JP3396055B2 - 油圧式無段変速機 - Google Patents

油圧式無段変速機

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JP3396055B2 JP13038593A JP13038593A JP3396055B2 JP 3396055 B2 JP3396055 B2 JP 3396055B2 JP 13038593 A JP13038593 A JP 13038593A JP 13038593 A JP13038593 A JP 13038593A JP 3396055 B2 JP3396055 B2 JP 3396055B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、固定容量形の油圧ポ
ンプと可変容量形の油圧モータとを油圧閉回路を介して
接続してなる油圧式無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の油圧式無段変速機としては、油
圧分配環の位置を変更することにより前後進の切り換え
操作を行う構造の特公昭61−23412号があり、こ
れに設けられているクラッチ機構は、正逆転制御軸(分
配環支持軸)の中空部に、吐出ポート及び吸入ポートを
短絡できるように、クラッチ弁用の主スプールが嵌入さ
れている。該主スプールは軸方向摺動形であり、正逆転
制御軸が正転位置、逆転位置あるいはそれらの間のどの
位置に回動されても、クラッチ機構には影響を与えな
い。
【0003】また、別な構造としては特開昭61−20
7229号があり、固定軸(分配環支持軸)と該固定軸
の貫通孔に回動自在に嵌装された回転軸(主スプール)
のそれぞれに半径方向の直線状の短絡用油路を形成し、
上記回転軸(主スプール)の回動により、クラッチング
ができる構造となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前者の従来技術は、主
スプールを軸方向に移動しなくてはならないので、軸方
向のコンパクト化が困難である。
【0005】後者の従来技術は、軸方向のコンパクト化
は可能であるが、油圧分配環を支持する固定軸が機枠
(ミッションケース)に固定されているため、油圧分配
環の位置を変えることはできず、前後進の切り換えはで
きない。たとえ、この固定軸を、特公昭61−2341
2号に示された正逆転制御軸のように回動自在に構成し
たとしても、正転位置から逆転位置に移る途中あるいは
その逆行程の途中において、半径方向に設けられて短絡
用油路が閉じられる区間ができるため、油圧ポンプから
の吐出油の逃げ道がなくなり、圧力上昇を生じ、場合に
よってはエンストを起こすおそれがある。
【0006】
【発明の目的】本願発明の目的は、前後進切り換え機構
及びクラッチ機構の軸方向のコンパクト化、シフト操作
途中におけるエンスト防止及び中立位置での短絡容量の
拡大化である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願請求項1記載の発明
は、固定容量形の油圧ポンプと可変容量形の油圧モータ
とを油圧閉回路を介して接続してなる油圧式無段変速機
において、回動自在な分配環支持軸に取り付けられた油
圧分配環により、上記油圧閉回路の途中を、油圧ポンプ
の吸入用油路が連通する外方空間部と吐出用油路が連通
する内方空間部に区画し、分配環支持軸の回動により油
圧分配環を前進位置、後進位置及び中立位置に切り換え
自在とし、分配環支持軸の中空部に中空スプールを挿通
して、上記中空部を、中空スプール内の第1油路と中空
スプール外周側の環状の第2油路に区画し、前記中空ス
プールを分配環支持軸の外部へと軸方向に延ばしてミッ
ションケースに回動不能に固定し、第1油路の一端部は
内方空間部に開口し、第2油路の一端部は外方空間部に
開口し、分配環支持軸の回動位置にかかわらず第2油路
の他端部に常時連通する弁室を有する弁体を、中空スプ
ールと分配環支持軸の端部に同心的に回動自在に嵌合
し、弁体の回動により第1,第2油路間を開閉するクラ
ッチ機構を備えている。
【0008】請求項2記載の発明は、中立位置での短絡
容量拡大のため、請求項1記載の構成に加え、分配環支
持軸が中立位置にきたときのみ、内方空間部と外方空間
部とを短絡するバイパス用の補助油路を中空スプール及
び分配環支持軸に設けている。
【0009】
【作用】クラッチ用の弁体をクラッチオフ位置に回動し
ている場合には、短絡用の第1,第2油路間は弁体内を
介して連通しており、内方空間部の作動油の一部は第
1,第2油路を通って外方空間部に流出し、クラッチオ
フ状態が維持される。
【0010】このクラッチオフ状態で、分配環支持軸を
回動することにより、油圧分配環の位置を変更して前後
進の切り換え操作を行った場合でも、中空スプールは固
定式であることにより中空スプールと弁体との回動位置
関係はかわらず、しかも、弁体内の弁室は分配環支持軸
の回動位置にかかわらず第2油路に連通しているため、
操作途中等で第1,第2油路間が閉じてしまうようなこ
とはなく、常時クラッチオフ状態を保っている。すなわ
ち、クラッチが閉じられることによるエンジン負荷の急
増等が防止され、エンスト等を防ぐ。
【0011】また、油圧分配環が中立位置に位置してい
る場合には、前記第1,第2油路によるクラッチ機構と
は別に、中空スプール及び分配環支持軸のバイパス用の
補助油路により、内外の空間部を短絡している。したが
って、たとえば、中立時にエンジンを空吹かした場合、
たとえエンジン回転数の上昇により弁体が自動的に制御
されて、前記第1,第2油路間が閉じられても、バイバ
ス用の補助油路により短絡状態は確保されており、エン
ジン負荷がかからず、エンジン回転の吹き上げが可能で
ある。また、中立時にはクラッチ機構による短絡容量
に、バイパス用補助油路による短絡容量が付加されてい
ることにより、低温時におけるエンジン始動の際、低温
により高粘度化された作動油の短絡用流量不足を防止
し、負荷の上昇を防止する。
【0012】
【実施例】図1は、本願発明を適用した油圧式無段変速
機の全体縦断面図(シフト部を除く)を示しており、理
解を容易にするために、軸方向の前後方向を図中に記載
のように仮定している。
【0013】まず、全体のレイアウトを説明する。変速
用入力軸1の前端部は図示しないエンジンに連動連結さ
れており、入力軸1の外周には、前側から順に固定容量
形斜板式の油圧モータ(アキシャル形プランジャモー
タ)Mと可変容量形斜板式の油圧ポンプ(アキシャル形
プランジャポンプ)Pとが前後方向(軸方向)に並ぶよ
うに直列配置されている。
【0014】さらに具体的には、前側から順に、モータ
用斜板19、モータ用シリンダブロック4、ポンプ用斜
板15及びポンプ用シリンダブロック2が前後方向(軸
方向)に並ぶように直列配置され、ポンプ用シリンダブ
ロック2の半径方向外方にはこれを間隔をおいて覆う中
間ドラム5が配置され、該中間ドラム5と上記ポンプ用
シリンダブロック2の間に直結用油圧クラッチC2 が配
置されている。中間ドラム5及びポンプ用シリンダブロ
ック2の後側に、油圧閉回路を有するバルブボディ3が
配置され、バルブボディ3の後側には、リヤカバー23
が固着されている。該リヤカバー23内には、リヤカバ
ー23内の空間部24を外方空間部24aと内方空間部
24bに区画する前後進切り換え用の油圧分配環29及
びこれを支持する分配環支持軸25が配置されている。
モータ用斜板19の前上方には、モータ用斜板19の傾
斜角度を制御して、油圧モータMの容量を自動制御する
油圧アクチュエータA1 が配置されている。
【0015】油圧ポンプPの概要を説明する。ポンプ用
シリンダブロック2は、その内周側が入力軸1の後端部
外周にスプライン嵌合しており、入力軸1と一体的に回
転する。ポンプ用シリンダブロック2には円周方向に等
間隔を置いて、奇数個、たとえば、5つの円筒穴71が
形成されており、各円筒穴71は入力軸1と平行に形成
されると共に、前方に向いて開口している。各円筒穴7
1には、それぞれ有底筒状のポンプ用プランジャ14が
軸方向摺動自在で前方へ突出可能に嵌合しており、各ポ
ンプ用プランジャ14の前端部には緩やかな球面形状部
14aが形成され、前側のポンプ用斜板15に当接して
いる。ポンプ用斜板15は、ポンプ用プランジャ14の
往復運動のガイドとなるものであり、スラスト軸受16
を介してモータ用シリンダブロック4の後端部斜面4a
に設置されている。各ポンプ用プランジャ14内にはこ
れを前方に付勢するコイルばね17が円筒穴後端面との
間に縮設されており、これにより、ポンプ用斜板15を
押さえてポンプ用斜板15の脱落を防止すると共に、ポ
ンプ用シリンダブロック2を後側のバルブボディ3に押
さえ付けて摺動シール面2bにおける低回転時のシール
性を向上させ、さらに、ポンプ用プランジャ14を前方
に付勢していることにより、自己吸引能力を油圧ポンプ
Pに付与している。
【0016】油圧モータMの概要を説明する。モータ用
シリンダブロック4は、中間ドラム5を介してバルブボ
ディ3に一体的に締結されると共に、その内周側が入力
軸1に対して環状油路101を隔てて回転自在に嵌合
し、ミッションケース22に軸受72等を介して支持さ
れている。モータ用シリンダブロック4には円周方向に
等間隔を置いて、奇数個、たとえば、9個の円筒穴73
が形成されており、該円筒穴73は、入力軸1と平行に
形成されると共に、前記油圧ポンプPの場合と同様に前
方に向いて開口している。各円筒穴73には、それぞれ
有底筒状のモータ用プランジャ18が軸方向摺動自在で
前方に突出可能に嵌合しており、各モータ用プランジャ
18の前端部には緩やかな球面形状部18aが形成さ
れ、前側のモータ用斜板19に当接している。モータ用
斜板19は、モータ用プランジャ18の往復運動のガイ
ドとなるものであり、転動体20を介して前側の斜板ホ
ルダー21に支持されている。各モータ用プランジャ1
8内にはこれを前方に付勢するコイルばね37が円筒穴
後端面との間に縮設されており、これにより、自己吸引
能力を油圧モータMに付与している。
【0017】上記斜板ホルダー21は、入力軸1と直角
なトラニオン軸22aを介してミッションケース22に
支持され、トラニオン軸心を回動中心として傾動自在と
なっており、自動変速制御用の前記油圧アクチュエータ
A1 によって入力軸心と直角な面に対する傾きが変化
し、それにより、モータ用プランジャ18のストローク
量を調整し、無段階にモータ容量を変化させることがで
きるようになっている。
【0018】変速制御用の油圧アクチュエータA1 は、
ミッションンケース22に一体に形成されたシリンダ3
6内に、球面状の摺動部を有するピストン35が摺動自
在に嵌合しており、ピストン35は、シリンダ36の後
端ばね受けリングとの間に縮設されたコイルばね81に
より、前方に付勢されている。上記ピストン35には、
ロッドが一体に形成されると共に、後方に突出するロッ
ドエンド34が連結されており、該ロッドエンド34
は、球継ぎ手機構を介してモータ用斜板ホルダー21の
上端部に連結されている。シリンダ36内の油室82
は、流量調節用の絞り39を介してミッションケース2
2の壁内の油路120に連通している。該油路120
は、エンジンの回転数の二乗に比例して圧力が変化する
いわゆるガバナ油圧源に接続している。
【0019】トラニオン軸22aの位置は、図1のよう
に、モータ回転軸心に対して上記油圧アクチュエータ側
とは反対側(図中下側)に偏心すると共に、モータ用斜
板19よりも後方に設定されており、モータ負荷が大き
くなってモータ用プランジャ18内の作動油圧が上昇す
ると、モータ用プランジャ18により、モータ用斜板1
9の傾斜を増加させて、変速比(減速比)を大きくする
よう作動するように構成されている。
【0020】油路構造について説明する。入力軸1の外
周に形成された環状油路101の前端部は、環状油室1
02を介して図示しないHSTチャージング用フィード
ポンプ等に接続され、オイルパン等から環状油室102
を介して環状油路101へと作動油が供給されるように
なっている。
【0021】環状油路101の後端部には、入力軸1内
を通って直結用油圧クラッチC2 に至る直結用油圧クラ
ッチ冷却用油路103と、モータ用シリンダブロック4
内、中間ドラム5内及びバルブボディ3内を通って直結
用油圧クラッチC2 の作動油室105に至る直結用油圧
クラッチ作動油供給油路106と、図2のようにモータ
用シリンダブロック4内、中間ドラム5内及びバルブボ
ディ3内を通ってリヤカバー23内の外方空間部24a
に至るチャージング油路108が連通している。直結用
油圧クラッチC2 は、複数のクラッチプレート6,7、
摩擦材9及び押し付け部材11等から構成されている。
【0022】上記チャージング油路108の外方空間部
24aへの出口部分には、外方空間部24aへと開弁す
るチェック弁74が設けられおり、該チェック弁74
は、バルブボディ3にバルブシート部75を設け、該シ
ート部75に着座する鋼球45を組み込んでいる。ま
た、このチェック弁74は、バルブボディ3の回転によ
り鋼球45に発生する遠心力が、鋼球45を後方(開弁
方向)に作用するように、バルブシート部75に傾きを
与えている。
【0023】上記チャージング油路108には、内方空
間部24bに至る枝油路108aが形成されており、枝
油路108aの内方空間部24bへの出口には、内部空
間部24b側へと開弁するチェック弁77が設けられて
いる。該チェック弁77は、バルブシート46、圧縮コ
イルばね48、該圧縮コイルばね48の弾性力により上
記バルブシート46に着座する鋼球49及び押さえ棒4
7等から構成され、バルブボディ3の概略中心部に配置
されている。
【0024】上述のチャージング油路108部分から空
間部24に供給される作動油が、図1の油圧ポンプPを
経て油圧モータMに至り、再度空間部24まで戻る油路
の概要を説明する。
【0025】油圧ポンプPに関して、バルブボディ3に
は、図1の上側に示すように吸入行程のポンプ用円筒穴
71と外方空間部24aとを連通して外方空間部24a
からポンプ用円筒穴71内に作動油を吸入するためのポ
ンプ側吸入用油路110と、下側に示すように吐出行程
のポンプ用円筒穴71と内方空間部24bとを連通して
ポンプ用円筒穴71から内方空間部24bに作動油を吐
出するためのポンプ側吐出用油路111とが形成されて
いる。
【0026】油圧モータMに関して、バルブボディ3、
中間ドラム5及びモータ用シリンダブロック4には、各
モータ用円筒穴73に連通する9つのモータ側油路11
3が形成されており、これらモータ側油路113は空間
部24と各モータ用円筒穴73を連通しているが、モー
タ側油路113の後端ポートは回転軸心を中心とした同
一円周上に配列されており、モータ用シリンダブロック
4と一体に回転するバルブボディ3の回転により、図1
の下側に示すように膨張行程のモータ用円筒穴73は、
内方空間部24bに連通して内方空間部24bからモー
タ用円筒穴73内に作動油を圧入し、一方、上側に示す
ように排出行程のモータ用円筒穴73は、外方空間部2
4aに連通してモータ用円筒穴73から外方空間部24
aに作動油を排出するようになっている。
【0027】リヤカバー23内の構造を説明する。図3
において、リヤカバー23は前述のようにバルブボディ
3の後端面に一体的に締結され、バルブボディ3と一体
回転するようになっており、バルブボディ3の後端面と
リヤカバー23の内面の間で前記空間部24を形成して
いる。該空間部24内に配置されている油圧分配環支持
軸25は、入力軸1と概略同軸心に配置されると共に、
ラジアル軸受27、28を介してリヤカバー23に回転
自在に支持され、また、リヤカバー23の後側段部との
間にはスラスト軸受26が配置されており、これにより
回転を確保しながら軸方向後方への移動を規制してい
る。
【0028】分配環支持軸25の前端部には、支持軸心
から偏心した円筒部25aが一体に形成され、該偏心円
筒部25aの外周面に前記有底筒状の油圧分配環29が
嵌合しており、これにより、リヤカバー23内の空間部
24を、前述のように油圧分配環29の外方側の外方空
間部24aと、内方側の内方空間部24bとに区画して
いる。油圧分配環29の前端面は、内方空間部24bの
作動油圧力により前方に押し出されてバルブボディ3の
後端面に摺接しており、圧力により押し付け強さが自動
的に変化することから、自己隙間補償機能を有してい
る。また、油圧分配環29は、分配環支持軸25の回動
により、図4に示すような前進位置Fと、中立位置(仮
想線)Nと、後進位置(仮想線)Rとの間で位置変更自
在に切り換えられるようになっている。
【0029】図3のIV−IV断面部分図を示す図4におい
て、線22'a は、前記トラニオン軸22aと平行で、
入力軸心を通る線であり、この線22'a と直角で入力
軸心を通る垂直線(以下、仮に「前後進分離線」と称す
る)L上に、モータ用プランジャ18の上死点(最収縮
点)U1 と下死点(最伸長点)U2 が存在している。X
1方向が前進回転(正回転)方向とすると、油圧分配環
29の中立位置Nは、油圧分配環29の中心が上記前後
進分離線L上を通り、かつ、最も上死点U1側に偏った
位置に設定されており、前進位置Fは、上記中立位置N
から支持軸心回りにモータ前進回転方向X1側へと概略
90°回動した位置に設定され、後進位置Rは、中立位
置Nから支持軸心回りにモータ後進回転方向X2 へと概
略90°回動した位置に設定されている。
【0030】ポンプ側油路110、111のうち、外方
空間部24aに連通するポンプ側吸入用油路110は2
個形成され、それらの後端ポートは、上側の外方端部に
位置して、油圧分配環29が前進位置F、中立位置Nあ
るいは後進位置Rのいずれの状態でも、常に外方空間部
24aに連通している。内方空間部24bに連通するポ
ンプ側吐出用油路111は3個形成され、それらの後端
ポートは、軸心近傍の下側部分に位置し、油圧分配環2
9が前進位置F、中立位置Nあるいは後進位置Rのいず
れの状態でも、常に内方空間部24bに連通している。
【0031】一方、9つのモータ側油路113の後端ポ
ートは、半径方向中間位置に、同一円周上等間隔で配列
されている。下死点U2 から前進回転方向X1 回りで上
死点U1 までの範囲(図中右側範囲)をW1 、上死点U
1 から前進回転方向X1 回りで下死点U2 までの範囲
(図中左側範囲)をW2 とすると、油圧分配環29が前
進位置Fの場合は、範囲W1内のモータ側油路113が
外方空間部24aに連通し、範囲W2 内のモータ側油路
113が内方空間部24bに連通する。すなわち、前進
回転時においては、範囲W1 内のモータ側油路113は
排出行程のモータ用円筒穴73に連通しており、範囲W
2 内のモータ側油路113は膨張行程のモータ用円筒穴
73に連通しており、油圧モータMを前進回転方向X1
に回転する。
【0032】油圧分配環29が中立位置Nの場合は、概
ね線22'a よりも下死点U2 側の範囲内のモータ側油
路113が外方空間部24aに連通し、上死点U1 側の
範囲内のモータ側油路113が内方空間部24bに連通
し、油圧モータMは回転しない。
【0033】油圧分配環29が後進位置Rの場合は、範
囲W1内のモータ側油路113が内方空間部24bに連
通し、範囲W2 内のモータ側油路113が外方空間部2
4aに連通する。すなわち、後進時においては、範囲W
1 内のモータ側油路113は膨張行程のモータ用円筒穴
73に連通しており、範囲W2 内のモータ側油路113
は排出行程のモータ用円筒穴73に連通しており、油圧
モータMを後進回転方向X2 に回転する。
【0034】油圧分配環29の前端面(摺接面)には、
内周端側と外周端側にそれぞれ1対ずつ楔形の溝78
a,78bが形成されている。各溝78a,78bの形
成位置は、油圧分配環29が前進位置Fあるいは後進位
置Rに位置している時に、上死点U1 及び下死点U2 の
近傍に位置して、 上記両点U1 ,U2 に対して、内側と
外側からそれぞれ突出するような位置に形成されてい
る。 これにより、上死点U1 と下死点U2 を各モータ側
油路113が通過する時に、内外の一方の空間部から油
圧分配環29より徐々に閉じられ、続いて他方の空間部
に徐々に開口するようになっている。
【0035】図3において、本願発明の要部であって、
油圧ポンプPと油圧モータMとの間の作動油の流れを断
続するために備えられるメインのクラッチ機構C1 の構
造を説明する。
【0036】メインのクラッチ機構C1 は、分配環支持
軸25の中空部に挿通された中空スプール30と、該中
空スプール30内に形成された短絡用の第1油路114
と、中空スプール30の外周面と分配環支持軸25の内
周面との間に形成された短絡用の第2油路115と、有
底筒状の弁体50から構成されている。
【0037】分配環支持軸25の中空部は軸方向に貫通
する孔状になっており、中空スプール30は、前端部の
外周面が液密状態で分配環支持軸25の内周面に嵌合
し、液密状態部分の前後にはスラスト荷重軸受31,3
2が配置されている。液密嵌合部分よりも後方部分が分
配環支持軸25の内周面と環状隙間をおいて嵌合し、そ
れにより前記環状の第2油路115を形成している。中
空スプール30の後端部は分配環支持軸25よりさらに
後方へと延び出し、ミッションケース22のボス部22
dに支持されると共に、断面半円形のロック用キー12
3により、回転不能かつ軸方向移動不能に固定されてい
る。
【0038】中空スプール30内の第1油路114は、
前端部が内方空間部24bに開口すると共に軸心部分を
後方へと延び、分配環支持軸25の後端縁よりも少し後
方位置で行き止まりとなり、後端部において、半径方向
外方へと延びる出口ポート部114aを有している。
【0039】第2油路115は、前端部が斜めの油路1
18を介してが外方空間部24aに開口しており、後端
部は、後方に向いて開口している。
【0040】弁体50は、分配環支持軸25の後端部か
ら中空スプール30の後方延長部分を覆うように配置さ
れ、前端部は分配環支持軸25の後端部の外周に液密状
態でかつ回動自在に嵌合し、弁体50の後端部は中空ス
プール30の外周面に液密状態で回動自在に嵌合し、弁
体50の内部には、前記第1油路114の後端出口ポー
ト部114aに対応する軸方向位置に弁室119が形成
され、該弁室119は前側の環状油室121を介して第
2油路115に常時連通すると共に、弁体50の回動に
より第1油路114の出口ポート部114aに対して開
閉する。
【0041】図3のVI−VI断面を示す図6において、第
1油路114の後端出口ポート部114aは、上下方向
に貫通するように形成され、一方、弁体50の弁室11
9は、180°間隔で2つ形成されており、弁体50の
回動により弁室119の位置を変更することより、図6
の(a)に示すクラッチオフ状態と、図6の(b)に示
す半クラッチ状態と、図6の(c)に示すクラッチオン
状態に切り換える。図6の(a)のクラッチオフ状態で
は、両弁室119は概ね上下に位置して、出口ポート部
114aの開口部全面に連通し、図6の(b)の半クラ
ッチ状態では、両弁室119は、出口ポート部114a
の開口部の一部に連通し、図6の(c)のクラッチオン
状態では、両弁室119は、出口ポート部114aから
完全に遮断される。
【0042】上述のメインのクラッチ機構C1 に加え、
図3の分配環支持軸25と中空スプール30の前部に
は、油圧分配環29が中立位置のときのみ、内方空間部
24bと外方空間部24aとを短絡する補助油路11
6,117からなるバイパス弁10を設けている。
【0043】図3のVIIーVII断面拡大図を示す図7にお
いて、中空スプール30に設けられる補助油路116
は、軸心方向と直角に左右方向に延びるように形成され
ており、分配環支持軸25に形成される補助油路117
は、スプール軸心から半径方向外方へと延びる放射線上
にあって、分配環支持軸25の偏心円筒部25aの偏心
方向とは直角方向に延びるように1対形成されており、
内周側端部は、中空スプール30の外周面において互い
に概略180°の位相差で開口している。
【0044】図7の(a),(b),(c)はそれぞれ
分配環支持軸25を前進位置F、中立位置N及び後進位
置Rに回動した状態であって、図7の(a),(c)の
ように、前進位置及び後進位置のときには、分配環支持
軸25の補助油路117が上下に位置して、中空スプー
ル30の補助油路116とは遮断され、図7の(b)の
ように、中立位置の時には、補助油路117は左右に位
置して補助油路116と連通するように形成されてい
る。
【0045】また、図3のように分配環支持軸25の前
部には高圧リリーフ弁33が設けられており、内方空間
部24bの圧力が設定圧力以上になった時に外方空間部
24aへと作動油を逃がすようになっている。
【0046】メインのクラッチ機構C1 の制御機構につ
いて説明する。図5において、弁体50は半径方向の外
方に延びるレバー部50aを有し、その先端の円筒形状
の突起部50bがクラッチ機構作動用アクチュエータA
2 のピストン51の先端溝部51aに係合している。上
記ピストン51は、ミッションケース22と一体に形成
されたシリンダ52内に、スプール軸心と直角方向(左
右方向)に移動自在に嵌合し、シリンダ52内を左側油
室125と右側油室126とに区画すると共に、圧縮コ
イルばね53により右側(クラッチオフ側)に付勢され
ている。シリンダ52の下端には左側油室125に連通
する左側油孔127と右側油室126に連通する右側油
孔128が形成されている。両油孔127,128の下
側には、これらに連通すると共にシリンダ52と平行に
左右に延びる制御スプール嵌合孔88が形成されてお
り、該嵌合孔88内には、シリンダ52内への作動油の
流入方向を切り換えるための制御スプール54が左右方
向移動可能に嵌合している。制御スプール54は外周に
環状油路131を有すると共に、圧縮コイルばね55よ
り右側に付勢されている。スプール嵌合孔88の下端中
央部には常時上記環状油路131に連通する作動油流入
口132が形成されており、該作動油流入口132は、
前述の変速制御機構の場合と同様に、エンジンの回転数
の二乗に比例して圧力が変化するいわゆるガバナ油圧源
に接続し、上記圧力の作動油が供給される。
【0047】したがって、図5のように制御スプール5
4の環状油路131が右側油孔128に連通している状
態においては、エンジン回転数の上昇に対応(エンジン
回転数の二乗に比例)してシリンダ52の右側油室12
6内の作動油圧が上昇し、コイルばね53に抗してピス
トン51を左方に押し出し、レバー部50aを介して弁
体50を回動させ、半クラッチからクラッチオン状態へ
と切り換える。
【0048】クラッチ作動用のピストン51の左方に
は、図6に示すようにピストン51の動きを2段アクシ
ョン形にするためのダンパー機構90が配置されてい
る。該ダンパー機構90は、ピストン51の左端縁に対
して間隔を置いて左方から対向する移動片91と、該移
動片91の左方に圧縮コイルばね92を介して配置され
ると共にミッションケース22等に固定された固定ばね
受け93を有し、移動片91は圧縮コイルばね92によ
り右方のシート部94に着座している。すなわち、図6
の(a)のクラッチオフ状態(完全に減圧された状態)
からメインのクラッチ機構C1 を接続する場合、図6の
(b)で示すように移動片91に当接する半減圧状態
(半クラッチ状態)までは急速に作動し、図6の(c)
で示す完全締め切り状態(クラッチオン状態)までは、
圧縮コイルばね92の抵抗により緩衝され、ゆるやかな
動きとなる。
【0049】分配環支持軸25を、前進位置F、中立位
置N及び後進位置Rに切り換えるための前後進切り換え
用シフト機構を説明する。図3において、分配環支持軸
25の後端部にはギヤ部25bが一体に形成されてお
り、該ギヤ部25bは扇形のシフトギヤ60に噛み合
い、該シフトギヤ60は、その上端部が切り換え軸56
に回動自在に支持されると共に、中間部に上下方向に長
い長孔60aを有している。長孔60aには中間ギヤ5
8の偏心円筒突起部58aが係合している。中間ギヤ5
8は、ミッションンケース22に固着された支持ピン5
9に回転自在に支承されており、駆動ギヤ57に噛み合
っている。駆動ギヤ57は、スプリングピン等により切
り換え軸56と一体化されており、切り換え軸56は、
ミッションケース22のボス部に回動自在に支持される
と共にミッションケース22外に延び出し、操作レバー
等の適宜の操作部材に連動連結されている。すなわち、
切り換え軸56を外部から回動操作することにより、中
間ギヤ58を回動して、偏心円筒突起部58aにより長
孔60aを介してシフトギヤ60を切り換え軸56回り
に揺動させ、ギヤ25bを介して前記分配環支持軸25
を回動するようになっている。中間ギヤ58は、分配環
支持軸25の後端部に回転自在に支承されたカムプレー
ト61に噛み合っている。
【0050】図5において、カムプレート61は、シフ
トの誤操作防止用及び中立位置にて主クラッチを開いて
ポンプとモータ間の動力伝達を遮断するための凸状のカ
ム部61bを有している。シフトギヤ60の左右両側に
は、シフトギヤ60の左右両側壁に対して所定の間隔を
置いて対向する後進時の位置決め用ストッパー87d
と、前進時の位置決め用ストッパー87cが配置されて
いる。両ストッパー87c,87dは、図示しないが突
出位置調節自在にミッションケース22等に取り付けら
れている。前進用位置決め用ストッパー87cは、前進
操作時に、シフトギヤ60が回動する方向H1側(図中
右側)に配置されており、シフトギヤ60の前進操作時
の最大振り幅を規制する。後進用位置決め用ストッパー
87dは、後進操作時に、シフトギヤ60が回動する方
向H2側(図中左側)に配置されており、シフトギヤ6
0の後進操作時の最大振り幅を規制する。
【0051】さらに、シフトギヤ60の長孔部60aの
中心線S1 と、中間ギヤ58の中心と円筒突起部58a
とを結ぶ線S2 の交叉角α°を、概略直角あるいはそれ
以下の角度に設定しており、これにより、前進位置ある
いは後進位置のシフトギヤ60が勝手に中立位置に戻ろ
うとするのを防止している。
【0052】図5において、シフト操作機構とクラッチ
制御機構との間の関係について説明する。メインのクラ
ッチ機構作動用アクチュエータA2 のシリンダ52の上
方には、中空スプール30と同一高さで左右に延びるピ
ン挿通孔68が形成され、該挿通孔68には左右方向に
移動自在にピン62が挿通され、ピン62の左右端はそ
れぞれ挿入孔外に突出し、左端部は、前記カムプレート
61に当接している。ピン62の右端部の右方には、車
両の主制動装置に連動するカム軸64が配置されてい
る。カム軸64は左側に凸部64aを一体に有すると共
に、下側に切欠き平面部64bを一体に有している。図
5のカム軸64の状態はブレーキオフ状態であり、ブレ
ーキペダルを踏むことにより、それに連動してカム軸6
4は矢印B方向に回動するようになっている。
【0053】シリンダ52の右方には支軸66を介して
アーム63が回動自在に支持されており、アーム63は
概略上下方向に延びると共に、サブアーム67を一体的
に有している。アーム63の上端部は、前記ピン62と
カム軸64の間に位置すると共に、左方にL形に折れ曲
がるストッパ部63dを一体に備え、また、上端部右側
には、段部63cを介して背面部63aが形成され、背
面部63aは前記カム軸64に対向している。アーム6
3の下端部は制御スプール54の右端縁に当接してい
る。サブアーム67は右上方へと延び、その上端平面部
がカム軸64の平面部64bに対向している。
【0054】上記アーム63により、スプール54の動
き、カム軸64の動き及びピン62の動きを規制する。
前記カム軸64の凸部64aは、ブレーキオフ状態で図
5のように左端に位置しており、この図5に示す前進位
置から中立位置へと切り換え軸56を矢印H2 方向に回
動しようとしても、アーム63の上端部背面部63aが
凸部64aと干渉していることにより、ピン62はアー
ム63側(右側)へは移動しない。したがって、カムプ
レート61のカム部61bの段部がピン62で係止され
た状態となり、カム61は矢印F方向には回動せず、中
立位置へは戻らない。
【0055】カムプレート61のカム部61bは、中立
位置において、ピン62を当接してこれを右方へ押し込
んでレバー63の上端部を右方に傾け、これによりスプ
ール54を左方へ押し込んで、作動油流入口132を左
側の油室125に連通させ、ピストン51を圧縮ばね5
3及び左側油室125の作動油圧により、右方へと押し
付ける。すなわち、中立時にはエンジン回転速度を上げ
ても、ピストン51は左方に移動せず、レバー部50a
は回動せず、常に減圧状態(クラッチオフ状態)を保つ
ようになっている。
【0056】カム軸64とレバー63との関係におい
て、図5のブレーキオフ状態においては、上述のように
カム軸64の凸部64aがレバー63の背面部63aに
当接しているが、ブレーキペダルを踏んでカム軸64が
矢印B方向に回動することにより、凸部64aが背面部
63aから外れ、ピン62の係止状態を解除するように
なっている。すなわち、前進位置にシフトしている時に
は、ブレーキを踏まなければ中立位置あるいは後進位置
にシフトできないようになっている。
【0057】また、図5のような前進位置において、カ
ム軸64の下端平面部64bは、サブアーム67の上端
平面部に対向しているが、ブレーキを踏んでカム軸64
が矢印B方向に回動することにより、カム軸64の円筒
状外周面がサブアーム67を押し下げ、アーム63の下
端部を左方へと回動して、制御スプール54を左方に押
し、作動油流入口132を左側油室125に連通するよ
うになっている。それにより、左側油室125の作動油
圧とコイルばね53の合成力により、ピストン51は急
速に右方に移動し、メインのクラッチ機構C1 は急速に
オフに切り換わる。
【0058】油圧式無段変速機全体の作動及び本発明に
関連する作動について説明する。入力軸1の回転により
ポンプ用シリンダブロック2を回転すると、吐出行程の
ポンプ用プランジャ14を収容する円筒穴71から、ポ
ンプ側吐出用油路111を通って内方空間部24bに高
圧の作動油が吐出され、該高圧作動油は、一部のモータ
側油路113を通って膨張行程のモータ用プランジャ1
8を収納する円筒穴73に圧入される。一方、排出行程
のモータ用プランジャ18を収納する円筒穴73から、
残りのモータ側油路113を通って外方空間部24aに
排出される作動油は、ポンプ側吸入用油路110を通っ
て吸入行程のポンプ用プランジャ14を有するポンプ用
円筒穴71に還流される。その間、吐出行程のポンプ用
プランジャ14がポンプ用斜板15を介してモータ用シ
リンダブロック4に与える反動トルクと、膨張行程のモ
ータ用プランジャ18がモータ用斜板19から受ける反
動トルクとの和によって、モータ用シリンダブロック4
は回転される。
【0059】図3の弁体50を回動操作することによ
り、メインのクラッチ機構C1 を図6の(a)に示すク
ラッチオフ状態としておき、切り換え軸56を外部から
回動することにより、前後進切り換えシフトを行う。こ
の動作中、切り換え軸56の回動は、中間ギヤ58、突
起部58a、長孔60a,シフトギヤ60及びギヤ部2
5bを介して分配環支持軸25に伝達され、これを回動
するが、中空スプール30及び弁体50は回動しないの
で、上記シフト中において、常に図6の(a)の状態が
維持され、第1,第2油路114,115を介して両空
間部24a,24b間を短絡しており、クラッチオフ状
態が保たれる。
【0060】特に、図7の(b)に示す中立位置では、
上記メインのクラッチ機構C1 に加え、バイパス用補助
油路116,117を介しても外方空間部24aと外方
空間部24bが短絡しており、短絡容量が増加する。
【0061】なお、分配環支持軸25が前進位置あるい
は後進位置に位置している場合において、弁体50を回
動することによりクラッチ操作を行った時は、次のよう
に動作する。
【0062】図7の(a),(c)のようにバイパス用
の短絡用補助油路116,117間は閉じており、弁体
50が図6の(a)に示すクラッチオフ位置から、図6
の(b)に示す半クラッチ位置まで回動すると、メイン
のクラッチ機構C1 が半閉じ状態になり、油圧モータへ
の動力伝達が始まる。続いて、図6の(c)に示すよう
に弁体50がクラッチオン位置まで回動すると、内方空
間部24bと外方空間部24a間は遮断され、油圧モー
タMへの通常の動力伝達が行われる。
【0063】分配環支持軸25が中立位置に位置してい
る場合においては、弁体50は、上記同様の動作を行う
が、図7の(b)のようにバイパス用短絡油路116,
117を介して外方空間部24aと内方空間部24bと
は常時連通しており、したがって、動力がつながること
はない。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本願発明によると、 (1)油圧分配環を備えた分配環支持軸の回動により前
進位置、後進位置及び中立位置に切り換え自在とすると
共に、油圧ポンプと油圧モータ間の作動油の流れを断続
するクラッチ機構を、分配環支持軸及び中空スプールに
嵌合する弁体の回動によりオン,オフするようにしてい
るので、従来の特公昭61-23412号の主スプール
の軸方向の移動方式と比較して、軸方向のコンパクト化
が達成できる。
【0065】(2)クラッチ機構として、分配環支持軸
の中空部を、これに挿通された中空スプールにより、第
1油路と環状の第2油路に区画し、中空スプールを分配
環支持軸の外部へと軸方向に延ばしてミッションケース
に回動不能に固定し、分配環支持軸の回動位置にかかわ
らず第2油路の他端部に常時連通する弁室を有する弁体
を、中空スプールと分配環支持軸の端部に同心的に回動
自在に嵌合しているので、回動操作式のクラッチ機構で
ありながらも、たとえ、意図的にゆっくりとシフト操作
しても、中立位置から前進位置等へのシフト行程の中間
位置で、一旦クラッチオンになるのを防止することがで
き、エンスト防止が図れる。
【0066】(3)分配環支持軸が中立位置にきたとき
のみ、内方空間部と外方空間部とを短絡するバイパス用
の補助油路を中空スプール及び分配環支持軸に設けるこ
とにより、中立時にエンジンを空吹かした場合、たとえ
エンジン回転数の上昇により弁体が自動的に制御され
て、前記第1,第2油路間が閉じられても、バイバス用
の補助油路により短絡状態は確保されており、エンジン
負荷がかからず、エンジン回転の吹き上げが可能とな
る。
【0067】(4) また、中立時にはクラッチ機構に
よる短絡容量に、バイパス用補助油路による短絡容量が
付加されていることにより、低温時におけるエンジン始
動の際、低温により高粘度化された作動油の短絡用流量
不足を防止し、負荷の上昇が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明を適用した油圧式無段変速機の全体
縦断面図である。
【図2】 図1と同じ油圧式無段変速機のチャージング
油路回路部分の縦断面拡大部分図である。
【図3】 図1のIII部分の拡大部分図であって、シフ
ト機構を含む部分の縦断面部分図である。
【図4】 図3のIV−IV断面図である。
【図5】 前進位置におけるクラッチ制御機構の断面拡
大図である。
【図6】 クラッチ機構の作動説明図であって、図3の
VI−VI断面相当図である。
【図7】 バイパス弁の作動説明図であって、図3のVI
I−VII断面相当図である。
【符号の説明】
1 変速用入力軸 2 ポンプ用シリンダブロック 4 モータ用シリンダブロック 10 バイパス弁 22 ミッションケース 25 分配環支持軸 29 油圧分配環 30 中空スプール 50 弁体 114 短絡用の第1油路 115 短絡用の第2油路 116 バイパス用の補助油路 117 バイパス用の補助油路 P 固定容量形の油圧ポンプ M 可変容量形の油圧モータ C1 クラッチ機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 39/14 F16H 61/14 F16H 61/38 - 61/64

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定容量形の油圧ポンプと可変容量形の
    油圧モータとを油圧閉回路を介して接続してなる油圧式
    無段変速機において、回動自在な分配環支持軸に取り付
    けられた油圧分配環により、上記油圧閉回路の途中を、
    油圧ポンプの吸入用油路が連通する外方空間部と吐出用
    油路が連通する内方空間部に区画し、分配環支持軸の回
    動により油圧分配環を前進位置、後進位置及び中立位置
    に切り換え自在とし、分配環支持軸の中空部に中空スプ
    ールを挿通して、上記中空部を、中空スプール内の第1
    油路と中空スプール外周側の環状の第2油路に区画し、
    前記中空スプールを分配環支持軸の外部へと軸方向に延
    ばしてミッションケースに回動不能に固定し、第1油路
    の一端部は内方空間部に開口し、第2油路の一端部は外
    方空間部に開口し、分配環支持軸の回動位置にかかわら
    ず第2油路の他端部に常時連通する弁室を有する弁体
    を、中空スプールと分配環支持軸の端部に同心的に回動
    自在に嵌合し、弁体の回動により第1,第2油路間を開
    閉するクラッチ機構を備えたことを特徴とする油圧式無
    段変速機。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の油圧式無段変速機におい
    て、分配環支持軸が中立位置にきたときのみ、内方空間
    部と外方空間部とを短絡するバイパス用の補助油路を中
    空スプール及び分配環支持軸に設けていることを特徴と
    する油圧式無段変速機。
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