JPH06284552A - ディジタルリレーの自動点検方式 - Google Patents

ディジタルリレーの自動点検方式

Info

Publication number
JPH06284552A
JPH06284552A JP5322230A JP32223093A JPH06284552A JP H06284552 A JPH06284552 A JP H06284552A JP 5322230 A JP5322230 A JP 5322230A JP 32223093 A JP32223093 A JP 32223093A JP H06284552 A JPH06284552 A JP H06284552A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inspection
input
harmonic
circuit
relay
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5322230A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Matsushima
哲郎 松島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP5322230A priority Critical patent/JPH06284552A/ja
Publication of JPH06284552A publication Critical patent/JPH06284552A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Emergency Protection Circuit Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、高調波印加による入力回路部の点検
をリレー演算に悪影響を与えないで行うディジタルリレ
ーの点検方式を提案するものである。 【構成】本発明のディジタルリレーの点検方式は、電力
系統の保護を行うディジタルリレーにおいて、前記電力
系統の電気量の高調波成分を除去し保護リレー演算用デ
ータを出力するフィルタと、前記電力系統の電気量に対
して点検用高調波入力を重畳して入力する入力回路と、
前記点検用高調波入力の振幅値を制御する振幅値制御回
路とを備え、前記フィルタの応答時間に比べて十分長い
時間をかけて振幅値を漸増させながら前記点検用高調波
入力を前記電力系統の電気量に重畳させているので、リ
レー演算に影響を与えずに点検入力を入力回路に印加す
ることができる。したがって、点検中のリレー・ロック
が不要となり、系統保護機能を中断せずに入力回路部の
点検が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電力系統を保護するディ
ジタルリレーの自動点検方式に関する。
【0002】
【従来の技術】自動監視は保護リレーにとって重要な機
能である。保護リレーは電力系統が平常な時には動作せ
ず、系統に事故が発生した時のみ動作する。従って、保
護リレー自体に故障があり、系統事故発生時に動作でき
ないような事態は絶対に避けねばならない。このため、
保護リレーにおける自動監視の考え方が発達した。
【0003】ところで、保護リレーの故障には2つのモ
ードがある。即ち、保護リレーの誤動作に至るモードと
誤不動作となるモードである。誤動作に至るモードの検
出は比較的容易である。保護リレーの出力を常時監視し
ておき、出力が一定時間以上続いたことにより警報を出
せばよい。電力系統に発生する事故は長時間継続するこ
とはない。従って、電力系統で発生し得る事故の継続時
間の最大よりも長時間保護リレーが動作出力を継続した
ことにより、保護リレー側の故障であると判断する。こ
の故障検出方法を一般に「常時監視」という。近年発達
したディジタルリレーにおいては「常時監視」の範囲は
さらに広い概念となる。即ち、保護リレーの誤動作に至
らなくてもシステムの状態が平常時と異なる状態になれ
ば、何らかのハードウエア不良が発生していると判断
し、外部に警報を出力する。
【0004】一方、誤不動作側の故障検出は平常時に不
具合現象が顕在化しないため、検出は比較的難しい。こ
の誤不動作側の故障検出のためには「自動点検」が必要
である。例えば、従来のアナログリレー装置において
は、一週間に一回程度保護機能をロックし、模擬的に系
統事故と類似の交流入力を与え、保護リレーが正しく応
動することを確認する。また、ディジタルリレー装置に
おいては、電力系統の電気量を入力させる入力回路部に
点検用アナログ交流入力を印加し、データが正しく変換
されることを確認するような方法も自動点検として行わ
れている。このような「常時監視」と「自動点検」から
なる自動監視により、従来から保護リレーは高い動作信
頼度を確保してきた。
【0005】図8はディジタルリレーの平均的な構成を
示す。同図において、81a〜81nは入力変換器で、
電力系統の電圧,電流等の電気量を入力として適当な大
きさの電圧信号に変換する。82a〜82nは入力回路
で、アナログフィルタ及びサンプルホールド回路で構成
される。アナログフィルタは後に入力量がディジタル変
換された時の折り返し誤差を防ぐために必要な機能であ
る。83はマルチプレクサで、入力信号82a,…82
nからの出力信号を順次A/D変換器84へ送り出す。
A/D変換器84ではマルチプレクサ83から送られる
アナログ信号を順次ディジタル信号に変換する。85は
メモリ部(RAM)で、A/D変換器84で変換された
電力系統の電気量のディジタルデータを記憶しておく。
86は演算部MPUで、通常マイクロコンピュータで構
成される。87は演算プログラムを記憶しておくための
メモリ(ROM)である。88は外部からの各種条件を
取り込むための入力インタフェイス(D/I)で、電力
系統の遮断器情報や制御スイッチの条件等を演算部(M
PU)86へ入力させる機能を果たす。89は出力イン
タフェイス(D/O)で、遮断器へのトリップ指令等、
演算部(MPU)86の演算結果を外部に出力する。図
8においては、82aから82nの入力回路部には点検
用入力が印加される構成となっている。
【0006】このようなディジタルリレーは、通常厳重
に常時監視される。ディジタルリレーの常時監視方式に
ついては電気協同研究(No.41 Vol.4 「ディジタルリレ
ー」)に詳しいのでここでは詳述しない。入力回路82
a,…82nに対しては、系統の電圧,電流を利用して
常時監視が行われるが、系統電圧,電流が存在しない場
合にもハード不良が検出できるように自動点検を実施す
るのが普通である。入力回路部の自動点検は、入力回路
部に点検用交流量を印加し、メモリ部85に正しく点検
用入力が書き込まれたことを演算部(MPU)86によ
り確認する方法が一般的である。
【0007】しかし、このような点検方式では点検中の
事故対応の問題がある。即ち、点検中に系統事故が発生
した場合、点検を直ちに中止し、点検用入力の影響がな
くなってから改めてリレー演算を行い、系統事故を識別
して区間内事故であれば系統の遮断器にトリップ指令を
送る必要がある。
【0008】このような点検中事故対応は、点検状態を
解除してから改めて保護リレー演算を行うためトリップ
指令が遅れる等の欠点があり、できれば避けたい方式で
ある。この点検中事故対応を回避する監視方式として高
調波重畳監視方式がある。
【0009】図8において、入力回路82から電力系統
の電気量に対し常時高調波成分を重畳させておき、演算
部(MPU)86でディジタル・フィルタ処理により監
視用高調波成分のみ取り出し入力回路82に異常がない
か否かをチェックする方式である。
【0010】図9は入力回路部のチェック方式のブロッ
ク図である。同図において、91はリレー演算用フィル
タで、入力回路82から取り込まれる電気量を入力とし
て、含入されている高調波成分を除去する。リレー演算
用フィルタ91の出力はリレー演算部92に導入されて
系統事故検出のためのリレー演算に供される。93は監
視用フィルタで、入力回路82から取り込まれる電気量
を入力として、含入されている監視用高調波入力成分だ
けを抽出する。94は入力監視機能で、監視用フィルタ
93を介して入力された監視用高調波成分が所定の大き
さで正しくディジタルデータに変換されていることを確
認する。
【0011】図9に示すこれらの機能は、通常演算部
(MPU)86によりソフトウエアで実現される。図示
の高調波重畳監視方式では保護リレー用演算のためには
リレー演算用フィルタ91により監視用高調波成分を除
去したデータを用いるため、基本的には監視用高調波入
力の影響を受けずに保護リレーの演算ができる。また、
常時監視方式のため、点検中事故対応のような欠点も生
じない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の高調波重畳監視
においては点検中事故対応の問題は解決されるが、常時
のリレー演算の誤差増大と信頼度低下が問題となる。監
視用高調波はリレー演算用フィルタ91により除去され
るが、電力系統の電気量に直接高調波成分を含入させる
ため、やはり多少の誤差分が増大することは避けられな
い。リレー演算用フィルタの減衰特性が無限大ではない
ために残留する高調波成分、印加される高調波成分が完
全な正弦波曲線でないことによる誤差、量子化による誤
差分、等々である。
【0013】また、高調波重畳のためのハードウエアに
故障やノイズが発生した場合、意図しない波形の入力を
重畳することにより平常時の保護リレーの誤動作を誘発
する可能性が増大する。このような誤差分の増加や余分
な重畳入力による信頼度の低下を考えると、常時、監視
用高調波成分を印加しておくことは、リレー演算精度を
高度に保つためには避けたい方法である。
【0014】次に考えられることは、高調波重畳による
入力回路部のチェックを自動点検として扱い、所定の時
刻だけ行う方法である。この場合の入力の様相を図10
に示す。同図において、(a)は点検用高調波入力で、
点検開始と同時に印加される。(b)は点検用高調波入
力のリレー演算用フィルタによる応答出力の例である。
入力された高調波は定常状態では除去されるが、印加時
や除去時には過渡応答成分が発生し、点検入力印加の影
響を除去しきれない。このため、リレー演算に悪影響を
及ぼすことになり、点検時リレー出力をロックする操作
が必要となる。従って、点検中事故対応を避けるという
所期の目的を達成できない。
【0015】本発明は、これらの点に鑑みて成されたも
ので、その目的は高調波印加による入力回路部の点検を
リレー演算に悪影響を与えないで行うディジタルリレー
の点検方式を提案するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1のディジタルリレーの点検方式
は、電力系統の電気量を入力し,ディジタルデータに変
換して電力系統の保護を行うディジタルリレーにおい
て、前記電力系統の電気量の高調波成分を除去し,保護
リレー演算用データを出力するフィルタと、前記電力系
統の電気量に対して点検用高調波入力を重畳して入力す
る入力回路と、前記点検用高調波入力の振幅値を制御す
る振幅値制御回路とを備え、前記フィルタの応答時間に
比べて十分長い時間をかけて振幅値を漸増させながら前
記点検用高調波入力を前記電力系統の電気量に重畳させ
ることを特徴とするものである。
【0017】また、請求項2は、電力系統の電気量を入
力し、ディジタルデータに変換して電力系統の保護を行
うディジタルリレーにおいて、前記電力系統の電気量に
対して点検用高調波入力を重畳して入力する入力回路
と、入力の変化分を検出する第1の回路と、点検用高調
波重畳成分を検出する第2の回路とを設け、点検用高調
波を印加した直後は前記第1の回路の出力により、所定
時間経過後は前記第2の回路の出力により点検用高調波
入力を除去してリレー演算に供することを特徴とする。
【0018】さらに、請求項3は、電力系統の電気量を
入力し、ディジタルデータに変換して電力系統の保護を
行うディジタルリレーにおいて、前記電力系統の電気量
に対して点検用高調波入力を重畳して入力する入力回路
と、点検用高調波重畳成分を除去する第1の回路と、入
力の変化分を検出する第2の回路とを設け、前記第1の
回路の出力をリレー演算に供するとともに前記第2の回
路の入力とし、点検用高調波を印加した直後の所定時間
だけ前記第2の回路の出力により点検用高調波印加によ
る過渡応答分を除去してリレー演算に供することを特徴
とする。
【0019】そして、請求項4は、点検用高調波断時に
おいても、断後所定時間だけ前記第2の回路の出力によ
り過渡応答分を除去してリレー演算に供することを特徴
とする。
【0020】
【作用】本発明のディジタルリレーの点検方式によれ
ば、リレー演算に影響を与えずに点検入力を入力回路に
印加することができるので、点検中のリレー・ロックが
不要となり、系統保護機能を中断せずに入力回路部の点
検が可能となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。図1は本発明の一実施例のブロック構成図である。
同図において、11は点検用高調波入力を発生させる点
検用電源、12は点検用高調波入力の大きさを制御する
振幅値制御回路で、減衰器または増幅器で構成される。
13は演算部(MPU)86の出力インタフェイスで、
演算部(MPU)86の指令に応じて振幅値制御回路1
2に信号を送り、点検用高調波入力の振幅値を制御す
る。その他の部分については、図8の構成と同様である
ので、同一部分には同一符号を付してその説明は省略す
る。
【0022】図2は本発明に従って制御された点検用高
調波の様子を示す。同図(a)は電力系統から得られる
電流入力で基本周波数成分である。同図(b)が本発明
により制御された点検用高調波入力で、一例として3倍
調波で示している。点検用高調波入力の振幅値は演算部
(MPU)86の指令に従って零から最終目的の大きさ
まで徐々に増加してゆく。図では紙面の制約上点検用入
力の立ち上がりが比較的急峻に描かれているが、実際の
立ち上がりは更に緩慢なものとなっている。
【0023】このような入力を図1及び図9の構成でリ
レー演算に供した場合、入力変化による過渡出力は極め
て僅かで、保護演算にほとんど影響を及ぼさずに点検入
力を印加することができる。リレー用演算で用いられる
フィルタは、入力回路部のアナログ・フィルタ及びソフ
トウエアによるリレー演算用ディジタル・フィルタを含
めても、その応答時間は10ms程度である。
【0024】点検用高調波入力を図2(b)のような波
形とした場合、10ms程度の時間領域では振幅値の大
きさはほぼ一定であり、リレー演算用フィルタによりほ
ぼ完全に除去されることが理解できる。具体的に例を挙
げると、点検用高調波入力の最終的な振幅値を電流回路
の定格値と等しい値とし、振幅値の立ち上がる時間を1
秒とする。このように選べば、フィルタが応答する約1
0msの時間に点検用高調波入力の振幅値が変化する値
は定格値の約1%に過ぎない。定格値の1%分の変化に
対するフィルタの過渡応答はリレー性能によって全く無
視できることは容易に理解できる。点検用入力の確認は
印加開始の1秒後、振幅値が完全に立ち上がった時点で
行えばよい。また、確認後の点検用入力除去時も印加時
とは逆に1秒の時間を掛けて徐々に入力を減衰させてい
く必要がある。
【0025】本実施例では点検用高調波入力が保護リレ
ー演算にほとんど影響を与えずに印加される手法を示し
たが、本実施例では点検に要する時間は約2秒である。
点検用入力が印加されている間にリレー要素の誤差が若
干上昇する点は従来の高調波重畳常時監視方式と同一で
ある。しかし、従来の常時監視による方式では常時誤差
の増大が避けられなかったのに対し、本発明による点検
方式では僅かに2秒の間だけ誤差が増大するに過ぎな
い。点検周期を例えば一週間とした場合、一週間の中の
2秒間だけのリレー要素の誤差増大は、実用上ほとんど
無視できるレベルである。
【0026】なお、点検用入力高調波に関しては、3倍
調波に限らず、2倍,4倍あるいは非整数倍調波を用い
てもかまわない。正弦波のみでなく、矩形波入力等の繰
り返し波形を入力としてもかまわない。点検用入力の必
要条件としては、リレー演算用フィルタで十分減衰され
るようなものであればよい。
【0027】また、上記実施例では点検用入力の振幅値
制御を演算部(MPU)により行う構成としたが、結果
として点検入力を漸増させる手段があればよいわけで、
その手段としてはソフトウエアによらず純ハードウエア
で構成しても全く構わない。また、上記実施例では点検
用入力の立ち上がり時間を1秒としたが、誤差の多少の
増大を覚悟して点検時間を縮小するためには1秒以下に
設定することも可能であるし、立ち上がり時間をさらに
長くし、誤差をさらに縮小させることも可能である。振
幅値の漸増方法としては、上記実施例のような直線状に
増加させる方法以外にも、階段状に徐々に増加させる方
法でも全く同様の効果を生むことができる。
【0028】図3は、本発明の他の実施例のブロック構
成図を示す。同図において、11は点検用高調波入力を
発生させる点検用電源である。32は点検用高調波入力
の入り切りを制御する切換回路、13は演算部(MP
U)の出力インタフェイスで、演算部(MPU)の指令
に応じて切換回路32に信号を送り、点検用高調波入力
の印加を制御する。その他の部分については、図8の構
成と同様である。
【0029】図4は演算部(MPU)内部での演算にお
けるブロック構成図である。11は既に述べた点検用高
調波電源。41は入力回路・A/D変換部で、図8の入
力変換器81からA/D変換部84までの回路をまとめ
たものである。A/D変換された系統の電気量はリレー
演算部42に導入され、保護リレーの演算に供される。
43は変化分検出フィルタ(F1)で、一例を挙げれば
次のような演算式で示される。
【0030】 Y=(X−Xm-12) ・・・(1) ここで、Yはフィルタ出力、Xは入力交流量で系統
電気量、mは時系列で、基本波の30°サンプリングと
仮定して示してある。従って、Xは現在データ、X
m-12 は基本波を基準として1サイクル前のデータを示
す。
【0031】変化分検出フィルタ(F1)43は、通常
の基本波に対しては出力を出さないが、入力交流の1サ
イクル前と比較した変化分を抽出する機能を持つ。44
は高調波検出フィルタ(F2)である。図の例では点検
用電源11からの点検用高調波を4倍調波であると仮定
すると、フィルタの演算式は次のような例で示される。 Y=(X−Xm-12 )/2 ・・・(2) (2)式は基本波を除去し、4倍調波を含んだ偶数調波
成分を通過させる機能がある。
【0032】45は切換回路で、点検開始直後の期間は
変化分検出フィルタ(F1)出力を、所定時間経過後は
高調波検出フィルタ(F2)出力に切り換えてリレー演
算部42に導入される交流入力から点検用高調波分を差
し引いてキャンセルする。切換回路45は通常の点検を
行っていない時間帯には出力を出さず、リレー演算部4
2の入力に影響を与えないようにする。46は高調波検
出フィルタ(F2)44の出力を導入して入力回路部4
1の点検結果を確認する結果確認回路である。所定の高
調波成分が発生していることにより入力回路部41が健
全であることを確認する。47は点検制御部で、点検用
高調波電源11の印加制御、切換回路45へのキャンセ
ル要素の切り換えタイミングの制御指令、結果確認回路
46への点検データ確認タイミングの指示等、一連の点
検制御を行う点検制御機能である。
【0033】図5は図4の構成による高調波重畳点検時
の効果を説明するための波形図である。同図(a)は電
力系統から導入される交流入力である。同図(b)は点
検用高調波で、点検制御部47の指令により印加され
る。この例では4倍調波としている。同図(c)は変化
分検出フィルタ(F1)43の出力である。上記(1)
式で示されているように基本波の1サイクル前の値と比
較し、変化があれば変化分を出力することになる。変化
分検出フィルタ(F1)43の入力は同図(a)と同図
(b)の成分を合成したものとなる。ここで、同図
(a)では系統の交流入力成分は変化がないから変化分
検出フィルタ(F1)43で完璧に除去される。同図
(b)の高調波成分は上記(2)式の効果により印加後
基本波基準の1サイクル間は入力波形がそのまま変化分
として出力される。しかし、印加後1サイクルを経ると
高調波分そのものが定常入力となり、変化分検出フィル
タ(F1)43の出力は再び零となる。同図(d)は高
調波検出フィルタ(F2)44の出力である。上記
(2)式に基き同図(a)の基本波を除去し、同図
(b)の4倍長波を通過させる。
【0034】しかし、4倍調波印加直後の過渡状態では
4倍調波を正確に出力はできない。ここで、同図(c)
と同図(d)のフィルタ出力波形を比べると、同図
(c)は最初の1サイクルのみ正確に点検用高調波を示
すのに対し、同図(d)は最初は正確ではないが、基本
波の1サイクル以内に過渡状態が終了し正確に点検用高
調波を出力するようになる。このため、最初の1サイク
ル以内の短時間内に変化分検出フィルタ(F1)43と
高調波検出フィルタ(F2)44の出力を切り換えてリ
レー演算部42に入力される交流量から差し引いてキャ
ンセルすれば、点検用高調波を印加してもその影響をリ
レー演算から完全に除くことができる。入力回路部41
の点検自体は高調波検出フィルタ(F2)44の出力が
定常値になってからその大きさを点検結果確認回路46
で確認することにより行うことができる。
【0035】上述したように、図3〜図5に示された実
施例から、点検用高調波入力が保護リレー演算に全く影
響を与えずに印加される手法が示された。このため、リ
レーによる系統保護演算を中断することなく、入力回路
の点検を実施でき、従来方式では不可欠であった点検中
事故対応を行う必要がなくなった。かつ、従来の高調波
常時重畳による監視方式に比べ、常時不必要に誤差分を
重畳することも解消された。
【0036】図6は本発明の他の実施例の演算部(MP
U)の出力インタフェイスである。同図において、61
は高調波除去用フィルタF3で、上記実施例のように点
検用高調波が4倍調波の場合、4倍調波除去フィルタが
用いられる。リレー演算用入力データに対しては、高調
波除去フィルタが用いられるのが普通である。このた
め、常時4倍調波除去用フィルタをリレー演算入力部に
挿入しておくことは意味のあることである。この場合、
点検用高調波は高調波除去フィルタ(F3)61により
除去されるため、点検用高調波入力のリレー演算に対す
る悪影響は点検入力印加時の初期過渡状態に対してのみ
考慮すればよい。変化分検出フィルタ(F1)43は、
この場合高調波除去フィルタ(F3)61の出力を入力
とする。
【0037】点検用高調波を印加した時の高調波除去フ
ィルタ(F3)61の出力の過渡応答波形は図10に示
したとおりである。図10の過渡応答波形に対する変化
分検出フィルタ(F1)43の応答出力を図7に示す。
高調波除去フィルタ(F3)61の過渡応答出力が変化
分としてそのまま出力され、且つ変化分検出フィルタ
(F1)43の窓長時間である1サイクル後に同じ波形
が逆極性で現れる。点検入力印加時はこの前半の応答波
形のみ用いてリレー演算用交流入力から除去すればよ
い。このため、切換回路部62を用いて点検用高調波印
加後の一定時間T1のみ変化分検出フィルタ(F1)4
3の出力を生かしてリレー演算用データから過渡応答分
をキャンセルすればよい。図6において他の部分は図4
の実施例と同様である。
【0038】図6の構成においては、点検が終了して高
調波入力を断する時の高調波除去フィルタ(F3)61
の過渡応答に対しても対策が必要である。高調波除去フ
ィルタ(F3)61の入力除去時の過渡応答については
図10に示してある。また、除去時の過渡応答について
も変化分検出フィルタ(F1)43の出力を入力除去後
所定時間だけ、前述の例では基本波の1サイクル以下の
時間だけ、応答出力キャンセルのために生かせば応答出
力が除去されることは容易に理解できる。
【0039】以上、点検用高調波入力を印加する時のリ
レー演算への影響を除く手法について述べたが、上記で
示した例以外にも本発明の適用は広く可能である。例え
ば上記実施例では点検用高調波を第4調波としたが、2
倍調波以上の高調波であればどのような高調波でも適用
できる。かつ、高調波は正弦波として図示してあるが、
矩形波等の複数の高調波成分を含んだ波形でも適用でき
る。フィルタ関数に関しても(1)式及び(2)式にて
示しているが、変化分検出フィルタ(F1)は基本波入
力に対し変化する成分を抽出する目的のものであり、そ
のための関数は例示以外にも数多く存在する。高調波検
出フィルタ(F2)に関しても基本波を除去し、点検用
高調波成分を通過させる目的であり、その目的を果たす
関数についても無数に存在し得る。高調波除去フィルタ
(F3)についても同様である。
【0040】また、高調波検出フィルタ(F2)につい
ては更に別の観点からの適用も可能である。点検用高調
波は既知の波形であるため、特に入力データから抽出す
る必要はなく、点検用入力印加タイミングと同期をとっ
て所定の値を用いて入力をキャンセルしてもよい。但
し、この場合は点検結果確認用として別途入力データか
ら高調波成分を抽出する機能が必要となる。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のディジタ
ルリレーの点検方式によれば、ディジタルリレーの入力
回路部の点検を保護リレー機能を中断せずに実施できる
ので、従来の自動点検機能で保護性能上のネックとなっ
ていた点検中事故対応処理を省くことができるという優
れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のディジタルリレーのブロッ
ク構成図。
【図2】本発明による自動点検時の点検用高調波入力の
印加の様子を示す波形図。
【図3】本発明の他の実施例のディジタルリレーのブロ
ック構成図。
【図4】図3の演算部内部での演算におけるブロック構
成図。
【図5】図4による自動点検時の点検用高調波入力の印
加の様子および各フィルタの応答を説明するための図。
【図6】本発明のさらに他の実施例の機能構成図。
【図7】図6の実施例におけるフィルタの応答図。
【図8】従来のディジタルリレーのブロック構成図。
【図9】従来の高調波重畳監視方式のフィルタ処理及び
演算の構成図。
【図10】高調波重畳を用いて従来方式による点検を実
施した場合の入力データの過渡応答の様子を示す波形
図。
【符号の説明】
11…点検用電源、12…振幅値制御回路、13…出力
インタフェイス、32…切換回路、41…入力回路・A
/D変換部、42…リレー演算部、43…変化分検出フ
ィルタ、44…高調波検出フィルタ、45…切換回路、
46…結果確認回路、61…高調波除去用フィルタ、6
2…切換回路部、81a〜81n…入力変換器、82a
〜82n…入力回路、83…マルチプレクサ、84…A
/D変換器、85…RAM、86…MPU、87…RO
M、88…入力D/I、89…出力D/O。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統の電気量を入力し,ディジタル
    データに変換して電力系統の保護を行うディジタルリレ
    ーにおいて、前記電力系統の電気量の高調波成分を除去
    し,保護リレー演算用データを出力するフィルタと、前
    記電力系統の電気量に対して点検用高調波入力を重畳し
    て入力する入力回路と、前記点検用高調波入力の振幅値
    を制御する振幅値制御回路とを備え、前記フィルタの応
    答時間に比べて十分長い時間をかけて振幅値を漸増させ
    ながら前記点検用高調波入力を前記電力系統の電気量に
    重畳させることを特徴とするディジタルリレーの自動点
    検方式。
  2. 【請求項2】 電力系統の電気量を入力し、ディジタル
    データに変換して電力系統の保護を行うディジタルリレ
    ーにおいて、前記電力系統の電気量に対して点検用高調
    波入力を重畳して入力する入力回路と、入力の変化分を
    検出する第1の回路と、点検用高調波重畳成分を検出す
    る第2の回路とを設け、点検用高調波を印加した直後は
    前記第1の回路の出力により、所定時間経過後は前記第
    2の回路の出力により点検用高調波入力を除去してリレ
    ー演算に供することを特徴とするディジタルリレーの自
    動点検方式。
  3. 【請求項3】 電力系統の電気量を入力し、ディジタル
    データに変換して電力系統の保護を行うディジタルリレ
    ーにおいて、前記電力系統の電気量に対して点検用高調
    波入力を重畳して入力する入力回路と、点検用高調波重
    畳成分を除去する第1の回路と、入力の変化分を検出す
    る第2の回路とを設け、前記第1の回路の出力をリレー
    演算に供するとともに前記第2の回路の入力とし、点検
    用高調波を印加した直後の所定時間だけ前記第2の回路
    の出力により点検用高調波印加による過渡応答分を除去
    してリレー演算に供することを特徴とするディジタルリ
    レーの自動点検方式。
  4. 【請求項4】 点検用高調波断時において、断後所定時
    間だけ前記第2の回路の出力により過渡応答分を除去し
    てリレー演算に供することを特徴とする請求項3記載の
    ディジタルリレーの自動点検方式。
JP5322230A 1993-02-01 1993-12-21 ディジタルリレーの自動点検方式 Pending JPH06284552A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5322230A JPH06284552A (ja) 1993-02-01 1993-12-21 ディジタルリレーの自動点検方式

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1460793 1993-02-01
JP5-14607 1993-02-01
JP5322230A JPH06284552A (ja) 1993-02-01 1993-12-21 ディジタルリレーの自動点検方式

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06284552A true JPH06284552A (ja) 1994-10-07

Family

ID=26350577

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5322230A Pending JPH06284552A (ja) 1993-02-01 1993-12-21 ディジタルリレーの自動点検方式

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06284552A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100445573B1 (ko) * 2001-08-28 2004-08-25 한국전력공사 전력손실을 줄이는 보호 계전기 시험방법
CN106451377A (zh) * 2016-11-02 2017-02-22 国家电网公司 继电保护装置定值区远方切换安全校核方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100445573B1 (ko) * 2001-08-28 2004-08-25 한국전력공사 전력손실을 줄이는 보호 계전기 시험방법
CN106451377A (zh) * 2016-11-02 2017-02-22 国家电网公司 继电保护装置定值区远方切换安全校核方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101064454B1 (ko) 계측기 데이터의 유효성 검사장치 및 방법
KR102259958B1 (ko) 디지털 보호 계전기, 및 디지털 보호 계전기의 임계치 학습 방법
JPH06284552A (ja) ディジタルリレーの自動点検方式
JP2013150404A (ja) ディジタル型保護リレーの点検システム
JPH069426B2 (ja) 保護継電器の点検装置
JP4888322B2 (ja) デジタル形保護継電装置
JP3975322B2 (ja) ディジタル保護制御装置
JPH0568321A (ja) デイジタル保護継電器の自動監視装置
JP3263763B2 (ja) ディジタル形保護制御装置
JP5436334B2 (ja) 過電流継電器
JP2000209767A (ja) デジタル形保護制御装置のアナログ入力部監視装置
JP3191567B2 (ja) 電力系統のディジタル保護・制御装置
JPH0823624A (ja) ディジタル保護継電器
JPS61170222A (ja) デイジタル保護継電器における入力部点検回路
JPH07184317A (ja) 比率作動保護継電装置
JPH01198213A (ja) ディジタル保護継電器
JPH0398418A (ja) ディジタル保護継電器の監視装置
JPH01141375A (ja) 点検監視方法
JP3176095B2 (ja) ディジタル形保護継電装置
JP2520714B2 (ja) ディジタル型保護継電装置の入力回路の点検監視方式
JP2740024B2 (ja) ディジタルリレーの自動点検方式
JPH07244561A (ja) アナログ入力装置
KR0179877B1 (ko) 회로 차단기의 과전류 차단 제어 장치 및 방법
SU1050031A1 (ru) Устройство дл определени режима электрической сети
JP2020150655A (ja) 保護・制御装置及び保護・制御方法