JP2012002266A - ポンプモータ及び車両用駆動力配分装置 - Google Patents

ポンプモータ及び車両用駆動力配分装置 Download PDF

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崇 松本
Takaya Nagahama
貴也 長濱
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Abstract

【課題】高温時におけるモータ駆動力又は吐出圧力の低下を抑制することができるポンプモータ及び車両用駆動力配分装置を提供する。
【解決手段】リヤアクスルシャフトに相対回転不能に連結されるロータ8と、ロータ8の外周面との間に作動油室11を形成するためのカムリング8、及びカムリング8を介して互いに対向する一対のサイドプレート10を有し、プロペラシャフトに相対回転不能に連結されるケーシング115とを備え、ケーシング115は、作動油室11を区画する複数のベーン9を内蔵し、サイドプレート10のロータ側端面とロータ8及びベーン9のサイドプレート側端面との間に温度上昇に伴い狭くなる空隙Gが形成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両の左右車輪に駆動トルクを配分する場合に使用して好適なポンプモータ及び車両用駆動力配分装置に関する。
従来、車両に搭載された動力伝達装置としては、左右輪の駆動トルクを補助(アシスト)するために油圧式のポンプモータを装備した油圧式駆動力アシスト装置がある。
この油圧式駆動力アシスト装置は、左右輪のそれぞれにポンプモータを組み付けるとともに、これらポンプモータのそれぞれにアキュムレータを接続している。一方のポンプモータをモータ状態に制御して、このポンプモータにアキュムレータに蓄圧された作動油を供給することで一方の車輪に駆動力が付与される。また、他方のポンプモータをポンプ状態に制御して、このポンプモータからアキュムレータに作動油を供給することで他方の車輪に回生制動力が付与される。このような構成の装置は、車両のヨーモーメントを制御するとされている。
ところで、この種の油圧式駆動力アシスト装置に用いられるポンプモータには、例えば前輪側の入力軸に相対回転不能に連結されたケーシングと、後輪側の出力軸に相対回転不能に連結されたロータと、このロータと共に回転する複数のベーンとからなるベーンポンプモータが知られている(特許文献1参照)。
このようなポンプモータにおいては、ケーシングが入力軸に、またロータが出力軸にそれぞれ連動して回転する。
ケーシングは、カムリング及び一対のサイドプレートを有し、ロータの周囲に配置されている。そして、ケーシングは、カムリングがロータと共に作動油を内封するポンプ室を形成するように構成されている。
ロータは、出力軸の軸線上に配置され、かつケーシング内に収容されている。ロータには、円周方向に並列する複数のベーン収容溝が設けられている。
複数のベーンは、複数のベーン収容溝にロータの径方向に進退可能に配置されている。そして、複数のベーンは、ポンプ室を2つの作動油室に区画して形成するように構成されている。
実開平5−25035号公報
しかしながら、特許文献1に示すポンプモータでは、高温によって作動油の粘性が低下すると、互いに隣り合う2つのモータエレメント間(サイドプレートとロータとの間)のクリアランスから作動油の洩れ量が増加し、モータ駆動力が減少するという問題がある。
一方、作動油の洩れ量を低減するために、上記両モータエレメント間のクリアランスを狭くすると、両モータエレメント間に発生する摩擦力が増大し、各モータエレメントに焼き付きが発生するという問題がある。
従って、本発明の目的は、高温時におけるモータ駆動力又は吐出圧力の低下を抑制することができるポンプモータ及び車両用駆動力配分装置を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、(1)〜(4)のポンプモータ及び車両用駆動力配分装置を提供する。
(1)第1の軸に相対回転不能に連結されるロータと、前記ロータの外周面との間にポンプ室を形成するためのカムリング、及び前記カムリングを介して互いに対向する一対のサイドプレートを有し、第2の軸に相対回転不能に連結されるケーシングとを備え、前記ケーシングは、前記ポンプ室を区画する複数のベーンを内蔵し、前記サイドプレートのロータ側端面と前記ロータ及び前記ベーンのサイドプレート側端面との間に温度上昇に伴い狭くなる空隙が形成されているポンプモータ。
(2)上記(1)に記載のポンプモータにおいて、前記ケーシングは、前記一対のサイドプレートのうち少なくとも一方のサイドプレートの内面に前記カムリング及び前記ロータの線膨張係数よりも大きい線膨張係数をもつ材料からなる空隙可変部材が配置されている。
(3)上記(1)に記載のポンプモータにおいて、前記ケーシングは、前記カムリングが前記ロータの線膨張係数よりも小さい線膨張係数をもつ材料によって形成されている。
(4)モータ駆動力を出力するためのポンプモータを備えた車両用駆動力配分装置において、前記ポンプモータは、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載のポンプモータである車両用駆動力配分装置。
本発明によると、高温時におけるモータ駆動力又は吐出圧力の低下を抑制することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る車両用駆動力配分装置が適用された四輪駆動車の駆動力伝達系の概略を説明するために示す平面図。 本発明の第1の実施の形態に係るポンプモータが適用された車両用駆動力配分装置を説明するために示す断面図。 本発明の第1の実施の形態に係る車両用駆動力配分装置の油圧回路を説明するために示す回路図。 本発明の第1の実施の形態に係るポンプモータの要部を示す断面図。 本発明の第2の実施の形態に係るポンプモータの要部を示す断面図。
[第1の実施の形態]
(動力伝達系の全体構成)
図1は四輪駆動車の概略を示す。図1に示すように、四輪駆動車101は、駆動源としてのエンジン102と、エンジン102の出力を一対のフロントアクスルシャフト104及びプロペラシャフト(第2の軸)106に分配するトランスミッション103と、一対のフロントアクスルシャフト104のそれぞれに連結された左右一対の前輪105と、プロペラシャフト106に伝達されたトルクを一対のリヤアクスルシャフト(第1の軸)107に分配する駆動力配分装置をモータ2及び電磁切換弁3と共に構成するリヤディファレンシャル108と、一対のリヤアクスルシャフト107のそれぞれに連結された左右一対の後輪109とを備えている。
また、四輪駆動車101は、油圧源となる可変容量型ポンプ1と、可変容量型ポンプ1の吐出圧を調節するためのアクチュエータとしてのモータ2と、可変容量型ポンプ1からの油圧の流れを切り換える電磁切換弁3とを備えている。可変容量型ポンプ1は、プロペラシャフト106と同一の軸線上に配置され、プロペラシャフト106の回転によって油圧を発生させる。
四輪駆動車101には、モータ2や電磁切換弁3を走行状態や走行路面状態に応じて制御するコントローラ110が搭載されている。コントローラ110は、例えば左右の前輪105及び左右の後輪109の回転速度やアクセル開度等の各種の情報に基づいて駆動力配分装置に電流を供給し、左右の後輪109へのトルク伝達を制御する。
(車両用駆動力配分装置の構成)
図2はリヤディファレンシャル108の内部構造を示す。図2に示すように、リヤディファレンシャル108は、車体(図示せず)に固定されたディファレンシャルキャリア(リヤデフケース)108aを有している。リヤデフケース108a内には、左右の後輪109への駆動力配分調整を行うポンプモータ(油圧モータ)である左右一対のベーンモータ4と、これら各ベーンモータ4の回転をそれぞれ減速する減速装置40とが収容されている。左側のベーンモータ4及び減速装置40と右側のベーンモータ4及び減速装置40とは、これらをそれぞれ独立して駆動することが可能である。
次に、ベーンモータ4及び減速装置40について説明する。ベーンモータ4及び減速装置40は、左右で構成等が略同一であるため、一方(右の後輪側)のベーンモータ4及び減速装置40のみについて説明し、他方(左の後輪側)のベーンモータ4及び減速装置40の構成等についての説明は省略する。
(減速装置40の構成)
減速装置40は、リヤアクスルシャフト107の軸線上であって、ベーンモータ4における左右の後輪側に配置されている。ベーンモータ4の作動時には、リヤディファレンシャル108に対してベーンモータ4を高速低トルク回転とし、減速装置40を介して左右の後輪109の回転を低速高トルクの回転とすることで、効率を高く維持してベーンモータ4を作動することが可能となる。
この減速装置40は、それ自体は周知の構成であり、図2に示すように、太陽ギヤ41,複数の遊星ギヤ42,キャリア43及びリングギヤ44を有する遊星歯車機構から主として構成されている。
太陽ギヤ41は、ロータ8と後輪109との間に配置され、かつロータ軸8Aに相対回転不能に支持されている。そして、太陽ギヤ41は、ベーンモータ4のロータ8と共に回転するように構成されている。
複数の遊星ギヤ42は、それぞれが一方側端部に軸部(図示せず)を有し、これら軸部がキャリア43に回転可能に支持されている。そして、複数の遊星ギヤ42は、太陽ギヤ41及びリングギヤ44に噛合し、リヤアクスルシャフト107の外周囲で自転かつ公転するように構成されている。
キャリア43は、その中心部に等速ジョイント機構(図示せず)を介してリヤアクスルシャフト107が連結されている。
リングギヤ44は、リヤアクスルシャフト107の外周囲に配置され、リヤデフケース108aに回転不能に配置されている。
これにより、ベーンモータ4のロータ8に入力された駆動力は、太陽ギヤ41を介して遊星ギヤ42に伝達される。遊星ギヤ42は自転しながら、太陽ギヤ41の外周囲を公転する。遊星ギヤ42の駆動力は、遊星ギヤ42の軸部を介してキャリア43に伝達され、キャリア43を回転させる。キャリア43から出力された駆動力は、等速ジョイント機構及びリヤアクスルシャフト107を介して左右の後輪109に伝達される。
このように、減速装置40の太陽ギヤ41に入力された駆動力は減速され、リヤアクスルシャフト107から出力される。これにより、左右の後輪109の回転は低速高トルクの回転となる。
(油圧回路)
図3はリヤディファレンシャルのポンプモータ及び油圧回路を示す。図3に示すように、符号21aは左のベーンモータ駆動用回路であり、符号21bは右のベーンモータ駆動用回路である。これらベーンモータ駆動用回路21a,21bにより、左右ベーンモータ4の間で作動油を給排出するためのパッシブ制御用の油圧回路である第1の油圧回路21、及び可変容量型ポンプ1及び電磁切換弁3を介してリザーバタンク6及び左右のベーンモータ4との間で作動油の給排出を制御するためのアクティブ制御用の油圧回路である第2の油圧回路22が構成されている。
左のベーンモータ駆動用回路21aと右のベーンモータ駆動用回路21bとは同様の構成となっている。このため、左ベーンモータ駆動用回路21aのみについて説明し、右ベーンモータ駆動用回路21bについての説明は省略する。なお、図3の右ベーンモータ駆動用回路21bにおいて、左ベーンモータ駆動用回路21aと同一の部材については同一の符号を付す。
カムリング7とロータ8とが相対回転することにより、ベーン9が作動油室11内をロータ軸8Aの回転方向に沿って移動すると、作動油室11内における第1の油室11a及び第2の油室11bの容積が可変する。図示例にあっては、ベーン9お移動方向下流側の油室では作動油が加圧されるので、第1の油室11a又は第2の油室11bが高圧の吐出室となり、ベーン9の移動方向上流側の油室では作動油が減圧されるので、第2bの油室11b又は第1の油室11aが低圧の吸入室となるように構成されている。
ベーンモータ4には、作動油を第1の油室11aへ供給する方向への流れを許容する第1の油路24と、作動油を第2の油室11bへ供給する方向への流れを許容する第2の油路25と、作動油を油圧室12へ供給する方向への流れを許容する第3の油路26及び第4の油路27とがそれぞれ接続されている。
第1の油路24にはチェック弁28が、また第2の油路25にはチェック弁29がそれぞれ配置されている。チェック弁28,29は、リザーバタンク6から作動油室11へ向かう流れを許容し、作動油室11からリザーバタンク6へ向かう流れを阻止する。
第3の油路26にはチェック弁30が、また第4の油路27にはチェック弁31がそれぞれ配置されている。チェック弁30,31は、リザーバタンク6から油圧室12に向かう流れを許容し、油圧室12からリザーバタンク6に向かう流れを阻止する。
第1の油圧回路21と第2の油圧回路22とは互いに連通している。第3の油路26には第1の可変絞り32が、また第4の油路27には第2の可変絞り33がそれぞれ配置されている。左右のベーンモータ4の油圧室12間は、第1の可変絞り32に応じて左右の圧力差が維持される。左右のベーンモータ4の作動油室11間は、第2の可変絞り33に応じて左右の圧力差が維持され、この圧力差分だけ左右の差動が制限される。
ベーンモータ4の第1の油室11aと第2の油室11bとの間には、電磁開閉弁としての可変レリーフ弁34を介してバイパス回路35が配置されている。第1の油路24には、モータ2により油圧調節される可変容量型ポンプ1の吐出口が一対のベーンモータ4のいずれかに選択的に接続する電磁切換弁3を介して接続されている。可変容量型ポンプ1の吸入口は、可変容量型ポンプ1へ作動油を供給する方向への流れを許容するチェック弁36を介してリザーバタンク6に、また電磁切換弁3の戻り油路37にそれぞれ接続されている。
以上のように構成された油圧回路は、車両直進時においては左右のベーンモータ4から油圧により左右の後輪109を駆動するとともに、車両旋回時においては旋回内輪側のベーンモータ4から旋回外輪側のベーンモータ4へ油圧を供給することで左右の後輪109を駆動するパッシブ制御と、リザーバタンク6から旋回外輪側ベーンモータ4へ油圧を供給して左右の後輪109を駆動するアクティブ制御との2つの制御機能を有し、左右のベーンモータ4の出力トルクを制御する。
(ベーンモータ4の構成)
図4はベーンモータを示す。ベーンモータ4は、図4に示すように、そのハウジング5が左右のリヤアクスルシャフト107の軸線上に配置され、かつリヤデフケース108a内にベアリング111を介して回転可能に支持されている。そして、ベーンモータ4は、リヤアクスルシャフト107にモータ駆動力を出力するように構成されている。ハウジング5の外周囲には、ドライブピニオン106aに噛合するリングギヤ112が配置されている。ドライブピニオン106aは、プロペラシャフト106の後端部(図2では下端部)に配置されている。
ハウジング5は、リヤデフケース108aとの間に形成された空間によってリザーバタンク6を形成するように構成されている。リザーバタンク6には作動油が内封されている。作動油は、ベアリング111及び減速装置40等を潤滑状態に保つための潤滑油として兼用される。
ハウジング5内には、リヤアクスルシャフト107の軸線を中心軸線としてケーシング115及びロータ8が同心円状に、また複数のベーン9が放射状にそれぞれ収容されている。
ケーシング115は、カムリング7及び一対のサイドプレート10を有し、プロペラシャフト106にドライブピニオン106a,リングギヤ112及びハウジング5を介して相対回転不能に連結され、かつロータ8のロータ軸8Aにベアリング111を介して相対回転可能に支持されている。そして、ケーシング115は、サイドプレート10のロータ側端面とロータ8及びベーン9のサイドプレート側端面との間に温度上昇に伴い狭くなる空隙Gを形成するように構成されている。
カムリング7はロータ8のロータ軸8Aの外周囲に配置されている。カムリング7には、円周方向に等間隔をもって並列する複数(図3では4個)の凹部7a、及びこれら凹部7aのうち互いに隣り合う2つの凹部間に介在する複数(図3では4個)の凸部7bが設けられている。
凹部7aは、ロータ8の外周面との間にポンプ室としての作動油室11が形成されている。凸部7bは、ロータ8の外周面との間に油膜(図示せず)が形成されている。
一対のサイドプレート10は、カムリング7を介して互いに対向し、かつロータ軸8Aの軸線方向に互いに並列して配置されている。一対のサイドプレート10には、ロータ8側に開口する環状の油圧室12が設けられている。
ケーシング115内には、カムリング7の内周側で作動油室11を区画する複数(図3では15個)のベーン9、及びロータ8の軸線方向片側端面との間のクリアランス(空隙)を温度変化による変形によって可変する空隙可変部材116が配置されている。
ロータ8は、複数のベーン9を摺動可能に収容する貫通孔からなるベーン収容溝8aを有し、ロータ軸8Aの外周面に相対回転不能にセレーション嵌合によって連結されている。ロータ8の材料としては、例えばロータ8の材料と同一の浸炭鋼が用いられる。
複数のベーン9は、カムリング7の内周面とロータ8の外周面との間に配置され、かつロータ8のベーン収容溝8aに摺動可能に保持されている。そして、複数のベーン9は、ベーン押付部材117によってカムリング7の内周面に押し付けられている。ベーン9の材料としては、ロータ8の材料と同一の浸炭鋼が用いられる。
空隙可変部材116は、サイドプレート側に取付面116aを有し、その反取付面(取付面116aと反対側の面)116bがカムリング7の片側開口端面及びロータ8の軸線方向片側端面に対向してロータ軸8Aの外周囲に配置されている。また、空隙可変部材116は、その取付面116aが一対のサイドプレート10のうち一方のサイドプレート(後輪側のサイドプレートに対向するサイドプレート)の内面に取り付けられている。空隙可変部材116の材料としては、カムリング7,ロータ8及びベーン9に用いられる材料の線膨張係数(例えばSCM420の線膨張係数:1.2×10−5/℃)よりも大きい線膨張係数をもつ例えばポリアミド樹脂(線膨張係数:1.0×10−4/℃)が用いられる。
これにより、モータ自体又は作動油が温度上昇すると、空隙可変部材116及びベーンモータ4の各モータエレメントが熱膨張し、空隙可変部材116の反取付面116bとロータ8の軸線方向片側端面との間の空隙Gが狭くなる。
このことは、例えば作動油室11内の作動油の温度が40℃でカムリング7の軸線方向寸法aをa=36.04mmとするとともに、ロータ8の軸線方向寸法bをb=30mmとし、かつ空隙可変部材116の軸線方向寸法cをc=6mmとし、また空隙可変部材116のロータ側端面とロータ8のサイドプレート側端面との間(モータエレメント間)の軸線方向空隙GをG=0.02mmとするベーンモータ4において、作動油の温度を80℃に上昇させて軸線方向空隙gを測定することにより確認された。
上記測定において、カムリング7の軸線方向寸法(a+δa),ロータ8の軸線方向寸法(b+δb)及び空隙可変部材116の軸線方向寸法(c+δc)はそれぞれa+δa=36.0573mm,b+δb=30.0144mm及びc+δc=6.024mmとなり、またモータエレメント間の軸線方向空隙g=G−δGはg=0.0094mmとなる結果が得られた。作動油の温度が80℃である場合の軸線方向空隙gは、作動油の温度が40℃である場合の軸線方向空隙Gと比べて約53%縮小したことになる。
なお、従来のベーンモータ(空隙可変部材116を有しないベーンモータ)においては、作動油室内の作動油の温度が40℃でカムリング(SCM420)の軸線方向寸法aをa=30.04mmとするとともに、ロータ(SCM420)の軸線方向寸法bをb=30mmとし、またサイドプレートのロータ側端面とロータのサイドプレート側端面との間(モータエレメント間)の軸線方向空隙GをG=0.02mmとするベーンモータにおいて、作動油の温度を80℃に上昇させて軸線方向空隙gを測定したところ、カムリング7の軸線方向寸法(a+δa)及びロータ8の軸線方向寸法(b+δb)はそれぞれa+δa=30.0544mm及びb+δb=30.0144mmとなり、またモータエレメント間の軸線方向空隙g=G−δGはg=0.02001mmとなる結果が得られた。作動油の温度が80℃である場合の軸線方向空隙gは、作動油の温度が40℃である場合の軸線方向空隙Gと比べて殆ど縮小しないことが確認された。
従って、本実施の形態においては、高温によって作動油の粘性が低下しても、従来のようにはモータエレメント同士間の空隙から作動油が洩れず、作動油の漏れ量を低減することができる。
また、本実施の形態において、作動油の洩れ量を低減できることは、従来のようにはモータエレメント同士(空隙可変部材116及びロータ8)間に摩擦力が発生することがない。
(直進加速走行)
エンジン102からプロペラシャフト106に伝達されたトルクは、図1及び図2に示すように、ドライブピニオン106aに入力される。ドライブピニオン106aに入力された駆動力は、リングギヤ112を介して左右のベーンモータ4に入力される。左右のベーンモータ4の高速低トルクの回転は、減速装置40によって減速される。左右のベーンモータ4から減速装置40を介して分配された低速高トルクの回転が、左右のリヤアクスルシャフト107を介して左右の後輪109に伝達する。左右の後輪109には図3に示す矢印A方向に駆動トルクが発生する。
四輪駆動車101が直進加速走行する状態又は直進定速走行する状態においては、左右の後輪109にスリップが発生しない場合、左右のベーンモータ4の第1の油室11a及び第2の油室11bの油圧がバランスを保ち、左右のカムリング7の回転数と左右のロータ8の回転数とが一致するように、すなわちカムリング7とロータ8とが相対回転しないように、作動油が作動油室11及び油圧室12に閉じ込められた状態となる。換言すれば、左右のカムリング7と左右のロータ8とが同じ回転速度で回転しているときには、左右のベーンモータ4内に作動油が吐出又は吸入されず、従って左右のカムリング7と左右のロータ8とが相対回転しないので、左右のベーンモータ4の作動は停止したままの状態となる。
四輪駆動車101が減速走行する状態にあっても、左右の後輪109に回転数差が発生しない場合、左右のカムリング7の回転数と左右のロータ8の回転数とが一致しており、作動油が作動油室11及び油圧室12に閉じ込められた状態となる。その結果、左右のベーンモータ4内に作動油が吐出又は吸入されず、従って左右のカムリング7と左右のロータ8との相対回転が許容されないので、左右のベーンモータ4の作動は停止している。
(旋回走行)
四輪駆動車101が、例えば右旋回走行する状態においては、左の後輪(旋回外輪)109の旋回半径は、右の後輪(旋回内輪)109よりも大きいため、左右のベーンモータ4の回転速度差は異なる。この場合、旋回内輪109の抵抗が大きくなることから、可変絞り32,33などによる差動作用により駆動方向の力が発生する。その結果、左のベーンモータ4では、プロペラシャフト106から伝達される駆動トルクに、右のベーンモータ4から伝達される油圧に基づく駆動トルクが加わり、旋回内輪109の駆動トルクが減少した分だけ旋回外輪109に伝達される駆動トルクを増大させることができる。このようなパッシブ制御により、車両の旋回安定性及び操縦性を向上させることが可能になる。
(アクティブ制御)
四輪駆動車101の左右の後輪109に伝達される駆動トルクの配分を増大させるアクティブ制御を実行することができる。四輪駆動車101が例えば右旋回走行する状態において、コントローラ110の指令に基づき可変容量型ポンプ1のモータ2及び電磁切換弁3の電磁コイルに電流が供給されると、電磁切換弁3が左のベーンモータ4の第1の油室11aに作動油を供給する方向に油路を切り換える。
電磁切換弁3により発生する油圧は、左のベーンモータ4に作用するとともに、左のベーンモータ4には負荷が発生し、この負荷が駆動力として左の後輪109に伝達される。左のベーンモータ4では、プロペラシャフト106から伝達される駆動トルクに、電磁切換弁3を介して可変容量型ポンプ1からの駆動トルクが加わり、旋回外輪109に駆動トルクを発生させる。このようなアクティブ制御により、旋回外輪109に対して電磁切換弁3を介して可変容量型ポンプ1からの駆動トルクを分配することで、車両回頭側に有効な右回りヨーモーメントを的確に発生させることができるようになり、全体として十分な駆動トルクを得ることができるとともに、四輪駆動車101の回頭性が向上する。
[第1の実施の形態の効果]
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
(1)従来のようにはモータエレメント同士間の空隙から作動油が洩れず、作動油の漏れ量を低減することができるため、モータ駆動力の減少を抑制することができる。
(2)温度上昇時における作動油の洩れ量を低減するために予めクリアランスを狭くしておく必要がないため、ロータ8等のモータエレメントの焼き付きの発生を抑制することができる。
(3)ベーンモータ4の回転を減速装置40で減速するため、低速高トルクを高速低トルク回転とすることができるようになる。しかも、ベーンモータ4に可変容量型の油圧式モータを用いることにより、ベーンモータ4側での回転切換えと相俟って、走行状態や走行路面状態に見合った車両の走行性及び操縦性を得ることができる。
なお、本実施の形態においては、空隙可変部材116が一方のサイドプレート10のロータ側端面に取り付けられている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、両方のサイドプレートのロータ側端面に空隙可変部材を取り付けてもよい。この場合、空隙可変部材をサイドプレートに取り付ける代わりに、ロータのサイドプレート側端面に取り付けてもよい。
また、本実施の形態においては、空隙可変部材116の材料がポリアミド樹脂である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、空隙可変部材116がカムリング7及びロータ8の材料の線膨張係数よりも大きい線膨張係数をもつ材料であれば、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂(線膨張係数:1.1×10−4/℃)など他の材料であってもよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態に係るポンプモータにつき、図5を用いて説明する。図5はベーンモータを示す。図5において、図1〜図4と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るベーンモータ50は、第1の実施の形態に示す空隙可変部材116を用いず、各モータエレメントの材料が互いに異なる線膨張係数をもつ材料によって形成されている点に特徴がある。
このため、カムリング7がロータ8の線膨張係数よりも小さい線膨張係数をもつ材料によって形成されている。カムリング7の材料としては例えばSCM420(線膨張係数:1.2×10−5/℃)が、またロータ8の材料としては例えばアルミニウム合金(線膨張係数:2.1×10−5/℃)がそれぞれ用いられる。
なお、ロータ8は、耐磨耗性を必要とするために、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)による表面処理を摺動部に施されていることが好ましい。
これにより、モータ自体又は作動油が温度上昇すると、ベーンモータ50の各モータエレメントが熱膨張し、サイドプレート10とロータ8の軸線方向片側端面との間の空隙Gが狭くなる。
このことは、例えば作動油室11内の作動油の温度が40℃でカムリング7の軸線方向寸法aをa=30.04mmとするとともに、ロータ8の軸線方向寸法bをb=30mmとし、またサイドプレート10のロータ側端面とロータ8のサイドプレート側端面との間(モータエレメント間)の軸線方向空隙GをG=0.02mmとするベーンモータ4において、作動油の温度を80℃に上昇させて軸線方向空隙gを測定することにより確認された。
上記測定において、カムリング7の軸線方向寸法(a+δa)及びロータ8の軸線方向寸法(b+δb)はそれぞれa+δa=30.0544192mm及びb+δb=30.0252mmとなり、またモータエレメント間の軸線方向空隙g=G−δGはg=0.0146mmとなる結果が得られた。作動油の温度が80℃である場合の軸線方向空隙gは、作動油の温度が40℃である場合の軸線方向空隙Gと比べて約27%縮小したことになる。
従って、本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、高温によって作動油の粘性が低下しても、従来のようにはモータエレメント同士間の空隙から作動油が洩れず、作動油の漏れ量を低減することができる。
また、本実施の形態において、作動油の洩れ量を低減できることは、従来のようにはモータエレメント同士(サイドプレート10及びロータ8)間に摩擦力が発生することがない。
[第2の実施の形態の効果]
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態に示す効果と同様の効果が得られる。
以上、本発明のモータポンプ及び車両用駆動力配分装置を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
(1)上記実施の形態では、ケーシング115がプロペラシャフト106に、またロータ8がリヤアクスルシャフト107にそれぞれ相対回転不能に連結されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ケーシングをリヤアクスルシャフトに、またロータをプロペラシャフトにそれぞれ相対回転不能に連結してもよい。
(2)上記実施の形態では、ベーンモータ4がリヤ側に配置されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、フロント側にベーンモータを配置してもよい。
1…可変容量型ポンプ、2…モータ、3…電磁切換弁、4,50…ベーンモータ、5…ハウジング、6…リザーバタンク、7…カムリング、7a…凹部、7b…凸部、8…ロータ、8a…収容溝、8A…ロータ軸、9…ベーン、9a…ばね収容凹部、10…サイドプレート、11…作動油室、11a…第1の油室、11b…第2の油室、12…油圧室、21…第1の油圧回路、21a…左のベーンモータ駆動用回路、21b…右のベーンモータ駆動用回路、22…第2の油圧回路、24〜27…第1の油路〜第4の油路、28〜31,36…チェック弁、32…第1の可変絞り、33…第2の可変絞り、34…可変レリーフ弁、35…バイパス回路、37…戻り油路、40…減速装置、41…太陽ギヤ、42…遊星ギヤ、43…キャリア、44…リングギヤ、71…ベーン押付部材、71a…コイル部、71b…押付部、101…4輪駆動車、102…エンジン、103…トランスアクスル、104…フロントアクスルシャフト、105…前輪、106…プロペラシャフト、106a…ドライブピニオン、107…リヤアクスルシャフト、108…リヤディファレンシャル、108a…ディファレンシャルキャリア、109…後輪、110…コントローラ、111,113…ベアリング、112…リングギヤ、115…ケーシング、116…空隙可変部材、116a…取付面、116b…反取付面

Claims (4)

  1. 第1の軸に相対回転不能に連結されるロータと、
    前記ロータの外周面との間にポンプ室を形成するためのカムリング、及び前記カムリングを介して互いに対向する一対のサイドプレートを有し、第2の軸に相対回転不能に連結されるケーシングとを備え、
    前記ケーシングは、前記ポンプ室を区画する複数のベーンを内蔵し、前記サイドプレートのロータ側端面と前記ロータ及び前記ベーンのサイドプレート側端面との間に温度上昇に伴い狭くなる空隙が形成されている
    ポンプモータ。
  2. 前記ケーシングは、前記一対のサイドプレートのうち少なくとも一方のサイドプレートの内面に前記カムリング及び前記ロータの線膨張係数よりも大きい線膨張係数をもつ材料からなる空隙可変部材が配置されている請求項1に記載のポンプモータ。
  3. 前記ケーシングは、前記カムリングが前記ロータの線膨張係数よりも小さい線膨張係数をもつ材料によって形成されている請求項1に記載のポンプモータ。
  4. モータ駆動力を出力するためのポンプモータを備えた車両用駆動力配分装置において、
    前記ポンプモータは、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポンプモータである車両用駆動力配分装置。
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