JPH06279259A - 皮膚外用剤 - Google Patents
皮膚外用剤Info
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- JPH06279259A JPH06279259A JP5092498A JP9249893A JPH06279259A JP H06279259 A JPH06279259 A JP H06279259A JP 5092498 A JP5092498 A JP 5092498A JP 9249893 A JP9249893 A JP 9249893A JP H06279259 A JPH06279259 A JP H06279259A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 安定で且つ副作用がなく安全な、皮膚の老化
防止，肌荒れ改善等に有効な抗炎症剤，創傷治療剤，皮
膚化粧料等として有用な皮膚外用剤を得る。 【構成】 真皮線維芽細胞増殖促進作用を有するα-ヒ
ドロキシ酸と、エステル結合，ホスホジエステル結合を
介して、グリセロリン脂質，グリセロ糖脂質，スフィン
ゴリン脂質とを結合させて複合体を得、これを配合して
皮膚外用剤とする。α-ヒドロキシ酸と上記脂質の結合
複合体は親油性が大きく、経皮吸収性が向上しており、
皮膚内でエステラーゼ等の作用を受けてα-ヒドロキシ
酸と上記脂質とに分かれ、線維芽細胞増殖作用と保湿作
用との相乗作用により、優れた皮膚の老化防止及び改善
作用を示す。
防止，肌荒れ改善等に有効な抗炎症剤，創傷治療剤，皮
膚化粧料等として有用な皮膚外用剤を得る。 【構成】 真皮線維芽細胞増殖促進作用を有するα-ヒ
ドロキシ酸と、エステル結合，ホスホジエステル結合を
介して、グリセロリン脂質，グリセロ糖脂質，スフィン
ゴリン脂質とを結合させて複合体を得、これを配合して
皮膚外用剤とする。α-ヒドロキシ酸と上記脂質の結合
複合体は親油性が大きく、経皮吸収性が向上しており、
皮膚内でエステラーゼ等の作用を受けてα-ヒドロキシ
酸と上記脂質とに分かれ、線維芽細胞増殖作用と保湿作
用との相乗作用により、優れた皮膚の老化防止及び改善
作用を示す。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、α-ヒドロキシ酸とグ
リセロリン脂質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質
との結合複合体を配合して成る、真皮細胞の増殖促進作
用及び保湿作用，細胞賦活作用の相乗効果により、皮膚
の老化防止，肌荒れ改善等に有効な抗炎症剤，創傷治療
剤，皮膚化粧料等として有用な皮膚外用剤に関する。
リセロリン脂質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質
との結合複合体を配合して成る、真皮細胞の増殖促進作
用及び保湿作用，細胞賦活作用の相乗効果により、皮膚
の老化防止，肌荒れ改善等に有効な抗炎症剤，創傷治療
剤，皮膚化粧料等として有用な皮膚外用剤に関する。
【０００２】
【従来の技術】最近皮膚外用剤の分野において、皮膚細
胞自体を賦活し、皮膚の機能そのものを活性化して、皮
膚症状の改善や抗炎症効果叉は創傷治癒効果を生じさせ
る研究が多くなされている。従来、かかる皮膚外用剤と
して、ホルモン類，ビタミン類，γ-オリザノール，サ
ポニン等の生薬抽出物，胎盤抽出物，植物レクチン，キ
ノコ抽出物、さらには動物由来タンパク質といったさま
ざまな物質が使用されてきた。
胞自体を賦活し、皮膚の機能そのものを活性化して、皮
膚症状の改善や抗炎症効果叉は創傷治癒効果を生じさせ
る研究が多くなされている。従来、かかる皮膚外用剤と
して、ホルモン類，ビタミン類，γ-オリザノール，サ
ポニン等の生薬抽出物，胎盤抽出物，植物レクチン，キ
ノコ抽出物、さらには動物由来タンパク質といったさま
ざまな物質が使用されてきた。
【０００３】また、われわれは以前に、α-ヒドロキシ
酢酸が真皮の線維芽細胞に作用し、これを活性化するこ
とを見い出し、開示している（特願平３−３０１０９
０）。その後、他のα-ヒドロキシ酸についても真皮細
胞の増殖作用が見い出された。
酢酸が真皮の線維芽細胞に作用し、これを活性化するこ
とを見い出し、開示している（特願平３−３０１０９
０）。その後、他のα-ヒドロキシ酸についても真皮細
胞の増殖作用が見い出された。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】しかし、以上述べたよ
うな皮膚賦活剤においては、副作用の問題から使用に際
し制限を受けたり、作用，効果が十分でなく、かなり大
量を配合しなければならなかったり、といった問題点が
あった。また、植物や動物由来物質においては、特に品
質の管理が困難で、安定な皮膚賦活剤の提供を受けるこ
とが難しく、さらに皮膚外用剤に配合した場合に、失活
しやすいという問題もあった。
うな皮膚賦活剤においては、副作用の問題から使用に際
し制限を受けたり、作用，効果が十分でなく、かなり大
量を配合しなければならなかったり、といった問題点が
あった。また、植物や動物由来物質においては、特に品
質の管理が困難で、安定な皮膚賦活剤の提供を受けるこ
とが難しく、さらに皮膚外用剤に配合した場合に、失活
しやすいという問題もあった。
【０００５】また、α-ヒドロキシ酸については、非常
に有用な皮膚賦活剤であるが、特に作用の強いα-ヒド
ロキシ酢酸，乳酸などにおいては、水溶性であるため、
皮膚への親和性が弱く、経皮吸収されにくく、十分な効
果を発揮させることができなかった。
に有用な皮膚賦活剤であるが、特に作用の強いα-ヒド
ロキシ酢酸，乳酸などにおいては、水溶性であるため、
皮膚への親和性が弱く、経皮吸収されにくく、十分な効
果を発揮させることができなかった。
【０００６】本発明は、かかる課題を解決し、皮膚の老
化防止，肌荒れ改善等に有効な抗炎症剤，創傷治療剤，
皮膚化粧料等として有用な皮膚外用剤に関する。
化防止，肌荒れ改善等に有効な抗炎症剤，創傷治療剤，
皮膚化粧料等として有用な皮膚外用剤に関する。
【０００７】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するに
あたり、われわれはα-ヒドロキシ酸の修飾を行って、
これの生体親和性を高め、経皮吸収を改善することを試
みた。
あたり、われわれはα-ヒドロキシ酸の修飾を行って、
これの生体親和性を高め、経皮吸収を改善することを試
みた。
【０００８】生体の構成成分であるグリセロリン脂質，
グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質は、これ自体優れ
た保湿作用及び細胞賦活作用を示し、皮膚に適用した場
合、皮膚に必要な水分を補給し、皮膚の細胞を活性化
し、それにより皮膚の老化を防止する効果を有するもの
である。われわれは、これらの脂質にα-ヒドロキシ酸
を導入し、皮膚の線維芽細胞の増殖を促進するα-ヒド
ロキシ酸に対し、親油性を付与して、経皮吸収性を高め
ることに成功した。
グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質は、これ自体優れ
た保湿作用及び細胞賦活作用を示し、皮膚に適用した場
合、皮膚に必要な水分を補給し、皮膚の細胞を活性化
し、それにより皮膚の老化を防止する効果を有するもの
である。われわれは、これらの脂質にα-ヒドロキシ酸
を導入し、皮膚の線維芽細胞の増殖を促進するα-ヒド
ロキシ酸に対し、親油性を付与して、経皮吸収性を高め
ることに成功した。
【０００９】グリセロリン脂質へのα-ヒドロキシ酸の
導入は、ホスファチジル酸とリン酸を介して一般式１に
示すようなホスホジエステルを形成させるか、一般式２
に示すように、グリセロリン脂質の少なくとも一方のア
シル基とα-ヒドロキシ酸との間でアシル交換反応させ
ることにより達成することができる。グリセロ糖脂質へ
のα-ヒドロキシ酸の導入は、一般式３に示すように、
グリセロ糖脂質の少なくとも一方のアシル基とα-ヒド
ロキシ酸との間でアシル交換反応を行わせることにより
成し得る。スフィンゴリン脂質への導入は、α-ヒドロ
キシ酸のリン酸エステルを合成し、これをセラミドとホ
スホジエステル結合させることにより行うことができ
る。
導入は、ホスファチジル酸とリン酸を介して一般式１に
示すようなホスホジエステルを形成させるか、一般式２
に示すように、グリセロリン脂質の少なくとも一方のア
シル基とα-ヒドロキシ酸との間でアシル交換反応させ
ることにより達成することができる。グリセロ糖脂質へ
のα-ヒドロキシ酸の導入は、一般式３に示すように、
グリセロ糖脂質の少なくとも一方のアシル基とα-ヒド
ロキシ酸との間でアシル交換反応を行わせることにより
成し得る。スフィンゴリン脂質への導入は、α-ヒドロ
キシ酸のリン酸エステルを合成し、これをセラミドとホ
スホジエステル結合させることにより行うことができ
る。
【００１０】以上のようにして調製したα-ヒドロキシ
酸のグリセロリン脂質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリ
ン脂質結合複合体を、通常の皮膚外用剤基剤，化粧料基
剤に添加することにより、本発明に係る皮膚外用剤を得
る。
酸のグリセロリン脂質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリ
ン脂質結合複合体を、通常の皮膚外用剤基剤，化粧料基
剤に添加することにより、本発明に係る皮膚外用剤を得
る。
【００１１】特に、一般式１及び一般式４において、遊
離のカルボキシル基を有するα-ヒドロキシ酸を導入し
た場合や、一般式２及び一般式３のように、α-ヒドロ
キシ酸残基を有するグリセロリン脂質やグリセロ糖脂質
を用いる場合は、これらが両親媒性を有するため、リポ
ソーム化して配合することができる。
離のカルボキシル基を有するα-ヒドロキシ酸を導入し
た場合や、一般式２及び一般式３のように、α-ヒドロ
キシ酸残基を有するグリセロリン脂質やグリセロ糖脂質
を用いる場合は、これらが両親媒性を有するため、リポ
ソーム化して配合することができる。
【００１２】
【作用】本発明に係る皮膚外用剤を皮膚に塗布した場
合、有効成分として配合したα-ヒドロキシ酸のグリセ
ロリン脂質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質結合
複合体は、前記各脂質の有する脂溶性により、皮膚に対
して良好な親和性を有し、良好な経皮吸収を示す。ま
た、両親媒性を示す脂質結合複合体の場合は、容易にリ
ポソーム化できるので、製剤化も容易で、皮膚に適用し
て経皮吸収させ、より効率的に真皮に有効量を到達させ
ることができる。そして主として真皮内において、皮膚
内のホスホリパーゼ，ホスホジエステラーゼ等の酵素に
より、脂肪酸エステルやホスホジエステル結合が加水分
解され、α-ヒドロキシ酸とグリセロリン脂質等とに分
かれる。α-ヒドロキシ酸は真皮の線維芽細胞に作用し
てこの増殖を促進し、皮膚細胞を賦活する。一方、グリ
セロリン脂質等は、皮膚内において保湿作用及び細胞賦
活作用を発揮して、特に皮膚の水分損失に起因する皮膚
の老化を防止する。
合、有効成分として配合したα-ヒドロキシ酸のグリセ
ロリン脂質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質結合
複合体は、前記各脂質の有する脂溶性により、皮膚に対
して良好な親和性を有し、良好な経皮吸収を示す。ま
た、両親媒性を示す脂質結合複合体の場合は、容易にリ
ポソーム化できるので、製剤化も容易で、皮膚に適用し
て経皮吸収させ、より効率的に真皮に有効量を到達させ
ることができる。そして主として真皮内において、皮膚
内のホスホリパーゼ，ホスホジエステラーゼ等の酵素に
より、脂肪酸エステルやホスホジエステル結合が加水分
解され、α-ヒドロキシ酸とグリセロリン脂質等とに分
かれる。α-ヒドロキシ酸は真皮の線維芽細胞に作用し
てこの増殖を促進し、皮膚細胞を賦活する。一方、グリ
セロリン脂質等は、皮膚内において保湿作用及び細胞賦
活作用を発揮して、特に皮膚の水分損失に起因する皮膚
の老化を防止する。
【００１３】従って、本発明に係る皮膚外用剤において
は、α-ヒドロキシ酸の皮膚細胞賦活作用と、グリセロ
リン脂質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質の有す
る保湿作用及び細胞賦活作用が相まって、相乗的な皮膚
改善効果が得られ、炎症や創傷の治癒，肌荒れの改善，
しわやたるみなどの皮膚の老化防止等において優れた効
果を示す。
は、α-ヒドロキシ酸の皮膚細胞賦活作用と、グリセロ
リン脂質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質の有す
る保湿作用及び細胞賦活作用が相まって、相乗的な皮膚
改善効果が得られ、炎症や創傷の治癒，肌荒れの改善，
しわやたるみなどの皮膚の老化防止等において優れた効
果を示す。
【００１４】
【実施例】さらに本発明の特徴について、実施例により
詳細に説明する。まず、実施例１としてＯ／Ｗ型乳剤性
軟膏タイプの皮膚外用剤の処方を表１に示す。実施例１
ににおいては、α-ヒドロキシ酸・脂質結合複合体とし
て、乳酸残基を含むレシチンを用いた。表１中、(1)〜
(5)の油相成分を混合，溶解して均一とし、７５℃に加
熱する。一方、(6),(7),(10)の水相成分を混合，溶解し
て７５℃に加熱する。ついで、上記水相成分に油相成分
を添加して乳化し、冷却後４５℃にて(8)，(9)を添加，
混合する。
詳細に説明する。まず、実施例１としてＯ／Ｗ型乳剤性
軟膏タイプの皮膚外用剤の処方を表１に示す。実施例１
ににおいては、α-ヒドロキシ酸・脂質結合複合体とし
て、乳酸残基を含むレシチンを用いた。表１中、(1)〜
(5)の油相成分を混合，溶解して均一とし、７５℃に加
熱する。一方、(6),(7),(10)の水相成分を混合，溶解し
て７５℃に加熱する。ついで、上記水相成分に油相成分
を添加して乳化し、冷却後４５℃にて(8)，(9)を添加，
混合する。
【表１】
【００１５】次に、実施例２として皮膚用乳液の処方を
表２に示す。実施例２においては、α-ヒドロキシ酸の
脂質結合複合体としてリンゴ酸残基を有するレシチンを
用いた。表２中、(1)〜(5)の油相成分を混合，溶解して
均一とし、７５℃に加熱する。一方、(7),(8),(10),(1
3)の一部の水相成分を混合，溶解して７５℃に加熱す
る。上記の水相成分に油相成分を添加して予備乳化し、
これに(9)を加えた後ホモミキサーにて均一に乳化す
る。一方、(6)は(13)の残部に５０℃にて懸濁して閉鎖
小胞を形成させた後、超音波処理してリポソーム液とす
る。前記の乳化物を冷却し、(11)を加えてｐＨを調整
し、４５℃にて(12)及びリポソーム液を添加，混合す
る。
表２に示す。実施例２においては、α-ヒドロキシ酸の
脂質結合複合体としてリンゴ酸残基を有するレシチンを
用いた。表２中、(1)〜(5)の油相成分を混合，溶解して
均一とし、７５℃に加熱する。一方、(7),(8),(10),(1
3)の一部の水相成分を混合，溶解して７５℃に加熱す
る。上記の水相成分に油相成分を添加して予備乳化し、
これに(9)を加えた後ホモミキサーにて均一に乳化す
る。一方、(6)は(13)の残部に５０℃にて懸濁して閉鎖
小胞を形成させた後、超音波処理してリポソーム液とす
る。前記の乳化物を冷却し、(11)を加えてｐＨを調整
し、４５℃にて(12)及びリポソーム液を添加，混合す
る。
【表２】
【００１６】最後に、実施例３として皮膚用クリームの
処方を表３に示す。実施例３においては、α-ヒドロキ
シ酸の脂質結合複合体として、α-ヒドロキシ酪酸とセ
ラミドとのホスホジエステルを用いた。表３中、(1)〜
(8)の油相成分を混合，溶解して均一とし、７５℃に加
熱する。一方、(9),(10),(12)の水相成分を混合，溶解
して７５℃に加熱する。ついで、上記水相成分に油相成
分を添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に
乳化する。その後冷却し、４５℃にて(11)を添加，混合
する。
処方を表３に示す。実施例３においては、α-ヒドロキ
シ酸の脂質結合複合体として、α-ヒドロキシ酪酸とセ
ラミドとのホスホジエステルを用いた。表３中、(1)〜
(8)の油相成分を混合，溶解して均一とし、７５℃に加
熱する。一方、(9),(10),(12)の水相成分を混合，溶解
して７５℃に加熱する。ついで、上記水相成分に油相成
分を添加して予備乳化した後、ホモミキサーにて均一に
乳化する。その後冷却し、４５℃にて(11)を添加，混合
する。
【表３】
【００１７】
【発明の効果】本発明の効果を示すため、上記の各実施
例について以下の試験を行った。
例について以下の試験を行った。
【００１８】(1)創傷治癒効果及び抗炎症作用 実施例
１及び比較例１及び比較例２について、人工的に創傷叉
は炎症を生じさせたマウス各１０匹を用い、各試料を創
傷部位叉は炎症部位に０．５ｇずつ１日７回塗布した。
７日目に創傷叉は炎症部位の状態を観察し、創傷の治癒
状態については「完全治癒」，「ほぼ治癒」，「治癒が
不完全」の３段階で、抗炎症作用については「有効」，
「やや有効」，「無効」の３段階で評価した。ここで、
比較例１及び比較例２は、実施例１の処方を示す表１
中、乳酸残基を有するレシチンを乳酸及びレシチンにそ
れぞれ代替したものである。結果は、各評価の得られた
マウスの数にて表４に示した。
１及び比較例１及び比較例２について、人工的に創傷叉
は炎症を生じさせたマウス各１０匹を用い、各試料を創
傷部位叉は炎症部位に０．５ｇずつ１日７回塗布した。
７日目に創傷叉は炎症部位の状態を観察し、創傷の治癒
状態については「完全治癒」，「ほぼ治癒」，「治癒が
不完全」の３段階で、抗炎症作用については「有効」，
「やや有効」，「無効」の３段階で評価した。ここで、
比較例１及び比較例２は、実施例１の処方を示す表１
中、乳酸残基を有するレシチンを乳酸及びレシチンにそ
れぞれ代替したものである。結果は、各評価の得られた
マウスの数にて表４に示した。
【表４】
【００１９】表４より、実施例１塗布群では、すべての
マウスにおいて創傷の完全治癒が認められ、また、抗炎
症作用についても全例で有効と評価された。これに対
し、比較例１塗布群では、半数のマウスについて創傷の
完全治癒が認められ、６匹において有効な抗炎症作用が
観察された。一方比較例２塗布群では、全例において創
傷の治癒は不完全であり、抗炎症作用については、１０
匹中６匹についてやや有効と評価されたが、４匹につい
ては効果が認められなかった。
マウスにおいて創傷の完全治癒が認められ、また、抗炎
症作用についても全例で有効と評価された。これに対
し、比較例１塗布群では、半数のマウスについて創傷の
完全治癒が認められ、６匹において有効な抗炎症作用が
観察された。一方比較例２塗布群では、全例において創
傷の治癒は不完全であり、抗炎症作用については、１０
匹中６匹についてやや有効と評価されたが、４匹につい
ては効果が認められなかった。
【００２０】(2)肌荒れの改善効果 実施例２，３及び
比較例３〜６を、それぞれ肌荒れ症状を有するパネラー
各２０名にブラインドにて１カ月間使用させ、肌荒れ症
状の改善について評価させた。評価は「改善」，「やや
改善」，「変化なし」，「やや悪化」，「悪化」の５段
階で行わせた。ここで、比較例３及び比較例４は、実施
例２の処方を示した表２中、リンゴ酸残基を有するレシ
チンをリンゴ酸及びレシチンにそれぞれ代替したもので
あり、比較例５及び比較例６は、実施例３の処方を示し
た表３中、α-ヒドロキシ酪酸とセラミドとのホスホジ
エステルを、α-ヒドロキシ酪酸及びスフィンゴミエリ
ンにそれぞれ代替したものである。結果は各評価を与え
たパネラーの数にて表５に示した。
比較例３〜６を、それぞれ肌荒れ症状を有するパネラー
各２０名にブラインドにて１カ月間使用させ、肌荒れ症
状の改善について評価させた。評価は「改善」，「やや
改善」，「変化なし」，「やや悪化」，「悪化」の５段
階で行わせた。ここで、比較例３及び比較例４は、実施
例２の処方を示した表２中、リンゴ酸残基を有するレシ
チンをリンゴ酸及びレシチンにそれぞれ代替したもので
あり、比較例５及び比較例６は、実施例３の処方を示し
た表３中、α-ヒドロキシ酪酸とセラミドとのホスホジ
エステルを、α-ヒドロキシ酪酸及びスフィンゴミエリ
ンにそれぞれ代替したものである。結果は各評価を与え
たパネラーの数にて表５に示した。
【表５】
【００２１】表５より明らかなように、実施例２使用群
では８５％、実施例３使用群では９５％のパネラーが肌
荒れ症状の改善を認めており、症状の改善の認められな
かったパネラーはいなかった。これに対し、比較例３及
び比較例５使用群では肌荒れ症状の改善傾向は認められ
たが、「改善」と評価したパネラーはそれぞれ４０％及
び５５％にとどまっていた。一方、比較例４使用群で
は、３０％のパネラーにおいて若干の改善が認められた
が、ほとんどのパネラーにおいて変化が認められなかっ
た。比較例６使用群では、２０％のパネラーで「改
善」、６０％のパネラーで「やや改善」の評価を得たに
とどまった。
では８５％、実施例３使用群では９５％のパネラーが肌
荒れ症状の改善を認めており、症状の改善の認められな
かったパネラーはいなかった。これに対し、比較例３及
び比較例５使用群では肌荒れ症状の改善傾向は認められ
たが、「改善」と評価したパネラーはそれぞれ４０％及
び５５％にとどまっていた。一方、比較例４使用群で
は、３０％のパネラーにおいて若干の改善が認められた
が、ほとんどのパネラーにおいて変化が認められなかっ
た。比較例６使用群では、２０％のパネラーで「改
善」、６０％のパネラーで「やや改善」の評価を得たに
とどまった。
【００２２】(3)皮膚の老化防止効果 実施例２及び実
施例３及び比較例３〜比較例６を、それぞれ皮膚の衰え
が気になる５０〜６０才代のパネラー各２０名にブライ
ンドにて１カ月間使用させ、皮膚の老化症状の改善につ
いて評価させた。皮膚の老化症状としては、しわの防
止，皮膚のはり，皮膚のきめを挙げ、前者については
「有効」，「やや有効」，「無効」の３段階で、後二者
については「良好」，「やや良好」，「変化なし」の３
段階で評価させた。結果は、各評価を与えたパネラー数
にて表６に示した。
施例３及び比較例３〜比較例６を、それぞれ皮膚の衰え
が気になる５０〜６０才代のパネラー各２０名にブライ
ンドにて１カ月間使用させ、皮膚の老化症状の改善につ
いて評価させた。皮膚の老化症状としては、しわの防
止，皮膚のはり，皮膚のきめを挙げ、前者については
「有効」，「やや有効」，「無効」の３段階で、後二者
については「良好」，「やや良好」，「変化なし」の３
段階で評価させた。結果は、各評価を与えたパネラー数
にて表６に示した。
【表６】
【００２３】表６において、実施例２使用群では、「し
わ防止効果」については６０％が有効、「皮膚のはり」
については全員が有効、「皮膚のきめ」については７５
％が有効と答え、全パネラーにおいて肌荒れ症状の改善
傾向が認められ、皮膚の老化症状が改善されなかったと
答えたパネラーはいなかった。これに対し、比較例３使
用群では、ほとんどのパネラーにおいて老化症状の改善
傾向が認められるものの、「しわ防止効果」については
３０％、「皮膚のはり」については６０％、「皮膚のき
め」については５０％が有効あるいは良好と判断したに
とどまった。一方比較例４使用群では、パネラーの７０
〜７５％において老化症状に変化が認められなかった。
実施例３使用群でも、ほとんどのパネラーにおいて老化
症状の改善を認め、有効あるいは良好と答えたパネラー
が大半であった。これに対し、比較例５及び比較例６使
用群でも、老化症状の改善を認めたものの、各項目につ
いて有効あるいは良好と判断したパネラーは、比較例５
使用群では実施例３使用群の２５〜３５％程度、比較例
６使用群では１０〜２０％程度であった。
わ防止効果」については６０％が有効、「皮膚のはり」
については全員が有効、「皮膚のきめ」については７５
％が有効と答え、全パネラーにおいて肌荒れ症状の改善
傾向が認められ、皮膚の老化症状が改善されなかったと
答えたパネラーはいなかった。これに対し、比較例３使
用群では、ほとんどのパネラーにおいて老化症状の改善
傾向が認められるものの、「しわ防止効果」については
３０％、「皮膚のはり」については６０％、「皮膚のき
め」については５０％が有効あるいは良好と判断したに
とどまった。一方比較例４使用群では、パネラーの７０
〜７５％において老化症状に変化が認められなかった。
実施例３使用群でも、ほとんどのパネラーにおいて老化
症状の改善を認め、有効あるいは良好と答えたパネラー
が大半であった。これに対し、比較例５及び比較例６使
用群でも、老化症状の改善を認めたものの、各項目につ
いて有効あるいは良好と判断したパネラーは、比較例５
使用群では実施例３使用群の２５〜３５％程度、比較例
６使用群では１０〜２０％程度であった。
【００２４】以上のように、本発明の実施例である皮膚
外用剤においては、従来の比較例に比べ優れた創傷治癒
効果と抗炎症作用が認められた。また、本発明の実施例
である皮膚化粧料においては、従来の比較例に比べ、優
れた肌荒れ症状の改善や皮膚の老化防止効果を有してい
た。
外用剤においては、従来の比較例に比べ優れた創傷治癒
効果と抗炎症作用が認められた。また、本発明の実施例
である皮膚化粧料においては、従来の比較例に比べ、優
れた肌荒れ症状の改善や皮膚の老化防止効果を有してい
た。
【００２５】さらに、本発明において有効成分として使
用するα-ヒドロキシ酸のグリセロリン脂質，グリセロ
糖脂質，スフィンゴリン脂質結合複合体は、種々の形態
の皮膚外用剤や皮膚化粧料において安定であり、また経
皮吸収性も良く、α-ヒドロキシ酸及びグリセロリン脂
質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質の各作用の相
乗効果により非常に高い活性を示すため、微量を配合す
れば良く、皮膚刺激等の好ましくない影響や副作用の生
じることはなかった。
用するα-ヒドロキシ酸のグリセロリン脂質，グリセロ
糖脂質，スフィンゴリン脂質結合複合体は、種々の形態
の皮膚外用剤や皮膚化粧料において安定であり、また経
皮吸収性も良く、α-ヒドロキシ酸及びグリセロリン脂
質，グリセロ糖脂質，スフィンゴリン脂質の各作用の相
乗効果により非常に高い活性を示すため、微量を配合す
れば良く、皮膚刺激等の好ましくない影響や副作用の生
じることはなかった。
【００２６】従って、本発明により、線維芽細胞の増殖
促進及び皮膚の保湿作用，皮膚細胞の賦活作用により、
皮膚の老化防止，肌荒れ改善，創傷治癒効果，抗炎症効
果等に優れた皮膚外用剤を提供することができた。
促進及び皮膚の保湿作用，皮膚細胞の賦活作用により、
皮膚の老化防止，肌荒れ改善，創傷治癒効果，抗炎症効
果等に優れた皮膚外用剤を提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ６１Ｋ 37/22 8314−4Ｃ
Claims (2)
- 【請求項１】 一般式１で示される、α-ヒドロキシ酸
とホスファチジル酸とのホスホジエステル，一般式２で
示される、少なくとも１個のα-ヒドロキシ酸残基を有
するグリセロリン脂質，一般式３で示される、少なくと
も１個のα-ヒドロキシ酸残基を有するグリセロ糖脂
質，及び一般式４で示される、セラミドとα-ヒドロキ
シ酸とのホスホジエステルより選んだ１種以上を配合し
て成る、皮膚外用剤。 【化１】 【化２】 【化３】 【化４】 - 【請求項２】 皮膚外用剤が化粧料であることを特徴と
する、請求項１に記載の皮膚外用剤。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP09249893A JP3470816B2 (ja) | 1993-03-26 | 1993-03-26 | 皮膚外用剤 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP09249893A JP3470816B2 (ja) | 1993-03-26 | 1993-03-26 | 皮膚外用剤 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH06279259A true JPH06279259A (ja) | 1994-10-04 |
| JP3470816B2 JP3470816B2 (ja) | 2003-11-25 |
Family
ID=14055975
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP09249893A Expired - Fee Related JP3470816B2 (ja) | 1993-03-26 | 1993-03-26 | 皮膚外用剤 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3470816B2 (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0739624A3 (en) * | 1995-04-25 | 1996-12-18 | Unilever Plc | Composition of petrolatum and alpha-hydroxy carboxylic acids |
| JPH09301883A (ja) * | 1996-05-15 | 1997-11-25 | Ichimaru Pharcos Co Ltd | ヒオウギ抽出物とα−ヒドロキシ酸を含有する細胞賦活剤とその応用 |
| JPH09301884A (ja) * | 1996-05-15 | 1997-11-25 | Ichimaru Pharcos Co Ltd | ヒオウギ抽出物及びα−ヒドロキシ酸を含有するテストステロン５α−リダクターゼ阻害剤とその応用 |
| KR19990040469A (ko) * | 1997-11-18 | 1999-06-05 | 손경식 | 피부 화장료 조성물 |
| FR2773074A1 (fr) * | 1997-12-30 | 1999-07-02 | Led Evolution Dermatolog | Composition a base d'alpha-hydroxy-acides et de ceramides utilisable par voie topique pour le traitement d'affections dermatologiques |
| EP1005320A1 (en) * | 1997-02-03 | 2000-06-07 | Bristol-Myers Squibb Company | Non-irritating composition for treating acne and other skin conditions |
-
1993
- 1993-03-26 JP JP09249893A patent/JP3470816B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (8)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP0739624A3 (en) * | 1995-04-25 | 1996-12-18 | Unilever Plc | Composition of petrolatum and alpha-hydroxy carboxylic acids |
| JPH09301883A (ja) * | 1996-05-15 | 1997-11-25 | Ichimaru Pharcos Co Ltd | ヒオウギ抽出物とα−ヒドロキシ酸を含有する細胞賦活剤とその応用 |
| JPH09301884A (ja) * | 1996-05-15 | 1997-11-25 | Ichimaru Pharcos Co Ltd | ヒオウギ抽出物及びα−ヒドロキシ酸を含有するテストステロン５α−リダクターゼ阻害剤とその応用 |
| EP1005320A1 (en) * | 1997-02-03 | 2000-06-07 | Bristol-Myers Squibb Company | Non-irritating composition for treating acne and other skin conditions |
| EP1005320A4 (en) * | 1997-02-03 | 2002-01-09 | Bristol Myers Squibb Co | NON-IRRITATING COMPOSITION TO TREAT ACNE AND OTHER SKIN CONDITIONS |
| KR19990040469A (ko) * | 1997-11-18 | 1999-06-05 | 손경식 | 피부 화장료 조성물 |
| FR2773074A1 (fr) * | 1997-12-30 | 1999-07-02 | Led Evolution Dermatolog | Composition a base d'alpha-hydroxy-acides et de ceramides utilisable par voie topique pour le traitement d'affections dermatologiques |
| EP0940140A1 (fr) * | 1997-12-30 | 1999-09-08 | Laboratoire D'Evolution Dermatologique (L.E.D.) | Composition à base d'alpha-hydroxy-acides et de céramides utilisable par voie topique pour le traitement d'affections dermatologiques |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3470816B2 (ja) | 2003-11-25 |
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