JPH06274887A - 相変化型光記録方式及びその装置 - Google Patents

相変化型光記録方式及びその装置

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JPH06274887A
JPH06274887A JP5066685A JP6668593A JPH06274887A JP H06274887 A JPH06274887 A JP H06274887A JP 5066685 A JP5066685 A JP 5066685A JP 6668593 A JP6668593 A JP 6668593A JP H06274887 A JPH06274887 A JP H06274887A
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JP
Japan
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recording
optical recording
laser beam
optical
erasing
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Application number
JP5066685A
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English (en)
Inventor
Hideo Kobayashi
英夫 小林
Osamu Ueno
修 上野
Kiichi Kamiyanagi
喜一 上柳
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 相変化型光記録において、記録材料の移動現
象を低減させ、多数回の書き換えができるようにする。 【構成】 基板上に少なくとも、相変化型の記録材料か
らなる記録層と金属材料からなる冷却層とを設けた光記
録媒体1を用いて情報の書き換えを行うに際し、その光
記録媒体1における記録マークを予め円形スポットのレ
ーザービーム16を照射することにより消去した後に、
その消去後の記録領域に対して円形スポットのレーザー
ビーム17を照射して再記録を行うようにした相変化型
光記録方式と、その装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多数回の書き換えが可
能な相変化型光記録方式とその装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の光記録方式として、例え
ば、フォーカシング及びトラッキングサーボ用のプリグ
ルーブを有する光透過性基板と、この基板上面に積層さ
れた相変化型の記録材料からなる記録層と、必要に応じ
てこの記録層の上下両面に積層されてこの記録層を保護
する無機誘電体層とを備えた光記録媒体を用いるものが
知られている。このような光記録媒体への書き込みにつ
いては、通常、その記録層に高出力のレーザービームを
照射し、この記録層の照射部位を記録材料の融解温度T
m以上に加熱し、次いで急冷することにより、この照射
部位を結晶状態(結晶相)から非晶質状態(アモルファ
ス相)へ変化させることによって行われ、一方、この書
き込まれた情報の消去については、上記記録層に低出力
のレーザービームを照射してその記録材料の結晶化温度
Tx以上であって融点以下の温度に加熱し、次いでゆっ
くりと冷却することにより、その照射部位を非晶質状態
(アモルファス相)から結晶状態(結晶相)へ変化させ
ることによって行われる。
【0003】そして、このように結晶−アモルファス間
の相変化を利用した光記録方式が研究された初期の段階
においては、その記録に際しては円形スポットのレーザ
ービームを照射することにより行い、その消去に際して
は楕円形スポットのレーザービームを照射することによ
り行う、所謂、ツービーム記録消去方式が採用された
[オプトロニクス(1988)No.9 pp141−
147]。このツービーム記録消去方式においてその消
去に際し楕円形スポットのレーザービームが用いられた
理由は、記録材料の結晶化時間が長かったため、円形ス
ポットのレーザービームを照射したのでは消去、即ちそ
の記録マーク部分の記録材料を結晶化させるのに十分な
時間が得られず、その後の記録再生に必要なC/N特性
が得られなくなるからである。しかしながら、このツー
ビーム記録消去方式は、楕円形スポットのレーザービー
ムを生成するための光学系が複雑になる上、そのレーザ
スポットの楕円の長軸が光記録媒体におけるトラック方
向に対して傾かないように精密に調整する必要があるた
め、実用的なものではなかった。
【0004】その後、結晶化時間が非常に短いGe−S
b−Te系等の相変化型記録材料が発見され[信学会、
CPM87−88(1987)pp25〜30]、これ
により、消去に際しても円形スポットのレーザービーム
を用いることが可能になったため、上記した相変化型光
記録においては、その円形スポットのレーザービームを
パワー制御して照射することにより書き換えを行う、所
謂ワンビームオーバーライト記録消去方式が採用される
ようになった。しかも、このような書き換え可能な光記
録方式における記録密度を高め、一層の大容量化を実現
するため、従来のピットポジション記録方式に代わり、
ピットエッジ記録方式が検討されている。この記録方式
は記録マークの長さと記録マークの間隔を検出して記録
再生を行う方式であり、記録ピットの中心位置を検出す
る従来のピットポジション記録に比べ、その記録密度が
1.5〜2倍となるため、積極的に研究されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ごときワンビームオーバーライト記録消去方式は次に述
べるような問題があるため、これまでその実用化が困難
であった。すなわち、多数回の書き換えに伴い記録層に
おける記録材料が移動するため、書換え回数に制限があ
るという問題である。記録材料の移動とは、記録、消去
を繰り返す際に、記録材料がトラックに沿って光ディス
ク(光記録媒体)進行方向か或いはその逆方向に徐々に
移動していく現象である。この記録材料の移動が大きい
と、その移動に伴う膜厚の変化により、記録マージンや
最適なレーザーパワーが変わってしまったり、最悪の場
合には記録材料が無くなってしまい、記録が不可能にな
るか、或いは記録媒体が破損してしまう。この物質移動
の原因は、記録時の記録媒体のレーザ進行方向への非対
称な熱変形によるものと考えられている。すなわち、レ
ーザービームのスポットは光記録媒体に対して相対的に
移動しており、その照射部位の温度分布はレーザー進行
方向に対して非対称になっている。そのため光記録媒体
における保護膜等が非対称に変形し、これにより溶融し
た記録材料がその前後方向へ押出されるような圧力を受
けることに起因するものと推測される。
【0006】そこで、このような記録材料の移動に関す
る問題を解決するため、熱解析や、物質移動のモデル作
り等が行われている。例えば、熱解析については大田ら
による[CPM89−84、pp41〜45]において
検討され、物質移動のモデル作りについては[SPIE
vol.1078 Optical Data St
rage Topical Meeting (198
9)]において記録溶融時の保護膜の変形による記録材
料の移動モデルが提案されている。そして、その具体的
な対策方法として、特開平2−195538号公報に示
されるように光記録媒体について溶融領域前後の保護膜
の膨張が対称になるような構造にすることや、鈴木らに
よる「繰り返しにおける物質移動現象とそのメカニズ
ム」(光ディスク懇談会’91、pp8〜19)に示さ
れるように記録材料の溶融時にその溶融領域の中心が最
高温度を示す点と一致するようにするため、光記録媒体
におけるアルミニウムからなる熱拡散層の膜厚最適化を
図ることなどが提案されている。
【0007】しかしながら、これらいずれの対策方法に
よっても、記録材料の移動に関する問題は十分に改善さ
れてはいない。特に、マークポジション記録方式に比
べ、ピットエッジ記録方式では長い記録マークを用いる
ため、熱的負荷が大きく、その記録材料の移動現象が顕
著にあらわれる。また、ピットエッジ記録方式の1種で
あるマルチパルス記録方式を用いることにより、上記し
た熱的負荷は軽減され、その物質移動についても低減さ
せることができるが、依然十分ではない。しかも、この
マルチパルス記録方式を有効に活用するためには、デー
タの転送速度の高速化を図らなければならないが、この
場合、マルチパルスを生成する際に高速のクロックが必
要になること、レーザパワーの立ち上がり時間に限界が
あること等によって制約を受けてしまう。
【0008】従って、本発明の目的は、記録材料の移動
現象を低減することができ、多数回の書き換えが可能な
相変化型光記録方式とその光記録装置を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の相変化型光記録
方式は、基板上に少なくとも、相変化型の記録材料から
なる記録層と金属材料からなる冷却層とを設けた光記録
媒体を用いて情報の書き換えを行うに際し、その光記録
媒体における記録マークを予め円形スポットのレーザー
ビームを照射することにより消去した後に、その消去後
の記録領域に対して円形スポットのレーザービームを照
射して再記録を行うことを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の相変化型光記録装置は、基
板上に少なくとも、相変化型の記録材料からなる記録層
と金属材料からなる冷却層とを設けた光記録媒体におけ
る情報の書き換えを行う光記録装置であって、その光記
録媒体に対し、消去のための円形スポットのレーザービ
ームと記録のための円形スポットのレーザービームとを
前後方向にずらして照射するレーザ光源及び光学系を少
なくとも備えていることを特徴とするものである。
【0011】上記の技術的手段による本発明の光記録方
式は、その記録方式として、マークポジション記録も適
用可能であるが、ピットエッジ記録に適用することによ
りその記録密度を高めることができる。
【0012】また、本発明で使用される相変化型の光記
録媒体は、基板上に少なくとも記録層と冷却層を備えた
構造からなるもので、必要に応じて他の層を設けて構成
してもよく、例えば、記録層の上下面に保護層を設ける
ことなどができる。
【0013】記録層を形成する記録材料としては、結晶
化時間の短いGe−Sb−Te系材料を主成分とする材
料が望ましく、特にGe2Sb2Te5、GeSb2
4、GeSb4Te7のいずれか1つを主成分とする記
録材料が最適である。本発明においては円形スポットの
レーザービームの照射により充分な消去がなされるよう
にする観点から、記録材料の結晶化時間は短いことが必
要であり、具体的には200ns以下程度が好ましい。
従って、この記録材料としては結晶化時間が上記のよう
な条件を満たすような短いものであれば使用可能であ
り、例えば、In−Sb−Te系材料やGe−Te系材
料等も使用することができる。
【0014】これら記録層の膜厚は10〜100nmが
適当である。この膜厚が100nmを越える場合には、
レーザー照射により与えられたエネルギーが層内におい
て速やかに拡散しないため急冷効果が得られず、記録マ
ークの形成が困難になり、しかも本発明による物質(記
録材料)移動の抑制効果も得られにくくなる。反対に、
この膜厚が10nm未満であると、レーザーエネルギー
の吸収が十分ではなく記録感度が劣化する。
【0015】ここで、相変化型の記録材料としては、結
晶−アモルファス間の相変化を利用するばかりでなく、
結晶−結晶間の相変化を利用するものであってもよい。
また、本発明においては、記録材料としては相分離を利
用する材料であっても適用可能であり、原則的には、記
録に際して記録媒体を溶融するプロセスが必要な記録材
料であれば適用することができる。
【0016】冷却層は、少なくともAu(金)又はAl
(アルミニウム)等を含む金属材料、好ましくはAl−
Ti、Al−Cr、Au、Al等の金属材料を用い、蒸
着法、スパッタ法等の薄膜形成法により薄膜状に形成さ
れる。このような金属薄膜からなる冷却層は、適当な冷
却速度や反射率を得やすいため好ましい。本発明におい
ては、この冷却層を設けて光記録媒体を急冷構造とする
ことにより、温度分布の対称性が高くなり、物質移動の
抑制に有効となる。
【0017】冷却層の膜厚は、50nm〜400nmの
範囲であることが好ましく、特に、比較的大きい冷却速
度が得られるAu薄膜などの場合には50〜200nm
が望ましく、比較的小さい熱伝導特性を示すAl−Ti
薄膜、Al−Cr薄膜などの場合には80〜250nm
が望ましい。この膜厚が50nm未満であると、急冷効
果が得られず物質移動を充分に抑制することができな
い。反対に、その膜厚が200nmを越えると、急冷効
果が大きすぎて記録感度が劣化し、最悪の場合には所定
のパルス幅での記録が困難になる。特にピットエッジ記
録方式の場合には、最短パルス幅の記録に対する記録媒
体の設計が難しくなる。また、この冷却層の膜厚は、記
録層と反射層の間に保護層などを形成した場合その保護
層の膜厚による影響を受けるが、この保護層の膜厚は通
常10nm〜300nmの範囲であり、このような膜厚
の保護層を設けた場合には上記数値範囲内で充分に有効
である。
【0018】本発明の光記録方式においては、上記した
ような光記録媒体の書き換えに際し、その記録マークを
予め消去のための円形スポットのレーザービームを照射
して消去した後に、その消去後の記録領域に対して記録
のための円形スポットのレーザービームを照射して再記
録を行うが、このとき、光記録媒体の同一トラック上に
集光される上記の両レーザービームのスポット中心点ど
うしの間隔は2〜20μmの範囲になるようようにする
ことが望ましい。この間隔が2μm未満の場合には、消
去用のレーザービームの熱的影響が記録用のレーザービ
ーム照射時に波及するため好ましくなく、反対に200
μmを越えると、光学系、特に光記録媒体にレーザービ
ームを集光させるための対物レンズの光学的制約によ
り、2つのレーザービームを同一トラック上に集光させ
ることが困難になる。
【0019】また、上記技術的手段による本発明の光記
録装置は、上記した相変化型光記録方式を実現できるも
のであれば特に制約されるものではなく、少なくとも、
消去のための円形スポットのレーザービームと記録のた
めの円形スポットのレーザービームとを、光記録媒体の
トラック方向に沿って前後方向にずらして照射できるレ
ーザ光源とその光学系を備えたものであればよい。
【0020】レーザ光源としては、2つの半導体レーザ
を使用し、その両レーザから別々に消去用と記録用のレ
ーザービームを出射させて光学系により光記録媒体上に
集光するようにしたものでも構わないが、デュアルビー
ムレーザを用いることが望ましい。これは、デュアルビ
ームレーザが、2つのレーザービームを近接して出射さ
せることにより同一の光学系を使用して光記録媒体上に
集光させることができる上、同一チップ上にあるため調
整が容易でかつその後のずれが少なく、また両レーザー
ビームのスポット中心点間の距離を精度よく離すことが
できるためである。
【0021】また、光学系については、レーザ光源とし
て複数の半導体レーザを用いた場合、それらの各半導体
レーザにおける出射スポット間の距離は通常2〜100
0μm程度のピッチになるため、それら複数の半導体レ
ーザをこの間隔に設置して適宜作製することも可能であ
るが、レーザ光源としてデュアルビームレーザを採用す
れば同一の光学系が使用できるばかりではなく、その光
学系に関する調整面やコストの点できわめて有利であ
る。
【0022】なお、本発明の光記録方式よれば、まず光
記録媒体を1回転させて(第一の回転で)記録マークの
消去を行い、次に、その消去した記録領域に対して次の
回転において(第二の回転で)記録を行うこともでき
る。このような書き換えを行った場合、同一の円形スポ
ットのレーザービームをその回転毎に消去用又は記録用
として切り換えて使用することができ、その光記録装置
におけるレーザ光源及び光学系は単一のもので済ませる
ことができるので、コスト的に有利である。
【0023】
【作用】本発明によれば、相変化型光記録における記録
材料の移動が低減化され、多数回の書き換えが可能にな
る。
【0024】この記録材料の移動が改善されるメカニズ
ムについては、以下のように推測している。すなわち、
この材料移動の原因は、前記したように記録時の光記録
媒体のレーザ進行方向に対する非対称な熱変形によるも
のと考えられているが、本発明者等の研究結果によれ
ば、さらに、従来のワンビームオーバーライト方式では
書き換え時における記録層の相状態の違いにも起因して
いることを見出した。つまり、記録済みの記録層には、
記録部分(記録マークが形成された部分)であるアモル
ファス相状態にある領域と、非記録部分である結晶相状
態にある領域とが混在しており、この2つの領域におい
てはエネルギーの吸収率に差がある。そのため、レーザ
ービームが照射される領域がアモルファス相領域である
か、結晶領域であるか、或いはアモルファス相領域と結
晶相領域の境界部分であるかによってその熱分布が異な
り、その結果、記録層をはさむ保護膜などの熱変形につ
いてもその変形パターンが領域毎に異なるため、溶融し
た記録材料が前後方向へ不規則に押し出されるものと推
測される。しかし、このような記録層の相状態の違いに
よる材料移動をも考慮して光記録媒体を設計し、その材
料移動を抑制することは不可能に近いことである。
【0025】そこで、本発明においては、短時間で結晶
化できる相変化型記録材料からなる記録層を備えかつ急
冷構造とした光記録媒体を用い、円形スポットのレーザ
ービームを照射して、予め記録領域を均一な相状態にし
ておき、その上に書き換えのための記録を行うことによ
り、材料移動の低減化を図っている。すなわち、結晶化
時間が短い記録材料に急冷構造を適用して記録感度を劣
化させることなく、しかも円形スポットのレーザービー
ム照射により温度分布の対称性を確保しつつ、書き換え
に際して予め記録領域を均一な結晶相状態にした後に再
記録を行っているため、記録層の相状態の違いを考慮す
ることなく結晶相状態へのレーザ照射時の温度分布の対
称性のみを考慮して光記録媒体の設計を適宜行う(急冷
構造にする)だけで、容易にかつ確実に記録材料の移動
を抑制できるものと推測される。
【0026】なお、記録材料の結晶化時間が長い場合に
は、その記録媒体構造として良好な記録を行うために冷
却速度を下げる徐冷構造を採用しなければならないが、
このような徐冷構造からなる光記録媒体を用いて本発明
方式による書き換えを行った場合、記録領域の均一化は
一応達成できるものの、レーザースポットの移動による
記録媒体における温度分布の対称性が劣化するため、記
録材料の移動が発生してしまい、効果的な改善はできな
い。
【0027】また、本発明によれば、上記した材料移動
の抑制効果が得られる以外にも、次のような効果も期待
できる。すなわち、予め記録領域を消去、即ち結晶相状
態にしておくため、良好な消去率が得られるとともにC
/Nの改善が図れる。また、ピットエッジ記録に適用し
た場合には、ジッターが改善される。このジッターに関
する効果は、従来のオーバーライト方式では書き換え時
における記録層の相状態の違いによりレーザー照射に対
するエネルギー吸収率が異なるために、同一のパルス幅
のレーザービームを照射しても、その形成される記録マ
ークのピット長が違ってくることによってジッターが発
生するものと考えられていたが、本発明の記録方式では
予め均一な相状態にした記録領域に対して記録のための
レーザービームを照射するため、その記録マークのピッ
ト長が殆ど異ならなくなることによって得られるものと
推測される。
【0028】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明につ
いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例など
に何ら限定されるものではない。
【0029】実施例1 まず、下記の構成からなる相変化型光記録媒体を準備し
た。すなわち、この光記録媒体1は、図1に示すよう
に、厚さ1.2mmのポリカーボネート製プラスチック
製の基板2と、この基板2上に形成された160nmの
ZnS−SiO2製の下部保護層3と、この下部保護層
3上に設けられた厚さ20nmのGe2Sb2Te5製の
記録層4と、この記録層4上に形成された厚さ30nm
のSiO2製の上部保護層5と、この上部保護層5に形
成された厚さ100nmのAl−Ti系冷却層6と、そ
の冷却層6の上に形成された厚さ5〜10μmの紫外線
硬化樹脂層7とでその主要部が構成されるものである。
【0030】そして、上記光記録媒体を図3に示すよう
な光記録装置に適用した。図3において、10はレーザ
光源としてのデュアルビームレーザを示し、このデュア
ルビームレーザ10から出射されたレーザービームは、
コレーメートレンズ11、ビームスプリッタ12、反射
プリズム13及び対物レンズ14等の光学素子からなる
光学系15を介して光記録媒体1上に集光されるように
なっている。また、この光学系15において図中実線で
示されるレーザービーム16は消去のためのレーザービ
ームであり、同じく図中1点鎖線で示されるレーザービ
ーム17は記録のためのレーザービームである。この両
レーザービームのスポット中心点間の距離は、10μm
となるように設定されている。
【0031】更に、図中20は、再生用及び制御用の光
学系を示し、再生用のレーザービームは光記録媒体で反
射された後、光学系15のビームスプリッタ12を経由
してビームスプリッタ21、1/2波長板22、検光子
23、集光用レンズ24を経由して再生信号用受光素子
25に再生信号として受光される一方、検光子23から
集光用レンズ26を経由してトラッキング信号用受光素
子27にトラッキング信号として受光されるようになっ
ている。
【0032】この光記録装置においては、レーザ光源1
0から出射された波長830nmのパルス状のレーザビ
ームを、複数の光学素子を介して光記録媒体1に集光さ
せることにより、記録・再生が行われる。
【0033】そして、この光記録媒体1及び光記録装置
を用い、図2に示すように、矢印方向に回転移動する光
記録媒体1(上方から見た状態で、具体的には記録領域
となるトラック領域を示している)に対し、消去パワー
8mwの条件で消去用の円形スポットレーザービーム1
6を照射してその記録マークを予め消去し、しかる後、
パルス幅60ns、パルス間隔100ns、記録パワー
16mwの条件で記録用の円形スポットレーザービーム
17を照射してマークポジション記録するという書き換
え作業を75000回繰り返して行い、その繰り返し試
験後におけるデータ領域先端部の波形つぶれの長さを測
定し、材料移動の発生状況について調べた。
【0034】すなわち、その波形つぶれは、データ記録
開始地点における再生信号のC/N特性が記録材料の移
動により劣化した領域の長さに相当するため、繰り返し
試験後の再生波形をオシロスコープにより記録し、その
記録結果を図4に示す。なお、このときの線速度は10
m/sであり、記録マークの間隔を設定するための最密
度波形の発生は任意波形発生機により行った。
【0035】図4の結果から、波形つぶれ(図中、pで
示す部分)は後述の比較例1と比べて明らかなように小
さく、記録材料の移動が抑制されていることが認められ
る。
【0036】実施例2 書き換えのための記録条件を下記のように変更した以外
は実施例1と同様の光記録媒体と記録装置を用いて繰り
返し試験を行い、その試験後における材料移動の発生状
況について同様にして調べた。結果を図5に示す。
【0037】すなわち、書き換えのための記録をパルス
幅240ns、パルス間隔80ns、記録パワー16m
wの条件で、しかもRLL(2,7)変調によるピット
エッジ記録方式により記録を行い、書き換え作業を25
000回繰り返した。しかも、ピットエッジ記録におい
て最大熱負荷を与えた繰り返し試験にするため、RLL
(2,7)変調記録において熱負荷が最大になる記録波
形は通常、パルス幅が4T信号時でかつパルス間隔が
1.5T信号時であるが、本試験ではパルス幅:240
nsを4.5T、パルス間隔:80nsを1.5Tに設
定変更した。
【0038】図5の結果が示すように、最大の熱負荷を
与えた繰り返し試験を行ったにもかかわらず、波形つぶ
れはきわめて小さく、記録材料の移動が抑制されている
ことが認められる。
【0039】比較例1 書き換え作業を下記の条件からなる従来のワンビームオ
ーバーライト方式により行った以外は実施例1と同様の
光記録媒体と記録装置を用いて繰り返し試験を行い、そ
の試験後における材料移動の発生状況について同様にし
て調べた。結果を図6に示す。
【0040】すなわち、パルス幅60ns、パルス間隔
100ns、記録パワー17mw、バイアスパワー8.
5mwの条件で記録消去を行い、書き換え作業を750
00回繰り返した。なお、このときの記録方式はピット
ポジション方式を採用した。図6の結果から、従来の書
き換え方式では著しい波形つぶれが発生することがわか
る。
【0041】比較例2 書き換え作業を下記の条件からなる従来のワンビームオ
ーバーライト方式により行った以外は実施例2と同様の
光記録媒体と記録装置を用いて繰り返し試験を行い、そ
の試験後における材料移動の発生状況について同様にし
て調べた。結果を図7に示す。
【0042】すなわち、パルス幅240ns、パルス間
隔80ns、記録パワー16mw、バイアスパワー8.
5mwの条件で記録消去を行い、書き換え作業を250
00回繰り返した。また、このときの記録方式は実施例
2と同じ条件下でのピットエッジ方式を採用した。図7
の結果より、比較例1と同様に著しい波形つぶれが発生
していることが確認された。
【0043】また、以上の実施例1、2及び比較例1、
2においては、前記した各書き換え作業をそれぞれ多数
回繰り返して行い、そのときの繰り返し回数と波形つぶ
れの発生状況の関係についても調べた。この波形つぶれ
については、前記オシロスコープにより計測した波形つ
ぶれの長さをバイト長に換算した数値(損傷領域長)を
用いて表した。その結果を併せて図8に示す。
【0044】なお、書き換え条件は実施例1と比較例1
が対応し、実施例2と比較例2が対応しているため、図
8に示される結果については書き換え条件が対応してい
るものどうしの間で対比評価される。従って、実施例2
の特性は比較例1のそれよりも劣る結果になっている
が、これは上記したように書き換え条件が互いに相違し
ている理由によるものである。また、実施例2(及び比
較例2)の書き込み条件は、前記したように特殊なもの
で、実際の記録において繰り返されるパターン条件では
ない。
【0045】実施例3〜5及び比較例3〜4 冷却層6の膜厚についてそれぞれ下記のように設定した
以外は実施例1と同様の光記録媒体と記録装置を用いて
繰り返し試験を行い、その試験後における材料移動の発
生状況について同様にして調べた。すなわち、冷却層の
膜厚は30nm(比較例3)、50nm(実施例3)、
100nm(実施例4)、200nm(実施例5)、5
00nm(比較例4)とした。
【0046】オシロスコープによる測定結果から、実施
例3〜5では波形つぶれが殆ど発生していないのに対
し、比較例3では波形つぶれが発生していることが認め
られた。また、比較例4では上記記録条件での記録が不
可能であったため試験することができなかった。この比
較例4の記録可能範囲について調べたところ、パルス幅
が80ns以下或いは記録パワーが20mw以下の記録
条件下では50dB以上の再生信号を得ることができな
いことがわかった。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
記録材料移動の低減化が図られ、多数回の書き換えが可
能な信頼性の高い相変化型光記録を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用する光記録媒体の構成例を示す
概略断面図である。
【図2】 本発明の光記録方式を説明するための概念図
である。
【図3】 本発明の光記録装置の一例を示す要部構成図
である。
【図4】 実施例1の測定結果を示す図である。
【図5】 比較例1の測定結果を示す図である。
【図6】 実施例2の測定結果を示す図である。
【図7】 比較例2の測定結果を示す図である。
【図8】 実施例1、2及び比較例1、2における書き
込み作業の繰り返し回数と損傷領域長との関係を示す図
である。
【符号の説明】
1…相変化型光記録媒体、2…基板、4…記録層、6…
冷却層、10…レーザ光源、15…光学系、16…消去
のための円形スポットのレーザービーム、17記録のた
めの円形スポットのレーザービーム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G11B 7/24 536 L 7215−5D

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも、相変化型の記録材
    料からなる記録層と金属材料からなる冷却層とを設けた
    光記録媒体を用いて情報の書き換えを行うに際し、その
    光記録媒体における記録マークを予め円形スポットのレ
    ーザービームを照射することにより消去した後に、その
    消去後の記録領域に対して円形スポットのレーザービー
    ムを照射して再記録を行うことを特徴とする相変化型光
    記録方式。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光記録方式において、記
    録方式が、記録マークの長さ及び記録マーク間の長さを
    利用するピットエッジ記録方式であることを特徴とする
    相変化型光記録方式。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の光記録方式において、記
    録材料としてGe−Sb−Te系材料を主成分とする材
    料を用いることを特徴とする相変化型光記録方式。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の光記録方式において、記
    録材料がGe2Sb2Te5、GeSb4Te7又はGeS
    2Te4を主成分とした材料であることを特徴とする相
    変化型光記録方式。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の光記録方式において、記
    録層の膜厚が10〜100nmの範囲であることを特徴
    とする相変化型光記録方式。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の光記録方式において、冷
    却層を形成する金属材料がAu又はAlを含む金属材料
    であることを特徴とする相変化型光記録方式。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の光記録方式において、冷
    却層の膜厚が50〜400nmの範囲であることを特徴
    とする相変化型光記録方式。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の光記録方式において、消
    去のためのレーザービームと記録のためのレーザービー
    ムを、両ビームのスポット中心点間隔が2〜200μm
    の範囲となるように前後方向にずらして照射することを
    特徴とする相変化型光記録方式。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の光記録方式において、消
    去のためのレーザービームと記録のためのレーザービー
    ムをデュアルビームレーザを用いて発生させることを特
    徴とする相変化型光記録方式。
  10. 【請求項10】 基板上に少なくとも、相変化型の記録
    材料からなる記録層と金属材料からなる冷却層とを設け
    た光記録媒体における情報の書き換えを行う光記録装置
    であって、その光記録媒体に対し、消去のための円形ス
    ポットのレーザービームと記録のための円形スポットの
    レーザービームとを前後方向にずらして照射するレーザ
    光源及び光学系を少なくとも備えていることを特徴とす
    る相変化型光記録装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の光記録装置におい
    て、レーザ光源がデュアルビームレーザであることを特
    徴とする相変化型光記録装置。
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