JPH0628189Y2 - 石炭粉砕機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、石炭粉砕装置特に石炭粉砕機の発火防止の
装置に関する。

〈従来の技術及びその問題点〉 石炭粉砕機（以下ミルと略称する）は投入された石炭を
粉砕、乾燥し規定粒度に分級して機外へ搬送する設備で
あり、ミルから出る粉砕炭の温度を80℃程度に保持する
ためにミルへ供給される気体のミル入口温度を200〜300
℃程度に高めて投入炭を乾燥している。従つて、ミルの
内部は非常に発火しやすい発件になつており（微粉の存
在と適度の堆積厚さを持ち、周囲雰囲気温度が高いこと
で、発火しやすい条件が形成されている）、更に、投入
炭の揮発分が高い場合は一段とミル内での発火を助長す
ることとなる。通常運転状態においてはミル内に連続的
な微粉炭の流れがあるため発火の危険性は少ないが、ミ
ルを停止した場合は内部の残熱によつて発火の可能性が
高くなり、特に事故等により緊急停止した際は内部の残
炭が増加し更に高い温度に保持されることから発火の危
険性は更に高くなる。上記した現象の発生を防止するた
め、特別に消火設備を設けミルの内部温度を検出し、並
行してミル出口ダンパを閉じることによつて設備の安全
をはかる手段をとつているが、非常に大がかりな装置と
なつている。

このため簡便にして確実な消火装置を設けた石炭粉砕機
の提案が要望されていた。

〈考案の目的〉 この考案は既設の石炭粉砕機の上部粉砕輪をミルボール
に押圧する加圧手段たるＮ₂ガスシリンダの圧力源であ
る窒素ガスボンベ等の不活性圧力ガスを利用した石炭粉
砕機の消火装置を提案することを目的とする。

〈手段の概要〉 不活性ガスをＮ₂シリンダに供給する管路から分岐する
管路を設け、この管路に設けた開閉弁を、ミル内のガス
温度、ＣＯガス温度を検知して、制御箱の指令により開
とし不活性ガスを噴出させてミルの消火をするものであ
る。

〈実施例〉 第１図は石炭粉砕装置１の構造を示すもので、石炭はシ
ュート14に供給され、上部粉砕輪16と下部粉砕輪に挾持
されるミルボール15により粉砕される。粉砕された微粉
炭はスリツトグレート18より供給される一次空気で吹き
上げられ、ベーン19を経由し旋回流が形成されることに
より、細粒を旋回流の遠心力で分離し、出口ダクト20を
経由し必要とする粒度分布の微粉炭を各バーナに送つて
いる。

この場合スリツトグレート18の下側の室21内には細粒ま
たは不燃成分が堆積して、堆積層22を形成する。この場
合先に述べた一次空気の温度により昇温すること並びに
運転中の鉄片など石炭中に含まれるものが飛散し側壁と
衝突して出す火花を着火源としミル内で燃焼をすること
となる。

ミルには上部粉砕輪16はミルボール15を加圧し下部粉砕
輪17とでこのミルボールを挾持するために、加圧シリン
ダ２が設けられている。この加圧シリンダ２を含む加圧
系統は、不活性ガス（通常窒素ガス）ボンベ５よりの供
給される不活性ガス（窒素ガス、炭酸ガス等の不活性ガ
ス）を減圧弁６によつて減圧し、加圧用不活性ガスライ
ン３の配管を経由して加圧シリンダ２に送り込む構造と
なつておる。加圧シリンダ２の摺動によつて不活性ガス
が外部に漏れ出すことを防止するため加圧用不活性ガス
ライン３より高圧である加圧ガスシール用オイルライン
４を設けＮ₂ガスの漏洩を防止している。

従つて、通常加圧用不活性ガスライン３に封入された不
活性ガスはバルブを開くとか、配管の破損等が発生しな
い限り漏れ出すことがなく、定期的な補充は不要であ
る。このことから、加圧用不活性ガスライン３に不活性
ガスを封入した後は通常加圧用不活性ガス止弁７を全閉
にして運転している。上記加圧系統の不活性ガスボンベ
５（通常150kg/cm²g程度の高圧）の出口配管部より分岐
し、先端はミル内に不活性ガスを噴射するノズルに接続
し、前記分岐部に近く消火用不活性ガス止弁８を有する
管路９を配置する。通常はこの不活性ガス止弁８は閉
で、管路９内に不活性ガスの漏出することはない。

運転中においても、またミル停止に際しては特にミル内
ガス温度の検出とＣＯガス濃度の検出がされる。この検
出はミルのケーシングに取付けたミル内温度検出器10、
及び一酸化炭素濃度検出器11により行なわれる。運転中
については規定温度より異常に昇温したときや、ミル停
止中に昇温の傾向が認められると記憶と指令信号を出す
制御箱23により判断されたときは、その制御箱より指令
信号が不活性ガス止弁に出され、この弁を開とし、不活
性ガスがミル内に噴出される。また同時にミル出口用ダ
ンパ、開閉用シリンダー13が作動し、ミル出口用ダンパ
は閉とされる。この放出された不活性ガスによりミル内
はＯ₂不足となり消火がされる。

また、微粉炭機の緊急停止時においても消火用不活性ガ
ス止弁８を開いて微粉炭機内部に不活性ガスを封入し発
火を未然に防止する役目も果す。なお、微粉炭機内部温
度や一酸化炭素濃度検出結果により、微粉炭機出口ダン
パ12を自動的に閉じるように動作するが、消火用不活性
ガス止弁８は手動操作によつて開き、不活性ガスを微粉
炭機内部へ送り込むことも可能である。

〈実施例２〉 また第２実施例としては微粉炭機内部温度の上昇により
微粉炭機出口ダンパを閉じ、ボイラ設備における比較的
低温の蒸気を管路24、止め弁25を経由し微粉炭機内部に
導くことにより発火防止、あるいは消火を行なうという
こともできる。

〈効果〉 この考案を実施することにより、数少ない管路と弁を設
けることにより石炭粉砕機（ミル）の消火装置を自動的
にすることのできる装置が設けられたこととなりミルの
安全運転に貢献するところが大である。

【図面の簡単な説明】

第１図はミルの縦断面と消火装置の管路を示す図面であ
る。 １……石炭粉砕機（ミル） ２……加圧シリンダ ５……不活性ガスボンベ ８……消火用不活性ガス止弁 ９、24……管路、23……制御箱 25……止め弁

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】圧力を有する不活性ガスの供給源と接続す
   る管路をもつ石炭を粉砕するものにおいて、ミル出口の
   微粉炭搬送気流の温度を検出する検出器と、ミル内ＣＯ
   ガス濃度を検出する一酸化炭素濃度検出器と、その検出
   した温度の信号とＣＯガス濃度の信号を受ける記憶と指
   令信号を出す制御箱と、不活性ガスをミルに供給する管
   路に設けた弁と、前記制御箱の指令を受けミル出口ダン
   パを開閉する圧力シリンダ付き開閉ダンパと、を有する
   ことを特徴とする石炭粉砕機。
2. 【請求項２】実用新案登録請求の範囲第１項記載の石炭
   粉砕機において、不活性ガスの供給源を窒素ガスボンベ
   とするもの。
3. 【請求項３】実用新案登録請求の範囲第１項記載の石炭
   粉砕機において、不活性ガスの供給源をＣＯ₂ガスボン
   ベとするもの。
4. 【請求項４】実用新案登録請求の範囲第１項記載の石炭
   粉砕機において、不活性ガス供給管路としてＮ₂ガス供
   給管路に蒸気供給管路を接続したもの。