JPH062755A - 油圧変速機のシフト機構 - Google Patents

油圧変速機のシフト機構

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JPH062755A
JPH062755A JP9436292A JP9436292A JPH062755A JP H062755 A JPH062755 A JP H062755A JP 9436292 A JP9436292 A JP 9436292A JP 9436292 A JP9436292 A JP 9436292A JP H062755 A JPH062755 A JP H062755A
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泉 ▲高▼木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 油圧変速機において、簡単な構造で、分配環
の連れ回りを防止できるようにすると同時に、常に所定
の分配タイミングを維持できるようにすることである。 【構成】 斜板式の油圧ポンプPと斜板式の油圧モータ
Mとを油圧回路を介して接続し、油圧モータMと一体回
転するバルブボディ3の端面に押し付けられる油圧分配
環29を偏心回動させることにより、前,後進位置と中
立位置に切り換える油圧変速機において、バルブボディ
3の回転方向とシフト機構による油圧分配環29の回動
方向を一致させ、上記シフト機構には、適宜のシフト部
材に対して、該シフト部材のシフト方向側から対向し
て、所定のシフト位置において上記シフト部材に当接し
て係止するストッパー部材を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、斜板式油圧ポンプと斜
板式油圧モータとを油圧閉回路を介して接続し、油圧モ
ータの斜板の傾斜角度の変更により油圧モータの容量を
可変としている油圧変速機のシフト機構に関する。
【0002】
【従来の技術】この種油圧変速機として、たとえば、特
公昭32-7159号公報あるいは特公昭41-3208号公報等があ
り、これらは、油圧モータ用シリンダあるいはそれと一
体回転するバルブボディに摺接する油圧分配環を、モー
タ用シリンダの回転中心を中心として偏心回動させるこ
とにより、油圧回路を切り換えて、前,後進を切り換え
るようになっている。ところが、前進あるいは後進回転
中に、油圧分配環が、油圧モータ用シリンダと連れ回る
おそれがあり、このような連れ回りを防止できるものと
して、特公昭61-23412号がある。該特公昭61-23412号の
構造を簡単に説明すると、油圧分配環を正回転制御位置
と逆回転制御位置との間で回動シフトする正逆回転制御
軸を備え、該制御軸に取り付け穴を形成して外方突出状
のストッパーピンを固着し、該ストッパーピンに対し
て、円周方向に対向して正回転制御位置を規制する第1
ストッパーと、逆回転制御位置を規制する第2ストッパ
ーを設け、上記制御軸の回転でストッパーピンを各スト
ッパーに当接させることにより、制御軸の正回転制御位
置及び逆回転制御位置を規制するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記特公昭61
-23412号に開示されている構造では、位置規制専用のス
トッパーピンを用意してそれを使用しなければならない
と共に、制御軸自体にストッパーピンを固着するため、
制御軸自体にストッパーピン用の固着穴を加工し、か
つ、組み付けなければならず、製造及び加工に手間がか
かると共に、部品点数も増加する。また、上記公報記載
の構造では、各ストッパーはそれぞれ制御軸のストッパ
ーピンに対して一方向のみ規制が有効であり、逆方向に
は位置規制の機能は有していない。また、油圧分配環の
シフト方向とバルブボディの回転方向との関係は、上記
公報には明確に記載されておらず、不明であるが、たと
えば、シフト機構による油圧分配環のシフト方向がバル
ブボディの回転方向と異なっている場合、各ストッパー
はシフトされる際のオーバーシフトを防止することはで
きるが、バルブボディの回転によるドラッグのために、
油圧分配環はストッパーから離れる方向に連れ回る可能
性がある。上記とは逆に、シフト機構による油圧分配環
のシフト方向がバルブボディのシフト方向と一致してい
る場合、上記ドラッグによる連れ回りを防止することは
可能になるものの、登坂路等で再発進する時に生じる一
瞬のクリープダウンにより、上記ドラッグが逆方向に生
じ、その方向に油圧分配環が連れ回る可能性を残してい
る。
【0004】
【発明の目的】本願発明の目的は、製造加工に手間がか
からないと共に簡単な構造で、分配環の連れ回りを防止
できるようにすると同時に、常に所定の分配タンミング
を維持できるようにすることである。また、請求項2記
載の発明は、上記目的に加えて、登坂路などにおけるシ
フト位置ずれを防止して、坂登路の発進性能を向上させ
ることも目的としている。さらに、請求項3記載の発明
は、走行中、ブレーキを踏まなければ、前,後進の切り
換えができないようにすることにより、操作性能及び耐
久性の向上を図ることも目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願請求項1記載の発明
は、斜板式の油圧ポンプと斜板式の油圧モータとを油圧
回路を介して接続し、油圧モータの斜板の傾斜角度の変
更により油圧モータの容量を可変とし、油圧ポンプの軸
方向一端側に、上記油圧回路を構成すると共に油圧モー
タと一体回転するバルブボディを配置し、前後進切り換
え用のシフト機構に、偏心円筒部を有する分配環支持軸
を連動連結し、偏心円筒部には、バルブボディの油圧回
路の各ポートが開口する端面に押し付けられる油圧分配
環を支持し、油圧分配環を分配環支持軸回りに偏心回動
させることにより、前,後進を切り換える油圧変速機に
おいて、バルブボディの回転方向とシフト機構による油
圧分配環のシフト方向を一致させ、上記シフト機構に
は、適宜のシフト部材に対してシフト方向側から対向し
て、所定のシフト位置において上記シフト部材に当接し
て係止するストッパー部材を備えている。請求項2記載
の発明は、請求項1記載の構成に加え、外部から回動操
作自在な切り換え軸に、駆動ギヤを固定すると共にシフ
ト部材としてシフトギヤを揺動自在に嵌合し、シフトギ
ヤを分配環支軸のギヤ部に噛み合わせ、シフトギヤに長
孔部を形成し、該長孔部には、駆動ギヤに噛み合う中間
ギヤの偏心円筒突起部を係合し、切り換え軸の回動によ
り、中間ギヤ及びその円筒突起部を介してシフトギヤを
揺動させることにより分配環支持軸を回動させるように
構成し、シフトギヤの長孔部の中心線と中間ギヤの中心
と円筒突起部との交叉角を概略直角あるいはそれ以下と
している。請求項3記載の発明は、請求項2記載の構成
に加え、中間ギヤにカムプレートを噛み合わせ、カムプ
レートのカム作用面を、ブレーキ機構に連動するカム軸
により、連結機構を介してロック及び解除自在とし、油
圧分配環が、前進あるいは後進位置の時には、カムプレ
ートをロックしており、ブレーキオン動作により、上記
ロックを解除するように構成している。
【0006】
【作用】入力軸の回転によりポンプ用シリンダブロック
を回転すると、斜板式油圧ポンプが作動し、該油圧ポン
プから吐出される作動油は油圧モータへと圧送される。
吐出行程のポンプ用プランジャがポンプ用斜板を介して
モータ用シリンダブロックに与える反動トルクと、膨張
行程のモータ用プランジャがモータ用斜板から受ける反
動トルクとの和によって、モータ用シリンダブロックは
回転される。前,後進切り換え操作について、切り換え
軸を回動操作することにより、中間ギヤ及びシフトギヤ
を介して分配環支持軸を回動し、それにより、油圧分配
環を支持軸回りに偏心回動させて、油圧回路の油路を切
り換え、前進、後進あるいは中立状態に切り換える。バ
ルブボディの回転方向と分配環のシフト方向が一致して
いることにより、たとえば、前進回転(運転)の際、分
配環とバルブボディの間の摺接面で発生するドラッグ
は、分配環及びシフトギヤ(シフト部材)を前進シフト
方向へと回動させるように作用し、シフト部材は常に、
対応するストッパー部材に押し付けられることになる。
これにより、油圧分配環の位置は、車両走行中であって
も、常に、ストツパー部材で規制された所定位置に確保
され、常に効率のよい油圧モータへの分配タイミングが
確保される。また、油圧モータが登坂路等で負荷側から
逆転方向(後進方向)に回転させられた際には、バルブ
ボディと分配環の間で発生するドラッグは、逆方向(後
進回転側)に作用して、前進位置にあるシフトギヤは中
立位置に戻ろうとするが、シフトギヤの長孔部の中心線
と、中間ギヤの中心線と円筒突起部を結ぶ線の交叉角を
略直角あるいはそれ以下にしているので、シフトギヤが
中立位置に戻されるのが阻止される。また、前進あるい
は後進走行中は、ブレーキ機構に連動する連結機構によ
り、シフト機構中のシフトカムがロックされているた
め、ブレーキを踏まなければ、中立位置へのシフトはで
きない。
【0007】
【実施例】図1は、本発明を適用した油圧変速機の全体
縦断面図(シフト部を除く)を示しており、理解を容易
にするために、軸方向の前後方向を図中に記載のように
仮定している。
【0008】まず、全体のレイアウトを説明する。変速
用入力軸1の前端部は図示しないエンジンに連動連結さ
れており、入力軸1の外周には、前側から順に斜板式の
油圧モータ(アキシャル形プランジャモータ)Mと斜板
式の油圧ポンプ(アキシャル形プランジャポンプ)Pと
が前後方向(軸方向)に並ぶように直列配置されてい
る。さらに具体的には、前側から順に、モータ用斜板1
9、モータ用シリンダブロック4、ポンプ用斜板15及
びポンプ用シリンダブロック2が前後方向(軸方向)に
並ぶように直列配置され、ポンプ用シリンダブロック2
の半径方向外方にはこれを間隔をおいて覆う中間ドラム
5が配置され、該中間ドラム5と上記ポンプ用シリンダ
ブロック2の間に直結用油圧クラッチC2 が配置されて
いる。中間ドラム5及びポンプ用シリンダブロック2の
後側に、油圧回路を有するバルブボディ3が配置され、
バルブボディ3の後側には、リヤカバー23が固着され
ている。該リヤカバー23内には、リヤカバー23内の
空間部24を外方空間部24aと内方空間部24bに区
画する前後進切り換え用の油圧分配環29、これを支持
する分配環支持軸25及び主クラッチ切り換え用のスプ
ール30等が配置されている。モータ用斜板19の前上
方には、モータ用斜板19の傾斜角度を制御して、自動
変速制御を行う油圧アクチュエータA1 が配置されてい
る。
【0009】油圧ポンプPの概要を説明する。ポンプ用
シリンダブロック2は、その内周側が入力軸1の後端部
外周にスプライン嵌合しており、入力軸1と一体的に回
転する。ポンプ用シリンダブロック2には円周方向に等
間隔を置いて、奇数個、たとえば、5つの円筒穴71が
形成されており、各円筒穴71は入力軸1と平行に形成
されると共に、前方に向いて開口している。各円筒穴7
1には、それぞれ有底筒状のポンプ用プランジャ14が
軸方向摺動自在で前方へ突出可能に嵌合しており、各ポ
ンプ用プランジャ14の前端部には緩やかな球面形状部
14aが形成され、前側のポンプ用斜板15に当接して
いる。ポンプ用斜板15は、ポンプ用プランジャ14の
往復運動のガイドとなるものであり、スラスト軸受け1
6を介してモータ用シリンダブロック4の後端部斜面4
aに設置されている。各ポンプ用プランジャ14内には
これを前方に付勢するコイルばね17が円筒穴後端面と
の間に縮設されており、これにより、ポンプ用斜板15
を押さえてポンプ用斜板15の脱落を防止すると共に、
ポンプ用シリンダブロック2を後側のバルブボディ3に
押さえ付けて摺動シール面2bにおける低回転時のシー
ル性を向上させ、さらに、ポンプ用プランジャ14を前
方に付勢していることにより、自己吸引能力を油圧ポン
プPに付与している。
【0010】油圧モータMの概要を説明する。モータ用
シリンダブロック4は、中間ドラム5を介してバルブボ
ディ3に一体的に締結されると共に、その内周側が入力
軸1に対して環状油路101を隔てて回転自在に嵌合
し、ミッションケース22に軸受72等を介して支持さ
れている。モータ用シリンダブロック4には円周方向に
等間隔を置いて、奇数個、たとえば、9個の円筒穴73
が形成されており、該円筒穴73は、入力軸1と平行に
形成されると共に、前記油圧ポンプPの場合と同様に前
方に向いて開口している。各円筒穴73には、それぞれ
有底筒状のモータ用プランジャ18が軸方向摺動自在で
前方に突出可能に嵌合しており、各モータ用プランジャ
18の前端部には緩やかな球面形状部18aが形成さ
れ、前側のモータ用斜板19に当接している。モータ用
斜板19は、モータ用プランジャ18の往復運動のガイ
ドとなるものであり、転動体20を介して前側の斜板ホ
ルダー21に支持されている。各モータ用プランジャ1
8内にはこれを前方に付勢するコイルばね37が円筒穴
後端面との間に縮設されており、これにより、自己吸引
力を油圧モータMに付与している。
【0011】上記斜板ホルダー21は、入力軸1と直角
なトラニオン軸22aを介してミッションケース22に
支持され、トラニオン軸心を回動中心として傾動自在と
なっており、自動変速制御用の前記油圧アクチュエータ
A1 によって入力軸心と直角な面に対する傾きが変化
し、それにより、モータ用プランジャ18のストローク
量を調整し、無段階にモータ容量を変化させることがで
きるようになっている。
【0012】油路構造について説明する。図1におい
て、入力軸1の外周に形成された環状油路101の前端
部は、環状油室102を介して図示しないHSTチャー
ジング用フィードポンプ等に接続され、オイルパン等か
ら環状油室102を介して環状油路101へと作動油が
供給されるようになっている。環状油路101の後端部
には、入力軸1内を通って直結用油圧クラッチC2 に至
る直結用油圧クラッチ冷却用油路103と、モータ用シ
リンダブロック4内、中間ドラム5内及びバルブボディ
3内を通って直結用油圧クラッチC2 の作動油室105
に至る直結用油圧クラッチ作動油供給油路106と、図
2のようにモータ用シリンダブロック4内、中間ドラム
5内及びバルブボディ3内を通ってリヤカバー23内の
外方空間部24aに至るチャージング油路108が連通
している。
【0013】上記チャージング油路108の外方空間部
24aへの出口部分には、外方空間部24aへと開弁す
るチェック弁74が設けられおり、該チェック弁74
は、バルブボディ3にバルブシート部75を設け、該シ
ート部75に着座する鋼球45を組み込んでいる。ま
た、このチェック弁74は、バルブボディ3の回転によ
り鋼球45に発生する遠心力が、鋼球45を後方(開弁
方向)に作用するように、バルブシート部75に傾きを
与えている。上記チャージング油路108には、内方空
間部24bに至る枝油路108aが形成されており、枝
油路108aの内方空間部24bへの出口には、内部空
間部24b方向に開弁するチェック弁77が設けられて
いる。該チェック弁77は、バルブシート46、圧縮コ
イルばね48、該圧縮コイルばね48の弾性力により上
記バルブシート46に着座する鋼球49及び押さえ棒4
7等から構成され、バルブボディ3の概略中心部に配置
されている。
【0014】上述のチャージング油路108部分から空
間部24に供給される作動油が、図1の油圧ポンプPを
経て油圧モータMに至り、再度空間部24まで戻る油路
の概要を説明する。油圧ポンプPに関して、バルブボデ
ィ3には、図1の上側に示すように吸入行程のポンプ用
円筒穴71と外方空間部24aとを連通して外方空間部
24aからポンプ用円筒穴71内に作動油を吸入するた
めのポンプ側吸入用油路110と、下側に示すように吐
出行程のポンプ用円筒穴71と内方空間部24bとを連
通してポンプ用円筒穴71から内方空間部24bに作動
油を吐出するためのポンプ側吐出用油路111とが形成
されている。油圧モータMに関して、バルブボディ3、
中間ドラム5及びモータ用シリンダブロック4には、各
モータ用円筒穴73に連通する9つのモータ側油路11
3が形成されており、これらモータ側油路113は空間
部24と各モータ用円筒穴73を連通しているが、モー
タ側油路113の後端ポートは回転軸心を中心とした同
一円周上に配列されており、モータ用シリンダブロック
4と一体に回転するバルブボディ3の回転により、図1
の下側に示すように膨張行程のモータ用円筒穴73は、
内方空間部24bに連通して内方空間部24bからモー
タ用円筒穴73内に作動油を圧入し、一方、上側に示す
ように排出行程のモータ用円筒穴73は、外方空間部2
4aに連通してモータ用円筒穴73から外方空間部24
aに作動油を排出するようになっている。
【0015】リヤカバー23内の構造を説明する。リヤ
カバー23は前述のようにバルブボディ3の後端面に一
体的に締結され、バルブボディ3と一体回転するように
なっており、バルブボディ3の後端面とリヤカバー23
の内面の間で前記空間部24を形成している。該空間部
24内に配置されている油圧分配環支持軸25は、入力
軸1と概略同軸心に配置されると共に、ラジアル軸受2
7、28を介してリヤカバー23に回転自在に支持さ
れ、また、リヤカバー23の後側段部との間にはスラス
ト軸受26が配置されており、これにより回転を確保し
ながら軸方向後方への移動を規制している。支持軸25
の前端部には、支持軸心から偏心した円筒部25aが一
体に形成され、該偏心円筒部25aの外周面に前記有底
筒状の油圧分配環29が嵌合しており、これにより、リ
ヤカバー3内の空間部24を、前述のように分配環29
の外方側の外方空間部24aと、内方側の内方空間部2
4bとに区画している。油圧分配環29の前端面は、内
方空間部24bの作動油圧力によりバルブボディ3の後
端面に押し出されることにより摺接しており、圧力によ
り押し付け強さが自動的に変化することから、自己隙間
補償機能を有している。また、支持軸25の回動によ
り、図5に示すような前進位置Fと、中立位置Nと、後
進位置Rとの間で位置変更自在に切り換えられるように
なっている。
【0016】図3のV−V断面拡大部分図を示す図5に
おいて、線22'a は、前記トラニオン軸22aと平行
で、入力軸心を通る線であり、この線22'aと直角な垂
直線(以下、仮に「前後進分離線」と称する)L上に、
モータ用プランジャ18の上死点(最収縮点)U1 と下
死点(最伸長点)U2 が存在している。X1方向が前進
回転(正回転)方向とすると、分配環29の中立位置N
は、分配環29の中心が上記前後進分離線L上を通り、
かつ、最も上死点U1 側に偏った位置に設定されてお
り、前進位置Fは、上記中立位置Nから支持軸心回りに
モータ前進回転方向X1側へと概略90°回動した位置
に設定され、後進位置Rは、中立位置Nから支持軸心回
りにモータ後進回転方向X2 へと概略90°回動した位
置に設定されている。
【0017】ポンプ側油路110、111のうち、外方
空間部24aに連通するポンプ側吸入用油路110は2
個形成され、それらの後端ポートは、上側の外方端部に
位置して、分配環29が前進位置F、中立位置Nあるい
は後進位置Rのいずれの状態でも、常に外方空間部24
aに連通している。内方空間部24bに連通するポンプ
側吐出用油路111は3個形成され、それらの後端ポー
トは、軸心近傍の下側部分に位置し、分配環29が前進
位置F、中立位置Nあるいは後進位置Rのいずれの状態
でも、常に内方空間部24bに連通している。
【0018】一方、9つのモータ側油路113の後端ポ
ートは、半径方向中間位置に、同一円周上等間隔で配列
されている。下死点U2 から前進回転方向X1 回りで上
死点U1 までの範囲(図中右側範囲)をW1 、上死点U
1 から前進回転方向X1 回りで下死点U2 までの範囲
(図中左側範囲)をW2 とすると、分配環29が前進位
置Fの場合は、範囲W1内のモータ側油路113が外方
空間部24aに連通し、範囲W2 内のモータ側油路11
3が内方空間部24bに連通する。すなわち、前進回転
時においては、範囲W1 内のモータ側油路113は排出
行程のモータ用円筒穴73に連通しており、範囲W2 内
のモータ側油路113は膨張行程のモータ用円筒穴73
に連通しており、油圧モータMを前進回転方向X1 に回
転する。分配環29が中立位置Nの場合は、概ね線2
2'a よりも下死点U2 側の範囲内のモータ側油路11
3が外方空間部24aに連通し、上死点U1 側の範囲内
のモータ側油路113が内方空間部24bに連通し、油
圧モータMは回転しない。分配環29が後進位置Rの場
合は、範囲W1内のモータ側油路113が内方空間部2
4bに連通し、範囲W2 内のモータ側油路113が外方
空間部24aに連通する。すなわち、後進時において
は、範囲W1 内のモータ側油路113は膨張行程のモー
タ用円筒穴73に連通しており、範囲W2 内のモータ側
油路113は排出行程のモータ用円筒穴73に連通して
おり、油圧モータMを後進回転方向X2 に回転する。
【0019】分配環29の前端面(摺接面)には、内周
端側と外周端側にそれぞれ1対ずつ楔形の溝78a,7
8bが形成されている。各溝78a,78bの形成位置
は、分配環29が前進位置Fあるいは後進位置Rに位置
している時に、上死点U1 及び下死点U2 の近傍に位置
して、 上記両点U1 ,U2 に対して、内側と外側からそ
れぞれ突出するような位置に形成されている。 これによ
り、上死点U1 と下死点U2 を各モータ側油路113が
通過する時に、内外の一方の空間部から分配環29より
徐々に閉じられ、続いて他方の空間部に徐々に開口する
ようになっている。
【0020】直結用油圧クラッチC2 の構造を説明す
る。図8に示すように中間ドラム5は、軸方向と平行な
複数本、たとえば、6本のスタッド8によりモータ用シ
リンダブロック4及びバルブボディ3と一体的に結合さ
れており、また、油圧モータM、油圧ポンプP及びバル
ブボディ3と共に、入力軸心O1 と概略同心に揃えられ
ている。油圧ポンプPと中間ドラム5の間に配置されて
いる直結用油圧クラッチC2 は、湿式多板式のクラッチ
であり、多数のフリクションプレート6と、該フリクシ
ョンプレート6と交互に配置された多数のセパレータプ
レート7とを備えており、フリクションプレート6は、
ポンプ用シリンダブロック2の外周に形成されたスプラ
イン2aに軸方向摺動可能に係合して、シリンダブロッ
ク2と一体的に回転するようになっている。セパレータ
プレート7は、図9に示すように、3カ所に1対ずつ配
置された6本のスタッド8のうち、それぞれ片側の計3
本のスタッド8に軸方向移動可能に係合しており、モー
タ用シリンダブロック4、中間ドラム5及びバルブボデ
ィ3と一体的に回転するようになっている。
【0021】直結用油圧クラッチC2 の軸方向両端部に
は、図8の前記両プレート6、7を軸方向に挟持可能な
1対のプレッシャプレート9が配置されており、該プレ
ッシャプレート9は6本のスタッド8全部に軸方向移動
可能に係合している。前記セパレータプレート7が係合
していないスタッド8には、図8の上側半分に示すよう
に、両プレッシャプレート9間に縮設されたコイルばね
10が介装されており、該コイルばね10により、両プ
レッシャプレート9は軸方向に互いに離れる方向、すな
わち、クラッチオフ側に付勢されている。
【0022】直結用油圧クラッチC2 を作動させるため
の油圧ピストン11は、バルブボディ3の環状凹部79
に軸方向摺動自在に嵌合しており、前方に突出してプレ
ッシャプレート9間で両プレート6,7を圧接すること
により、油圧モータMと油圧ポンプPをクラッチオン
(直結状態)にできるようになっている。なお、クラッ
チオフ時に生じる両プレート6,7間のドラッグ、すな
わち、連れ回り現象を極力減少させるために、セパレー
タプレート6間及びセパレータプレート6とプレッシャ
プレート9の間に、それぞれスペーサ12及びウエブワ
ッシャ13を配置しており、それにより、クラッチオフ
時の各摩擦面の隙間を強制的に確保している。
【0023】図3において、油圧ポンプPと油圧モータ
Mとの間の作動油の流れを断続する主クラッチC1 の構
造を説明する。主クラッチ用スプール30は、支持軸2
5の内周孔内に、支持軸25に対して回動可能に嵌合す
ると共に、スラスト荷重用のボール31、32により、
軸方向の荷重に対してもスムースに回動できるように支
持されている。スプール30の前端部には、内方空間部
24bに開口してスプール軸心を後方へと延びる縦油路
115と、該縦油路115の後端部から半径方向外方に
延びる油路116が形成され、一方、支持軸25には、
上記油路116と同一の軸方向位置に、外方へと延びて
外方空間部24aに開口する油路117が形成されてお
り、スプール30の回動により、上記油路116,11
7同士を遮断、連通することにより主クラッチC1 をオ
ン、オフするのである。
【0024】図3のVIIーVII断面を示す図7において、
スプール30内の半径方向の油路116は十字形に形成
されており、上下方向に延びる油路部分の上下両端部に
は、それぞれスプール円周方向両側に延びる拡張溝部1
16aが形成され、これによりクラッチ切り替え時の衝
撃を和らげるようになっている。支持軸25内に形成さ
れた油路117はスプール軸心から半径方向外方へと延
びる放射線上にあって、支持軸25の偏心円筒部25a
の偏心方向とは直角方向に延びるように1対形成されて
おり、両油路117の内周側端部は、スプール30の外
周面において互いに概略180°の位相差で開口してい
る。図7の(a),(b),(c)はそれぞれ支持軸2
5を前進位置F、中立位置N及び後進位置Rに回動した
状態であって、いずれも主クラッチオフ状態を示してい
る。すなわち、主クラッチオフ操作時おいては、十字形
油路116は、傾斜していない十字姿勢に保たれてい
る。したがって、図7の(a)の前進状態では、十字形
油路116の上下の油路部分に支持軸25の油路117
が連通し、(b)の中立状態では、十字形油路116の
うち、左右の油路部分に支持軸25の油路117が連通
し、(c)の後進状態では、十字形油路116の上下の
油路部分に支持軸25の油路117が連通している。す
なわち、スプール30の十字形油路116と支持軸25
の油路117を組み合わせた1つの機構のみで、前進、
後進及び中立のいずれの状態においても、内方空間部2
4bと外方空間部24aとを連通して短絡状態とし、主
クラッチをオフ操作できるようにしてある。
【0025】また、支持軸25の内周部には、図3に示
すように、高圧リリーフ弁33が設けられており、内方
空間部24bの圧力が設定値以上に大きくなった時に、
内方空間部24bから外方空間部24aへと油を逃がす
ようになっている。なお、該リリーフ弁33としては、
内方空間部24bから外方空間部24aあるいは外方空
間部24aから内方空間部24bへのいずれの方向へも
リリーフを行える構造としてもよい。
【0026】図14により、モータ用斜板19の傾斜角
度を変更する変速制御機構について説明する。変速制御
用の油圧アクチュエータA1 は、ミッションケース22
に一体に形成されたシリンダ36内に、球面状の摺動部
を有するピストン35が摺動自在に嵌合しており、ピス
トン35は、シリンダ36の後端ばね受けリングとの間
に縮設されたコイルばね81により、前方に付勢されて
いる。上記ピストン35には、ロッドが一体に形成され
ると共に、後方に突出するロッドエンド34が連結され
ており、該ロッドエンド34は、球継ぎ手機構を介して
モータ用斜板ホルダー21の上端部に連結されている。
シリンダ36内の油室82は、流量調節用の絞り39を
介してミッションケース22の壁内の油路120に連通
している。該油路120は、エンジンの回転数の二乗に
比例して圧力が変化するいわゆるガバナ油圧源に接続し
ており、上記圧力の作動油が供給される。従って、エン
ジン回転数の上昇に対応(エンジン回転数の二乗に比
例)してシリンダ36の油室82の作動油圧が上昇し、
コイルばね81に抗してモータ斜板19を入力軸1に対
して直角な状態へと立ち上がらせる。
【0027】油圧ポンプPに対する油圧モータMの変速
比は次式で与えられる。 変速比=ポンプ回転数/モータ回転数 =1+モータ容量/ポンプ容量 上記式から明らかなように、モータ容量を0からある値
に変えれば、変速比は1からある必要な値まで変化させ
ることができる。モータ容量は、モータ用プランジャ1
8のストロークにより決定されるものであり、モータ斜
板19が入力軸心と直角な姿勢の時は、上記ストローク
が0になることにより、モータ容量は0となり、変速比
は1である。そして、図1のように傾斜して行くに従
い、モータ容量が増加することにより、変速比が増加し
て行く。
【0028】一方、トラニオン軸22aの位置は、図1
のように、モータ回転軸心に対して上記油圧アクチュエ
ータ側とは反対側(図中下側)に偏心すると共に、モー
タ斜板19よりも後方に設定されており、モータ負荷が
大きくなってモータ用プランジャ18内の作動油圧が上
昇すると、モータ用プランジャ18により、モータ斜板
19の傾斜を増加させて、変速比(減速比)を大きくす
るよう作動するように構成されている。すなわち、上記
のように変速制御機構として、エンジン回転数の上昇に
対応(エンジン回転数の二乗に比例)してモータ斜板1
9を立ち上がらせるように作用するシリンダ油室82内
のガバナ油圧と、モータ負荷の増加に対応してモータ用
プランジャ18の反力により傾動するように配置された
モータ斜板19と、傾斜角が大きくなる方向にピストン
35を付勢するコイルばね81の3要素を備え、それら
の釣り合いにより、エンジン回転数とモータ負荷に対応
する変速比に自動的に制御することができるようになっ
ている。
【0029】図10により、直結用油圧クラッチC2 の
遠心式ガバナー弁Gの構造を説明する。遠心式ガバナー
弁Gは、直結用油圧クラッチ作動油供給油路106の途
中であって、モータ用シリンブロック4に設けられてお
り、段付き移動スプール40と固定スリーブ41等から
構成されている。固定スリーブ41は、モータ用シリン
ダブロック4に形成された孔84に固着されており、該
スリーブ41内に、半径方向移動可能に段付き移動スプ
ール40を嵌合し、圧縮コイルばね42により、上記ス
プール40を半径方向内方(閉位置)に付勢している。
121はドレン孔であり、閉じ時に外部に連通して、直
結用油圧クラッチ側からの漏油をミッションケース22
内へと戻すようになっている。モータ用シリンダブロッ
ク4が回転して、遠心力により段付き移動スプール40
がばね42に抗して外方に移動し、上記回転速度が所定
値に達すると、入口側通路122と出口側通路123と
が連通し、スプール40の環状段面部40aに作動油が
流入する。スプール40は小径部と大径部との面積差
(段面部の面積)があることにより、スリーブ41内の
作動油によって、スプール40を半径方向内方に押す力
が発生する。上記面積差による内方へ押す力と遠心力に
よる外方へとの力の釣り合いにより、回転数の二乗に略
比例した作動油圧力が生じ、直結用油圧クラッチC2 の
油室105へと供給される。回転速度の増加に応じて直
結用油圧クラッチC2 側への作動油圧は増加し、それに
より、中速時の半クラッチ状態を経て高速時には完全な
クラッチング状態となるように作動油は制御される。
【0030】油圧分配環支持軸25を、前進位置F、中
立位置N及び後進位置Rに切り換えるための前後進切り
換え用シフト機構を説明する。図4において、支持軸2
5の後端部にはギヤ部25bが一体に形成されており、
該ギヤ部25bは扇形のシフトギヤ60に噛み合い、該
シフトギヤ60は、その上端部が切り換え軸56に回動
自在に支持されると共に、中間部に上下方向に長い長孔
60aを有している。長孔60aには中間ギヤ58の偏
心円筒突起部58aが係合している。中間ギヤ58は、
ミッションケース22に固着された支持ピン59に回転
自在に支承されており、駆動ギヤ57に噛み合ってい
る。駆動ギヤ57は、スプリングピン等により切り換え
軸56と一体化されており、切り換え軸56は、ミッシ
ョンケース22のボス部に回動自在に支持されると共に
ミッションケース22外に延び出し、操作レバー等の適
宜の操作部材に連動連結されている。すなわち、切り換
え軸56を外部から回動操作することにより、中間ギヤ
58を回動して、偏心円筒突起部58aにより長孔60
aを介してシフトギヤ60を切り換え軸56回りに揺動
させ、ギヤ25bを介して前記支持軸25を回動するよ
うになっている。
【0031】中間ギヤ58は、支持軸25の後端部に回
転自在に支承されたカムプレート61に噛み合ってい
る。該カムプレート61には前進、中立及び後進の各シ
フト位置を明確にするためのディテント溝61aが設け
られ、該ディテント溝61aにはロック用の鋼球62が
係脱自在に噛み合っている。該鋼球62は、ミッション
ケース22に形成された孔22a内に嵌合すると共に、
圧縮コイルばね65によりカムプレート61側へと付勢
され、上記圧縮コイルばね65の弾性力によりディテン
ト溝61aに噛み合っている。
【0032】図6において、カムプレート61は、シフ
トの誤操作防止用及び中立位置にてクラッチ弁を開弁さ
せてポンプとモータ間の動力伝達を遮断するための凸状
のカム部61bを有すると共に、ニュートラルスイッチ
86を作動させるための凹状カム部61cを有してい
る。
【0033】図12において、シフトギヤ60の左右両
側には、シフトギヤ60の左右両側壁に対して所定の間
隔を置いて対向する後進時の位置決め用ストッパー87
dと、前進時の位置決め用ストッパー87cが配置され
ている。両ストッパー87c,87dは、図示しないが
突出位置調節自在にミッションケース22等に取り付け
られている。前進用位置決め用ストッパー87cは、前
進操作時に、シフトギヤ60が回動する方向H1側(図
中右側)に配置されており、シフトギヤ60の前進操作
時の最大振り幅を規制する。すなわち、前述のように、
バルブボディ3の回転方向と分配環29のシフト方向を
一致させており、これにより両者3、29の摺接面で発
生したドラッグが、前進時にはミッションケース22の
前進用位置決め用ストッパー87cに振り寄るように作
用し、後進時も同様に、後進用位置決め用ストッパー8
7dに振り寄るように作用し、常に正確な前、後進位置
に分配環29を維持するようになっている。
【0034】さらに、シフトギヤ60の長孔部60aの
中心線S1 と、中間ギヤ58の中心と円筒突起部58a
とを結ぶ線S2 の交叉角α°を、概略直角あるいはそれ
以下の角度に設定しており、これにより、前進位置ある
いは後進位置のシフトギヤ60が勝手に中立位置に戻ろ
うとするのを防止している。すなわち、油圧モータMが
登坂路等で負荷側から逆転方向に回転させられた際に
は、バルブボディ3と分配環29との摺接面で発生する
ドラッグは、逆方向に作用し、それにより、前進位置あ
るいは後進位置のシフトギヤ60が勝手に中立位置に戻
ろうするが、このような場合にその戻り現象を防止でき
るのである。
【0035】主クラッチC1 の制御機構について説明す
る。図6において、スプール30の後端部にはレバー5
0が固着されており、該レバー50の自由端部に形成さ
れた円筒形状の突起部50aがクラッチ弁作動用アクチ
ュエータA2 のピストン51の先端溝部51aに係合し
ている。上記ピストン51は、ミッションケース22と
一体に形成されたシリンダ52内に、スプール軸心と直
角方向(左右方向)に移動自在に嵌合し、シリンダ52
内を左側油室125と右側油室126とに区画すると共
に、圧縮コイルばね53により右側(クラッチオフ側)
に付勢されている。シリンダ52の下端には左側油室1
25に連通する左側油孔127と右側油室126に連通
する右側油孔128が形成されている。両油孔127,
128の下側には、これらに連通すると共にシリンダ5
2と平行に左右に延びる制御スプール嵌合孔88が形成
されており、該嵌合孔88内には、シリンダ52内への
作動油の流入方向を切り換えるための制御スプール54
が左右方向移動可能に嵌合している。スプール54は外
周に環状油路131を有すると共に、圧縮コイルばね5
5より右側に付勢されている。嵌合孔88の下端中央部
には常時上記環状油路131に連通する作動油流入口1
32が形成されており、該作動油流入口132は、前述
の変速制御機構の場合と同様に、エンジンの回転数の二
乗に比例して圧力が変化するいわゆるガバナ油圧源に接
続し、上記圧力の作動油が供給される。したがって、図
12のようにスプール54の環状油路131が右側油孔
128に連通している状態においては、エンジン回転数
の上昇に対応(エンジン回転数の二乗に比例)してシリ
ンダ52の右側油室126内の作動油圧が上昇し、コイ
ルばね53に抗してピストン51を左方に押し出し、レ
バー50を介してスプール30を回動させ、半クラッチ
からクラッチオン状態へと切り換える。
【0036】クラッチ弁作動用のピストン51の左方に
は、図6に示すようにピストン51の動きを2段アクシ
ョン形にするためのダンパー機構90が配置されてい
る。該ダンパー機構90は、ピストン51の左端縁に対
して間隔を置いて左方から対向する移動片91と、該移
動片91の左方に圧縮コイルばね92を介して配置され
ると共にミッションケース22等に固定された固定ばね
受け93を有し、移動片91は圧縮コイルばね92によ
り右方のシート部94に着座している。すなわち、図1
3の(a)のクラッチオフ状態(完全に減圧された状
態)から主クラッチを接続する場合、図13の(b)で
示すように移動片91に当接する半減圧状態(半クラッ
チ状態)までは急速に作動し、図13の(c)で示す完
全締め切り状態(クラッチオン状態)までは、圧縮コイ
ルばね92の抵抗により緩衝され、ゆるやかな動きとな
る。
【0037】図6において、シフト操作機構とクラッチ
制御機構との間の関係について説明する。アクチュエー
タA2 のシリンダ52の上方には、スプール30と同一
高さで左右に延びるピン挿通孔68が形成され、該挿通
孔68には左右方向に移動自在にピン62が挿通され、
ピン62の左右端はそれぞれ挿入孔外に突出し、左端部
は、前記カムプレート61に当接している。ピン62の
右端部の右方には、車両の主制動装置に連動するカム軸
64が配置されている。カム軸64は図11に示すよう
に前側に凸部64aを一体に有すると共に、下側に切欠
き平面部64bを一体に有している。図12のカム軸6
4の状態はブレーキオフ状態であり、ブレーキペダルを
踏むことにより、それに連動してカム軸64は矢印B方
向に回動するようになっている。
【0038】シリンダ52の右方には支軸66を介して
アーム63が回動自在に支持されており、アーム63は
概略上下方向に延びると共に、サブアーム67を一体的
に有している。アーム63の上端部は、前記ピン62と
カム軸64の間に位置すると共に、左方にL形に折れ曲
がるストッパ部63dを一体に備え、また、上端部右側
には、段部63cを介して背面部63aが形成され、背
面部63aは前記カム軸64に対向している。アーム6
3の下端部は制御スプール54の右端縁に当接してい
る。サブアーム67は右上方へと延び、その上端平面部
がカム軸64の平面部64bに対向している。
【0039】上記アーム63により、スプール54の動
き、カム軸64の動き及びピン62の動きを規制する。
前記カム軸64の凸部64aは、ブレーキオフ状態で図
12のように左端に位置しており、この図12に示す前
進位置から中立位置へと切り換え軸56を矢印H2 方向
に回動しようとしても、アーム63の上端部背面部63
aが凸部64aと干渉していることにより、ピン62は
アーム63側(右側)へは移動しない。したがって、カ
ムプレート61のカム部61bの段部がピン62で係止
された状態となり、カム61は矢印F方向には回動せ
ず、中立位置へは戻らない。
【0040】カムプレート61のカム部61bは、図6
で示す中立位置において、ピン62を右方へ押し込んで
レバー63の上端部を右方に傾けており、これによりス
プール54を左方へ押し込んで、作動油流入口132を
左側の油室125に連通させ、ピストン51を圧縮ばね
53及び左側油室125の作動油圧により、右方へと押
し付けている。すなわち、中立時にはエンジン回転速度
を上げても、ピストン51は左方に移動せず、レバー5
0は回動せず、常に減圧状態(クラッチオフ状態)を保
つようになっている。
【0041】カム軸64とレバー63との関係におい
て、図12のブレーキオフ状態においては、上述のよう
にカム軸64の凸部64aがレバー63の背面部63a
に当接しているが、ブレーキペダルを踏んでカム軸64
が矢印B方向に回動することにより、凸部64aが背面
部63aから外れ、ピン62の係止状態を解除するよう
になっている。すなわち、前進位置にシフトしている時
には、ブレーキを踏まなければ中立位置あるいは後進位
置にシフトできないようになっている。
【0042】また、図12のような前進位置において、
カム軸64の下端平面部64bは、サブレバー67の上
端平面部に対向しているが、ブレーキを踏んでカム軸6
4が矢印B方向に回動することにより、カム軸64の円
筒状外周面がサブレバー67を押し下げ、レバー63の
下端部を左方へと回動して、制御スプール54を左方に
押し、作動油流入口132を左側油室125に連通する
ようになっている。それにより、左側油室125の作動
油圧とコイルばね53の合成力により、ピストン51は
急速に右方に移動し、主クラッチ弁は急速にオフに切り
換わる。
【0043】油圧変速機全体の作動及び本願発明に関連
する作動について説明する。入力軸1の回転によりポン
プ用シリンダブロック2を回転すると、吐出行程のポン
プ用プランジャ14を収容する円筒穴71から、ポンプ
側吐出用油路111を通って内方空間部24bに高圧の
作動油が吐出され、該高圧作動油は、一部のモータ側油
路113を通って膨張行程のモータ用プランジャ18を
収納する円筒穴73に圧入される。一方、排出行程のモ
ータ用プランジャ18を収納する円筒穴73から、残り
のモータ側油路113を通って外方空間部24aに排出
される作動油は、ポンプ側吸入用油路110を通って吸
入行程のポンプ用プランジャ14を有するポンプ用円筒
穴71に還流される。その間、吐出行程のポンプ用プラ
ンジャ14がポンプ用斜板15を介してモータ用シリン
ダブロック4に与える反動トルクと、膨張行程のモータ
用プランジャ18がモータ用斜板19から受ける反動ト
ルクとの和によって、モータ用シリンダブロック4は回
転される。
【0044】前,後進切り換え操作について、外部の操
作レバーで切り換え軸56を回動操作すると、駆動ギヤ
57を介して中間ギヤ58が回動し、円筒突起部58a
及び長孔部60aを介してシフトギヤ60が切り換え軸
56回りに揺動し、ギヤ部25bを介して分配環支持軸
25が回動する。これにより、分配環29は支持軸25
回りに偏心回動して、図5に示すように、中立位置Nか
ら前進位置Fあるいは後進位置Rに切り換えられる。バ
ルブボディ3の回転方向と分配環29のシフト方向が一
致していることにより、たとえば、前進回転(運転)の
際、分配環29とバルブボディ3の間の摺接面で発生す
るドラッグは、分配環29を前進シフト方向X1 へと回
動させるように作用する。このドラッグ力は、図12に
おいて、シフトギヤ60を前進用位置決め用ストッパー
87c側へ振り寄るように作用し、シフトギヤ60は常
に上記ドラッグ力により、前進用位置決め用ストッパー
87cに押し当てられる。これにより、油圧分配環29
の位置は、車両走行中であっても、常に前進位置Fに維
持され、常に効率のよい油圧モータへの分配タイミング
が確保される。また、油圧モータが登坂路等で負荷側か
ら逆転方向(後進方向)に回転させられた際には、バル
ブボディ3と分配環29の間で発生するドラッグは、後
進回転X2 側に作用して、分配環29を前進位置Fから
中立位置Nに連れ戻そうとするが、シフトギヤの長孔部
60aの中心線S1 と、中間ギヤ58の中心線と円筒突
起部58aを結ぶ線S2 の交叉角α°を、略直角あるい
はそれ以下にしているので、シフトギヤ60が図12の
前進状態から後進側H2 側に戻ろうとしても、円筒突起
部58aに対して、図12の時計回り側の回動力(前進
回転側の回動力)を付与することになり、結局図12の
状態で係止されることになり、シフトギヤ60が中立位
置に戻されるのが阻止される。また、前進走行中は、図
12のようにカムプレート61は、ブレーキ機構に連動
するカム軸64により、ピン62を介してロックされて
いる。したがって、ブレーキを踏まなければ、中立位置
へのシフトはできない。すなわち、ブレーキを踏むと、
カム軸64が矢印B方向に回動し凸部64aが上方へ外
れ、シフト操作によるカムプレート61の回動が可能と
なる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本願発明は、油圧モ
ータMと一体回転するバルブボデイ3に摺接して、偏心
回動により前,後進を切り換える分配環29を備えた油
圧変速機において、分配環29のシフト方向を、油圧モ
ータの回転方向に一致させると共に、適宜のシフト部
材、たとえば、シフトギヤ60のシフト方向側から対向
して、所定のシフト位置において上記シフトギヤ60に
当接して係止するストッパー部材(ストッパー87c,8
7d )を設けているので、分配環29及び分配環支持軸
25に精密な加工を施すことなく、簡単な構造で、分配
環29の連れ回りを防止できると同時に、常に所定の分
配タンミングを維持でき、動力伝達効率が向上する。こ
れに加え、請求項2記載の発明によると、シフトギヤ6
0の長孔部60aの中心線S1 と中間ギヤ58の円筒突
起部58aとの交叉角α°が概略直角あるいはそれ以下
となるようにしていることにより、登坂路などにおいて
油圧モータ側からの負荷によるシフト位置の戻り現象、
すなわち、位置ずれを防止でき、それにより、登坂路の
操作性能及び発進性能を向上させることができる。さら
に、請求項3記載の発明によると、中間ギヤ58にカム
プレート61を噛み合わせ、カムプレート61のカム作
用面を、ブレーキ機構に連動するカム軸64により、連
結機構を介してロック及び解除自在とし、油圧分配環2
9が、前進位置あるいは後進位置の時には、カムプレー
ト61をロックし、ブレーキオン動作により、上記ロッ
クを解除するように構成しているので、走行中、ブレー
キを踏まなければ、前,後進の切り換えができないよう
になり、耐久性の向上及び操作性能の向上を達成するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願の発明を適用した油圧変速機の全体縦断
面図である。
【図2】 図1と同じ油圧変速機のチャージング油路回
路部分の縦断面拡大部分図である。
【図3】 図1のIII部分の拡大部分図である。
【図4】 図3と同じ部分であって、シフト機構を含む
部分の縦断面部分図である。
【図5】 図3のV−V断面図である。
【図6】 中立位置におけるクラッチ制御機構の断面拡
大図である。
【図7】 主クラッチの作動説明図である。
【図8】 直結用油圧クラッチの縦断面部図である。
【図9】 図8のIX-IX断面図である。
【図10】 図1のガバナー弁部分の拡大図である。
【図11】 シフト機構の斜視図である。
【図12】 前進位置におけるクラッチ制御機構の断面
拡大図である。
【図13】 主クラッチの作動説明図である。
【図14】 変速制御機構の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 入力軸 2 ポンプ用シリンダブロック 3 バルブボディ 4 モータ用シリンダブロック 5 中間ドラム 15 ポンプ用斜板 19 モータ用斜板 25 分配環支持軸 29 油圧分配環 54 切り換えスプール 56 切り換え軸 57 駆動軸 58 中間軸 58a 円筒突起部 60 シフトギヤ 60a 長孔部 61 カムプレート 62 ピン(連結機構) 64 カム軸 87c,87d ストッパー(ストッパー部材) P 斜板式油圧ポンプ M 斜板式油圧モータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 斜板式の油圧ポンプと斜板式の油圧モー
    タとを油圧回路を介して接続し、油圧モータの斜板の傾
    斜角度の変更により油圧モータの容量を可変とし、油圧
    ポンプの軸方向一端側に、上記油圧回路を構成すると共
    に油圧モータと一体回転するバルブボディを配置し、前
    後進切り換え用のシフト機構に、偏心円筒部を有する分
    配環支持軸を連動連結し、偏心円筒部には、バルブボデ
    ィの油圧回路の各ポートが開口する端面に押し付けられ
    る油圧分配環を支持し、油圧分配環を分配環支持軸回り
    に偏心回動させることにより、前,後進を切り換える油
    圧変速機において、バルブボディの回転方向とシフト機
    構による油圧分配環のシフト方向を一致させ、上記シフ
    ト機構には、適宜のシフト部材に対してシフト方向側か
    ら対向して、所定のシフト位置において上記シフト部材
    に当接して係止するストッパー部材を備えたことを特徴
    とする油圧変速機のシフト機構。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の油圧変速機のシフト機構
    において、外部から回動操作自在な切り換え軸に、駆動
    ギヤを固定すると共にシフト部材としてシフトギヤを揺
    動自在に嵌合し、シフトギヤを分配環支軸のギヤ部に噛
    み合わせ、シフトギヤに長孔部を形成し、該長孔部に
    は、駆動ギヤに噛み合う中間ギヤの偏心円筒突起部を係
    合し、切り換え軸の回動により、中間ギヤ及びその円筒
    突起部を介してシフトギヤを揺動させることにより分配
    環支持軸を回動させるように構成し、シフトギヤの長孔
    部の中心線と中間ギヤの中心と円筒突起部との交叉角を
    概略直角あるいはそれ以下としていることを特徴とする
    油圧変速機のシフト機構。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の油圧変速機のシフト機構
    において、中間ギヤにカムプレートを噛み合わせ、カム
    プレートのカム作用面を、ブレーキ機構に連動するカム
    軸により、連結機構を介してロック及び解除自在とし、
    油圧分配環が、前進あるいは後進位置の時には、カムプ
    レートをロックしており、ブレーキオン動作により、上
    記ロックを解除するように構成していることを特徴とす
    る油圧変速機のシフト機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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