JPH06286041A - エンボス用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 原稿の凹凸に極めて忠実な逆凹凸が形成され
ているエンボス用シートを提供する。 【構成】 プラッスチックシートからなる基材シート
と、該基材シート上に形成されている感光性樹脂層とか
らなり、感光性樹脂層の存在の有，無、あるいは、感光
性樹脂層の凸部の高さの相違による凹凸を有するエンボ
ス用シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばポリウレタン樹
脂やポリ塩化ビニル樹脂による合成皮革を製造する際に
利用される凹凸を有する離型紙や、蝕刻による金属製の
エンボス用ロールを得る際の母型となる凹凸を有する金
属メッキ層等を形成する際に使用されるエンボス用シー
トに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】プラッッスチックの表面を凹凸表面にす
るために、通常、蝕刻による金属製のエンボス用ロール
が利用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の蝕刻による金属
製のエンボス用ロールは、原稿の凹凸をシリコーン樹脂
等で忠実に写し取った後、このシリコーン樹脂層に金属
メッキ層を形成し、シリコーン樹脂層から金属メッキ層
を剥取った金属層の凹凸を、金属製のロールの表面に形
成した凹凸面にエッチング液を浸潤させ、該金属製ロー
ルの表面に所定の深さの凹凸を形成させたものである。

【０００４】このため、金属製のエンボス用ロールの表
面に形成される凹凸は、原稿の凹凸の逆凹凸を正確に再
現し得ないという欠点を有する。

【０００５】これに対して本発明は、原稿の凹凸の逆凹
凸に極めて忠実な凹凸が表現されているエンボス用シー
トを提供する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、プラッスチッ
クシートからなる基材シートと、該基材シート上に形成
されている感光性樹脂層とからなり、感光性樹脂層の存
在の有，無、あるいは、感光性樹脂層の凸部の高さの相
違による凹凸を有するエンボス用シートからなる。

【０００７】また、本発明は、凹凸を有する離型紙の製
造のために使用されるエンボス用シートからなる。

【０００８】さらに、本発明は、基材面に溶融押出し積
層した離型性樹脂を冷却するためのチルロールに巻き付
けられて使用されるエンボス用シートからなる。

【０００９】さらにまた、本発明は、蝕刻による金属製
のエンボス用ロールを得る際の母型となる凹凸を有する
金属メッキ層を形成するために使用されるエンボス用シ
ートからなる。

【００１０】前記構成による本発明のエンボス用シート
は、プラッスチックシートからなる基材シートの上表面
の全体に感光性樹脂の塗工層を形成した後、該感光性樹
脂の塗工層面に、原稿を写真撮影したネガフィルムを介
して光照射を施し、次いで、感光性樹脂が光硬化性樹脂
からなる場合には、光照射を受けなかった部分の感光性
樹脂を溶剤で洗い流すことにより、また、感光性樹脂が
光分解性樹脂からなる場合には、光照射を受けた部分の
感光性樹脂を溶剤で洗い流すことにより、容易に得られ
るものである。

【００１１】すなわち、感光性樹脂が光硬化性樹脂から
なる場合には、原稿を写真撮影したネガフィルムの最も
光を透過させ易い部分によって、光硬化した感光性樹脂
層の高さの高い凸部が形成され、また、ネガフィルムの
光透過率がやや劣る部分によって、光硬化した感光性樹
脂層の高さの低い凸部が形成され、さらに、ネガフィル
ムの全く光を透過させることのない部分によって、光硬
化した感光性樹脂層の全く存在しない部分が形成され
る。

【００１２】また、感光性樹脂が光分解性樹脂からなる
場合には、原稿を写真撮影したネガフィルムの最も光を
透過させ易い部分によって、感光性樹脂層の全く存在し
ない部分が形成され、また、ネガフィルムの光透過率が
やや劣る部分によって、光硬化した感光性樹脂層の高さ
の低い凸部が形成され、さらに、ネガフィルムの全く光
を透過させることのない部分によって、光硬化した感光
性樹脂層の高さの高い凸部が形成される。

【００１３】基材シートの上表面の全体に形成される感
光性樹脂の塗工層は、例えば、感光性高分子、反応性モ
ノマー、反応性オリゴマー、光開始剤、増感剤、熱安定
化剤等をバインダー樹脂中に分散させた複合材料によっ
て形成される。

【００１４】感光性樹脂はその反応形態により、（１）
光橋かけを利用するもの、（２）ポリマーの主鎖または
側鎖の１部の光変性を利用するもの、（３）光重合反応
を利用するもの、（４）光分解を利用するものに分類し
得る。

【００１５】（１）の光橋かけを利用する感光性樹脂
は、ポリマーが光橋かけするとゲル化し不溶化する性質
のものであり、ポリマー間の光橋かけは、（ａ）例えば
ポリケイ皮酸ビニル等の側鎖官能基間の２量化反応によ
り橋かけするものと、（ｂ）ジアゾ基およびアジド基を
感光基とする感光性樹脂のように、樹脂中に分散されて
いる２官能性モノマーが橋かけ剤となってポリマーの橋
かけを行なうものとがある。また、ポリマーの側鎖にジ
アゾ基やアジド基を導入した感光性樹脂として、例え
ば、ｐ−ジアゾジフェニルアミンのパラフォルムアルデ
ヒド縮重合物、ポリビニル−ｐ−アジドベンザル樹脂や
アジドアクリレートポリマー等がある。

【００１６】（２）のポリマーの主鎖または側鎖の１部
の光変性を利用する感光性樹脂は、例えば、アジド・ノ
ボラック、オルソナフトキノンジアジド・ノボラック、
ポリ（ｐ−ホルミロキシスチレン）、ｏ−ニトロベンジ
ルコリン酸エステル・Ｐ（ＭＭＡ−ＭＡＡ）、ジヒドロ
ピリジン系、Ｎ−置換マレイミド・スチレン共重合体等
である。

【００１７】（３）の光重合反応を利用する感光性樹脂
には、アクリロイル基を有するモノマーを光重合開始剤
によりラジカル重合させるラジカル重合系のものと、光
照射によりカチオン重合開始剤を発生させる光カチオン
重合系ものとがある。光カチオン重合開始剤としては、
アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、
ジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキル−４
−ヒドロキシフェニルスルホニウム塩、スルホン酸エス
テル、鉄−アレーン化合物、シラノール−アルミニウム
錯体等がある。

【００１８】（４）の光分解を利用する感光性樹脂は、
高分子を光崩壊や光解重合で低分子化することにより、
溶解度を大きくさせるもので、例えば、ポリメチルメタ
クリレート（ＰＭＭＡ）やポリメチルイソプロペニルケ
トン（ＰＭＩＰＫ）等である。

【００１９】なお、光分解性の感光性樹脂を利用した場
合には、前記した通り、露光された部分が溶剤で洗い流
され、露光されてない部分が感光性樹脂層として残る。

【００２０】本発明のエンボス用シートにおいて、基材
シートには、エンボス用シートに必要とされる強度，経
済性等の点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂，ポ
リ塩化ビニル樹脂，ポリスチレン樹脂，ポリオレフィン
樹脂等による厚さ０．２ｍｍ以上のシートが利用され
る。

【００２１】本発明のエンボス用シートを、例えば、合
成皮革の製造の際に利用される微細凹凸を有する離型紙
を得る際のエンボス用シートとして利用する場合には、
本発明のエンボス用シートをロールの表面に巻き付けた
エンボスロールとして使用するのが良く、かかるエンボ
スロールによるエンボスを、ポリプロピレン樹脂層、ポ
リメチルペンテン樹脂層等の離型性樹脂層と紙との積層
シートの離型性樹脂層に施すことにより、合成皮革製造
用の微細凹凸を有する離型紙が得られる。

【００２２】また、本発明のエンボス用シートを巻き付
けたロールを溶融押出し樹脂のチルロールとして使用す
ることにより、例えば、離型紙基材面にポリプロピレン
樹脂層、ポリメチルペンテン樹脂層等の離型性樹脂層を
溶融押出し積層すると同時に、該離型性樹脂層の表面に
エンボスを行なうことのできる溶融押出し積層同時エン
ボスが行なえる。

【００２３】［図１］は、離型性樹脂層の溶融押出し積
層同時エンボスの工程を示すものであり、押出しダイス
１からポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等
の離型性樹脂２を溶融押出して紙３に積層すると共に、
これをニップロール４とチルロール５との間に通し、ポ
リプロピレン樹脂またはポリメチルペンテン樹脂による
離型性樹脂層の表面に、チルロール５に巻き付けてある
エンボス用シートの凹凸を賦形し、符号６で表示される
表面が凹凸面とされている離型紙を得るものである。

【００２４】なお、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペ
ンテン樹脂等による離型性樹脂層を有する離型紙におい
て、離型性樹脂層を２層構成の積層樹脂層で形成し、紙
と接する側の離型性樹脂層に帯電防止剤を含有させるこ
とにより、離型性樹脂層の表面特性に影響を与えること
なく帯電防止効果を得ることができる。

【００２５】本発明のエンボス用シートを、蝕刻による
金属製のエンボス用ロールを得る際の母型となる凹凸を
有する金属メッキ層を形成するために使用することによ
り、原稿の凹凸の逆凹凸に忠実な凹凸を有するエンボス
用ロールが得られる。

【００２６】これは、例えば、（１）天然皮革の表面に
２液硬化型シリコン樹脂を塗布してシリコン樹脂層を形
成した後、該シリコン樹脂層を剥離することからなるシ
リコーン型板の作成、（２）シリコーン型板の凹凸面に
銅メッキ層を形成した後、該銅メッキ層を剥離すること
から銅型板の作成、（３）銅型板の凹凸面に鉄メッキ層
を形成した後、該鉄メッキ層を剥離することからなる鉄
型板の作成、（４）焼き入れを行なった鉄型板の凹凸面
上に鉄ロールを強く圧着させると共に、該圧着面に硝酸
を浸潤させ、鉄型板の凹凸面を鉄ロールに転写すること
からなる元型鉄ロールの作成、（５）元型鉄ロールとマ
ザーミル（鉄）ロールとを強く圧着させると共に、該圧
着面に硝酸を浸潤させ、元型鉄ロールの凹凸面をマザー
ミル（鉄）ロールに転写することからなるマザーミル
（鉄）ロールの作成、（６）焼き入れを行なったマザー
ミル（鉄）ロールを鉄ロールに強く圧着させると共に、
該圧着面に硝酸を浸潤させ、マザーミル（鉄）ロールの
凹凸面を鉄ロールに転写することからなるエンボスロー
ルの作成、（７）エンボスロールに硬質クロムメッキを
施し、必要に応じてバフ研磨やサンドブラストの後加工
を施す工程、からなる従来のエンボスロールの作成工程
において、第１工程の天然皮革の表面に２液硬化型シリ
コン樹脂を塗布してシリコン樹脂層を形成する工程に代
えて、基材シート上に形成されている感光性樹脂層を、
天然の皮革の表面を写真撮影したネガフィルムを通して
露光させて得られたエンボス用シートを利用することに
よって得られる。

【００２７】

【作用】本発明のエンボス用シートの凹凸は、原稿を写
真撮影したネガフィルムを通して感光性樹脂の塗工層を
露光することによって得られるものであるため、原稿を
写真撮影したネガフィルムを適宜修正することにより、
エンボス用シートの凸部の高さを任意に調節することが
できる。

【００２８】したがって、本発明のエンボス用シートに
よれば、原稿の凹凸に極めて忠実なエンボスを形成し得
る。

【００２９】

【実施例】以下、本発明のエンボス用シートの具体的な
構成を、製造実施例に基づいて説明する。

【００３０】厚さ０．３ｍｍのポリエチレンテレフタレ
ートシートからなる基材シートの上表面の全面に、感光
性樹脂として市販されている光硬化型樹脂「旭化成ＡＰ
ＲＧ−４２：旭化成工業 (株) 」を塗工し、厚さ１００
μの感光性樹脂の塗工層を形成した。

【００３１】次いで、前記塗工層面に、爬虫類のナメシ
皮を写真撮影したネガフィルムを接当した後、光照射を
行なうことにより、ネガフィルムを通して露光された部
分の塗工層を硬化させた。

【００３２】続いて、前述のネガフィルムの存在によっ
て未硬化のままになっている感光性樹脂を適当な溶剤で
洗い流すことにより、感光性樹脂層の存在の有，無によ
る凹凸、及び、感光性樹脂層の凸部の高さの相違による
凹凸を有するエンボス用シートを得た。

【００３３】得られたエンボス用シートの凹凸面すなわ
ち感光性樹脂層面に、１００ｇ／ｍ² の上質紙に対して
ポリプロピレンホモポリマー樹脂を３００℃で押出し積
層した積層シートのポリプロピレンホモポリマー樹脂層
面を圧着した後、エンボス用シートを剥離することによ
り、ポリプロピレンホモポリマー樹脂層面がエンボス加
工されている合成皮革製造用の離型紙を得た。

【００３４】このエンボス加工されている離型紙のポリ
プロピレンホモポリマー樹脂層（剥離性樹脂層）面にウ
レタン系樹脂を塗工、硬化させた後、該ウレタン系樹脂
層面に合成皮革用基材である布帛を接着剤を利用して貼
着し、次いで、離型紙を剥離することにより、爬虫類の
ナメシ皮に近似するエンボスの凹凸を有する合成皮革を
得た。

【００３５】

【発明の効果】本発明のエンボス用シートは、プラッス
チックシートからなる基材シートと、該基材シート上に
形成されている感光性樹脂層とからなり、感光性樹脂層
の存在の有，無、あるいは、感光性樹脂層の凸部の高さ
の相違による凹凸を有するものである。

【００３６】前記構成による本発明のエンボス用シート
の凹凸は、原稿を写真撮影したネガフィルムを通して感
光性樹脂の塗工層を露光することによって得られるもの
であるため、凹凸が原稿の凹凸の逆凹凸に極めて忠実に
形成し得ることから、品質の高いエンボスが得られるエ
ンボス用シートとして、実用面での利用価値が極めて高
い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエンボス用シートをチルロールの表面
に巻き付けて使用することにより、溶融押出し積層樹脂
層の形成と該積層樹脂層の表面へのエンボス加工とを同
時に行なう工程を説明する要部断面図である。

【符号の説明】

１ 押出しダイス ２ 溶融押出し樹脂 ３ 紙 ４ ニップロール ５ 表面にエンボス用シートが巻き付けられているチル
ロール

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラッスチックシートからなる基材シ
   ートと、該基材シート上に形成されている感光性樹脂層
   とからなり、感光性樹脂層の存在の有，無、あるいは、
   感光性樹脂層の凸部の高さの相違による凹凸を有するこ
   とを特徴とするエンボス用シート。
2. 【請求項２】 請求項１に記載のエンボス用シート
   が、凹凸を有する離型紙の製造のために使用されること
   を特徴とするエンボス用シート。
3. 【請求項３】 請求項１に記載のエンボス用シート
   が、基材面に溶融押出し積層した離型性樹脂を冷却する
   ためのチルロールに巻き付けられて使用されることを特
   徴とするエンボス用シート。
4. 【請求項４】 請求項１に記載のエンボス用シート
   が、蝕刻による金属製のエンボス用ロールを得る際の母
   型となる凹凸を有する金属メッキ層を得るために使用さ
   れることを特徴とするエンボス用シート。