JPH0628556Y2 - 可搬式リフト車 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、可搬式リフト車に関する。

リフト車は、例えば引越し荷物を中高層建造物のベラン
ダ等高所の作業対象と地上との間で、搬入・搬出・運搬
する高所荷役作業用として、又同様の高所の作業対象に
対し諸作業をなす高所作業用として、その他各種の用途
に用いられている。

「従来の技術」および「考案が解決しようとする問題
点」 このようなリフト車としては従来、走行動力を備えた自
走式タイプすなわちトラック架装タイプのものと、走行
動力を持たぬ牽引式タイプのものとが用いられている。

そして牽引式リフト車は、自走式リフト車に比し、架装
専用トラックを要せず簡便であるという利点を有してい
る。しかしながら反面、この牽引式リフト車は、トラッ
ク，ライトバン等の牽引車輌の後部に連結，牽引，走行
されて、目的地との間で輸送されていた。そこで輸送時
の全長は、牽引車輌の長さとこの牽引式リフト車の長さ
とをプラスしたものとなり、もって自走式リフト車に比
し、移動性の悪さが指摘され、又トレーラ式に運転され
るため高度の運転技術，熟練を要するという問題もあっ
た。

そこで最近可搬式リフト車を輸送する際に、例えば、ト
ラック等の運搬車輌の荷台に積載して輸送する手段が多
用されている。しかし、トラック等の運搬車輌に積載し
て輸送する場合、高度の運転技術、熟練等を要すること
なく極めて容易に輸送することができる反面、運搬車輌
への積込み，積卸しに多くの労力と時間を要する等、そ
の積載作業性の悪さが問題となっていた。

従来例では、このような点が指摘されていた。

本考案は、このような実情に鑑み、上記従来例の問題点
を解決すべくなされたものであって、リフト車の運搬車
輌への積載機構を新たに設けてなることにより、簡便性
を損なうことなく、移動性，積載作業性に優れてなると
共に、操作面，重量面，コスト面等にも優れてなる、可
搬式リフト車を提案することを目的とする。

「問題点を解決するための手段」 この目的を達成する本考案の技術的手段は、次のとおり
である。

この可搬式リフト車は、車台に付設された移動用車輪
と、該車台上に起伏可能に枢支されたブームと、ブーム
に沿って昇降機構により昇降される台車と、台車上に枢
支され荷物等を運搬するバケットとを、有してなってい
る。

そしてこの可搬式リフト車は、可搬式リフト車を移動せ
しめるための専用ウインチと次の専用ワイヤとを備え
た、積載機構を有している。

すなわち専用ワイヤは、一端が専用ウインチに止着，巻
装され、他端が、このような可搬式リフト車が積載され
る運搬車輌の所定個所に対して、着脱自在に取付け可能
となっている。

そして前記台車の昇降機構は、該ブームの基端部近くに
取付けられモータを駆動源として正逆に回転駆動される
ウインチと、一端が該ウインチに止着，巻装され他端が
台車に取付けられ、中間部が該ブームの先端部のシーブ
に掛け渡されて張架状態となっているワイヤと、を備え
てなる。これと共に、駆動源たる該モータのモータ軸
は、切換クラッチを介し、前記昇降機構のウインチと前
記積載機構の専用ウインチとに接続され、該モータと切
換クラッチにより、該ウインチ又は該専用ウインチのい
ずれかが選択されて回転駆動可能となっており、もっ
て、前記昇降機構のウインチ用の駆動源と前記積載機構
の専用ウインチ用の駆動源とが、兼用されている。

「作用」 本考案に係る可搬式リフト車は、このような手段よりな
るので、次のごとく作用する。

この可搬式リフト車は、運搬車輌の荷台に積載されて、
目的地との間で輸送される。

そしてこの可搬式リフト車の運搬車輌の荷台への積込
み，積卸し等は、次のように行われる。

すなわち、積載機構の専用ワイヤの他端を、運搬車輌の
所定個所に取付ける。しかる後、専用ウインチの正逆回
転駆動により、専用ワイヤの繰出し又は巻取りが行われ
る。

すると可搬式リフト車は、運搬車輌の場合，地上，両者
間に介装されたブリッジ，板等の上を、自らを専用ワイ
ヤにより牽引しつつ移動用車輪により移動する。このよ
うにして可搬式リフト車は、簡単容易に、引っ張り上げ
られ又は卸ろされて、その積込み，積卸し等の積載作業
が完了する。

なお目的地においては、ブームを起立させて、高所の作
業対象にその先端部を対向位置させる。それから昇降機
構のウインチの正逆回転駆動により、台車がブームに沿
って昇降され、この台車上のバケットにより荷物等が地
上と高所の作業対象間で運搬される。

さて、この可搬式リフト車にあっては、駆動源たるモー
タが昇降機構用と積載機構用とに兼用されている。そし
て、運搬車輌への積込み，積卸し等の積載作業に際して
は、切換クラッチの切換えにより、積載機構の専用ウイ
ンチが正逆回転駆動され、その専用ワイヤの繰出し又は
巻取りが行われる。又、台車の昇降に際しては、切換ク
ラッチの切換えにより、昇降機構のウインチが正逆回転
駆動され、そのワイヤの繰出し又は巻取りが行われる。

この可搬式リフト車にあっては、このように、昇降機構
用として従来より使用されている駆動源たるモータに、
切換クラッチを付設したことにより、これを積載機構用
としても利用してなる。そして、切換クラッチの切換操
作のみによって、共通のモータが、積載機構や昇降機構
の駆動源として選択使用されるので、まず、積載機構の
操作が特に容易であると共に、構成も簡単であり全体の
重量が軽くコストも低減される。

「実施例」 以下本考案を、図面に示すその実施例に基づいて、詳細
に説明する。

第１図はその正面図である。

この可搬式リフト車Ｌは、車台１に付設された移動用車
輪２と、車台１上に少なくとも起伏可能に枢支されたブ
ーム３と、ブーム３に沿って昇降機構４により昇降され
る台車５と、台車５上に枢支され荷物等を運搬するバケ
ット６とを有している。荷物等はこのようなバケット６
により、高所の作業対象と地上との間で運搬される。

ブーム３について詳述すると、車台１上にはブーム３が
起伏機構７とピン８とにより、起伏可能に枢支されてい
る。そして図示の起伏機構７は、油圧シリンダーをブー
ム３と車台１との間に、両端を枢着して介装する方式よ
りなるが、その他各種の方式が可能である。又ピン８
は、ブーム３の基端部に固設された取付部９と、車台１
に固設された取付部１０間に設けられている。

又ブーム３は、図示のごとく伸縮可能な３段式、その他
多段式のものが多く用いられている。そしてシリンダ
ー，ワイヤ等を用いた伸縮機構（図示せず）により、そ
の２段目以降の張り出しと収納とが行われる。その他ブ
ーム３としては、梯子状のいわゆるラダーたる多段ブー
ム、断面正方形のもの断面略扁平形のもの、直伸式のも
の屈折式のもの、その他各種の方式，形状等のものが可
能である。

更にブーム３は、図示例によらず、ターンテーブル等を
用い車台１上に旋回可能に配設するようにしてもよい。

次に台車５等について詳述すると、係るブーム３に沿っ
て台車５は昇降される。すなわち、台車５は車輪１１を
備え、ブーム３上をその基端部と先端部間で、昇降機構
４により昇降される。台車５上には、荷台，作業台等の
架台１２がピン１３により枢支され、この台車５と架台
１２間には、架台１２を水平姿勢等に制御して台車５上
に支持するチルト機構１４等の姿勢制御機構が配設され
ている。そして荷物等の積載物を収納して上面が開放さ
れた箱状のバケット６が、このような架台１２上に取付
けられることにより台車５上に枢支され、台車５により
運搬される。

次に昇降機構４について詳述する。

昇降機構４は、次のウインチ１５とワイヤ１６とを備え
てなっている。まずウインチ１５は、ブーム３の基端部
近く等に取付架台１７等により取付けられ、油圧モー
タ，電動モータ等の駆動源に減速機，ブレーキ等を介し
接続され（図示せず）、もって正逆に回転駆動される。
ワイヤ１６は、一端１６_１がこのウインチ１５に止着，
巻装され、他端１６_２が台車５に取付けられ、中間部を
ブーム３の先端部に設けられたシーブ１８に掛け渡され
て、常時張架状態となっている。

次に積載機構１９について詳述する。

積載機構１９は、例えばブーム３に取付けられた可搬式
リフト車Ｌを移動せしめるための専用ウインチ２０と、
次の専用ワイヤ２１とを備えている。すなわち専用ワイ
ヤ２１は、一端２１_１が専用ウインチ２０に止着，巻装
され、他端２１_２が、このような可搬式リフト車Ｌが積
載されるトラックＴ等運搬車輌の所定個所に対して、着
脱自在に取付け可能となっている。図示例では、この他
端２１_２はフック２２を備え、このフック２２が対応す
るトラックＴの荷台２３に固設された受部材２４に係脱
可能となっている。

又この積載機構１９の専用ウインチ２０の駆動源として
は、次の方式が考えられる。

第１には、手動方式がある。第２図はその１例を示し、
手動クランク２５が減速ギヤ２６を介し専用ウインチ２
０に接続されてなっている。２７は取付架台である。

第２には、専用の油圧モータ，電動モータ等を単独に用
いる方式がある。

第３には、前記昇降機構４のウインチ１５用のものと兼
用する方式である。そして本考案では、この第３の兼用
する方式が採用されている。第３図はその１例を示し、
両軸モータ２８の両モータ軸は、それぞれ切換クラッチ
２９，減速機３０を介して、前記昇降機構４のウインチ
１５と、この積載機構１９の専用ウインチ２０とに、接
続されている。そこで両軸モータ２８と切換クラッチ２
９とにより、いずれかのウインチ１５又は専用ウインチ
２０が、適宜選択されて回転駆動されることになる。３
１は取付架台である。

なお移動用車輪２は、前後の小径および大径車輪より構
成されている。

又図中３２は、可搬式リフト車Ｌを地上等に安定的に保
持するジャッキたるアウトリガーであり、３３は、荷台
２３と地上との間に介装されたブリッジである。

以上が構成の説明である。

次に作動等について説明する。

可搬式リフト車Ｌは、目的地との間の輸送の容易化等を
図るため、トラックＴの荷台２３に積載されて、目的地
との間で輸送される。

そして可搬式リフト車ＬのトラックＴの荷台２３への積
込み，積卸し等は、次のように行われる。

まず積載機構１９の専用ワイヤ２１の他端２１_２のフッ
ク２２を、トラックＴの荷台２３の所定個所の受部材２
４に係合させて、取付ける。

次に可搬式リフト車ＬのトラックＴの荷台２３への積込
み，積卸し等が、行われることになる。

すなわち、可搬式リフト車Ｌを移動せしめるための専用
ウインチ２０の正逆回転駆動により、専用ワイヤ２１の
繰出し又は巻取りが行われる。すると可搬式リフト車Ｌ
は、トラックＴの荷台２３，地上，ブリッジ３３等の上
を、自らを専用ワイヤ２１により牽引しつつ、移動用車
輪２の転動により移動する。

このようにして可搬式リフト車Ｌは、簡単容易に、引っ
張り上げられ又は卸ろされて、その積込み，積卸し等の
積載作業が完了する。しかもこれらは、簡潔な構成の積
載機構１９により実現される。

なお目的地においては、フック２２の受部材２４との係
合は解かれ、専用ワイヤ２１は他端２１_２付近まで専用
ウインチ２０に巻装される。そしてブーム３を起立，伸
縮させて、高所の作業対象たる中高層建造物のベランダ
等に、その先端部を対向位置させる。

それから昇降機構４のウインチ１５の正逆回転駆動によ
り、ワイヤ１６の繰出し又は巻取りが行われ、もって台
車５がブーム３の先端部と基端部間を昇降される。もっ
て台車５上のバケット６により、荷物等が地上とベラン
ダ等の間で運搬されることになる。

さて、この可搬式リフト車Ｌにあっては、台車５の昇降
機構４のウインチ１５用の駆動源と、運搬車輌たるトラ
ックＴの荷台２３への積載機構１９の専用ウインチ２０
用の駆動源とが、兼用されている。そして、可搬式リフ
ト車Ｌの運搬車輌たるトラックＴの荷台２３への積込
み，積卸し等の積載作業に際しては、切換クラッチ２９
（第３図参照）の切換えにより、駆動源たるモータ例え
ば両軸モータ２８にて、積載機構１９の専用ウインチ２
０が正逆回転駆動され、その専用ワイヤ２１の繰出し又
は巻取りが行われる。他方、台車５のブーム３に沿った
昇降に際しては、切換クラッチ２９の切換えにより、共
通の駆動源たる両軸モータ２８にて、昇降機構４のウイ
ンチ１５が正逆回転駆動され、そのワイヤ１６の繰出し
又は巻取りが行われる。

この可搬式リフト車Ｌにあっては、このように、台車５
の昇降機構４のウインチ１５用として従来より必須的に
使用されている既設の駆動源に、切換クラッチ２９を付
設したことにより、これをトラックＴ等の運搬車輌への
積載機構１９の専用ウインチ２０用としても、利用して
なる。そして、切換クラッチ２９の切換操作のみによっ
て、共通の両軸モータ２８が、積載機構１９や昇降機構
４の駆動源として選択使用されるので、まず、積載機構
１９の操作が特に容易であると共に、構成も簡単であ
り、可搬式リフト車Ｌ全体の重量が軽くコストも低減さ
れる。

以上が作動等の説明である。

「考案の効果」 本考案に係る可搬式リフト車は、以上説明したごとく、
簡単な構成のリフト車の運搬車輌への積載機構を新たに
設けてなること等により、可搬式リフト車の目的地との
間の輸送の容易化等を図るため、運搬車輌に積載して輸
送する際、運搬車輌への積込み，積卸しに要する労力と
時間が著しく軽減され、積載作業性にも優れている。そ
してこれらは、台車の昇降機構と運搬車輌への積載機構
について、共通の駆動源たるモータを用い、切換クラッ
チにて選択使用するようにしたことにより、操作面，重
量面，コスト面等に優れて実現される。もって、この種
従来例に存した問題点が一掃される等、その発揮する効
果は、顕著にして大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る可搬式リフト車の正面図であ
り。 第２図および第３図は、それぞれ専用ウインチの駆動源
を示す正面図であり、第２図は手動方式のものを、第３
図は、本考案にて採用された兼用方式のものを示してい
る。 １…車台 ２…移動用車輪 ３…ブーム ４…昇降機構 ５…台車 ６…バケット １９…積載機構 ２０…専用ウインチ ２１…専用ワイヤ ２１_１…一端 ２１_２…他端 ２４…受部材（所定箇所） Ｌ…可搬式リフト車 Ｔ…トラック（運搬車輌）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車台に付設された移動用車輪と、該車台上
   に起伏可能に枢支されたブームと、該ブームに沿って昇
   降機構により昇降される台車と、該台車上に枢支され荷
   物等を運搬するバケットとを有してなる可搬式リフト車
   において、 付設された前記可搬式リフト車を移動せしめるための専
   用ウインチと、一端が該専用ウインチに止着，巻装さ
   れ、他端が、このような可搬式リフト車が積載される運
   搬車輌の所定個所に対して、着脱自在に取付け可能な専
   用ワイヤと、を備えた積載機構を有してなると共に、 前記台車の昇降機構は、該ブームの基端部近くに取付け
   られモータを駆動源として正逆に回転駆動されるウイン
   チと、一端が該ウインチに止着，巻装され他端が台車に
   取付けられ、中間部が該ブームの先端部のシーブに掛け
   渡されて張架状態となっているワイヤと、を備えてな
   り、 駆動源たる該モータのモータ軸は、切換クラッチを介
   し、前記昇降機構のウインチと前記積載機構の専用ウイ
   ンチとに接続され、該モータと切換クラッチにより、該
   ウインチ又は該専用ウインチのいずれかが選択されて回
   転駆動可能となっており、もって、前記昇降機構のウイ
   ンチ用の駆動源と前記積載機構の専用ウインチ用の駆動
   源とが、兼用されていること、を特徴とする可搬式リフ
   ト車。