JPH06284610A - 永久磁石式回転電機 - Google Patents

永久磁石式回転電機

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JPH06284610A
JPH06284610A JP5073986A JP7398693A JPH06284610A JP H06284610 A JPH06284610 A JP H06284610A JP 5073986 A JP5073986 A JP 5073986A JP 7398693 A JP7398693 A JP 7398693A JP H06284610 A JPH06284610 A JP H06284610A
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JP
Japan
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permanent magnet
magnetic
electric machine
rotor
stator
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JP5073986A
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English (en)
Inventor
Kazuto Sakai
和人 堺
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】径方向のステータコイルと鎖交する磁界の磁束
量を僅かな低下に抑え、且つ回転電機の体積を大きくす
ることなく、永久磁石をロータ鉄心に強固に固定するこ
とにある。 【構成】磁性材のステータ鉄心12にステータコイル1
3を巻装してなるステータ11内にロータ鉄心15の外
周面に界磁極を形成する複数個の永久磁石16を配置し
てなるロータ14を空隙部を存して設ける構成の永久磁
石式回転電機において、磁束密度が0.5〜0.8
(T)で比透磁率が100以上あり、且つ磁束密度が
1.6(T)以上で比透磁率が100以下の磁気特性を
有する磁性材で構成した保持環17を永久磁石16の外
周面に嵌込んで永久磁石16をロータ鉄心15に固定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超高速回転、又は高温環
境下で動作する永久磁石式回転電機に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】20000rpm 以上の超高速回転電機で
は、回転時のロータの遠心力はかなり大きくなる。
【0003】誘導機や一般の回転磁界の同期機は、ロー
タにコイルがあるため、超高速で回転させるとコイルの
強度は遠心力に耐えることはできない。さらに、ロータ
コイルによりロータに熱が発生してロータが歪んだり、
軸方向に伸びて高速回転が困難になる。
【0004】一方、ロータの界磁に永久磁石を用いた回
転電機の場合、ロータにはコイルがないため熱が発生せ
ず、超高速回転が比較的容易である。しかし、永久磁石
回転電機は、ロータ鉄心の外周面に永久磁石を接着する
構成となっているため、この永久磁石に大きな遠心力が
作用すると永久磁石をロータ鉄心に固定している接着剤
が高速回転時の遠心力の引張り強度に耐えることができ
ず、永久磁石が飛散してしまう虞がある。
【0005】そこで、従来の超高速回転用の永久磁石式
回転電機としては、図14及び図15に示すような構造
が採用されている。即ち、図14及び図15に示すよう
にステータ鉄心2のスロットにステータコイル3を納め
たステータ1内に空隙部を存して設けられるロータ4と
して、ロータ鉄心5の外周面に設けられた界磁極を形成
する複数個の永久磁石6の外周面にSUS304、イン
コネル等の非磁性鋼材で肉厚にして作られた保持環7を
嵌込んだり、或いはタングステンワイヤやケプラ繊維等
の線材やエポキシガラステープ等を永久磁石6の外周面
に巻付けてロータ鉄心5に強固に固定し、遠心力に対す
る引張り強度に耐えられるようにしている。
【0006】また、200℃以上の高温環境下で使用さ
れる永久磁石式回転電機では、ロータ鉄心5に永久磁石
6を接着剤にて固定すると、接着剤が熱劣化して接着力
がなくなるため、上記の超高速回転機の場合と同様に永
久磁石6の外周面に保持環7を嵌込んで永久磁石6をロ
ータ鉄心5に強固に固定している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的に電
気機械のヨークとして使用されるS45Cの構造材を磁
性材として保持環を製作し、この保持環を図15に示す
ように永久磁石6の固定に用いると保持環7と永久磁石
6とロータ鉄心5間で磁気回路が短絡となり、ロータで
発生した界磁磁束の多くがステータコイル3と鎖交せ
ず、回転電機の出力は非常に小さくなる。
【0008】このため、従来では前述したように永久磁
石6をロータ鉄心5に固定する手段として、SUS30
4、インコネル等の非磁性鋼材で作られた保持環7を永
久磁石6の外周面に嵌込んだり、タングステンワイヤや
ケプラ繊維等の線材やエポキシガラステープ等を永久磁
石6の外周面に巻付けてロータ鉄心5に固定するように
している。
【0009】しかし、ステータ1とロータ4との間の空
隙部に保持環7を構成する非磁性材が配置されると磁気
的な空隙長が長くなるため、この空隙部間で起磁力が大
きく低下する。従って、この空隙部での磁束密度の低下
により、回転電機の出力が低下するという問題がある。
【0010】また、200℃以上の高温環境下で使用さ
れる永久磁石式回転電機では、永久磁石6をロータ鉄心
5にタングステンワイヤやケプラ繊維等の線材やエポキ
シガラステープ等を巻付ける構成が採れないため、前述
したように保持環にて永久磁石6をロータ鉄心5に固定
しているが、上記高速回転機の場合と同様の問題があ
る。
【0011】本発明は上記のような問題を解消するため
になされたもので、径方向のステータコイルと鎖交する
磁界の磁束量を僅かな低下に抑え、且つ回転電機の体積
を大きくすることなく、永久磁石をロータ鉄心に強固に
固定できる永久磁石式回転電機を提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、次のような手段により永久磁石式回転電機
を構成するものである。
【0013】請求項1に対応する発明は、磁性材のステ
ータ鉄心にステータコイルを巻装してなるステータ内に
ロータ鉄心の外周面に界磁極を形成する複数個の永久磁
石を配置してなるロータを空隙部を存して設ける構成の
永久磁石式回転電機において、前記永久磁石の外周面に
飽和磁束密度の低い磁性材で構成された保持環を嵌込ん
で前記永久磁石を前記ロータ鉄心に固定するものであ
る。
【0014】請求項2に対応する発明は、上記保持環を
磁束密度が0.5〜0.8(T)で比透磁率が100以
上あり、且つ磁束密度が1.6(T)以上で比透磁率が
100以下の磁気特性を有する磁性材で構成したもので
ある。
【0015】請求項3に対応する発明は、磁性材のステ
ータ鉄心にステータコイルを巻装してなるステータ内に
ロータ鉄心の外周面に界磁極を形成する複数個の永久磁
石を配置してなるロータを空隙部を存して設ける構成の
永久磁石式回転電機において、永久磁石に対応する部分
が磁性材、N極とS極の極間に対応する部分が非磁性材
となるようにこれら磁性材および非磁性材を熱間等方圧
加圧により環状に接合して構成された保持環を前記永久
磁石の外周面に嵌込んで前記永久磁石を前記ロータ鉄心
に固定するものである。
【0016】請求項4に対応する発明は、磁性材のステ
ータ鉄心にステータコイルを巻装してなるステータ内に
ロータ鉄心の外周面に界磁極を形成する複数個の永久磁
石を配置してなるロータを空隙部を存して設ける構成の
永久磁石式回転電機において、軸方向に長形な帯状の複
数の磁性材と非磁性材とを交互に並設し、且つこれら磁
性材および非磁性材を熱間等方圧加圧により環状に接合
して構成された保持環を前記永久磁石の外周面に嵌込ん
で前記永久磁石を前記ロータ鉄心に固定するものであ
る。
【0017】
【作用】上記請求項1および2に対応する発明の永久磁
石式回転電機においては、耐力が30kgf/mm2 以上の磁
性材からなる金属で環状に加工して保持環を構成してい
るので、機械的強度の十分な保持環により永久磁石をロ
ータ鉄心に強固に固定することが可能となり、回転時に
発生する永久磁石の遠心力に十分耐え得ることができ
る。また磁気特性においては、永久磁石が発生する磁束
密度が0.8(T)近傍で保持環の比透磁率が100以
上あり、磁極部分の径方向においては保持環が磁気的な
空隙とならないので、保持環による磁束密度の低下も僅
かである。しかも保持環の磁束密度が1.6(T)以上
で比透磁率が100以下のため、極間部ではさらに比透
磁率が低下して極間部の磁気抵抗はかなり大きくなるた
め、周方向の磁束の洩れは少量で飽和する。従ってステ
ータと鎖交する界磁の磁束量を僅かな低下に抑えること
ができる。
【0018】また、上記請求項3に対応する発明の永久
磁石式回転電機においては、上記同様に保持環により永
久磁石をロータ鉄心に強固に固定することが可能とな
り、回転時に発生する永久磁石の遠心力に十分耐え得る
ことができる。また磁気特性については、各極の永久磁
石による起磁力が保持環にも加わるが、永久磁石の表面
と接している保持環の部分は磁性材で構成されているた
め、この部分ではほとんど起磁力の低下がなく、空隙磁
束密度を高い密度で維持できる。さらに、永久磁石のN
極とS極が接する各極間部分には保持環の非磁性材が配
置されるため、永久磁石で発生した磁束が保持環が磁路
となって隣合う磁極間で磁気的に短絡することがないの
で、永久磁石より発生した磁束はステータコイルと鎖交
することになり、保持環を永久磁石とステータ鉄心との
間に設けても、空隙部の磁束密度を高い状態に維持でき
る。
【0019】さらに、上記請求項4に対応する発明の永
久磁石式回転電機においては、耐遠心力については上記
と同様である。また磁気特性については、保持環は軸方
向に長形な帯状の複数の磁性材と非磁性材とが交互に並
設して環状に形成されているため、保持環に沿った磁路
を考えると、交互に周方向に並んだ非磁性材は大きな磁
気抵抗となり、永久磁石より発生した磁束は各部の磁性
材のみを通ることになる。さらに永久磁石の表面での磁
束密度は約0.8(T)であるので、帯状の磁性材の幅
を非磁性材の幅より大きくすれば、磁性材の磁束密度は
約1.6(T)となり、径方向の磁気抵抗はほとんど無
視できる。従って、周方向にほとんど磁束は洩れず、且
つ径方向の磁束を無視できるので、保持環を永久磁石と
ステータ鉄心との間に設けても、空隙部の磁束密度を高
い状態に維持できる。
【0020】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。
【0021】図1及び図2は本発明による永久磁石式回
転電機の第1の実施例を示し、図1は回転電機全体の構
成を示す断面図、図2は図1のA−A´線に沿う矢視拡
大断面図である。
【0022】図1及び図2において、ステータ11はケ
イ素鋼板を積層したステータ鉄心12のスロットにステ
ータコイル13を納めて電機子として構成される。ま
た、ロータ14はS45Cの磁性材からなるロータ鉄心
15の外周面に異極の関係となる2個の永久磁石16が
配置され、さらにこれら永久磁石16の外周面に磁性材
の保持環17が嵌込まれて構成される。
【0023】この場合、保持環17は、磁気特性におい
て、磁束密度が0.5〜0.8(T)で透磁率が100
以上あり、且つ磁束密度が1.6(T)以上で比透磁率
が10以上近くであるSUS630を磁性材として使用
される。従って、かかる材料に用いれば図3に示すよう
な磁気特性の保持環17が得られる。
【0024】このような構成の保持環17を2極構成の
永久磁石16の外周面に嵌込んで永久磁石16をロータ
鉄心15に固定することにより、次のような作用並びに
効果を得ることができる。
【0025】まず、保持環17の材料としてはSUS6
30を使用しているので、耐力が100kgf/mm2 あり、
強度は非常に大である。
【0026】従って、回転時に発生する永久磁石16の
遠心力に十分耐え得るので、永久磁石16がロータ鉄心
15の外周面に強固に固定することができる。この場
合、当然のことながら永久磁石16をロータ鉄心15に
接着する接着剤が不要となることは言うまでもない。
【0027】次に本実施例の永久磁石式回転電機の磁気
特性について述べる。
【0028】回転電機の界磁として永久磁石を使用した
場合、回転電機の小形化、高出力化のため、保持環17
がないと仮定した状態で永久磁石16が発生する空隙の
磁束密度を0,8(T)近傍になるように磁気設計され
る。
【0029】本実施例による保持環17を用いると、図
4に示すように磁束密度0.8(T)における比透磁率
は120であり、磁極部分の径方向においては保持環1
7が磁気的な空隙とならず、磁束密度の低下も僅かであ
る。
【0030】一方、周方向磁界では保持環17により保
持環17に沿って周方向に磁束が洩れるが、極間部に近
付くにつれて磁石表面より保持環17を通して洩れた磁
束が集まってくるため、磁束量が増え、磁束密度は磁石
16の周方向端部付近の保持環17で1.6(T)以上
となり、極間部付近の保持環17では2(T)以上とな
る。
【0031】しかし、本実施例による保持環17は図4
に示すように1.6(T)以上で比透磁率が10近くで
あり、極間部の磁気抵抗はかなり大となるため、周方向
の磁束の洩れは少量で飽和する。
【0032】ここで、上記実施例のように構成された永
久磁石式回転電機の磁界解析結果をもとに磁気特性につ
いて説明する。
【0033】本実施例では保持環によるロータからの磁
束の洩れを検討するため、ステータのスロットを省き、
コアのみとした。また、磁束分布は磁束の中心で対称で
あるため、1/2極で実施している。
【0034】図5は本実施例の永久磁石式回転電機で適
用する保持環の材料としてSUS630を用いたときの
磁界解析結果である磁束線図を示し、また図6は保持環
の材料としてS45Cを用いたときの磁界解析結果であ
る磁束線図を示し、さらに図7は保持環の材料として非
磁性材を用いたときの磁界解析結果である磁束線図を示
している。
【0035】上記磁界解析による各回転電機のステータ
鉄心内径面の磁束密度分布は以下のようになる。
【0036】本実施例のSUS630の保持環を用いた
回転電機の磁束密度値は0.75(T)、S45Cの保
持環を用いた回転電機の磁束密度値は0.65(T)、
従来の非磁性材の保持環を用いた回転電機の磁束密度値
は0.59(T)である。
【0037】これらの解析結果による磁束密度分布値か
ら明らかなように、本実施例の回転電機の磁束密度が最
も高く、従来と比較して磁束密度が1.3倍大きくなっ
ていることが分かる。
【0038】このように本実施例では、保持環17を磁
束密度が0.5〜0.8(T)で透磁率が100以上あ
り、且つ磁束密度が1.6(T)以上で比透磁率が10
以上近くであるSUS630で構成することにより、径
方向のステータと鎖交する磁界の磁束量を僅かな低下に
抑えることができるので、回転電機の体積を大きくする
ことなく、永久磁石16をロータ鉄心15に機械的に強
固に固定することができる。
【0039】次に本発明の第2の実施例を図8及び図9
により説明する。
【0040】図8及び図9は本発明による永久磁石式回
転電機の第2の実施例を示し、図8は回転電機全体の構
成を示す断面図、図9は図1のB−B´線に沿う矢視拡
大断面図であり、図1及び図2と同一部品には同一符号
を付して述べる。
【0041】図8及び図9に示すように、ステータ鉄心
12のスロットにステータコイル13が納められたステ
ータ11内にロータ14が間隙を存して設けられる。こ
のロータ14は、ロータ鉄心15の外周面に2個の希土
類永久磁石16a,16bが適宜の間隔を存して配置さ
れ、N極とS極の界磁極を形成している。この場合、永
久磁石16a,16bにより形成されるN極とS極の極
間20に、非磁性物質を配置するか、または空間として
もよい。さらに、永久磁石16a,16bの外周面には
次のような構成の保持環21が嵌込まれる。
【0042】即ち、上記保持環21は熱間等方圧加圧
(HIP)接合により磁性材21aと非磁性材21bと
を接合して環状に構成したものであり、この保持環21
の非磁性材21bはN極とS極の極間20に対応し、且
つ接するようにHIPにて接合されている。
【0043】この場合、保持環21を構成する磁性材2
1aとしてはニッケル・クロム・モリブデン鋼を使用
し、また非磁性材21bとしてはインコネルを使用す
る。この磁性材21aと非磁性材21bのHIPによる
拡散結合は、高圧のArガス(圧力:1000kgf/c
m2 )中で、温度を1200℃の雰囲気で約2時間保持
して実施される。
【0044】このような構成の保持環21を2極構成の
永久磁石16a,16bの外周面に嵌込んで永久磁石1
6a,16bをロータ鉄心15に固定することにより、
次のような作用並びに効果を得ることができる。
【0045】まず、保持環21は磁性材21a部分と非
磁性材21b部分とをHIPにより接合して構成してい
るので、十分な接合強度がある。本例の保持環21の場
合の接合強度は約85kgf/cm2 である。
【0046】従って、回転時に発生する永久磁石16の
遠心力に十分耐え得るので、永久磁石16a,16bが
ロータ鉄心15の外周面に強固に固定することができ
る。この場合、当然のことながら永久磁石16a,16
bをロータ鉄心15に接着する接着剤が不要となること
は言うまでもない。
【0047】次に上記の構成された永久磁石式回転電機
の磁気特性について述べる。
【0048】本実施例の回転電機において、各極の永久
磁石16a,16bによる起磁力は保持環21にも加わ
るが、この保持環21が永久磁石16a,16bと接し
ている部分は磁性材21aで構成されているので、保持
環21の磁性材21a部分での起磁力の低下はほとんど
なく、空隙磁束密度は高い密度で維持される。
【0049】また、保持環21が永久磁石16a,16
bにより形成されるN極とS極の各極間部に接する部分
は非磁性材21bで構成されているので、永久磁石16
a,16bで発生した磁束は、保持環21が磁路となっ
て隣合う磁石16a,16b間で磁気的に短絡すること
がなく(ロータのみで磁束のループができる)、永久磁
石16a,16bで発生した磁束はステータコイル13
と鎖交する。
【0050】ここで、本実施例による永久磁石式回転電
機の磁界解析結果をもとに磁気特性について説明する。
【0051】図10は磁性材のみの保持環により永久磁
石を固定した永久磁石式回転電機の磁界解析結果の磁束
線図を示し、図11は本実施例の保持環により永久磁石
を固定した永久磁石式回転電機の磁界解析結果の磁束線
図を示している。但し、解析はロータでの磁束分布を知
ることが重要なため、解析対象の回転電機のステータは
ステータ鉄心のティースの部分を取除いてコアのみとし
ている。また、磁束分布は磁極中心で対称に分布するた
め、解析領域は1/2極分としている。
【0052】これらの解析結果である磁束線図から分か
るように、磁性材のみの保持環を用いた場合には、図1
0に示すように保持環により磁気的に短絡されるため永
久磁石で発生した磁束はほとんど保持環を通り、ステー
タ鉄心側へは僅かしか流れない。また、本実施例の保持
環を用いた場合には保持環を磁路として洩れる磁束はほ
とんどなく、磁束はステータ鉄心に流れている。
【0053】従って、保持環を永久磁石とステータ鉄心
の内径側に設けても、空隙の磁束密度は高い状態に維持
でき、小形、高出力の永久磁石式回転電機が得られる。
【0054】なお、上記実施例では非磁性材21bが対
応する永久磁石16a,16bの極間20部の円弧をN
極とS極の端部が接するまで広げるようにしても上記同
様の作用効果が得られる。
【0055】次に本発明の第3の実施例を図12により
説明する。
【0056】図12は本実施例におけるロータの径方向
の断面図を示すもので、図2と同一部品には同一符号を
付して述べる。
【0057】第3の実施例では、図12に示すようにロ
ータ鉄心15の外周面に2個の希土類永久磁石16を配
置してN極とS極の界磁極が形成され、この永久磁石1
6の外周には保持環31が嵌込まれ、永久磁石16をロ
ータ鉄心15に固定している。この保持環31は、軸方
向に長形な帯状の多数の磁性材31aと非磁性材31b
とを交互に並設して環状に形成し、これら磁性材31a
と非磁性材31bを熱間等方圧加圧(HIP)により接
合して一体的に構成される。また、この保持環31を永
久磁石16の外周に嵌込む際には、非磁性材31bが永
久磁石16の極間部に対応する位置となるように配設さ
れる。
【0058】ここで、保持環31を構成する磁性材31
aとしてはニッケル・クロム・モリブデン鋼を使用し、
また非磁性材31bとしてはインコネルを使用する。こ
の磁性材31aと非磁性材31bのHIPによる拡散結
合は、高圧のArガス(圧力:1000kgf/cm2 )中
で、温度を1200℃の雰囲気で約2時間保持して実施
される。
【0059】このような構成の保持環31を2極構成の
永久磁石16の外周に嵌込んで永久磁石16をロータ鉄
心15に固定することにより、次のような作用並びに効
果を得ることができる。
【0060】回転時に発生する永久磁石16の遠心力に
ついては前述した実施例と同様なのでその説明を省略
し、ここでは永久磁石式回転電機の磁気特性についての
み述べる。
【0061】本実施例での保持環31は、軸方向に長形
な帯状の多数の磁性材31aと非磁性材31bとを交互
に並設して環状に形成されているため、保持環31に沿
った磁路を考えると、非磁性材31bは大きな磁気抵抗
となり、永久磁石16より発生した磁束は各部の各部の
磁性材31aのみを通る。さらに、保持環31は性材3
1aと非磁性材31bとが交互に並設され、磁気的に細
分化されているため、保持環31における周方向に洩れ
る磁束成分はほとんどなく、第2の実施例よりも構成が
複雑になるが、有効磁束量は増加する。
【0062】また、永久磁石表面での磁束密度は、約
0.8(T)なので、帯状の磁性材31aの幅を非磁性
材31bの幅より大きくすれば、磁性材31aの磁束密
度は約1.6(T)となり、径方向の磁気抵抗はほとん
ど無視できる。
【0063】従って、周方向にほとんど磁束は洩れず、
且つ径方向の磁気抵抗は無視できるので、保持環31を
永久磁石16とステータ鉄心の内径間に設けても、空隙
の磁束密度は高い状態に維持できるので、小形、高出力
の永久磁石式回転電機が得られる。
【0064】なお、前述した第1乃至第3の各実施例で
は、ロータが2極構成の永久磁石式回転電機について述
べたが、多極構成の永久磁石式回転電機においても同様
に実施することができる。
【0065】また、本発明は回転電機のロータのみだけ
でなく、図13に示すような磁気カップリング式の回転
機に適用することができる。即ち、図13においては、
駆動モータ41により回転する外転ヨーク42の内周面
に取付けられた永久磁石43およびこの永久磁石43の
内側空間部に設けられた内回ロータ44の外周面に取付
けられた永久磁石45の固定手段として前述した各実施
例の何ずれかの保持環46を用いることができる。
【0066】さらに、本発明はリニアモータやその他の
永久磁石を使用した回転機においても同様に適用実施す
ることができる。
【0067】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、径方
向のステータコイルと鎖交する磁界の磁束量を僅かな低
下に抑え、且つ全体の体積を大きくすることなく、永久
磁石をロータ鉄心に強固に固定できる超高速回転運転や
高温環境下で使用可能な永久磁石式回転電機を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による永久磁石回転電機の第1の実施例
を示す回転機全体の断面図。
【図2】図1のA−A´線に沿う矢視拡大断面図。
【図3】同実施例で使用される保持環の磁気特性図。
【図4】同実施例で使用されるSUS630材の保持環
と一般的に使用されるS45C材の保持環の透磁率と磁
束密度の関係を示す図。
【図5】同実施例でSUS630材の保持環を使用とき
の永久磁石回転電機の磁界解析結果を示す磁束線図。
【図6】S45C材の保持環を使用ときの永久磁石回転
電機の磁界解析結果を示す磁束線図。
【図7】非磁性材の保持環を使用ときの永久磁石回転電
機の磁界解析結果を示す磁束線図。
【図8】本発明の第2の実施例を示す回転機全体の断面
図。
【図9】図8のB−B´線に沿う矢視拡大断面図。
【図10】磁性材のみの保持環を使用ときの永久磁石回
転電機の磁界解析結果を示す磁束線図。
【図11】第2の実施例における保持環を使用ときの永
久磁石回転電機の磁界解析結果を示す磁束線図。
【図12】本発明の第3の実施例におけるロータ部分の
径方向断面図。
【図13】本発明を永久磁石式磁気カップリング装置に
適用した場合の構成例を示す断面図。
【図14】従来の永久磁石回転電機を示す径方向断面
図。
【図15】同永久磁石回転電機のロータの上半部を示す
径方向断面図。
【符号の説明】
11……ステータ、12……ステータ鉄心、13……ス
テータコイル、14ー…ロータ、15……ロータ鉄心、
16,16a,16b……永久磁石、17,21,31
……保持環、21a,31a……磁性材,21b,31
b……非磁性材 20……極間。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性材のステータ鉄心にステータコイル
    を巻装してなるステータ内にロータ鉄心の外周面に界磁
    極を形成する複数個の永久磁石を配置してなるロータを
    空隙部を存して設ける構成の永久磁石式回転電機におい
    て、前記永久磁石の外周面に飽和磁束密度の低い磁性材
    で構成された保持環を嵌込んで前記永久磁石を前記ロー
    タ鉄心に固定することを特徴とする永久磁石式回転電
    機。
  2. 【請求項2】 保持環を磁束密度が0.5〜0.8
    (T)で比透磁率が100以上あり、且つ磁束密度が
    1.6(T)以上で比透磁率が100以下の磁気特性を
    有する磁性材で構成したことを特徴とする請求項1に記
    載の永久磁石式回転電機。
  3. 【請求項3】 磁性材のステータ鉄心にステータコイル
    を巻装してなるステータ内にロータ鉄心の外周面に界磁
    極を形成する複数個の永久磁石を配置してなるロータを
    空隙部を存して設ける構成の永久磁石式回転電機におい
    て、永久磁石に対応する部分が磁性材、N極とS極の極
    間に対応する部分が非磁性材となるようにこれら磁性材
    および非磁性材を熱間等方圧加圧により環状に接合して
    構成された保持環を前記永久磁石の外周面に嵌込んで前
    記永久磁石を前記ロータ鉄心に固定することを特徴とす
    る永久磁石式回転電機。
  4. 【請求項4】 磁性材のステータ鉄心にステータコイル
    を巻装してなるステータ内にロータ鉄心の外周面に界磁
    極を形成する複数個の永久磁石を配置してなるロータを
    空隙部を存して設ける構成の永久磁石式回転電機におい
    て、軸方向に長形な帯状の複数の磁性材と非磁性材とを
    交互に並設し、且つこれら磁性材および非磁性材を熱間
    等方圧加圧により環状に接合して構成された保持環を前
    記永久磁石の外周面に嵌込んで前記永久磁石を前記ロー
    タ鉄心に固定することを特徴とする永久磁石式回転電
    機。
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