JP2013150404A - ディジタル型保護リレーの点検システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 ディジタル形保護リレー、特にアナログ回路についての異常・故障の有無の判断を検出精度高く行うことができる点検システムを提供すること
【解決手段】 停電時にディジタル形保護リレー10のアナログ入力回路12に基本波成分と高調波成分を混合したアナログの試験信号を入力する重畳信号発生器20と、試験信号がアナログ入力回路を経て出力された信号をディジタル信号に変換するA/D変換器13と、その変換して得たディジタル信号から前記基本波成分と高調波成分を抽出し、求めた各成分の信号の大きさに基づいて正常か否かを判断するワンチップマイコン14とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 停電時にディジタル形保護リレー10のアナログ入力回路12に基本波成分と高調波成分を混合したアナログの試験信号を入力する重畳信号発生器20と、試験信号がアナログ入力回路を経て出力された信号をディジタル信号に変換するA/D変換器13と、その変換して得たディジタル信号から前記基本波成分と高調波成分を抽出し、求めた各成分の信号の大きさに基づいて正常か否かを判断するワンチップマイコン14とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、主回路系統の異常を検出して系統事故が発生した際に設備を電力系統から切り離す保護動作等を行うディジタル形保護リレーに対する点検を行う技術に関する。
一般に電力系統を保護するディジタル形保護リレーは、電力系統からの電流や電圧等の電気量(アナログ)を入力するアナログ入力回路と、このアナログ入力回路に入力された電気量(アナログ)をディジタル信号に変換するA/D変換器と、変換されたディジタル信号を用いて演算を実行し、その演算結果をもとに予め整定された動作整定値との比較により事故の有無を判定し、事故と判定されたときは遮断器にトリップ指令を出す演算処理手段(CPU)を備えている。このように保護リレーは、電力用設備に発生した事故・異常状態を速やかに検知し、遮断器などの保護機器と組み合わせて設備の損傷を最小限にくい止めたりするものである。
ところで、アナログ入力回路に故障があると、電力系統・主回路系統の異常の検出を正しくできないため、適宜のタイミングでアナログ入力回路の点検を行っている。この点検方式の一例としては、アナログ回路への入力信号に高調波を重畳し、A/D変換器でディジタル信号に変換後、高調波成分を抽出してその大きさを求め、当該高調波成分の大きさから正常か否かを判断する。
上述した従来の点検方式は、通常の電力供給稼働時に検出信号に高調波を重畳させて行っていたため以下に示す課題がある。すなわち点検のために意図的に重畳させる高調波とは別に、電力系統には元々高調波が含まれている。従って、抽出した高調波成分の大きさは、電力系統に含まれていた高調波によるものと、点検するために生成し重畳した高調波によるものとの区別ができない。よって、電力系統に含まれていた高調波が影響し検出精度を高めることができない。
さらに、アナログ入力回路にはローパスフィルタが含まれているが、そのフィルタ特性(カットオフ周波数)の関係からフィルタの故障部位によっては異常を検出できないおそれがある。
上述した課題を解決するために、本発明は、(1)ディジタル形保護リレーのアナログ入力回路の点検システムであって、停電時に前記アナログ入力回路に基本波成分と高調波成分を混合したアナログの試験信号を入力する試験信号入力手段と、前記試験信号が前記アナログ入力回路を経て出力された信号をディジタル信号に変換するA/D変換手段と、 その変換して得たディジタル信号から前記基本波成分と高調波成分を抽出し、求めた各成分の信号の大きさに基づいて正常か否かを判断する判断手段と、を備えた。試験信号入力手段は、実施形態では重畳信号発生器20に対応する。判断手段は、実施形態ではワンチップマイコン14に対応する。高調波成分は、実施形態では第4高調波と第6高調波を用いたが、使用する高調波の数並びに次数は任意である。
基本波成分に基づく点検と、高調波成分に基づく点検を同時に行うことができ、短時間(例えば10から20秒)で点検作業が行える。そして、この点検作業は停電時に行うので、通常時に系統に含まれる高調波成分も存在せず、アナログ回路には試験信号のみを入力することができ系統の高調波の影響も無く検出精度が高くなる。さらに基本波成分と高調波成分を混合した試験信号を用いることで、両方の成分の大きさに基づき総合的に正常か否かの判断も行うことができる。
(2)前記試験信号は、異なる高調波成分が混合されるものとするとよい。異なる高調波成分を用いることで、1つの高調波成分では検出できない異常・故障があっても、別の高調波成分により検出することができるため、誤判定の発生をより抑制することができる。
(3)前記A/D変換手段は、前記ディジタル形保護リレーの構成要素と兼用するとよい。アナログ入力回路の正当性の検出を自己監視することができる。
(4)電力系統が通電されている通常時は、その電力系統に連携した検出手段で検出して前記アナログ入力回路に入力される電気量に高調波信号を重畳し、前記高調波信号が前記アナログ入力回路を経て出力された信号をディジタル信号に変換し、得たディジタル信号から前記高調波信号を抽出し、求めた信号の大きさに基づいて正常か否かを判断する常時点検機能を備えるとよい。
本発明では、ディジタル形保護リレーの特にアナログ回路の異常・故障の有無の判断を検出精度高く行うことができる。
図1は、本発明の点検対象となるディジタル形保護リレー並びに本発明の点検システムの好適な一実施形態を示している。図1に示すように、ディジタル形保護リレー10は、電力系統に連携された変成器(CT)11 と、変成器11で検出した電力系統からの電流や電圧等の電気量(アナログ)を入力するアナログ入力回路12と、このアナログ入力回路12に入力された電気量(アナログ)をディジタル信号に変換するA/D変換器13と、変換されたディジタル信号を演算処理するワンチップマイコン14を備える。ワンチップマイコン14は、CPU、プログラムおよび処理データを格納するROMやRAM等のメモリ、I/O等を備えたものである。演算実行するプログラムは、例えば変換されたディジタル信号を用いて演算を実行し、その演算結果をもとに予め整定された動作整定値との比較により事故の有無を判定し、事故と判定されたときは遮断器にトリップ指令を出す機能を実行する機能を有する。
アナログ入力回路12は、ゲイン回路15とアナログフィルタ(例えばローパスフィルタ)16とマルチプレクサ17を有する。ゲイン回路15は、変成器11で検出した電気量(アナログ)を設定されたゲイン(利得)で増幅或いは減衰する。ローパスフィルタ16は、カットオフ周波数を例えば120〜150Hzとして不要な高調波成分をカットする。
マルチプレクサ17は、複数の入力端子からいずれかを選んで出力する。図ではローパスフィルタ16が1つ接続されているが、例えば複数のフィルタが接続される。複数のフィルタは、例えばフィルタ特性の異なる複数のフィルタであったり、異なる種類の電気量を検出する変成器の出力を受けるフィルタであったりする。
上述したディジタル形保護リレーの基本的な構成は従来と同様であるので詳細な説明を省略する。また、図示した実施形態のディジタル形保護リレーは一例であり、本発明が適用される保護リレーは他の形態でもよい。
このディジタル形保護リレーの点検システムの一例は以下のようになっている。すなわち、アナログ入力回路12(ゲイン回路15)に、重畳信号発生器20を接続する。この重畳信号発生器20は、常時は従来と同様に所定の高調波信号を発生させ、ゲイン回路15に入力するように構成する。これにより高調波信号は、変成器11で検出した電気量に重畳する。ワンチップマイコン14は、A/D変換器13で変換したディジタル信号を受け取ると高調波成分を抽出してその大きさを求め、当該高調波成分の大きさから正常か否かを判断する常時点検機能を備える。
所定の高調波は、例えば第4高調波とする。基本波が50Hz或いは60Hzとすると、第4高調波は200Hz或いは240Hzとなる。ローパスフィルタ16のカットオフ周波数が120〜150Hzとすると、ローパスフィルタ16を構成するオペアンプや抵抗・コンデンサ等の回路素子の特性等によるが、係るフィルタが正常の場合には第4高調波成分はある程度カットされる。そこで、ワンチップマイコン14における常時点検機能のプログラム(判定アルゴリズム)は、取得したディジタル信号から高調波成分(第4高調波成分)を抽出した大きさが基準範囲外の場合に異常・故障と判断する。
ここで本発明では、常時点検機能に加え、停電時等の系統に電流が流れていないときに点検を行う停電時点検機能を備える。この停電時点検機能は、定期点検時などの系統が停電していることを前提として点検するものであり、重畳信号発生器20にて生成した基本波と1または複数の主要な高調波を予め定めた割合で混合した試験信号をアナログ入力回路12に入力し、点検を行うものである。
異常・故障の有無の判断は、試験信号がアナログ入力回路を経て出力された信号をA/D変換器13で変換して得たディジタル信号をワンチップマイコン14が受け取るとともに、試験信号に含まれる周波数成分である基本波成分と高調波成分を抽出し、各成分の信号の大きさを求め、各周波数成分の大きさから正常か否かを判断する。
停電しているため、変成器11からの信号が入力されないので、基本波成分の信号についての点検を行うために試験信号には係る基本波成分の信号も混合した。また、高調波成分の信号も重畳することで、常時点検と同様にアナログ入力回路12の点検を行う。停電時に行うため、通常時に系統に含まれる高調波成分も存在せず、アナログ回路12には重畳信号発生器20で生成された試験信号のみが入力されるので、系統の高調波の影響も無く検出精度が高くなる。さらに複数の高調波成分を用いることで、ゲイン回路のゲインや、ローパスフィルタのフィルタ特性が正しいかなど、より正確に点検が行える。
このワンチップマイコン14における停電時点検機能のプログラム(判定アルゴリズム)は、例えば取得したディジタル信号から抽出した基本波成分の大きさが設定された正常範囲外の場合には異常・故障と判断する。上限値を超えた場合には、例えばゲイン回路15のゲイン(利得)が大きくなっているなどの異常・故障のおそれがある。下限値を下回っている場合には例えばゲイン回路15のゲイン(利得)が逆に小さかったり、ローパスフィルタのフィルタ特性が設定からずれていたりするなどアナログ回路12を構成する各回路素子が故障している可能性がある。また、例えば取得したディジタル信号の高調波成分の大きさが基準値以上の場合に異常・故障と判断する。さらに抽出した複数の高調波成分の大きさから、フィルタ特性やゲインが正しいか否かの確認ができる。すなわち、各高調波の割合が予め決められているので、正常なアナログ入力回路12の場合にアナログ入力回路12を通過後の各高調波成分の正しい信号の大きさ(正常値,正常な範囲)はわかる。従って、ワンチップマイコン14に入力された信号から抽出された複数の高調波成分の大きさが、全体的に同じように正常値からずれている(大きい/小さい)場合にはゲイン回路15の故障のおそれがあり正常な範囲のものと正常な範囲からずれているものが混在していたり、全ての高調波成分が正常で無くてもその異常となる方向が異なっていたりする場合には、フィルタ特性が適切でないおそれがある。このとき、試験信号を構成する各高調波成分の比率は、等しくすると良い。そのようにすると、正常な場合に出力されてくるパターンもフィルタ特性に沿った規則正しい大きさになるので、比較が行いやすい。
異常の有無の判定、異常・故障箇所の特定は上記例示したものに限ることは無く各種の適用が可能である。さらに、本発明では異常・故障の有無が判定できれば良く、異常・故障の箇所の特定までしないものでも良い。
重畳信号発生器20は、図1(b)に示すように常時用高調波データ発生部21と、試験信号データ発生部22と、両発生部21,22の出力を択一的に選択する切り替えスイッチ24と、D/A変換器23とを備える。本実施形態の重畳信号発生器20は、出力する所定周波数の信号のパターンをディジタルデータとして記憶しており、そのディジタルデータのパターンにしたがって所定の周波数成分の信号を出力する。
切り替えスイッチ24は、ワンチップマイコン14からのモード切替信号により切り替わる。ワンチップマイコン14は、通常は常時点検モード指令を出力し、例えば図示省略の停電時の点検(定期点検)用のスイッチの押下等を受け付けると、停電時点検モード指令を出力する。そのモード指令の出力に基づきワンチップマイコン14は、自己が実行する判定のアルゴリズムを切り替える。
試験信号データ発生部22では、1つの基本波成分と、複数の高調波成分を混合した信号を生成する。これは、例えば各周波数成分の信号のパターンデータを記憶保持し、そのパターンデータからなる信号を生成しそれらを混合することで試験信号を作成できる。
本実施形態では、必要な周波数成分の信号をディジタル信号に基づいて生成し、それをA/D変換して得たアナログの試験信号を出力するため、所望の高調波成分の信号を簡単かつ正確に作ることができる。
上述した実施形態では、停電時点検は、停電等の電力系統に電流が流れていない場合に行うようにしたが、例えば変成器11とアナログ入力回路12との間に開閉スイッチ等を設け、その開閉スイッチを開いて擬似的に停電状態にし、停電時点検機能を実行させるようにしてもよい。
10 ディジタル形保護リレー
11 変成器
12 アナログ入力回路
13 A/D変換器
14 ワンチップマイコン
15 ゲイン回路
16 ローパスフィルタ
17 マルチプレクサ
20 重畳信号発生器
21 常時用高調波データ発生部
22 試験信号データ発生部
23 D/A変換器
24 切り替えスイッチ
11 変成器
12 アナログ入力回路
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14 ワンチップマイコン
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21 常時用高調波データ発生部
22 試験信号データ発生部
23 D/A変換器
24 切り替えスイッチ
Claims (4)
- ディジタル形保護リレーの点検システムであって、
停電時に前記ディジタル形保護リレーのアナログ入力回路に基本波成分と高調波成分を混合したアナログの試験信号を入力する試験信号入力手段と、
前記試験信号が前記アナログ入力回路を経て出力された信号をディジタル信号に変換するA/D変換手段と、
その変換して得たディジタル信号から前記基本波成分と高調波成分を抽出し、求めた各成分の信号の大きさに基づいて正常か否かを判断する判断手段と、
を備えたディジタル形保護リレーの点検システム。 - 前記試験信号は、異なる高調波成分が混合されるものであることを特徴とする請求項1に記載のディジタル形保護リレーの点検システム。
- 前記A/D変換手段は、前記ディジタル形保護リレーの構成要素と兼用していることを特徴とする請求項1または2に記載のディジタル形保護リレーの点検システム。
- 電力系統が通電されている通常時は、その電力系統に連携した検出手段で検出して前記アナログ入力回路に入力される電気量に高調波信号を重畳し、前記高調波信号が前記アナログ入力回路を経て出力された信号をディジタル信号に変換し、得たディジタル信号から前記高調波信号を抽出し、求めた信号の大きさに基づいて正常か否かを判断する常時点検機能を、備える請求項1〜3のいずれかに記載のディジタル形保護リレーの点検システム。
Priority Applications (1)
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JP2012007597A JP2013150404A (ja) | 2012-01-18 | 2012-01-18 | ディジタル型保護リレーの点検システム |
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---|---|---|---|---|
CN106324407A (zh) * | 2016-09-28 | 2017-01-11 | 国家电网公司 | 电压互感器二次消谐装置检测仪 |
CN109782156A (zh) * | 2019-01-08 | 2019-05-21 | 中国人民解放军海军工程大学 | 基于人工免疫诊断网络的模拟电路故障诊断方法 |
CN116298440A (zh) * | 2023-05-18 | 2023-06-23 | 国电南瑞科技股份有限公司 | 一种实现电力系统多源异常工况耦合的状态序列模拟方法 |
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2012
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CN106324407B (zh) * | 2016-09-28 | 2023-07-25 | 国家电网公司 | 电压互感器二次消谐装置检测仪 |
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CN116298440A (zh) * | 2023-05-18 | 2023-06-23 | 国电南瑞科技股份有限公司 | 一种实现电力系统多源异常工况耦合的状态序列模拟方法 |
CN116298440B (zh) * | 2023-05-18 | 2023-09-29 | 国电南瑞科技股份有限公司 | 一种实现电力系统多源异常工况耦合的状态序列模拟方法 |
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