JPH06301307A - 加熱定着方法 - Google Patents

加熱定着方法

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JPH06301307A
JPH06301307A JP5113993A JP11399393A JPH06301307A JP H06301307 A JPH06301307 A JP H06301307A JP 5113993 A JP5113993 A JP 5113993A JP 11399393 A JP11399393 A JP 11399393A JP H06301307 A JPH06301307 A JP H06301307A
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JP
Japan
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toner
fixing
heat
roll
recording material
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JP5113993A
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English (en)
Inventor
Shinichiro Yasuda
晋一朗 安田
Kuniyasu Kawabe
邦康 河辺
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】トナー像31を表面に支持する記録材30の少
なくとも一方の面を加熱した後、加圧ロール22と外周
面に離型性層を有する定着ロール21との間を通過さ
せ、記録材30の裏面を加圧ロール22により記録材の
表面を定着ロール21によって各々圧接することによ
り、前記トナー像31を定着させる加熱定着方法であっ
て、前記トナーが少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含
有する熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう
設けた外殻とにより構成され、該外殻の主成分が非晶質
ポリエステルよりなるカプセルトナーであることを特徴
とする加熱定着方法に関する。 【効果】本発明の方法によれば、トナー像を表面に支持
する記録材への加熱のみでカプセルトナーの外殻強度が
低下して低温で定着する為、定着ロールと圧力ロールに
よる低線圧での定着が行え、装置が非常にコンパクトに
なる等、種々の効果を奏し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子複写機、プリンタ
等において、紙等の記録材の表面に形成されたトナー像
の加熱定着方法に関するものであり、特に低温度におけ
る加熱定着が可能である加熱定着方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、電子複写機、プリンタ等の画像形
成装置においては、画像担体表面に形成した静電荷像
を、例えばトナーを含有する磁性現像剤を使用して磁気
ブラシ法によって現像した後、普通紙等の記録材へ転写
し、熱もしくは圧力手段を介して定着するのが一般的で
ある。このような定着手段の中で、定着性が良いことお
よび高速定着が可能であること等により、熱ロール型の
加熱定着方法が比較的広く使用されている。
【0003】図5は上記従来の熱ロール型の加熱定着方
法に用いる装置の例を示す要部横断面説明図である。図
5において、1は加熱ロール、2は加圧ロールであり、
側板3に各々軸受(図示せず)を介して支持されてい
る。4は給紙ガイド、5は記録材であり、表面にトナー
像6を支持し、矢印方向に移動可能としてある。次に加
熱ロール1は、内部に熱源7を有する金属製の中空コア
8の外周面に耐熱性を有する離型性層9を被着して構成
する。一方加圧ロール2は、金属製の中空コア10の外
周面に耐熱性を有する弾性体層11を被着して構成す
る。なお加熱ロール1と加圧ロール2とは加圧機構(図
示せず)を介して相互に圧接状態とし、両ロールの圧接
部に所定の接触幅を有する所謂ニップ部を形成してい
る。上記の構成により、熱源7に給電して加熱ロール1
の表面に定着に必要な熱量を供給し、加熱ロール1と加
圧ロール2とを相互に圧接状態としたまま矢印方向に回
転させると共に、トナー像6を表面に支持する記録材5
を給紙ガイド4に沿って矢印方向に搬送し、加熱ロール
1と加圧ロール2との間を通過させれば、記録材5の表
面にトナー像6を定着させることができるのである。
【0004】上記のような加熱定着方法によれば、他の
型式の加熱定着方法、例えばオーブン型、フラッシュラ
ンプ型等の装置を用いる方法と比較して消費電力が少な
くてすむと共に、高速定着が可能であるという利点があ
る。しかし、一方において、熱源7に給電を開始してか
ら加熱ロール1の表面が所定の温度、例えば150〜1
90℃に到達するまでの時間、すなわち予熱時間が長く
かかる(少なくとも1分)という問題点がある。これ
は、トナー像6を形成するトナー中に含有される樹脂の
軟化点が高いことに起因し、例えば200℃程度の高い
表面温度を必要とするからである。上記問題点を解決す
るために、低温度で定着可能であるトナーの提案も多数
開示されている(例えば特開昭58−176642号公
報、特開昭61−56352号公報、特開昭63−12
8357号公報、特開平01−267660号公報、特
公平02−51175号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような低温度で
定着可能であるトナーの出現により、定着温度について
は、従来150〜190℃が必要であったものに対し
て、120℃以下の定着温度で定着可能になることか
ら、加熱定着方法に関しても従来主流であった熱ロール
型のみでなく、オーブン型やフラッシュランプ型の装置
を用いるものも適用できる可能性がでてきた。このよう
な加熱定着方法としては、例えば熱線を透過可能の材料
からなる無端ベルトと、この無端ベルトの裏面側空間に
配設されていて、無端ベルトおよびこれにより搬送され
るトナー像支持体を透過してトナー像に輻射熱を与える
ことによって、トナー像を支持体に定着させる反射鏡付
の赤外線ヒーターとからなるものが報告されている(特
開昭51−9457号公報参照)。また特定のカプセル
トナーを使用し、固定支持された加熱体と、該加熱体と
対向圧接し且つフィルムを介して記録材を該加熱体に密
着させる加圧部材とにより、該トナーの顕画像を記録材
に加熱定着する加熱定着方法も開示されている(特開平
2−161452号公報参照)。
【0006】しかしながら上記の加熱定着方法において
は、トナー像を支持する支持体もしくは記録材の搬送手
段としてベルト状の構成部材を使用しているため、支持
体搬送部材の点数が多くなり、構造が複雑となるばかり
でなく、コストアップ、メンテナンスの繁雑さにもつな
がるという問題点がある。また上記のようなベルト状の
搬送手段を使用することにより、必然的に搬送方向の寸
法が大となり、装置全体が大型化するという問題点も併
存する。近年におけるこの種の装置に対する小型化、コ
ンパクト化および低価格化に対する要求は益々厳しくな
ってきており、上記構成の加熱定着方法によっては到底
上記要求を満足することができず、更に改良されたコン
パクトな装置を用いた加熱定着方法の出現が望まれてい
る。
【0007】又、前述の開示例に示される如く、トナー
の最低定着温度が殆どが120℃以上であり、最低定着
温度が120℃以下に低くできるものはカルナバワック
ス、ポリエチレンワックス等の塑性変形を利用するもの
が成分の主体になる(特開平1−267660号公報)
為、摩耗に対して強度が無く、定着性は満足できないも
のとなる。
【0008】一方、最低定着温度を120℃以下に低減
させる為のもの一つの手段としては、ヒートローラの直
径を50mm以上に上げてニップ幅を大きくしているの
が現状であり、これではコンパクト化の要求を満たすこ
とはできない。従って、コンパクトな定着装置で120
℃以下の定着温度で充分に定着する低温定着性と耐オフ
セット性を満足し、貯蔵安定性が良く、現像するに充分
な摩擦帯電性を有し且つ充分な耐刷性を有するトナーが
望まれている。本発明は上記従来技術に存在する問題点
を解決し、低温度における加熱定着が可能である外殻の
主成分が非晶質ポリエステルよりなるカプセルトナーを
用いた加熱定着方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、上記の目的を達成
するために、本発明の加熱定着方法は次のように構成さ
れる。(1)トナー像を表面に支持する記録材の少なく
とも一方の面を加熱した後、加圧ロールと外周面に離型
性層を有する定着ロールとの間を通過させ、記録材の裏
面を加圧ロールにより記録材の表面を定着ロールによっ
て各々圧接することにより、前記トナー像を定着させる
加熱定着方法であって、前記トナーが少なくとも熱可塑
性樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材の
表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成され、該外
殻の主成分が非晶質ポリエステルよりなるカプセルトナ
ーであることを特徴とする加熱定着方法、(2)カプセ
ルトナーの外殻表面温度が50〜120℃となるように
トナー像を表面に支持する記録材を加熱する手段を有す
ることを特徴とする前記(1)記載の加熱定着方法、
(3)トナー像を表面に支持する記録材を摺動可能に支
持する下部給紙ガイドの裏側に設けられた伝熱加熱可能
な熱源により該記録材を加熱することを特徴とする前記
(1)または(2)記載の加熱定着方法、(4)下部給
紙ガイドの上方に設けられた上部給紙ガイドの裏側にさ
らに熱源を設け、該熱源による加熱を併せて行なうこと
を特徴とする前記(3)記載の加熱定着方法、(5)ト
ナー像を表面に支持する記録材を摺動可能に支持する下
部給紙ガイドの上方に設けられた輻射加熱可能な熱源に
より該記録材を加熱することを特徴とする前記(1)ま
たは(2)記載の加熱定着方法、(6)下部給紙ガイド
の裏側にさらに熱源を設け、該熱源による加熱を併せて
行なうことを特徴とする前記(5)記載の加熱定着方
法、(7)剛性を有する材料によって形成された加圧ロ
ールおよび定着ロールにより、記録材を圧接することを
特徴とする前記(1)〜(6)いずれか記載の加熱定着
方法、(8)撓み補償手段を設けた加圧ロールおよび/
または定着ロールにより、記録材を圧接することを特徴
とする前記(1)〜(7)いずれか記載の加熱定着方
法、並びに(9)定着時の線圧が10〜2000g/c
mである前記(1)〜(8)いずれか記載の加熱定着方
法に関する。(10)外殻の主成分が非晶質ポリエステ
ルよりなるカプセルトナーが、insitu重合法によ
り非晶質ポリエステルを芯材の表面に被覆してなるもの
である前記(1)〜(9)いずれか記載の加熱定着方
法。
【0010】上記の構成により、カプセルトナーにより
形成されるトナー像を表面に支持する記録材は、給紙ガ
イドの上部および/または下部の熱源からの輻射熱およ
び/または伝熱作用によって加熱されカプセルトナーの
外殻強度が低下した状態となり、次いで定着ロールおよ
び加圧ロールの圧接により定着して装置外に排出され
る。この場合トナー像と直接接触する定着ロールの外周
面には離型性層を設けてあるため、トナーが定着ロール
に付着する所謂オフセット現象を防止できる。120℃
以上の定着温度の場合、紙の局部的な温度上昇と紙中水
分の局部的な蒸発により紙のカールが発生するため、上
部給紙ガイドと下部給紙ガイドとの間隔を狭くするとト
ナー面が給紙ガイドと接触し画像が破損するおそれがあ
る。しかし、本発明におけるように、120℃以下で定
着を行う場合、該カール現像は殆ど発生しない為、上部
給紙ガイドと下部給紙ガイドとの間隔を非常に狭くする
ことが出来、且つこれにより熱効率も向上する。又、紙
からの水分蒸発が極めて少ないため排気ファン等による
除湿の必要も無くなる。
【0011】本発明の加熱定着方法で用いるトナーは、
少なくとも熱可塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯
材と、その芯材の表面を被覆するよう設けた外殻とによ
り構成され、該外殻の主成分が非晶質ポリエステルより
なるカプセルトナーである。このようなカプセルトナー
は、熱圧力定着方式において耐オフセット性、耐ブロッ
キング性が優れ、低温定着でき、カブリのない鮮明な画
像を多数回にわたり安定に形成するという特徴を有す
る。
【0012】本発明で用いるトナーは、上記のような外
殻の主成分が非晶質ポリエステルよりなるカプセルトナ
ーであるが、この非晶質ポリエステルは、通常、1種以
上のアルコール単量体(2価,3価以上)および1種以
上のカルボン酸単量体(2価,3価以上)の縮重合によ
って得られるものであって、例えば3価以上の多価アル
コール単量体および/または3価以上の多価カルボン酸
単量体を含有する単量体を用いて縮重合によって得られ
るもの等が挙げられる(特願平4−259088号)。
このような非晶質ポリエステルは、外殻の全重量中、通
常50〜100重量%含有され、外殻に含有される他の
成分としては、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ
ウレア等を0〜50重量%用いることができる。
【0013】2価アルコール成分としては、例えばポリ
オキシプロピレン(2.2) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシ
フェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3) −2,
2 −ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオ
キシプロピレン(2.0) −2,2−ビス (4−ヒドロキシフ
ェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0) −ポリ
オキシエチレン(2.0) −2,2 −ビス (4−ヒドロキシフ
ェニル) プロパン、ポリオキシプロピレン(6) −2,2 −
ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン等のビスフェ
ノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2 −プロピレングリコール、1,3 −プロピレング
リコール、1,4 −ブタンジオール、ネオペンチルグリコ
ール、1,4−ブテンジオール、1,5 −ペンタンジオー
ル、1,6 −ヘキサンジオール、1,4 −シクロヘキサンジ
メタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールA
のプロピレン付加物、ビスフェノールAのエチレン付加
物、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0014】3価以上のアルコール成分としては、例え
ばソルビトール、1,2,3,6 −ヘキサンテトロール、1,4
−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリス
リトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4 −ブタン
トリオール、1,2,5 −ペンタントリオール、グリセロー
ル、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,
4 −ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメ
チロールプロパン、1,3,5 −トリヒドロキシメチルベン
ゼン等が挙げられる。好ましくは、3価のアルコールが
用いられる。本発明においては、これらの2価のアルコ
ール単量体及び3価以上の多価アルコール単量体から単
独であるいは複数の単量体を用いることができる。
【0015】また、酸成分としては、カルボン酸成分で
2価の単量体として、例えばマレイン酸、フマール酸、
シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、
セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニル
コハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク
酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、
及びこれらの酸の無水物、もしくは低級アルキルエステ
ル等が挙げられる。
【0016】3価以上のカルボン酸成分としては、例え
ば1,2,4 −ベンゼントリカルボン酸、2,5,7 −ナフタレ
ントリカルボン酸、1,2,4 −ナフタレントリカルボン
酸、1,2,4 −ブタントリカルボン酸、1,2,5 −ヘキサン
トリカルボン酸、1,3 −ジカルボキシル−2−メチル−
2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4 −シクロヘキ
サントリカルボン酸、テトラ (メチレンカルボキシル)
メタン、1,2,7,8 −オクタンテトラカルボン酸、ピロメ
リット酸、エンポール三量体酸及びこれらの酸無水物、
低級アルキルエステル等が挙げられる。好ましくは、3
価のカルボン酸もしくはその誘導体が用いられる。本発
明においては、これらの2価のカルボン酸単量体及び3
価以上のカルボン酸単量体から単独であるいは複数の単
量体を用いることができる。
【0017】本発明における非晶質ポリエステルの製造
方法は、特に限定されることなく、上記の単量体を用い
てエステル化、エステル交換反応により製造することが
できる。ここで、非晶質とは明確な融点を有しない状態
をいい、本発明においては、結晶質のポリエステルを用
いると融解に必要なエネルギー量が大きく、トナー定着
性が向上できず好ましくない。
【0018】本発明に用いられる非晶質ポリエステル
は、さらにガラス転移点が50〜80℃であることが好
ましい。50℃未満であるとトナーの保存安定性が悪く
なり、80℃を越えるとトナーの定着性が悪くなる。な
お本発明において、ガラス転移点とは示差走査熱量計
(セイコー電子工業社製)を用い、昇温速度10℃/min
で測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延
長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの
間での最大傾斜を示す接線との交点の温度をいう。
【0019】また、該非晶質ポリエステルの酸価は、3
〜50(KOHmg/g)であることが好ましく、より
好ましくは10〜30(KOHmg/g)である。3
(KOHmg/g)未満であると、殻材となる非晶質ポ
リエステルがin situ重合中に界面に出にくくな
り、トナーの保存安定性が悪く、50(KOHmg/
g)を越えるとポリエステルが水相へ移行しやすく製造
安定性が悪くなる。ここで酸価の測定方法は、JIS
K0070によるものである。
【0020】本発明に用いられる外殻の主成分が非晶質
ポリエステルよりなるカプセルトナーは、in sit
u重合法などの公知の方法により製造される。このカプ
セルトナーは少なくとも熱可塑性樹脂、着色剤を含有す
る熱溶融性芯材と、その芯材の表面を被覆するよう設け
た外殻とにより構成される。
【0021】本発明におけるカプセルトナーの熱溶融性
芯材の主成分として用いられる樹脂としては、ポリエス
テル樹脂、ポリエステル・ポリアミド樹脂、ポリアミド
樹脂、ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好まし
くは、ビニル系樹脂が挙げられる。このような熱溶融性
芯材の主成分となる熱可塑性樹脂に由来するガラス転移
点は、10〜50℃であることが好ましいが、ガラス転
移点が10℃未満ではカプセルトナーの保存安定性が悪
化し、50℃を越えるとカプセルトナーの定着強度が悪
化し好ましくない。
【0022】前記の熱可塑性樹脂のうち、ビニル樹脂を
構成する単量体としては、例えば、スチレン、o−メチ
ルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4 −
ジメチルスチレン、p−クロルスチレン、ビニルナフタ
レン等のスチレン若しくはスチレン誘導体、例えばエチ
レン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の如きエ
チレン系不飽和モノオレフィン類、例えば塩化ビニル、
臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、ギ酸ビニル、カプロン酸ビニル等の如きビニルエ
ステル類、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イ
ソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブ
チル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アク
リル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アク
リル酸イソオクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラ
ウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ス
テアリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸
2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルア
クリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタ
クリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタ
クリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタク
リル酸アミル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタク
リル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリ
ル酸メトキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチ
ル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フェニル、
メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエ
チルアミノエチル等の如きエチレン性モノカルボン酸及
びそのエステル、例えばアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル、アクリルアミド等の如きエチレン性モノカル
ボン酸置換体、例えばマレイン酸ジメチル等の如きエチ
レン性ジカルボン酸及びその置換体、例えばビニルメチ
ルケトン等の如きビニルケトン類、例えばビニルメチル
エーテル等の如きビニルエーテル類、例えばビニリデン
クロリド等の如きビニリデンハロゲン化物、例えばN−
ビニルピロール、N−ビニルピロリドン等の如きN−ビ
ニル化合物類が挙げられる。
【0023】本発明に係る芯材用の樹脂を構成する成分
の内、樹脂の主骨格形成にスチレンもしくはスチレン誘
導体を50〜90重量%用い、樹脂の軟化温度等の熱特
性の調節にエチレン性モノカルボン酸もしくはそのエス
テルを10〜50重量%用いることが、芯材用樹脂のガ
ラス転移点を制御し易く好ましい。
【0024】本発明に係る芯材用の樹脂を構成する単量
体組成物中に架橋剤を添加する場合、例えば、ジビニル
ベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコー
ルジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3 −
ブチレングリコールジメタクリレート、1,6 −ヘキシレ
ングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタク
リレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレー
ト、2,2'−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシジエトキ
シフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジブ
ロムネオペンチルグリコールジメタクリレート、フタル
酸ジアリルなど、一般の架橋剤を適宜(必要に応じて2
種以上組み合わせて)用いることができる。
【0025】これらの架橋剤の使用量は、重合性単量体
を基準にして0.001 〜15重量%、好ましくは0.1 〜10重
量%で使用するのが良い。これらの架橋剤の使用量が15
重量%より多いとトナーが熱で溶融しにくくなり、熱定
着性又は熱圧力定着性が劣ることとなる。また使用量が
0.001 重量%より少ないと、熱圧力定着において、トナ
ーの一部が紙に完全に固着しないでローラー表面に付着
し、次の紙に転移するというオフセット現象を防ぎにく
くなる。また、上記単量体を、不飽和ポリエステルの存
在下に重合させてグラフトもしくは架橋重合体とし、芯
材用の樹脂としても良い。
【0026】また、芯材用の熱可塑性樹脂を製造する際
使用される重合開始剤としては、2,2'−アゾビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチ
ロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン−1−カ
ルボニトリル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4
−ジメチルバレロニトリル、その他のアゾ系又はジアゾ
系重合開始剤:ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチ
ルケトンパーオキサイド、イソプロピルパーオキシカー
ボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、2,4 −ジ
クロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキ
サイド、ジクミルパーオキサイドの如き過酸化物系重合
開始剤が挙げられる。
【0027】重合体の分子量及び分子量分布を調節する
目的で、又は反応時間を調節する目的等で、二種類又は
それ以上の重合開始剤を混合して使用することもでき
る。重合開始剤の使用量は、重合単量体100 重量部に対
して0.1 〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0028】本発明では、カプセルトナーの芯材中に着
色剤が含有されるが、従来のトナー用着色剤に用いられ
ている染料、顔料等のすべてを使用できる。本発明に用
いられる着色剤としては、サーマルブラック法、アセチ
レンブラック法、チャンネルブラック法、ランプブラッ
ク法等により製造される各種のカーボンブラック、カー
ボンブラックの表面を樹脂で被覆しているグラフト化カ
ーボンブラック、ニグロシン染料、フタロシアニンブル
ー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファースト
スカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−B
ベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146 、
ソルベントブルー35等及びそれらの混合物等を挙げる事
ができ、通常、芯材中の樹脂 100重量部に対して1〜15
重量部程度が使用される。
【0029】本発明においては、更に芯材中に荷電制御
剤を添加することもでき、添加する負帯電性荷電制御剤
としては、特に限定されることなく、例えば含金属アゾ
染料である「バリファーストブラック3804」、「ボ
ントロンS−31」、「ボントロンS−32」、「ボン
トロンS−34」(以上、オリエント化学社製)、「ア
イゼンスピロンブラックTVH」(保土ヶ谷化学社製)
等、銅フタロシアニン染料、サリチル酸のアルキル誘導
体の金属錯体、例えば「ボントロンE−81」、「ボン
トロンE−82」、「ボントロンE−85」(以上、オ
リエント化学社製)、4級アンモニウム塩、例えば「CO
PY CHARGE NX VP434」(ヘキスト社製)、ニトロイミダ
ゾール誘導体等を挙げることができる。
【0030】正帯電性荷電制御剤としては、特に限定さ
れることなく、例えばニグロシン染料として「ニグロシ
ンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブ
ラックSO」、「ボントロンN−01」、「ボントロン
N−07」、「ボントロンN−11」(以上、オリエン
ト化学社製)等、3級アミンを側鎖として含有するトリ
フェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例
えば「ボントロンP−51」(オリエント化学社製)、
セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARG
E PX VP435」(ヘキスト社製)等、ポリアミン樹脂、例
えば「AFP−B」(オリエント化学社製)、イミダゾ
ール誘導体等を挙げることができる。以上の荷電制御剤
は芯材中に0.1 〜8.0 重量%、好ましくは0.2 〜5.0 重
量%含有される。芯材中には必要に応じて、熱圧力定着
における耐オフセット性を改善する目的で、例えばポリ
オレフィン、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、部分ケン
化脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、パラ
フィンワックス、アミド系ワックス、多価アルコールエ
ステル、シリコンワニス、脂肪族フロロカーボン、シリ
コンオイル等のオフセット防止剤を任意の一種以上含有
せしめても良い。
【0031】前記ポリオレフィンとしては、例えばポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の樹脂であっ
て、軟化点が80〜160 ℃のものである。前記脂肪酸金属
塩としては、例えばマレイン酸と亜鉛、マグネシウム、
カルシウム等との金属塩;ステアリン酸と亜鉛、カドミ
ウム、バリウム、鉛、鉄、ニッケル、コバルト、銅、ア
ルミニウム、マグネシウム等との金属塩;二塩基性ステ
アリン酸鉛;オレイン酸と亜鉛、マグネシウム、鉄、コ
バルト、銅、鉛、カルシウム等との金属塩;パルミチン
酸とアルミニウム、カルシウム等との金属塩;カプリル
酸塩;カプロン酸鉛;リノール酸と亜鉛、コバルト等と
の金属塩;リシノール酸カルシウム;リシノレイン酸と
亜鉛、カドミウム等との金属塩及びこれらの混合物等が
挙げられる。前記脂肪酸エステルとしては、例えばマレ
イン酸エチルエステル、マレイン酸ブチルエステル、ス
テアリン酸メチルエステル、ステアリン酸ブチルエステ
ル、パルミチン酸セチルエステル、モンタン酸エチレン
グリコールエステル等が挙げられる。前記部分ケン化脂
肪酸エステルとしては、例えばモンタン酸エステルのカ
ルシウム部分ケン化物等が挙げられる。前記高級脂肪酸
としては、例えばドデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リシノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセ
リン酸、セラコレイン酸等及びこれらの混合物を挙げる
ことができる。前記高級アルコールとしては、例えばド
デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルア
ルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコー
ル、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール等を挙げ
ることができる。前記パラフィンワックスとしては、例
えば天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィ
ン、塩素化炭化水素等が挙げられる。前記アミド系ワッ
クスとしては、例えばステアリン酸アミド、オレイン酸
アミド、パルミチン酸アミド、ラウリル酸アミド、ベヘ
ニン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレン
ビスステアロアミド、N,N'−m−キシリレンビスステア
リン酸アミド、N,N'−m−キシリレンビス−12−ヒドロ
キシステアリン酸アミド、N,N'−イソフタル酸ビスステ
アリルアミド、N,N'−イソフタル酸ビス−12−ヒドロキ
システアリルアミド等が挙げられる。前記多価アルコー
ルエステルとしては、例えばグリセリンステアレート、
グリセリンリシノレート、グリセリンモノベヘネート、
ソルビタンモノステアレート、プロピレングリコールモ
ノステアレート、ソルビタントリオレート等が挙げられ
る。前記シリコンワニスとしては、例えばメチルシリコ
ンワニス、フェニルシリコンワニス等が挙げられる。前
記脂肪族フロロカーボンとしては、例えば四フッ化エチ
レン、六フッ化プロピレンの低重合化合物あるいは特開
昭53−124428号公報記載の含フッ素界面活性剤等が挙げ
られる。これらのオフセット防止剤の芯材中の樹脂に対
する割合は1〜20重量%が好ましい。
【0032】本発明において磁性カプセルトナーを用い
る場合、芯材構成材料としてカーボンブラック等の代わ
りに磁性粒子を添加し、磁性カプセルトナーとすれば良
い。磁性粒子としては、例えば、フェライト、マグネタ
イトを始めとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性
を示す金属もしくは合金又はこれらの元素を含む化合
物、あるいは強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施
すことによって強磁性を示すようになる合金、例えはマ
ンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのマ
ンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合
金、又は二酸化クロム、その他を挙げることができる。
これらの磁性体は平均粒径0.1 〜1μm の微粉末の形で
芯材中に均一に分散される。そしてその含有量は、カプ
セルトナー100 重量部当たり20〜70重量部、好ましくは
30〜70重量部である。なお、磁性トナーとするために磁
性体微粉末を含有せしめる場合には、着色剤の場合と同
様に処理すればよいが、そのままでは芯材材料、単量体
等の有機物質に対する親和性が低いので、磁性体微粉末
をチタンカップリング剤、シランカップリング剤、レシ
チン等のいわゆるカップリング剤と共にあるいはカップ
リング剤により処理した上で用いると、磁性体微粉末を
均一に分散せしめることができる。
【0033】本発明におけるカプセルトナーの製造方法
は、製造設備や製造工程の簡素化という点からin s
itu重合法が好ましいが、例えば芯材としての母粒子
と数平均粒子径が母粒子の数平均粒子径の 1/8以下であ
る外殻形成材料の子粒子とを気流中で高速撹拌して外殻
を形成するといった乾式法にて行われてもよい。
【0034】以下、in situ重合法による製造方
法を例にとり説明する。この製造方法において、外殻形
成は、芯材構成材料と主として非晶質ポリエステルより
なる外殻構成材料の混合液を分散媒中に分散させ、外殻
構成材料が液滴の表面に偏在するという性質を利用して
行うことができる。即ち、溶解度指数の差によって混合
液の液滴中で芯材構成材料と外殻構成材料の分離が起こ
り、その状態で重合が進行してカプセル構造が形成され
る。この方法によると、外殻がほぼ均一な厚みを持った
非晶質ポリエステル等よりなる層として形成されるた
め、トナーの帯電特性が均質になるという特長を有す
る。
【0035】この方法による場合、分散質の凝集、合体
を防ぐ為に、分散媒中に分散安定剤を含有させておく必
要がある。分散安定剤としては、例えばゼラチン、ゼラ
チン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリスチレンスル
ホン酸、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナト
リウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テト
ラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウ
ム、オクチル硫酸ナトリウム、アリル−アルキル−ポリ
エーテルスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウ
ム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カ
プリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリ
ン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、3,3 −ジスルホ
ンジフェニル尿素−4,4 −ジアゾ−ビス−アミノ−β−
ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カル
ボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5 −
テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4 −ジアゾ−ビ
ス−β−ナフトール−ジスルホン酸ナトリウム、コロイ
ダルシリカ、アルミナ、リン酸三カルシウム、水酸化第
二鉄、水酸化チタン、水酸化アルミニウム、その他を使
用することができる。これらの分散安定剤は二種以上を
併用してもよい。
【0036】前記分散安定剤の分散媒としては、水、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エ
チレングリコール、グリセリン、アセトニトリル、アセ
トン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン等が挙げられる。これらを単独あるいは混合し
て用いることも可能である。
【0037】本発明における製造方法において、前記の
非晶質ポリエステル等よりなる殻材の添加量は、芯材1
00重量部に対し、通常3〜50重量部、好ましくは5
〜40重量部である。3重量部未満であると外殻の膜厚
が薄くなりすぎて保存安定性が悪くなり、50重量部を
越えると高粘度になり微粒化が困難となり製造安定性が
悪くなる。
【0038】また、帯電制御を目的として本発明におけ
るカプセルトナーの外殻材料中には先に例示した如き荷
電制御剤を適量添加してもよいし、また、この荷電制御
剤をトナーと混合して用いることもできるが、外殻自身
で帯電性を制御しているため、それらを添加する場合で
も添加量は少なくてすむ。
【0039】なお、本発明におけるカプセルトナーの粒
径は別段制約を受けるものではないが、平均粒径は通常
3〜30μm とされる。カプセルトナーの外殻の厚みは0.
01〜1μm が好ましく、0.01μm 未満では耐ブロッキン
グ性が悪化し、1μm を超えると熱溶融性が悪化し好ま
しくない。
【0040】本発明におけるカプセルトナーには、必要
に応じて、流動性向上剤、クリーニング性向上剤などを
用いることができる。流動性向上剤としては、例えばシ
リカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタ
ン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸スト
ロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰
石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガ
ラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコ
ニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウ
ム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができ
る。特にシリカの微粉末が好ましい。
【0041】なお、シリカの微粉末は、Si−O−Si
結合を有する微粉末であり、乾式法及び湿式法で製造さ
れたもののいずれであってもよい。また、無水二酸化ケ
イ素のほか、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、
ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛など
いずれであってもよいが、 SiO2 を85重量%以上含むも
のが好ましい。また、シラン系カップリング剤、チタン
系カップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有
するシリコンオイルなどにより表面処理されたシリカの
微粉末などを用いることができる。
【0042】クリーニング性向上剤としては、ステアリ
ン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高
分子量体の微粒子粉末などがある。更に現像性を調整す
るための添加剤、例えばメタクリル酸メチルエステル、
メタクリル酸ブチルエステル等の重合物の微粒子粉末な
どを用いてもよい。更に調色、抵抗調整などのために少
量のカーボンブラックを用いてもよい。カーボンブラッ
クとしては従来公知のもの、例えばファーネスブラッ
ク、チャネルブラック、アセチレンブラックなどの種々
のものを用いることができる。
【0043】本発明におけるカプセルトナーは、磁性体
微粉末を含有するものであるときには単独で現像剤とし
て用いられ、また磁性体微粉末を含有しないものである
ときは、キャリアと混合して二成分系の現像剤を調製し
て用いることができる。キャリアとしては、特に限定さ
れないが、鉄粉、フェライト、ガラスビーズ等、又はそ
れらの樹脂被覆したものが用いられ、トナーのキャリア
に対する混合比は0.5〜10重量%である。またキャリア
の粒径としては、30〜500 μm のものが用いられる。
【0044】以上のようなカプセルトナーを用いた本発
明の加熱定着方法について、図面を参照しながら以下に
詳細に説明する。図1は本発明の方法の実施に用いる第
1の態様の装置を示す要部横断面説明図である。図1に
おいて、21は定着ロール、22は加圧ロールであり、
側板23に各々軸受(図示せず)を介して矢印方向に回
転自在に支持すると共に、ばねその他の圧力印加手段
(図示せず)によって両者は圧接状態としてある。定着
ロール21は例えばアルミニウム、鋼、ステンレス鋼等
の金属材料により中空円筒状に形成したコア24の外周
面に、例えばPFA,PTFE等のフッ素樹脂のよう
な、耐熱性を有しかつ表面エネルギーの小さい材料から
なる離型性層25を被着して構成する。一方、加圧ロー
ル22は定着ロール21と同様の材料からなるコア26
によって形成する。定着ロール21および加圧ロール2
2を、例えば20mmφ以下の小径とする場合には、コ
ア24,26を中実円柱状に形成すればよい。
【0045】次に27,28は各々上部給紙ガイドおよ
び下部給紙ガイドであり、前記定着ロール21および加
圧ロール22の上流側(図1において左側)に各々対向
させて設ける。29は熱源であり、記録材に対し伝熱加
熱可能に形成される。例えばアルミナ粉末にNi−Cr
のような高抵抗材料粉末を混合して板状に形成し、下部
給紙ガイド28の裏側に固着し、電源と接続する。この
ような熱源としては、その他に樹脂にカーボンブラック
の如き導電性微粉末を分散させた有機面発熱体であって
もよい。なお下部給紙ガイド28の上面はトナー像を表
面に支持する記録材を摺動可能に支持するように実質的
に平板状に形成すると共に、トナーの飛散による汚染を
防止するために、前記定着ロール21の外周面を構成す
るような離型性層(図示せず)を被着することが好まし
い。30は記録材であり、上面にトナー像31を保持
し、矢印方向に移動可能としてある。
【0046】32は分離爪であり、例えばデルリンのよ
うな耐熱性のある樹脂材料によって形成し、図示省略し
た手段により摺動自在かつ自由端を定着ロール21の外
周面に揺動自在に圧接する。33は排紙ガイドであり、
金属板例えばステンレス鋼からなる薄板状に形成し、自
由端を加圧ロール22の外周面に摺動自在に圧接する。
34はトナー収容部であり、排紙ガイド33の記録材3
0の移動方向下流側(図1において右下側)に設ける。
35は排紙ローラであり、前記定着ロール21および加
圧ロール22の記録材30の移動方向下流側に設ける。
36は結露防止用の通気孔であり、上部給紙ガイド27
に複数個設ける。37,38はカバーである。上記のト
ナー収容部34を設ける代わりに、カバー38の底部を
仕切って収容部を形成し、そこに回収トナーを収容して
もよい。
【0047】上記の構成により、熱源29に給電し、定
着ロール21および加圧ロール22を圧接状態のまま矢
印方向に回転させ、排紙ロール35もまた矢印方向に回
転させて、トナー像31を表面に支持する記録材30を
矢印方向に搬送する。この場合、下部給紙ガイド28に
は温度検出用のサーミスタ39が装着されているため、
このサーミスタ39からの信号により熱源29への給電
を、例えばON/OFF制御することにより、下部給紙
ガイド28が熱源29からの伝熱作用により所定の温度
範囲、例えばカプセルトナーの外殻表面温度が50〜1
20℃に保持され得る。記録材30が下部給紙ガイド2
8の表面を移動する間に、前記の伝熱加熱によりトナー
像31を形成するカプセルトナーの外殻の強度が低下
し、次いで記録材30は圧接状態にある定着ロール21
と加圧ロール22との間を通過することにより、トナー
像31が定着され、排紙ロール35を経て装置外に搬出
される。
【0048】定着ロール21と加圧ロール22とによる
記録材30の挟着もしくは圧接により、定着ロール21
とトナー像31とが直接接触するが、定着ロール21の
外周面には離型性層25が被着されているため、トナー
像31が定着ロール21に付着し、それが次の定着動作
で紙に転移する所謂オフセット現象を防止でき、鮮明な
画像を形成することができる。また定着ロール21およ
び加圧ロール22の外周面の回転方向下流側には、各々
分離爪32および排紙ガイド33が設けてあるため、記
録材30の非所望な巻付きを防止できる。この場合排紙
ガイド33は加圧ロール22の表面に非所望に付着した
トナーを掻落す所謂クリーナの作用も併有しており、掻
落されたトナーはトナー収容部34内に収容される。
【0049】本発明においては、定着ロール21と加圧
ロール22との間に形成されるニップ幅が狭くても十分
な定着作用が得られるので、定着ロール21と加圧ロー
ル22との圧接力は通常10〜2000g/cm、好ま
しくは1000g/cm以下、より好ましくは700g
/cm未満の線圧で充分である。但し定着性の点から少
なくとも10g/cmは必要である。
【0050】一方、従来の熱ロール定着では、トナー像
を保持した記録材を、少なくとも一方が加熱ロールであ
る1対のロールの間を通過させ、加熱と加圧とによって
トナー像を記録材に定着させるものである。従って記録
材に所定の熱量を付与する必要があり、上記ニップ幅を
大きくする(3〜4mm程度)ことが必要であった。そ
のためトナー像と接する側のロールを剛性ロールとし、
他方のロールを弾性ロールとして対を形成していたので
ある。これに対して本発明においては、トナー像31を
保持した記録材30が、定着ロール21と加圧ロール2
2との間にかみ込まれる前に、予めカプセルトナーの外
殻強度を低下させてあるので、従来法のように少なくと
も一方のロールに熱源を設けるという必要がなく、単に
定着ロール21と加圧ロール22とを前記のような弱い
線圧で圧接させるのみでよく、ニップ幅を小さくするこ
とができるのである。
【0051】上記の理由により、本発明の方法において
は、定着ロール21および加圧ロール22を共に剛性ロ
ールとすることが可能であり、上述したような低い圧接
力で充分である。そして加圧ロール22を金属製の剛性
ロールとした場合には、定着ロール21の表面に付着し
たトナーは、両ロールの表面エネルギーの差により加圧
ロール22側に転移するので、加圧ロール22には付着
したトナーを除去する手段を設ける必要がある。図1に
おいては、排紙ガイド33の先端(自由端)を加圧ロー
ル22の表面に当接させ、この排紙ガイド33により加
圧ロール22の表面に付着したトナーを掻き落すように
している。又、上記の如く定着ロール21と加圧ロール
22とを弱い線圧で使用する事が可能となる為、ローラ
ー間圧力が両端で高くなる反面、中央部で低くなる為に
生じる定着不良を生じる事が無い。
【0052】次に熱源29の容量について記述する。本
発明において使用するカプセルトナーはその外殻表面が
50〜120℃の温度範囲において少なくとも外殻強度
が低下するものを使用するのであるが、記録材30が熱
源29上を移動する間に上記定着温度に加熱される必要
がある。従って記録材30の搬送速度との関係で搬送方
向における熱源29の長さをLとして必要最小限の長さ
を選定する必要がある。まずオーブン上に普通紙を載置
してオーブンに通電した場合の加熱時間と普通紙の表面
温度との関係を求めた。この場合普通紙として通常のも
の(64g/m2 )、やや厚手のもの(75g/m2
および厚手のもの(90g/m2 )のものを使用した
が、紙厚が変化しても、紙の表面温度の上昇状態は略同
様である(紙とオーブンとの接触状態のバラツキによる
ものと思われる。)ことが認められた。実験の結果、オ
ーブンの温度が例えば160℃である場合に、紙の表面
が120℃に到達するまでに約0.7秒を要することが
判った。従って図1に示す記録材30の搬送速度が50
mm/秒である場合には、熱源29の搬送方向の長さL
は50mm/秒×0.7秒=35mmあればよく、余裕
を勘案して50mm程度あれば充分と認められる。上記
のことから、実機としては熱源29の温度が例えば18
0℃である場合、下部給紙ガイド28を例えば厚さ1m
m以下のアルミニウム板で形成すると、その表面温度は
150〜160℃を確保することができると認められ、
低温度定着トナーの定着には充分に機能し得る。
【0053】図1において、上部給紙ガイド27の裏
側、すなわち上面に下部給紙ガイド28におけると同様
な熱源29を設け、該熱源による加熱を併せて行っても
よい。このように構成することにより、熱源29の記録
材30の搬送方向における長さLをさらに小にすること
ができ、また同一長さであっても記録材30の搬送速
度、すなわち定着速度を増大させることができる。
【0054】図2は本発明の方法の実施に用いる第2の
態様の装置を示す要部縦断面説明図であり、同一部分は
前記図1と同一の参照符号で示す。図2において、40
は熱源であり、例えば赤外線ランプ、フラッシュランプ
等により形成し、記録材30の表面を輻射加熱可能に設
ける。41は遮蔽膜であり、例えばポリイミド樹脂のよ
うな耐熱性透明材料によって形成し、記録材30と熱源
40との間に介装する。定着ロール21のコア24と加
圧ロール22のコア26は、前述した図1の装置で用い
たのと同様の金属材料によって中実に形成し、分離爪3
2、排紙ガイド33および排紙ロール35を省略すると
共に、カバー38の底部に仕切り43を設けてトナー収
容部34aを形成した。上記以外の構成は前記図1に示
すものと同様である。
【0055】上記の構成により、記録材30上のトナー
像31を定着することができるのであるが、この場合記
録材30は上下両面から併せて加熱されるため、定着速
度を増大させることができる。熱源40の下方に設けた
遮蔽膜41は、熱源40からの熱線の通過は許容する
が、トナー像31からの非所望なトナー飛散に起因する
熱源40の汚染を防止する。なお上記定着作用は主とし
て熱源40によって遂行されるため、下部給紙ガイドの
裏側に設けた熱源29を省略してもよい。また図2に示
すものにおいては、前記図1における分離爪32、排紙
ガイド33および排紙ロール35を省略した構成である
がこれらを備えていてもよい。定着ロール21および加
圧ロール22は共に小径化が可能であり、ロール径が2
0mmφ以下のものでは記録材30の復帰力を有効に使
うことができるため、記録材30の排紙作用には支障が
ない。
【0056】図3は本発明の方法の実施に用いる第3の
態様の装置を示す要部説明図であり、同一部分は前記図
1および図2と同一の参照符号で示す。図3において4
2はバックアップロールであり、定着ロール21および
/または加圧ロール22の外方に各々圧接させて設け
る。このように構成することによって、定着ロール21
および/または加圧ロール22の撓みを補償し、圧接部
位を軸方向に直線的に保持することができる。この場合
図3(a)に示すように、加圧ロール22が小径の場合
には加圧ロール22の側のみにバックアップロール42
を圧接し、図3(b)に示すように定着ロール21およ
び加圧ロール22の両者共小径の場合には、バックアッ
プロール42を各々に圧接する。このような撓み補償手
段としてのバックアップロール42の軸方向長さは、定
着ロール21もしくは加圧ロール22の軸方向長さより
小に形成してもよく、要するに圧接により対象ロールの
撓みが0になるか、もしくは無視し得る程度になるもの
であればよい。
【0057】図3においては撓み補償手段としてバック
アップロール42を圧接する例を示したが、これ以外の
撓み補償手段として、定着ロール21および加圧ロール
22の軸線を平面投影状態において交差させる手段、ま
たは定着ロール21および/または加圧ロール22にク
ラウンを付する手段、すなわちロールの中央部の直径を
若干大に形成し、両端部に向かって直径を漸次減少させ
る手段によってもよい。
【0058】図4は本発明の方法の実施に用いる第4の
態様の装置を示す要部説明図であり、同一部分は前記図
1および図2と同一の参照符号で示す。この態様の特徴
は、任意断面において定着ロール21の中心軸C1 と加
圧ロール22の中心軸C2 とを通る直線l1 が中心軸C
2 を通る垂線l0 に対して角度θだけ入紙側に傾くよう
に両ロールを配置した点にある。このようにすると、記
録材30が定着ロール21と加圧ロール22との間に噛
み込まれた時に、記録材30が下部給紙ガイド28と密
着するようになる。したがって下部給紙ガイド28の裏
側に設けられた熱源29によるトナーの加熱を効率よく
行なうことができる。ここで、上記角度θはあまり大き
いと、排紙方向が上向きになりすぎて記録材が定着ロー
ルに巻き付き易くなるので、10°以下が好ましい、上
記角度θのより好ましい範囲は3〜5°である。
【0059】上記の各態様においては説明を省略した
が、定着ロール21と加圧ロール22とは接離可能に配
設しておき、例えば記録材30にジャミングが発生した
とき、もしくは内部点検保守の場合等には装置の給紙側
もしくは排紙側が開放するように構成されていることは
勿論である。
【0060】
【実施例】以下、本発明をトナー製造例、試験例により
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらによりなんら
限定されるものではない。 カプセルトナー製造例1 ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物36
7.5g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物146.4g、テレフタル酸126.0g、ドデセニ
ル無水コハク酸40.2g、無水トリメリット酸77.
7gをガラス製2リットルの4つ口フラスコに入れ、温
度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー、及び
窒素導入管を取り付け、マントルヒーター中で、窒素気
流下にて220℃にて反応せしめた。
【0061】重合度は、ASTM E28−67に準拠
した軟化点より追跡を行い、軟化点が110℃に達した
とき、反応を終了した。また、得られた樹脂のガラス転
移点を、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製)で測
定したところ、65℃であった。また、軟化点および酸
価を測定し、それぞれ110℃および18KOHmg/
gであった。なお、酸価はJIS K0070に準ずる
方法により測定した。
【0062】スチレン69.0重量部、2−エチルヘキシル
アクリレート31.0重量部、ジビニルベンゼン 0.9重量
部、カーボンブラック「#44 」(三菱化成社製)7.0 重
量部、ニグロシン染料「ボントロンN−01」(オリエ
ント化学社製)2部に、前記で得られた樹脂を20重量
部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.5 重量部を添
加し、アトライター(三井三池化工機社製)に投入し、
10℃にて5時間分散し、重合性組成物を得た。次いで、
2リットルのガラス製セパラブルフラスコに予め調製し
たリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイド溶液560g
に対して前記の重合性組成物を240g添加し、TKホモミキ
サー(特殊機化工業社製)を用いて、5℃にて回転数12
000rpmで5分間乳化分散させた。
【0063】次に、4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷
却管、温度計、窒素導入管、ステンレススチール製撹拌
棒を取り付け、電熱マントルヒータ中に設置した。窒素
下にて撹拌を続けながら、85℃まで昇温し、10時間反応
せしめた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶か
し、濾過、水洗を経て、45℃にて12時間、20mmHgで減圧
乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μm の外殻
が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを得た。
【0064】このカプセルトナー 100重量部に、疎水性
シリカ微粉末「アエロジル R-972」(日本アエロジル社
製)0.4 重量部を加えて混合し、本発明におけるカプセ
ルトナーを得た。これをトナー1とする。芯材中の樹脂
に由来するガラス転移点は30.6℃、また、トナー1の軟
化点は125.5 ℃であった。
【0065】カプセルトナー製造例2 ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物34
1.3g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物48.8g、トリメチロールプロパン26.4g、テ
レフタル酸226.8g、ドデセニル無水コハク酸2
0.0gをガラス製2リットルの4つ口フラスコに入
れ、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサ
ー、及び窒素導入管を取り付け、マントルヒーター中
で、窒素気流下にて220℃にて反応せしめた。
【0066】重合度は、ASTM E28−67に準拠
した軟化点より追跡を行い、軟化点が110℃に達した
とき、反応を終了した。また、得られた樹脂のガラス転
移点を、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製)で測
定したところ、70℃であった。また、軟化点および酸
価を測定し、それぞれ110℃および15KOHmg/
gであった。なお、酸価はJIS K0070に準ずる
方法により測定した。
【0067】スチレン50重量部、2−エチルヘキシル
アクリレート35.0重量部、ジビニルベンゼン1.0
重量部、メタクリル酸ジメチルアミノエチル1.0重量
部、スチレンによりグラフトされたカーボンブラック
「GP−E−3」(菱有工業社製)40.0重量部に、
前記で得られた樹脂を20重量部、ラウロイルパーオキ
サイド5.0重量部添加し、重合性組成物を得た。次い
で、2リットルのガラス製セパラブルフラスコにあらか
じめ調製したリン酸三カルシウム4重量%の水性コロイ
ド溶液560gに前記重合性組成物240gを添加し、
TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて、15
℃にて回転数12000rpmで5分間乳化分散させ
た。次に、4つ口のガラス製の蓋をし、還流冷却管、温
度計、窒素導入管、ステンレススチール製攪拌棒を取り
付け、電熱マントルヒータ中に設置した。窒素下にて攪
拌を続けながら、85℃まで昇温し、10時間反応せし
めた。冷却後、10%塩酸水溶液にて分散媒を溶かし、
濾過、水洗を経て、45℃にて12時間、20mmHg
で減圧乾燥し、風力分級機にて分級し、平均粒径8μm
の、外殻が非晶質ポリエステルであるカプセルトナーを
得た。このカプセルトナー100重量部に、疎水性シリ
カ微粉末「アエロジルR−972」(日本アエロジル社
製)0.4重量部を加えて混合し、本発明のカプセルト
ナーを得た。これをトナー2とする。芯材中の樹脂に由
来するガラス転移点は33.5℃、またトナー2の軟化
点は124.3℃であった。
【0068】比較トナー1の製造例 ビスフェノールAのポリプロピレンオキシド付加物、ビ
スフェノールAのポリエチレンオキシド付加物、テレフ
タル酸、ドデセニル無水琥珀酸およびトリメリット酸の
縮重合により得られたポリエステル樹脂(Tgは50
℃、軟化点は120℃、酸価は25)100重量部、カ
ーボンブラック「#44」(三菱化成社製)10重量
部、低分子量ポリプロピレン「ビスコール660P」
(三洋化成社製)4重量部からなる混合物をロールで加
熱混練りした。これを放冷後、1−2mmに粗砕し更に
ジェットミルにて微粉砕後風力分級機にて分級し平均粒
径10μmの芯物質粒子を得た。別にスチレン・メタク
リル酸ブチル・アクリル酸ブチル・アクリル酸共重合体
エマルジョン(樹脂のTgは70℃、Mw23万、Mw
/Mnは6.3、軟化点は140℃であり固形分は40
%)20部に対し前記芯物質58部、ニグロシン染料
「ボントロンN−01」(オリエント化学社製)0.4
重量部、水240部を加え良く混合分散しながらスプレ
ードライ乾燥を行い、外殻がスチレン・メタクリル酸ブ
チル・アクリル酸ブチル・アクリル酸共重合体よりなる
カプセルトナーを製造した。得られたカプセルトナーの
軟化点は118℃であった。
【0069】比較トナー2の製造例 パラフィンワックス「SP−0145」(日本製蝋社
製)60重量部、カルナバワックス(野田ワックス社
製)8重量部、ウレタン化合物(ヘキサメチレンジイソ
シアネートとエチルアルコールの等モル反応物:分子量
450、軟化点100℃)32重量部およびカーボンブ
ラック「#44」(三菱化成社製)10重量部からなる
混合物をロールで加熱混練りした。これを放冷後、1−
2mmに粗砕し更にジェットミルにて微粉砕後風力分級
機にて分級し平均粒径10μmの芯物質粒子を得た。次
いで比較トナー1の製造例と同様にし、スプレードライ
乾燥を行い、外殻がスチレン・メタクリル酸ブチル・ア
クリル酸ブチル・アクリル酸共重合体よりなるカプセル
トナーを製造した。得られたカプセルトナーの軟化点は
98℃であった。
【0070】試験例 前記の製造例で得られたトナー各々52部を平均粒径9
0μmの樹脂被覆されたCu−Zn系フェライトキャリ
ア1248部とを混合して現像剤を調製し、市販複写機
(有機感光体搭載)にて画出しを行った。得られた未定
着画像を図1又は図2で示される本発明における加熱定
着装置(定着速度はいずれも40mm/sec)を用い
て、熱源による紙への加熱温度を可変にして定着性、オ
フセット発生温度、および貯蔵安定性(耐ブロッキング
性)を評価した。表1にその結果を示す。
【0071】尚、図1で示される加熱定着装置として
は、定着ロールとしてアルミニウム製の16mmφのロ
ールを、加圧ロールとしてアルミニウム製の16mmφ
のロールを用い、定着ロールの外周面には膜厚30μm
のテトラフルオロエチレンプロピレン製の離型性層を設
けたものを用いた。熱源としてはアルミナ粉末にNi-Cr
粉末を分散させた板状の面発熱体であって、長さが50
mmのものを用い、アルミニウム製からなる下部給紙ガ
イドの裏側に固着させた。線圧は500g/cmに設定
した。図2で示される加熱定着装置としては、定着ロー
ルとしてステンレス製の10mmφのロールを、加圧ロ
ールとしてステンレス製の10mmφのロールを用い、
定着ロールの外周面には膜厚30μmのテトラフルオロ
エチレンプロピレン製の離型性層を設けたものを用い
た。熱源としてはアルミナ粉末にNi-Cr 粉末を分散させ
た板状の面発熱体であって、長さが50mmのものを用
い、アルミニウム製からなる下部給紙ガイドの裏側に固
着させた。さらに、赤外線ヒーターよりなる熱源を上部
給紙ガイドの裏側に設け、ポリイミド製の遮蔽膜を介し
て記録材の加熱を行った。線圧は500g/cmに設定
した。
【0072】ここでの最低定着温度とは底面が15mm
×7.5mmの砂消しゴムに500g荷重を載せ、定着
機を通して定着された画像の上を5往復こすり、こする
前後でマクベス社の反射濃度計にて光学反射密度を測定
し、以下の定義による定着率が70%を越える際の定着
ロールの温度をいう。 定着率=(こすった後の像濃度)/(こする前の像濃
度)×100 また、耐ブロッキング性について、各トナー100gを
50℃、相対湿度40%の条件下で24時間放置したと
きの凝集の発生の程度を評価し、その結果も表1に示し
た。尚、帯電量はブローオフ法により測定した。
【0073】
【表1】
【0074】その結果、表1から明らかなように本発明
におけるカプセルトナーを用いた場合については、最低
定着温度が低く、非オフセット温度域も広く、耐ブロッ
キング性も問題ないが、比較トナー1は最低定着温度が
高く、比較トナー2は最低定着温度は低いものの非オフ
セット温度域が小さく、耐ブロッキング性に問題があっ
た。
【0075】
【発明の効果】本発明の加熱定着方法は、以上のような
構成および作用であるから、下記の効果を奏し得る。即
ち、本発明によると、 (1) トナー像を表面に支持する記録材への加熱のみでカ
プセルトナーの外殻強度が低下して低温で定着する為、
定着ロールと圧力ロールによる低線圧での定着が行え、
装置が非常にコンパクトになる。 (2) 低い定着温度で定着を行う為、定着装置およびその
周辺には耐熱仕様の部材が不要となり安価な材料が使用
でき、低価格な定着装置となる。 (3) 低い定着温度で定着を行い、かつ線圧も低く出来る
為、紙のカールや紙つまりも発生し難くなり省メンテナ
ンスとなる。 (4) 低い定着温度と低線圧で定着を行う為、定着装置お
よびその周辺の部材の寿命が長くなり省メンテナンスと
なる。 (5) 低温定着のトナーを使用する為、定着用装置内の発
熱体の温度を低く設定でき、温度上昇が小さい。従っ
て、機内に電動ファン等の強制放熱装置を小型化できる
か、または強制放熱装置が不要となる。 (6) 定着装置の昇温に必要な待ち時間が短く出来るた
め、クイック印字が可能となる。 (7) 低線圧で定着する為、トナー飛散による画像のとび
ちり、細線のつぶれ、画像のにじみがなく高画質とな
る。 (8) 低い温度で加熱定着を行える為、消費電力が少なく
てすみ、かつ定着速度を増大させる事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いる第1の態様の装置を示す
要部横断面説明図である。
【図2】本発明の方法に用いる第2の態様の装置を示す
要部横断面説明図である。
【図3】本発明の方法に用いる第3の態様の装置を示す
要部説明図である。
【図4】本発明の方法に用いる第4の態様の装置を示す
要部説明図である。
【図5】従来の熱ロール型の加熱定着方法に用いる装置
の例を示す要部横断面説明図である。
【符号の説明】
21 定着ロール 22 加圧ロール 27 上部給紙ガイド 28 下部給紙ガイド 29 熱源 30 記録材 31 トナー像 32 分離爪 33 排紙ガイド 34 トナー収容部 40 熱源

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トナー像を表面に支持する記録材の少な
    くとも一方の面を加熱した後、加圧ロールと外周面に離
    型性層を有する定着ロールとの間を通過させ、記録材の
    裏面を加圧ロールにより記録材の表面を定着ロールによ
    って各々圧接することにより、前記トナー像を定着させ
    る加熱定着方法であって、前記トナーが少なくとも熱可
    塑性樹脂と着色剤を含有する熱溶融性芯材と、その芯材
    の表面を被覆するよう設けた外殻とにより構成され、該
    外殻の主成分が非晶質ポリエステルよりなるカプセルト
    ナーであることを特徴とする加熱定着方法。
  2. 【請求項2】 カプセルトナーの外殻表面温度が50〜
    120℃となるようにトナー像を表面に支持する記録材
    を加熱する手段を有することを特徴とする請求項1記載
    の加熱定着方法。
  3. 【請求項3】 トナー像を表面に支持する記録材を摺動
    可能に支持する下部給紙ガイドの裏側に設けられた伝熱
    加熱可能な熱源により該記録材を加熱することを特徴と
    する請求項1または2記載の加熱定着方法。
  4. 【請求項4】 下部給紙ガイドの上方に設けられた上部
    給紙ガイドの裏側にさらに熱源を設け、該熱源による加
    熱を併せて行なうことを特徴とする請求項3記載の加熱
    定着方法。
  5. 【請求項5】 トナー像を表面に支持する記録材を摺動
    可能に支持する下部給紙ガイドの上方に設けられた輻射
    加熱可能な熱源により該記録材を加熱することを特徴と
    する請求項1または2記載の加熱定着方法。
  6. 【請求項6】 下部給紙ガイドの裏側にさらに熱源を設
    け、該熱源による加熱を併せて行なうことを特徴とする
    請求項5記載の加熱定着方法。
  7. 【請求項7】 剛性を有する材料によって形成された加
    圧ロールおよび定着ロールにより、記録材を圧接するこ
    とを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の加熱定着方
    法。
  8. 【請求項8】 撓み補償手段を設けた加圧ロールおよび
    /または定着ロールにより、記録材を圧接することを特
    徴とする請求項1〜7いずれか記載の加熱定着方法。
  9. 【請求項9】 定着時の線圧が10〜2000g/cm
    である請求項1〜8いずれか記載の加熱定着方法。
  10. 【請求項10】 外殻の主成分が非晶質ポリエステルよ
    りなるカプセルトナーが、in situ重合法により
    非晶質ポリエステルを芯材の表面に被覆してなるもので
    ある請求項1〜9いずれか記載の加熱定着方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08305193A (ja) * 1995-03-03 1996-11-22 Hitachi Koki Co Ltd 定着装置
JP2010127967A (ja) * 2008-11-25 2010-06-10 Konica Minolta Holdings Inc 画像形成装置
JP2015079052A (ja) * 2013-10-15 2015-04-23 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 トナー及びその製造方法

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