JPH0629084U - 面状発熱体の構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目 的】 薄く、軽く、外的な力に対抗でき、熱エネ
ルギー効率がよく、均一な温度分布特性を有しており、
発熱体の形状が自由に選択でき、電気特性、温度特性等
の品質のバラつきがなく、生産性がよく低価格なヒータ
ーとすることを目的とした面状発熱体の構造に係るもの
である。 【構 成】 電熱用合金箔材に抵抗体のパターンを写真
製版し、精密エッチング加工によつて発熱用箔抵抗体を
成型する。この発熱用箔抵抗体をアルミニュウム板の表
面にアルミナ酸化処理により電気的に絶縁膜を生成した
基板に張って面状発熱体を構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本案は任意の発熱体形状、高密度で均等な、または任意の温度分布特性、効率 のよい熱伝導、低いエネルギーロス、薄く軽量、外部から応力に対抗できる剛性 等を特徴とする面状発熱体の構造に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】

陶器、セラミック材、耐熱ガラス等に電熱用合金線材（一般にニッケル・クロ ーム線材）を張るかまたは電熱用線材を入れやすいように溝を設けヒーターを形 成する。または雲母板に電熱用合金線材巻き付けたり、張るなどしヒーターを形 成する。特に小型軽量ヒーターの量産に対してはペースト状電熱用合金をセラミ ックプレートにシルクスクリーン印刷し、焼成炉で焼成してヒーターとする技術 （厚膜技術）により面状発熱体とした製品もある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

現在製品化されているヒーターは使用されている電熱線や断熱材の素材面とそ れら素材に起因する構造上の制約により次のような不可避的課題がある。 １． 寸法、特に厚さを薄くできない。 ２． 電熱線を保持する耐熱基板が衝撃や曲げ、ねじり等にたいし弱く破損し やすい。十分な剛性をもたせると厚さが増し重量が重くなる。 ３． 温度分布が均一にならなかったり、逆に任意の温度分布が得られない。 ４． スポット加熱や任意の形状に合わせた発熱体がつくれない。 ５． 電熱線の張り付けや巻き付けの工程の自動化が困難である。 ６． 耐熱基板または絶縁体の材質や形状に起因して熱効率や熱伝導が悪くエ ネルギーロスが大きくなる。

【０００４】

【課題を解決するために手段】

電熱用合金箔シート材または電熱用合金箔フープ材に抵抗体パターンをフォト リソグラフ技術により製版し塩化鉄系溶液中で精密エッチング加工することによ り発熱用箔抵抗体１を形成する。 発熱用箔抵抗体１の形状は面状発熱体に要求される温度分布や温度特性に応じ 抵抗体パターンを自由に変えられ、写真製版技術によるため寸法精度が高く温度 分布や特性の個休差を極めて少なくできる。 アルミニュウム板を電解処理し表面にアルミナ酸化皮膜をつくり電気的に絶縁 膜を持つ基板２とする。基板２で発熱用箔抵抗体１を保持し面状発熱体とする。 発熱用箔抵抗体１を保護する目的で発熱面の上面を耐熱ガラス、ポリミイドま たはテフロン等の耐熱樹脂材または雲母板等により覆い断熱効果を持たせるとア ルミニュウム基板面のみからの片面の発熱体とすることができる。 発熱面の上面を同じくアルミナ酸化絶縁膜を有するアルミニュウム板２で覆え ば発熱用箔抵抗体１を内蔵し両面から発熱する面状発熱体となる。

【０００５】

【作 用】

パターン化された発熱用箔抵抗体は断面積が小さく有効長の長い抵抗体とする ことができ比抵抗が大きく、またパタ−ン形状は精密なので個体差がなく電気抵 抗のバラつきがなく、さらに抵抗体の間隙が小さいため高密度で均一な温度分布 がえられるようパッケージしたヒーターを構成することができる。 アルミニュウム基板は熱伝導性が良好でエネルギーロスが少なく効率がよいの で消費電力が少ない電気ヒーターとすることができる。剛性があるため板厚が薄 くても衝撃や曲げ、捩れ等に耐えられるので全体を極めて薄くすることができ軽 量で高能率の面状発熱体となる。 さらに金属抵抗体は通常大気中における発熱状態では酸化しやすく長期間の使 用に堪えないものがあるが本案においてはアルミニュウム基板と覆いにより加工 される際に酸素を排除するよう窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガス中でシー ルし、残存酸素量を抑制することにより長期間の使用における酸化腐食を最小に できる。 発熱用箔抵抗体はフォトリソグラフ技術とシルクスクリーン印刷により加工さ れるため特殊な形状、スポット、ピンポイントあるいは限定したゾーンの加熱や 保温などに最適なヒーター形状とすることができる。 炊飯用電気釜のアルミニュウム内鍋の外壁周囲と底部にアルミナ酸化膜を生成 し、発熱用箔抵抗体を配しその外周を断熱材でコーティングすれば直接加熱型炊 飯用内釜とすることができ、同様に沸騰型湯沸かしポット、フライパン等の民生 用調理機器への技術の転用が可能である。

【０００６】

【実施例】

図１は電熱用合金箔シート材をフォトリソグラフ技術と精密エッチング技術に より加工して発熱用箔抵抗体として成型された一例を示す。 図２はアルミナ酸化膜面を有する２枚のアルミニュウム基板により発熱用箔抵 抗体を挟み両面より発熱するようにした面状発熱体の構成を示している。 図３は電気炊飯釜の直接加熱型内鍋の構造を示す断面図である。 図４は

【請求項４】に述べられているようにアルミニュウム基板に金属箔抵抗 体と同一のパターン形状の凹溝をエッチング加工によりつくった一例を示す

【０００７】

【考案の効果】

他の従来製品に比較し、電気特性、温度特性のバラつきが共に極めて少なく、 コンパクト、取り扱いが容易、安全、高い熱エネルギー効率、破損しにくい耐久 性などを特徴とする面状発熱体であり、あらゆる産業や工業分野、または民生分 野からの要請に応えうるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】発熱用金属箔抵抗体のパターンの例。

【図２】アルミナ酸化膜によつて電気的に絶縁された面
を持つ２枚のアルミニュウム基板により発熱用金属箔抵
抗体を挟み面状発熱体を構成する例。

【図３】内鍋の外周および底面に発熱用金属箔抵抗体を
張り付け直接加熱型電気炊飯釜の内鍋の構造を示す断面
図である。

【図４】外的な力により箔抵抗体が影響を受けぬようア
ルミニュウム基板の表面を発熱用箔抵抗体のパターンと
同一の形状に凹面にエッチング加工し溝を作り、箔抵抗
体を埋め込むようにしたアルミニュウム基板（パターン
面はアルミナ酸化膜処理されている）

【符合の説明】

１ 発熱用箔膜抵抗体 ２ アルミナ酸化膜によつて電気的に絶縁されたアルミ
ニュウム基板 ３ 電気炊飯釜の内鍋（外周および底面はアルミナ酸化
膜処理されている） ４ 電気炊飯釜の内鍋に張り付けられた発熱用箔抵抗体 ５ 発熱用箔抵抗体の保護と断熱効果のためのコーティ
ング材 ６ アルミニュウム基板面を発熱用箔抵抗体のパターン
と同一の形状に凹面にエッチング加工した例を示す。

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【手続補正書】

【提出日】平成５年７月２９日

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項４

【補正方法】変更

【補正内容】

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電熱用合金箔シート材または電熱用合金
   箔フープ材に抵抗体のパターンを写真製版し、精密エッ
   チング加工によつて発熱用箔抵抗体を成型する。この発
   熱用箔抵抗体を電解処理により表面にアルミナ酸化膜を
   生成し電気的絶縁膜としたアルミニュウム基板に張り付
   け電気ヒーターを構成したことを特徴とする面状発熱体
   の構造。
2. 【請求項２】 請求項１の構造による発熱用箔抵抗体の
   電気ヒーターを張り付けた面を断熱を目的として耐熱ガ
   ラス、ポリミイドまたはテフロン等の耐熱樹脂材または
   雲母板等により覆い発熱用箔抵抗体を保護し、アルミニ
   ュウム基板面のみから発熱し反対側表面は断熱材により
   発熱を遮断した面状発熱体の構造。
3. 【請求項３】 請求項１の構造による発熱用箔抵抗体の
   電気ヒーターを張り付けた面をさらに表面にアルミナ酸
   化膜を生成し電気的に絶縁体としたアルミニュウム基板
   を張り付けて覆い発熱用箔抵抗体電気ヒーターを内蔵し
   両面から発熱するようにした面状発熱体の構造。
4. 【請求項４】 請求項１、２、および３における構造の
   電気ヒーターで発熱用箔抵抗体を張り付けする際アルミ
   ニユウム基板面を発熱用箔抵抗体のパターンと同一の形
   状に凹面にエッチング加工した後、アルミナ酸化膜を生
   成し電気的に絶縁体とし、凹面に発熱用箔抵抗体を組み
   込み物理的な力が掛かっても抵抗体が安定するようにし
   てある面状発熱体の構造。