JPH0628998U - 筒形アルカリ電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 筒形アルカリ電池の電池ケースを兼ねる陽極
缶に陽極端子部を一体形成し、その陽極缶内の陽極端子
部側に強度補強部材を嵌挿して、該陽極端子部の強度補
強を行う。 【構成】 陽極缶１内の陽極端子部２側に嵌挿する強度
補強部材３として、陽極缶１内に嵌まる大きさの円盤部
３ａと、該円盤部３ａに突設した環状壁部３ｂを有する
合成樹脂製成形品を用いた。環状壁部３ｂは成形陽極合
剤４と陰極ゲル６を隔離するセパレータ５の端部内面を
支承し、セパレータ５内底部では陰極ゲル６が強度補強
部材３に直接接している。 【効果】 陽極端子部２の耐変形強度を持たすだけでな
く、合成樹脂製成形品の呈する電気絶縁性と、環状壁部
３ｂがセパレータ５端部内面を支承し閉塞することで、
シール材なしに陽極側と陰極側の隔離ができることにな
って、シール材注入に伴う不良を無くすことができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、電池ケースを兼ねる陽極缶に陽極端子部を一体形成し、その陽極缶 内の陽極端子部側に強度補強部材を嵌挿して、該陽極端子部の強度補強を行った 筒形アルカリ電池に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

筒形アルカリ電池では、従前のメタルジャケット外装方式に代って、電池内容 積の増大を図ることができるラベル外装方式が主流となっている。ところがＬＲ ２０のような大きなサイズで重量もある電池をラベル外装方式で作ると、電池ケ ースを兼ねる陽極缶に一体形成した陽極端子部では、不用意に電池を落下させ該 陽極端子部をぶつけたりすると、使用時に支障を来すような凹み等の変形を生じ ることがあった。そこで、図５に示したように、陽極端子部２を一体形成した陽 極缶１内に強度補強部材３を該陽極端子部２側に挿入することによって強度増強 を図った構成が従来公知である。ところが、この強度補強部材３は金属製であっ たため、陽極缶１内壁面に接して設けた成形陽極合剤４の内側にセパレータ５を 配設後は、セパレータ５内底部にシール材７を注入し、固化したシール材７の層 によって金属製の強度補強板３と陰極ゲル６とを隔離させる必要があった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のように陽極側と陰極側とをシール材で隔離する構成では、シール材の注 入時に、シール材がセパレータ表面に付着したり、底部全面に広がらずに一部残 すところを作ったり、あるいはシール材の注入量不足といった不良を生じさせた し、また固化後のシール材は、図示のように、内側に凹の形状となり、この凹所 内に充填された陰極活物質は有効利用されないといった不都合があった。

【０００４】 本考案は、上記した従来の欠点を改善することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、本考案は、電池ケースを兼ねる陽極缶に陽極端子 部が一体形成され、その陽極缶内の陽極端子部側には該陽極端子部の強度補強部 材が嵌挿されている筒形アルカリ電池において、上記強度補強部材は、陽極缶内 に嵌合する大きさの円盤部と、該円盤部に突設した環状壁部を有する合成樹脂製 の成形品となし、上記環状壁部は成形陽極合剤と陰極ゲルを隔離するセパレータ の端部内面を支承し、セパレータ内底部では陰極ゲルが上記強度補強部材に直接 接していることを特徴とする。

【０００６】 上記円盤部には陽極端子部の内部形状に適合した突出部を形成してもよいし、 環状壁部には適宜の切欠部を設けてもよい。

【０００７】

【作 用】

合成樹脂製成形品である強度補強部材は、陽極端子部の耐変形強度を向上させ る支えとなるだけでなく、その合成樹脂製成形品が呈する電気絶縁性と、環状壁 部がセパレータ端部内面を支承し閉塞することで、シール材を使って陽極側と陰 極側を隔離する必要がなくなる。

【０００８】 また強度補強部材の円盤部に陽極端子部の内部形状に適合した突部を形成する と強度補強は一層効果的となるし、環状壁部に適宜の切欠部を設けると環状壁部 の内側に隠れた陰極活物質の有効利用が図れる。

【０００９】

【実施例】

図１に示した本考案の実施例で、電池ケースを兼ねる陽極缶１に陽極端子部２ が一体形成され、その陽極缶１内の陽極端子部２側には強度補強部材３が嵌挿さ れている。また、陽極缶１の胴部、成形陽極合剤４、セパレータ５、陰極ゲル６ が同心状に配置されている。以上の点では図５の従来例と同じである。

【００１０】 しかし、この強度補強部材３は、従来のような金属製の単なる円盤ではなく、 陽極缶１内に嵌合する大きさの円盤部３ａと、該円盤部３ａの片面に突設した環 状壁部３ｂを有する合成樹脂製成形品であって、上記した環状壁部３ｂによって セパレータ５の端部内面は支承され、セパレータ５の底部では陰極ゲル６が強度 補強部材３に直接接している。上記した合成樹脂としては、ポリオレフィン樹脂 、スチロール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂といった材質が使用できる。

【００１１】 上記のように、陰極ゲル６が強度補強部材３に直接接しても、強度補強部材３ は合成樹脂製であり電気絶縁性を有するから、何も支障はない。従ってシール材 ７の使用は必要なくなる。またシール材７がなくても、上記した環状壁部３ｂに よって巻回されたセパレータ５の端部内面が支承され該部の閉塞がなされるから 、何等支障ないことになる。

【００１２】 円盤部３ａ外径は、陽極缶１内径より若干大きめとして陽極缶１との遊びをな くした方が耐変形強度を増すうえで有効である。円盤部３ａには、要すれば、陽 極端子部２の内部形状に適合した突起部３ｃ，３ｄを形成してもよい。図２に示 した例では、陽極端子部２の中央隆起部２ａに適合した突起部３ｃ、あるいは前 記中央隆起部２ａと同心状をなす環状隆起部２ｂに適合した突起部３ｄを形成し て、陽極端子部２の一層の強度補強を行っている。

【００１３】 環状壁部３ｂの断面形状としては、図３に示したように、断面梯形状とするこ とで尚一層の強度を持たせることができる。また、環状壁部３ｂの内側に隠れる 陰極活物質の有効利用を図るため、図４に示したように、環状壁部３ｂには適宜 の切欠部３ｅを設けてもよい。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は、陽極端子部の耐変形強度を持たすだけでなく、合成樹脂製成形品の 呈する電気絶縁性と、環状壁部がセパレータ端部内面を支承し閉塞することで、 シール材なしに陽極側と陰極側の隔離ができることになって、シール材注入に伴 う不良を無くすことができる。

【００１５】 また、円盤部に陽極端子部の内部形状に適合した突部を形成すると、外力によ って陽極端子部が変形しなくさせる強度補強効果を一層増すことができる。また 環状壁部に適宜の切欠部を設けると、環状壁部の内側に隠れた陰極活物質の有効 利用を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案になる実施例の要部を示す断面図であ
る。

【図２】本考案になる他の実施例の要部を示す断面図で
ある。

【図３】環状壁部の変形例を示す断面図である。

【図４】環状壁部の他の変形例を示す強度補強部材の平
面図である。

【図５】従来の筒形アルカリ電池の要部を示す断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 陽極缶、 ２ 陽極端子部、 ３ 強度補強部材、 ３ａ 円盤部、 ３ｂ 環状壁部、 ３ｃ，３ｄ 突起部、 ３ｅ 切欠部、 ４ 成形陽極合剤、 ５ セパレータ、 ６ 陰極ゲル。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 電池ケースを兼ねる陽極缶１に陽極端子
   部２を一体形成し、その陽極缶１内の陽極端子部２側に
   強度補強部材３を嵌挿して該陽極端子部２の強度補強を
   行った筒形アルカリ電池において、この強度補強部材３
   は、陽極缶１内に嵌まる大きさの円盤部３ａと、該円盤
   部３ａに突設した環状壁部３ｂを有する合成樹脂製成形
   品となし、上記環状壁部３ｂは成形陽極合剤４と陰極ゲ
   ル６を隔離するセパレータ５の端部内面を支承し、セパ
   レータ５内底部では陰極ゲル６が上記強度補強部材３に
   直接接していることを特徴とする筒形アルカリ電池。
2. 【請求項２】 上記円盤部３ａの上面に、陽極端子部２
   の内部形状に適合した突部３ｃ，３ｄを形成しているこ
   とを特徴とする請求項１記載の筒形アルカリ電池。
3. 【請求項３】 上記環状壁部３ｂに適宜の切欠部３ｅを
   設けていることを特徴とする請求項１記載の筒形アルカ
   リ電池。