JP4804648B2 - 骨代替材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨代替材料に関する技術分野に属し、より詳細には、骨親和性の被膜が表面に形成されたチタン又はチタン合金よりなる骨代替材料に関する技術分野に属し、特には、骨親和性を長期間安定に維持するための技術に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
チタン及びチタン合金は機械的特性に優れ、体液に対する耐食性を有し、また生体に対する毒性が極めて低いことから、骨代替材料用金属としてチタン及びチタン合金が用いられるようになっている。ところが、チタン及びチタン合金には生体骨との親和性(骨親和性)が低いという問題点がある。即ち、骨代替材料には生体骨と直接結合する骨親和性が要求されるが、チタン及びチタン合金は生体骨との親和性が低く、生体骨との結合に長時間を要するという問題点がある。
【0003】
チタン及びチタン合金が生体骨との親和性を示す条件は、体液中で表面に骨の主成分であるヒドロキシアパタイト(以降、HAPという)層を形成することである。生体骨との親和性に対してHAPの果たす役割は本質的である。即ち、HAPは骨親和性に優れ、生体骨と直接結合するという性質を有している。
【0004】
かかるHAPの特性を利用した技術として、HAPを含む骨親和性を有する材料でチタン又はチタン合金をコーティングし、それにより生体骨との親和性を付与する技術(以降、骨親和性材料コーティング法という)が提案されている。
【0005】
しかし、かかる骨親和性材料コーティング法では、コーティング層と下地金属との接合強度を高くすることが難しい。また、信頼性の高いコーティング層を形成するためには処理プロセスが複雑になり、高価な装置が必要となるため、製造コストが高くなるという問題点がある。
【0006】
かかる問題を解決することを目的として検討がなされ、その結果、チタン又はチタン合金よりなる基体の表面をアルカリ水溶液にて処理した後、加熱処理をするという簡便な方法(以降、アルカリ処理・加熱処理法という)により、骨親和性を付与できることが見出され、文献「Kim ら,J. Biomed. Mater. Res., vol.32, P409〜417 (1996 年)」や、特許第2775523 号公報に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記文献や特許第2775523 号公報に記載されている方法(アルカリ処理・加熱処理法)は、確かに、前記骨親和性材料コーティング法に比べて、簡便に骨親和性を付与し得る。しかしながら、本発明者らは、このアルカリ処理・加熱処理法を人工関節等の骨代替材料に適応すべく開発研究を進めていたところ、このアルカリ処理・加熱処理法により得られる骨代替材料は、高温・高湿状況下で保管すると、その骨親和性が比較的短時間で著しく劣化することを見出した。このように骨代替材料の保管の雰囲気や期間によって骨親和性が劣化することは、重大な問題であり、骨親和性を付加価値とする製品としては致命的である。
【0008】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、前記アルカリ処理・加熱処理法の場合と同程度に簡便に、前記アルカリ処理・加熱処理法の場合よりも長期安定性に優れた骨親和性をチタン又はチタン合金よりなる基体に付与し得るようにしようとするものである。即ち、チタン又はチタン合金を構成材料の基体とする骨代替材料であって、前記アルカリ処理・加熱処理法の場合と同程度に簡便な方法により得ることができ、しかも保管に際して前記アルカリ処理・加熱処理法で得られる骨代替材料よりも骨親和性の劣化が生じ難く、骨親和性の長期安定性に優れた骨代替材料を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る骨代替材料は、請求項1〜2記載の骨代替材料としており、それは次のような構成としたものである。
【0010】
即ち、本発明に係る骨代替材料は、アルカリ金属イオンを含有するアルカリ水溶液に接触させるアルカリ処理、次に洗浄処理、その後に加熱処理がされることによって、チタンと酸素あるいは更にアルカリ金属を含有する骨親和性の被膜が表面に形成されたチタン又はチタン合金よりなる骨代替材料であって、前記被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属の濃度が0.8〜3.2原子%であることを特徴とする骨代替材料である(第1発明)。
【0011】
また、上記骨代替材料での洗浄処理が純水でなされ、その温度が30℃以下であることとした骨代替材料である(第2発明)。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、例えば次のような形態で実施される。
所要形状寸法のチタン又はチタン合金よりなる基体を洗浄し乾燥した後、アルカリ金属イオン(Na+ やK+ など)を含有するアルカリ水溶液に接触させるアルカリ処理をする。例えば、60℃に保持された5M(モル濃度)の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬する。そうすると、基体の表面にチタンと酸素とアルカリ金属からなる層(被膜)、即ち、非晶質のアルカリチタン酸塩層が形成される。例えば、チタンと酸素とナトリウムからなる層、即ち、非晶質チタン酸ナトリウム層が形成される。
【0013】
次に、上記アルカリ処理後のものを洗浄処理する。この洗浄処理は純水中での超音波洗浄や流水洗浄等により行う。このとき、水の温度や量を調整することによって基体表面の被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属の濃度が0.8〜3.2原子%となるように調整する。例えば、試料の基材が幅10mm、長さ10mm、厚み1mmの純チタン板よりなる場合、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬後の試料を超音波洗浄により予備洗浄し、続いて25mlの新たな純水に浸漬し25℃で5時間保温して加温洗浄する。
【0014】
次に、上記洗浄処理後のものを室温にて乾燥させた後、加熱処理をする。例えば、600〜650℃で1時間加熱する。そうすると、チタンと酸素とを含有すると共に被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属濃度が0.8〜3.2原子%である骨親和性の被膜が基体(チタンまたはチタン合金)の表面に形成されてなる骨代替材料が得られる。即ち、本発明に係る骨代替材料が得られる。ここで、被膜の表面あるいは更に内部でのアルカリ金属の濃度が0原子%の場合、その部分(被膜の表面あるいは更に内部)は酸化チタンからなる。被膜の表面あるいは更に内部でのアルカリ金属濃度が0.8〜3.2原子%の場合、その部分は主に酸化チタンからなるが、それ以外に若干の非晶質のアルカリチタン酸塩も有していると考えられる。
【0015】
このような形態で本発明に係る骨代替材料が得られる。
【0016】
以下、本発明について主にその作用効果を説明する。
【0017】
チタン又はチタン合金よりなる基体に、アルカリ金属イオン(Na+ やK+ 等)を含有するアルカリ水溶液に接触させるアルカリ処理をし、次に洗浄処理をした後、加熱処理をすると、基体の表面にチタンと酸素とアルカリ金属(例えばナトリウム)とを含有する被膜(層)が形成される。X線回折による分析の結果、この被膜は非晶質のアルカリチタン酸塩(例えば非晶質チタン酸ナトリウム)と酸化チタンとからなることがわかる。原理的には未解明な部分が多いものの、この非晶質アルカリチタン酸塩及び酸化チタンはそれぞれ骨親和性を有することがわかっている。尚、上記処理の条件、特に洗浄処理の条件によっては被膜の表面あるいは更に内部がアルカリ金属を含有しないこともあり、この場合には、その部分(被膜の表面あるいは更に内部)は酸化チタンからなる。
【0018】
上記の如くアルカリ処理、洗浄処理、加熱処理をして被膜が表面に形成されたチタン又はチタン合金(以下、被膜形成材という)の表面を走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型分析装置(以降、SEM/EDXという)により調べると、各元素の濃度(原子%)を測定することができる。また、上記洗浄処理の条件を変化させると、得られる被膜形成材の表面のアルカリ金属の濃度を変化させることができる。
【0019】
そこで、上記洗浄処理の条件を種々変化させて得られた被膜形成材について、SEM/EDXを用いて表面のアルカリ金属濃度を測定し、また、高温・高湿下保管後の骨親和性を調べた。この結果、被膜形成材の表面のアルカリ金属濃度と骨親和性の安定性との間に相関関係があることを見出すことができた。そして、被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%(0原子%を含む)である場合に骨親和性の劣化が生じ難く、骨親和性の長期安定性に優れていることがわかった。この詳細を以下説明する。
【0020】
SEM/EDXによる分析の結果、被膜形成材の表面のアルカリ金属の濃度が5.5原子%を超える場合、被膜は非晶質アルカリチタン酸塩(例えば非晶質チタン酸ナトリウム)と酸化チタンとからなる。例えば、アルカリ金属がナトリウムであって被膜形成材の表面のナトリウム濃度が7.5原子%の場合、X線回折による分析の結果は図1に示すとおりであり、この図1からわかる如く被膜は非晶質チタン酸ナトリウムと酸化チタンとからなる。この非晶質アルカリチタン酸塩(例えば非晶質チタン酸ナトリウム)と酸化チタンの中、非晶質アルカリチタン酸塩は不安定な物質であるため、高湿下で長期間保管している間に空気中の水分、酸素、二酸化炭素等と反応して骨親和性を示さない他の物質へと変化する可能性がある。このため、保管する時間とともに本来有している骨親和性を失ってしまうと考えられる。
【0021】
一方、被膜形成材の表面のアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%(0原子%を含む)の場合、被膜形成材の表面には酸化チタンが多く存在し、被膜の少なくとも表面は主に酸化チタンからなる。例えば、アルカリ金属がナトリウムであって被膜形成材の表面のナトリウム濃度が0.8原子%の場合、X線回折による分析の結果は図2に示すとおりであり、この図2からわかる如く被膜は酸化チタンからなる。この酸化チタンは極めて安定な物質であり、空気中の水分、酸素、二酸化炭素等と反応しないため、高温・高湿下で保管した場合においても物質変化は起こらない。このため、酸化チタンの骨親和性は長期間維持される。従って、被膜形成材の表面のアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%の場合、保管に際して骨親和性の劣化が極めて生じ難く、骨親和性の長期安定性に著しく優れていることがわかった。
【0022】
前記アルカリ処理・加熱処理法で得られる骨代替材料は、表面のアルカリ金属濃度が5.5原子%を超える場合の被膜形成材に属するものである。従って、被膜形成材の表面のアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%である場合、保管に際して前記アルカリ処理・加熱処理法で得られる骨代替材料よりも骨親和性の劣化が極めて生じ難く、骨親和性の長期安定性に著しく優れていることがわかった。
【0023】
このとき、被膜の厚み方向全体においてアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%であってもよいが、その必要性は必ずしもなく、被膜の表面でのアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%である場合でもよく、この場合においても、被膜の少なくとも表面は主に酸化チタンからなり、骨親和性の劣化が極めて生じ難く、骨親和性の長期安定性に著しく優れている。従って、被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%(0原子%を含む)であればよく、この場合、被膜の少なくとも表面は主に酸化チタンからなり、骨親和性の劣化が極めて生じ難く、骨親和性の長期安定性に著しく優れていることがわかった。尚、被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属濃度が0原子%の場合、その部分(被膜の少なくとも表面)は酸化チタンからなる。被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属の濃度が0原子%超5.5原子%以下の場合、その部分は主に酸化チタンからなるが、それ以外に若干の非晶質アルカリチタン酸塩(例えば、非晶質チタン酸ナトリウム)も有していると考えられる。
【0024】
本発明は以上の如き知見に基づきなされたものであり、本発明に係る骨代替材料は、アルカリ金属イオンを含有するアルカリ水溶液に接触させるアルカリ処理、次に洗浄処理、その後に加熱処理がされることによって、チタンと酸素あるいは更にアルカリ金属を含有する骨親和性の被膜が表面に形成されたチタン又はチタン合金よりなる骨代替材料であって、前記被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属の濃度が0.8〜3.2原子%であることを特徴とする骨代替材料であることとしている。かかる骨代替材料は、前記知見からわかる如く、被膜の少なくとも表面は主に酸化チタンからなり、保管に際して前記アルカリ処理・加熱処理法で得られる骨代替材料よりも骨親和性の劣化が極めて生じ難く、骨親和性の長期安定性に著しく優れている。
【0025】
ここで、チタンと酸素あるいは更にアルカリ金属を含有する被膜とは、チタンと酸素を含有する被膜(但しアルカリ金属を含有しない)、又は、チタンと酸素とアルカリ金属を含有する被膜のことである。チタンと酸素を含有する被膜は、主に酸化チタンからなる被膜であるといえる。チタンと酸素とアルカリ金属を含有する被膜は、主に酸化チタンと非晶質アルカリチタン酸塩からなる被膜であるといえる。
【0026】
チタンと酸素を含有する被膜では、被膜中のアルカリ金属濃度は厚み方向全体において0原子%であり、被膜表面でも0原子%である。チタンと酸素とアルカリ金属を含有する被膜では、チタン及び酸素の他にアルカリ金属を含有するが、被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属の濃度は0〜5.5原子%であり、0原子%の場合もある。
【0027】
被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属の濃度が0〜5.5原子%であることとは、被膜の表面あるいは更に内部(一部あるいは全部)でのアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%であることである。従って、被膜の表面でのアルカリ金属濃度は必ず0〜5.5原子%であるが、その被膜の内部でのアルカリ金属濃度が同時に0〜5.5原子%であることを要するものではない。即ち、被膜の表面のアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%であると共に被膜の内部でのアルカリ金属濃度が0〜5.5原子%である場合も、被膜の表面でのアルカリ金属の濃度が0〜5.5原子%であると共に被膜の内部でのアルカリ金属の濃度が5.5原子%超である場合もある。尚、アルカリ金属濃度が0〜5.5原子%であることには、アルカリ金属濃度が0原子%であることも含まれる。
【0028】
本発明に係る骨代替材料は、チタン又はチタン合金をアルカリ金属イオンを含有するアルカリ水溶液に接触させるアルカリ処理をし、次に洗浄処理をし、その後に加熱処理をすることによって得られる。従って、前記アルカリ処理・加熱処理法の場合と同程度に簡便な方法により得ることができる。
【0029】
以上よりわかるように、本発明に係る骨代替材料は、チタン又はチタン合金を構成材料の基体とする骨代替材料であって、前記アルカリ処理・加熱処理法の場合と同程度に簡便な方法により得ることができ、しかも保管に際して前記アルカリ処理・加熱処理法で得られる骨代替材料よりも骨親和性の劣化が極めて生じ難く、骨親和性の長期安定性に著しく優れている。
【0030】
被膜表面でのアルカリ金属の濃度が5.5原子%超であると、骨親和性の長期安定性が低下して不充分となる。
【0031】
被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属の濃度は0〜5.5原子%(0原子%を含む)の範囲において低い方が好ましい。アルカリ金属の濃度が低いほど、酸化チタンと非晶質アルカリチタン酸塩の量的関係は、酸化チタン≫非晶質アルカリチタン酸塩となり(酸化チタン量が非晶質アルカリチタン酸塩量より極めて多くなり)、このため、骨親和性の長期安定性がより向上し、確実に高水準の長期安定性を確保し得るようになるからである。かかる点から、アルカリ金属の濃度は0〜3.2原子%であることが望ましい。更には、製造上の点や保管後の骨親和性の点等を考慮すると、0.8〜3.2原子%であることが望ましい。
【0032】
骨親和性の被膜の厚みについては、特には限定されるものではなく、例えば、約0.3 μm 〜5μm から選択される厚みや、それ以上あるいは以下の厚みを採用することができる。
【0033】
本発明に係る骨代替材料は、前述の如く、チタン又はチタン合金をアルカリ金属イオン(Na+ やK+ など)を含有するアルカリ水溶液に接触させるアルカリ処理をし、次に洗浄処理をし、その後に加熱処理をすることによって得られる。このとき、表面に形成される被膜はチタンと酸素あるいは更にアルカリ金属を含有し、少なくとも表面でのアルカリ金属濃度が0.8〜3.2原子%となる必要があるが、そのようになる限りにおいて前記アルカリ処理、洗浄処理、加熱処理の各条件は特には限定されるものではなく、また、これら以外の処理を適宜行うことができ、例えばアルカリ処理前に研磨処理や脱脂処理、洗浄処理後に乾燥処理を適宜行うことができる。
【0034】
前記洗浄処理の際の温度については、30℃以下にすることが望ましい(第2発明)。そうすると、骨親和性の被膜の強度が高く維持され、生体骨と強く固着することができる骨代替材料が得られる。この詳細を以下説明する。
【0035】
アルカリ処理・加熱処理法においてアルカリ処理後等の洗浄を加温水で行った場合、得られる骨代替材料は骨代替材料は生体骨と早期に結合するものの、生体骨との結合強度は高まらず、容易に剥離することが、文献「藤林ら,日本バイオマテリアル学会シンポジウム2000予稿集, P36, (2000年)」に報告されている。
【0036】
アルカリ金属イオンを含有するアルカリ水溶液によるアルカリ処理によって形成された被膜は網目状の微細構造をとっている。この後、30℃を超える純水中で洗浄すると、被膜のごく表層の網目が構造変化を起こすことを確認している。一方、30℃以下の温度の純水中で洗浄する場合は、上記のような網目の構造変化は起こり難く、被膜の強度は高く維持され、生体内に埋植した際に生体骨と強く固着することとなる。かかる点から、洗浄処理の際の温度については、30℃以下にすることが望ましく、この場合に得られる骨代替材料は、骨親和性の被膜の強度が高く維持され、生体骨と強く固着することができるものとなる。
【0037】
本発明に係る骨代替材料において、その表面形状は平滑であってもよいし、ビーズ埋め込み、メッシュ溶接、粉末溶射等による凹凸形状あるいは多孔形状であってもよい。例えば、100〜300μm 程度の口径の開口部を有する多孔形状であれば、孔内部への骨の侵入によるアンカー効果が期待されるため、被膜の骨親和性とあいまってより強く固着することとなる。
【0038】
本発明において、チタンは純チタンのことである。チタン合金としては特には限定されず、例えば合金元素としてAl、V、Mo、Zr、Nb、Ta等を含有するチタン合金を用いることができる。
【0039】
【実施例】
本発明の実施例を以下説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。尚、この実施例においては、評価を簡便且つ正確に行い得るようにするため、基体のチタンとしては骨代替材料として用いる場合の形状及び寸法ものではなく、板形状で且つ小さい寸法の試験片を用いた。
【0040】
(実施例1)
幅10mm、長さ10mm、厚み1mmの純チタン板を#400 の研磨紙を用いて研磨し、アセトンにより洗浄し純水により洗浄し、乾燥させた後、60℃の5M(モル濃度)の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬してアルカリ処理をした。これにより、純チタン板の表面にチタンと酸素とナトリウムからなる層(被膜)、即ち、非晶質のチタン酸ナトリウム層が形成される。
【0041】
次に、上記アルカリ処理後のものを純水中で超音波洗浄した後、表面のナトリウム濃度を調整するため、種々の温度の純水、種々の攪拌手法にて洗浄処理を行った。このとき、純水の温度、水量、攪拌手法、洗浄時間等を変化させた。これにより、表面のナトリウム濃度が減少して種々の濃度に調整される。
【0042】
次に、上記洗浄処理後のものを室温にて乾燥させた後、焼成炉内で600℃で1時間加熱する加熱処理をした。これにより、純チタン板の表面にチタンと酸素とを含有すると共にナトリウム濃度が表1に示す如く0〜7.5原子%である被膜が形成されてなる試料(被膜形成材)が得られた。この被膜形成材の被膜は、ナトリウム濃度:0原子%の場合を除き、酸化チタンと非晶質チタン酸ナトリウムからなり、ナトリウム濃度:0原子%の場合は酸化チタンからなる。尚、被膜の厚みは、0.8〜1.5μm であった。
【0043】
ここで、各被膜形成材の被膜のナトリウム濃度は、表1に示す通りであるが、この濃度値はSEM/EDXにより、倍率:100倍、加速電圧:10kV、測定距離:39mmという測定条件で測定して得られた値である。この測定で得られるナトリウム濃度値は被膜中のナトリウム濃度の平均値的な値であるが、本実施例の場合においては各被膜形成材の被膜の厚みは薄く、被膜中のナトリウム濃度は被膜の厚み方向においても均一であるので、表1に示すナトリウム濃度は被膜中のナトリウム濃度の平均値的な値であると共に、被膜の表面でのナトリウム濃度でもある。
【0044】
上記被膜形成材(試料)について、その製作直後の骨親和性と高温・高湿下保管後の骨親和性を調査し、保管の際の骨親和性の長期安定性を評価した。
【0045】
この骨親和性の調査は、擬似体液中でのHAP(ヒドロキシアパタイト)の形成能を調査することにより行い、このHAP形成能を骨親和性の指標とした。即ち、擬似体液とは、人の体液とほぼ等しい無機イオン組成を有するように調整したpH7.40の水溶液である。骨親和性を有する材料を37℃に保温した擬似体液に浸漬すると、本材料は擬似体液中のカルシウムイオンとリン酸イオンにより数日中に本材料の表面にHAPが形成する。ここでは、擬似体液中に3日間浸漬後のHAP形成状況を光学顕微鏡にて調べ、試料表面積に対するHAP形成面積(HAPが形成されている個所の面積)の割合にて骨親和性を評価した。そして、この評価の結果は、HAPが形成していないものを×、試料表面積に対するHAP形成面積の割合が約30%以下であるものを△、かかるHAP形成面積の割合が30〜60%であるものを○、HAP形成面積の割合が60〜100%であるものを◎で表1のHAP形成状況の欄に表示した。
【0046】
上記被膜形成材(試料)の高温・高湿下保管は、温度40℃、相対湿度90%という加速試験条件の雰囲気下で行った。保管期間は12週間とした。そして、この高温・高湿下保管後の試料の骨親和性を調査し、保管の際の骨親和性の長期安定性を評価した。
【0047】
表1に上記各被膜形成材(試料)の表面でのナトリウム濃度と共に上記調査の結果を示す。上記調査の結果としては、各被膜形成材(試料)の製作直後および高温・高湿下12週間保管後の骨親和性(HAP形成状況)、並びに、保管の際の骨親和性の長期安定性を示した。尚、表1に示すナトリウム濃度は、前述の如く、被膜中の平均的なナトリウム濃度であるが、被膜表面でのナトリウム濃度でもあり、この被膜表面でのナトリウム濃度に等しい。
【0048】
表1からわかるように、試料7〜9のもの(即ち、比較例に係る被膜形成材)の場合には、表面のナトリウム濃度が5.9〜7.5原子%であり、製作直後では骨親和性は良好(◎又は○の水準)であるものの、高温・高湿下で12週間保管後は骨親和性が著しく劣化(◎の水準から△の水準に劣化あるいは○の水準から×の水準に劣化)して骨親和性が良好でなく、不充分(×又は△の水準)となっており、保管の際の骨親和性が不安定であって、骨親和性の長期安定性が良好でない。また、このとき、表面のナトリウム濃度が高いものほど、保管後の骨親和性が低くなっている。
【0049】
これに対し、試料1、5〜6のもの(参考例に係る試料)の場合には表面のナトリウム濃度が0、3.9、5.4原子%であり、製作直後において骨親和性が良好(いずれも◎の水準)であり、高温・高湿下で12週間保管後においても骨親和性が少し低下(◎の水準から○の水準に低下)するだけであって、骨親和性が充分に良好(○の水準)であり、保管の際の骨親和性が安定であって、骨親和性の長期安定性に優れている。試料2〜4のもの(即ち、本発明例に係る試料)の場合には、表面のナトリウム濃度が0.8〜3.2原子%であり、製作直後において骨親和性が良好(いずれも◎の水準)であり、高温・高湿下で12週間保管後においても骨親和性がそのまま維持されており、骨親和性が充分に良好(◎の水準)であり、保管の際の骨親和性が安定であって、骨親和性の長期安定性に優れている。
【0050】
(実施例2)
前記実施例1における洗浄処理の際の純水の温度を変えて数種の試料(被膜形成材)を作製した。このとき、表面のナトリウム濃度を0〜5.5原子%となるように液量及び処理時間を適宜調整した。例えば、洗浄処理時の温度が25℃のとき、液量を25mlとし5時間洗浄処理を行った。洗浄処理に続いて行なう加熱処理の終了後、試料を擬似体液に3日間浸漬して表面にHAPを形成させ、試料を擬似体液中より取り出し、洗浄、乾燥後、セロハンテープを用いた被膜強度評価を行った。
【0051】
上記被膜強度評価の方法を以下説明する。
被膜の強度を直接的に評価するのは困難であるため、被膜上にHAPを形成させた後、HAPを引き剥がし、その剥離のしやすさを指標として被膜の強度を間接的に評価した。
【0052】
引き剥がし試験は、JIS K5400に記載されている塗膜の付着強度評価方法を応用して行った。即ち、HAPを一面に形成させた試料表面にセロハンテープを貼り付け、表面を消しゴムを用いて圧着させる。1〜2分後、セロハンテープを垂直方向に瞬時に引き上げて表層を剥がし、試料面に残存するHAPを光学顕微鏡にて観察した。このとき、倍率200倍で観察し、そして、1視野中でHAPが残存している領域の割合を指標として被膜強度を評価した。
【0053】
表2に各試料(被膜形成材)の洗浄温度、表面でのナトリウム濃度と共に上記調査の結果を示す。尚、上記調査の結果としては、HAP剥離評価結果(HAP残存状況)を示した。HAP残存領域が70%以下の場合を被膜強度低下と判断した。
【0054】
表2からわかるように、洗浄処理の際の温度が30℃を超える場合は、HAP引き剥がし試験後のHAP残存領域は70%以下となったことから、被膜強度は低下したと判断される。一方、洗浄処理時の温度が30℃以下の場合は、HAP引き剥がし試験後のHAP残存領域は80%以上となったことから、被膜強度は高く維持されていると判断される。また、これらの試料表面のナトリウム濃度は0〜5.5原子%の範囲内であることから骨親和性の長期安定性も優れている。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
本発明に係る骨代替材料は、以上のような構成を有し作用をなすものであり、チタン又はチタン合金を構成材料の基体とする骨代替材料であって、アルカリ処理・加熱処理法(特許第2775523 号公報等に記載されている方法、即ち、チタン又はチタン合金よりなる基体の表面をアルカリ水溶液で処理した後、加熱処理するという方法)の場合と同程度に簡便な方法により得ることができ、しかも保管に際して前記アルカリ処理・加熱処理法で得られる骨代替材料よりも骨親和性の劣化が極めて生じ難く、骨親和性の長期安定性に著しく優れており、従って、保管に際して骨親和性という品質を極めて長期に安定して維持することができるという顕著な効果を奏する。即ち、本発明によれば、前記アルカリ処理・加熱処理法の場合と同程度に簡便に、前記アルカリ処理・加熱処理法の場合よりも長期安定性に極めて優れた骨親和性をチタン又はチタン合金よりなる基体に付与し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 被膜形成材(表面のナトリウム濃度:7.5原子%)のX線回折による分析の結果を示す図である。
【図2】 被膜形成材(表面のナトリウム濃度:0.8原子%)のX線回折による分析の結果を示す図である。
Claims (2)
- アルカリ金属イオンを含有するアルカリ水溶液に接触させるアルカリ処理、次に洗浄処理、その後に加熱処理がされることによって、チタンと酸素あるいは更にアルカリ金属を含有する骨親和性の被膜が表面に形成されたチタン又はチタン合金よりなる骨代替材料であって、前記被膜の少なくとも表面でのアルカリ金属の濃度が0.8〜3.2原子%であることを特徴とする骨代替材料。
- 前記洗浄処理が純水でなされ、その温度が30℃以下である請求項1記載の骨代替材料。
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