JPH0629543Y2 - 4輪駆動用駆動連結装置 - Google Patents

4輪駆動用駆動連結装置

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JPH0629543Y2
JPH0629543Y2 JP14335588U JP14335588U JPH0629543Y2 JP H0629543 Y2 JPH0629543 Y2 JP H0629543Y2 JP 14335588 U JP14335588 U JP 14335588U JP 14335588 U JP14335588 U JP 14335588U JP H0629543 Y2 JPH0629543 Y2 JP H0629543Y2
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rotor
friction
casing
drive
oil
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善明 浜崎
進 山本
徹也 小田
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Koyo Seiko Co Ltd
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Koyo Seiko Co Ltd
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、油圧ポンプの発生油圧により、前輪側から後
輪側へ又は後輪側から前輪側へ駆動力を伝達し、4輪駆
動状態を実現する4輪駆動用駆動連結装置に関し、更に
詳述すれば、前記油圧ポンプのロータとケーシングとの
間に、補助的な駆動力の伝達手段として、両者間に摩擦
力を付与する摩擦体を備えた前記駆動連結装置に関す
る。
〔従来技術〕
4輪駆動車は、積雪路,凍結路,砂利道等の悪路上での
走行の際に高い走行安定性が得られることは勿論、舗装
路面上においても、加減速時及び高速走行時における走
行安定性に優れていることから、路面状況,天候等の自
然条件及び走行状態の如何に拘わらず快適な走行を実現
できるものとして脚光を浴びている。近年の4輪駆動車
は、前,後輪間に生じる回転速度差に応じて駆動力を配
分する駆動連結装置を備え、4輪駆動状態を常時実現す
る、所謂フルタイム4輪駆動車が主流となっており、こ
のような駆動連結装置として、油圧ポンプ、特に、小型
軽量に構成できると共に、耐久性に優れたベーンポンプ
の発生油圧を利用するものが開発されている。
ベーンポンプは、公知の如く、短寸の偏肉筒状をなすカ
ムリングの両側にサイドプレートを夫々固着し、これら
に囲繞された空間を内部に形成してなるケーシングと、
その周方向に略等配をなし、半径方向への進退自在に、
平板状のベーン複数枚を装着してなる短寸円筒形のロー
タとを備え、該ロータを前記ケーシングの内部空間に同
軸回動自在に収納して、ロータの外周面とカムリングの
内周面との間に、これらと両サイドプレートの側面とに
より囲繞されたポンプ室を形成した構成となっており、
該ポンプ室への導入油を相隣するベーン間に封止し、ロ
ータの回転に応じて回転させて昇圧するものである。こ
のようなベーンポンプの発生油圧を利用する前記駆動連
結装置は、前,後輪の一方に連なる軸体に前記ロータ
を、また他方に連なる軸体に前記ケーシングを夫々同軸
的に固着してなり、両者間に前,後輪間の回転速度差に
相当する相対回転を生ぜしめ、前記ポンプ室内部にこの
回転速度差に応じた油圧を発生させて、ロータとケーシ
ングとの間に前記相対回転を抑止する方向に作用する前
記油圧により、前輪側から後輪側へ、又は後輪側から前
輪側へ駆動力を伝達する構成となっている。
ところが、この駆動連結装置においては、直進定速走行
時等、前,後輪が略等速度にて回転している場合、エン
ジンの駆動力は、前,後輪の一方、例えば前輪にその略
全量が配分され、他方、即ち後輪が無負荷状態で従動的
に回転するため、従動輪への伝動経路の中途に配設され
た各種の歯車に耳障りな歯打ち音が発生することがあ
り、これが車室内に伝播した場合、快適性が阻害される
上、伝動系に故障が発生していると誤認される虞があ
る。また、雪溜り,ぬかるみ等、摩擦係数の低い部分が
局所的に散在するような路面上を走行する場合等、前,
後輪間の回転速度が、高頻度にて高低に変化するような
走行状態にある場合、従動側である後輪への駆動力の伝
達,遮断が繰り返される結果、該後輪が横滑りする現
象、処謂尻振り現象が発生し、安定した走行状態が得ら
れないことがある。
本願出願人等は、このような難点を解消する4輪駆動用
駆動連結装置を、特願昭63−140117号(特開平1−2506
25)において提案した。これは、前記油圧ポンプのケー
シング又はロータのいずれか一方に回転を拘束して摩擦
体を取付ける一方、これを、皿ばね,コイルばね等の適
宜の付勢手段により付勢して他方の一部に圧接せしめた
構成となっており、前記ケーシングとロータとの間に回
転速度差が生じていない場合においても、この摩擦体が
付与する摩擦力により、両者間、即ち前,後輪間に所定
量のトルク伝達がなされるようにしたものである。
〔考案が解決しようとする課題〕 さて、前記摩擦体は、前,後輪間に差回転がない場合に
は、ケーシング又はロータの一部に圧接されているのみ
であるが、差回転が生じた場合、これに対応する速度に
て前記ケーシング又はロータの一部に摺接することにな
る。ところが、前,後輪間に差回転がない状態は、両輪
共に滑りが生じていない理想的な直進定速走行時にのみ
生じ、実際の走行中にこのような状態が生じることは稀
であり、特に、積雪路,凍結路等の滑り易い路面上を走
行する場合、又は急カーブの多い山道を走行する場合に
おいては、前記差回転の大きい状態が継続的に生じる。
また、前記摩擦体は、その配設位置が前記ケーシング又
はロータの近傍に限定されるため、十分な摩擦面積を確
保することができない。従って、前記摩擦体には、高速
度での前記摺接に伴う温度上昇に耐えると共に、高温
度、例えば150℃を超える温度において、高い摩擦係
数、例えば100m-kgf/sec以上のPV値を維持すること
が要求され、使用可能な材料が必然的に限定される。現
状では、この摩擦体の材料として、例えば、エンジニア
リングプラスチックの一種であるポリ・エーテル・エー
テルケトン(以下PEEKと略記する)等の耐熱,耐磨耗性
に優れた合成樹脂が用いられている。
ところが、前記PEEK材に代表されるこの種の合成樹脂は
非常に高価な材料であり、これを前記摩擦体として用い
ることにより駆動連結装置全体のコストアップを招来す
るのみならず、この摩擦体は、これを付勢する前記皿ば
ね,コイルばね等の付勢手段との接触部において傷付け
られ易く、これが、ケーシング又はロータとの圧接部に
おける不完全な接触状態を招来し、該摩擦体を介しての
所定の伝達トルクが得られなくなる虞があった。
本考案は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、摩擦
体を介しての所定の伝達トルクが、長期間に亘って安定
的に得られると共に、該摩擦体のコストの低減を可能と
する4輪駆動用駆動連結装置を提供することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
本考案に係る4輪駆動用駆動連結装置は、前,後輪の一
方と連動回転するロータを他方と連動回転するケーシン
グ内に収納して油圧ポンプを構成すると共に、前記ロー
タとケーシングとの間に、一方に回転を拘束され、他方
の一部を摺接する摩擦体を配設してなり、前記油圧ポン
プ内部の発生油圧と、前記摩擦体にて付与される摩擦力
とにより前,後輪を連結する4輪駆動用駆動連結装置で
あって、前記摩擦体は、前記摺接側の面を構成する耐
熱,耐磨耗性に優れた合成樹脂製の薄肉の摩擦板と、こ
れを保持する他の材料製の保持体とを具備することを特
徴とする。
〔作用〕
本考案においては、ケーシングとロータとの間に所定の
摩擦力を付与する摩擦体として、PEEK材等、耐熱性及び
耐磨耗性に優れた合成樹脂製の薄肉の摩擦板を他の材料
製の保持部材に保持させたものを用い、前記摩擦板を摺
接側として、高温での高い摩擦係数を確保すると共に、
付勢手段には前記保持部材側を接触させ、摩擦体が傷付
けられることを防止し、更に、前記合成樹脂の使用量の
削減により、全体コストの低減を実現する。
〔実施例〕
以下本考案をその実施例を示す図面に基づいて詳述す
る。第1図は本考案に係る4輪駆動用駆動連結装置(以
下本案装置という)の縦断面図である。
図において1は、前,後輪の内、駆動源たるエンジンか
ら直接的に駆動力の伝達を受ける方と連動回転する入力
軸であり、また2は、他方と連動回転する出力軸であ
る。本案装置は、この入力軸1と出力軸2との間に介装
されたベーンポンプ3の発生圧力により、両軸の回転速
度差、即ち、前,後輪間に生じる回転速度差に応じて、
入力軸1から出力軸2へ、即ち、前,後輪の一方から他
方へ駆動力の伝達を行うものである。
ベーンポンプ3は、その周方向に略等配をなして形成さ
れた複数本の収納溝の夫々に、薄肉の矩形平板状をなす
ベーン30a,30a…を、半径方向への摺動自在に内挿して
なる短寸円筒状のロータ30と、該ロータ30を同軸的に収
納するカムリング31、これの両側に後述する如く固着さ
れるサイドプレート32,33、及び該サイドプレート32の
カムリング31と逆側に固着される押え部材34等を備えて
なるケーシングとを主たる構成要素とする。
カムリング31は、ロータ30の外径よりもやや大なる直径
の円に周方向に略等配をなして複数の凹所を形成してな
る空洞部をその軸心位置に備え、ロータ30と略同寸の軸
長寸法を有する偏肉筒形の部材である。また、サイドプ
レート32及び押え部材34は、カムリング31と略等しい外
径を有する薄肉の中抜き円板の一側に、短寸の小径円筒
部を同軸的に連設してなる部材であり、更に、サイドプ
レート33は、カムリング31よりもやや大きい外径を有す
る厚肉の中抜き円板状をなす部材である。サイドプレー
ト32,33は、図示の如く、カムリング31の両側を挾持す
る態様にて、これと同軸的に位置決めされ、サイドプレ
ート32の円筒部に外嵌させた前記押え部材34と共に、該
押え部材34,サイドプレート32の円板部及びカムリング
31をこの順に貫通し、サイドプレート33に形成された各
別のねじ孔に螺合する複数の固定ボルト35,35…により
一体的に結合されており、これらによりベーンポンプ3
のケーシングが構成されている。サイドプレート33の外
側面には、出力軸2の端部に形成された円板状の連結フ
ランジ20が、複数の固定ボルト21,21…により固定され
ており、前記ケーシングは、出力軸2の回転に応じてそ
の軸心回りに回転するようになっている。また、ケーシ
ングの外側には、サイドプレート33の外周及び押え部材
34の円筒部外周にその一部を外嵌せしめて、薄肉筒状を
なす囲繞部材36が装着され、ベーンポンプ3の作動油
は、該囲繞部材36とケーシングの外周面との間に環状を
なして形成された油タンクT内に封入されている。
ロータ30の回転軸であるロータ軸4は、サイドプレート
32の円筒部に内嵌固定された針状ころ軸受32aと、サイ
ドプレート33の中抜き部に内嵌固定された及び玉軸受33
aとにより、軸長方向2個所を支承されており、また、
サイドプレート32の円筒部内周に装着されたオイルシー
ル32bにてその外周を封止させ、サイドプレート32側に
適長突出させてある。前記ロータ30は、両軸受32a,33a
の支承位置間において、ロータ軸4にスプライン結合せ
しめてあり、カムリング31の内周面と、サイドプレート
32,33の側面とにより囲繞された空間に内挿されてい
る。ロータ軸4の前記突出端部には、円板状をなす連結
フランジ5が形成されており、この連結フランジ5は、
前記入力軸1の端部に形成された円板状の連結フランジ
10に、複数の固定ボルト11,11…により固着されてい
る。即ちロータ30は、ロータ軸4を介して入力軸1に同
軸的に連結されており、入力軸1の回転に連動してその
軸心回りに回転する。従って、該ロータ30と、前述した
如く出力軸2と連動回転するケーシングとの間には、入
力軸1と出力軸2との間、即ち前,後輪間の差回転に相
当する相対回転が生じることになる。
このようにケーシングに内挿されたロータ30の外周面
と、カムリング31の空洞部の内周面との間には、前記凹
所の形成位置に、前記両面とサイドプレート32,33の側
面とにて囲繞された空間(ポンプ室)が形成され、夫々
のポンプ室には、ロータ30の回転方向両側に夫々位置し
て、サイドプレート32側に開口する各一対の吸込口40,4
0と、サイドプレート33側に開口する各一対の吐出口41,
41とが形成されている。各吸込口40は、これらの形成位
置に対応させてサイドプレート32の円板部に固設され、
ポンプ室への流入のみを許容する各別の吸込チェック弁
42、及びこれらの配設位置に夫々対応させて、押え部材
34の円板部を厚さ方向に貫通して形成された各別の吸込
油路44により、油タンクTに連通させてあり、また各吐
出口41は、図示の如く半径方向内側に折り返す態様に
て、サイドプレート33に形成された各別の吐出油路45、
及びこれらの中途に固着され、前記ポンプ室からの流出
のみを許容する各別の吐出チェック弁46を介して、ベー
ン30a,30a…夫々の収納溝の底部を相互に連通する態様
にてロータ30の側面に形成された環状溝に連通させてあ
る。また、サイドプレート33の中抜き部ロータ軸4との
間の環状空間は、サイドプレート33を半径方向に貫通す
る連通孔48により、油タンクTに連通させてある。
以上の如き構成のベーンポンプ3において、入力軸1と
出力軸2との間に差回転が生じた場合、この差回転に相
当する速度での相対回転がケーシングとロータ30との間
に生じる。ロータ30の各ベーン30a,30a…には、夫々の
収納溝の底部との間に介装された各一対のコイルばね30
b,30b…と、該底部に後述の如く導入される圧油とによ
り、半径方向外向きの付勢力が加えられており、これら
のベーン30a,30a…は、その先端をカムリング31の内周
面に押付けた状態で、各別の収納溝に沿って進退動作し
つつ、ロータ30の前記相対回転に伴って回転する。従っ
て、油タンクT内の作動油は、吸込油路44及び吸込チェ
ック弁42を経て、前記相対回転方向上流側に開口する吸
込口40から前記ポンプ室内部に導入され、互いに相隣す
る2枚のベーン30a,30a間に封止された状態で、ロータ3
0の前記相対回転に応じて回転せしめられて昇圧する。
昇圧された油は、相対回転方向下流側に開口する吐出孔
41から吐出油路45内に送出され、吐出チェック弁46を経
て、ロータ30の前記収納溝底部に導入され、ベーン30a,
30a…を前述の如く付勢すると共に、ロータ30の両側面
とサイドプレート32,33の側面との間のわずかな間隙を
通過して、サイドプレート32,33の中抜き部内に漏れ出
し、針状ころ軸受32aと玉軸受33aの潤滑作用をなした
後、連通路48を経て油タンクTに還流する。前記各ベー
ン30a,30a…には、これらの先端近傍に、これを表裏に
貫通する極小径の絞り孔30cが形成されており、相隣す
るベーン30a,30a間に封止されて回転する油は、この絞
り孔30cを通過して、高圧側(相対回転方向下流側)か
ら低圧側に漏出すようになしてある。而して、各ポンプ
室内部には、この絞り孔30cにおける通流抵抗と、ロー
タ30の両側面とサイドプレート32,33の側面との間の間
隙における通流抵抗に抗して油圧が発生し、この油圧が
両者間に、前記相対回転を抑止する方向に作用するか
ら、ロータ30からケーシングへ、即ち、入力軸1から出
力軸2へこの油圧に応じたトルク伝達がなされて4輪駆
動状態が実現される。
ベーンポンプ3におけるこのような油圧発生の過程にお
いて、油タンクT内に封入された作動油は循環使用され
る一方、回転重量の増大を避けるため、油タンクTの内
容積は限定されるから、走行中における作動油の温度上
昇は避けられない。また、油タンクT内の作動油は、薄
肉の囲繞部材36を介して外気に接触しており、外気温の
高低に応じて温度が変化し、寒冷地における非走行中に
は相当の低温となる。このような温度変化により、作動
油の体積が変化するから、高温時には外部への作動油の
漏出しが、また低温時には油タンクT内への外気の侵入
が生じる。これらの難点の解消のため、ロータ軸4の突
出端部側に体積変化吸収部6が構成されている。
この体積変化吸収部6は、本願出願人等による特願昭63
−77895号におけるものと同様の構成を有するものであ
り、その構成を以下に簡単に説明する。ロータ軸4の突
出端部側には、所定長さに亘る拡径部が設けてあり、該
拡径部の内側に、連結フランジ5の固着面に開口する円
形断面のピストン室60が形成されている。このピストン
室61は、ロータ軸4の軸心位置にこれを軸長方向に貫通
して形成された導油孔61により、サイドプレート33の中
抜き部に連通されている。また62は、円板部とこれに同
軸的に連設された小径の円筒部とからなるピストン部材
であり、これは、前記円筒部を導油孔61に、またその円
板部を周面に巻着された封止部材を介してピストン室60
に夫々内嵌させ、軸長方向への摺動自在となっている。
このピストン部材62は、ピストン室60の開口部側に内嵌
固定された支え板63との間に介装された押しばね64によ
り、図の右方向に付勢されている。
導油孔61の開口端であるサイドプレート33の中抜き部
は、連通孔48を介して油タンクTに連通され、油タンク
T内部と略同一圧力に維持されており、前記ピストン部
材62は、導油孔61を介して作用するこの圧力により、押
しばね64による付勢力と逆方向に押圧される。油タンク
Tに封入される作動油には若干の予圧が与えられてお
り、ピストン部材62は、この予圧により押しばね64の付
勢力に抗して図の左方向に所定量移動した状態となって
いる。そして、外気温の低下により作動油の温度が低下
した場合、これに伴う作動油の体積減少に応じて油タン
クT内の圧力が低下する結果、ピストン部材62は、押し
ばね64の付勢力により図の右方向に移動し、前記体積減
少分をこの移動により吸収する。逆に、外気温の上昇又
はベーンポンプ3の動作に伴い作動油の温度が上昇した
場合、これに伴う作動油の膨脹に応じて油タンクT内の
圧力が増大する結果、ピストン部材62は、押しばね64の
付勢力に抗して図の左方向に移動し、体積の膨脹分をこ
の移動により吸収する。このような体積変化吸収部6の
動作により、温度変化に伴う作動油の体積変化が吸収さ
れ、油タンクT内の圧力は略一定に維持されるから、作
動油の外部への漏出し及び外気の侵入が生じることはな
い。
また、ベーンポンプ3における油圧の発生過程におい
て、入力軸1と出力軸2との間に回転速度差が生じてい
ない場合、前者と連動回転するロータ30と後者と連動回
転するケーシングとの間には相対回転が生じず、前記ポ
ンプ室内の油は、ロータ30及びケーシングの回転に伴っ
て回転するのみであり、油圧の発生はなく、入力軸1か
ら出力軸2への駆動力の伝達は行われない。これによ
り、出力軸2から従動側の車輪へ連なる伝動系において
歯車の歯打ち音が発生し、これが快適性の阻害及び故障
発生の誤認を招来する等の難点が生じることは前述した
如くである。この難点の解消のため、押え部材34の円筒
部の内側に摩擦力付与部7が構成されている。
第2図はこの摩擦力付与部7の構成を示す第1図の要部
拡大図である。摩擦力付与部7は、ベーンポンプ3のロ
ータ30又はケーシングのいずれか一方に回転を拘束され
た摩擦体を、適宜の付勢手段により他方の一部に押付
け、該摩擦体を介して両者間に付与される摩擦力によ
り、両者間の相対回転が生じていない場合に、入力軸2
への所定のトルクを伝達するものである。本案装置にお
いては、前記摩擦体は、PEEK材等の耐熱,耐磨耗性に優
れた合成樹脂製の薄肉の摩擦板70と、これを保持する保
持体71とから構成されており、前記付勢手段として複数
枚の皿ばね72,72…が用いられている。
押え部材34の円筒部には、その端部から適長に亘って、
内周側を大径に加工してなる大径部37が設けてあり、前
記皿ばね72,72…は、大径部37の内周と、押え部材34の
円筒部に内嵌されたサイドプレート32の円筒部外周面と
の間に形成される環状空間内に、厚さ方向に積層されて
収納されている。
第3図は、第2図のIII−III線側から見た摩擦板70の平
面図であり、第4図は、同じく保持体71の平面図であ
る。摩擦板70は、薄肉の中抜き円板状をなす部材であ
り、その一面の内周側には、矩形の係合突起70a複数個
(本実施例においては4個)が、周方向に等配をなし
て、軸長方向に突設されている。また保持体71は、摩擦
板70と略等しい内,外径を有する中抜き円板状の部材で
あり、これの内周側には、前記係合突起70a,70a…と同
数であり、これらと整合する形状の係合溝71a,71a…が
周方向に等配をなして形成され、またその外周側には、
矩形の係合突起71b,71b…複数個(本実施例においては
4個)が、周方向に等配をなし、半径方向外向きに突設
されている。この保持体71と摩擦板70とは、厚さ方向に
積層され、後者の係合突起70a,70a…を前者の係合溝71
a,71a…に係合せしめることにより、第2図に示す如く
一体化されており、これらは、保持体71を内側として前
記大径部37に内嵌され、該大径部37の内周面に形成され
た係合溝37a,37a…に、保持部材71の係合突起71b,71b…
を係合させることにより、押え部材34に回転を拘束され
た状態で取付けられている。大径部37内には、前述した
如く皿ばね72,72…が収納されており、このように取付
けられた摩擦板70と保持体71とは、これらの皿ばね72,7
2…により保持体71側を押圧され、大径部37の開口側に
向けて付勢される。大径部37内には、その開口側から、
ロータ軸4の前記拡径部が所定長遊嵌させてあり、皿ば
ね72,72…にて保持部材71を介して付勢された摩擦板70
は、その一面を、前記拡径部の側面に押付けられてい
る。
以上の構成により、摩擦板70と保持体71とからなる摩擦
体は、係合突起71bと係合溝37aとの係合により、ケーシ
ングの一部をなす押え部材34に回転を拘束され、皿ばね
72,72…の付勢力により、ロータ30の回転軸であるロー
タ軸4の一部に押付けられているから、入力軸1と出力
軸2との間に回転速度差がなく、ケーシングとロータ30
との間に相対回転が生じていない場合においても、摩擦
板70とロータ軸4との圧接部に作用する静止摩擦力によ
り、ロータ30側からケーシング側へ、換言すれば入力軸
1から出力軸2へ所定のトルクが伝達され、前述の難点
が解消される。また、前記相対回転が生じている場合に
は、ベーンポンプ3内部に発生する油圧と、摩擦板70と
ロータ軸4との摺接により生じる摩擦力とによりトルク
伝達がなされるが、摩擦板70が前記摺接により高温とな
った場合においても、該摩擦板70はPEEK材等の耐熱,耐
磨耗性に優れた合成樹脂製であるから、摺接面における
高い摩擦係数が維持される。また、付勢手段たる皿ばね
72には、前記摩擦板70ではなく、これに一体化させた保
持体71が接触させてあるから、この接触部が傷付き、こ
れに起因して、前記摺接部に接触不良状態が生じる虞が
少ない。保持体71の構成材料は、皿ばね72との接触に耐
える硬度を有する材料であればいかなる材料であっても
よく、該保持体71を廉価な鋼製とすることにより、従来
に比較して大幅に廉価な摩擦体が構成できる。摩擦板70
の材料としては、150℃を超える温度において100m-kgf
/sec以上のPV値が得られるものであればよく、前述
のPEEK材の他に、例えば、表面にC-Cコンポジットを施
してあるポリイミド樹脂等が使用可能である。
なお摩擦力付与部7は、本実施例に示す位置に限らず、
ロータ30の一部とケーシングの一部が対向する部分であ
ればいかなる位置に配設してもよく、例えば、ロータ軸
4の出力軸2側の端部に配設すること、またロータ30の
側面とサイドプレート32の側面との間に配設することも
可能である。但し、本実施例に示すものと比較した場
合、前者は、配設空間が小さく、所定の伝達トルクを得
るための十分な摩擦面積を摩擦板70に実現することが難
しく、また後者の場合、摩擦板70と保持体71とからなる
摩擦体がケーシングの中心部に位置するため、組立て及
び調整が困難である。
また、本実施例においては、前記摩擦体の回転をケーシ
ング側に拘束させてあるが、これをロータ30側、即ちロ
ータ軸4側に拘束して取付け、ケーシング側、例えば、
前記押え部材34の一部に摺接せしめる構成としてもよい
ことは言うまでもない。
更に本実施例においては、トルク伝達のための油圧を発
生する油圧ポンプとしてベーンポンプ3を用いている
が、トロコイドポンプ,ギヤポンプ等の他の油圧ポンプ
を用いてもよく、この場合においても本考案は適用可能
であり、同様の効果が得られる。
〔効果〕
以上詳述した如く本案装置においては、前,後輪間の回
転速度差に応じてその内部に発生する油圧により駆動力
を伝達する油圧ポンプのケーシングとロータとの間に、
一方に回転を拘束され、他方に摺接させて配設され、前
記回転速度差が生じていない場合に、ケーシングとロー
タとの間に所定トルクを伝達する摩擦体が、摺接面側の
耐熱,耐磨耗性に優れた合成樹脂製の摩擦板と、これを
保持する保持体とを具備しているから、摩擦体を付勢す
る付勢手段に前記保持体側を接触させることにより、こ
の接触部において摩擦体が傷付けられる虞が少なくな
り、これに起因する摺接不良状態の発生が効果的に防止
される上、摺接部における高温での高い摩擦係数はその
まま維持され、前記摩擦体により付与される摩擦力によ
り、所定のトルクを安定的に伝達でき、また、例えばPE
EK材等の高価な前記樹脂材の使用量が削減される結果、
全体コストの引き下げが可能となる等、本考案は優れた
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本案装置の縦断面図、第2図は摩擦力付与部の
構成を示す第1図の要部拡大図、第3図は第2図III−I
II線側からの摩擦板の平面図、第4図は同じく保持体の
平面図である。 1……入力軸、2……出力軸、3……ベーンポンプ、4
……ロータ軸、6……体積変化吸収部、7……摩擦力付
与部、30……ロータ、31……カムリング、32,33……サ
イドプレート、37……大径部、37a……係合溝、70……
摩擦板、71……保持体、70a,71b……係合突起、71a……
係合溝、72……皿ばね

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】前,後輪の一方と連動回転するロータを他
    方と連動回転するケーシング内に収納して油圧ポンプを
    構成すると共に、前記ロータとケーシングとの間に、一
    方に回転を拘束され、他方の一部に摺接する摩擦体を配
    設してなり、前記油圧ポンプ内部の発生油圧と、前記摩
    擦体にて付与される摩擦力とにより前,後輪を連結する
    4輪駆動用駆動連結装置であって、 前記摩擦体は、前記摺接側の面を構成する耐熱,耐磨耗
    性に優れた合成樹脂製の薄肉の摩擦板と、 これを保持する他の材料製の保持体と を具備することを特徴とする4輪駆動用駆動連結装置。
JP14335588U 1988-10-31 1988-10-31 4輪駆動用駆動連結装置 Expired - Lifetime JPH0629543Y2 (ja)

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