JPH0743021B2 - 静油圧式無段変速機のクラツチ弁装置 - Google Patents

静油圧式無段変速機のクラツチ弁装置

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JPH0743021B2
JPH0743021B2 JP60157791A JP15779185A JPH0743021B2 JP H0743021 B2 JPH0743021 B2 JP H0743021B2 JP 60157791 A JP60157791 A JP 60157791A JP 15779185 A JP15779185 A JP 15779185A JP H0743021 B2 JPH0743021 B2 JP H0743021B2
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Description

【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、定容量の斜板式油圧ポンプと可変容量の斜板
式油圧モータとの間に油圧閉回路を形成してなる静油圧
式無断変速機において、油圧ポンプの吐出側と吸入側間
の短絡・遮断を制御して、油圧ポンプから油圧モータへ
の伝道伝達を制御するクラッチ弁装置に関する。
(2) 従来の技術 従来、かかるクラッチ弁装置は、特公昭59−398467号公
報に示されているように、油圧モータの端部に、油圧ポ
ンプの吐出ポートに連なる高圧油室と同ポンプの吸入ポ
ートに連なる低圧油室とを形成し、この両油圧間の短絡
・遮断を行うクラッチ弁を油圧モータの支軸の中心部に
配設して構成される。
(3) 発明が解決しようとする問題点 従来の構造では、クラッチ弁及びその操作系が油圧モー
タの端部から軸方向に突出して変速機の全長を長くする
ので、変速機のコンパクト化の妨げとなっている。特
に、油圧ポンプ及び油圧モータを同軸上に配列する場合
には、従来のクラッチ弁装置を採用すると、変速機の全
長が一層長くなってしまう。
そこで斯かる問題を解決するために、例えば米国特許第
2984070号明細書に開示される如く一対のクラッチ弁を
ポンプシリンダの径方向に配列することによって変速機
の全長を短縮化し得るものが既に提案されているが、こ
の提案のものでは、クラッチ弁をそれの中心軸線回りに
所定角度回動操作することによって両油圧回路間の短絡
・遮断(即ちクラッチのオフ・オン)を行うようにして
いるので、次のような問題がある。即ち、上記短絡時間
に作動油をスムーズに流通させるためには、クラッチ弁
の設置個数を増やすか、或いはクラッチ弁に形成される
油通路、従ってクラッチ弁自体を比較的大径に形成する
必要があるが、操作レバーの揺動を出力軸を通して個々
のクラッチ弁の軸線回りの回動に変換するための連動操
作機構は比較的複雑である上、その連動操作機構によっ
ても多数のクラッチ弁を同様に作動させることは困難で
あるため、クラッチ弁の設置個数を増やすことには自ず
から限界があり、またクラッチ弁を大径化するとそれだ
け変速機の全長が長くなってしまう上、その大径化によ
ってもクラッチ弁の設置個数は制限されるのである。
本発明は、上記従来のものの問題を解決しながら、変速
機の全長短縮化を図ることができるクラッチ弁装置を提
供することを目的とする。
B.発明の構成 (1) 問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために本発明は、油圧ポンプのポン
プシリンダの環状に配列されたシリンダ孔群に隣接し
て、吐出行程のシリンダ孔に連なる環状の第1油室と吸
入行程のシリンダ孔に連なる環状の第2油室とをポンプ
シリンダに同心的に形成し、この両油室間の開閉を半径
方向の往復動で各々行う複数のクラッチ弁をポンプシリ
ンダに放射状に配設し、これらクラッチ弁群の外周を囲
繞してその各クラッチ弁の外端と相対回転可能に係合す
るクラッチ制御輪を、該クラッチ制御輪がポンプシリン
ダの径方向で全クラッチ弁を閉弁状態とするクラッチオ
ン位置と一部のクラッチ弁を開弁状態とするクラッチオ
フ位置との間を揺動し得るように、固定構造体に軸支し
たことを特徴としている。
(2) 作用 クラッチ制御輪をクラッチオフ位置に揺動操作すれば、
一部のクラッチ弁により高圧の第1油室と低圧の第2油
室間が短絡されるため、第1油室から第2油室へ作動油
が流出し、油圧ポンプから油圧モータへの圧油の給送が
不能となり、両者間の動力伝達を遮断することができ
る。またクラッチ制御輪をクラッチオン位置に戻せば、
全クラッチ弁により両油室間の短絡は断たれ、油圧ポン
プから油圧モータの動力伝達は再開される。
この場合において、複数のクラッチ弁は、それらがクラ
ッチ制御輪の揺動に連動してポンプシリンダ径方向に個
別に往復動することによって、両油室間の短絡・遮断を
制御するものであるから、個々のクラッチ弁自体を比較
的小径化しても上記短絡時の各クラッチ弁の有効開度を
極力広く確保することができ、その上、クラッチ弁を放
射状に多数配列してもそれらを共通のクラッチ制御輪に
よって的確に切換操作することができ、従って各クラッ
チ弁を比較的小径化してそれらを放射状に多数配列する
ことにより、上記短絡時における作動油の流通を極めて
スムーズに行わせることができる。更にクラッチ制御輪
は固定構造体に軸支されて単純な揺動運動を行うため、
該制御輪自体の固定構造体に対する動きにも無理がな
い。
そして前述のように各クラッチ弁はそれが比較的小径に
形成できる上、ポンプシリンダの半径方向に配置され、
その上、これらクラッチ弁群を囲繞するクラッチ制御輪
もポンプシリンダの径方向に揺動操作されるので、これ
らクラッチ弁及びクラッチ制御輪の設置によって変速機
の全長が特別長く延長されるようなことはない。
尚、全クラッチ弁の内端を内側位置の油室に臨ませる場
合には、全クラッチ弁の内側に該油圧室の油圧が常に等
しく作用するので、全クラッチ弁のクラッチ制御輪に及
ぼす押圧力は釣合い、したがって該油室の油圧はクラッ
チ制御輪の操作抵抗にならない。
(3) 実施例 以下、図面により本発明の実施例について説明する。先
ず本発明の第1実施例を示す第1図において、自動二輪
車のエンジンの動力は、そのクランク軸1からチエン式
1次減速装置2、静油圧式無段変速機T及びチエン式2
次減速装置3を順次経て図示しない後車輪に伝達され
る。
無段変速機Tは定容量型の斜板式油圧ポンプP及び可変
容量型の斜板式油圧モータMからなり、そしてクランク
軸1を支承するクランクケース4をケーシングとして、
それに収容される。
油圧ポンプPは、1次減速装置2の出力スプロケット2a
を一体に備えたカップ状の入力部材5と、この入力部材
5の内周壁にニードルベアリング6を介して相対回転自
在に嵌合されるポンプシリンダ7と、このポンプシリン
ダ7にその回転中心を囲むように設けられた環状配列の
複数且つ奇数のシリンダ孔8,8…にそれぞれ摺合される
ポンププランジャ9,9…と、これらポンププランジャ9,9
…の外端に当接するポンプ斜板10とから構成される。
ポンプ斜板10は、ポンプシリンダ7の軸線と直交する仮
想トラニオン軸線O1を中心にしてポンプシリンダ7の軸
線に対し一定角度傾斜した姿勢で入力部材5の内端壁に
スラストローラベアリング11を介して回転自在に背面を
支承され、入力部材5の回転時、ポンププランジャ9,9
…に往復動を与えて吸入及び吐出行程を繰返させること
ができる。
尚、ポンププランジャ9のポンプ斜板10に対する追従性
を良くするために、ポンププランジャ9を伸長方向に付
勢するばねをシリンダ孔8に縮設してもよい。
入力部材5は、その背面をスラストローラベアリング12
を介して支持筒13に支承される。
一方、油圧モータMは、ポンプシリンダ7と同軸上でそ
の左方に配置されるモータシリンダ17と、このモータシ
リンダ17にその回転中心を囲むように設けられた環状配
列の複数且つ奇数のシリンダ孔18,18…にそれぞれ摺合
されるモータプランジャ19,19…と、これらモータプラ
ンジャ19,19…の外端に当接するモータ斜板20と、この
モータ斜板20の背面及び外周面をスラストローラベアリ
ング21及びラジアルローラベアリング21′を介して支承
する斜板ホルダ22と、更にこの斜板ホルダ22を支持する
カップ状の斜板アンカ23とから構成される。
モータ斜板20は、モータシリンダ17の軸線に対し直角と
なる直立位置と、或る角度で傾斜する傾斜位置の間を傾
動し得るようになっており、その傾斜位置では、モータ
シリンダ17の回転に伴いモータプランジャ19,19…に往
復動を与えて膨張及び収縮行程を繰返させることができ
る。
尚、モータプランジャ19のモータ斜板20に対する追従性
を良くするために、モータプランジャ19を伸長方向に付
勢するばねをシリンダ孔18に縮設してもよい。
ポンプシリンダ7及びモータシリンダ17は一体のシリン
ダブロックBを構成し、このシリンダブロックBの中心
部に出力軸25を貫通させる。そして、この出力軸25の外
周に一体に形成されたフランジ25aにモータシリンダ17
の外端を衝き当て、ポンプシリンダ7を出力軸25にスプ
ライン嵌合し、ポンプシリンダ7の外端に当接するサー
クリップ26を出力軸25に係止することにより、シリンダ
ブロックBは出力軸25に固着される。
出力軸25は入力部材5をも貫通すると共に該部材5をニ
ードルベアリング27を介して回転自在に支承する。
出力軸25の右端部外周には前記支持筒13がキー28を介し
て嵌装され、そしてナット30で固着される。上記支持筒
13及びローラベアリング31を介して出力軸の右端部はク
ランクケース4に回転自在に支承される。
また、出力軸25は、モータ斜板20、斜板ホルダ22及び斜
板アンカ23の中心部を貫通し、その左端部には、斜板ア
ンカ23の背面をスラストローラベアリング32を介して支
承する支持筒33がスプライン嵌合され、そして2次減速
装置3の入力スプロケット3aと共にナット34で固着さ
れ、上記支持筒33及びローラベアリング35を介して出力
軸25の左端部はクランクケース4に回転自在に支承され
る。
出力軸25には、ポンプ斜板10の内周面と相対的に全方向
傾動可能に係合する半球状の調心体36が摺動自在にスプ
ライン嵌合される。この調心体36は、複数枚の皿ばね38
の力でポンプ斜板10をスラストローラベアリング11に対
して押圧し、これによりポンプ斜板10に調心作用を常に
与えている。
また出力軸25には、モータ斜板20の内周面と相対的に全
方向傾動可能に係合する半球状の調心体37が摺動自在に
スプライン嵌合される。この調心体37は、複数枚の皿ば
ね39の力でモータ斜板20をスラストローラベアリング21
に対して押圧し、これによりモータ斜板20に調心作用を
常に与えている。
各斜板10,20の調心作用を強化し、しかもポンプ斜板10
とポンププランジャ9,9…群、モータ斜板20とモータプ
ランジャ19,19…群の各間の回転方向の滑りを防止する
ために、各斜板10,20には、対応するプランジャ9,19の
球状端部9a,19aを係合させる球状凹部10a,20aがそれぞ
れ形成される。その際、球状凹部10a,20aは、斜板10,20
の如何なる回転位置においても、球状端部9a,19aとの適
正な係合状態が確保されるように、曲率半径が球状端部
9a,19aのそれより大きく設定される。
油圧ポンプP及び油圧モータM間には、次のようにして
油圧丙回路が形成される。
シリンダブロックBには、ポンプシリンダ7のシリンダ
孔8,8…群とモータシリンダ17のシリンダ孔18,18…群と
の間において、出力軸25を中心にして同心的に並ぶ環状
の内側油室40及び外側油室41と、両油室40,41間の環状
隔壁及び外側油室41の外周壁を放射状に貫通する、シリ
ンダ孔8,8…及び18,18…とそれぞれ同数の第1弁孔42,4
2…及び第2弁孔43,43…と、相隣るシリンダ孔8,8…及
び第1弁孔42,42…を相互に連通する多数のポンプポー
トa,a…と、相隣るシリンダ孔18,18…及び第2弁孔43,4
3…を相互に連通する多数のモータポートb,b…とが設け
られる。その際、前記内側油室40は、シリンダブロック
Bと出力軸25との対向摺面間に形成され、また前記外側
油室41は、シリンダブロックBと、その外周に嵌合して
溶接されるスリーブ44との対向周面間に形成される。
前記第1弁孔42,42…には第1分配弁45,45が、また前記
第2弁孔43,43…には第2分配弁46,46…がそれぞれ摺合
される。
前記各第1分配弁45はスプール型に形成されていて、第
1弁孔42の半径方向外方位置を占めると、対応するポン
プポートaを外側油室41に連通すると共に内側油室40と
不通にして、対応するシリンダ孔8を外側油室41のみに
連通し、また第1弁孔42の半径方向内方位置を占める
と、対応するポンプポートaを内側油室40に連通すると
共に外側油室41と不通にして、対応するシリンダ孔8を
内側油室40のみに連通する。
このような動作を各第1分配弁45に与えるために、第1
偏心輪47が第1分配弁45,45…群を囲んでそれらの外端
に係合され、またその偏心輪47と同心関係の追従輪47′
が第1分配弁45,45…群の内側に配設されてそれらの内
端の係合溝4a,45a…に係合される(第3図参照)、上記
追従輪47′は鋼線から成形されていて、第1分配弁45,4
5…を第1偏心輪47との係合方向に段発すべく1つの切
り口をもっている。
第1偏心輪47は、入力部材5に嵌着されるボールベアリ
ング48のインナレースにより構成され、そして第3図に
示すように、前記ポンプ斜板10の下層トラニオン軸線O1
に沿って出力軸25の中心から一定距離εだけ偏心とし
た位置に配置される。したがって、入力部材5とポンプ
シリンダ7間に相対回転が生じると、各第1分配弁45
は、その弁孔42内で第1偏心輪47の偏心量εの2倍の
距離をストロークとして前記外方位置及び内方位置間を
往復銅する。
前記各第2分配弁46は、第1分配弁45と同様にスプール
型に形成されていて、第2弁孔43の半径方向外方位置を
占めると、対応するモータポートbを外側油室41に連通
すると共に内側油室40と不通にして、対応するシリンダ
孔18を外側油室41のみに連通し、また第2弁孔43の半径
方向内方位置を占めると、対応するモータポートbを内
側油室40に連通すると共に外側油室41と不通にして、対
応するシリンダ孔18を内側油室40のみに連通する。
このような動作を各第2分配弁46に与えるために、第2
偏心輪49が第2分配弁46,46…群を囲んでそれらの外端
に係合され、またその偏心輪49と同心関係の追従輪49′
が第2分配弁46,46…群の内側に配設されてそれらの内
端の係合溝46a,46a…に係合される(第4図参照)。上
記追従輪49′は鋼線から成形されていて、第2分配弁4
6,46…を第2偏心輪49との係合方向に弾発すべく1つの
切り口を持っている。
第2偏心輪49は、クランクケース4に嵌着されるボール
ベアリング50のインナレースにより構成され、そして第
4図に示すように、モータ斜板20の傾動軸線O2に沿って
出力軸25の中心から一定距離εだけ偏心した位置に配置
される。したがって、モータシリンダ17が回転すると、
各第2分配弁46は、その弁孔43内で第2偏心輪49の偏心
量εの2倍野距離をストロークとして前記外方位置及
び内方位置を間を往復動する。
第2図に示すように、前記斜板ホルダ22の両端には、モ
ータ斜板20の傾動軸線O上に並ぶ一対のトラニオン軸8
0,80′が一体に穿設され、これらトラニオン軸80,80′
は、ニードルベアリング81及びローラベアリング81′を
それぞれ介して前記斜板アンカ23に回転自在に支承され
る。換言すれば、これらトラニオン軸80,80′によって
前記傾動軸線Oが規定される。
一方のトラニオン軸80の外端には作動レバー82が固設さ
れる。而して、作動レバー82をもってトラニオン軸80を
回動すれば、それと一体の斜板ホルダ22も回動し、モー
タ斜板20の回転中でも、これを自由に傾動させることが
できる。
前記斜板アンカ23は、モータシリンダ17の外周にニード
ルベアリング78を介して支承され、そして出力軸25周り
に回動しないように、一対の位置決めピン49,49を介し
てクランクケース4に連結される。
上記構成において、1次減速装置2から油圧ポンプPの
入力部材5が回転されると、ポンプ斜板10によりポンプ
プランジャ9,9…に吸入及び吐出行程が交互に与えら
れ、そして吸入行程に入るポンププランジャ9に隣接す
る第1分配弁45は第1偏心輪47及び追従輪47′の協働に
より内方位置へ作動され、吐出行程に入るポンププラン
ジャ9に隣接する第1分配弁45は第1偏心輪47及び追従
輪47′の協働により外方位置へ作動される。したがっ
て、各ポンププランジャ9は、吸入行程において内側油
室40からシリンダ孔8に作動油を吸入し、吐出行程にお
いてシリンダ孔8から外側油室41に作動油を圧送する。
外側油室41に送られた高圧の作動油は、膨張行程のモー
タプランジャ19を収容するシリンダ孔18に、第2偏心輪
49及び追従輪49′により外方位置に制御される第2分配
弁46を介して給送される一方、収縮行程のモータプラン
ジャ19を収容するシリンダ孔18内の作動油は、第2偏心
輪49及び追従輪49′により内方位置に制御される第2分
配弁46を介して内側油室40へ排出される。
この間に、ポンプシリンダ7が吐出行程のポンププラン
ジャ9を介してポンプ斜板10から受ける反動トルクと、
モータシリンダ17が膨張行程のモータプランジャ19を介
してモータ斜板20とから受ける反動トルクとの輪によっ
て、シリンダブロックBは回転され、その回転トルクは
出力軸25から2次減速装置3へ伝達される。
この場合、入力部材5に対する出力軸25の変速比は次式
によって与えられる。
したがって、油圧モータMの容量を零から或る値に変え
れば、変速比を1から或る必要な値まで変えることがで
きる。
ところで、油圧モータMの容量はモータプランジャ19の
ストロークにより決定されるので、モータ斜板20の直立
位置から或る傾斜位置まで傾動させることにより変速比
を1から或る値まで無段階に制御することができる。
油圧ポンプP及び油圧モータMのこのような作動中、ポ
ンプ斜板10はポンププランジャ9,9…群から、またモー
タ斜板20はモータプランジャ19,19…群からそれぞれ反
対方向のスラスト荷重を受けるが、ポンプ斜板10が受け
るスラスト荷重はスラストローラベアリング11、入力部
材5、スラストローラベアリング12、支持筒13及びナッ
ト30を介して出力軸25に支承され、またモータ斜板20が
受けるスラスト荷重はスラストローラベアリング21、斜
板ホルダ22、斜板アンカ23、スラストローラベアリング
32、支持筒33、スプロケット3a及びナット34を介して同
じく出力軸25に支承される。したがって上記スラスト荷
重は、出力軸25に引張応力を生じさせるだけで、該軸25
を支持するクランクケース4には全く作用しない。
第1図及び第5図において、シリンダブロックBには、
また、前記第1及び第2弁孔42,42…;43,43…群の間に
おいて、前記量油室40,41の隔壁及びスリーブ44を放射
状に貫通する複数の第3弁孔51,51…が穿設され、これ
ら弁孔にクラッチ弁52,52…が摺合される。
各クラッチ弁52は、第5B図に示すようにスプール型に形
成され、しかも内側端のランド部52aにはその全長に亘
り2つの面取り部52b,52bが設けられる。而して、クラ
ッチ弁52は、第3弁孔51の半径方向中間位置ないし内方
位置(クラッチオン位置)を占めるとき、第3弁孔51を
閉じて両油室40,41間を遮断し、また半径方向外方位置
(クラッチオフ位置)を占めるとき、面取り部52b,52b
を介して両油室40,41間を連通することができる。
クラッチ弁52,52…の制御のために、クラッチ弁52,52…
の外端に、それらを取巻くクラッチ制御54がレリーズベ
アリング55を介して係合され、またクラッチ弁52,52…
の内端の係合溝52c,52c…には、クラッチ制御輪54と同
心関係の追従輪54′が係合されている。この追従輪54′
は鋼線から成形されていて、クラッチ弁52,52…を前記
レリーズベアリング55のインナレースとの係合方向に弾
発すべく1つの切り口を持っている。
クラッチ制御輪54は、出力軸25と同心のクラッチオン位
置Nと、出力軸25に対し偏心したクラッチオフ位置Fと
の間を揺動し得るように、該制御輪54の外側面に突設さ
れた耳部54aが枢軸56を介してクランクケース4に支持
される。
このクラッチ制御輪54の一側面を支承してそのクラッチ
オン位置Nを規定するストッパ57がクランクケース4に
一体に形成されると共に、その他側面を上記ストッパ57
の方向へクラッチばね58の弾発力をもって押圧するピス
トン59がクランクケース4と一体のボス60に摺合され
る。
クラッチ制御輪54は、その耳部54aと反対側の外側面に
突起54bが一体に形成されており、この突起54bに、クラ
ンクケース4に軸支61されるベルクランクレバー62の一
端が連接され、その他端にはクラッチ操作ワイヤWが接
続される。
また上記突起54bは、クラッチ制御輪54の側方への倒れ
を防止するために、クランクケース4にボルト75で固着
された案内板76の案内溝76aに移動自在に係合される。
而して、クラッチ操作ワイヤWを牽引することにより、
ベルクランクレバー62を介して突起54bを押圧すれば、
第5A図に示すようにクラッチ制御輪54は、クラッチばね
58によるピストン59の押圧力に抗して枢軸56周りにクラ
ッチオフ位置Fまで揺動し、レリーズベアリング55及び
追従輪54′等と協働してクラッチ弁5552,52…群を出力
軸25の軸線に対し偏心させる。その結果、ピストン59側
の数本のクラッチ弁52は外方位置即ちクラッチオフ位置
へ動かされ、該クラッチ弁52を介して低圧の内側油室40
と高圧の外側油室41が短絡するため、外側油室41から内
側油室40へ作動油が流出し、油圧モータMへの圧油の給
送が不能となる。即ち油圧ポンプP及び油圧モータM間
の動力伝達を遮断することができる。
クラッチ操作ワイヤWの牽引を解除すれば、クラッチば
ね58の作用によりクラッチ制御輪54は第5図のクラッチ
オン位置Nに復帰し、クラッチ弁52,52…群を出力軸25
との同心位置に保持する。その結果、両油室40,41間の
短絡は断たれ、油圧ポンプPから油圧モータMへの動力
伝達は再開される。
ところで、全クラッチ弁52,52…の内端には内側油室40
の油圧が常に等しく作用しているので、全クラッチ弁5
2,52…がクラッチ制御輪54に及ぼす押圧力は釣り合って
いる。したがって、クラッチ制御輪54は、内側油室40の
油圧に抵抗されることなく、これを常に軽快に揺動させ
ることができる。
再び第1図において、前記スリーブ44の外周には、それ
を囲繞する3個の前記ベアリング48,50,55間に介入する
ようにして、一対のフランジ板53,53が軽圧入により固
着される。これらフランジ板53,53によれば、上記ベア
リング48,50,55の相互干渉を防止し得るのみならず、ス
リーブ44を強固に補強することができ、したがって外側
油室41の高圧油によるスリーブ44の変形を抑えて、各弁
45,46,52の円滑な作動を確保することができる。
また、第1図及び第2図において、出力軸25は、その中
心部に奥が行止まりとなった油路63が穿設され、この油
路63の開放端には、クランクケース4の側壁に支持され
る給油管64が挿入される。この給油管64は、クランクケ
ース4の側壁中に形成された油路65、同側壁に装着され
たフイルタ66、補給ポンプ67及びストレーナ68を介して
クランクケース4底部のオイルパン69内と連通され、補
給ポンプ69は前記入力部材5から歯車70,71を介して駆
動される。したがって、入力部材5の回転中常に補給ポ
ンプ67によってオイルパン69内の油が油路63に供給され
る。
上記油路63は、出力軸25に穿設された半径方向の補給孔
72を介して前記内側油室40に連通される。また該油路63
には、給油管64への油の逆流を防止する逆止弁73が介装
される。
したがって、通常の負荷運転時に油圧ポンプP及び油圧
モータM間の油圧閉回路から作動油が漏洩すれば、油路
63から補給孔72を通して内側油室40へ作動油が補給され
る。
逆負荷運転時即ちエンジンブレーキ時には、油圧モータ
Mがポンプ作用を行い、油圧ポンプPがモータ作用を行
うようになるので、外側油室41が低圧に、内側油室40が
高圧に変わり、内側油室40から油路63へ作動油が逆流し
よとするが、その逆流は逆止弁73によって阻止される。
したがって、油圧モータMから油圧ポンプPへの逆負荷
を確実に伝達することができ、良好なエンジンブレーキ
効果が得られる。
ポンププランジャ9の摺動面及び入力部材5内部の潤滑
のために、ポンププランジャ9にその内外を連通する細
い油孔77が穿設され、またモータプランジャ9の摺動面
及び斜板アンカ23内部の潤滑のために、モータプランジ
ャ19にもその内外を連通する細い油孔79が穿設される。
第2図,第6図及び第7図において、前記モータ斜板20
の傾動操作のために、前記トラニオン軸80の作動レバー
82には変速制御装置83が接続される。
変速制御装置83は、クランクケース4に固着されたシリ
ンダ84と、このシリンダ84に摺合されたピストン85とを
備える。シリンダ84の側壁には窓86が、またピストン85
の中央部にはそれを横方向に貫通して上記窓86に臨む連
結孔87が穿設されており、前記トラニオン軸80の作動レ
バー82は、その窓86を通して連結孔87に係合され、トラ
ニオン軸80の回転に応じてピストン85を摺動させ得るよ
うになっている。
第6図において、作動レバー82、したがってピストン85
の左動はモータ斜板20の直立状態をもたらすものであ
り、そのピストン85とシリンダ84の左端壁との間に第1
油室88が、またピストン85とシリンダ84の右端壁との間
に第2油室89がそれぞれ画成され、第1油室88にはピス
トン85を第2油室89側へ付勢する戻しばね90が縮設され
る。
第1及び第2油室88,89は、途中に変速制御弁91を介装
した油圧導管92を介して相互に連通され、これらの内部
には作動油が充填される。
上記変速制御弁1は、車両の操縦装置の適所に設置され
て油圧導管92の途中に介入する弁函93と、この弁函93内
の油路94に直列に介装される第1及び第2逆止弁95,96
とから構成される。これら第1及び第2逆止弁95,96
は、順方向が相互に逆になるように配置されと共に、そ
れぞれ弁ばね97,98により常に閉弁方向へ付勢されてい
る。
第1及び第2逆止弁95,96には、これらを適時強制的に
開弁し得るように第1及び第2電磁作動器S1,S2の作動
杆120,121がそれぞれ連接される。第1及び第2電磁作
動器S1,S2は、上記作動杆120,121を先端に一体的に備え
た可動鉄心122,123と、この可動鉄心122,123を囲繞する
ソレノイド124,125と、このソレノイド124,125を保持し
て弁函93にボルト126及びナット127で固着される作動器
本体128,129と、可動鉄心122,123を上方の不作動位置に
向かって付勢する戻しばね130,131と、弁函93にボルト1
32で固着されて可動鉄心122,123の不作動位置を規制す
るストッパ板133とから構成される。
上記第1及び第2電磁作動器S1,S2において、ソレノイ
ド124,125の消磁時には、可動鉄心122,123は、戻しばね
130,131の力により不作動位置に保持され、作動杆120,1
21を第1及び第2逆止弁95,96から離間させ、これによ
り第1及び第2逆止弁95,96は閉弁状態を保つことがで
きる。ソレノイド124,125を励磁すれば、その磁力の作
用により可動鉄心122,123が戻しばね130,131の力に抗し
て下動するので、作動杆120,121により第1,第2逆止弁9
5,96を強制的に開弁することができる。
ところで、モータプランジャ19,19…の本数が奇数とし
てあるために、モータシリンダ17の回転中、モータプラ
ンジャ19,19…群がモータ斜板20に及ぼすスラスト荷重
は、モータ斜板20の傾動軸線Oを境としてその一側と他
側とで強弱が交互に変わり、モータ斜板20には振動的な
傾動トルクが作用する。そして、この振動的な傾動トル
クは、作動レバー82を介してピストン85に左右方向交互
に押圧力として作用する。
そこで、第1電磁作動器S1のみを作動させれば、第1逆
止弁95は開弁状態とされるのて、第2逆止弁96によっ
て、第1油室88から第2油室89への油の流れは許容され
るが、それと逆方向の流れは阻止され、作動レバー82か
らピストン85に左向きの押圧力が作用するときだけ、第
1油室88から第2油室89へ油が流れる。その結果、ピス
トン85は第1油室88側へ移動し、作動レバー82をモータ
斜板20の傾斜方向へ回動させることになり、即ち減速操
作が行なわれる。
次に、第2電磁作動器S2のみを作動させれば、今度は第
2逆止弁96が開弁状態とされるので、第1逆止弁95によ
って、第2油室89から第1油室88への油の流れは許容さ
れるが、それと逆方向の流れは阻止され、作動レバー82
からピストン85に右向きの押圧力が作用するときだけ、
第2油室89から第1油室88へ油が流れる。その結果、ピ
ストン85は第2油室89側へ移動し、作動レバー82をモー
タ斜板20の起立方向へ回動させることになり、即ち増速
操作が行なわれる。
両電磁作動器S1,S2を共に不作動状態に戻せば、閉弁状
態とされる両逆止弁95,96が協働して弁函93内の油の流
通を完全に阻止するので、ピストン85は移動不能になっ
て、そのときの位置で作動レバー82を保持し、モータ斜
板20を直立位置または傾斜位置に固定し、そのときの変
速比をホールドすることができる。
また、両電磁作動器S1,S2を共に作動状態にすれば、両
油室88,89間での油の流通が自由になるので、例えばエ
ンジンの停止時にそのようにすると、ピストン85は左動
位置にあっても、戻しばね90の弾発力をもって右動限ま
で速やかに移動し、作動レバー82をモータ斜板20の最大
傾斜位置まで回動させて再発進に備えることができる。
第7図に示すように、シリンダ84は出力軸25の軸線に対
して直角またはそれに近い位置に配置されている。この
ようにすると、作動レバー82がピストン85を押圧すると
き、その反力がトラニオン軸80を介して斜板アンカ23に
出力軸25の軸線方向へ作用することを回避することがで
きる。
第6図において、シリンダ84の上部には、リザーブタン
ク109が装備され、このリザーブタンク109をシリンダ84
内に連通するリリーフポート110及びサプライポート111
がシリンダ84の上壁に穿設される。
ピストン85の左端部及び右端部の外周には、シリンダ84
の内周面に密接する一方向シール機能を有する第1及び
第2カップシール105,106が装着され、またシリンダ84
の内周には、前記窓86の左右両側においてピストン85の
中間部外周面に密接するOリング107,108が装着され
る。
而して、リリーフポート110は、ピストン85が右動限に
位置するとき、第1カップシール105の直前で第1油圧
室88に開口し、サプライポート111は常に第2カップシ
ール106とOリング108との間でシリンダ84内面に開口す
るようになっている。
したがって、ピストン85が右動限に位置するとき、油温
の上昇等により第1油室88に圧力上昇が生じると、その
圧力はリリーフポート110からリザーブタンク109へ放出
される。またピストン85の左動時には、第1カップシー
ル105がリリーフポート110の開口部を通過したときらか
ら第1油室88がピストン85により加圧され、第1油室88
から第2油室89への油の流れを可能にする。その際、第
2油圧室89が所定圧力以下に減圧すれば、リザーブタン
ク109内と第2油室89間の圧力差により、リザーブタン
ク109内の油がサプライポート111からシリンダ84及びピ
ストン85の摺動間隙を通り、第2カップシール106を第
2油室89側へ撓ませつつ該室89へ補給される。
尚、リザーブタンク109内を高圧状態に保持しておけ
ば、油圧導管92には油圧による予張力が与えられるの
で、ピストン25の作動に伴う油圧変化に対する油圧導管
92の剛性が強化され、ピストン85の作動を安定させるこ
とができる。
第8図は前記第1及び第2電磁作動器S1,S2のソレノイ
ド124,125のための自動制御回路の一例を示すものであ
る。変速制御因子としてエンジンのスロットル開度、同
ブースト圧力、変速機の入力回転数及び同出力回転数
が、スロットル開度センサ140、ブースト圧力センサ14
1、入力回転数センサ142及び出力回転数センサ143によ
りそれぞれ検出され、それぞれの検出値に対応する信号
がコンピュータ144に入力される。するとコンピュータ1
44は、予めプログラムされた数値に照らして、変速機T
を減速操作すべきと判断したときには第1電磁作動器S1
のソレノイド124に作動信号を出力し、反対に増速操作
すべきと判断したときには、第2電磁作動器S2のソレノ
イド125に作動信号を出力し、また変速比をホールドす
べきと判断したときには、いずれへの出力も停止する。
こうして変速機Tは自動制御される。
一方、操縦車が道路条件や低燃費重視、高出力重視等に
応じて変速モード設定器145を操作すれば、それに応じ
た入力信号によりコンピュータ144の判断基準値が増減
し、変速特製を自由に変えることができる。
次に第9図ないし第11図により本発明の第2実施例につ
いて説明すると、外側油室41を画成するスリーブ44はシ
リンダブロックBの外周に一対のシール部材例えばOリ
ング150,150を介して油密に嵌合されると共にノックピ
ン151を介して固着される。そして、各第1,第2分配弁4
5,46及びクラッチ弁52は、シリンダブロックB側の弁孔
42,43,51に摺合する弁部45A,46A,52Aと、スリーブ44側
の弁孔42,43,51に摺合する操作部45B,46B,52Bとに分割
され、これら弁部45A,46A,52A及び操作部45B,46B,52Bは
相互に滑り可能に当接させてある。
このようにすると、各弁孔42,43,51において、シリンダ
ブロックB側の孔とスリーブ44側の孔とで軸線が加工誤
差により多少ずれていても、そのずれは上記弁部及び操
作部間の横方向の滑りに吸収されるので、各弁45,46,52
は何等こじられることなく弁孔42,43,51内をスムーズに
摺動することができる。また、各操作部45B,46B,52Bは
各弁部45A,46A,52Aに関係なく十分小径に形成し得るの
で、スリーブ44側の弁孔42,43,51も小径にして、これら
弁孔によるスリーブ44の強度低下を少なくすることがで
きる。
この場合、第1及び第2分配弁45,46の弁部45A,46Aの中
間部には、第1及び第2弁孔42,43の内壁に摺合する欠
円状の案内ランド45b,46bが突設され(第10図参照)、
これによって弁孔42,43での油の流れを妨げることなく
弁部45A,46Aの倒れを防止することができる。
クラッチ弁52の弁部52Aの油の流通部は、第11図に示す
ような2つの面取り部52b,52bのみとなっている。
第1,第2分配弁45,46及びクラッチ弁52の内端にそれぞ
れ係合する追従輪47′,49′,54′は、ばね鋼板から成形
され、これら追従輪47′,49′,54′の間には、相互干渉
を回避するためのワッシャ152,153が介装される。これ
ら追従輪47′,49′,54′及びワッシャ152,153には、こ
れらが内側油室40における油の流通を妨げないようにす
るための切欠または小孔が適所に設けられる。
その他の構成は前実施例と同様であり、第9図ないし第
11図中、前実施例と対応する部分には、それと同一の符
号を付した。
また第12図は本発明の第3実施例を示すもので、スリー
ブ44の中央部外周面に、クラッチ弁52,52…に貫通され
る環状の補強リブ99を、これが両偏心輪47,49に挟まれ
るように、一体に突設し、またスリーブ44の両端部外周
面に、環状の補強フランジ板100,100を、これが両偏心
輪47,49を挟むようにし、圧入して固着し、これによっ
てスリーブ44の剛性を強化すると共に両偏心輪47,49の
倒れを防止するようにした点を除けば、前記第1実施例
と基本的に同一構成であり、第12図中、第1実施例と対
応する部分には、それと同一の符号を付した。
C.発明の効果 以上のように本発明によれば、ポンプシリンダの半径方
向に配置される複数のクラッチ弁、及びこれらクラッチ
弁群の外周を囲繞してポンプシリンダの径方向に揺動操
作されるクラッチ制御輪により両油室間の短絡・遮断の
制御が可能になる。
特に複数のクラッチ弁は、それらがクラッチ制御輪の揺
動操作に連動してポンプシリンダ径方向に個別に往復動
することによって、両油室間の短絡・遮断を制御するも
のであるから、個々のクラッチ弁自体を比較的小径化し
ても上記短絡時の各クラッチ弁の有効開度を極力広く確
保することができ、その上、クラッチ弁を放射状に多数
配列してもそれらを共通のクラッチ制御輪によって的確
に切換操作することができ、従って各クラッチ弁を比較
的小径化してそれらを放射状に多数配列することによ
り、上記短絡時における作動油の流通を極めてスムーズ
に行わせることができ、またこのようにクラッチ弁を多
数設けても、それらクラッチ弁に対する連動操作機構の
構造を特別に複雑化することなく、それらクラッチ弁を
的確に連動操作することができる。更にクラッチ制御輪
は固定構造体に軸支されて単純な揺動運動を行うため、
該制御輪自体の固定構造体に対する動きにも無理がな
く、該制御輪に対する操作力軽減に寄与することができ
る。
そして前述のように各クラッチ弁はそれが比較的小径に
形成できる上、ポンプシリンダの半径方向に配置され、
その上、これらクラッチ弁群を囲繞するクラッチ制御輪
もポンプシリンダの径方向に揺動操作されるので、これ
らクラッチ弁及びクラッチ制御輪の設置によって変速機
の全長が特別長く延長されることはなく、変速機の小型
化に寄与することができる。
尚、前記実施例のように、全クラッチの内端を内側位置
の油室に臨ませれば、該油室の油圧による各クラッチ弁
のクラッチ制御輪への押圧力が釣合うので、クラッチ制
御輪は該油室の油圧に抵抗されることなく、これを常に
軽快に揺動操作することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第8図は本発明の第1実施例を示すもの
で、第1図は自動二輪車の動力伝達系に介装した静油圧
式無段変速機の縦断平面図、第2図は同変速機の一部縦
断背面図、第3図、第4図及び第5図は第1図のIII−I
II線、IV−IV線及びV−V線断面図、第5A図は第5図の
作動図、第5B図は第5図中のクラッチ弁の斜視図、第6
図は第2図のVI−VI線断面図、第7図は前記変速機の一
部平面図、第8図は前記変速機の自動制御回路図、第9
図は本発明の第2実施を示す静油圧式無段変速機の要部
の縦断面図、第10図は第9図中の第1(第2)分配弁の
斜視図、第11図は第9図中のクラッチ弁の斜視図、第12
図は本発明の第3実施例を静油圧式無段変速機の要部の
縦断面図である。 T……無段変速機、P……油圧ポンプ、M……油圧モー
タ、B……シリンダブロック、ε……第1偏心輪47の
偏心量、ε……第2偏心輪49の偏心量、a……ポンプ
ポート、b……モータポート 1……クランク軸、4……固定構造体としてのクランク
ケース、5……入力部材、7……ポンプシリンダ、8…
…シリンダ孔、9……ポンププランジャ、10……ポンプ
斜板、17……モータシリンダ、18……シリンダ孔、19…
…モータプランジャ、20……モータ斜板、25……出力
軸、40……第2油室としての内側油室、41……第1油室
としての外側油室、42……第1弁孔、43……第2弁孔、
44……スリーブ、45……第1分配弁、46……第2分配
弁、47……第1偏心輪、47′……追従輪、49……第2偏
心輪、49′……追従輪、52……クラッチ弁、54……クラ
ッチ制御輪

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】定容量の斜板式油圧ポンプ(P)と可変容
    量の斜板式油圧モータ(M)との間に油圧閉回路を形成
    してなる静油圧式無段変速機において、油圧ポンプ
    (P)のポンプシリンダ(7)の環状に配列されたシリ
    ンダ孔(8)群に隣接して、吐出行程のシリンタ孔
    (8)に連なる環状の第1油室(41)と吸入行程のシリ
    ンダ孔(8)に連なる環状の第2油室(40)とをポンプ
    シリンダ(7)に同心的に形成し、この両油室(41,4
    0)間の開閉を半径方向の往復動で各々行う複数のクラ
    ッチ弁(52)をポンプシリンダ(7)に放射状に配設
    し、これらクラッチ弁(52)群の外周を囲繞してその各
    クラッチ弁(52)の外端と相対回転可能に係合するクラ
    ッチ制御輪(54)を、該クラッチ制御輪(54)がポンプ
    シリンダ(7)の径方向で全クラッチ弁(52)を閉弁状
    態とするクラッチオン位置(N)と一部のクラッチ弁
    (52)を開弁状態とするクラッチオフ位置との間を揺動
    し得るように、固定構造体(4)に軸支してなる、静油
    圧式無段変速機のクラッチ弁装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第項記載のものにおい
    て、前記各クラッチ弁(52)の内端を内側位置の前記油
    室(40)に臨ませた、静油圧式無段変速機のクラッチ弁
    装置。
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