JPH0781634B2 - 静油圧式無段変速機 - Google Patents

静油圧式無段変速機

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JPH0781634B2
JPH0781634B2 JP33314790A JP33314790A JPH0781634B2 JP H0781634 B2 JPH0781634 B2 JP H0781634B2 JP 33314790 A JP33314790 A JP 33314790A JP 33314790 A JP33314790 A JP 33314790A JP H0781634 B2 JPH0781634 B2 JP H0781634B2
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圭宏 吉田
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Description

【発明の詳細な説明】 A.発明の目的 (1) 産業上の利用分野 本発明は、油圧ポンプのポンプシリンダならびに油圧モ
ータのモータシリンダを同軸上に有してケーシングに回
転自在に支承されるシリンダブロックに、補給ポンプに
通じる補給油路となる孔が同軸に穿設されるとともに環
状の内側油路および環状の外側油路が同心に設けられ、
補給油路および内側油路間には内側油路から補給油路へ
の作動油の逆流を阻止する第1逆止弁が介設され、補給
油路および外側油路間には外側油路から補給油路への作
動油の逆流を阻止する第2逆止弁が介設され、外側油路
および内側油路間には外側油路の油圧が所定値以上で開
弁する調圧弁が介設される静油圧式無段変速機に関す
る。
(2) 従来の技術 従来、かかる無段変速機は、たとえば特開平1−93661
号公報等に開示されているように、既に知られている。
(3) 発明が解決しようとする課題 ところで、上記公報に開示された無段変速機では、シリ
ンダブロックに設けられた孔に圧入される弁筒内に第1
逆止弁が設けられ、内側油路および外側油路を結んでシ
リンダブロックに設けられた油路の途中に第2逆止弁
が、またシリンダブロックの半径方向に沿う作動を可能
として内側油路および外側油路間に調圧弁が介設されて
いる。このように各弁の配設位置がそれぞれ異なってい
るために、シリンダブロックの構造が複雑となり、シリ
ンダブロックへの取付け状態で各弁が設定通り作動する
かどうかを判断する必要があって機能確認が煩雑とな
り、さらに各弁の組付性および加工性に優れているとは
言い難い。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、第
1および第2逆止弁および調圧弁をユニット化して、機
能確認を容易とするとともに組立性および加工性を向上
させた静油圧式無段変速機を提供することを目的とす
る。
B.発明の構成 (1) 課題を解決するための手段 上記目的を達成するために、本発明によれば、シリンダ
ブロックとの間に内側油路を形成するための第1環状溝
ならびに外側油路に通じる環状油路をシリンダブロック
との間に形成するための第2環状溝を外周に有して孔に
圧入される弁筒内に、補給油路および内側油路間に介設
される第1逆止弁と、補給油路および環状油路間に介設
される第2逆止弁と、内側油路および環状油路間に介設
される調圧弁とが設けられる。
(2) 作用 上記構成によれば、第1および第2逆止弁ならびに調圧
弁が弁筒内に組込まれてユニット化されることになり、
弁筒を孔に圧入するだけでシリンダブロックに組付けら
れる。而してユニット化されていることにより、シリン
ダブロックへの組付前に各弁の機能確認を行なうための
作動テストを行なうことが可能であり、また各弁を組付
けるための構造が単純となる。
(3) 実施例 以下、図面により本発明を自動二輪車用静油圧式無段変
速機に適用したときの一実施例について説明する。
図面は本発明の一実施例を示すものであり、第1図は自
動二輪車用パワーユニットの横断平面図、第2図は静油
圧式無段変速機の概略構成を示す油圧回路図、第3図は
静油圧式無段変速機の拡大横断平面図、第4図は第3図
のIV−IV線断面図、第5図は第3図のV−V線断面図、
第6A図は第5図のVI−VI線に沿うクラッチオン位置での
断面図、第6B図はクラッチオフ位置での第6A図の要部断
面図、第6C図は連通・放出位置での第6A図の要部断面
図、第7図は第6A図のVII−VII線断面図、第8図は第6A
図のIII−III線断面図、第9図は第3図のIX−IX線断面
図、第10図は弁筒の拡大横断面図である。
先ず第1図において、自動二輪車のパワーユニットU
は、エンジンEと静油圧式無段変速機Tとから構成され
ており、エンジンEのクランク軸1および静油圧式無段
変速機Tは共通のケーシング4に収納、支持される。静
油圧式無段変速機Tは、入力筒軸5および出力軸31をク
ランク軸1と平行にしてケーシング4内に配置されるも
のであり、クランク軸1は一次減速装置2を介して入力
筒軸5に連結され、自動二輪車の図示しない後輪には出
力軸31が二次減速装置3を介して連結される。
第2図において、静油圧式無段変速機Tは、定容量型の
斜板式油圧ポンプPと、可変容量型の斜板式油圧モータ
Mとが、通常の負荷運転中には低圧路となるが逆負荷運
転中には高圧路となる内側油路52、ならびに通常の負荷
運転中には高圧路となるが逆負荷運転中には低圧路とな
る外側油路53を介して油圧閉回路を構成すべく接続され
て成るものであり、油溜87から油を汲上げる補給ポンプ
88に連なる補給油路47は、第1逆止弁95を介して内側油
路52に接続されるとともに第2逆止弁96を介して外側油
路53に接続され、外側油路53および内側油路52間は外側
油路53の油圧が一定値以上となるのに応じて開弁して外
側油路52の作動油の一部を内側油路52に導く調圧弁97を
介して接続される。また内側油路52および外側油路53間
には、運転者のクラッチ操作に応じて作動する複数たと
えば3つのクラッチ弁69が介設されており、該クラッチ
弁69は、両油路52、53間を遮断するクラッチオン位置、
両油路52,53間を連通するクラッチオフ位置、ならびに
両油路52,53を連通したまま外部に開放する連通・放出
位置の3つの位置を切換可能である。
次に静油圧式無段変速機Tの構成について詳細に説明す
ると、第3図において、斜板式油圧ポンプPは、一次減
速装置2の出力スプロケット2aを備えた入力筒軸5と、
この入力筒軸5の内周壁にボールベアリング6を介して
相対回転自在に支承されるポンプシリンダ7と、該ポン
プシリンダ7にその回転軸線を囲むように環状配列で設
けられた多数かつ奇数のシリンダ孔8,8…にそれぞれ摺
動自在に嵌合される複数のポンププランジャ9,9…と、
各ポンププランジャ9,9…の外端に前面を係合、当接さ
せるポンプ斜板10と、このポンプ斜板10をポンプシリン
ダ7の軸線と直交する仮想トラニオン軸線O1を中心にし
てポンプシリンダ7の軸線に対し一定角度傾斜させた状
態に保持すべくスラストベアリング13およびラジアルベ
アリング14を介して該斜板10を支障するポンプ斜板ホル
ダ12とから構成される。而してポンプ斜板ホルダ12は入
力筒軸5と一体に形成されている。
前記ポンプ斜板10は、入力筒軸5の回転時、ポンププラ
ンジャ9,9…に往復動を与えて吸入および吐出行程を繰
返させることができる。
油圧モータMは、ポンプシリンダ7と同軸上で第3図の
左方に配置されるモータシリンダ17と、該モータシリン
ダ17にその回転軸線を囲むように設けられたシリンダ孔
18,18…にそれぞれ摺動可能に嵌合される複数のモータ
プランジャ19,19…と、各モータプランジャ19,19…の外
端に前面を係合、当接させるモータ斜板20と、スラスト
ベアリング27およびラジアルベアリング28を介して前記
モータ斜板20を支承するモータ斜板ホルダ22と、該モー
タ斜板ホルダ22の背面を支承するモータ斜板アンカ23と
から構成される。前記シリンダ孔18,18…は油圧ポンプ
Pにおけるシリンダ孔8,8…と同数の奇数個がモータシ
リンダ17に穿設される。また相互に当接するモータ斜板
ホルダ22およびモータ斜板アンカ23の対向当接面22a,23
aは、モータシリンダ17の軸線とトラニオン軸線O2との
交点を中心とする球面状に形成される。しかもモータ斜
板ホルダ22は、前記トラニオン軸線O2まわりの相対回動
を可能としてモータ斜板アンカ23に支承される。
モータ斜板アンカ23のモータシリンダ17側端部には筒状
のシリンダホルダ24が連設され、このシリンダホルダ24
とモータシリンダ17の外周との間にはボールベアリング
25が介設される。
モータ斜板20は、パルスモータ80に連結されているボー
ルねじ機構79によりモータ斜板ホルダ22がトラニオン軸
線O2まわりに回動せしめられることにより、モータシリ
ンダ17の軸線に対し直角となる直立位置と、或る角度で
傾倒する最大傾斜位置との間で作動するものであり、そ
の傾斜状態では、モータシリンダ17の回転に伴いモータ
プランジャ19,19…に往復動を与えて膨脹および収縮行
程を繰り返させることができる。
ポンプシリンダ7およびモータシリンダ17は相互に一体
に結合されてシリンダブロックBを構成するものであ
り、このシリンダブロックBには、同軸の出力軸31およ
び軸32が一体に設けられる。すなわちシリンダブロック
Bにおけるモータシリンダ17のモータ斜板20に対向する
部分の中心部から出力軸31が一体に突設され、前記シリ
ンダブロックBにおけるポンプシリンダ7のポンプ斜板
10に対向する部分の中心部から前記出力軸31と同軸にし
て軸32が一体に突設される。
軸32はポンプ斜板10およびポンプ斜板ホルダ12を貫通す
るものであり、アンギュラコンタクトボールベアリング
33を介してポンプ斜板ホルダ12の端部を支承するための
フランジ34が、軸32の端部に固定される。またポンプ斜
板ホルダ12とケーシング4との間にはボールベアリング
35が介設される。
出力軸31は、モータ斜板20、モータ斜板ホルダ22および
モータ斜板アンカ23を貫通するように延びており、モー
タ斜板アンカ23よりも軸方向外方側で出力軸31の外周に
は、支持筒39がスプライン37を介して結合されるととも
に二つ割コッタ38で固着され、出力軸31および支持筒39
とモータ斜板アンカ23との間には、アンギュラコンタク
トボールベアリング41が介装され、ケーシング4および
支持筒39間にはオイルシール42が介装される。また前記
2次減速装置3の入力スプロケット3aは支持筒39を介し
て出力軸31に取付けられる。
シリンダブロックBには、その軸32側から出力軸31側に
向けて順に、第1孔44と、第1孔44よりも小径の第2孔
45と、第2孔45よりも小径の第3孔46とがシリンダブロ
ックBの回転軸線と同一の軸線を有して同軸に設けられ
ており、それらの孔44,45,46は補給油路47を形成する。
また第3孔46の端部はねじ栓48で閉塞される。
第4図、第5図、第6A〜第6C図および第7図を併せて参
照して、ポンプシリンダ7のシリンダ孔8,8…群とモー
タシリンダ17のシリンダ孔18,18…群との間において、
シリンダブロックBには、環状の内側油路52と、環状の
外側油路53とが、シリンダブロックBの回転軸線を中心
とする同心状に形成される。
シリンダブロックBの第1孔44における第2孔45寄りの
部分には、外周に第1環状溝49および第2環状溝50を有
して基本的に円筒状に形成された弁筒51が圧入され、第
1孔44の内面と第1環状溝49とで内側油路52が形成され
る。また前記シリンダ孔8,8…群および前記シリンダ孔1
8,18…群間におけるシリンダ孔8,8…寄りの部分でシリ
ンダブロックBの外周には第3環状溝54が設けられ、前
記シリンダ孔8,8…群および前記シリンダ孔18,18…群間
におけるシリンダ孔18,18…寄りの部分でシリンダブロ
ックBの外周にはシリンダ孔18,18…と同一個数である
多数の円形凹部55,55…が第3環状溝54にそれぞれ連通
するようにして座ぐり加工により周方向等間隔に形成さ
れる。而して第3環状溝54および多数の円形凹部55,55
…を覆うようにしてリング体56がシリンダブロックBに
嵌挿されており、このリング体56はシリンダブロックB
にろう付け溶接される。これにより、シリンダブロック
Bおよびリング体56間には、前記内側油路52と同心の外
側油路53が環状に形成されることになる。
しかも第3環状溝54と、第3環状溝54に通じる多数の円
形凹部55,55…とをシリンダブロックBに設け、第3環
状溝54および多数の円形凹部55,55…を覆うリング体56
をシリンダブロックBにろう付けするようにしたので、
リング体56のシリンダブロックBへの対向面積を比較的
大きくし、それらの対向面間にろうを溶け込ませること
により、リング体56のシリンダブロックBへの強固な固
着が可能となる。
ポンプシリンダ7のシリンダ孔8,8…群とモータシリン
ダ17のシリンダ孔18,18…群との間におけるシリンダブ
ロックBの内側油路52および外側油路53間の環状隔壁、
ならびに外側油路53の外周壁すなわちリング体56を放射
状に貫通するようにして、前記シリンダ孔8,8…と同数
の第1および第2弁孔57…,58…が設けられる。しかも
第1弁孔57…はシリンダ孔8,8…群側に配置され、第2
弁孔58…は、シリンダ孔18,18…群側に配置される。
またシリンダブロックBには、その軸線に沿って隣接す
るシリンダ孔8,8…および第1弁孔57…を相互に連通す
る複数のポンプポート59,59…と、軸線に沿って隣接す
るシリンダ孔18,18…および第2弁孔58,58…を相互に連
通する複数のモータポート60,60…とが穿設される。
前記第1弁孔57,57…にはスプール型の第1分配弁61,61
…が、また前記第2弁孔56,56…には同じくスプール型
の第2分配弁62,62…がそれぞれ摺動自在に嵌合され
る。そして、第1分配弁61,61…の外端にはそれらの第
1分配弁60,60…を囲む第1偏心輪63が、また第2分配
弁61,61…の外端にはそれら61,61…を囲む第2偏心輪64
が、それぞれボールベアリグ65,66を介して係合され
る。しかも第1分配弁61,61…の外端部は第1偏心輪63
と同心関係の第1強制輪67により相互に連結され、また
第2分配弁61,61…の外端部は第2偏心輪64,64…と同心
関係にある第2強制輪68により相互に連結される。
第1偏心輪63は入力筒軸5に一体に設けられるものであ
り、第4図に示すように仮想トラニオン軸線O1に沿って
シリンダブロックBの中心から所定距離εだけ偏心し
て配置される。また第2偏心輪64は前記シリンダホルダ
24に連設されるものであり、第5図で示すように仮想ト
ラニオン軸線O2に沿ってシリンダブロックBの中心から
所定距離εだけ偏心して配設される。
ここで第1分配弁61の作用について説明すると、入力筒
軸5とポンプシリンダ7すなわちシリンダブロックBと
の間に相対回転が生じると、各第1分配弁61は、第1偏
心輪63により第1弁孔57において偏心量εの2倍の距
離をストロークとしてポンプシリンダ7の半径方向内方
位置および外方位置間を往復動される。そして、第4図
に示すように、油圧ポンプPの吐出領域Dでは、第1分
配弁61は前記内方位置側を移動して、対応するポンプポ
ート59を外側油路53に連通するとともに内側油路52と不
通にし、それにより吐出行程中のポンププランジャ9に
よりシリンダ孔8から外側油路53へ作動油が圧送され
る。また油圧ポンプPの吸入領域Sでは、第1分配弁61
は前記外方位置側を移動して、対応するポンプポート59
を内側油路52に連通するとともに外側油路53と不通に
し、それにより吸入行程中のポンププランジャ9により
内側油路52からシリンダ孔8に作動油が吸入される、 また第2偏心輪64の作用について説明すると、モータシ
リンダ17すなわちシリンダブロックBが回転すると、各
第2分配弁62は、第2偏心輪64により第2弁孔58におい
て偏心量εの2倍の距離をストロークとしてシリンダ
ブロックBの半径方向内方位置および外方位置間を往復
動される。而して第5図に示すように、油圧モータMの
膨脹領域Exでは、第2分配弁62は前記内方位置側を移動
し、対応するモータポート60を外側油路53に連通すると
ともに該モータポート60および内側油路52間を不通に
し、それにより外側油路53から膨脹行程中のモータプラ
ンジャ19のシリンダ孔18に高圧の作動油が供給される。
また油圧モータMの収縮領域Shでは、第2分配弁62は前
記外方位置側を移動し、対応するモータポート60を内側
油路52に連通するとともに該モータポート60および外側
油路53間を不通にし、それにより収縮行程中のモータプ
ランジャ19のシリンダ孔18から内側油路52へ作動油が排
出される。
かくして、シリンダブロックBは、ポンプシリンダ7が
吐出行程のポンププランジャ9を介してポンプ斜板10か
ら受ける反動トルクと、モータシリンダ17が膨脹行程の
モータプランジャ19を介してモータ斜板20から受ける反
動トルクとの和によって回転され、その回転トルクは出
力軸31から2次減速装置3へ伝達される。
この場合、入力筒軸5に対する出力軸31の変速比は次式
によって与えられる。
したがって、油圧モータMの容量を零から或る値に変え
れば、変速比を1から或る必要な値まで変えることがで
きる。しかも、その油圧モータMの容量はモータプラン
ジャ19のストロークにより決定されるので、モータ斜板
20を直立位置から或る傾斜位置まで傾動させることによ
り変速比を1から或る値まで無段階に制御することがで
きる。
第8図および第9図を併せて参照して、シリンダブロッ
クBの外周部において、周方向にたとえば120度ずつの
等間隔をあけた位置で、相互に隣接する第1弁孔57,57
間ならびに第2弁孔58,58間には、クラッチ弁69…がシ
リンダブロックBの軸線と平行な方向にかつ外側油路53
の第3環状溝54を横切るようにして往復動可能として配
設される。すなわちシリンダブロックBの前記外周部に
は、基本的に棒状に形成されているクラッチ弁69を摺動
自在に嵌合するための3つの摺動孔70…がシリンダブロ
ックBの軸線と平行にして周方向等間隔位置に穿設され
る。またシリンダブロックBには、内端を内側油路52に
開口させ且つ外端をリング体56で閉塞されるようにして
半径方向に延びるとともに前記各摺動孔70…を横切る3
つの連通孔71…と、座ぐり加工により外側油路53におけ
る第3環状溝54を半円状に掘り下げて形成される3つの
凹部72…とが設けられる。
クラッチ弁69…は、連通孔71に通じる第1環状凹部69a
と、前記凹部72すなわち外側油路53に通じる第2環状凹
部69bとを外周に備えるものであり、各クラッチ弁69…
の一端には、シリンダブロックBにおけるポンプシリン
ダ7を囲繞する操作輪73の内周にその周方向等間隔に設
けられた3つの連結突部73a…がそれぞれ連結される。
また操作輪73には、縦断面略L字状であるリング状の支
持部材74が、相互間にボールベアリング75の内輪を挟持
するようにして固着されている。すなわち操作輪73の内
周には、前記連結突部73a…とはずれた位置で周方向に
等間隔をあけた位置に3つの突部73b…が突設されてお
り、それらの突部73b…と各突部73b…に対応する部分で
支持部材74とを貫通する3つのピン76…の一端を各突部
73b…にかしめて係合することにより操作輪73と支持部
材74とが一体化される。しかもモータ斜板アンカ23に
は、シリンダブロックBの軸線方向に沿って移動可能な
操作軸82が支承されており、この操作軸82の一端には前
記ボールベアリング75の外輪を支持する支持リング83が
固定されており、操作軸82の他端には、シリンダブロッ
クBの軸線とは直交する軸線を有するとともに図示しな
いクラッチレバーの操作に応じて回動する回動軸84が連
結される。
このようなクラッチ弁69…は、前記クラッチレバーの操
作により、内側油路52に通じる連通孔71…および外側油
路53間を遮断するクラッチオン位置(第6A図の位置)
と、該クラッチオン位置から第6A図の右方に前進して前
記連通孔71…および外側油路53間を連通するクラッチオ
フ位置(第6B図の位置)と、該クラッチオフ位置からさ
らに前進して前記連通孔71…および外側油路53間を連通
するとともに連通孔71…および外側油路53を外部に開放
する連通・放出位置(第6C図の位置)とを切換可能にし
て移動することになる。
再び第3図において、シリンダブロックBの第1孔44に
は、オイルフィルタ86が嵌入、固定され、該オイルフィ
ルタ86には、油溜87から補給ポンプ88で汲み上げた作動
油がオイルフィルタ89を介して供給され、補給ポンプ88
は入力筒軸5によって駆動される。
第10図において、シリンダブロックBの第1孔44に圧入
された弁筒51には、該弁筒51で補給油路47を区画するの
を避けるための連通孔90が軸方向両端間にわたって穿設
されるとともに軸方向中央部には内部を内側油路52に連
通させる連通孔91が穿設される。しかも弁筒51および第
1孔44内面間には、第1環状溝49により内側油路52が形
成されるとともに、第2環状溝50により環状油路92が形
成され、該環状油路92を外側油路53に連通させる連通路
93がシリンダブロックBに穿設される。
また弁筒51内には、連通孔91すなわち内側油路52から補
給油路47への作動油の逆流を阻止する第1逆止弁95と、
外側油路53すなわち環状油路92から補給油路47への作動
油の逆流を阻止する第2逆止弁96と、外側油路53の油圧
の過大上昇を防止すべく外側油路53すなわち環状油路92
ならびに連通孔91すなわち内側油路52間に介設される調
圧弁97とが設けられる。
第1逆止弁95は、補給油路47に通じる弁孔101を有して
弁筒51の一端部(第10図の右端部)に嵌合固定されると
ともに連通孔91すなわち内側油路52に通じる弁室102を
弁筒51との間に形成する弁座部材103と、前記弁孔101の
弁室102側開口端を閉塞可能にして弁室102に収納される
球状の弁体104と、該弁体104を弁座部材103側に向けて
付勢するばね力を発揮すべく弁室102に収納される弁ば
ね105とから構成される。
また第2逆止弁96は、基本的に有底円筒状であるととも
にその閉塞端を軸方向内方位置として弁筒51の他端部
(第10図の左端部)に嵌合固定される弁ハウジング107
と、該弁ハウジング107との間に弁室108を形成して弁ハ
ウジング107の開口端部に嵌合固定される円筒状の弁座
部材109と、該弁座部材109への着座を可能として弁室10
8内に収納される球状の弁体110と、弁座部材109に着座
する方向に弁体110を付勢するばね力を発揮すべく弁室1
08内に収納される弁ばね111とを備える。
前記弁ハウジング107の外周と弁筒51の内周との間には
弁室108に通じる環状路112が形成されており、この環状
路112は、弁筒51に穿設される通路113を介して環状油路
92に連通される。すなわち弁室108は外側油路53に連通
することになる。また弁座部材109には補給油路47に通
じる弁孔114が穿設されている。
而して、油圧ポンプPから油圧モータMを油圧駆動する
通常の負荷運転中に、両者間の油圧閉回路からの漏油に
より、低圧側の内側油路52の圧力が補給油路47の圧力よ
りも低下すると、前記第1逆止弁95が開いて補給油路47
から内側油路52に作動油が補給される。一方、このと
き、高圧側の外側油路53の作動油は第2逆止弁96により
補給油路47への流出を阻止されている。
また、逆負荷運転時すなわちエンジンブレーキ時には、
油圧モータMがポンプ作用を行い、油圧ポンプPがモー
タ作用を行うようになり、したがって外側油路53が低圧
に、内側油路52が高圧に変わるので、漏油により外側油
路53の圧力が補給油路47の圧力より低下すれば、第2逆
止弁96が開いて補給油路47から外側油路53へ作動油が補
給され、内側油路52から補給油路47への作動油の流出は
前記第1逆止弁95により阻止される。
調圧弁97は、弁筒51、弁体115および弁ばね116から構成
されるものである。
前記第1および第2逆止弁95,96間で弁筒51には、第1
逆止弁95側から順に、連通孔91に通じる第1摺動孔117
と、第1摺動孔117との間に後述の連通孔122を挟んで第
1摺動孔117に同軸に並ぶ第2摺動孔119と、第2摺動孔
119との間に段部120を介して第2摺動孔119に同軸に連
なる案内孔121とが穿設されており、第1摺動孔117の内
径D1は第2摺動孔119の内径D2よりもわずかに小さく(D
1<D2)設定される。また案内孔121の内径は第2摺動孔
119の内径D2よりも大きく設定される。
弁体115は、基本的に円筒状に形成されるものであり、
その先端側すなわち第1逆止弁95側から順に、第1摺動
孔117に摺動可能に嵌合される弁部115aと、第2摺動孔1
19に摺動可能に嵌合される弁杆部115bと、段部120に当
接し得るフランジ状のストッパ部115cとを備え、弁部11
5aの先端寄りの部分には周方向に等間隔をあけて3つの
切欠き部115dが設けられ、弁部115aおよび弁杆部115b間
の外周には環状凹部115eが設けられる。また弁筒51には
前記環状凹部115eを環状油路92に連通させる連通孔122
が穿設され、弁ばね116は、第2逆止弁96の弁ハウジン
グ107および前記ストッパ部115c間に縮設される。
かかる調圧弁97においては、環状凹部115eに環状油路92
すなわち外側油路53の油圧が作用し、第1および第2摺
動孔117,119の内径D1,D2の相違により弁体115に開弁力
(第10図の左側に向けての力)を与えるが、外側油路53
の油圧が規定値以下にある通常の運転状態では、弁体11
5を閉弁方向に付勢する弁ばね116の力が上記開弁力より
も大きいので、弁体115は閉弁状態すなわち環状凹部115
eおよび連通孔91間を遮断した状態に保持される。外側
油路53の油圧が前記規定値を上回ると、上記開弁力が弁
ばね116の力よりも大きくなるので、弁体115は弁ばね11
6を圧縮しつつ摺動し、弁体115における弁部115aの切欠
き部115dが連通孔122および第1摺動孔117間を連通し、
外側油路53の過大油圧が連通孔91を介して内側油路52に
放出される。さらに外側油路53の油圧が元に戻ると、弁
ばね116のばね力で弁体115は閉弁状態に復帰する。した
がって車両の急発進、急加速時でも、外側油路53の油圧
の過大上昇を抑えることができる。
次にこの実施例の作用について説明すると、クラッチ弁
69…は、シリンダブロックBの外周部における各分配弁
61,61;62,62相互の間隔が広い部分でシリンダブロック
Bの軸線方向に沿う移動を可能として配設されるもので
あり、クラッチ弁69の1個あたりの開口面積を比較的大
きくすることが可能であり、クラッチ弁69…の必要個数
を3個程度の少数とすることが可能となり、部品点数の
低減が可能となる。
しかも各クラッチ弁69…は、シリンダブロックBの回転
にかかわらずその位置を固定的に保持するものであり、
したがってクラッチ弁69…が軸方向に前後動して内側油
路52および外側油路53に圧力の脈動が生じることはな
く、クラッチオフ性能の向上を図ることができる。
また各クラッチ弁69…は、その連通・放出位置で内側油
路52および外側油路53を外部に開放して、比較的高圧と
なった作動油の一部を放出することが可能であり、排出
された量に対応して比較的低温の作動油が第1あるいは
第2逆止弁95,96から補給されることにより、油圧ポン
プおよび油圧モータM間の油圧閉回路内での作動油の冷
却を果たすことができる。
さらに内側油路52をシリンダブロックBとの間に形成す
べくシリンダブロックBに圧入される弁筒51内に第1逆
止弁95、第2逆止弁96および調圧弁97を設けたことによ
り、それらの弁95,96,97のユニット化が可能であり、そ
のユニット化により各弁95〜97の機能確認が容易となる
とともに、シリンダブロックBの他の位置に配設するも
のに比べると、組立性および加工性の向上を図ることが
できる。
C.発明の効果 以上のように本発明によれば、シリンダブロックとの間
に内側油路を形成するための第1環状溝ならびに外側油
路に通じる環状油路をシリンダブロックとの間に形成す
るための第2環状溝を外周に有して孔に圧入される弁筒
内に、補給油路および内側油路間に介設される第1逆止
弁と、補給油路および環状油路間に介設される第2逆止
弁と、内側油路および環状油路間に介設される調圧弁と
が設けられるので、第1および第2逆止弁ならびに調圧
弁のユニット化が可能となり、弁筒を孔に圧入するだけ
でシリンダブロックに組付けることができて組立性が向
上するとともにシリンダブロックの構造を単純化するこ
とができ、しかも各弁をシリンダブロックに組付ける前
に機能確認を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の一実施例を示すものであり、第1図は自
動二輪車用パワーユニットの横断平面図、第2図は静油
圧式無段変速機の概略構成を示す油圧回路図、第3図は
静油圧式無段変速機の拡大横断平面図、第4図は第3図
のIV−IV線断面図、第5図は第3図のV−V線断面図、
第6A図は第5図のVI−VI線に沿うクラッチオン位置での
断面図、第6B図はクラッチオフ位置での第6A図の要部断
面図、第6C図は連通・放出位置での第6A図の要部断面
図、第7図は第6A図のVII−VII線断面図、第8図は第6A
図のVIII−VIII線断面図、第9図は第3図のIX−IX線断
面図、第10図は弁筒の拡大横断面図である。 4……ケーシング、7……ポンプシリンダ、17……モー
タシリンダ、44……孔、47……補給油路、49……第1環
状溝、50……第2環状溝、51……弁筒、52……内側油
路、53……外側油路、92……環状油路、95……第1逆止
弁、96……第2逆止弁、97……調圧弁、 B……シリンダブロック、M……油圧モータ、P……油
圧ポンプ、T……静油圧式無段変速機

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油圧ポンプ(P)のポンプシリンダ(7)
    ならびに油圧モータ(M)のモータシリンダ(17)を同
    軸上に有してケーシング(4)に回転自在に支承される
    シリンダブロック(B)に、補給ポンプ(88)に通じる
    補給油路(47)となる孔(44)が同軸に穿設されるとと
    もに環状の内側油路(52)および環状の外側油路(53)
    が同心に設けられ、補給油路(47)および内側油路(5
    2)間には内側油路(52)から補給油路(47)への作動
    油の逆流を阻止する第1逆止弁(95)が介設され、補給
    油路(47)および外側油路(53)間には外側油路(53)
    から補給油路(47)への作動油の逆流を阻止する第2逆
    止弁(96)が介設され、外側油路(53)および内側油路
    (52)間には外側油路(53)の油圧が所定値以上で開弁
    する調圧弁(97)が介設される静油圧式無段変速機にお
    いて、シリンダブロック(B)との間に内側油路(52)
    を形成するための第1環状溝(49)ならびに外側油路
    (53)に通じる環状油路(92)をシリンダブロック
    (B)との間に形成するための第2環状溝(50)を外周
    に有して孔(44)に圧入される弁筒(51)内に、補給油
    路(47)および内側油路(52)間に介設される第1逆止
    弁(95)と、補給油路(47)および環状油路(92)間に
    介設される第2逆止弁(96)と、内側油路(52)および
    環状油路(92)間に介設される調圧弁(97)とが設けら
    れることを特徴とする静油圧式無段変速機。
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