レベル
と、図外の最大受信レベルメモリに記憶された最大受信
レベルとが比較される(ステップn4)。現在の受信レ
ベルが最大受信レベルよりも高ければ、現在のモードが
最大受信モードメモリに記憶され、現在の受信レベルが
最大受信レベルメモリに記憶される(ステップn5)。
現受信レベルが最大受信レベル以下であれば、ステップ
n5を経ることなくステップn6に進む。
【0060】ステップn6では、モードサーチが充分か
どうかが調べられる。すなわち、設定可能なすべてのモ
ードを走査し終えたかどうかが判断される。モードサー
チが不充分であれば、未設定の新たなモードのモード番
号j,iを出力して(ステップn7)、ステップn2に
戻る。また、全てのモードの走査が終了したときには、
最大受信モードメモリに記憶されているモードのモード
番号を出力し、受信レベルが最大となるモードに設定す
る(ステップn8)。具体的には、移相器B1〜B4の
移相量が個別に制御されることにより、アンテナ素子A
1〜A4の合成放射指向性の主放射ビームが電波到来方
向に向けられる。
【0061】このようにして、初期捕捉動作が達成さ
れ、CPU20は、ドライバ5を制御して、切換えスイ
ッチS1を位相差検出回路3側に切り換える。 3−2.追尾動作 次に、移動体の移動や環境変化による電波到来方向の変
化に応じて、自動的に電波を捕捉するための追尾動作に
ついて説明する。
【0062】追尾動作のために、CPU20は、ドライ
バ5を制御して、切換えスイッチS1をアンテナ素子A
1,A2,A3,A4の出力(正確には移相器B1,B
2,B3,B4の出力)が順に位相差検出回路3に入力
されるように切り換える。これにより、位相差検出回路
3では、合成器1の出力と各アンテナ素子A1,A2,
A3,A4の出力との位相差ΔΨ1 ,ΔΨ2 ,ΔΨ3
ΔΨ4 が順に検出される。この位相差ΔΨ1 ,ΔΨ2
ΔΨ3 ,ΔΨ4 は、入力ポートP2からCPU20内に
取り込まれて自動追尾のために用いられる。 3−2−1.電波到来方向に対する主ビーム方向の誤差
判定 アンテナ装置がモード(j,i)で動作しているものと
し、このときのアンテナ素子A1〜A4の合成放射指向
性の主ビーム方向の方位が(θSj,φSi)であるとす
る。
【0063】この場合、移相器B1,B2,B3,B4
の設定移相量Φ1 ,Φ2 ,Φ3 ,Φ 4 は、アンテナ素子
A1,A2,A3,A4が図2のように配置されている
場合、下記第(10)式で表される。
【0064】
【数8】
【0065】実際の電波到来方向が(θS ,φS )であ
るとすると、アンテナ素子Akで受信されて、移相器B
kを通過した波ek は、常数を省略して、下記第(11)式
により与えられる。
【0066】
【数9】
【0067】よって、これらの波が合成器1で合成され
ると、合成器1の出力端子Tには、下記第(12)式で示さ
れる合成波eO が出力される。
【0068】
【数10】
【0069】なお、上記第(12)式の他にも、系統の構成
によって定まる位相変移が存在するが、これらをΨ0
含めて考えておけば、以下の議論の一般性が失われるこ
とはない。上記第(11)式および第(12)式から、移相器B
kの出力ek と合成器1の出力e O との移相差ΔΨ
k は、下記第(13)式で与えられる。
【0070】
【数11】
【0071】第(13)式により与えられる位相差ΔΨk
k=1,2,3,4に関して総和をとると、下記第(14)
式のとおりとなり、これにより、下記第(15)式によって
Ψ0を求めることができる。
【0072】
【数12】
【0073】よって、系統の物理的な構成により定まる
位相変移を除いた方位誤差と移相量Φk の量子化誤差と
にのみ起因する波ek の位相誤差ΔΨk0は、位相差ΔΨ
k を検出し、さらに、上記第(15)式に従ってΨ0 を求め
ることにより、下記第(16)式によって決定することがで
きる。
【0074】
【数13】
【0075】実際の使用環境では、種々の原因により誤
差が発生することがあるので、測定をN回繰り返し、下
記第(17)式に従って位相誤差ΔΨk0を求めることによ
り、測定時の誤差の影響を低減することが好ましい。な
お、N回の測定値のなかから、異常値を取り除き、残余
の測定値の平均をとるようにしてもよい。
【0076】
【数14】
【0077】合成放射指向性の主ビーム方向(θSj,φ
Si)と電波到来方向(θS ,φS )とが一致している場
合でも、ΔΨk0の絶対値は、最大でDΦ/2なる量子化
誤差を含む。そこで、誤差εを下記第(18)式で表し、下
記第(19)式に基づいて、主ビーム方向の適否を判定すれ
ばよい。すなわち、第(19)式が成立するときには、主ビ
ーム方向は電波到来方向を向いているものとしてモード
の変更は行わず、第(19)式が不成立なら、モードの変更
を行って主ビーム方向を電波到来方向に向ける。
【0078】
【数15】
【0079】なお、第(19)式に基づく判定では、εにお
ける360°の整数倍のずれを除去しておくことが必要
である。また、定数ηが大きすぎるとアンテナビームの
方位が電波到来方向から大きくずれても、これを見逃す
おそれがある。すなわち、感度が悪くなる。また、定数
ηが小さすぎると、不必要なモード変更が繰り返される
おそれがある。そのため、量子化誤差を予め解析してお
き、ηを最適値に設定することが好ましい。 3−2−2.追尾のためのモード変更 次に、電波到来方向に対する主ビーム方向の誤差が大き
いと判断された場合に、モードを変更して電波源を追尾
する際の動作について説明する。
【0080】この動作を実現するために、CPU20に
接続された図外のメモリには、全てのモード(j,i)
とそれに対応する各移相器B1,B2,B3,B4の移
相量との対応関係が、テーブルとして蓄えられている。
上記第(19)式に基づく判定の結果、この第(19)式が成立
しなかったとする。この場合には、CPU20は、ま
ず、現在のモード(j,i)に対する設定移相量Φ1
Φ2 ,Φ3 ,Φ4 を上記のテーブルから読み出す。そし
て、下記第(10)式の値を全てのkに関して求める。
【0081】 ΔΨk0 (1) =ΔΨk0−Φk ・・・・ (19) ただし、k=1,2,3,4 次に、目的のモード(j′,i′)を適当な方法で仮定
して、それに対する設定移相量Φ1 ′,Φ2 ′,
Φ3 ′,Φ4 ′を上記のテーブルから読み出す。さら
に、下記第(20)式の値を求め、それに基づき、さらに下
記第(21)式の値ε′求める。
【0082】
【数16】
【0083】そして、下記第(22)式に従って判定を行
い、この第(22)式が成立すれば、モード(j′,i′)
を目的のモードとして決定し、CPU20は出力ポート
P5,P6にj′,i′を出力するとともに、ラッチン
グ回路11を設定許可状態として、動作モードの変更を
行う。その後、ΔΨk の測定が行われる。
【0084】
【数17】
【0085】上記第(22)式が成立しなければ、モード
(j′, i′)を変更して、同様な処理が繰り返し行わ
れる。このとき、モード(j′, i′)の変更のロジッ
クについては、山登り法やその他の方法を適用すること
ができるが、最も効率の良い方法を採用することが好ま
しい。このようにして、アンテナモードは、上記第(19)
式に従う判定によって不適切であると判定されたモード
のビーム方向よりも電波到来方向に近いビーム方向に対
応したモードに更新されることになる。
【0086】なお、目的とするモードの検索処理が行わ
れている期間中は、ラッチング回路11は保持状態とさ
れる。そのため、合成放射指向性の主ビーム方向は、目
的のモードが確定するまでは不変に保たれる。すなわ
ち、目的のモードが確定した後に、始めて主ビーム方向
が変化することになる。 4.むすび 以上のように本実施例によれば、合成放射指向性の主ビ
ーム方向を量子化してモードで表し、このモードによっ
てアンテナ素子A1〜A4に接続された移相器B1〜B
4の制御を行っている。そのため、回路構成が簡単で、
かつ、主ビーム方向を不必要なゆらぎを生じさせること
なく安定に制御できるという利点がある。
【0087】また、移相器B1〜B4とCPU系とだけ
で制御系を構成しているため、構成が簡単であり、経済
的である。さらに、電波源の追尾のために最適なモード
を検索する処理は、CPU系の内部のみの処理で行わ
れ、アンテナの実動作に影響を与えることがない。その
ため、主ビーム方向に不所望なゆらぎが生じることがな
く、通信の連続性を確保することができる。 5.変形例 本発明の実施例の説明は、以上のとおりであるが本発明
は上記の実施例に限定されるものではない。たとえば、
上記の実施例では、4個のアンテナ素子A1〜A4を用
いた構成を例にとったが、アンテナ素子の数は4個に限
定されるものではない。
【0088】また、グループアンテナをアンテナ素子と
して用いることもできる。この場合、各グループアンテ
ナは複数のアンテナ素子を有しており、この複数のアン
テナ素子の出力を合成した信号が移相器を経て図1の合
成器1に入力されてさらに合成されることになる。その
他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を
施すことができる。
【0089】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、複数のア
ンテナ素子の出力を合成手段で合成したときの合成放射
指向性の主ビーム方向は、所定の量子化間隔で量子化さ
れており、この量子化された主ビーム方向に対応したモ
ード情報によって移相手段の移相量が制御される。これ
により、移相手段の移相量を制御するための構成を簡単
にすることができ、また、主ビーム方向の制御も安定す
る。
【0090】さらに、電波の初期捕捉を合成手段の出力
レベルが最大になるようにモード情報を決定するように
して行っているので、速やかに初期捕捉動作を行わせる
ことができる。また、請求項2記載の発明によれば、モ
ード情報を更新することで電波源の追尾が行えるので、
簡単な構成で電波源の追尾を行える。
【0091】さらに、請求項3記載の発明によれば、記
憶手段にアドレスを与えることで、モード情報に対応し
た方向に上記主ビーム方向を設定することができる。こ
れにより、主ビーム方向を制御するための構成を一層簡
単にすることができる。また、請求項4記載の発明によ
れば、モード情報が不確定な期間において、主ビーム方
向に不所望なゆらぎが生じることを防止することができ
る。その結果、通信の連続性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のアンテナ装置の全体の構成
を示すブロック図である。
【図2】複数のアンテナ素子の配置を説明するための図
である。
【図3】アンテナ素子の位置と主ビーム方向との関係を
示す図である。
【図4】移相器の構成例を示すブロック図である。
【図5】ROMの入力端子とモード番号との対応関係を
説明するためのブロック図である。
【図6】ROMの出力端子と移相器との対応関係を説明
するためのブロック図である。
【図7】ROMに関連する詳しい構成例を示すブロック
図である。
【図8】CPUの動作を説明するためのフローチャート
である。
【図9】ROMに関連する別の構成例を示すブロック図
である。
【図10】初期捕捉動作を説明するためのフローチャー
トである。
【符号の説明】
1 合成器 2 振幅検出回路 3 位相差検出回路 10 ROM 11 ラッチング回路 20 CPU S1 切換えスイッチ S2 切換えスイッチ A1〜A4 アンテナ素子 B1〜B4 移相器 D1〜D4 移相器ドライバ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のアンテナ素子と、 各アンテナ素子にそれぞれ接続され、移相量を可変制御
    することができる複数の移相手段と、 上記複数のアンテナ素子の上記複数の移相手段でそれぞ
    れ移相された各出力を合成する合成手段と、 この合成手段の出力レベルを検出するレベル検出手段
    と、 所定の量子化間隔で量子化された上記複数のアンテナ素
    子の合成放射指向性の主ビーム方向のいずれかに対応し
    たモード情報を生成するモード情報生成手段と、 このモード情報生成手段が生成したモード情報に基づい
    て上記複数の移相手段の各移相量を制御し、上記複数の
    アンテナ素子の合成放射指向性の主ビーム方向を制御す
    るビーム方向制御手段と、 所定の電波を上記複数のアンテナ素子に受信させたとき
    に上記レベル検出手段が検出する上記合成手段の出力レ
    ベルが最大となるようなモード情報を、上記モード情報
    生成手段に生成させる初期捕捉手段とを含むことを特徴
    とするアンテナ装置。
  2. 【請求項2】上記合成手段に入力される前の上記移相手
    段を介した各アンテナ素子の出力信号と上記合成手段で
    合成された信号との位相差を検出する位相差検出手段
    と、 この位相差検出手段が各アンテナ素子毎に検出した位相
    差に基づいて、上記モード情報生成手段が生成している
    モード情報が適切か不適切かを判定する手段と、 上記モード情報生成手段が生成しているモード情報が不
    適切であると判定されたときに、この不適切なモード情
    報に対応した上記合成放射指向性の主ビーム方向よりも
    電波が到来する方向に近い方向に上記合成放射指向性の
    主ビーム方向を設定することができる他のモード情報を
    上記モード情報生成手段に生成させるモード情報更新手
    段とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載のアン
    テナ装置。
  3. 【請求項3】上記ビーム方向制御手段は、 各モード情報に対応するアドレスに、そのモード情報に
    対応して設定すべき上記複数の移相手段の各移相量に相
    当する制御情報を記憶しているとともに、アドレスが与
    えられたことに応答して、そのアドレスに記憶されてい
    る制御情報を出力する記憶手段と、 上記モード情報生成手段が生成したモード情報に対応す
    るアドレスを上記記憶手段に与える手段と、 上記記憶手段が出力する上記制御情報に基づいて上記複
    数の移相手段を駆動する駆動手段とを含むことを特徴と
    する請求項1または2記載のアンテナ装置。
  4. 【請求項4】上記記憶手段に与えられるアドレス、また
    は、上記駆動手段に与えられる制御情報を不変に保つ保
    持状態と、上記アドレスまたは制御情報の変化を許容す
    る設定許可状態とに制御することができるラッチ手段
    と、 上記モード情報生成手段から生成させるべきモード情報
    が確定する以前の期間には上記ラッチ手段を上記保持状
    態に制御し、上記モード情報生成手段から生成させるべ
    きモード情報が確定したことに応答して上記ラッチ手段
    を上記設定許可状態に制御する制御手段とをさらに含む
    ことを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
  5. 【請求項5】上記複数のアンテナ素子の合成放射指向性
    の主ビーム方向は、所定の第1平面に沿った第1角φに
    関して間隔dφで量子化され、かつ、上記第1平面に直
    交する第2平面に沿った第2角θに関してdθで量子化
    されており、 上記量子化された第1角φおよび第2角θをそれぞれ下
    記(A)式および(B)式で表したときに、上記モード
    情報は、モード番号i,jの組(j,i)で表現され、 上記記憶手段は、モード番号iに対応したIビットのア
    ドレス入力端子を有するとともに、このモード番号iに
    対応したIビットのアドレス入力端子よりも上位ビット
    にモード番号jに対応したJビットのアドレス入力端子
    を有しており、 上記モード情報に対応する上記記憶手段のアドレスIA
    DD(j,i)は、下記(C)式で与えられることを特
    徴とする請求項3または4記載のアンテナ装置。 φ=φ1 +(i−1)dφ ・・・・ (A) ただし、φ1 は定数であり、iはモード番号であり、i
    =1,2,3,・・・・である。 θ=θ1 +(j−1)dθ ・・・・ (B) ただし、θ1 は定数であり、jはモード番号であり、j
    =1,2,3,・・・・である。 IADD(j,i)=B(i+j・2I ) ・・・・ (C) ただし、B( )は( )内の数値を2進数表現するこ
    とを表す記号である。
  6. 【請求項6】上記複数のアンテナ素子の合成放射指向性
    の主ビーム方向は、所定の第1平面に沿った第1角φに
    関して間隔dφで量子化され、かつ、上記第1平面に直
    交する第2平面に沿った第2角θに関してdθで量子化
    されており、 上記量子化された第1角φおよび第2角θをそれぞれ下
    記(A)式および(B)式で表したときに、上記モード
    情報は、モード番号i,jの組(j,i)で表現され、 モード番号の組(j,i)で表されるモード情報に対し
    て第k番目の移相手段に設定すべき移相量Φk は所定の
    量子化間隔DΦで量子化され、 各移相手段は、それぞれDΦ、2・DΦ、22 ・DΦ、
    3 ・DΦ、・・・・、2 n-1 ・DΦだけ位相変化を生じさ
    せることができるn個の移相器ユニットをカスケード接
    続して構成されており、 上記記憶手段が出力する制御情報OTDATAは、下記
    (D)式で表されることを特徴とする請求項3乃至5の
    いずれかに記載のアンテナ装置。 φ=φ1 +(i−1)dφ ・・・・ (A) ただし、φ1 は定数であり、iはモード番号であり、i
    =1,2,3,・・・・である。 θ=θ1 +(j−1)dθ ・・・・ (B) ただし、θ1 は定数であり、jはモード番号であり、j
    =1,2,3,・・・・である。 【数1】 ただし、Nk (j,i)=B(|Φk (j,i)/DΦ|)で
    あり、 B( )は( )内の数値を2進数表現することを表す
    記号である。
  7. 【請求項7】上記複数のアンテナ素子の合成放射指向性
    の主ビーム方向は、所定の第1平面に沿った第1角φに
    関して間隔dφで量子化され、かつ、上記第1平面に直
    交する第2平面に沿った第2角θに関してdθで量子化
    されており、 上記量子化された第1角φおよび第2角θをそれぞれ下
    記(A)式および(B)式で表したときに、上記モード
    情報は、モード番号i,jの組(j,i)で表現され、 モード番号の組(j,i)で表されるモード情報に対し
    て第k番目の移相手段に設定すべき移相量Φk は所定の
    量子化間隔DΦで量子化され、 各移相手段は、それぞれDΦ、2・DΦ、3・DΦ、4
    ・DΦ、・・・・、m・DΦだけ位相変化を生じさせるため
    に駆動されるm本の駆動端子を備えており、 上記記憶手段は、第k番目の移相手段に対応した制御情
    報として、下記(E)式で表される制御情報OTDAT
    k を出力するものであることを特徴とする請求項3乃
    至5のいずれかに記載のアンテナ装置。 φ=φ1 +(i−1)dφ ・・・・ (A) ただし、φ1 は定数であり、iはモード番号であり、i
    =1,2,3,・・・・である。 θ=θ1 +(j−1)dθ ・・・・ (B) ただし、θ1 は定数であり、jはモード番号であり、j
    =1,2,3,・・・・である。 【数2】 ただし、Nk (j,i)=B(|Φk (j,i)/DΦ|)で
    あり、 B( )は( )内の数値を2進数表現することを表す
    記号である。
JP5087067A 1993-04-14 1993-04-14 アンテナ装置 Pending JPH06303022A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5087067A JPH06303022A (ja) 1993-04-14 1993-04-14 アンテナ装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5087067A JPH06303022A (ja) 1993-04-14 1993-04-14 アンテナ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06303022A true JPH06303022A (ja) 1994-10-28

Family

ID=13904602

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5087067A Pending JPH06303022A (ja) 1993-04-14 1993-04-14 アンテナ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06303022A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6915120B2 (en) 2001-03-15 2005-07-05 Nec Corporation Information terminal apparatus having a variable directional antenna and control method thereof
WO2023127595A1 (ja) * 2021-12-27 2023-07-06 株式会社ヨコオ アンテナおよび回路基板

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6915120B2 (en) 2001-03-15 2005-07-05 Nec Corporation Information terminal apparatus having a variable directional antenna and control method thereof
WO2023127595A1 (ja) * 2021-12-27 2023-07-06 株式会社ヨコオ アンテナおよび回路基板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100599610B1 (ko) 부반사판 회전 주기 보정을 이용한 위성 추적 안테나시스템 및 위성 추적 방법
WO2017067591A1 (en) A communication apparatus and a method of operating a communication apparatus
CN107667480A (zh) 传输设备及其方法
JPH10154952A (ja) 受信装置
CN115296704A (zh) 分布式毫米波有源相控阵天线控制系统及控制方法
JPH06303022A (ja) アンテナ装置
JPH1168443A (ja) ディジタルビームフォーミングアンテナ装置
CN111698014A (zh) 一种天线阵列系统
US20180040952A1 (en) Modal adaptive antenna using reference signal lte protocol
JP4509870B2 (ja) アンテナ装置
JPH06334428A (ja) アンテナ装置
JP3545933B2 (ja) 移動通信基地局用アレーアンテナ装置及びその制御方法
KR100392253B1 (ko) 다중위성신호 이동 수신용 능동안테나 시스템 및 추적제어방법
JP3588965B2 (ja) アダプティブ受信機
JPH09307492A (ja) ダイバーシチ受信回路
CN115378473B (zh) 基于窄带同时多波束覆盖的相控阵通信宽带波束对准方法
KR20000056789A (ko) 개구면 결합 마이크로 스트립 배열 안테나를 이용한 이동체용 디지털 위성방송 서보 시스템의 제어장치 및 그 제어방법
RU2484580C1 (ru) Система адаптивной пространственной избирательности радиоприемных устройств
JPH11317619A (ja) アンテナ装置
JP5133164B2 (ja) ダイバーシティ受信機
KR100399531B1 (ko) 방향센서를 이용한 위성 안테나 및 그 동작방법
JPH01144702A (ja) 移動体用アンテナ装置
JPS5992369A (ja) 方向探知装置
Tenuti et al. Synthesis of next generation reflectarrays
JPH04307803A (ja) アンテナ自動追尾装置