JPH06287081A - 複合材料用繊維および繊維強化複合材料 - Google Patents

複合材料用繊維および繊維強化複合材料

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JPH06287081A
JPH06287081A JP5074445A JP7444593A JPH06287081A JP H06287081 A JPH06287081 A JP H06287081A JP 5074445 A JP5074445 A JP 5074445A JP 7444593 A JP7444593 A JP 7444593A JP H06287081 A JPH06287081 A JP H06287081A
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fiber
composite material
matrix
coating layer
ceramic
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Masahiro Asayama
雅弘 浅山
Tsuneji Kameda
常治 亀田
Akiko Suyama
章子 須山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】マトリックスと繊維との間の界面結合力を適正
に制御することが可能であり、破壊靭性値に優れ高い信
頼性を有する繊維強化複合材料を製造することが可能な
複合材料用繊維およびその繊維を使用した複合材料を提
供する。 【構成】セラミックス繊維の表面に、金属、雲母鉱物、
窒化ほう素および二酸化けい素から選択された少なくと
も1種から成る被覆層を形成したことを特徴とする。ま
た金属から成る被覆層は化学的蒸着法(CVD法)また
は物理的蒸着法(PVD法)によって形成することが望
ましい。さらに本発明に係る繊維強化複合材料は、上記
複合材料用繊維を、セラミックス焼結体から成るマトリ
ックス中に分散させたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複合材料用繊維および繊
維強化複合材料に係り、特に割れに対する抵抗力が高く
破壊靭性値や機械的強度が高い繊維強化複合材料を形成
することが可能な複合材料用繊維およびその繊維を使用
した複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】AlN,SiC,Si3 4 など窒化
物、炭化物、ほう化物、けい化物等のセラミックス原料
粉末を所定形状に成形してセラミックス成形体とした後
に、得られたセラミックス成形体を焼結したセラミック
ス焼結体は、一般に、硬度、電気絶縁性、耐摩耗性、耐
熱性、耐腐食性等の諸特性が従来の金属材と比較して優
れているため、重電設備部品、航空機部品、自動車部
品、電子機器、精密機械部品、半導体装置材料などの電
子用材料として広い分野において使用される一方、次世
代の構造用材料として期待されている。
【0003】またガスタービン部品、航空機部品、自動
車部品に使用されるセラミックス構造部品など、耐熱性
および高温強度に加えて高い信頼性を要求されるセラミ
ックス構造部品としては、無機物質や金属から成る繊維
をマトリックス焼結体に分散させて靭性値等を高めた繊
維強化セラミックス複合材料が使用されている。
【0004】従来、上記繊維強化セラミックス複合材料
は、マトリックスを形成するセラミックス原料粉末に所
定割合の繊維と焼結助剤等の添加剤とを配合した原料混
合体を所定形状に成形し、得られた成形体を通常の焼結
法、ホットプレス法、カプセルHIP法等によって焼結
したり、予め繊維のみで所定形状の前駆体(プリカーサ
ー)を作成し、そのプリカーサーの空隙部にマトリック
スを含浸充填するプリカーサー法等によって製造されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような繊維強化複合材料においては、特にマトリックス
と繊維との間の界面結合力(接合力)を適正に制御する
ことが極めて困難であったため、複合材料全体としての
破壊靭性値が低く、信頼性にも乏しい欠点があり、充分
に普及していない原因となっている。すなわち通常の焼
結法によって製造された複合材料ではマトリックスの熱
収縮により繊維が破断する等のダメージが大きく、複合
材料の靭性値が低下したり、またマトリックスに割れが
生じ易い欠点があり、いずれも信頼性が低い難点があっ
た。
【0006】また、カプセルHIP法によって成形体を
等方的に加圧して製造した複合材料においても、高温処
理時に繊維が損傷を受けたり、マトリックスの収縮によ
って繊維が切断される欠点があり、いずれの場合におい
ても高靭性値を有する繊維強化複合材料とすることは困
難であった。
【0007】一方、高温特性を改善するために焼結助剤
を使用せず、原料粉末を成形した後に、特殊な熱処理を
行い、成形体中に反応によって耐熱性が高いSi3 4
やSiCを生成させて緻密な複合材料を形成する反応焼
結法も検討されている。
【0008】この反応焼結によって生じるSi3 4
SiCは原料Si粒子や原料C粒子が窒化反応やけい化
反応によってSi3 4 やSiCとなるため、複合材料
の反応前後の寸法変化は非常に小さい。また合成温度も
低く、かつマトリックスの収縮が少ないため、繊維の損
傷が少なく、また寸法精度が高い複雑形状を有する複合
材料を製造する方法として有望な方法である。この場
合、繊維とマトリックスとが強固に接合すると、収縮率
の相異によって繊維の破断や割れの伝播を阻止する機能
が低下するため、繊維とマトリックスとの間にはカーボ
ンから成る滑り層を形成することが必須となっている。
したがって、上記のような繊維強化複合材料を構成する
繊維としては、表面にカーボン層を形成した繊維が一般
に使用されていた。
【0009】しかしながら、マトリックスとして耐熱性
が高いSiCやSi3 4 を使用し、反応焼結法によっ
て繊維強化複合材料を形成しようとすると、SiCでは
成形体に含浸された溶融Siまたは気体Siが繊維表面
に形成したカーボン層と反応してSiCを形成したり、
カーボンがマトリックス中に固溶したりして、実質的に
カーボン層が消失してしまう問題点があった。そのた
め、マトリックスと繊維とが強固に結合し、両者間の滑
り機能が喪失されてしまう。またSi3 4 の場合にお
いても原料Siの窒化反応の際に原料Siがカーボン層
と反応してカーボン層が喪失され、いずれの場合におい
ても滑り機能を発揮するカーボン層がなくなるため、靭
性値が低い繊維強化複合材料しか得られないという問題
点があった。
【0010】またカーボン成分がマトリックス焼結体中
に残存していても、充分な滑り機能が発揮されず、期待
する靭性改善効果も少ない欠点もあった。さらに、複合
材料の高温における靭性値も、室温における値と殆ど同
程度か、むしろ減少してしまう問題点もあった。
【0011】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、高温度領域においてもマトリックス
と繊維との間の界面結合力を適正に制御することが可能
であり、破壊靭性値に優れ高い信頼性を有する繊維強化
複合材料を製造することが可能な複合材料用繊維および
その繊維を使用した複合材料を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明に係る複合材料用繊維は、セラミックス繊維の表
面に、金属、雲母鉱物、窒化ほう素(BN)および二酸
化けい素(SiO2 )から選択された少なくとも1種か
ら成る被覆層を形成したことを特徴とする。
【0013】さらに金属から成る被覆層は化学的蒸着法
(CVD法)または物理的蒸着法(PVD法)によって
形成することが望ましい。
【0014】また本発明に係る繊維強化複合材料は、セ
ラミックス繊維の表面に、金属、雲母鉱物、窒化ほう素
(BN)および二酸化けい素(SiO2 )から選択され
た少なくとも1種から成る被覆層を形成した複合材料用
繊維を、セラミックス焼結体から成るマトリックス中に
分散させたことを特徴とする。
【0015】ここで複合材料用繊維を構成するセラミッ
クス繊維は、複合材料とした場合のマトリックス基地の
靭性強度を高めるための補強部材であり、その具体例と
しては、炭化けい素繊維、窒化けい素繊維、アルミナ繊
維等が用いられ、複合材料のマトリックスを構成するセ
ラミックス原料粉末に対して60体積%以下の割合で添
加される。添加量が60体積%を超える過量となると、
各繊維周囲にマトリックス基地を均一に配置することが
困難になり、複合材料の強度特性が急激に低下してしま
う。なお、さらに好ましい添加量は30〜50体積%の
範囲である。
【0016】セラミックス繊維の直径および長さは複合
材料の強度特性に大きく影響を及ぼすものであり、本発
明では直径が3〜100μm、長さが100μm〜20
mmの範囲のものを使用するとよいが、連続繊維を使用し
てもよい。直径が3μm未満の場合にはマトリックス基
地の補強効果が少なく、また直径が100μmを超える
太い繊維では、繊維とマトリックス基地との境界界面に
熱膨脹差による応力が生じ易く、割れ等が発生し易くな
る。
【0017】また繊維の長さが100μm未満の場合に
は、クラック進行の抑制効果が少なく靭性の改善効果も
少なくなる。一方長さが20mmを超えるような長大な繊
維を使用した場合には繊維がマトリックス基地中に均一
に分散しにくく、破壊の起点となる繊維の凝塊が形成さ
れ易いため、強度的に好ましくない。なお長さが100
μm〜20mmの繊維を使用することにより、長繊維と同
等の複合効果が得られる。
【0018】また上記セラミックス繊維の表面に形成さ
れる被覆層は、複合材料とした場合においてマトリック
スとセラミックス繊維とが強固に一体に結合することを
防止し、両者間に相互に滑り変形が可能となるようにす
るために設けられる。この被覆層を形成する材料として
は、マトリックスと繊維との間に滑り機能を付与し、か
つ高い焼結温度にも影響を受けず、熱的に安定な金属、
雲母鉱物、窒化ほう素(BN)、シリカ(SiO2 )が
使用される。金属の具体例としては、ニオブ(Nb)、
タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(T
i)、タンタル(Ta)等の高融点金属が使用される。
また雲母鉱物としては、輝石、角閃石、KMg3 [(A
lSi3 )O10](OH)2 、アナイト(KFe3 [(A
lSi3)O10(OH)2 )、白雲母(KAl2 [(A
lSi3 )O10](OH)2 )、パラゴナイト(NaA
2 [(AlSi3 )O10](OH)2 、KMg3 (A
lSi3 )O102 、弗化珪酸カリウムK2 (Si
6 )とアルミナとから合成される板状鉱物(融点13
50〜1410℃)などが使用できる。
【0019】上記被覆層は、焼結時においてセラミック
ス繊維とマトリックスとが直接接触しないようにバリア
として作用し、セラミックス繊維とマトリックスとの界
面結合力を適度に制御するとともに、両者間に滑り機能
を付与して界面における衝撃を緩和し、割れの伝播を界
面において阻止することにより、複合材料全体の破壊靭
性値および機械的強度を増大させる。上記金属製の被覆
層の形成方法としては、金属成分を窒素、水素、アルゴ
ンガス等のキャリアガスとともに移送し、所定の反応温
度以上に加熱されたセラミックス繊維の表面上で分解析
出させる汎用の化学蒸着(CVD)法が好適である。ま
た、金属成分を繊維表面に被覆する真空蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着
(PVD)法で形成してもよい。
【0020】また雲母鉱物やBNによって上記被覆層を
形成する場合は、雲母鉱物、BNの懸濁液中にセラミッ
クス繊維を浸漬した後に乾燥して形成される。なおBN
製被覆層は前記PVD法によって形成することもでき
る。
【0021】さらにSiO2 製の被覆層を形成する場合
は、セラミックス繊維としてSiC繊維またはSi3
4 繊維を選定し、これらの繊維を、空気中などの酸化性
雰囲気において900〜1000℃の温度で0.5〜2
時間加熱することにより、セラミックス成分が容易に酸
化され、セラミックス繊維表面にSiO2 被覆層が効率
的に形成される。
【0022】なお上記被覆層の厚さは、焼結時に、セラ
ミックス繊維とマトリックスとが直接接触しない程度の
厚さに設定する必要があり、具体的には、10オングス
トローム〜数μmで充分である。
【0023】一方、セラミックス繊維の表面に、上記被
覆層を形成すると、場合によってはセラミックス繊維の
可撓性が低下し、立体的な形状物に織りにくくなる。す
なわちセラミックス繊維の形状自由度が小さくなり、複
雑形状を有する複合材料を形成することが困難となる。
【0024】しかるに可撓性を有するセラミックス繊維
を所定形状に織り上げて立体的な織物を形成し、しかる
後にその織物の表面に、被覆層を形成することにより、
可撓性に富んだ段階でセラミックス繊維を所定の複雑形
状に容易に織り上げることが可能であり、繊維の形状自
由度が大幅に改善される。
【0025】上記のように調製した複合材料用繊維をマ
トリックス基地中に埋設した繊維強化セラミックス複合
材料は、例えば下記の工程によって製造される。すなわ
ちセラミックス原料粉末に所定量のセラミックス繊維と
焼結助剤、有機バインダとを添加して混合して原料混合
体を調製し、さらに得られた原料混合体を直接金型プレ
スによって圧縮成形するか、または原料混合体を溶媒中
に分散せしめてスラリーを調整し、このスラリーを鋳込
み成形法(常圧および加圧成形法を含む)、押出し成形
法、射出成形法を使用して繊維を配向させ所定形状の成
形体を調製する。特に上記鋳込み成形法、押出し成形法
または射出成形法を使用することにより、最終製品形状
に近い、いわゆるニアネットシェイプの成形体が得られ
る。次に得られた成形体を乾燥脱脂後、窒素ガスやアル
ゴンガス等の不活性ガス雰囲気中において、常圧焼結
法、熱間静水圧プレス(HIP)焼結法または雰囲気加
圧焼結法により温度1300〜2000℃の範囲で1〜
10時間程度焼結して複合焼結体とされる。
【0026】またマトリックス基地を反応焼結によって
生成するSi3 4 とする場合には、上記複合材料用繊
維で形成した織物内にスリップキャスト法でSi3 4
粉末とSi粉末とを含浸せしめ、得られた成形体を、ア
ンモニアまたはN2 雰囲気中で1300〜1400℃に
加熱して窒化処理を行い、Siの窒化反応によって生成
したSi3 4 によって成形体の空隙部を埋めることに
より緻密に製造される。
【0027】またマトリックス基地を反応焼結によって
生成するSiCとする場合には、SiC微粉末とCとの
混合物を上記繊維織物内にスリップキャスト法で含浸せ
しめて成形体とした後に、Siの融点以上の高温度で溶
融SiまたはSiの気体を成形体中に浸透させることに
より、浸透したSiと成形体中のCとを反応せしめ、二
次的に生成したSiCによって空隙部を埋めて緻密な繊
維強化複合材料が製造される。
【0028】
【作用】上記構成に係る複合材料用繊維によれば、セラ
ミックス繊維の表面に、金属、雲母鉱物、窒化ほう素ま
たは二酸化けい素から成る被覆層が形成されているた
め、焼結操作によって複合材料を形成する場合において
も、被覆層の働きによって、マトリックスとセラミック
ス繊維とが直接接触することが防止される。したがっ
て、マトリックスとセラミックス繊維とを焼結操作で一
体に緻密化した場合においても、両者が適度な界面結合
力によって結合される。そして上記被覆層の介在によっ
てマトリックスとセラミックス繊維との滑り機能が効果
的に発揮されるため、靭性値が高い繊維強化複合材料が
得られる。
【0029】
【実施例】次に本発明を以下の実施例に基づいて具体的
に説明する。
【0030】実施例1〜8 表1に示すような直径を有するセラミックス繊維の表面
に表1に示す所定厚さの被覆層を形成し、図1に示すよ
うに、セラミックス繊維2の表面に、金属、雲母鉱物、
BN、SiO2 から成る被覆層3を形成し、それぞれ実
施例1〜8に係る複合材料用繊維1を調製した。
【0031】ここで実施例1〜5に係る複合材料用繊維
1の被覆層3は、各金属成分をセラミックス繊維2表面
にスパッタリングして形成し、実施例6〜7に係る繊維
1は、各雲母鉱物またはBNの懸濁液中にセラミックス
繊維2を浸漬した後に乾燥して形成した。さらに実施例
8に係る複合材料用繊維1のSiO2 被覆層3は、セラ
ミックス繊維2としてのSiC長繊維を大気中において
温度1000℃で1時間熱処理し、SiC長繊維表面を
酸化して形成した。
【0032】一方、マトリックス材として、平均粒径
0.5μmのα−SiC粉末100重量部に対して焼結
助剤としてのほう素(B)1重量部と、カーボン(C)
2重量部とを添加し、溶媒中で24時間ポット混合し、
得られた混合体を乾燥造粒して平均粒径100μmの造
粒粉を製造した。
【0033】次に前記各複合材料用繊維1を二次元方向
に平織りし、この平織物と、上記調製した造粒粉とをカ
ーボン製ダイス中に交互に10層ずつ積層し、造粒粉に
対する複合材料用繊維1の含有割合が30%となるよう
に調整し、この状態で窒素雰囲気下において、温度19
00〜2000℃、圧力250kg/cm2 で1時間ホット
プレス処理を実施し、各実施例に対応する繊維強化複合
材料を製造した。
【0034】比較例1〜2 実施例1〜9において被覆層3を形成しない点以外は実
施例1〜9と同様な条件で比較例1の複合材料用繊維を
調製し、さらに成形体調製、ホットプレス処理を実施し
て、比較例1に対応する各繊維強化複合材料を調製し
た。また比較例2としてSiCセラミックス繊維の表面
に、カーボンコーティングを施し、厚さ30オングスト
ロームの被覆層を形成した繊維を使用し、実施例1と同
様に処理して比較例2に係る繊維強化複合材料を調製し
た。
【0035】こうして実施例1〜9および比較例1〜2
に係る複合材料用繊維1を使用して形成した繊維強化複
合材料の特性を評価するために、各複合材料から3×1
2×40mmの寸法の試験片を切り出し、4点曲げ強度お
よび靭性値を測定し、下記表1に示す結果を得た。な
お、4点曲げ強度は、JIS 1601に準拠して、室
温、1000℃、1200℃、1400℃の各温度にて
測定する一方、靭性値はSEPB法に準拠して測定し
た。
【0036】
【表1】
【0037】表1に示す結果から明らかなように、セラ
ミックス繊維の表面に、金属、雲母鉱物、BNまたはS
iO2 から成る被覆層を形成した複合材料用繊維を使用
した複合材料においては、マトリックスとの焼結時にお
いても被覆層の働きにより、マトリックス成分とセラミ
ックス繊維とが直接的に接触することが防止され、両者
は適度な界面結合力によって結合される。そして上記被
覆層による滑り機能が効果的に発揮されるため、4点曲
げ強度および破壊靭性値が高い繊維強化複合材料が得ら
れた。
【0038】一方、セラミックス繊維の表面に被覆層を
形成しない比較例1の繊維を使用した複合材料において
は、セラミックス繊維とマトリックスとが直接的に強固
に接合するため、マトリックスの熱収縮に伴うセラミッ
クス繊維の破断割合が高くなるとともに、セラミックス
繊維とマトリックスとの界面における滑りが少なく、割
れの伝播を防止する機能が低下し、複合材料の強度およ
び靭性値が共に低下することが確認された。
【0039】またカーボンコーティングを施した繊維を
使用した従来の比較例2に係る複合材料においては、カ
ーボンコーティング層が高温度になっても全く軟化しな
いため、高温領域において繊維とマトリックスとの間の
滑り機能が発揮されない。そのため複合材料の高温にお
ける靭性値は室温における靭性値と同程度になり、靭性
の改善効果は少なかった。
【0040】一方、SiO2 製の被覆層を形成した実施
例8の繊維を使用した複合材料では、特に高温度領域に
おいて、SiO2 被覆層が軟化し、室温領域と比べて、
さらに大きな滑り作用が発揮されるため、靭性値の改善
効果が室温領域よりも大きくなることが確認された。
【0041】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係る複合材料用
繊維および繊維強化複合材料によれば、セラミックス繊
維の表面に、金属、雲母鉱物、窒化ほう素または二酸化
けい素から成る被覆層が形成されているため、焼結操作
によって複合材料を形成する場合においても、被覆層の
働きによって、マトリックスとセラミックス繊維とが直
接接触することが防止される。したがって、マトリック
スとセラミックス繊維とを焼結操作で一体に緻密化した
場合においても、両者が適度な界面結合力によって結合
される。そして上記被覆層の介在によってマトリックス
とセラミックス繊維との滑り機能が効果的に発揮される
ため、靭性値が高い繊維強化複合材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合材料用繊維の一実施例を示す
斜視図。
【符号の説明】
1 複合材料用繊維 2 セラミックス繊維 3 被覆層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06M 11/83

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス繊維の表面に、金属、雲母
    鉱物、窒化ほう素および二酸化けい素から選択された少
    なくとも1種から成る被覆層を形成したことを特徴とす
    る複合材料用繊維。
  2. 【請求項2】 金属から成る被覆層は化学的蒸着法(C
    VD法)または物理的蒸着法(PVD法)によって形成
    されてなる請求項1記載の複合材料用繊維。
  3. 【請求項3】 セラミックス繊維の表面に、金属、雲母
    鉱物、窒化ほう素および二酸化けい素から選択された少
    なくとも1種から成る被覆層を形成した複合材料用繊維
    を、セラミックス焼結体から成るマトリックス中に分散
    させたことを特徴とする繊維強化複合材料。
JP5074445A 1993-03-31 1993-03-31 複合材料用繊維および繊維強化複合材料 Pending JPH06287081A (ja)

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