JPH06277100A - 無水結晶マルトースの製造方法 - Google Patents
無水結晶マルトースの製造方法Info
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- JPH06277100A JPH06277100A JP9673493A JP9673493A JPH06277100A JP H06277100 A JPH06277100 A JP H06277100A JP 9673493 A JP9673493 A JP 9673493A JP 9673493 A JP9673493 A JP 9673493A JP H06277100 A JPH06277100 A JP H06277100A
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Abstract
に、かつ、全量結晶化方式のもとに製造する。 【構成】 マルトースの純度90%以上の水溶液を、マ
ルトース濃度として88〜97w/w%に濃縮する工程
と、このものを実質的に水分蒸発を伴わない系において
連続的に種晶と混合撹拌し、温度を90〜130℃とし
て、マルトース中のα−マルトース含量40w/w%以
上の結晶含有マスキットとする種晶混合晶出工程と、そ
のものを連続的に撹拌,混合,崩壊,移送が可能な熟成
機に導入し、その熟成機内部空間の雰囲気を温度70〜
100℃とし、この温度に対応して絶対湿度50〜30
0gH2 O/kg乾燥空気の範囲に調整して結晶化を進
行させα−マルトース含量55w/w%以上の無水結晶
マルトース塊とする熟成工程とからなる。
Description
とする安定な無水結晶の連続的な全量方式(全糖方式と
も呼ばれる)による製造方法に関するものであり、マル
トースを含有する糖液を濃縮する工程と、種晶添加と撹
拌混合による晶出工程と、結晶熟成・乾燥・粉砕などの
工程を連続的に行って、結晶母液の全量を安定な無水結
晶性の粉末とする方法に関する。
れら糖質を安定な粉末とするための結晶化方法が工業的
に行われているが、これらを大別すると、その代表的な
方法として、糖液を濃縮し、温度を調節することで目的
糖質の過飽和溶液とし、析出する結晶を遠心分離し糖蜜
と分離する方法、及び結晶缶中で高温度で濃縮しながら
結晶を晶出させた後、分蜜する煎糖方式があげられる。
高純度マルトースや結晶フラクトースなどは前者が、砂
糖や無水結晶葡萄糖の生産には後者が用いられている。
前者の例として、特公昭56−4239号には、マルト
ース糖化液をアニオン交換樹脂でデキストリンを分離し
少なくとも90w/w%以上のマルトース純度とし、5
0〜120℃で過飽和状態にして巨大な三角板状のβ−
含水結晶マルトースを晶出させて、遠心分離により分蜜
する方法が開示されている。これに対して全糖方式と呼
ばれる母液全体を含めて結晶化させる方法があり、その
代表的なものは葡萄糖の酵素糖化方法が開発された当時
に広く普及した濃縮糖液を箱状のバットに流し込み一定
温度に放置して結晶を晶出熟成させた後このブロックを
切削して粉末とする含水結晶葡萄糖の製造方法で、製品
は精製葡萄糖と言われている。この方法はβ−含水結晶
マルトースの粉末化にも古くから応用されてきた。また
第三の方法は含水結晶グルコースおよびβ−含水結晶マ
ルトースの結晶粉末化に実用化されている噴霧乾燥機を
用いる方法である。この方法は糖液を適度に濃縮し結晶
化工程に入り、結晶化が適度に進行した時点で、この流
動性のあるマスキットを噴霧乾燥機によって結晶水より
少し多めの水分の乾燥粉末とし、そのあと適当な条件で
熟成させてβ−含水結晶化を完結させる方法である。本
発明者等が先に開発し工業化した「粉末マルトースの製
造法」(特開昭60−92299号公報)もその一例で
ある。
製造には特開昭61−35800号公報に記載の方法が
実用化されている。すなわちこの方法はマルトース含量
が85w/w%以上の高純度マルトースを水分10%以
下に濃縮し、このシラップに種晶を加えて、50〜13
0℃の温度範囲に維持しつつ無水結晶性マルトースを晶
出させる方法で、できるだけ安定なα−マルトースを多
く生成する条件を開発したものである。この発明では、
濃縮液の水分は好ましくは2〜9.5w/w%、結晶晶
出を加圧下で行う、晶出を助晶工程と熟成工程とに分け
て行う等が特徴である。熟成条件としては、50〜10
0℃の温度範囲では0.1〜24時間、100〜130
℃では0.5〜18時間が好ましいと明細書に記載され
ているが、実施例に示されている最終的な粉末化方法
は、全量を固結化し70〜80℃で6〜18時間熟成後
切削するか、噴霧乾燥後得られた粉末を80℃で4時間
結晶熟成を行う、又は、スクリュウ型押し出し造粒機に
かけて顆粒状にしたものを、80℃約2時間結晶熟成と
乾燥にかけるという手段がとられている。これらはいず
れも連続化が困難であることが欠点である。
では生産コストの低減が、極めて重要な意味を持ってい
る。このためには全工程が連続化でき、操作に要する人
件費を節減でき、副生物が伴わない全量結晶化方法で、
かつ製品が吸湿性等の点で安定である方法が要求され
る。このため無水結晶マルトースではα−マルトース含
量が高いことが要求される。本発明で言う無水結晶マル
トースとは無水α,β混合マルトース結晶のことで特に
α−マルトースを主体とする結晶とは実質的にα−マル
トースを55w/w%以上含むことを意味する。
する工程、結晶晶出に都合の良い温度に調整維持し、種
晶を加えて助晶する工程、更に結晶を成長させるための
熟成工程、必要とあらばそのものを粉砕篩別する工程を
すべて連続化して行い得ることが望まれる。そのために
は、各工程が短時間に終了するような条件を見つけださ
ねばならない。
の連続的全量結晶化方法を開発し、工業化に成功した
が、さらに無水結晶マルトースの全量結晶化に取り組ん
できた。そして、α−マルトース主体の無水結晶マルト
ース製造方法として実用化されている前記特開昭61−
35800号公報記載の方法の欠点である、結晶熟成に
長時間かかる点を解決できれば連続化が可能となり、生
産コストを大幅に低減できると考えてこの点について検
討を続けた。
めの濃縮方法としては薄膜濃縮式の装置を使用すること
で連続的に希望の濃縮度にすることができる、問題は結
晶化をいかに短時間に完了させるかである、結晶化を完
結させるために長時間を要するような条件では、連続化
しても装置の容量が大きくなって装置的にまた、経済的
に実用的でない。本発明者等は先にβ−含水結晶マルト
ースの連続全量結晶化に成功し、日産60トンの整備を
実用化して工業生産している。この方法は噴霧乾燥機を
用いて行う方法である。この経験をもとにして無水結晶
の晶出と熟成結晶化の完結及び乾燥,粉砕とを連続化
し、かつ装置的に大規模にならないことを目標にして少
なくともマルトース中のα−マルトース含量が55w/
w%以上の安定な全量無水結晶化条件を研究した。
について、いかに時間的に短縮できるかを検討した結
果、特に結晶晶出時のマルトース溶液中のマルトース濃
度を規定することと、晶出後の熟成工程の環境を変化さ
せることで、結晶化時間が大幅に短縮でき容易に連続化
が可能となることを発見したことが最も特徴である。
工程と、種晶を混合して結晶晶出を行う工程及び結晶を
完結化させるための熟成工程、さらに必要により粉砕・
乾燥工程から成り立ち、かつこれらの各工程で特定の操
作条件を用いたことを特徴とする。
上の水溶液を、マルトース濃度として88〜97w/w
%に濃縮する工程と、このものを実質的に水分蒸発を伴
わない系において連続的に種晶と混合撹拌し、温度を9
0〜130℃として、マルトース中のα−マルトース含
量40w/w%以上の結晶含有マスキットとする種晶混
合晶出工程と、そのものを連続的に撹拌,混合,崩壊,
移送が可能な熟成機に導入し、その熟成機内部空間の雰
囲気を温度70〜100℃とし、この温度に対応して絶
対湿度50〜300gH2 O/kg乾燥空気の範囲に調
整して結晶化を進行させα−マルトース含量55w/w
%以上の無水結晶マルトース塊とする熟成工程とからな
り、必要により更に乾燥,粉砕の工程を加えて連続的に
α−マルトース主体の安定な無水結晶粉末を製造するこ
とを特徴とする無水結晶マルトースの全量無水結晶化方
法である。
についてはガスクロマトグラフによる分析、または旋光
度分析(589nm,25℃;マルトース以外の他のオ
リゴ糖成分を補正して測定)によって行った。
u管球,30kv,15mA,時定数=1,scan spee
d =1°/min ,2θ=10〜40°,full scale =
2 kcps の条件でα−マルトースに特有なピーク2θ=
12.7°のピーク強度でX線解析強度とした。
て更に詳細に説明する。
竪型薄膜式連続濃縮装置といった薄膜式の連続濃縮機等
が好ましいがこれに限られるものではない、これらの濃
縮装置を用いてマルトース濃度を調節する。なおここで
言うマルトース濃度とは濃縮液中の純粋なマルトースの
重量百分率を示すものであって[マルトース濃度=濃縮
液固形分濃度×マルトース純度;例えば95w/w%固
形分濃度のマルトース溶液のマルトース純度が96w/
w%とすると、マルトース濃度としては95×0.96
=91.2w/w%となる]、本発明では先ずこの濃度
を88〜97w/w%とする。つまりこの濃縮度はマル
トース溶液中のマルトース純度が低い場合には高濃縮が
必要であり、高純度のマルトース溶液では濃縮度が低く
ても可能であるということを意味している。しかし、実
際的にはマルトース純度が90w/w%以下となるよう
なものでは98w/w%程度にまで濃縮しなければなら
ず、その場合にはその高粘性のために、製造上もまた結
晶化速度の点でも非常に遅くなり本発明の目的と反す
る。このときの固形分濃度の測定は、カールフィッシャ
ー法により水分(w/w%)を測定し、100より水分
(w/w%)を減じて固形分濃度(w/w%)とした、
また、後述の含水率は求めた水分より算出した。マルト
ース純度は常法により高速液体クロマトグラフ法で分析
した。
る方法は既に知られており、例えば、糊化または液化澱
粉にβアミラーゼを作用させ生成するマルトースを高分
子デキストリンから分離し、高純度マルトースを採取す
る方法(特公昭56−11437号公報,特公昭56−
17078号公報)、またはイソアミラーゼ、プルラナ
ーゼなどの澱粉枝切酵素とβアミラーゼを糊化あるいは
液化澱粉に作用させて高純度マルトースを得る方法など
がある。更にこれらの方法で得られる高純度マルトース
に含まれるマルトトリオースなどの夾雑糖類を、特開昭
58−23799号公報などに開示されている塩型強酸
性カチオン交換樹脂を用いるカラム分画法により夾雑糖
類を除去するなどの方法によりマルトース純度を更に高
めることも好都合である。また、この分画法は、固定床
方式、移動床方式、擬似移動床方式であってもよい。
濃縮液に種晶を短時間で充分分散晶出させ、且その晶出
工程中に実質的に水分の蒸発が無いことが必要条件であ
る。水分の蒸発により濃縮が進むと高粘度となり装置的
に非常に大きな駆動力を必要として好ましくなく、また
種晶の混合分散性が悪くなり結果として結晶晶出時間が
長くなるという点からも過度の濃縮は好ましくない。本
発明でいう実質的に水分の蒸発が無いということは、も
との含水率に対して10%以内の減少を意味する。その
ために装置としては一般に高粘度物質や膠質物に少量の
粉体を練り込む時に用いられている容器固定型,水平軸
または水平復軸型,リボン式,スクリュー押出式,セル
フクリーニング式,パドル式等の密閉型連続混練機が好
ましい。また混合・混練り目的に使用されるニーダー,
混合機と言われる装置の中から連続化に適したものを適
宜選択して用いることもできる。また食品加工で用いら
れている押し出し調理機エクストリューダーも、スクリ
ューにディスク等の混練り促進用エレメントを付加し
て、逆戻りを加えるなどして混練り効果をよくすればこ
の目的に使用できる。種晶の供給は、粉末を定量的に連
続して種晶混合機の入り口で供給する方法、及び種晶混
合機の出口から結晶化の進んだマスキットの一部を、種
晶混合機の入り口に逆戻りさせることによってもでき
る。この場合当然ながら温度が低下しないような配慮が
必要である。種晶中のα−マルトースの割合は、製品の
α−マルトースの割合を支配するので重要な要素であ
る。種晶の添加量は0.1w/w%以上あればよく、多
くなれば容積が増えそれだけ生産性が悪くなるが、本発
明の目的である製造時間の短縮化及び装置のコンパクト
化という点から考慮して、濃縮液固形物に対して5〜3
0w/w%の添加が好ましい。
晶が濃縮液中に均一に分散することが第一で、それとと
もに結晶晶出を誘導している期間ではマスキット中の水
分が実質的に蒸発してはならない。従って機内の雰囲気
はそれに充分な絶対湿度が保たれていることが必要条件
である。温度は無水結晶晶出のためには、少なくとも6
0℃以上が必要とされているが、装置内の混合物の粘度
を低く保つためには、より高温度にしなければならな
い。しかしあまり高温にすると製品の着色の増大を伴
う。これらの関連から90〜130℃とする必要があ
り、105〜125℃を保つようにするのが好適であ
る。装置内通過中は実質的に温度低下の無いことが好ま
しい。装置内滞留時間は特に制限は無いが種晶が均一に
分散混合され晶出が行われる必要があり実質的には10
〜20分であり、これはマルトース純度が高いときは結
晶化速度が大きく短時間で熟成工程へと進めるが、純度
が低いときには長時間を要する。この間に結晶の晶出が
起こり、マルトース中のα−マルトース含量40w/w
%以上として次の結晶熟成工程中に送る。実施例1に示
したような装置を用いて行った実験では種晶混合機に供
給されてから5分後には含水率4.8w/w%,α−マ
ルトース含量45.0w/w%,X線回折強度717.
6cpsで結晶完了時の約50%であった。更に8分経
過後は含水率4.7w/w%,α−マルトース含量4
5.8w/w%,X線回折強度737.6cpsであっ
た。
程である。種晶を混合した過飽和物は前述したごとく混
合後数分で晶出が始まり、10〜20分後に白色のマス
キット塊となる、結晶熟成工程ではこの塊を高温度一定
湿度の雰囲気下で崩壊・撹拌・混合・移送させることで
結晶化が進行しながら結晶化装置出口に達する。ここで
用いる結晶機は連続式のニーダー形式が好都合で内容物
の崩壊・混合・撹拌・移送が可能な装置を用いなければ
ならない。特に、内容物が前方に移送されるようにな
し、かつ内容物が塊となるとこれを崩壊し、均一に混合
・撹拌できるような形式になっている構造のものが好ま
しい。結晶機内部の雰囲気を温度70〜100℃の範囲
とし、この温度に対応して絶対湿度を50〜300gH
2 O/kg乾燥空気の範囲に調整することが必要であ
り、その条件に調製した加湿熱風を供給し、結晶熟成を
行うことが必要である。即ち高温度時には比較的高絶対
湿度、低温度時には比較的低絶対湿度とすることが好ま
しく、この工程中に結晶化の進行と共に含水率が低下し
排出品では3w/w%以下となる。無水結晶マルトース
であるので含水率は低いほうが安定であり、着色性や結
晶化速度を加味すると最も好ましくは、85〜95℃,
100〜200gH2 O/kg乾燥空気の条件とした加
湿熱風を供給して熟成完了品の含水率を1w/w%程度
とする。絶対湿度を300gH2 O/kg乾燥空気とし
ても結晶の熟成は進行するが、その表面は一部濡れたよ
うになりまた含水率も高く後工程にて乾燥が必須とな
り、本発明の目的に反することとなる。ここでのこの雰
囲気の調製の目的は、前工程で結晶晶出の条件としてマ
ルトース濃度として88〜97w/w%の範囲とするこ
とで結晶化が促進したように、この熟成工程中において
結晶化の進行に伴い、実質的にはマルトースの無水結晶
が晶出するのであるから、その他の非結晶部分は水分が
高くなり固形分濃度が下がることになる。この濃度低下
した結晶以外の部分のマルトース濃度を88〜97w/
w%の範囲にすることで結晶熟成の促進が図られる。そ
のマルトース濃度上昇のためには更に乾燥濃縮が必要で
あるが、ただ乾燥熱風を供給しただけでは、急速に水分
が蒸発して引き飴状となり結晶化が著しく遅くなること
が判明した。そこで本発明では、この調整された加湿熱
風によりこの熟成機内部雰囲気を好適な温湿度の条件と
することで熟成工程中における結晶化の進行に見合った
乾燥速度が得られ、短時間でより高いα−マルトース含
量の無水結晶マルトースを得ることが可能となった。ま
た、この熟成工程中において混合・撹拌・崩壊という作
用は必須であり、静置の条件下で加湿熱風を供給すると
表面が溶けたような状態となり、結晶化の進行が遅く長
時間を要してしまう。これはベルトコンベア様のもので
移送しながらその雰囲気をこのような温度、湿度の条件
にしても結晶化の進行が遅いことからも混合・撹拌・崩
壊という作用の必要性が確認される。加湿熱風の製造方
法としては一般に用いられている方法が採用できる。例
えば、加温された熱風に2流体ノズルを用いて当該湿度
に見合う水分を噴霧すれば良い。更に乾燥工程が必要と
あらばこの熟成工程で用いた装置に加熱乾燥空気を送り
込み、含水率1w/w%以下にすることでより安定な無
水結晶マルトースが得られる。
濃縮度を変えたマルトース溶液に種晶として濃縮液固形
分に対して10w/w%のシードを添加混合し、110
℃で15分間の種晶混合晶出後のα−マルトース含量を
調べた結果を表1に示した。
る濃縮液はマルトース濃度として88w/w%以上必要
であり、またマルトース純度は90w/w%以上が要求
される。これらの条件を満足して、種晶混合晶出機排出
品のα−マルトース含量40w/w%以上が得られる。
溶液をマルトース濃度89w/w%,86w/w%に濃
縮し、無水結晶マルトースをシードとして対濃縮液固形
分10w/w%添加し、密閉式の連続混練機にて種晶混
合晶出を15分間行い、その時のα−マルトース含量は
それぞれ48w/w%,36w/w%であった。これを
パドル式の混合・撹拌・崩壊・移送が可能な結晶熟成装
置に連続的に供給し、その時の温度及び湿度を変化させ
て30分間熟成後の排出品のα−マルトース含量を測定
し表2に示した。
合晶出工程の排出品は36w/w%では熟成後のα−マ
ルトース含量が50w/w%以下と充分なものは得られ
ない。また、加湿熱風の絶対湿度量は、80℃のときは
50〜100gH2 O/kg乾燥空気の方が50gH2
O/kg乾燥空気のときより高α−マルトース含量とな
り、90℃の場合は50gH2 O/kg乾燥空気では、
α−マルトース含量55%以下のものしか得られていな
い。98℃においても、400gH2 O/kg乾燥空気
ではα−マルトース含量55w/w%以下のものとな
り、含水率も加湿量が増大するにつれて増加し乾燥工程
に負担がかかることとなる。以上のように、各温度に対
応して最適な湿度条件を選ぶことで高α−マルトース含
量の含水率2w/w%以下の好適なものが得られる。
説明するが本発明はこれら特定の実施例に限定されるも
のではない。 実施例 1 常法によりコーンスターチを原料とし、澱粉懸濁液に細
菌α−アミラーゼを添加し、加熱糊化液化を行い、次い
で大豆β−アミラーゼとプルラナーゼ(いずれもナガセ
生化学製)とを用いて糖化を行い、得られた糖化液を減
圧濃縮機を用いて60w/w%に濃縮し、Na型カチオ
ン交換樹脂クロマト分離して得たマルトース溶離区分
(マルトース93.7%,グルコース1.7%,マルト
トリオース2.5%,その他のオリゴ糖2.1%;固形
分31w/w%)を薄膜式連続濃縮装置(エバポール:
大河原製作所製)を用いて含水率6.4w/w%、マル
トース濃度として88.1w/w%の濃縮液を得た。そ
の時の濃縮液温度は130℃で粘度0.125Pa s
であった。この濃縮液を市販の2軸式連続混練機(S1
KRCニーダ;(株)栗本鉄工所製)に連続的に供給し
ながら、濃縮液固形分に対して10w/w%の無水結晶
α−マルトース粉末を種晶として定量フィーダーを用い
て添加を行った。この種晶混合晶出装置はジャケットを
約110℃(0.45kg/cm2 G)の蒸気で保温し
滞留時間は15分でその排出品は含水率6.0w/w%
でα−マルトース含量は48w/w%であった。次にこ
の種晶混合晶出装置の排出品を連続的に結晶熟成装置に
供給し、その熟成機内部の雰囲気を温度80±2℃絶対
湿度130gH2 O/kg乾燥空気に調整した加湿熱風
を結晶機内部空間50リットルに対して1500リット
ル/minの流量で常時供給し結晶機内部の雰囲気はほ
とんど調整した加湿熱風の条件となるようにした。なお
この熟成機は長さ1400mm,幅250mm,内容積
70リットルのジャケット付きの、2軸パドル式の1種
の混合・崩壊・移送機を用いた。内部には2本の互いに
内側に向かって噛み合うように回転する回転軸が付設さ
れ、その回転軸の周囲には、パドルが、少しずつ位置を
ずらして、相対する軸のパドル同士が互いに噛み合うよ
うに配置して付設されており、このパドルの機能は、内
容物を前方へ移送するのみならず、固まっているマスキ
ットがあれば崩壊して塊内部の水分を蒸散させる役割を
している、回転数は30rpmであった。この熟成機内
部において晶出装置から排出されたマスキットは上記の
雰囲気条件に保たれた熟成機内部を前方へ移送されなが
ら塊は崩壊されて、水分は結晶化速度に見合って適度に
蒸散し約30分の滞留の後排出品は含水率1.6w/w
%,α−マルトース含量57.2w/w%の結晶品が得
られた。これを粉砕して10メッシュ パスの粉末とし
常温度で放置しても吸湿性の少ない極めて安定な粉末で
あった。以上の濃縮工程以降の全工程を約1時間以内の
極めて短時間で行うことができ得られた製品の着色度
(30w/v%水溶液における10cmセルでの420
nm及び720nmの吸光度差で表される)も0.1以
下と極めて着色の少ないものであった。
れたマルトース溶離液(マルトース純度92.3%,グ
ルコース1.0%,マルトトリオース3.8%,その他
のオリゴ糖2.9%)を2重効用罐を用いて濃度50w
/w%まで濃縮し次いで、薄膜式の連続濃縮装置に供給
し含水率4.2%,マルトース濃度として88.6w/
w%の濃縮液を得た。このときの濃縮液の温度は139
℃,粘度1.4Pa sであった。この濃縮液を混合撹
拌が可能なようにパドルを調整したエクストリューダー
(幸和工業株式会社製)に連続的に供給すると同時に種
晶として無水結晶α−マルトースを濃縮液固形分に対し
て20w/w%を加えながら15分の滞留で晶出を行い
含水率4.0w/w%,α−マルトース含量45.3w
/w%のものが得られた。これを連続的に実施例1と同
様の結晶熟成機に供給して熟成を行った。熟成条件とし
ては90℃,絶対湿度180gH2 O/kg乾燥空気の
加湿熱風を実施例1と同一の流量条件で供給した。実質
的に熟成装置内部はこの雰囲気条件として熟成を行い滞
留時間約45分を要して得られた結晶品は、含水率0.
7w/w%,α−マルトース含量56.9w/w%であ
った。さらに粉砕機により10メッシュ パスの粉末を
得た。濃縮工程以後の全工程を約75分の極めて短時間
で終了し、安定な結晶粉末を得ることができた。
ス溶離液(マルトース93.7%,グルコース1.7
%,マルトトリオース2.5%,その他オリゴ糖2.1
%;固形分31w/w%)を薄膜式連続濃縮装置を用い
て含水率5.2w/w%、マルトース濃度として89.
1w/w%の濃縮液を得た。これを連続的に無水結晶マ
ルトースを種晶として対濃縮液固形分10w/w%添加
しながらジャケットを95℃の熱水循環により加温した
種晶混合晶出装置に供給し約15分の滞留の後、含水率
4.9w/w%,α−マルトース含量46.5w/w%
の結晶晶出品を得た。これを連続的に温度98℃,絶対
湿度250gH2 O/kg乾燥空気に調整した加湿熱風
を供給しその条件に調整した雰囲気下で熟成を行い約3
0分の滞留の後、含水率2.8w/w%,α−マルトー
ス含量66.3w/w%の結晶品を得た。次にこれを粉
砕機により10メッシュ パスの粉末とし、熱風乾燥機
にて80℃で30分の乾燥を行って含水率0.6w/w
%の結晶粉末を得た。濃縮工程以後の全工程を90分の
短時間で終了し極めて着色の少ない安定な結晶粉末を得
た。
きは、安定な無水結晶マルトースを自動工程のもとに、
かつ、全量結晶化方式のもとに効率よく製造することが
できる。
Claims (1)
- 【請求項1】 マルトースの純度90%以上の水溶液
を、マルトース濃度として88〜97w/w%に濃縮す
る工程と、このものを実質的に水分蒸発を伴わない系に
おいて連続的に種晶と混合撹拌し、温度を90〜130
℃として、マルトース中のα−マルトース含量40w/
w%以上の結晶含有マスキットとする種晶混合晶出工程
と、そのものを連続的に撹拌,混合,崩壊,移送が可能
な熟成機に導入し、その熟成機内部空間の雰囲気を温度
70〜100℃とし、この温度に対応して絶対湿度50
〜300gH2 O/kg乾燥空気の範囲に調整して結晶
化を進行させα−マルトース含量55w/w%以上の無
水結晶マルトース塊とする熟成工程とからなり、必要に
より更に乾燥,粉砕の工程を加えて連続的にα−マルト
ース主体の安定な無水結晶粉末を製造することを特徴と
する無水結晶マルトースの全量無水結晶化方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP0937733A2 (en) * | 1998-01-27 | 1999-08-25 | Kabushiki Kaisha Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo | A method for the continuous manufacture of anhydrous crystalline maltitol and a manufacturing apparatus therefor |
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-
1993
- 1993-03-30 JP JP09673493A patent/JP3313183B2/ja not_active Expired - Lifetime
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