JPH06293505A - 水酸アパタイトコーティング方法 - Google Patents

水酸アパタイトコーティング方法

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JPH06293505A
JPH06293505A JP10038093A JP10038093A JPH06293505A JP H06293505 A JPH06293505 A JP H06293505A JP 10038093 A JP10038093 A JP 10038093A JP 10038093 A JP10038093 A JP 10038093A JP H06293505 A JPH06293505 A JP H06293505A
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Japan
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hydroxyapatite
organic polymer
coating method
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hydroxyapatite coating
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JP10038093A
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Tadashi Kokubo
正 小久保
Takeshi Yao
健 八尾
Masaki Ogawa
雅樹 小川
Takehiro Shibuya
武宏 渋谷
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NIPPON SHERWOOD KK
Nippon Electric Glass Co Ltd
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NIPPON SHERWOOD KK
Nippon Electric Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】軽量な基材の表面に、生体適合性に優れ且つ基
材との接着強度に優れた水酸アパタイト膜をコーティン
グする方法を提供する。 【構成】予め水酸アパタイトの核を付着してあるか、あ
るいは/及び水酸アパタイト結晶が成長し易くなる表面
処理を施した基材をカルシウムイオンとリン酸イオンを
含有する水溶液中に浸漬することによって、該基材表面
に生体活性水酸アパタイト膜を設ける方法に於いて、基
材表面に酸素プラズマ処理が施されていることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体活性に優れる水酸ア
パタイトを有機高分子の表面にコーティングする方法に
関するものである。本発明は、軽量で生体適合性に優
れ、かつ安価な医療用具が要望される分野で好適に利用
され得る。
【0002】
【従来の技術】水酸アパタイトが優れた生体活性を有す
る事は、最近、医学関連の学会等で多く紹介され、医療
に携わる研究者、および医療用具を供給する者の常識と
までなっている。従って、水酸アパタイトの製法、応用
に関する報告は数多くあり、代表的なものを列挙する。
【0003】生体インプラント材料に関するものでは、
特開平3−186272ではアルミナ、ジルコニア等の
セラミック材料、純チタン、チタン合金に水酸アパタイ
ト等のリン酸カルシウム系材料をコーティングし、骨に
インプラントする部材が開示されている。
【0004】また、特公平2−13580では、水酸ア
パタイト焼結体からなる生体用端子を生体内情報を外部
に取り出す際の体内と体外を結ぶ部分に使用する技術が
開示されている。実公平3−19884では、生物の骨
から作製した水酸アパタイトの生体用端子に関する技術
も開示されている。特開平3−32676では、水酸ア
パタイトの強度が低く実用化の妨げになっている点を改
良すべく、ジルコニアあるいは、アルミナと水酸アパタ
イトとの複合体に関する技術が開示されている。
【0005】また、水酸アパタイトの製法に関しても特
公平2−13580では、焼結法が開示されており、金
属インプラントへのプラズマスプレー法に関しては、特
公昭58−50737に、セラミック芯材へのプラズマ
溶射法に関しては、特公昭59−46911、特開昭6
2−34559、特開昭62−57548、特開昭63
−46165等に開示がある。さらに有機高分子に対し
て水酸アパタイト等を溶射する技術が特開平1−291
859に開示がある。
【0006】スパッタリング法に関しては、特開昭58
−109049に開示があり、フレーム溶射法に関して
は、日本セラミックス協会1988第一回秋期シンポジ
ウム講演予稿集 P.P401〜402に開示がある。ガラスフリ
ットによる焼付け法に関しては、第9回バイオマテリア
ル学会大会予稿集(1987,P6) に開示がある。さらに電気
泳動法に関しては、日本セラミックス協会1988 P.P
417〜418に開示がある。
【0007】そして、イオンの種類、濃度を人の血漿と
同じ組成にした人工体液から水酸アパタイトを析出させ
る方法に関しては、特公昭62−10939、特公平1
−54290、特開平2−255515、特開平3−9
7466、特開平4−144566に開示がある。ま
た、カルシウムイオンとリン酸イオンを水溶液中で反応
させて、生成した水酸アパタイトをコーティングする方
法が特開平4−224747に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように多くの技術
が開示されているものの、まだ多くの問題点がある。 A、プラズマ溶射法は、複雑で高価な装置を必要とする
こと、緻密な膜を作り難いこと、原料の水酸アパタイト
がいったん高温で溶融されるので生体内のアパタイトと
異なる種類のアパタイト膜が形成されること等が挙げら
れる。
【0009】B、スパッタリング法は、複雑で高価な装
置を必要とすること、原料の水酸アパタイトがいったん
高温で溶融されるので生体内のアパタイトと異なる種類
のアパタイト膜が形成されること等が挙げられる。
【0010】C、焼結法やガラスフリット法は、850
℃あるいは、それ以上の温度で熱処理する必要が有るた
め耐熱性の高い基材にしかできないこと、原料の水酸ア
パタイトが一旦高温で処理されるので生体内のアパタイ
トと異なる種類のアパタイト膜が形成される。また、焼
結体で端子を作った場合は水酸アパタイトの強度が低い
ので構造・形状に大きな制約があった。
【0011】D、電気泳動法は、基材自身を電極として
用いるため、良導性の金属基材にしか適用できないこ
と、原料に焼結アパタイトを用いるため、やはり生体内
のアパタイトとは異なるアパタイトの膜が形成される。
【0012】E、人工体液から析出させる方法では、水
酸アパタイトの核を基材に付着させるために核生成用ガ
ラス粉末と基材を擬似体液中で接触させる工程が必要が
あり、コーティングを終結するまでの時間が長く、工数
も多いので工業的に安価に製品を供給するには課題が多
く、また、基材と水酸アパタイト層との接着強度も不十
分であった。
【0013】つまり、従来より、有機高分子に生体とほ
ぼ同じ組成の水酸アパタイトをコーティングする技術
は、医療用具を製造する為に切望されていた技術ではあ
るものの、十分な性能が期待できるコーテイング方法
は、開発されていなかった。
【0014】上記問題点を解決するために本発明者は鋭
意研究を重ねた結果、有機高分子表面をその有機高分子
に適した条件で酸素プラズマ処理してやれば、この表面
に水酸アパタイトと親和性の良い官能基が導入されるの
で、従来、不可能と考えられていた炭化水素系有機高分
子の表面にも生体中の水酸アパタイトと組成が殆ど同じ
である水酸アパタイトをコーティングできることを見い
だした。本発明の目的は、軽量な基材の表面に、生体適
合性に優れ且つ基材との接着強度に優れた水酸アパタイ
ト膜をコーティングする方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】その手段は、予め水酸ア
パタイトの核を付着してあるか、あるいは/及び水酸ア
パタイト結晶が成長し易くなる表面処理を施した基材を
カルシウムイオンとリン酸イオンを含有する水溶液中に
浸漬することによって、該基材表面に生体活性水酸アパ
タイト膜を設ける方法に於いて、基材表面に酸素プラズ
マ処理を施しておくことを特徴とする。ここで、水酸ア
パタイト結晶が成長し易くなる表面処理とは、例えば、
基材表面をシランカップリング剤で処理するような操作
をいう。
【0016】また、カルシウムイオンとリン酸イオンを
含有する水溶液として望ましいのは、実質的に飽和ない
し過飽和度の水酸アパタイト成分水溶液である。実質的
に飽和ないし過飽和度の水酸アパタイト成分水溶液と
は、アパタイトの主要構成成分であるCa2+イオンとH
PO4 2-イオンを飽和ないし過飽和濃度で含んでいる水
溶液をいう。
【0017】
【作用】本発明では、有機高分子を主成分とする基材に
酸素プラズマ処理を行うが、これは、酸素プラズマ処理
によって有機高分子の表面が粗面化されると共に水酸
基、カルボニル基、カルボキシル基等の官能基が導入さ
れることによって水酸アパタイトとの接着強度が大幅に
改良されるからである。
【0018】すなわち、酸素プラズマ処理を施した基材
は、表面が凹凸化して水酸アパタイトを付着し易くな
る。従って、酸素プラズマ処理を施した基材を核生成ガ
ラス粉末とともに水酸アパタイト成分水溶液中で接触さ
せておくと、基材の表面に強固な水酸アパタイトの核が
生成する。核生成ガラス粉末としては、例えばNa2
もしくはCaOとSiO2を主成分とするものがある。
【0019】この水酸アパタイトの核が付着した基材を
さらに水酸アパタイト成分濃度が高い水溶液に浸漬する
と、この核を中心として水酸アパタイトが成長し、最終
的に基材表面に水酸アパタイトの膜が形成される。そし
て、この膜は、酸素プラズマ処理を施さないで作製した
試料と比較して大幅に高い接着強度を示すことが分かっ
た。
【0020】尚、水酸アパタイトの核が付着した基材を
用いた例で説明したが、核を付着させる前に又は核を付
着させることなく、水酸アパタイト結晶が成長し易くな
る表面処理を施した後、酸素プラズマ処理をしても同様
に酸素プラズマ処理の作用を生じる。
【0021】酸素プラズマ処理に於ける酸素分圧は0.
1〜10.0Torrであることが好ましい。これは
0.1Torr未満では、酸素プラズマの効果が極めて
小さく、逆に10.0Torrを越えるとプラズマを構
成する粒子の平均自由行路が減少し、結果として保有で
きるエネルギーが減少し、処理の効果が小さくなるから
である。
【0022】酸素プラズマ処理は、各種の有機高分子に
有効であるが、特に官能基を有していない炭化水素系の
有機高分子で接着強度の改良が顕著である。炭化水素系
有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリブタジエン、
ポリスチレン、スチレンブタジエン樹脂等があるが、必
ずしもこれらに限定される訳ではなく、例えば水素をフ
ッ素で置換したフッ素化炭化水素系有機高分子であって
もよい。
【0023】このフッ素化炭化水素系有機高分子は、生
体に対して不活性な素材であるだけでなく、水素をフッ
素で置換すると、耐摩耗性及び耐熱性が向上する。但
し、長時間生体に接していると生体側の拒絶反応を誘発
してしまう。従って、この素材に水酸アパタイトをコー
ティングして積極的な生体活性を付与することは非常に
有意義となるが、従来有効なコーティング方法が開発さ
れていなかった。これに対して、本発明のように酸素プ
ラズマ処理を施すと、フッ素で置換されていない炭化水
素系有機高分子と同様に水酸アパタイトをコーティング
できることが判明した。
【0024】フッ素化炭化水素系有機高分子としては、
ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン
とヘキサフルオロプロピレンの共重合体、エチレンとテ
トラフルオロエチレンの共重合体、ポリクロロトリフル
オロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニ
ルフルオライドから選ばれる有機高分子がある。
【0025】その他にも、エステル基を含有する有機高
分子、水酸基を含有する有機高分子、アミド結合を有す
る有機高分子、スルホン基あるいは、/及びカルボキシ
ル基を有する有機高分子でも同じような効果がえられる
が、必ずしもこれらの有機高分子に限定されるものでは
ない。
【0026】エステル基を含有する有機高分子として
は、アリル樹脂、オキシベンゾイルポリエステル、ポリ
アリレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボ
ネート、ポリエチレンテレフタレート、AAS樹脂(ア
クリル酸エステルとアクリロニトリルとスチレンの共重
合体)、酸酸セルロース、酪酸セルロース、エチルセル
ロース等のセルロースプラスチック、エチレンと酢酸ビ
ニルと塩化ビニルの共重合体、エチレンと塩化ビニルの
共重合体、エチレンとアクリル酸エステルの共重合体、
アクリル酸エステルとブタジエンとスチレンの共重合
体、メタアクリル樹脂、酢酸ビニル系樹脂から選ばれる
有機高分子がある。
【0027】水酸基を含有する有機高分子としては、エ
ポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、
ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールか
ら選ばれる有機高分子がある。
【0028】スルホン基及びカルボキシル基のうち少な
くとも1つを有している有機高分子としては、ポリエー
テルスルホン、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、オ
レフィンとビニル基を含有するカルボン酸の共重合によ
って得られる高分子を金属イオンで架橋した高分子があ
る。
【0029】アミド結合を有する有機高分子としては、
ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、ナイ
ロン−11及びナイロン−610から選ばれる有機高分
子がある。
【0030】水酸アパタイトの膜の厚さは、0.1〜1
00μmが好ましい。0.1μm未満では、工業的に均
一にコーティングできないからであり、又、生体内に埋
設されている間にこの水酸アパタイト膜が侵食されて消
失してしまう可能性が有るからである。他方、100μ
mを越えると温度、湿度に対する基材と水酸アパタイト
との膨張率の差による歪が大きくなり、結果として水酸
アパタイト層にヒビが入り易くなり、そのヒビを核とし
て剥離し易くなる為である。また、水酸アパタイト層を
形成させるまでの時間が長くなるため製造コストが上昇
する等々、このように膜を厚くする工業的意味が無くな
ってしまうからである。
【0031】さらに本発明中の水酸アパタイトはリン酸
基あるいは、水酸基の一部が炭酸基に置き換わっている
のが好ましいが、これはこの方がより生体の水酸アパタ
イトに近く、生体との親和性が良いからである。こうし
て得られる水酸アパタイト膜のCa/P原子比は、1.
1〜1.9特に1.3〜1.55が望ましい。この範囲
でもっとも生体適合性に優れるからである。
【0032】
【実施例】実施例1〜4及び比較例1〜2 先ず、基材として表1に示す有機高分子よりなり、縦1
5mm、横10mm、厚さ1mmの矩形のプレートを準
備した。そして、これら有機高分子よりなる各基材の表
面は、鏡面であり、エタノールで洗浄しておいた。
【表1】 上記の基材を以下の条件で酸素プラズマ処理した。
【0033】・装 置………サムコインターナショナル
製 plasma polymerization systemmodel PD-10S ・酸素分圧……0.23Torr ・ガス流量……30cm3/分 ・陽電極から基材までの距離……14mm ・周波数………13.56MHz ・処理時間……60秒 別途、実質的に飽和ないし過飽和濃度の水酸アパタイト
成分水溶液として、水溶液(1)及び(2)を表2のよ
うな組成で作製し、塩酸の量をコントロールして36.
5℃でのpHの値を7.3に調節しておいた。
【表2】 また、主成分をCaOとSiO2 とする次の組成の核生
成ガラスを作製した。
【0034】 <ガラスの原料割合> <ガラスの組成(mol%)> CaCO3……………28.431g CaO…………………49.87 MgO ……………… 2.289g SiO2 ………………35.46 β−Ca227……14.517g P25………………… 7.153 CaF2……………… 0.249g MgO………………… 7.111 SiO2………………17.015g CaF2 ……………… 0.399 すなわち、乳鉢を使ってガラス原料を微粉末化し均一に
混合した後、白金ルツボに入れて1450℃で2時間溶
融した。溶融物を鉄板に流して急冷しガラス化した後、
ボールミルを使って粉砕した。粉砕したガラスを分級用
のフルイを使って粒径が100〜600μmの範囲にあ
るものを取り出して洗浄し、乾燥し、核生成ガラスとし
た。
【0035】次に30mlの水溶液(1)の中に4gの
核生成ガラスを取り、この中に酸素プラズマ処理を施し
た基材を埋めた。36.5℃の恒温槽に48時間放置し
た後、基材を取り出し、30mlの水溶液(2)に移
し、2日間36.5℃の恒温槽に放置する。2日後、水
溶液(2)30mlを新しいものに交換し、再び2日間
36.5℃の恒温槽に放置した。以後、この操作を繰り
返し、全体で8日間水溶液(2)に浸漬した。浸漬終了
後、基材を取り出し、水洗した。室温で24時間乾燥し
た後、60℃の乾燥器で乾燥させた。比較例は酸素プラ
ズマ処理をしていないが、その他の処理は、対応する実
施例と同じ操作を行った。
【0036】こうして、基材表面に水酸アパタイト膜を
被覆した。コーティングされた膜が水酸アパタイトであ
ることの確認は、走査型電子顕微鏡、二次X線解析装置
(EDX)及び薄膜X線回折装置を使って確認した。得られ
たコーティング基材につき、水酸アパタイト膜の膜厚
さ、乾燥時接着強度及び湿潤時接着強度を以下の要領で
測定した。測定結果をコーティング条件とともに表3に
示す。
【0037】[水酸アパタイトの膜厚さ測定]上記コー
ティング部分に刃物で傷をいれ、走査型電子顕微鏡を使
い、サンプルを電子照射方向に対して50度傾けて切口
の水酸アパタイト層の厚さを測定した。傾斜させた分を
計算で補正して一覧表を作製した。
【0038】[乾燥時接着強度]水溶液(2)から取り
出した試料を60℃で乾燥させた後、接着強度を評価し
た。アパタイト層の上面と基材裏面に、シアノアクリレ
ート系接着剤を用いて真鍮製治具を取り付け、基材とア
パタイトの界面を1mm/分の速度で引っ張り、アパタ
イト層と基材の接着強度を測定した。
【0039】[湿潤時接着強度]水溶液(2)から取り
出した試料を60℃で乾燥させた後、36.5℃の生理
食塩水の中に1週間浸漬する。1週間後、表面の生理食
塩水を拭き取り、接着強度を評価した。アパタイト層の
上面と基材裏面に、シアノアクリレート系接着剤を用い
て真鍮製治具を取り付け、基材とアパタイトの界面を1
mm/分の速度で引っ張り、アパタイト層と基材の接着
強度を測定した。
【0040】
【表3】 以上の結果から次のような事が分かる。 酸素プラズマ処理によって基材と水酸アパタイトとの
接着強度が大幅に改良される。基材の表面が鏡面であっ
ても酸素プラズマ処理を行えば、医療用具等への適用が
可能なレベルの接着強度を得ることができる。 炭化水素系有機高分子で酸素プラズマ処理の接着強度
改良の効果が大きい。
【0041】実施例4〜8 こららの例は、酸素プラズマ処理の際の酸素分圧と処理
効果の関係を確認するものである。基材は実施例2と同
じポリプロピレン(三井東圧化学製JHH−G)の矩形
プレートを使用した。酸素プラズマ処理装置、ガス流量
及び周波数は実施例1〜3と同一条件とした。但し、処
理時間は90秒とした。酸素プラズマ処理後の操作は、
実施例1〜3と同様にした。得られたコーティング基材
につき、水酸アパタイト膜の膜厚さ、乾燥時接着強度及
び湿潤時接着強度を実施例1〜3と同じ要領で測定し
た。測定結果をコーティング条件とともに表4に示す。
【0042】
【表4】 実施例9〜14 これらの例は、生体適合性に関して、コーティングした
水酸アパタイトの好ましいCa/P原子比を確認するも
のである。
【0043】実施例3と同質同形の基板のエッジを落と
し、実施例3と同じ条件で酸素プラズマ処理及び核生成
を行い、HApを成長させ、基材表面にHApをコーテ
ィングした。尚、カルシウム原子の数とリン原子の数の
比は、水溶液(2)の塩化カルシウムとリン酸水素二カ
リウムの量と温度を変化させてコントロールした。得ら
れたコーティング基材につき、水酸アパタイト膜の湿潤
時接着強度及び生体適合性を以下の要領で測定した。測
定結果をコーティング条件とともに表5に示す。
【0044】
【表5】 実施例9〜14の結果から、生体適合性に関して、コー
ティングした水酸アパタイトのリン原子の数に対するカ
ルシウム原子の数の比が好ましくは1.1〜1.9、さ
らに好ましくは1.3〜1.55であることが判明し
た。
【0045】
【発明の効果】水酸アパタイトが優れた生体適合性を示
すことは良く知られているが、強度が低いため、焼結体
のままでのインプラント部材としての使用は、大きな力
を負担しない部分に限られてきた。これを改良するため
に金属基材、あるいは、セラミックスにコーティングす
る方法が開発されたが、基材そのものの価格が高かった
り、成型加工性が良くなかったりで汎用のインプラント
部材にまではなっていない。
【0046】また、本来は、加工成型性が他の材料に対
比して格段に優れ、価格も比較的低い有機高分子にコー
ティングするのが理想的であるが、水酸アパタイトとの
接着強度が低く、実現していなかった。本発明で有機高
分子に充分に実用可能なレベルの接着強度を有するコー
ティング方法を提供する事ができたことによって、特に
医療分野に於て多大の貢献を果たすことが期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 雅樹 東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目27番7号 日 本ブランズウイックビルディング5階 日 本シャーウッド株式会社内 (72)発明者 渋谷 武宏 滋賀県大津市晴嵐2丁目7番1号 日本電 気硝子株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め水酸アパタイトの核を付着してある
    か、あるいは/及び水酸アパタイト結晶が成長し易くな
    る表面処理を施した基材をカルシウムイオンとリン酸イ
    オンを含有する水溶液中に浸漬することによって、該基
    材表面に生体活性水酸アパタイト膜を設ける方法に於い
    て、基材表面に酸素プラズマ処理が施されていることを
    特徴とする水酸アパタイトコーティング方法。
  2. 【請求項2】カルシウムイオンとリン酸イオンを含有す
    る水溶液が実質的に飽和ないし過飽和度の水酸アパタイ
    ト成分水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の
    水酸アパタイトコーティング方法。
  3. 【請求項3】酸素プラズマ処理に於ける酸素分圧が0.
    1〜10.0Torrである請求項1に記載の水酸アパ
    タイトコーティング方法。
  4. 【請求項4】基材が有機高分子を主成分としている請求
    項1に記載の水酸アパタイトコーティング方法。
  5. 【請求項5】有機高分子が炭化水素系有機高分子である
    請求項4に記載の水酸アパタイトコーティング方法。
  6. 【請求項6】炭化水素系有機高分子がポリエチレン、ポ
    リプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポ
    リブタジエン、ポリスチレン、スチレンブタジエン樹脂
    から選ばれる有機高分子である請求項5に記載の水酸ア
    パタイトコーティング方法。
  7. 【請求項7】有機高分子がフッ素化炭化水素系有機高分
    子である請求項4に記載の水酸アパタイトコーティング
    方法。
  8. 【請求項8】フッ素化炭化水素系有機高分子がポリテト
    ラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサ
    フルオロプロピレンの共重合体、エチレンとテトラフル
    オロエチレンの共重合体、ポリクロロトリフルオロエチ
    レン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオ
    ライドから選ばれる有機高分子である請求項7に記載の
    水酸アパタイトコーティング方法。
  9. 【請求項9】有機高分子が、エステル基を含有する有機
    高分子、水酸基を含有する有機高分子、アミド結合を有
    する有機高分子、スルホン基を含有する有機高分子及び
    カルボキシル基を含有する有機高分子から選ばれるもの
    であることを特徴とする請求項4に記載の水酸アパタイ
    トコーティング方法。
  10. 【請求項10】エステル基を含有する有機高分子がアリ
    ル樹脂、オキシベンゾイルポリエステル、ポリアリレー
    ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、
    ポリエチレンテレフタレート、AAS樹脂(アクリル酸
    エステルとアクリロニトリルとスチレンの共重合体)、
    酸酸セルロース、酪酸セルロース、エチルセルロース等
    のセルロースプラスチック、エチレンと酢酸ビニルと塩
    化ビニルの共重合体、エチレンと塩化ビニルの共重合
    体、エチレンとアクリル酸エステルの共重合体、アクリ
    ル酸エステルとブタジエンとスチレンの共重合体、メタ
    アクリル樹脂、酢酸ビニル系樹脂から選ばれる有機高分
    子である事を特徴とする請求項9に記載の水酸アパタイ
    トコーティング方法。
  11. 【請求項11】水酸基を含有する有機高分子がエポキシ
    樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエ
    チレングリコール、ポリプロピレングリコールから選ば
    れる有機高分子である事を特徴とする請求項10に記載
    の水酸アパタイトコーティング方法。
  12. 【請求項12】スルホン基を含有する有機高分子が、ポ
    リエーテルスルホン、ポリスルホン及びポリアリルスル
    ホンから選ばれるものであることを特徴とする請求項9
    に記載の水酸アパタイトコーティング方法。
  13. 【請求項13】カルボキシル基を含有する有機高分子
    が、オレフィンとビニル基を含有するカルボン酸の共重
    合によって得られる高分子を金属イオンで架橋した高分
    子である請求項9に記載の水酸アパタイトコーティング
    方法。
  14. 【請求項14】アミド結合を有する有機高分子が、ナイ
    ロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、ナイロン
    −11及びナイロン−610から選ばれる有機高分子で
    ある請求項9に記載の水酸アパタイトコーティング方
    法。
  15. 【請求項15】水酸アパタイトの膜厚が0.1〜100
    μmである請求項1に記載の水酸アパタイトコーティン
    グ方法。
  16. 【請求項16】水酸アパタイトの水酸基、あるいは、リ
    ン酸基の一部が炭酸基によって置換されている請求項1
    に記載の水酸アパタイトコーティング方法。
  17. 【請求項17】水酸アパタイト膜のリン原子の数に対す
    るカルシウム原子の数の比が1.1〜1.9であること
    を特徴とする請求項1に記載の水酸アパタイトコーティ
    ング方法。
  18. 【請求項18】水酸アパタイト膜のリン原子の数に対す
    るカルシウム原子の数の比が1.3〜1.55であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の水酸アパタイトコーテ
    ィング方法。
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