JPH06279960A - Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処理法 - Google Patents
Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処理法Info
- Publication number
- JPH06279960A JPH06279960A JP8940093A JP8940093A JPH06279960A JP H06279960 A JPH06279960 A JP H06279960A JP 8940093 A JP8940093 A JP 8940093A JP 8940093 A JP8940093 A JP 8940093A JP H06279960 A JPH06279960 A JP H06279960A
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- Japan
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- extruded material
- cooling
- aluminum alloy
- treatment
- aging treatment
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材
の成形性を損なうことなく、強度を向上させることので
きるAl−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処
理法を提供する。 【構成】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材
を溶体化処理後焼入れするにあたり、250℃の温度ま
では急冷し、その後常温まで徐冷することを特徴とする
Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処理
法。
の成形性を損なうことなく、強度を向上させることので
きるAl−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処
理法を提供する。 【構成】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材
を溶体化処理後焼入れするにあたり、250℃の温度ま
では急冷し、その後常温まで徐冷することを特徴とする
Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処理
法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Al−Mg−Si系ア
ルミニウム合金押出材の熱処理法に関するものである。
ルミニウム合金押出材の熱処理法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Al−Mg−Si系アルミニウム合金は
熱処理型の合金で、熱処理によって特性をいろいろと制
御することが可能であり、このことを利用してその押出
材は、家電、建築用材、自動車の部材、航空機の部材等
に広く用いられている。このAl−Mg−Si系アルミ
ニウム合金押出材は、押出の際の高温加工から急冷して
焼入れした後、人工時効処理を施したT5状態で使用さ
れることが多い。押出後、更に曲げ加工等の成形加工を
施す場合は、溶体化処理後、常温時効させたT4状態
か、または前記T5状態で加工するが、加工度の厳しい
場合には、T4状態で加工するのが一般的であり、この
場合は加工後人工時効処理を施して高い強度を得てい
る。いずれの場合にも使用できる状態になるのには、焼
入れ後人工時効処理を施すまでに、数日から数カ月に及
んで常温に保持する常温時効処理の期間が必要である。
熱処理型の合金で、熱処理によって特性をいろいろと制
御することが可能であり、このことを利用してその押出
材は、家電、建築用材、自動車の部材、航空機の部材等
に広く用いられている。このAl−Mg−Si系アルミ
ニウム合金押出材は、押出の際の高温加工から急冷して
焼入れした後、人工時効処理を施したT5状態で使用さ
れることが多い。押出後、更に曲げ加工等の成形加工を
施す場合は、溶体化処理後、常温時効させたT4状態
か、または前記T5状態で加工するが、加工度の厳しい
場合には、T4状態で加工するのが一般的であり、この
場合は加工後人工時効処理を施して高い強度を得てい
る。いずれの場合にも使用できる状態になるのには、焼
入れ後人工時効処理を施すまでに、数日から数カ月に及
んで常温に保持する常温時効処理の期間が必要である。
【0003】この常温時効処理は約1wt%以上のMg2
Siを含むAl−Mg−Si系アルミニウム合金に対し
て人工時効処理に負の効果があり、その後の人工時効処
理によって得られる強度が低下するという問題がある。
また、常温時効処理によってもある程度の時効硬化を生
じ、時間が経過するにつれT4状態での成形加工の際の
成形性が低下するという問題もある。
Siを含むAl−Mg−Si系アルミニウム合金に対し
て人工時効処理に負の効果があり、その後の人工時効処
理によって得られる強度が低下するという問題がある。
また、常温時効処理によってもある程度の時効硬化を生
じ、時間が経過するにつれT4状態での成形加工の際の
成形性が低下するという問題もある。
【0004】Al−Mg−Si系アルミニウム合金にお
ける時効析出過程は、過飽和固溶体→クラスタ→針状
G.P.ゾーン→棒状中間相β´→板状安定相βの過程
であり、最高強度は針状G.P.ゾーンにより得られ
る。常温時効処理後の人工時効処理により強度が得られ
ない理由は、溶体化処理後の常温時効処理中にクラスタ
が生じ、この多くは人工時効処理によっても針状G.
P.ゾーンへ移行できないためといわれている。
ける時効析出過程は、過飽和固溶体→クラスタ→針状
G.P.ゾーン→棒状中間相β´→板状安定相βの過程
であり、最高強度は針状G.P.ゾーンにより得られ
る。常温時効処理後の人工時効処理により強度が得られ
ない理由は、溶体化処理後の常温時効処理中にクラスタ
が生じ、この多くは人工時効処理によっても針状G.
P.ゾーンへ移行できないためといわれている。
【0005】そこで予備時効処理により、常温時効処理
中に生じたクラスタを針状G.P.ゾーンに移行させた
後に、人工時効処理を行い、強度を向上させる方法があ
る。しかしこの熱処理法でも全てのクラスタが針状G.
P.ゾーンに移行するわけではなく、強度は十分には向
上させることができない。
中に生じたクラスタを針状G.P.ゾーンに移行させた
後に、人工時効処理を行い、強度を向上させる方法があ
る。しかしこの熱処理法でも全てのクラスタが針状G.
P.ゾーンに移行するわけではなく、強度は十分には向
上させることができない。
【0006】また溶体化処理直後に高温で予備時効処理
を行い、針状G.P.ゾーンを析出させ、この後の常温
時効処理時にクラスタが生じることを防ぐという熱処理
法もある。しかしこの熱処理法では、焼入後に2回の熱
処理を行わなければならず、コスト面に問題があり、さ
らに焼入後数時間以内に高温で予備時効処理を行わなけ
ればならないため、押出時間に合わせて熱処理炉を予め
準備しておかねばならないという生産工程上の問題もあ
る。
を行い、針状G.P.ゾーンを析出させ、この後の常温
時効処理時にクラスタが生じることを防ぐという熱処理
法もある。しかしこの熱処理法では、焼入後に2回の熱
処理を行わなければならず、コスト面に問題があり、さ
らに焼入後数時間以内に高温で予備時効処理を行わなけ
ればならないため、押出時間に合わせて熱処理炉を予め
準備しておかねばならないという生産工程上の問題もあ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況に鑑み、人工時効処理後に十分な強度を有し、かつ
成形性にも優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金
押出材を得ることができるAl−Mg−Si系アルミニ
ウム合金押出材の熱処理法を開発することを目的として
成されたものである。
状況に鑑み、人工時効処理後に十分な強度を有し、かつ
成形性にも優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金
押出材を得ることができるAl−Mg−Si系アルミニ
ウム合金押出材の熱処理法を開発することを目的として
成されたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、Al−M
g−Si系アルミニウム合金押出材を溶体化処理後焼入
れするにあたり、250℃の温度までは急冷し、その後
常温まで徐冷することを特徴とするAl−Mg−Si系
アルミニウム合金押出材の熱処理法である。
g−Si系アルミニウム合金押出材を溶体化処理後焼入
れするにあたり、250℃の温度までは急冷し、その後
常温まで徐冷することを特徴とするAl−Mg−Si系
アルミニウム合金押出材の熱処理法である。
【0009】
【作用】本発明はAl−Mg−Si系アルミニウム合金
押出材を対象とするものであり、溶体化・焼入れ処理
を、押出加工後直ちに焼入れ処理を行ういわゆるプレス
焼入れによって行うことができる。押出温度は通常合金
の溶体化処理温度よりも低いが、加工中の発熱によりダ
イス近くで温度は上昇し、溶質原子が押出加工時に固溶
化することができるのである。
押出材を対象とするものであり、溶体化・焼入れ処理
を、押出加工後直ちに焼入れ処理を行ういわゆるプレス
焼入れによって行うことができる。押出温度は通常合金
の溶体化処理温度よりも低いが、加工中の発熱によりダ
イス近くで温度は上昇し、溶質原子が押出加工時に固溶
化することができるのである。
【0010】本発明において、上記プレス焼入れ時に2
50℃の温度までは急冷するのは、冷却中に粗大なMg
2 Siの析出を防止するためである。急冷する温度を2
50℃までと限定したのは、250℃以上の温度では粗
大なMg2 Siが生じやすく、250℃より低い温度で
は生じにくくなるからである。ここで急冷の際の冷却速
度としては、20℃/sec以上が望ましく、この程度
の冷却速度は水スプレーによって容易に得られる。
50℃の温度までは急冷するのは、冷却中に粗大なMg
2 Siの析出を防止するためである。急冷する温度を2
50℃までと限定したのは、250℃以上の温度では粗
大なMg2 Siが生じやすく、250℃より低い温度で
は生じにくくなるからである。ここで急冷の際の冷却速
度としては、20℃/sec以上が望ましく、この程度
の冷却速度は水スプレーによって容易に得られる。
【0011】また、急冷後常温まで徐冷するのは、徐冷
中に針状G.P.ゾーンを析出させ、常温時効処理中に
クラスタを生じることを防止するためである。徐冷の際
の冷却速度は、0.1〜5℃/sec程度が望ましく、
冷却速度が速すぎると針状G.P.ゾーンの析出が不十
分であり、その結果として常温時効処理時にクラスタが
生じて時効硬化が進むため、成形性が低下し、さらに1
wt%以上のMg2 Siを含有する合金において人工時効
処理後の強度が低下する。逆に冷却速度が遅すぎると針
状G.P.ゾーンが粗大化し、その結果として人工時効
処理後の強度が低下する。一般の押出材の冷却速度は空
冷で1℃/sec程度、強制ファン空冷で10℃/se
c程度であり、徐冷の際の冷却速度は空冷のみで制御す
ることができる。
中に針状G.P.ゾーンを析出させ、常温時効処理中に
クラスタを生じることを防止するためである。徐冷の際
の冷却速度は、0.1〜5℃/sec程度が望ましく、
冷却速度が速すぎると針状G.P.ゾーンの析出が不十
分であり、その結果として常温時効処理時にクラスタが
生じて時効硬化が進むため、成形性が低下し、さらに1
wt%以上のMg2 Siを含有する合金において人工時効
処理後の強度が低下する。逆に冷却速度が遅すぎると針
状G.P.ゾーンが粗大化し、その結果として人工時効
処理後の強度が低下する。一般の押出材の冷却速度は空
冷で1℃/sec程度、強制ファン空冷で10℃/se
c程度であり、徐冷の際の冷却速度は空冷のみで制御す
ることができる。
【0012】本発明が適用できるAl−Mg−Si系ア
ルミニウム合金としては、JIS6063合金、JIS
6N01合金、JIS6061合金等の6000系の合
金の殆どが挙げられる。
ルミニウム合金としては、JIS6063合金、JIS
6N01合金、JIS6061合金等の6000系の合
金の殆どが挙げられる。
【0013】本発明熱処理法を施す前の工程であるAl
−Mg−Si系アルミニウム合金の溶解、鋳造、均質化
処理、押出前予備加熱、押出加工は通常通り行えば良
い。
−Mg−Si系アルミニウム合金の溶解、鋳造、均質化
処理、押出前予備加熱、押出加工は通常通り行えば良
い。
【0014】
【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明す
る。表1に示す合金組成を有するJIS6063合金、
JIS6N01合金、JIS6061合金をそれぞれ水
冷鋳造にて外径200mmの鋳塊とし、540℃×8時
間の均質化処理後、押出温度500℃、押出速度10m
/minで、熱間押出を行った。押出形状は3×120
mmの板状である。押出後の冷却は250℃まで水スプ
レーで急冷し、それ以降は空冷で徐冷したもの(本発明
法)と、室温まで水スプレーで急冷したもの(従来法)
との2種類行った。このプレス焼入れ後、30日間室温
で常温時効処理した後、175℃×8時間の人工時効処
理を行った。その後JIS5号引張試験片に加工し、引
張試験を行った。その結果を表2に示す。この結果はN
=3の平均値である。
る。表1に示す合金組成を有するJIS6063合金、
JIS6N01合金、JIS6061合金をそれぞれ水
冷鋳造にて外径200mmの鋳塊とし、540℃×8時
間の均質化処理後、押出温度500℃、押出速度10m
/minで、熱間押出を行った。押出形状は3×120
mmの板状である。押出後の冷却は250℃まで水スプ
レーで急冷し、それ以降は空冷で徐冷したもの(本発明
法)と、室温まで水スプレーで急冷したもの(従来法)
との2種類行った。このプレス焼入れ後、30日間室温
で常温時効処理した後、175℃×8時間の人工時効処
理を行った。その後JIS5号引張試験片に加工し、引
張試験を行った。その結果を表2に示す。この結果はN
=3の平均値である。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】表2から明らかなように、本発明法による
ものは、従来法によるものと比較して引張強さ及び耐力
ともに向上し、伸びも低下していない。
ものは、従来法によるものと比較して引張強さ及び耐力
ともに向上し、伸びも低下していない。
【0018】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば合金
組成、設備等を変更することなく、Al−Mg−Si系
アルミニウム合金の強度を向上させることができるもの
で、工業上顕著な効果を奏するものである。
組成、設備等を変更することなく、Al−Mg−Si系
アルミニウム合金の強度を向上させることができるもの
で、工業上顕著な効果を奏するものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 Al−Mg−Si系アルミニウム合金押
出材を溶体化処理後焼入れするにあたり、250℃の温
度までは急冷し、その後常温まで徐冷することを特徴と
するAl−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処
理法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8940093A JPH06279960A (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処理法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8940093A JPH06279960A (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処理法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06279960A true JPH06279960A (ja) | 1994-10-04 |
Family
ID=13969602
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8940093A Pending JPH06279960A (ja) | 1993-03-23 | 1993-03-23 | Al−Mg−Si系アルミニウム合金押出材の熱処理法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06279960A (ja) |
-
1993
- 1993-03-23 JP JP8940093A patent/JPH06279960A/ja active Pending
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