JPH06298518A - 分散性に優れたシリカ担持物の製造方法 - Google Patents

分散性に優れたシリカ担持物の製造方法

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JPH06298518A
JPH06298518A JP5088499A JP8849993A JPH06298518A JP H06298518 A JPH06298518 A JP H06298518A JP 5088499 A JP5088499 A JP 5088499A JP 8849993 A JP8849993 A JP 8849993A JP H06298518 A JPH06298518 A JP H06298518A
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勘治 坂田
Toyoki Kunitake
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 両親媒性物質が形成する分子組織体及びイオ
ン交換性能を利用し、分子レベルで被担持物が高度に分
散したシリカ担持物を得る。 【構成】 分子の両末端に極性基及び疎水性基がそれぞ
れ付加された両親媒性物質とシリカ形成物質とを含む混
合分散液から溶媒を蒸発除去することによりシリカ複合
体を調製し、シリカ複合体をイオン性の被担持物又は被
担持物前駆体を含む溶液に接触させ、被担持物又は被担
持物前駆体をシリカ複合体に担持させる。シリカ複合体
をイオン性の被担持物又は被担持物前駆体を含む溶液に
接触させた後、両親媒性物質の共存下に化学的処理又は
熱的処理を施しても良い。両親媒性物質としては、二分
子膜形成能をもつものが好ましい。 【効果】 被担持物が高度の分散状態で安定的に担持さ
れるため、高性能の触媒担体,微粒子分散媒体,分散固
定化担体等として広範な分野で使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の被担持物を分子
レベルで均一な高分散状態でシリカ多孔体に分散担持し
たシリカ担持物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリカ,アルミナ等の無機化合物は、そ
の多孔質構造を利用して触媒担体,微粒子分散媒体,色
素や酵素等の機能性有機化合物の分散固定化担体等とし
て広範な分野で使用されている。なかでも、シリカ担体
は、被担持物或いは被分散物(以下、被担持物で総称す
る)の機能や作用を効果的に発現させるために、被担持
物を高度に分散化させ安定化する働きをする。たとえ
ば、白金等の貴金属触媒に対する担体では、触媒活性成
分を微粒子化状態で分散担持し、触媒反応に有効な表面
が露出した白金の量、すなわち白金の表面積を増大させ
る作用を呈する。また、反応中に生じる担持白金粒子の
融合に起因した白金粒子の成長を抑制し、有効表面積を
維持することにより、白金微粒子を安定化させる。
【0003】また、レーザ発振やPHB現象を利用した
光記録等の光機能性材料として注目されているポルフィ
リン等の色素化合物は、自己会合性が強いために希薄濃
度の溶液等の媒体中においても分子会合体を形成し、濃
度消光等の原因となる。その結果、本来の機能が十分に
発揮されない。そこで、色素等の化合物の会合を抑制す
るため、これら化合物を分子レベルでシリカ系の分散固
定化担体に分散させ、更にシリカ網目中に取り込むこと
により再会合を抑制して機能の向上を図ることが検討さ
れている。被担持物をシリカ担体に分散固定化してシリ
カ担持物を製造する方法として、被担持物又は被担持物
前駆体を溶解又は分散させて調製した溶液をシリカに含
浸させ、乾燥させる方法が知られている。被担持物前駆
体を含浸させた場合、必要に応じて化学的処理又は熱的
処理が含浸後に施される。得られた被担持物の分散状態
は、担体として使用されるシリカの細孔構造や表面特性
の影響を受ける。そのため、高分散化担持ができない。
また、被担持物が不安定なため、融合や再結合等によっ
て所期の担持効果が効果的に発現されないこともある。
【0004】担持状態の改善を図るため、シリカ担体の
表面にあるシラノール基SiOHのイオン交換反応性を
利用して被担持物をカチオン性の化合物に変換する方法
や、被担持物としてカチオン性化合物を選択し、それら
カチオン性化合物の溶液をシリカ担体に含浸させて担持
する方法等が採用されている。しかし、これらの方法に
よるとき、被担持物がカチオン性化合物に制限される。
また、シリカ担体表面にあるシラノール基で担持量が制
限され、高担持量を維持することができない。
【0005】担体成分として、溶媒に溶解分散可能なヒ
ュームドシリカ等のシリカ化合物やアルコキシシランや
ケイ酸ソーダ等のシリカ形成化合物を使用することも知
られている。この場合、担体成分及び被担持物の均一な
混合溶液又はゾルを調製し、ゾルを化学的処理又は熱的
処理してゲル化させ、溶媒を除去する。この方法におい
ては、被担持物が会合状態や凝集状態にあったり、シリ
カ形成化合物等のゲル化時に被担持物の会合や凝集が進
行することがある。混合溶液又はゾルに界面活性剤等の
両親媒性物質を添加するとき、色素等の被担持物の会合
状態や凝集状態が解消される。しかし、界面活性剤等の
両親媒性物質を添加しても、色素等の被担持物をシリカ
担体中に分子分散させる上で十分な効果が得られる現状
に至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】触媒成分や色素等の被
担持物の機能を十分に且つ効果的に発現させるために
は、それらを高度に分散化した安定状態で保持する機能
をシリカ担体がもつことが要求される。しかし、従来の
担持物製法方法によるとき、被担持物の高分散化が十分
でない。また、シリカの細孔構造を制御できないことか
ら、分散状態にも問題がある。このような問題を解消す
るものとして、本発明者等は、両親媒性物質とアルコキ
シシラン物質との混合分散液から細孔構造を制御した有
機シリカ薄膜及び多孔体を製造する方法を特願平1−1
31478号,特願平2−414138号等で提案し
た。この提案においては、両親媒性物質が形成する分子
レベルの規則性と高い安定性を有する分子組織体を鋳型
として、シリカ等の細孔の形態や分布等の細孔構造を制
御している。本発明は、先願で提案した方法を更に発展
させたものであり、分子レベルで規則的な分子組織体を
形成する両親媒性物質のイオン交換特性を利用すること
により、シリカ担体に被担持物を高分散化して担持させ
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明においては、その
目的を達成するため、両親媒性物質が形成する分子組織
体の鋳型効果及びイオン交換特性を利用している。シリ
カ担持物は、次のような工程を経て製造される。先ず、
分子の両末端に極性基及び疎水性基がそれぞれ付加され
た両親媒性物質とアルコキシシラン等のシリカ形成物質
とを含有する混合分散液から溶媒を蒸発除去し、両親媒
性物質を含むシリカ複合体を調製する。次いで、シリカ
複合体を、イオン性の被担持物又は被担持物前駆体を含
む水溶液に接触させる。接触方法としては、シリカ複合
体を水溶液に浸漬する方法や水溶液をシリカ複合体に塗
布する方法等がある。接触処理された被担持物又は被担
持物前駆体は、両親媒性物質のイオン交換作用によって
シリカ複合体の表面及び内部に導入され、担持固定化さ
れる。被担持物前駆体を導入した場合には、両親媒性物
質の共存下に化学的処理又は熱的処理を施すことによ
り、被担持物前駆体を目的の被担持物に変換する。ま
た、必要に応じて溶媒抽出等によって両親媒性物質を除
去し、シリカ担持物を得る。
【0008】シリカ複合体の調製等には、特願平1−1
21478号,特願平2−414138号等で紹介した
方法を採用することができる。たとえば、両親媒性物質
とシリカ形成物質の混合分散液には、メタロキサン結合
M−O−Siを生成するSi以外のTiやAl等の金属
Mの金属アルコキシ物質等をアルコキシシラン物質等と
反応可能な化合物として更に含ませることができる。ま
た、先願で紹介したように、残留しているSiORやS
iOH等の加水分解重縮合反応を促進させるため、混合
分散液から溶媒を除去したシリカ複合体に対して化学的
処理又は熱的処理を施しても良い。化学的処理又は熱的
処理は、被担持物又は被担持物前駆体を含む溶液に接触
させる前のシリカ複合体に対して行っても良いが、接触
処理後のシリカ複合体に施すことがより効果的である。
使用する両親媒性物質は、得られたシリカ多孔体の細孔
特性や被担持物の分散性等を考慮したとき、二分子膜形
成能をもつ化合物である方が効果的である。
【0009】
【作用】分子の両末端に極性基及び疎水性基が付加され
た両親媒性物質は、水溶液等の媒体に溶解又は分散され
ると、媒体中で自発的に分子組織体を形成する。形成さ
れた分子組織体は、分子レベルでの高規則性を示す安定
な構造をもつ。この分子組織体を鋳型としてゾル−ゲル
法を適用すると、両親媒性物質とアルコキシシラン物質
等の混合分散液から細孔構造が制御された有機シリカ,
シリカ薄膜,シリカ多孔体等(以下、これをシリカ多孔
体で総称する)が製造される。得られたシリカ多孔体の
特異な細孔構造を被担持物の分散固定化や分散担持固定
化に利用するとき、高い担体効果が得られるものと推察
し、担持方法等につき鋭意研究を進めた結果、本発明を
完成するに至った。
【0010】シリカ多孔体は、特願平1−131478
号,特願平2−414138号等で紹介した方法に従っ
て調製される。シリカ多孔体に担持される被担持物は、
両親媒性物質とのイオン交換反応性をもっている限り、
特に制約を受けるものではなく、金属,金属酸化物や金
属硫化物等の無機化合物、色素化合物や金属錯体等の機
能性有機化合物等、種々の物質がある。また、目的被担
持物を直接担持することが困難な場合、被担持物を形成
する前駆体化合物を先ず担持させ、担持後に目的被担持
物に変換する化学的処理又は熱的処理を施すことが好ま
しい。この化学的処理又は熱的処理は、本発明を拘束す
るものではなく、被担持物前駆体に応じて適宜選択され
る。両親媒性物質の分子集合体は、固有の分子組織性を
保持した状態でイオン交換作用を呈する。たとえば、二
分子膜形成能が高い両親媒性物質の分散液を基板上に展
開し、次いで分散液から溶媒を蒸発して得られる薄膜
は、自己支持性があり、二分子膜が二次元平面状に成長
して積層した多層二分子膜構造をもっている。この多層
二分子膜薄膜をイオン含有水溶液に接触させると、両親
媒性物質の親水基がイオン対型の場合、多層二分子膜構
造を維持した状態でイオン交換反応が進行し、解離イオ
ン種の荷電に対応するイオンがほぼ化学量論的に多層二
分子膜薄膜の内部に取り込まれる。
【0011】このイオン交換性を利用してシリケートを
イオン交換反応によって多層二分子膜薄膜内に取り込ん
で固定化すると、多層膜状の多孔質シリカ薄膜が製造さ
れる(特願平2−310734号参照)。また、イオン
性のポルフィリン等の有機色素を両親媒性物質の多層二
分子膜薄膜内に導入すると、多層二分子膜薄膜の分子組
織性を反映した形態で異方性の高い磁気異方性薄膜や光
機能性薄膜等が製造される(特願平4−87982号,
特願平4−101822号等参照)。本発明において
は、同様に両親媒性物質のイオン交換反応性を利用し、
両親媒性物質の分子組織性を保持しつつ他のイオン種を
シリカ複合体中に導入する。本発明で使用する両親媒性
物質は、担持工程上の必要性から、特願平1−1314
78号及び特願平2−414138号で紹介した両親媒
性物質のうち、極性基がイオン対型又はイオン解離性で
あることが望まれる。疎水性基は、特に制約を受けるも
のではない。
【0012】極性基がイオン対型又はイオン解離性の両
親媒性物質は、分子集合体においてもイオン交換性をも
っている。イオン交換性能は、両親媒性物質の分子組織
性の他に被イオン交換物質の荷電状態や分子構造によっ
て異なる。しかし、ミセルを形成する界面活性剤に比較
して、二分子膜形成能の高い両親媒性物質が一般に効果
的である。これは、二分子膜組織体が組織構造的に生体
膜と類似した安定なものであり、他の物質を取り込む特
性、すなわちホスト−ゲスト性に優れているためであ
る。二分子膜組織体の構造的特性は、シリカ多孔体等を
製造するときにも現れており、細孔形態の多様性,細孔
分布の制御性,比表面積の大きさ等において、ミセルを
形成する界面活性剤に比較して優れている。したがっ
て、シリカ多孔体の製造における両親媒性物質の分子組
織性の作用と併せ、シリカ担持物の製造に二分子膜形成
能を有する両親媒性物質が特に効果的である。
【0013】被担持物や被担持物前駆体についても、同
様にイオン対型又はイオン解離性の化合物であることが
望まれる。被担持物や被担持物前駆体は、両親媒性物質
とのイオン交換反応性を考慮して選定される。たとえ
ば、両親媒性物質のイオン残基とイオン対を形成するた
め、被担持物や被担持物前駆体は、両親媒性物質のイオ
ン残基に対し逆の電荷をもつことが必要である。しか
し、被担持物や被担持物前駆体に対する制約からイオン
荷電の選択に余地がない場合には、シリカ多孔体の細孔
特性を考慮し、両親媒性物質を適宜選択し、シリカ多孔
体を調製する必要がある。両親媒性物質を含むシリカ複
合体に被担持物や被担持物前駆体を接触処理するとき、
有機溶媒に対する両親媒性物質の溶解性を考慮すると、
水溶性の被担持物や被担持物前駆体が好ましい。イオン
対型又はイオン解離性の被担持物や被担持物前駆体は、
水溶液系として使用されるとき、接触処理を容易に行う
ことができる。
【0014】接触処理法としては、シリカ複合体上に被
担持物や被担持物前駆体を含む溶液を滴下する方法等も
可能であるが、操作性を考慮して被担持物や被担持物前
駆体を含む溶液にシリカ複合体を浸漬する方法が簡便で
ある。両親媒性物質と被担持物や被担持物前駆体とのイ
オン交換反応は、常温でも分子レベルで容易に進行す
る。接触処理の操作条件は、被担持物や被担持物前駆体
の溶液濃度,処理温度等において特段の制約を受けるも
のではない。シリカ多孔体に担持される被担持物の量
は、シリカ複合体と被担持物や被担持物前駆体の溶液と
の接触処理操作による導入量で決定される。そのため、
たとえば浸漬法においては、被接触溶液中の被担持物や
被担持物前駆体の濃度や温度,接触時間等の条件を適宜
選択する。また、シリカ複合体と被担持物や被担持物前
駆体との接触処理を複数回繰り返すことにより導入量を
調整できる。
【0015】被担持物前駆体を担持させたとき、担持後
に目的とする物質形態に変換する化学的処理又は熱的処
理を行い、被担持物を得る。化学的処理又は熱的処理
は、被担持物前駆体に応じて適宜選択される。前駆体担
持物を処理液に浸漬する液相系の固液接触処理も有効で
あるが、前駆体担持物のイオン交換反応性を考慮すると
き、蒸気やガス状の処理剤を使用した気液接触系が好ま
しい。化学的処理又は熱的処理は、両親媒性物質の共存
下、被担持物前駆体の担持状態を反映する形で施される
ことが有効である。因みに、前駆体を処理する前に両親
媒性物質を除去すると、シリカ複合体から前駆体が脱落
したり、得られた担持物の分散状態が不良になる。
【0016】残留しているSiORやSiOH等をシロ
キサン網目結合させる化学的処理又は熱的処理は、被担
持物や被担持物前駆体をシリカ複合体に担持させた後で
行うことにより、シロキサン又はシリカの担体網目中に
被担持物又は被担持物前駆体が取り込まれる。その結
果、高い固定化効果が発現する。化学的処理又は熱的処
理としては、両親媒性物質のイオン交換性を考慮すると
き、アンモニアや塩酸等の蒸気を接触させる方法が好ま
しい。
【0017】このとき、シリカ複合体と被担持物や被担
持物前駆体の溶液との接触処理において、イオン交換の
反応速度等がシロキサン網目結合によって抑制されるこ
とがある。したがって、化学的処理又は熱的処理は、被
担持物や被担持物前駆体を含む溶液に接触処理する前の
シリカ多孔体に施すこともできるが、接触処理後に行っ
た方が効果的である。このようにして作製されたシリカ
担持物は、両親媒性物質の種類に応じて選択された抽出
剤を使用した抽出処理,酸化性雰囲気下で300℃以上
に加熱する焼却処理等によって、必要に応じて両親媒性
物質が除去される。なお、抽出処理,焼却処理等は、必
ずしも必要な工程ではなく、シリカ担持物の用途や使用
条件に応じて適宜選択される。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。本実施例においては、シリカ担体をアルコキシシラ
ンから調製し、被担持物と接触させる両親媒性物質を含
んだシリカ複合体を次の手順に従って調製した。両親媒
性物質として、図1に示した化合物1〜5を使用した。
化合物1〜3は、極性基がアンモニウム塩型のカチオン
残基を有する。化合物4及び5は、燐酸基となっており
アニオン残基を有する。このうち、化合物1及び4は通
常の界面活性剤であり、化合物2,3及び5は二分子膜
形成能をもった両親媒性物質である。各種両親媒性物質
50mM相当量及びアルコキシシラン物質としてCH3
Si− (OCH3)3 2.04g(両親媒性物質の50倍
モル相当量)を超音波照射しながら6mlの純水に分散
溶解し、複数種の混合分散液を調製した。各混合分散液
を開栓したガラス容器に入れ、温度25℃及び相対湿度
60%の恒温恒湿槽内で3日間放置した。その結果、水
分の蒸発によって白色の固化物、すなわち両親媒性物質
を含んだシリカ複合体が得られた。
【0019】−実施例1− 不均一系触媒として各種の反応に使用されている白金シ
リカ担持物の製造例を示す。シリカ複合体上に白金金属
を分散担持させるため、先ず前駆体化合物の水溶液にシ
リカ複合体を浸漬により接触させた。白金金属の前駆体
化合物としては、極性基がカチオン残基である化合物1
〜3を両親媒性物質として使用したシリカ複合体では塩
化白金酸(IV)カリウムを、アニオン残基を有する化
合物4,5から調製されたシリカ複合体ではトリス(エ
チレンジアミン)白金(IV)塩酸塩を使用した。白金
金属の前駆体化合物を、20mMの水溶液に調製した。
水溶液100mlにシリカ複合体を浸漬し、約25℃の
室温で一昼夜放置した。その後、橙色や黄色に着色され
たシリカ複合体を濾別回収し、水洗・乾燥した。塩化白
金酸カリウム又はトリス(エチレンジアミン)白金塩酸
塩を含むシリカ複合体をガラス管に充填し、管状電気炉
に挿入した。そして、水素気流下で150℃に3時間保
持し、塩化白金酸カリウム又はトリス(エチレンジアミ
ン)白金塩酸塩を白金金属に還元処理した。
【0020】得られた灰色の白金シリカ担持物を、アン
モニア水を張った密閉ガラス容器に封入し、約25℃の
室温で一週間放置した。これにより、残留しているSi
ORやSiOH等のシロキサン結合への反応が促進され
た。一週間放置した白金シリカ担持物をガラス容器から
取り出し、再びガラス管に充填して管状電気炉に挿入し
た。そして、空気気流下で300℃に5時間保持し、両
親媒性物質等を焼却除去した。最終的に得られた白金シ
リカ担持物の白金担持量を、蛍光X線分析によって測定
した。また、担持物の室温(約25℃)における水素吸
着量から白金比表面積を算出し、担持白金を球状粒子と
仮定して担持白金の平均粒子径を求めた。測定結果を、
表1に示す。
【表1】
【0021】表1の実験番号6は、シリカ複合体のイオ
ン交換反応性に対してシロキサン結合や架橋の成長が与
える影響を調べるために行った実験である。実験番号6
においては、塩化白金酸カリウムの水溶液への浸漬に先
立って、アンモニア水を張った密閉ガラス容器にシリカ
複合体を封入し、約25℃の室温に一週間放置した。次
いで、実験番号1〜5と同様に、塩化白金酸カリウムの
水溶液に浸漬し、還元処理によって白金シリカ担持物を
製造した。実験番号7は、両親媒性物質を添加せずに白
金シリカ担持物を調製した比較例である。この場合、ア
ルコキシシラン物質としてCH3 Si (OCH3)3 2.
04g及び塩化白金酸カリウムの20mM水溶液2.5
5ml(白金担持量として1重量%相当)を純水3.4
4mlに加え、超音波照射しながら分散溶解させ、均一
な混合分散液を調製した。白金前駆体化合物の溶液に浸
漬する処理操作を省いた他は、実験番号1〜5と同様に
して白金シリカ担持物を調製した。
【0022】表1から明らかなように、両親媒性物質を
使用して調製した実験番号1〜6の白金シリカ担持物
は、両親媒性物質を使用せずに調製した実験番号7に比
較して、何れの場合も担持白金粒子径が小さくなってお
り、高分散化していることが判る。また、二分子膜形成
能をもった両親媒性物質を使用した実験番号2,3及び
5では、界面活性剤を使用した実験番号1及び4に比較
して、白金担持量が高く、二分子膜形成能をもった両親
媒性物質の高いイオン交換性が示されている。実験番号
2及び実験番号6で得られた白金シリカ担持物を比較す
ると、白金粒子径に差がみられないが、実験番号2の白
金担持量が少なくなっている。このことから、シロキサ
ン架橋が高いと、イオン交換の反応速度が抑制されるこ
とが窺われる。
【0023】−実施例2− 有機色素化合物の固定化担持物の製造例として、高機能
性の光学材料であるポルフィリン化合物のシリカ担持物
を製造した。ポルフィリン化合物としては、図2に構造
を示したアニオン性の化合物6を使用した。化合物6に
対応して、カチオン残基をもつ化合物1〜3の両親媒性
物質から調製されたシリカ複合体を使用した。化合物6
の0.2mM水溶液にシリカ複合体を浸漬し、約20℃
の室温に一昼夜放置する担持処理を行ったところ、シリ
カ複合体は均一な赤紫色に着色した。このシリカ複合体
を取り出し、純水で十分洗浄した後、風乾した。
【0024】次いで、ポルフィリン化合物を担持したシ
リカ複合体を、アンモニア水を張った密閉ガラス容器に
封入し、約25℃の室温に一週間放置した。そして、ガ
ラス容器から取り出し、真空脱気した。得られたポルフ
ィリン担持物の100mgを錠剤成型器によって直径1
0mmのディスク状に成形し、その蛍光スペクトルを励
起波長425nmで測定した。蛍光強度は、測定した試
料の中で最も強いものを1として相対評価した。超過結
果を表2に示す。また、被担持物の固定化安定性を調べ
るため、調製したポルフィリン担持物の0.5gを純水
100mlに投入し、一昼夜放置した後、水の着色状態
を目視観察した。着色が検出されない場合を固定化安定
性が良好なものと判定し、表2では○で表した。他方、
着色が検出されたものでは、固定化安定性不良×と判定
した。
【表2】
【0025】表2の実験番号11及び12は、比較のた
めの実験である。実験番号11では、両親媒性物質及び
アルコキシシラン物質の混合分散液にポルフィリン化合
物を直接添加し、実験番号8〜10と同様の条件下で固
化物を得た。実験番号12では、両親媒性物質を含まな
い系で、アルコキシシラン物質とポルフィリン化合物の
混合分散液を同様に調製して固化物を得た。実験番号1
1及び12共に、実験番号9におけるポルフィリン担持
量の1/100(mol−ポルフィリン化合物/mol
−両親媒性物質)に相当する量を添加し、シロキサン架
橋反応を促進するためのアンモニア蒸気処理を施した。
【0026】蛍光強度にはシリカ担体中におけるポルフ
ィリンの分散状態が反映するものと推察される。すなわ
ち、イオン交換反応を利用することなくポルフィリン化
合物を直接導入した実験番号11及び両親媒性物質を添
加せずにシリカ複合体を調製した実験番号12にみられ
るように、ポルフィリン化合物の会合によって蛍光強度
が急激に低下している。これに対し、両親媒性物質を使
用しイオン交換反応を利用してポルフィリン化合物を導
入した系、すなわち実験番号8〜10においては、実験
番号11及び12に比較し、相当に大きな蛍光強度が得
られ、ポルフィリン化合物がシリカ担体中に分子レベル
で高分散していることが推察される。
【0027】実験番号8は、界面活性剤を使用してシリ
カ複合体を調製した例であり、二分子膜形成能をもった
両親媒性物質を使用した実験番号9及び10に比較して
蛍光強度が低くなっている。これは、両親媒性物質によ
るイオン交換反応性の差に起因しているものであり、二
分子膜形成能をもった両親媒性物質は、通常の界面活性
剤に比較してイオン交換容量等に優れ、ポルフィリンの
多量導入を可能にする。また、両親媒性物質を使用した
何れの実験例においても、両親媒性物質を使用しない場
合に比較して、被担持物であるポルフィリンの溶出がな
く、担持したポルフィリンの固定化効果も優れているこ
とが判る。
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、両親媒性物質或いは両親媒性物質の分子集合体がも
つイオン交換性を有効に利用することにより、被担持物
をシリカ多孔体中に高度に分散化させ、しかも安定的に
固定化する。被担持物をシリカ担体に微粒子状に又は分
子単位に広げて高分散化することにより、被担持物の機
能や性能が高められる。たとえば、担持触媒の場合、触
媒活性成分を微粒子状に広げることによって触媒成分の
表面露出量,すなわち表面積をふやし、単位重量当りの
反応活性が図られる。ポルフィリン等の色素の場合も、
会合状態が機能性に大きく関係しており、分子分散する
ことによって蛍光特性が飛躍的に増大し、各種の光機能
性材料や電子材料への展開及び応用が期待される。その
他にも、硫化カドミウム等の半導体や金属では、量子サ
イズ効果による非線形光学材料が得られる。
【0029】一般に、担体上に高分散化された被担持物
は微粒子の場合は表面張力により、ポルフィリン等の場
合には会合による安定化エネルギーによって再凝集や再
会合する性質が高く、使用に際し被担持物の分散度が経
時的に低下して、性能の劣化や低下を来すことがある。
そのため、被担持物を分散化するばかりでなく、それら
高分散体を安定化する作用も担体に要求される。この点
においても、本発明によるシリカ担持物は、両親媒性物
質の効果によって、被担持物の固定安定化作用も高く、
これら問題に対しても効果的である。更に、両親媒性物
質の分子鋳型効果を併用することにより、被担持物の分
散状態ばかりでなく、担体シリカの細孔構造を制御した
高性能のシリカ担持物が製造される。これは、触媒やセ
ンサー類等の流体接触を行わせる用途では特に有効であ
る。得られたシリカ担持物は、その多孔質構造を利用し
た担持触媒,光学材料等を対象とした微粒子分散体,色
素や酵素等の各種の機能性有機化合物の分子分散固定化
体として広範な分野で使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例で使用した両親媒性物質の構造
【図2】 実施例2でシリカ多孔体に担持させたポルフ
ィリン化合物

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子の両末端に極性基及び疎水性基がそ
    れぞれ付加された両親媒性物質とシリカ形成物質とを含
    む混合分散液から溶媒を蒸発除去することによりシリカ
    複合体を調製し、該シリカ複合体をイオン性の被担持物
    又は被担持物前駆体を含む溶液に接触させ、前記被担持
    物又は被担持物前駆体を前記シリカ複合体に担持させる
    ことを特徴とするシリカ担持物の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のシリカ複合体をイオン性
    の被担持物又は被担持物前駆体を含む溶液に接触させた
    後、両親媒性物質の共存下に化学的処理又は熱的処理を
    施すシリカ担持物の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の両親媒性物質が二分子膜
    形成能をもつものであるシリカ担持物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1160212A (ja) * 1997-08-12 1999-03-02 Fukuoka Pref Gov 金属酸化物構造体およびその製造方法
JP2011529780A (ja) * 2008-08-04 2011-12-15 シリサイクル インコーポレイテッド 金属含有有機シリカ触媒、その製造方法及び使用

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