JPH06293681A - 芳香族化合物の部分酸化物の製造方法 - Google Patents

芳香族化合物の部分酸化物の製造方法

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JPH06293681A
JPH06293681A JP5083581A JP8358193A JPH06293681A JP H06293681 A JPH06293681 A JP H06293681A JP 5083581 A JP5083581 A JP 5083581A JP 8358193 A JP8358193 A JP 8358193A JP H06293681 A JPH06293681 A JP H06293681A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料電池システムを用いた芳香族化合物の部
分酸化物を製造する方法において、電力を取り出しかつ
生成物を高収率で得る事によって、極めて経済性の高い
芳香族化合物の部分酸化によるフェノール類の製造方法
を提供する。 【構成】 燃料電池システムにおいてカソード側電極に
銅及び/または銅化合物を含む物質を用い、外部負荷を
おいた燃料電池システムにより、芳香族化合物の部分酸
化物を製造する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は触媒電極を設けたイオン
伝導体を用いた燃料電池システムにより芳香族化合物と
酸素からフェノール類及びキノン類等の部分酸化物を製
造し、必要に応じて電力を取り出す方法に関する。フェ
ノール等の芳香族化合物の部分酸化物は樹脂等の原料と
なり、有機工業分野における極めて重要な中間原料であ
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族化合物から1価または多価のフェ
ノール類やベンゾキノンなどのキノン類を製造する方法
は種々知られている。例えば、フェノール類は、従来主
としてクメン法、安息香酸法、クロルベンゼン法、スル
ホン酸法等の方法により製造されている(例えば、有機
合成化学協会誌第35巻2号138項参照)。これらの
方法は何れも数段階にわたる複雑な反応操作を必要とし
ている。加えて高価な副原料を消費する等の欠点を持
つ。芳香族化合物を直接酸素酸化し、1段の反応操作に
よってフェノールを製造し、その際に高価な副原料を消
費せず、また併産物も伴わない製造プロセスを開発する
事は工業的見地から望ましく、種々提案がなされている
が、何れの方法も低収率であり、かつ反応条件が過酷で
あるかまたは反応方法が煩雑である等の理由により、工
業的に実施するには到っていない。
【0003】近年、燃料電池システムを用いて、穏和な
条件で種々の有用な化合物を製造すると同時に電力を取
り出す試みがなされてきている。燃料電池システムによ
る有機化合物の合成方法は、比較的穏和な条件で反応が
実施され、生成物の選択性は高くかつ必要に応じて電力
を反応系外へ取り出す事が出来るため、非常に経済性の
高い製造方法である。しかしながら、燃料電池システム
により芳香族化合物の部分酸化物を製造する方法は、本
発明者らが先に提案した(特願平1−34970号、特
願平1−261493号、特願平3−105924号、
特願平4−230042号)特許があるのみである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的はフェノ
ール、ハイドロキノン等の芳香族部分酸化物の製造を穏
和な条件で且つ、選択性高く、効率的で経済的な方法で
実施するとと同時に必要に応じて電力を発生させ、従来
の芳香族化合物の部分酸化物製造方法のような問題点を
克服する事である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は燃料電池シス
テムによる芳香族部分酸化物の製造方法の優れた利点に
着目し、上記芳香族化合物の部分酸化物の製造法におけ
る種々の問題点を解決すべく鋭意検討し、本発明に到達
した。即ち、本発明はプロトン伝導体を用いた燃料電池
システムにおいて、一方の触媒電極であるアノードに水
素供与体を、銅及び/または銅化合物を含む、他方の触
媒電極をカソードとし、カソードに芳香族化合物及び酸
素を接触させ、且つアノード側に負電圧を印加及び/ま
たはこのシステムから電力を取り出すことからなる芳香
族化合物の部分酸化物の製造方法である。本発明方法を
実施するために用いられる燃料電池型反応器の概念図を
図1に示す。
【0006】触媒電極からなるアノード1を有するアノ
ード室3とカソード2を有するカソード室4はプロトン
伝導体5で隔てられており、アノードとカソードはリー
ド線6で結線されている。触媒電極は好ましくは多孔質
もしくはシート状であるが、必ずしもこれに制限されな
い。7はスターラーである。8はリード線6に直列に接
続された直流電圧印加装置(アノードに負電圧印加の
為)、9は可変外部抵抗であり、必要に応じそれぞれを
単独で、または両方を同時に接続使用する。
【0007】本発明方法において用いられる一方の触媒
電極であるアノードとしては種々の材料を使用できる
が、本発明方法においてはとりわけ種々の金属またはそ
の化合物の少なくとも1種以上を用いることができる。
好ましくは、白金及びグラファイトを含む通常の燃料電
池に使用される触媒電極が入手し易い触媒電極として推
奨される。しかしながら、本発明方法においてはこれら
触媒電極のみに限定されない。また他方の触媒電極であ
る、カソードとしては銅及び/または銅化合物を含む物
質を用いる。更に電気伝導性物質、好ましくは導電性高
分子材料に銅及び/または銅化合物を混合または担持し
て使用することも可能である。本発明方法に使用される
銅化合物は特に限定されることはなく、無機銅化合物、
有機銅金属化合物等種々の銅化合物が使用される。好ま
しくは銅のハロゲン化物、酸化物、水酸化物、硝酸塩、
硫酸塩、酢酸塩等が入手し易い金属化合物として例示さ
れる。
【0008】また、本発明において用いる導電性高分子
材料としては、一般的にはその安価なこと、入手し易さ
及び良好な電気伝導性などからグラファイト等の導電性
炭素質物質を使用することが好ましい。該導電性炭素質
物質としては、電気伝導性を有する炭素質物質であれ
ば、何れであっても差し支えなく、さらに酸化処理によ
って電気伝導性が発現する炭素質物質でもよい。具体的
にはグラファイト、活性炭、カーボンブラック、カーボ
ンウィスカー等が入手し易いものとして挙げられる。次
に、炭素質物質の酸化処理について述べる。酸化処理は
通常の酸素含有気体を用いての加熱処理、酸化性試薬を
用いた試薬酸化処理等様々な方法によって行なうことが
可能である。例えば、試薬酸化処理としては過マンガン
酸もしくはその塩の水溶液処理、硝酸水加熱処理、重ク
ロム酸もしくはその塩の水溶液処理、硫酸水加熱処理及
び過酸化水素水処理等が挙げられる。好ましくは、酸化
処理を過マンガン酸塩溶液、硝酸溶液及び重クロム酸塩
溶液よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶液中で
炭素質物質を加熱もしくは室温で接触または放置するこ
とにより行なう。しかしながら本発明方法はこれらの処
理のみに限定されるものではない。更に、本発明方法を
さらに実施し易くするために、アノード、カソード両電
極のこれらの構成成分に加えてバインダーを用いて成形
したものを用いることが好ましい。この際の、電極を成
形する際に使用するバインダーとしては種々のバインダ
ーを使用することが可能であるが、その成形し易さ等の
点から、テフロン樹脂粉末を用い、ホットプレス成形す
ることが好ましい。しかしながら、本発明方法がこれら
の材料及び方法のみに限定されるものではない。
【0009】本発明方法で用いられるプロトン伝導体と
してはリン酸、硫酸、塩酸、硝酸等のプロトン酸、ヘテ
ロポリ酸、H−モンモリロナイト、リン酸ジルコニウム
等のプロトン伝導体として知られている固体電解質、S
rCeO3を母体としたペロブスカイト型固溶体等が使
用できる。又、パーフルオロカーボンのような含フッ素
高分子をベースとし、これにスルホン酸基或いはカルボ
ン酸基などのカチオン交換基の1種以上を導入したも
の、例えば、Nafion(デュポン社の登録商標)も
使用できる。リン酸等の液体はシリカウール等に含浸さ
せて使用したり、イオン透過性のフィルター又は膜では
さんで使用することもできる。
【0010】本発明に使用する水素供与体とは、一般的
に一方の触媒電極であるアノードによって酸化されプロ
トン(水素陽イオン)を発生させることを可能とする物
質をいう。具体的には水素分子、アルコール類、ハイド
ロキノン類、さらには飽和炭化水素等が挙げられる。好
ましくは水素分子を用いる。また、供給する水素供与体
は通常気体または液体として供給するが、必要に応じて
不活性な媒体または水に溶解させて液相状態で電極に接
触させても差し支えなく、さらには窒素、ヘリウム、ア
ルゴン等の不活性ガスとの混合ガスとして気相状態で電
極に接触させてもよい。供給方法についても特に限定さ
れるものではなく、連続方式でもバッチ方式でもよく、
例えば気相で供給する場合には連続方式であることが好
ましい。本発明方法において用いられる酸素は必ずしも
純粋なものである必要はなく、空気または窒素、ヘリウ
ム、アルゴン等の不活性なガスとの混合物であってもよ
い。本発明方法で部分酸化に用いられる芳香族化合物
は、置換または未置換の芳香族炭化水素である。例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アン
トラセン及びそれらの誘導体であり、それらが有しても
よい置換基としては、アルキル基、アリール基、アリー
ロキシ基、スルホン基、アルコキシ基、ハロゲン原子等
が挙げられる。また、カソード室に供給される芳香族化
合物についても気体または液体状態として供給するが、
さらに酸素または酸素含有物は気体状態としても、適当
な溶媒もしくはガスで希釈しても使用することもでき
る。供給方式についても連続方式、バッチ方式いずれで
あっても差し支えない。液相状態で実施する場合には、
触媒電極との接触を効果的に行わせるため、激しく攪拌
することが好ましい。
【0011】本発明方法においては、銅及び/または銅
化合物を含む触媒電極をカソードに用い、かつ定電圧発
生装置等により、及び/または抵抗等の負荷を外部回路
内に接続する事により電力を取り出す等の方法で短絡時
と比較してカソード電位を高くする事で、芳香族化合物
の部分酸化物の収率が格段に増大する。
【0012】本発明方法に従えば、アノードに負電圧を
印加する方法として特に限定されなく、アノードに負電
圧が印加される方法であれば如何なる方法で実施しても
差し支えないが、直流電圧電源等を回路内に入れ印加す
る方法が実施し易い方法として推奨される。アノードに
印加する電圧の値は特に限定されるものではないが、−
0.01Vから−1.0Vの範囲であることが好まし
く、−0.1Vから−0.5Vの範囲である事がより好
ましい。本発明方法でいう燃料電池システムから電力を
取り出すという事は、燃料電池の触媒電極を結線し、結
線内に抵抗等を設置し、電気エネルギーを発生させる事
である。電力を取り出す方法に関しても特に限定はされ
ないが、一般的には可変外部抵抗を入れ、カソード側の
電位を上昇させることによっても実施する事が可能であ
る。その際の電位上昇値は、特に限定はされないが好ま
しくは0.01Vから1.0Vの範囲であり、更に好ま
しくは0.1Vから1.0Vの範囲である。反応温度は
特に限定されないが、通常−20℃から200℃の範囲
で行われることが好ましく、0℃から100℃で行うこ
とがより好ましい。さらに、本発明方法に従えば、反応
は一般に常圧で行われるが、必要に応じて加圧もしくは
減圧下で実施することも可能である。反応生成物である
フェノール類やキノン類等の部分酸化物は、通常反応生
成液や反応生成ガスから蒸留、濃縮後の蒸留、気液分離
後の蒸留、抽出等の方法で分離精製して目的物を得る事
ができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明方法を実施例に基づき更に詳細
に説明する。しかしながら、これらは例示的なものであ
り、本発明方法は実施例のみによって制限されるもので
はない。
【0014】(a)水素供与体のアノード室への導入 水素供与体は総て、アルゴン:水素=50:50容量比
ガスを用い、これを20ml/分の流速でアノード室に
供給した。 (b)酸素のカソード室への導入 酸素は純酸素を5ml/分の流速で、ベンゼン50ml
を入れ、攪拌したカソード室へ導入した。 (c)炭素質物質の酸化処理 炭素質物質を8規定硝酸水溶液に浸し、これを2時間加
熱沸騰させた後、充分純水で洗浄し、乾燥させた。 (d)アノードの調製 白金黒粉末20mg、グラファイト粉末70mg及びテ
フロン粉末5mgをよく混合したものをホットプレス法
により円形シート状とし、これをアノードとした。な
お、本実施例に表記した記号のうち、mFはミリファラ
デー、Vはボルト、μmolはマイクロモル、PhOH
はフェノール、HQはハイドロキノンを表している。反
応温度及び反応時間は全ての実施例において30℃、3
時間で行い、生成物の分析はガスクロマトグラフ法によ
り行った。
【0015】実施例1〜6 ディスク状のガラスウール2枚(厚さ1.0mm、直径
21mm及び26mm)に1Mリン酸水溶液を含ませた
ものをイオン伝導体膜とし、前記したアノード及び予め
酸化処理したカーボンウィスカー65mg、酸化第二銅
5mg、テフロン粉末5mgをアノードと同様にホット
プレス法によりシート状としたものをカソードとして、
それぞれアノード室、カソード室に取り付けた。上記組
成及び流入速度でアノード室に水素、アルゴンを、カソ
ード室のベンゼン中に酸素ガスを導入し、さらにアノー
ドとカソード、直流電圧電源を導線で直列に接続した閉
回路とし、アノードに−0.1、−0.2、−0.2
5、−0.3、−0.35、−0.4Vの負電圧をそれ
ぞれかけて反応を行った。結果は表1に示したように、
フェノール及びハイドロキノンがそれぞれよい収率で生
成した。
【0016】比較例1 アノードには電圧を印加せず、それ以外は総て実施例1
と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結果
は表1に示した。
【0017】
【表1】 ──────────────────────────────────── 印加電圧 電荷量 生成量(μmol) (V) (mF) PhOH HQ ──────────────────────────────────── 実施例1 −0.1 1.5 74.9 8.1 実施例2 −0.2 2.1 79.6 4.0 実施例3 −0.25 2.2 97.7 7.4 実施例4 −0.3 1.6 102.5 7.3 実施例5 −0.35 0.9 90.1 7.1 実施例6 −0.4 0.4 59.1 6.0 比較例1 0 0.9 55.5 8.0 ────────────────────────────────────
【0018】実施例7 カソードとして予め酸化処理したカーボンウィスカーに
硫酸銅を1.0mol%含浸担持し全量を70mgとし
たものとテフロン粉末5mgをアノードと同様にホット
プレス法によりシート状に調製し、これを用い、アノー
ドに−0.3Vの負電圧を印加した以外は総て実施例1
と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結果
は表2に示した。
【0019】比較例2 アノードには電圧を印加せず、それ以外は総て実施例7
と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結果
は表2に示した。
【0020】実施例8 カソードとして予め酸化処理したカーボンウィスカーに
硝酸銅を1.0mol%含浸担持し全量を70mgとし
たものとテフロン粉末5mgをアノードと同様にホット
プレス法によりシート状に調製し、これを用い、アノー
ドに−0.3Vの負電圧を印加した以外は総て実施例1
と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結果
は表2に示した。
【0021】比較例3 アノードには電圧を印加せず、それ以外は総て実施例8
と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結果
は表2に示した。
【0022】実施例9 カソードとして予め酸化処理したカーボンウィスカーに
酢酸銅を1.0mol%含浸担持し全量を70mgとし
たものとテフロン粉末5mgをアノードと同様にホット
プレス法によりシート状に調製し、これを用い、アノー
ドに−0.3Vの負電圧を印加した以外は総て実施例1
と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結果
は表2に示した。
【0023】比較例4 アノードには電圧を印加せず、それ以外は総て実施例9
と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結果
は表2に示した。
【0024】実施例10 カソードとして予め酸化処理したカーボンウィスカーに
塩化第二銅を1.0mol%含浸担持し全量を70mg
としたものとテフロン粉末5mgをアノードと同様にホ
ットプレス法によりシート状に調製し、これを用い、ア
ノードに−0.3Vの負電圧を印加した以外は総て実施
例1と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。
結果は表2に示した。
【0025】比較例5 アノードには電圧を印加せず、それ以外は総て実施例1
0と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結
果は表2に示した。
【0026】
【表2】 ──────────────────────────────────── 印加電圧 電荷量 生成量(μmol) (V) (mF) PhOH HQ ──────────────────────────────────── 実施例7 −0.3 1.4 114.9 8.1 実施例8 −0.3 1.3 102.9 7.1 実施例9 −0.3 1.3 101.6 6.7 実施例10 −0.3 1.7 54.3 5.7 実施例11 −0.3 1.6 92.0 8.6 比較例2 0 0.9 47.9 7.8 比較例3 0 1.0 49.5 6.7 比較例4 0 0.8 43.4 5.8 比較例5 0 0.7 18.4 3.2 比較例6 0 0.8 32.8 6.1 ────────────────────────────────────
【0027】実施例11 カソードとして予め酸化処理したカーボンウィスカーに
塩化第一銅を1.0mol%含浸担持し全量を70mg
としたものとテフロン粉末5mgをアノードと同様にホ
ットプレス法によりシート状に調製し、これを用い、ア
ノードに−0.3Vの負電圧を印加した以外は総て実施
例1と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。
結果は表2に示した。
【0028】比較例6 アノードには電圧を印加せず、それ以外は総て実施例1
1と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行った。結
果は表2に示した。
【0029】比較例7 カソードとして予め酸化処理したカーボンウィスカー6
5mg、酸化第二鉄5mg、テフロン粉末5mgをアノ
ードと同様にホットプレス法によりシート状に調製し、
これを用いた以外は総て比較例1と同一の条件でベンゼ
ンの部分酸化反応を行った。この結果、フェノールが5
1.7μmol、ハイドロキノンが10.5μmol生
成し、この間に流れた電荷量は0.8mFであった。
【0030】比較例8 カソード電極に−0.3Vの電圧を印加した以外は総て
比較例7と同一の条件でベンゼンの部分酸化反応を行っ
た。この結果、フェノール生成量が16.1μmolと
減少した。本発明方法におけるカソード電極に銅及び/
または銅化合物を用いてアノードに負電圧を印加する事
によってフェノール生成量が極めて増大した事がわか
る。
【0031】
【発明の効果】本発明に従えば、クメン法などの従来の
煩雑な方法と比較し、芳香族化合物と酸素から一段の反
応操作で対応する芳香族化合物の部分酸化物を製造でき
る燃料電池システムを用いた芳香族の部分酸化物の製造
方法において、カソード電極に銅及び/または銅化合物
を用い、更に電気エネルギーを反応系外へ取り出す事に
よって芳香族化合物の部分酸化物を高収率で製造する事
ができる、極めて経済性の高い芳香族化合物の部分酸化
物の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池型反応器の概念図
【符号の説明】
1 触媒電極(アノード) 2 触媒電極(カソード) 3 アノード室 4 カソード室 5 イオン伝導体 6 リード線 7 スターラー 8 直流電圧印加装置 9 可変外部抵抗

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロトン伝導体を用いた燃料電池システ
    ムにおいて、一方の触媒電極であるアノードに水素供与
    体を、銅及び/または銅化合物を含む他方の触媒電極を
    カソードとし、カソードに芳香族化合物及び酸素を接触
    させ、且つアノード側に負電圧を印加及び/またはこの
    システムから電力を取り出すことからなる芳香族化合物
    の部分酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 他方の触媒電極であるカソードが銅及び
    /または銅化合物と導電性高分子材料を含む請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 導電性高分子材料が導電性炭素質物質で
    ある請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 導電性炭素質物質が酸化処理された炭素
    質物質である請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 水素供与体が水素分子である請求項1記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 酸化処理が酸素含有気体存在下に炭素質
    物質を加熱処理することである請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 酸化処理が過マンガン酸塩溶液、硝酸溶
    液及び重クロム酸塩溶液よりなる群から選ばれた少なく
    とも1種の溶液中で炭素質物質を加熱もしくは室温で接
    触または放置することである請求項4記載の方法。
  8. 【請求項8】 アノード側に印加する電圧が−0.01
    Vから−1.0Vである請求項1記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010540437A (ja) * 2007-09-20 2010-12-24 カテレクトリック・コーポレイション 有用物質を合成するための方法及び装置
US8511064B2 (en) 2003-04-25 2013-08-20 Catelectric Corp. Methods and apparatus for controlling catalytic processes, including catalyst regeneration and soot elimination
JP2013538420A (ja) * 2010-08-16 2013-10-10 ファウンデーション オブ スンシル ユニヴァーシティー−インダストリー コーポレーション 鉄酸化還元対を用いたカソード電極を含む燃料電池

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