JPH06288400A - 誘引送風装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘引送風装置を室壁の開口部に設置する際、
その施工性が室壁の工事の影響を受けて低下しないよう
にすることを目的とする。 【構成】 誘引送風機１のチャンバー４の室外９側の側
部に一次空気導入口１３を設けることによって、誘引送
風装置を室壁２の開口部３に設置するのに室壁２張設工
事完了後、室壁２の開口部３に誘引送風機１を設置し、
室外９側から誘引送風機１の一次空気導入口１３に一次
空気圧送管１４を連通接続させることができるので、誘
引送風装置の施工性が室壁２の工事の影響を受けて低下
するのをなくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、おもに住宅などの換気
のために用いられる誘引送風装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、住宅の高気密化が進んでいるが、
この結果換気の必要性が高まっており、低騒音でより快
適な換気を実現し、かつ施工性のよいものが求められて
いる。

【０００３】従来より換気装置は、基本的に電動機と羽
根からなる送風装置により室内の空気を屋外に排出して
おり、室内の快適性を向上させるためには、電動機や羽
根の低騒音化が重要な課題となっていた。

【０００４】そこで、騒音の発生源である電動機や羽根
を用いない換気装置として、実開昭５９−４５４２８号
公報に示すようなものがあった。これは通風路内部に設
けたノズルから一次空気を勢いよく噴射させ、これによ
って通風路内部に発生する誘引作用を利用して室内の換
気を行うものであり、誘引作用効率を高めるためには一
次空気の吹き出し風速を相当高くする必要があるが、こ
の吹き出し風速をあまり高くすると吹き出し音が高くな
ることから、換気効率をあまり高くすることができない
という課題があった。

【０００５】このようなことから、電動機や羽根を用い
ることなく、しかも誘引作用効率を高めるものとして特
開昭６２−５８１００号公報に示すようなものもあっ
た。以下、その構成について図７を参照しながら説明す
る。

【０００６】図に示すように、円錐筒部１０１と円筒部
１０２を滑らかに結んだラッパ状のベンチュリー１０３
と、このベンチュリー１０３の円錐筒部１０１側開口端
部の内側に位置して、その外周部と円錐筒部１０１との
間に環状の隙間Ｂを形成するオリフィス１０４と、この
オリフィス１０４を固定するとともに、オリフィス１０
４、およびベンチュリー１０３を囲み、これらの外側に
形成される箱状のチャンバー１０５と、このチャンバー
１０５と接続された接続管１０７内を通してチャンバー
１０５内部に加圧空気を供給する送風機（図示せず）と
から送風装置が構成されている。そして、オリフィス１
０４の吸込口１０８を、たとえば、室内（図示せず）と
連通させるとともに、ベンチュリー１０３の吐出口１０
９を室外（図示せず）と連通させておき、送風機で加圧
した一次空気１１０をチャンバー１０５内部に送り込む
と、この一次空気１１０が環状の隙間Ｂを通過する際に
その風速が高められて、ベンチュリー１０３内部の吐出
口１０９側に吹き出される。これによって、ベンチュリ
ー１０３内部およびオリフィス１０４内部に誘引作用が
発生し、室内の空気１１１が吸込口１０８から吸い込ま
れていき、ベンチュリー１０３およびオリフィス１０４
内部を通過して吐出口１０９から室外へ排出される。

【０００７】そして上記構成の送風装置は、コアンダ効
果（Ｃｏａｎｄａ ｅｆｆｅｃｔ…気体の噴流が、噴流
軸の方向と湾曲した壁の曲面に沿った方向の近くを流れ
ようとする傾向をいい、流体素子としての応用が考えら
れている。）によって、一次空気の吹き出し音を上げる
ことなく、換気効率を向上させていた。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
誘引送風装置を天井裏あるいは床下等の比較的設置スペ
ースが広い場所に設置する場合には、個々の機器の設
置、および、これらの配管工事も同時に行い、効率よく
完了させることができる。しかし、接続管１０７がベン
チュリー１０３およびオリフィス１０４の中心軸に対し
て垂直方向に設けられているので、図８に示すように、
室壁２０１に設けられた開口部２０２内に設置させる場
合には、接続管１０７が室壁内部に位置し、しかも、室
壁２０１の内部が狭いので、あらかじめ室壁２０１張設
工事施工時に接続パイプ２０３を配管しておき、その施
工工事が完了したのちに、機器を設置しなければならな
く、これによって、誘引送風装置の施工性が大幅に低下
するという問題があった。

【０００９】本発明は上記課題を解決するもので、誘引
送風装置を室壁の開口部に設置する際、その施工性が室
壁の張設工事の影響を受けて低下することのない誘引送
風装置を提供することを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的を達成
するための第１の手段は、室壁に設けられた開口部に設
置される箱状のチャンバー内部に、円錐筒部と円筒部を
滑らかに結んだラッパ状のベンチュリーおよびこのベン
チュリーの円錐筒部側開口端部の内側に位置して、その
外周部と円錐筒部との間に環状の隙間を形成するオリフ
ィスを、前記ベンチュリーの円筒部を室外側に、前記オ
リフィスの吸込口を室内側に連通させて配置し、前記ベ
ンチュリーおよびオリフィスの外周と前記チャンバーの
内周との間で形成された空間部に連通した一次空気導入
口を設けた誘引送風機と、この誘引送風機の一次空気導
入口に連通接続させた一次空気圧送管を通して加圧空気
を前記空間部に供給する加圧空気供給装置とを備え、前
記一次空気導入口を前記室内側あるいは前記室外側に臨
む面に配置してなる誘引送風装置の構成としたものであ
る。

【００１１】また、上記目的を達成するための第２の手
段は、誘引送風機のチャンバーからベンチュリーおよび
オリフィスを分割自在に、かつ室内側から着脱自在とし
た誘引送風装置の構成としている。

【００１２】

【作用】本発明は上記した第１の手段の構成により、室
壁張設工事完了後、室壁の開口部に誘引送風機を設置
し、室内あるいは室外側から誘引送風機の一次空気導入
口に一次空気圧送管を連通接続させ、そして外壁あるい
は内壁面に配管するとともに、この一次空気圧送管と加
圧空気供給装置とを連通接続することによって、その施
工工事が完了することとなる。

【００１３】また、第２の手段の構成により、誘引送風
機のチャンバー内部とベンチュリーおよびオリフィスと
の掃除あるいは点検等のメンテナンス作業がチャンバー
を設置したままの状態で、室内側で容易に行うことがで
きることとなる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の第１実施例について、図１を
参照しながら説明する。

【００１５】図において、１は誘引送風機であり、室壁
２に開口された円筒形の開口部３に設置された円筒箱状
のチャンバー４内部には、円筒部５と円錐筒部６を滑ら
かに結んだラッパ状のベンチュリー７およびこのベンチ
ュリー７の円錐筒部６側開口端部の内側に位置して、そ
の外周部と円錐筒部６との間に環状の隙間Ａを形成する
オリフィス８が設けられており、ベンチュリー７の円筒
部５側端部開口をチャンバー４の室外側側部から室外９
に臨ませるとともに、オリフィス８の吸込口２０を室内
１０に連通させることによって、室内１０と室外９とを
結ぶ排気路１１を形成している。またチャンバー４の室
外側側部には、チャンバー４の内周とベンチュリー７お
よびオリフィス８の外周との間で形成された空間部１２
に連通する一次空気導入口１３が突設されている。そし
て一次空気導入口１３には、一次空気圧送管１４の一方
の端部が連通接続されており、一次空気圧送管１４のも
う一方の端部は、室外９に設置した加圧空気供給装置
（図示せず）に連通接続されている。

【００１６】上記構成において、加圧空気供給装置で５
００〜５０００Ｐａに加圧した一次空気１５を空間部１
２に送り込むと、この一次空気１５は環状の隙間Ａを通
過する際にその風速が高められてベンチュリー７内部の
吐出口１７側に吹き出される。これによって、ベンチュ
リー７内部およびオリフィス８内部に誘引作用が発生
し、室内１０の空気が吸込口２０から吸い込まれてい
き、オリフィス８およびベンチュリー７内部を通過して
吐出口１７から室外９へ排出される。そして、この送風
作用は、コアンダ効果によって、一次空気１５の吹き出
し音を上げることなく、換気効率が向上する。

【００１７】また、上記のように構成した誘引送風装置
の設置方法を以下に説明する。室壁２張設工事完了後、
この室壁２に開口された開口部３に誘引送風機１を挿入
設置する。そして室外９に加圧空気供給装置を設置し、
室外９側から誘引送風機１の一次空気導入口１３に一次
空気圧送管１４の一方の端部を連通接続したのち、一次
空気圧送管１４を外壁面に配管するとともに、もう一方
の端部を加圧空気供給装置に連通接続することによっ
て、その施工工事は完了することとなる。

【００１８】このように本発明の第１実施例の誘引送風
装置によれば、この誘引送風装置を室壁２の開口部３に
設置する際、あらかじめ室壁２張設工事施工時に、室壁
２内部に一次空気圧送管１４を配管しておく必要がなく
なり、これによって、誘引送風装置の施工性が室壁２の
工事の影響を受けて低下するのをなくすことができる。

【００１９】つぎに本発明の第２実施例について図２〜
図３を参照しながら説明する。なお、上記第１実施例と
同一構成要素には同一符号を付し、その説明は省略す。

【００２０】本実施例は上記第１実施例に対し、誘引送
風機１Ａのチャンバー４Ａの形状を、室内１０側が開口
し、室外９側側面の中央にベンチュリー案内孔２１と、
このベンチュリー案内孔２１の外周近傍に複数の嵌合孔
２２とを設けた有底円筒状に形成し、一方、ベンチュリ
ー７Ａの円筒部５Ａをベンチュリー案内孔２１に挿入さ
せるとともに、円筒部５Ａの外周に設けた段部２３の室
外９に向く面に形成された複数の係合凸部２４を嵌合孔
２２に嵌合させることによって、チャンバー４Ａとベン
チュリー７Ａを分割自在に固定し、さらにチャンバー４
Ａの室内１０側開口の内周に設けた雌ねじ部２５にオリ
フィス８Ａの外周に設けた雄ねじ部２６を螺合させるこ
とによって、チャンバー４Ａとオリフィス８Ａとを分割
自在とした点に特徴がある。

【００２１】上記のように構成された誘引送風装置のメ
ンテナンス作業を以下に説明する。まず、室内１０側か
らオリフィス８Ａを回転させることによって、オリフィ
ス８Ａをチャンバー４Ａから外す。つぎにチャンバー４
Ａの開口からチャンバー４Ａ内部に手を挿入し、ベンチ
ュリー７Ａを室内１０側に引っ張って嵌合孔２２から係
合凸部２４を外すことによって、ベンチュリー７Ａを室
内１０側に取り出し、チャンバー４Ａ内部とベンチュリ
ー７Ａおよびオリフィス８Ａとの掃除あるいは点検を室
内１０側で行ったのち、上記とは逆の手順でベンチュリ
ー７Ａおよびオリフィス８Ａをチャンバー４Ａに装着す
ることによって、メンテナンス作業は完了する。

【００２２】このように本発明の第２実施例の誘引送風
装置によれば、誘引送風機１Ａのチャンバー４Ａ内部と
ベンチュリー７Ａおよびオリフィス８Ａとの掃除あるい
は点検等のメンテナンス作業が、チャンバー４Ａを設置
したままの状態で、室内１０側で容易に行うことができ
る。

【００２３】なお、本実施例では一次空気導入口１３を
チャンバー４Ａの室外９側の側部に設け、一次空気圧送
管１４を外壁面に配管したが、これに限定されるもので
はなく、オリフィス８Ａの室内１０側面に設けてもよ
く、その作用効果に差異を生じない。

【００２４】また、チャンバー４Ａの嵌合孔２２にベン
チュリー７Ａの係合凸部２４を嵌合することによって、
チャンバー４Ａとベンチュリー７Ａとを着脱自在に固定
しているが、着脱自在に固定する手段はこれに限定され
るものではなく、図４に示すように、ベンチュリー７Ａ
の円筒部５Ａの外周部に設けた雄ねじ２７と、チャンバ
ー４Ａのベンチュリー案内孔２１の内周部に設けた雌ね
じ２８とを螺合する、あるいは図５に示すように、円筒
部５Ａの外周部に設けたＵリング２９をベンチュリー案
内孔２１の内周部に設けた係合溝３０に係合する、ある
いは図６に示すように、円筒部５の外周部に設けたかぎ
３１をベンチュリー案内孔２１の内周部に設けたかぎ穴
３２に嵌合する、これらいずれの手段でもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上の実施例から明らかなように、本発
明によれば誘引送風装置を室壁の開口部に設置するの
に、室壁張設工事完了後、室壁の開口部に誘引送風機を
設置し、室外側あるいは室内側から誘引送風機の一次空
気導入口に一次空気圧送管を連通接続させることができ
るので、その施工性が室壁の工事の影響を受けて低下す
ることのない誘引送風装置を提供することができる。

【００２６】また、誘引送風機のチャンバーとベンチュ
リーおよびオリフィスとを分割自在に、かつ室内側から
着脱自在に固定することによって、チャンバー内部とベ
ンチュリーおよびオリフィスとのメンテナンス作業性を
大幅に向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の誘引送風装置の設置断面
図

【図２】同第２実施例の誘引送風装置の設置断面図

【図３】同第２実施例の誘引送風機のチャンバーおよび
ベンチュリーの斜視図

【図４】同第２実施例の誘引送風機の他のチャンバーお
よびベンチュリーの斜視図

【図５】同第２実施例の誘引送風機のさらに他のチャン
バーおよびベンチュリーの斜視図

【図６】同第２実施例の誘引送風機のさらに他のチャン
バーおよびベンチュリーの斜視図

【図７】従来の誘引送風機の断面図

【図８】同誘引送風装置の断面図

【符号の説明】

１ 誘引送風機 ２ 室壁 ３ 開口部 ４ チャンバー ５ 円筒部 ６ 円錐筒部 ７ ベンチュリー ８ オリフィス ９ 室外 １０ 室内 １２ 空間部 １３ 一次空気導入口 １４ 一次空気圧送管 １５ 一次空気 ２０ 吸込口 Ａ 環状の隙間

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 室壁に設けられた開口部に設置される箱
   状のチャンバー内部に、円錐筒部と円筒部を滑らかに結
   んだラッパ状のベンチュリーおよびこのベンチュリーの
   円錐筒部側開口端部の内側に位置して、その外周部と円
   錐筒部との間に環状の隙間を形成するオリフィスを、前
   記ベンチュリーの円筒部を室外側に、前記オリフィスの
   吸込口を室内側に連通させて配置し、前記ベンチュリー
   およびオリフィスの外周と前記チャンバーの内周との間
   で形成された空間部に連通した一次空気導入口を設けた
   誘引送風機と、この誘引送風機の一次空気導入口に連通
   接続させた一次空気圧送管を通して加圧空気を前記空間
   部に供給する加圧空気供給装置とを備え、前記一次空気
   導入口を前記室内側あるいは前記室外側に臨む面に配置
   してなる誘引送風装置。
2. 【請求項２】 誘引送風機のチャンバーとベンチュリー
   およびオリフィスとを分割自在に、かつ室内側から着脱
   自在に固定した請求項１記載の誘引送風装置。