JPH06289936A - ディジタルサーボ制御装置 - Google Patents

ディジタルサーボ制御装置

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JPH06289936A
JPH06289936A JP9858593A JP9858593A JPH06289936A JP H06289936 A JPH06289936 A JP H06289936A JP 9858593 A JP9858593 A JP 9858593A JP 9858593 A JP9858593 A JP 9858593A JP H06289936 A JPH06289936 A JP H06289936A
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寿男 高野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ディジタルサーボ制御装置において高速位置
決め時の振動の防止及び低速動作時の速度追随性の向
上。 【構成】 制御軸の目標速度に応じて、目標速度が小さ
い程、積分時間が短くなる傾向に、速度フィードバック
ループにおける比例・積分演算の積分時間が可変的に設
定される。目標速度と現在速度との速度偏差及びその速
度偏差の時間に関する積分に対して、設定された比例利
得及び積分時間を作用させて、比例・積分演算により電
流フィードバックループに対する目標電流が演算され
る。この結果、高速位置決め時の振動の防止及び低速動
作時の速度追随性の向上が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーボモータの速度変
動及び振動を防止して最適な制御特性を得るようにした
ディジタルサーボ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、アナログ制御系の欠点を解消する
ために、ディジタルサーボ制御装置が使用されるように
なった。このディジタルサーボ制御装置は、目標値及び
フィードバック値をディジタル値で与えると共に、両者
の偏差演算をディジタルコンピュータで行い、その偏差
に応じた指令値をディジタル値で与え、その値に応じて
制御量をディジタル制御するものである。このようなサ
ーボ制御装置は、一般に、位置、速度及び電流のフィー
ドバックループを備えている。そして、速度フィードバ
ックループでは、目標電流を演算するために速度偏差に
関して比例・積分演算により電流フィードバックループ
に対する目標電流のq軸成分を得るようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の速度フィードバ
ックループにおける比例・積分演算においては、比例利
得及び積分時間をどのように決定するかが制御性能の上
で重要な課題となっている。例えば、速度フィードバッ
クループの伝達関数から最適な比例利得及び積分時間が
求められている。しかし、これらの値はサーボモータが
所定の負荷状態で定速度で回転している定常状態を想定
して固定的に決定されている。このうち積分時間が短い
と目標値に速く収束するが、オーバーシュート、アンダ
ーシュートが発生するために、高速動作時やロボーット
のアームの回転制御の場合には、位置決め時に振動が発
生し、その振動の減衰が遅いという問題がある。一方、
積分時間が長いと、積分項の寄与が小さいため、外乱の
影響を受け、一定速度で運転している時の速度変動が大
きくなるという問題がある。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するために成
されたものであり、その目的とするところは、高速位置
決め時の振動の防止、低速動作時の速度追随性及び速度
安定性を向上させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の構成は、図8に示すように、位置フィードバッ
クループ、速度フィードバックループ、電流フィードバ
ックループを有し、指令値及び帰還値をディジタル量で
与えて、制御軸をサーボ制御するディジタルサーボ制御
装置において、制御軸が時々刻々とるべき目標位置を出
力する目標位置出力手段と、制御軸の現在位置を検出す
る現在位置検出手段と、目標位置出力手段の出力する目
標位置と現在位置検出手段の出力する現在位置との位置
偏差に応じて目標速度を演算する目標速度演算手段と、
制御軸の現在速度を検出する現在速度検出手段と、目標
速度に応じて、目標速度が小さい場合に、速度フィード
バックループにおける比例・積分演算の積分時間が短く
なるように可変的に設定する積分時間設定手段と、目標
速度演算手段により演算された目標速度と現在速度検出
手段により検出された現在速度との速度偏差及びその速
度偏差の時間に関する積分に対して、予め設定されてい
る比例利得及び積分時間設定手段により設定された積分
時間を作用させて、比例・積分演算により電流フィード
バックループに対する目標電流を演算する目標電流演算
手段とを設けたことを特徴とする。
【0006】
【作用】目標位置出力手段からは制御軸が時々刻々とる
べき目標位置が出力され、現在位置検出手段により制御
軸の時々刻々の現在位置が検出される。次に、目標速度
演算手段により、この目標位置と現在位置検出手段によ
り検出さた制御軸の現在位置とから制御軸の位置偏差が
演算され、その位置偏差に応じて制御軸の目標速度が演
算される。
【0007】一方、積分時間設定手段により、目標速度
演算手段により演算された目標速度に応じて、目標速度
が小さい場合に、積分時間が短くなる傾向に積分時間が
決定され、設定される。次に、目標電流演算手段によ
り、目標速度と現在速度検出手段により検出された現在
速度との速度偏差及びその速度偏差の時間に関する積分
に対して、予め設定された比例利得及び積分時間設定手
段により演算された積分時間が作用され、比例・積分演
算により目標電流が演算される。この目標電流に現実の
負荷電流が追随するように電流フィードバックループに
おいて制御される。
【0008】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。図1は本発明に係るディジタルサーボ制御装置
の構成を示したブロックダイヤグラムである。ディジタ
ルサーボ制御装置10は主として、CPU11、ROM
12、RAM13、ディジタルシグナルプロセッサ(以
下「DSP」という)14、CPU23、共通RAM1
7,ROM20、ROM24、A/D変換器15a,1
5b及び現在値カウンタ16から構成されている。CP
U11にはインタフェース19を介して後述する速度し
きい値データVthの入力等を行うキーボード21及びC
RT表示装置22が接続されている。
【0009】ROM12にはCPU11によって実行さ
れる処理プログラムが記憶されている。又、RAM13
にはサーボモータ31の動作指令状態(サーボロック状
態、加減速状態、定速状態)を記憶するフラグ領域及び
サーボモータ31の位置決め、回転指令等を与える移動
指令データの記憶された指令データ領域が設けられてい
る。又、共通RAM17には、CPU11の時々刻々出
力する目標位置が設定される。
【0010】DSP14は位置及び速度制御用の演算を
行い、このDSP14の出力は電流制御用のCPU23
に入力され、CPU23の出力はインバータ25に入力
され、そのインバータ25はCPU23の出力信号に応
じてサーボモータ31を駆動する。サーボモータ31に
は同期モータが用いられ、インバータ25のPWM電圧
制御によりサーボモータ31の負荷電流が制御され、そ
の結果、出力トルクが制御される。サーボモータ31の
u相及びv相の負荷電流はカレントトランスフォーマC
T32a,32bにより検出され、増幅器18a,18
bにより増幅される。その増幅器18a,18bの出力
は、A/D変換器15a,15bに入力され、所定の周
期でサンプリングされ、ディジタル値に変換される。そ
のサンプリングされた値は、瞬時負荷電流のフィードバ
ック値、即ち、現在電流として、CPU23に入力す
る。
【0011】又、サーボモータ31にはパルスエンコー
ダ33が接続され、その現在位置が検出される。パルス
エンコーダ33の出力は波形成形・方向判別回路34を
介して現在値カウンタ16に接続されている。波形成形
・方向判別回路34を介して現在値カウンタ16に入力
されるパルスエンコーダ33からの出力信号は現在値カ
ウンタ16の値を加減させる。DSP14により、現在
値カウンタ16の値は位置フィードバックループのフィ
ードバック値、即ち、現在位置として読み込まれる。そ
して、DSP14により、その現在位置はCPU11か
ら出力された目標位置と比較され位置偏差が算出され
る。そして、DSP14により、その位置偏差に基づい
て目標速度が算出される。
【0012】又、DSP14に入力された現在位置は時
間に関して微分され、速度フィードバックループのフィ
ードバック値、即ち、現在速度が算出される。DSP1
4により、位置偏差に応じて決定される目標速度とその
現在速度とが比較され速度偏差が算出される。そして、
その速度偏差及び速度偏差の時間積分(累積)を用いた
比例・積分演算により、電流フィードバックループにお
ける制御の目標電流のq軸成分(有効電流)が算出され
る。又、目標電流のd軸成分(無効電流)は0とされ
る。
【0013】CPU23により、この目標電流のq軸成
分及びd軸成分は、増幅器18a,18b及びA/D変
換器15a,15bを介してCT32a,32bにて検
出された電流フィードバックループのフィードバック
値、即ち、現在電流のq軸成分及びd軸成分と比較さ
れ、それぞの成分の電流偏差が演算される。そして、こ
の電流偏差及び電流偏差の時間積分(累積)を用いた比
例・積分演算により、その時の指令電流のq軸成分及び
d軸成分が演算される。
【0014】指令電流のq軸成分及びd軸成分は、各相
の指令電流にdq逆変換される。その各相の指令電流は高
周波数の三角波と比較され、インバータ25の各相のト
ランジスタのオンオフを制御する電圧制御PWM信号が
生成される。その電圧制御PWM信号はインバータ25
に出力され、そのインバータ25の各相のトランジスタ
がそれぞれ駆動される。このインバータ25のスイッチ
ングにより負荷電流は目標電流に制御されることにな
る。
【0015】尚、サーボモータ31の位置決めは、CP
U11により現在値カンウタ16の出力値が位置の目標
値に等しくなったと判定された時に完了される。又、A
/D変換器15a,15bによってサンプリングされた
u相、v相の負荷電流は、DSP14によりdq変換され
る。
【0016】本実施例のディジタルサーボ制御装置は、
上述したように、位置、速度及び電流の3つのフィード
バックループにより構成されている。より下位のフィー
ドバックループ程、より高い応答性が要求され、例え
ば、最下位の電流フィードバックループは 100μs 、速
度フィードバックループはその数倍、位置フィードバッ
クループは更にその数倍の時間間隔で同期をとってデー
タのサンプリングが実行され、それぞれのフィードバッ
クループの処理が実行される。
【0017】次に、本実施例装置の作動について説明す
る。図2はROM12に記憶されたCPU11によって
実行されるプログラムを示したフローチャートである。
このプログラムが実行される前の状態では、サーボモー
タ31は停止状態にある。
【0018】ステップ200において、RAM13から
1ブロックの移動指令データ及び作業者によって入力さ
れた積分時間(積分定数)を切り替えて設定するための
経験的に求めた速度しきい値データVthが読み込まれ、
ステップ202において、RAM13のフラグ領域にお
ける加減速フラグがオンとされる。次に、ステップ20
4においてサーボモータ31を停止状態から指令された
定速度までに加速するための加速領域における補間目標
位置が演算され、その補間目標位置及び速度しきい値V
thは時々刻々共通RAM17に出力されそこに記憶され
る。
【0019】次に、加速が終了すると、ステップ206
において加減速フラグがオフとされ、次のステップ20
8においてRAM13のフラグ領域における定速フラグ
がオンとされる。次に、ステップ210において定速領
域における補間目標位置が演算され、その補間目標位置
は時々刻々共通RAM17に出力されそこに記憶され
る。
【0020】次に、ステップ212において1ブロック
の移動指令データに指令目標位置で一旦停止する指令が
含まれているか否かが判定される。停止指令が付与され
ていない場合にはステップ214において、次のブロッ
クの移動指令データが入力され、ステップ210で定速
領域における補間目標位置が演算される。ステップ21
0、214の繰り返しにより、定速で目標位置を順次更
新させ、補間目標位置を順次出力させることができる。
【0021】ステップ212において移動指令データに
一旦停止指令が含まれていると判定された場合には、ス
テップ216において加減速フラグがオンされ、次のス
テップ218において定速フラグがオフされる。そし
て、ステップ220において減速領域の補間目標位置が
順次演算され、その補間目標位置は時々刻々共通RAM
17に出力され、そこに記憶される。
【0022】次に、減速補間が完了した後は、ステップ
222においてサーボロック状態であることを示すため
にRAM13のフラグ領域におけるサーボロックフラグ
がオンとされる。そして、ステップ224において同一
の目標位置が時々刻々共通RAM17に出力され、その
目標位置はそこに記憶される。その結果、サーボモータ
31はサーボロック状態、即ち、通電状態で同一位置に
保持される。
【0023】移動指令データにより指令された時間だけ
の一旦停止が完了した後は、ステップ200に戻り、次
のブロックの移動指令データが読み込まれ、上述のステ
ップと同様にサーボモータの位置制御が行われる。この
ようにして、サーボモータの位置が指令される。
【0024】次に、DSP14はROM20に記憶され
た図3、図5のプログラムを実行し、CPU23はRO
M23に記憶された図4に示すプログラムを実行して、
サーボモータ31の位置、速度、トルク制御を行う。図
3〜図5のプログラムは、DSP14及びCPU23に
よって、所定の最小周期毎に繰り返し実行される。
【0025】ステップ100では、現実行サイクルが位
置偏差演算タイミングか否かが判定され、位置偏差演算
タンミングであればステップ102に移行し、共通RA
MからCPU11によりその時刻で指令された目標位置
θ(i)(補間目標位置) が入力され記憶される。又、過去
一定時間内の目標位置は共通RAM17に保存されてい
る。
【0026】次に、ステップ104において現在値カウ
ンタ16に保持された現在位置(電気角)θa(i)が読み
込まれる。次に、ステップ106において、現時刻(i)
の目標位置θ(i) と現在位置θa(i)との位置偏差Δθ
(i) が演算される。次に、ステップ108において目標
速度V(i) が位置偏差ΔP(i) に比例した値、即ち、次
式により演算される。
【数1】V(i) =k・ΔP(i)
【0027】次に、ステップ109において、目標速度
V(i) に応じて積分時間が決定される。積分時間の決定
は図5に示すプログラムに従って実行される。ステップ
300において、目標速度V(i) が共通RAM17にお
いてCPU11により可変的に設定(ステップ200、
204)された速度しきい値Vth以上か否かが判定され
る。目標速度V(i) が速度しきい値Vth以上であれば、
ステップ302において、積分時間Ti が長い方の値T
iHに設定され、目標速度V(i)が速度しきい値Vthより
小さい場合には、ステップ304において、積分時間T
i が短い方の値TiLに設定される。この値は共通RAM
17に記憶され保持される。このように決定された積分
時間Ti は後述するDSP14によりアクセスされ速度
フィードバックループにおいて目標電流の演算に使用さ
れる。
【0028】以上の位置のフィードバック制御は、図7
の信号S1で示したタイミングで実行される。
【0029】次に、ステップ110において、現実行サ
イクルが速度偏差演算タイミングか否かが判定される。
速度偏差演算タンミングであればステップ112に移行
し、現在値カウンタ16に保持された現在位置θa(n)が
読み込まれる。次にステップ114に移行して、現時刻
(n) における現在速度Va(n)が演算される。現在速度V
a(n)は、前回の速度偏差演算タイミング時に読み込まれ
た現在位置θa(n-1)と、今回入力された現在位置θa(n)
と、速度制御周期Dとに基づいて次式によって演算され
る。
【数2】Va(n)=(θa(n)- θa(n-1)) /D
【0030】次に、ステップ116において、ステップ
108で演算された目標速度V(i)と現在速度Va(n)と
の偏差、即ち、速度偏差ΔV(n) が演算される。又、速
度偏差ΔV(n) の累積値(積分)SがS=S+ΔV(n)
により演算される。次に、ステップ118においてステ
ップ116で演算された速度偏差ΔV(n)及び速度偏差
の積分Sと、共通RAM17に設定されている比例利得
p 及び上述した目標速度V(i) に対応して設定されて
いる積分時間Ti とを用いて、目標電流のq軸成分(有
効電流でサーボモータのトルクに比例する)Iq(n)が次
式により演算される。尚、目標電流のd軸成分(無効電
流)は0である。この速度フィードバック制御は、図7
の信号S2で示したタイミングで実行される。
【数3】Iq(n)=Kp(ΔV(i)+S/Ti ) このように、DSP14は速度制御周期で繰り返し速度
制御を実行する。
【0031】次に、電流制御用CPU23は、図4に示
すプログラムを実行する。ステップ120において、現
実行サイクルが電流偏差演算タイミングか否かが判定さ
れる。電流偏差演算タイミングであれば、ステップ12
2に移行する。ステップ122以下は電流フィードバッ
ク制御であり、この制御は、図7の信号S3に示したタイ
ミングで実行される。ステップ122では、電流制御期
間の先頭から測定した電流検出時刻Δt1 、電流制御期
間の先頭から測定した負荷電流の制御時刻Δt2 と現在
速度Va(n)とを用いて、その時刻に対応した電気角であ
る電流検出時電気角θ1 と制御時電気角θ2 が補間演算
される。
【0032】
【数4】θ1 =θa(n)+Va(n)・Δt1
【数5】θ2 =θa(n)+Va(n)・Δt2
【0033】この時刻Δt1 ,Δt2 と電気角θ1 , θ
2 とは図7に示したように対応している。次にステップ
124に移行して、u相、v相の負荷電流の現在値、即
ち、現在電流Iu,Iv がA/D変換器15a,15bか
ら読み込まれる。次に、ステップ126において、その
現在電流Iu,Iv はdq変換されて、d軸成分Iadとq軸
成分Iaqとが次式によって演算される。
【数6】Iad=21/2 {lusin(θ1+2π/3)-Ivsinθ1
【数7】Iaq=21/2 {Iucos(θ1+2π/3)-Ivcosθ1
【0034】尚、dq座標系は、良く知られたように、d
軸は励磁磁場と同相にとられ、q軸は励磁磁場と電気角
で90°の位相差にとられた座標系である。d軸成分は無
効成分をq軸成分は有効成分を表す。次に、ステップ1
28において、ステップ118で求められた目標電流の
d軸成分Id(n)とq軸成分Iq(n) とステップ126で
求められた現在電流のd軸成分Iadとq軸成分Iaqとの
偏差、即ち、d軸成分偏差、q軸成分偏差が求められ
る。そして、そのd軸成分偏差、q軸成分偏差に基づい
て、比例・積分演算により指令電流のd軸成分Id*
q軸成分Iq* が演算される。
【0035】次に、ステップ130において、次式によ
り、指令電流のd軸成分、q軸成分Id*,Iq* を逆dq変換
して、各相電流指令値Iu*,Iv*,Iw* が演算される。
【数8】Iu* =(2/3)1/2 ・{Id* cosθ2 −Iq*sinθ2
【数9】Iv* =(2/3)1/2 ・{Id* cos(θ2 +2π/3) −I
q*sin(θ2 +2π/3)} 尚、Iw*は、Iw*=-(Iu*+Iv*) によって演算される。
【0036】次に、ステップ132,134において、
各相電流指令値Iu* ,Iv* ,Iw* と高周波数の三角波との
レベル関係を利用して、即ち、平均電圧法を用いて、1
つの制御周期内における一連のPWM信号が生成され
る。一連のPWM信号は、各相の電圧印加状態を示した
電圧ベクトルで表すことができる。回転磁界ベクトル
は、この電圧ベクトルの積分として表される。従って、
各電圧ベクトル×継続時間の和によって回転磁界ベクト
ルの先端の軌跡が描かれる。回転磁界を角度2π/n毎
に円周上の点に最短経路で位置決めするためには、1制
御周期毎に、隣接する2つの電圧ベクトルと零ベクトル
0 の3つのベクトルでインバータ25が制御される必
要がある。この3つの電圧ベクトルの組合せと回転磁界
の位相とは一意的に対応する。回転磁界の位相と電圧ベ
クトルの組合せの対応表(零ベクトルV0 は必ず組合せ
の1要素となるので、2つの電圧ベクトルの組だけで良
い)が、予めROM24に記憶されている。
【0037】ステップ132では、制御時電気角θ
2 (回転磁界の位相) から、ROM24におけるテーブ
ルを検索してその時の電圧ベクトルの組合せを求める。
ステップ134では、各電圧ベクトルの継続時間t1,
2,3 が演算される。例えば、その電圧ベクトルの組合
せが、Vn =(1,1,0), V1 =(1,0,0), V2 =(0,0,0)とな
ったとして、各電圧ベクトルの継続時間t1,2,3
演算される。その演算方法は、本実施例では、良く知ら
れた平均電圧法が用いられている。
【0038】即ち、各相電流指令値Iu* ,Iv* ,Iw* のう
ち、絶対値の大きい2つを大きい順にI1 *,I2 *とすると
き、継続時間t1,2,3 は次式で求められる。
【数10】t1 =|2I2 *+I1 *|・T/Vdc
【数11】t2 =|I1 *−I2 *|・T/Vdc
【数12】t3 =T−(t1+2 ) 但し、Tは周期、Vdcは印加直流電圧である。
【0039】次に、ステップ136において、1組の電
圧ベクトルによるPWM信号が、継続時間t1,2,3
だけ出力される。例えば、V6 =(1,1,0),V1 =(1,0,
0),V0 =(0,0,0)の順に、継続時間t1,2,3 だけ出
力される。又、換言すれば、U相はt1 +t2 だけ電圧
が印加され、V 相はt1 だけ電圧が印加され、W 相には
その制御期間、電圧は印加されない。
【0040】DSP14及びCPU23の各実行サイク
ルは、最小の制御周期で実行されており、その整数倍n
1 で電流フィードバックループが制御され、その整数倍
2で速度フィードバックループが制御され、その整数
倍n3 で位置フィードバックループが制御されるよう
に、ステップ100,110,120で判定の基準とな
る回数が設定されている。但し、n1 <n2 ≦n3 であ
る。上記のサイクルが繰り返し実行されることで、図7
に示したタイミングで、位置、速度、電流のフィードバ
ック制御が行われる。但し、図7に示したタイミングは
CPU11によるプログラム実行時からの計時によって
検出される。
【0041】上記のようなサーボ制御により、停止、加
速、定速度、減速、停止による位置決め動作が実行され
る。上記の位置、速度、電流のフィードバックループを
伝達関数で表示すると図9のようになる。即ち、図6に
示すような台形形状の実線A、Bで示すような目標速度
V(i) が与えられた時に、目標速度V(i) が速度しきい
値Vth以上となると、積分時間Ti は長い値に設定され
るので、比例項が大きく積分項が小さくなる。この結
果、目標の定速度への追随遅れや外乱による速度変動は
大きくなるが、高速な目標速度への移行時のオーバーシ
ュート、アンダーシュートが防止され、高速位置決め時
の振動が防止される。一方、目標速度V(i) が速度しき
い値Vthより小さくなると、積分時間Ti は短い値に設
定されるので、比例積分項が大きくなる。この結果、目
標の定速度への追随遅れが減少し、外乱による速度変動
は小さくなる。よって、低速度での速度制御性能が向上
する。このように、高速動作時は速度の制御性は悪くて
も、低速度での高い速度制御性が要求されるようなアー
クロボットやシーラロボットの動作制御に、本発明は特
に有効である。
【0042】尚、上記実施例では、目標速度に対して、
積分時間を2段階に設定したが、目標速度に比例して積
分時間を連続的に可変設定するようにしても良い。
【0043】
【発明の効果】本発明は、制御軸の目標速度に応じて、
目標速度が小さくなる場合に、速度フィードバックルー
プにおける比例・積分演算の積分時間が短くなる傾向に
可変的に設定する積分時間設定手段と、目標速度と現在
速度との速度偏差及びその速度偏差の時間に関する積分
に対して、予め設定された比例利得及び積分時間演算手
段により演算された積分時間を作用させて、比例・積分
演算により電流フィードバックループに対する目標負荷
電流を演算する目標負荷電流演算手段とを有している。
従って、制御軸が高速度で制御される場合には、積分時
間が比較的長いので、積分項が小さく高速での位置決め
における振動が防止される。又、制御軸が低速度で制御
される場合には、積分時間が比較的短いので、積分項が
大きく低速で移動の速度制御性が良くなり、外乱に対す
る影響を減少させることができる。従って、所定の作業
領域の物体を切断したり、溶接したり、塗装したりする
ように、原点から所定の作業領域又は所定の作業領域か
ら原点までの動作を高速で行い、所定の作業領域は低速
で動作させるようなロボットの軸制御に特に有効であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な一実施例に係るディジタルサ
ーボ制御装置の構成を示したブロックダイヤグラム。
【図2】同実施例装置のCPU11によって処理される
目標位置の指令手順を示したフローチャート。
【図3】同実施例装置で使用されているDSPによる処
理手順を示したフローチャート。
【図4】同実施例装置で使用されているDSPによる処
理手順を示したフローチャート。
【図5】同実施例装置で使用されているDSPによる処
理手順を示したフローチャート。
【図6】CPU11によって指令される目標速度と本実
施例の制御装置による追従速度との関係を示した説明
図。
【図7】位置、速度、電流フィードバック制御のタイミ
ングを示したタイミングチャート。
【図8】本発明の全体の構成を示したブロック図。
【図9】フィードバックループの伝達関数を示したブロ
ック図。
【符号の説明】
10…ディジタルサーボ制御装置 11…CPU(目標位置出力手段) 12…ROM(目標位置出力手段) 13…RAM(目標位置出力手段) 14…DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)(現在
位置検出手段、目標速度演算手段、現在速度検出手段、
積分時間設定手段、目標電流演算手段) 15a,15b…A/D変換器 16…現在値カウンタ(現在位置検出手段) 17…共通RAM(積分時間設定手段) 20…ROM(現在位置検出手段、目標速度演算手段、
現在速度検出手段、積分時間設定手段、目標電流演算手
段) 25…インバータ 31…サーボモータ 32a,32b…カレントトランスフォーマ(CT) 33…パルスエンコーダ ステップ200〜224…目標位置出力手段 ステップ104…現在位置検出手段 ステップ106、108…目標速度演算手段 ステップ112、114…現在速度検出手段 ステップ300〜304…積分時間設定手段 ステップ116、118…目標電流演算手段

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 位置フィードバックループ、速度フィー
    ドバックループ、電流フィードバックループを有し、指
    令値及び帰還値をディジタル量で与えて、制御軸をサー
    ボ制御するディジタルサーボ制御装置において、 前記制御軸が時々刻々とるべき目標位置を出力する目標
    位置出力手段と、 前記制御軸の現在位置を検出する現在位置検出手段と、 前記目標位置出力手段の出力する前記目標位置と前記現
    在位置検出手段の出力する現在位置との位置偏差に応じ
    て目標速度を演算する目標速度演算手段と、 前記制御軸の現在速度を検出する現在速度検出手段と、 前記目標速度に応じて、目標速度が小さい場合に、前記
    速度フィードバックループにおける比例・積分演算の積
    分時間が短くなるように可変的に設定する積分時間設定
    手段と、 前記目標速度演算手段により演算された前記目標速度と
    前記現在速度検出手段により検出された現在速度との速
    度偏差及びその速度偏差の時間に関する積分に対して、
    予め設定されている比例利得及び前記積分時間設定手段
    により設定された前記積分時間を作用させて、比例・積
    分演算により前記電流フィードバックループに対する目
    標電流を演算する目標電流演算手段とを有するディジタ
    ルサーボ制御装置。
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