JPH06300465A - ガラス−セラミック基板の焼成用治具およびこの焼成用治具を用いたガラス−セラミック基板の製造方法 - Google Patents

ガラス−セラミック基板の焼成用治具およびこの焼成用治具を用いたガラス−セラミック基板の製造方法

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JPH06300465A
JPH06300465A JP5087407A JP8740793A JPH06300465A JP H06300465 A JPH06300465 A JP H06300465A JP 5087407 A JP5087407 A JP 5087407A JP 8740793 A JP8740793 A JP 8740793A JP H06300465 A JPH06300465 A JP H06300465A
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ceramic
sheet
glass
firing
porous ceramic
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Satoshi Hamano
智 濱野
Showa Kinoshita
将和 木下
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】焼結体中の有機成分を多孔質セラミック板を介
して外部に除去することができる焼成用治具および焼成
用治具と焼結体とを容易に分離することができ製造方法
を提供する。 【構成】ガラス−セラミック組成物のグリーンシートに
導体ペーストを印刷し積層したシート状成形体17を内
部に収容するためのセラミック製枠体11と、成形体1
7を上下から加圧する通気性を有する一対の多孔質セラ
ミック板13,15とを備えてなる焼成用治具であり、
枠体11および多孔質セラミック板13,15と成形体
17との間に、焼成温度以下でガラスと濡れ難いセラミ
ック粒子を含有するグリーンシート,スラリーにより形
成される離型材19を介在させた状態で、多孔質セラミ
ック板13,15により成形体17を上下から加圧しつ
つ焼成する製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス−セラミックか
らなる例えば、半導体用として用いられる基板の焼成用
治具およびこの焼成用治具を用いた製造方法に関するも
ので、具体的には寸法精度に優れた基板を製造するため
の焼成用治具およびガラス−セラミック基板の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来技術】半導体素子などを搭載するための基板とし
ては、従来からアルミナなどのセラミック材料が用いら
れているが、最近に至り、アルミナに比較して誘電率が
低く、焼成温度が低い低抵抗の導体、例えばCu,A
u,Agで配線を形成できるなどの点で優れていること
から、特に回路の高集積化の要求に適用することのでき
る基板材料としてガラス−セラミックが注目されてい
る。そして、ガラス−セラミック基板を作製する場合に
は、上記の要求から配線の接触等を防止するため、ま
た、半導体素子等の搭載部品の位置精度を向上させるた
め高度な寸法精度が要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、ガラ
ス−セラミック基板は、通常、所定の原料粉末に有機バ
インダーを添加して所望の基板形状に成形した後、有機
バインダーを分解除去し、その後、所定の条件で焼成す
ることにより得られるが、特に焼成工程において必然的
に焼成収縮するために、焼成前に形成された配線層の位
置精度が低下するという問題があった。
【0004】即ち、一般に、Cu配線のガラス−セラミ
ック基板の脱バインダーは水蒸気を含んだ窒素雰囲気下
で行うことが提案されている。このような非酸化性雰囲
気下においては、通常の硼珪酸系ガラス粉末とセラミッ
ク粉末からなるガラス−セラミック組成物、あるいは、
焼結過程においてコージェライトやムライト等が析出す
る結晶化ガラスからなるガラス−セラミック組成物によ
り形成されたシート状成形体中の有機バインダーを分解
し、残留炭素量を実用レベルの0.02重量%以下とす
るためには、300〜500℃の温度で脱バインダーを
行い、さらに、ガラスの軟化点か、あるいはそれ以上の
温度(700〜900℃)での熱処理が必要であるが、
焼成時だけでなく熱処理時においてもシート状成形体は
x−y方向に収縮してしまい、焼成前に形成された配線
層の位置精度が低下するという問題があった。
【0005】そして、焼成時における収縮を防止するも
のとして、シート状成形体の表面に対して均一な荷重を
印加した状態で焼成することにより成形体を厚み方向
(z方向)にのみ収縮させ、平面方向(x−y方向)へ
の収縮を抑制することにより、x−y面の寸法精度を焼
成後まで維持する技術が特公平4−70124号公報に
提案されている。
【0006】しかしながら、シート状成形体を厚み方向
にのみ収縮させ、平面方向への収縮を抑制する焼成用治
具として一般に使用されているような緻密質セラミック
を用いた場合、即ち、シート状成形体を挟持する加圧板
と、シート状成形体が収容される枠体とを緻密質セラミ
ックにより形成した場合、脱バインダー時にシート状成
形体中の有機バインダーの分解が妨げられ、焼結体中の
残留炭素量を実用レベルの0.02重量%以下に低減す
ることが困難になるという問題があった。
【0007】また、シート状成形体を加圧板により加圧
するため、シート状成形体が焼成用治具に付着するとい
う問題があった。このような付着を防止するため、粉末
の離型材をシート状成形体と枠体,加圧板との間に介装
することが考えられるが、粉末のため取扱いが困難であ
るとともに、枠体とシート状成形体との間、即ち側面に
は離型材を介装することができず、さらに離型材の表面
を平坦にすることが困難であり、このため、離型材表面
の凹凸が焼結体表面に反映され、焼結体表面が凹凸にな
るという問題があった。また、多孔質の加圧板を用いた
場合、粉体の離型材を使用すると、加圧板の凹部に粉体
が集中して離型材表面が凹凸になり、焼結体表面が凹凸
になるという問題があった。
【0008】
【問題点を解決するための手段】本発明者等は、上記問
題点を解決すべく鋭意検討した結果、焼成用治具を通気
性を有する多孔質セラミックにより形成することによ
り、脱バインダー時に分解された有機成分が多孔質セラ
ミックを介して外部に除去され、焼結体中の残留炭素量
を低減することができることを知見し、本発明に至っ
た。
【0009】また、本発明者等は、焼成用治具とシート
状成形体との間に、焼成温度以下でガラスと濡れ難いセ
ラミック粒子を含有するグリーンシートあるいはスラリ
ーからなる離型材を介在させて焼成することにより、取
扱いが容易であり、焼結体の焼成用治具への付着を防止
でき、さらに焼結体表面を平坦にできることを知見し、
本発明に至った。
【0010】即ち、本発明のガラス−セラミックの焼成
用治具は、ガラス−セラミック組成物のグリーンシート
に導体ペーストを印刷し積層したシート状成形体を内部
に収容するためのセラミック製枠体と、前記シート状成
形体を上下から加圧する通気性を有する一対の多孔質セ
ラミック板とを備えてなるものである。
【0011】また、本発明の方法は、ガラス−セラミッ
ク組成物のグリーンシートに導体ペーストを印刷し積層
したシート状成形体を、セラミック製枠体と一対の多孔
質セラミック板とを備えた焼成用治具の内部に収容する
とともに、前記セラミック製枠体および前記多孔質セラ
ミック板と前記シート状成形体との間に離型材を介在さ
せた状態で、前記多孔質セラミック板により前記シート
状成形体を上下から加圧しつつ焼成する製造方法であっ
て、前記離型材が焼成温度以下でガラスと濡れ難いセラ
ミック粒子を含有するグリーンシートあるいはスラリー
により形成されている方法である。
【0012】
【作用】本発明のガラス−セラミックの焼成用治具で
は、焼成前の熱処理の段階から焼成までの工程をシート
状成形体の面に対して垂直な方向から一定の圧力を付与
しつつ処理することにより、焼成収縮を厚み方向(z方
向)にのみ生じさせ、面方向(x−y方向)の収縮を抑
制することが可能となるとともに、通気性を有する一対
の多孔質セラミック板により加圧することにより、脱バ
インダー時に分解された有機成分が多孔質セラミック板
の気孔を通じて外部に除去される。
【0013】また、本発明のガラス−セラミックの製造
方法では、焼成用治具とシート状成形体との間に、焼成
温度以下でガラスと濡れ難いセラミック粒子を含有する
グリーンシートあるいはスラリーからなる離型材を介在
させて焼成することにより、所定温度以上になるとグリ
ーンシートあるいはスラリーの有機成分や溶媒が飛散
し、セラミック粒子となるため、このセラミック粒子の
存在により焼成用治具とシート状成形体とが分離され
る。また、通常の粉末からなる離型材を使用する場合よ
りも、平面の平滑性が向上するとともに、離型材の取扱
いが容易になる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を図面を用いて詳細に説明す
る。本発明のガラス−セラミックの焼成用治具は、図1
および図2に示すように、セラミック製枠体11と通気
性を有する一対の多孔質セラミック板13,15とから
なるもので、セラミック製枠体11は、例えば、コージ
ェライト,シリカガラス,ムライト,β−スポジュメン
等を主成分として構成されており、多孔質セラミック板
13,15は、例えば、コージェライト,シリカガラ
ス,ムライトを主成分として構成されている。
【0015】即ち、図2に示したように、下側多孔質セ
ラミック板13の上部にはセラミック製枠体11が載置
され、このセラミック製枠体11の内部にはシート状成
形体17が収容されている。このシート状成形体17の
上部には上側多孔質セラミック板15が配置されてお
り、この上側多孔質セラミック板15はセラミック製枠
体11内に収容可能に形成されている。
【0016】多孔質セラミック板13,15は、一般に
は気孔率30〜80%の多孔質体を用いることができ
る。セラミック製枠体11は、加圧時に破壊しない程度
の強度があれば通気性を有することがより望ましい。
【0017】セラミック製枠体11と多孔質セラミック
板13,15の熱膨張係数は、ガラス−セラミック焼結
体の冷却時に、焼結体と多孔質セラミック板13,1
5,セラミック製枠体11との熱膨張係数の差による応
力により焼結体に割れあるいは多孔質セラミック板1
3,15,セラミック製枠体11に割れが発生するのを
防止するためには、焼結体の熱膨張係数よりも低くする
ことが望ましい。セラミック製枠体11と多孔質セラミ
ック板13,15は、特に、コージェライト,シリカガ
ラス等を主成分とし、熱膨張係数が4×10-6/℃以下
のものが用いられる。
【0018】次に、このような焼成用治具を用いたガラ
ス−セラミック基板の製造方法を説明する。先ず、ガラ
ス−セラミックを形成する原料粉末を所定の割合で十分
に混合した後、その混合物に有機バインダーを添加す
る。
【0019】本発明において用いられるガラス−セラミ
ック組成物としては、例えば、特開昭61−16369
6号公報、特公平3−37758号公報、特公平4−1
2639号公報、特開平4−238858号公報に開示
されるようなものが知られているが、例えば、Si
2 ,B2 3 ,Al2 3 ,アルカリ金属酸化物等を
含む軟化点が650〜850℃の硼珪酸ガラス,硼珪酸
亜鉛ガラス,硼珪酸鉛ガラス等からなるガラス成分を2
5〜60重量%と、アルミナや石英,石英ガラス,コー
ジェライト,フォルステライト,ムライトなどのセラミ
ックスからなる、いわゆるフィラーを40〜75重量%
の割合からなる組成物である。あるいは、SiO2 ,B
2 3 を含有し、さらにAl2 3 ,ZrO2 等の金属
酸化物を適量含み、焼結過程でコージェライトやムライ
ト,石英,ガーナイト等が結晶質として析出するような
結晶化ガラス質材料であってもよい。これらはいずれも
900〜1050℃の低温焼成が可能な組成物である。
【0020】また、望ましい有機バインダーとしては、
非酸化性雰囲気下での熱分解性が良好であるイソブチル
メタクリレート,n−ブチルメタクリレートなどの重合
体又は共重合体などのアクリル系樹脂やポリα−メチル
スチレンなどのスチレン系樹脂などが用いられる。これ
らの有機バインダーを、固形分で前記混合物に8〜25
重量%の割合で添加し、フタル酸エステルなどの可塑剤
とトルエン,酢酸エチルなどの溶剤と共にボールミルな
どで十分に混合しスラリーを調製する。このスラリーを
ドクターブレード法等でシート状に成形する。
【0021】この後、上記のようにして得られたグリー
ンシートに穴開けしてスルーホールを形成し、このスル
ーホールにCuを主成分とする導体ペーストを充填す
る。続いてシート表面の所定位置にCuを主成分とする
導体ペーストを印刷して導体パターンを形成した後、こ
れらのシートを位置合わせして加圧積層し、シート状成
形体を形成する。
【0022】次に、図1および図2に示したように、下
側多孔質セラミック板13の上部にセラミック製枠体1
1を配置し、下側多孔質セラミック板13の上面および
セラミック製枠体11内面にグリーンシートからなる離
型材19を配置する。そして、セラミック製枠体11内
にシート状成形体17を収容し、このシート状成形体1
7の上部にグリーンシートからなる離型材19を配置す
る。即ち、セラミック製枠体11および多孔質セラミッ
ク板13,15とシート状成形体17との間に離型材1
9を介在させる。
【0023】この離型材19は、焼成温度以下でガラス
と濡れ難いセラミック粒子を含有するグリーンシートに
より形成されており、焼成温度以下でガラスと濡れ難い
セラミック粒子としては、例えば、BN,AlN等の窒
化物,ZrO2 等があるが、本発明はこれに限定される
ものではない。即ち、離型材19はBNやAlN等の窒
化物またはZrO2 等と有機バインダーから構成されて
いる。離型材19は、焼成温度以下でガラスと濡れ難い
セラミック粒子を含有するスラリーであっても良く、こ
のスラリーはスプレー等による吹付け,ハケ,通常のペ
ーストの印刷法による塗布により離型材19を形成す
る。
【0024】離型材19の材質であるBNやAlN等で
多孔質セラミック板13,15及びセラミック製の型枠
11を作製する場合は、離型材19を省略できる。
【0025】そして、この状態で、多孔質セラミック板
13,15を通じてシート状成形体17のz方向よりシ
ート状成形体17表面に機械的圧力を均一に付与しつつ
熱処理,焼成を行う。離型材19のグリーンシートやス
ラリーに含有される有機成分(主としてバインダー)
は、ガラス−セラミックのグリーンシートに用いるのと
同様の良好な熱分解性を有するものであれば良い。
【0026】即ち、シート状成形体19を乾燥後、30
0〜500℃の湿潤窒素雰囲気下で有機バインダーを分
解除去し、更に700〜900℃で熱処理してシート状
成形体17中に残留した微量の炭素を除去する。その
後、銅の融点(1083℃)よりも低い温度、例えば、
900〜1050℃の乾燥窒素雰囲気下で焼成し、ガラ
ス−セラミック基板を得る。熱処理温度が700℃より
低いと、シート状成形体17中に炭素が残留して焼成後
の基板の色調が黒色〜灰色になり、基板強度や絶縁性が
低下する。また、900℃より高いとシート状成形体1
7の緻密化が進行しすぎて基板内部に炭素や雰囲気中の
水蒸気が取り込まれ、基板の膨れや色調不良等の問題が
生じる。
【0027】本発明によれば、この熱処理および焼成に
際し、図1に示すように、シート状成形体17の表面に
対して垂直な方向(z方向)から均一な圧力を付与しつ
つ処理を行うことが重要である。300〜500℃での
有機バインダー分解時に加圧すると、シート状成形体1
7の破壊により配線の断線等の問題が生じるからであ
る。
【0028】シート状成形体17への圧力は、多孔質セ
ラミック板13,15の自重により、あるいは多孔質セ
ラミック板13,15の上にさらに重りを載せる又はプ
レス装置により一軸加圧をすることによりシート状成形
体17の表面に対して均一に付与することができる。こ
のようにシート状成形体17のz方向より圧力を付与し
つつ脱炭素のための熱処理及び基板を緻密化させるため
の焼成を行うことにより、シート状成形体17作製時の
平面方向(x−y方向)の寸法精度を焼成後まで高精度
で維持することができる。
【0029】シート状成形体17への圧力は、熱処理温
度、焼成温度や時間により適宜変動するが、0.3〜1
00kg/cm2 であることが望ましい。これは、圧力
が0.3kg/cm2 より小さいと熱処理時及び焼成時
のx−y方向の収縮を抑制することが困難であり、10
0kg/cm2 より大きいとz方向への収縮速度が速す
ぎてシート状成形体17中に残留した炭素を十分に除去
できない、あるいは多孔質セラミック板13,15が破
壊する等の不具合を生じるためである。
【0030】ここで、多孔質セラミック板13,15
は、シート状成形体17中の有機バインダーの分解ガス
を外部へ排出するために、また有機バインダー分解後に
成形体中に残留する微量の炭素を雰囲気ガスと反応させ
て除去するために、通気性を有することが必要であり、
一般には気孔率30〜80%の多孔質体を用いることが
できる。セラミック製枠体11は、加圧時に破壊しない
程度の強度があれば通気性を有することがより望まし
い。
【0031】以上のように構成されたガラス−セラミッ
クの焼成用治具では、焼成前の熱処理の段階から焼成ま
での工程をシート状成形体17の面に対して垂直な方向
から一定の圧力を付与しつつ処理することにより、焼成
収縮を厚み方向(z方向)にのみ生じさせ、面方向(x
−y方向)の収縮を抑制することができるとともに、通
気性を有する一対の多孔質セラミック板13,15によ
り加圧することにより、脱バインダー時に分解された有
機成分を多孔質セラミック板13,15を介して外部に
除去することができ、さらに、脱バインダー後にシート
状成形体17中に残留する微量の炭素を雰囲気ガスと反
応させて除去することができ、焼結体中の残留炭素量を
実用レベルの0.02重量%以下に低減することができ
る。
【0032】また、焼成用治具とシート状成形体17と
の間に、焼成温度以下でガラスと濡れ難いセラミック粒
子を含有するグリーンシートあるいはスラリーからなる
離型材19を介在させて焼成することにより、焼結体表
面の平滑性を保持することができるとともに、焼成用治
具とシート状成形体17とを容易に分離することがで
き、焼成中にシート状成形体17が焼成用治具に付着す
ることを確実に防止することができる。
【0033】また、焼結体をセラミック製枠体11から
取り出しやすくするために、図3および図4に示す焼成
用治具を用いることができる。この焼成用治具は、シー
ト状成形体17を内部に収容するセラミック製枠体11
と、シート状成形体17を上下から加圧する通気性を有
する一対の多孔質セラミック板13,15と、セラミッ
ク製枠体11とシート状成形体17との間に配置される
セラミック製の4本の角棒21とから構成されている。
【0034】角棒21の長さは、角棒21に対応するシ
ート状成形体17の1辺よりも長く、またセラミック製
枠体11内部の対応する1辺よりも短くなるような長さ
とし、かつシート状成形体17よりも大きい熱膨張係数
を有する材質が望ましい。
【0035】このようなガラス−セラミックの焼成用治
具では、上記実施例とほぼ同様の効果を得ることができ
るとともに、焼成工程において、昇温時の熱膨張により
角棒21とシート状成形体17との隙間をなくするよう
にすることができ、また、冷却時の熱収縮により角棒2
1と焼結体との間に隙間を作り、焼結体を取り出しやす
くすることができる。角棒21は、材質の強度を考慮し
たうえで多孔質にできれば、脱バインダー性が改良され
ることはもちろんである。
【0036】本発明者等は、本発明の効果を確認すべ
く、種々の実験を行った。以下実験例を示す。
【0037】実施例1 硼珪酸ガラス50重量%にアルミナ,石英,コージェラ
イトの合計量50重量%からなるガラス−セラミック組
成物に対して、有機バインダーとしてメタクリレート樹
脂を固形分で18重量%添加し、可塑剤にアジピン酸ジ
オクチルを5重量%、トルエンを溶媒としてボールミル
により40時間混合し、スラリーを調製した。
【0038】得られたスラリーをドクターブレード法に
より厚さ0.3mmのシート状に成形し、このシートの
表面にCuを主成分とする導体ペーストを印刷したもの
を40層加圧積層してシート状成形体を作製した。この
シート状成形体を図1に示したように、通気性を有する
多孔質セラミック板材としてコージェライト質多孔体
を、セラミック製枠体としてコージェライト質緻密体を
用い、シート状成形体と多孔質セラミック板材及びセラ
ミック型枠材との間に離型材としてAlNグリーンシー
トを挟み、湿潤窒素雰囲気下において、シート状成形体
の収縮開始直前の温度、例えば、600〜700℃の温
度まで無加圧状態でシート状成形体の脱バインダーを行
い、シート状成形体中の残留炭素量を0.1重量%まで
低減した。この無加圧状態での脱バインダーは、シート
状成形体の脱バインダー効率を良くすると共に、成形体
の強度が低い段階での加圧により配線の断線や成形体の
破壊等が発生するのを防ぐためである。その後5kg/
cm2 の圧力を付与して800℃の加湿窒素雰囲気中で
10時間熱処理した。その後、同一の炉内で雰囲気を乾
燥窒素に換えて、1000℃で30分焼成した。
【0039】この結果、10時間熱処理後の炭素分は
0.02重量%以下であり、焼成後の相対密度は95%
以上であった。
【0040】また、上記の過程において、シート状成形
体の熱処理後及び焼成後の面方向(x−y方向)の寸法
を測定し、寸法変化率をそれぞれ算出したところ、シー
ト状成形体作製時を基準として熱処理後で厚み方向(z
方向)に対して25%の収縮が見られたが、x方向及び
y方向の寸法変化率はいずれも±0.1%以下であっ
た。焼成後では、z方向に対して48%の収縮が見ら
れ、x方向及びy方向の寸法変化率はいずれも±0.1
%であった。
【0041】また、比較のために、上記の方法におい
て、熱処理時に全く圧力を付与せず、焼成時のみ実施例
1と同様な条件で圧力を付与しつつ焼成した。その結
果、熱処理時でz方向10%、x方向10%、y方向1
0%、焼成後でz方向37%、x方向10%、y方向1
0%の収縮が認められ、本発明の方法により寸法精度が
大きく向上したことが理解される。
【0042】さらに、加圧する板材として通気性を有し
ていない緻密質セラミック体を用いて、上記と同様にし
て焼成した場合には、シート状成形体の有機バインダー
成分が充分に除去できずに炭化して残留し、成形体がほ
とんど焼結しなかった。
【0043】実施例2 硼珪酸ガラス50重量%に石英,石英ガラス,アルミナ
の合計50重量%からなるガラス−セラミック組成物に
対して、有機バインダーとしてメタクリレート樹脂を固
形分で20重量%添加し、可塑剤にフタル酸ジブチルを
6重量%、トルエンを溶媒としてボールミルにより40
時間混合し、スラリーを調製した。以下、実施例1と同
様な処理を行い、シート状成形体の熱処理後および焼成
後の面方向の寸法を測定し、寸法変化率をそれぞれ算出
したところ、熱処理後で厚み方向(z方向)に対して2
7%の収縮が見られたが、x方向およびy方向の寸法変
化率はいずれも±0.1%以下であった。焼成後では、
z方向に対して49%の収縮が見られ、x方向及びy方
向の寸法変化率は±0.05%と、x−y方向に対して
高い寸法精度が獲られた。
【0044】実施例3 コージェエライト又はムライトが主として結晶化する結
晶化ガラス組成物に対して有機バインダーとしてポリ−
α−メチルスチレンを固形分で12重量%添加し、酢酸
エチルを溶媒としてボールミルにより20時間混合し、
スラリーを調製した。
【0045】得られたスラリーをドクターブレード法に
より厚さ0.2mmのシート状に成形した。このシート
の表面にCuを主成分とする導体ペーストを印刷したも
のを20層加圧積層しシート状成形体を作製した。この
成形体を図1に示すように、多孔質セラミック板材及び
セラミック製の型枠材として多結晶シリカファイバーセ
ッターを用い、成形体との間に離型材としてBNグリー
ンシートを挟み、湿潤窒素雰囲気下において、650℃
まで無加圧状態で成形体の脱バインダーを行い、成形体
中の残留炭素量を0.1重量%まで低減した。次に、5
0kg/cm2の圧力を付与して800℃の湿潤窒素雰
囲気下において炭素分が0.02重量%以下になるまで
熱処理した。その後、別のベルト炉内で雰囲気を乾燥窒
素に換えて、1kg/cm2 の圧力を付与して950℃
で30分焼成し、密度が95%以上の多層配線基板を作
製した。
【0046】上記の過程において、シート状成形体の熱
処理後及び焼成後の面方向(x−y方向)の寸法を測定
し、寸法変化率をそれぞれ算出したところ、熱処理後で
厚み方向(z方向)に対して8%の収縮が見られたが、
x方向及びy方向の寸法変化率はいずれも±0.1%以
下であった。焼成後では、z方向に対して40%の収縮
が認められたのに対して、x方向及びy方向の寸法変化
率はいずれも±0.1%であり優れた寸法精度が得られ
た。
【0047】実施例4 実施例1において、熱処理条件、焼成条件および圧力条
件を変更し、種々実験を行い、上記と同様にして最終焼
結体の成形体に対するx方向、y方向の寸法変化率の平
均値を算出し、さらに、焼結体の相対密度および残留炭
素量を測定した。
【0048】
【表1】
【0049】この結果、本発明による基板は、焼成後の
X−Y方向の寸法変化率が小さく、また、相対密度も高
く、さらに基板の炭素量が小さいことが判る。
【0050】
【発明の効果】以上、詳述したとおり、本発明によれ
ば、焼成前の熱処理の段階から焼成までの工程をシート
状成形体の面に対して垂直な方向から一定の圧力を付与
しつつ処理することにより、焼成収縮を厚み方向(z方
向)にのみ生じさせ、面方向(x−y方向)の収縮を抑
制することができるとともに、通気性を有する一対の多
孔質セラミック板により加圧することにより、脱バイン
ダー時に分解された有機成分を多孔質セラミック板を介
して外部に除去することができ、さらに、脱バインダー
後に成形体中に残留する微量炭素を除去することができ
る。これにより、配線の高密度化や更に焼成後の基板上
に薄膜配線を付ける工程に対して十分に対応することが
でき、実装部品の実装精度を高めることができ、基板の
製造に対しその信頼性をより高めることができる。
【0051】また、本発明のガラス−セラミックの製造
方法では、焼成用治具とシート状成形体との間に、焼成
温度以下でガラスと濡れ難いセラミック粒子を含有する
グリーンシートあるいはスラリーからなる離型材を介在
させて焼成することにより、所定温度以上になるとグリ
ーンシートあるいはスラリーの有機成分や溶媒が飛散
し、セラミック粒子となるため、このセラミック粒子の
存在により焼成用治具と焼結体とを分離することがで
き、また、通常の粉末からなる離型材を使用する場合よ
りも平面の平滑性を向上することができるとともに、離
型材を容易に取扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼成用治具およびその周辺を示す斜視
図である。
【図2】本発明の焼成用治具およびその周辺を示す縦断
面図である。
【図3】本発明の焼成用治具の他の実施例を説明する平
面図である。
【図4】本発明の焼成用治具の他の実施例を説明する縦
断面図である。
【符号の説明】
11 セラミック製枠体 13 下側多孔質セラミック板 15 上側多孔質セラミック板 17 シート状成形体 19 離型材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス−セラミック組成物のグリーンシー
    トに導体ペーストを印刷し積層したシート状成形体を内
    部に収容するためのセラミック製枠体と、前記シート状
    成形体を上下から加圧する通気性を有する一対の多孔質
    セラミック板とを備えてなることを特徴とするガラス−
    セラミック基板の焼成用治具。
  2. 【請求項2】ガラス−セラミック組成物のグリーンシー
    トに導体ペーストを印刷し積層したシート状成形体を、
    セラミック製枠体と一対の多孔質セラミック板とを備え
    た焼成用治具の内部に収容するとともに、前記セラミッ
    ク製枠体および前記多孔質セラミック板と前記シート状
    成形体との間に離型材を介在させた状態で、前記多孔質
    セラミック板により前記シート状成形体を上下から加圧
    しつつ焼成する製造方法であって、前記離型材が焼成温
    度以下でガラスと濡れ難いセラミック粒子を含有するグ
    リーンシートあるいはスラリーにより形成されているこ
    とを特徴とするガラス−セラミック基板の製造方法。
JP5087407A 1993-04-14 1993-04-14 ガラス−セラミック基板の焼成用治具およびこの焼成用治具を用いたガラス−セラミック基板の製造方法 Pending JPH06300465A (ja)

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