JPH0627279A

JPH0627279A - 原子炉出力制御方法及びその装置

Info

Publication number: JPH0627279A
Application number: JP4183421A
Authority: JP
Inventors: Kimiko Isono; 公子磯野; Yoshifumi Nagata; 好文永田
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1992-07-10
Filing date: 1992-07-10
Publication date: 1994-02-04

Abstract

(57)【要約】【目的】負荷急減事象が発生した際、発電所内単独負荷
運転移行までの主要パラメータの変動を抑制した制御を
することにある。【構成】本発明による原子炉出力制御装置は、負荷遮断
発生信号９を制御棒駆動制御装置２００に与え、第一次
出力低下操作を水圧駆動モードで行ない、第二次出力低
下操作は、自動出力調整装置１００から制御棒駆動制御
装置２００に対して出力信号を与え電動駆動モードで行
なう事により、主要パラメータの変動を抑制し、かつ負
荷遮断後の整定出力を一定に制御する。【効果】本発明によれば、負荷急減後の整定出力一定制
御が可能となり、また原子炉主要パラメータの変動を小
さくする安定な出力制御が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、原子炉出力制御方法及
びその装置に係り、特に、沸騰水型原子炉二適用するの
に好適な原子炉出力制御方法及びその装置に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】発電機負荷急減時の出力制御に関する従
来技術を、発電機負荷遮断を例に図６を用いて説明す
る。図６は、再循環ポンプとしてインターナルポンプを
使用している沸騰水型原子力発電プラントの概要構成図
である。

【０００３】図６において、１は原子炉、２は蒸気加減
弁、３はタービンバイパス弁、４はタービン、５は復水
器、６は発電機、７は給水ポンプ、８はパワーロードア
ンバランスリレー、１００は自動出力調整装置、２００
は制御棒駆動制御装置、201は電動機駆動制御回路、２
０２は制御棒、３００は再循環流量制御装置、３０１は
可変周波数電源装置、３０２はインターナルポンプであ
る。

【０００４】発電機負荷遮断が発生するとパワーロード
アンバランスリレー８が作動する。パワーロードアンバ
ランスリレー８の作動により、蒸気加減弁２が急閉して
タービン４の加速を防止する。蒸気加減弁２の急閉によ
る原子炉１の内圧上昇を回避するために、タービンバイ
パス弁３が急開され、余剰蒸気が復水器５にバイパスさ
れる。このとき、制御棒２０２のうち選択制御棒を急速
挿入し、またインターナルポンプ３０２をランバックし
て負荷遮断直後の中性子上昇を抑制し、発電機出力を低
下させて発電所内単独負荷運転を達成する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来の方法では、負荷
急減事象発生時の出力低下手段として、選択制御棒を使
用する場合、予め挿入する制御棒パターンを定めてお
き、負荷急減信号によりそれらの制御棒を電動駆動モー
ドあるいは水圧駆動モードで一斉に挿入していた。しか
し、この場合、電動駆動モードであれば、挿入速度が緩
やかになる為、主要パラメータの変動は抑制出来るが、
迅速な出力低下は困難となり、復水器の保護の観点から
は好ましくない。

【０００６】一方、迅速な出力低下の観点で負荷急減直
後の選択制御棒挿入を水圧モードで行う場合は、負荷急
減直前の運転点によっては必要以上の制御棒挿入となる
ため整定出力一定制御は困難であり、出力整定後に何ら
かの原因で原子炉出力が上昇してくる事象に対しては、
手動で制御棒を挿入する操作が必要である等、運用上，
操作上好ましくない。また水圧駆動の場合は、制御棒を
急速に挿入するために、原子炉水位等の変動が大きくな
り、安定性上も好ましくない。

【０００７】本発明の目的は、負荷急減後の原子炉水位
の変動を抑制でき、復水器の保護も十分に行なえる原子
炉出力制御方法及びその装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の目的は、異常時に
おける原子炉出力の減少に際して、前記制御棒駆動装置
への駆動水の供給によって複数の選択制御棒の一部を炉
心内に挿入し、その後、前記電動機を駆動して前記制御
棒駆動装置によって他の前記選択制御棒を炉心内に挿入
することによって達成できる。

【０００９】

【作用】負荷急減後、制御棒駆動装置への駆動水の供給
によって複数の選択制御棒の一部を炉心内に挿入し、そ
の後、電動機を駆動して制御棒駆動装置によって他の選
択制御棒を炉心内に挿入するので、所内単独負荷運転を
達成するまでの原子炉主要パラメータの変動を抑制した
制御を実施することができ、原子炉水位の変動を抑制で
きる。しかも、原子炉出力の低下度合いを緩和できるの
で復水器の保護も十分に行なえる。

【００１０】

【実施例】再循環ポンプとしてインターナルポンプを使
用している沸騰水型原子力発電プラントに適用した本発
明の一実施例である原子炉出力制御装置を、図１〜図３
に基づいて説明する。特に、本実施例による原子炉出力
制御装置について、原子炉定格運転時に発電機負荷遮断
が生じた時の出力制御を例にとり、負荷急減時の出力制
御を以下に説明する。

【００１１】図１において、１は原子炉、２は蒸気加減
弁、３はタービンバイパス弁、４はタービン、５は復水
器、６は発電機、７は給水ポンプ、８はパワーロードア
ンバランスリレー、１００は自動出力調整装置、２００
は制御棒駆動制御装置、201はモータ駆動制御回路、２
０２は制御棒、３００は再循環流量制御装置、３０１は
可変周波数電源装置、３０２はインターナルポンプであ
る。原子炉１で発生した蒸気は、主蒸気配管を通ってタ
ービン４に導かれる。蒸気加減弁２は、主蒸気配管に設
けられる。タービンバイパス弁３は、主蒸気は移管から
分岐され復水機５に接続されたバイパス配管に設けられ
る。インターナルポンプ３０２は、原子炉１内に設けら
れる。炉心１０内に挿入される制御棒２０２は、制御棒
駆動装置２１７に連結されている。制御棒駆動装置２１
７は、特開昭56−47786 号公報の図１に示すように、電
動機および駆動水により駆動される。本実施例における
駆動水による制御棒駆動装置２１７の駆動は、選択制御
棒等の制御棒２０２を炉心１０内に急速挿入するときに
行なわれる。本実施例においては、電動機１１による制
御棒駆動装置２１７の駆動は、原子炉の通常運転時での
制御棒２０２の操作、及び異常時における選択制御棒等
の制御棒２０２の炉心１０内への急速挿入を行なうとき
になされる。

【００１２】発電機負荷遮断が発生したことをパワーロ
ードアンバランスリレー８の作動で検出すると、パワー
ロードアンバランスリレー８は、負荷遮断発生信号９を
出力する。パワーロードアンバランスリレー８は、ター
ビン４に供給される蒸気圧力及びタービン４に連結され
る発電機６の回転速度に基づいて発電機負荷遮断の発生
を検出する。蒸気加減弁２は、負荷遮断発生信号９によ
って急閉されるので、タービン４の加速が防止される。
同時に、タービンバイパス弁３が負荷遮断発生信号９に
よって急開するので、蒸気加減弁２の急閉による原子炉
１内の圧力上昇が回避される。負荷遮断発生信号９は、
再循環流量制御装置３００にも伝えられる。このとき、
再循環流量制御装置３００は、インターナルポンプの速
度要求信号を出力する。可変周波数電源装置３０１は、
その速度要求信号に基づいてインターナルポンプ３０２
をランバックさせ炉心流量の低下を図る。前述の負荷遮
断発生信号９は、更に、制御棒駆動制御装置２００に入
力される。

【００１３】自動出力調整装置１００の判定回路１２１
は、原子炉出力を示す実出力相当信号（例えば、炉心１
０内に設けられた多数のＬＰＲＭ（図示せず）で検出さ
れた中性子束信号に基づいて得られたＡＰＲＭ信号）１
０３が所定値(Ａ％)以上であると判定した場合に第一次
選択制御棒挿入条件成立信号２１９を出力する。制御棒
駆動制御装置２００のアンド回路２１１は、その第一次
選択制御棒挿入条件成立信号２１９と負荷遮断発生信号
９とのアンド条件が成立したときに、切替スイッチ２０
３をａ側に切替える。このスイッチ２０３の切り替えに
よって、通常の起動時に制御手段演算回路２０９から出
力される制御棒挿入引き抜き要求信号２１５による制御
棒操作を中止させ、予め設定してある負荷急減時用の選
択制御棒のうち水圧駆動モードで挿入する選択制御棒の
パターンを設定した回路２０５のパターンに従った選択
制御棒挿入信号２１６が出力される。この選択制御棒挿
入信号２１６は、該当する各選択制御棒を操作する各制
御棒駆動装置２１７に急速挿入の駆動水を供給するため
に、該当する電磁弁１２のアクチュエータ１３に伝えら
れる。コントローラであるアクチュエータ１３は、電磁
弁１２を開する。電磁弁１２が開くことによって、加圧
ガスにより加圧されているアキュームレータ１３内の駆
動水１４が駆動水供給配管１５を通って制御棒駆動装置
２１７内に導かれる。駆動水供給配管１５は、制御棒駆
動装置２１７に接続される。具体的には、特開昭56−47
786 号公報の図１に示すノズル１７に接続される。この
ようにして、回路２０５に設定された選択制御棒２０２
が、制御棒駆動装置２１７の水圧駆動モードで炉心１０
内に挿入される。水圧駆動モードで挿入される選択制御
棒２０２は、中性子吸収材領域の軸方向全長が炉心１０
内に挿入される。前述の回路２０５は、挿入される選択
制御棒２０２の一部である水圧駆動モードで挿入される
選択制御棒２０２を設定する。残りの選択制御棒２０２
は、電動機モードで挿入されるものであり、後述するよ
うに制御手段演算回路２０９で設定される。

【００１４】インターナルポンプランバック及び第一次
選択制御棒挿入によって、迅速な原子炉出力の低下が図
られ、負荷遮断発生後直ちに原子炉出力が所定値(Ａ％)
以下の出力まで低下する。インターナルポンプ３０２の
ランバック及び水圧駆動モードでの選択制御棒の挿入に
より、炉心の中性子束は、図４に実線で示すように、急
激に減少する。図４において、破線は従来例での特性を
示す。横軸は、負荷遮断発生時点からの経過時間を示
す。図５は、図４の特性に対応した原子炉水位の変動を
示し、実線が本実施例、破線が従来例の各特性を示して
いる。

【００１５】自動出力調整装置１００の判定回路１１８
は、負荷遮断発生信号９，インターナルポンプランバッ
ク完了信号３１７、及び第一次選択制御棒挿入完了信号
208を入力しこれらの信号のＡＮＤ条件、あるいは負荷
遮断発生信号９及び判定回路１２１が所定値(Ａ％)以下
の実出力相当信号１０３に対して出力する信号１２０の
ＡＮＤ条件に基づいて、第一次処理完了信号１１６を発
生する。第一次選択制御棒挿入完了信号２０８は、制御
棒駆動制御装置２００の判定回路２０６が制御棒位置検
出器２０７で測定される制御棒位置信号に基づいて水圧
駆動モードでの選択制御棒挿入の完了を判定したときに
出力する。上記の第一次処理完了信号１１６によって、
自動出力調整装置１００内の切替スイッチ１１５は、ａ
側に切替えられる。また、制御棒駆動制御装置２００内
の切替スイッチ２０３は、オア回路２１３の作用によっ
て、第一次選択制御棒挿入完了信号２０８あるいは信号
１２０に基づいてｂ側に切替えられる。この状態で、自
動出力調整装置１００による第二次選択制御棒挿入操作
が可能となる。

【００１６】すなわち、記憶器１１３内に設定しておい
た負荷遮断後の目標整定出力は、自動出力調整装置１０
０内の切替スイッチ１１５のａ側への切替えにより、目
標出力設定器１０１に入力される。加算器１０４は、目
標出力設定器１０１が目標整定出力に基づいて出力した
目標出力信号１０２と実出力相当信号１０３との偏差を
演算し、この偏差を制御棒価値信号１０８として出力す
る。この制御棒価値信号１０８は、制御棒駆動制御装置
２００に伝えられる。制御棒駆動制御装置200は、制御
棒価値信号１０８及び制御棒価値ミノマイザ２１０に設
定されている選択制御棒のうち、第二次選択制御棒挿入
操作ですなわち電動機駆動モードで炉心１０に挿入すべ
き選択制御棒２０２を設定する。すなわち、制御手段演
算回路２０９は、制御棒価値信号１０８に基づいて第二
次選択制御棒挿入操作を行なう選択制御棒の本数、実際
に挿入する選択制御棒の特定及び選択制御棒の挿入深さ
を演算により求める。制御手段演算回路２０９は、ま
ず、挿入操作を行なう制御棒挿入引き抜き要求信号２１
５を、上記演算により求められた各選択制御棒202を操
作する各制御棒駆動装置２１７に対する電動機駆動制御
回路２０１に出力する。電動機駆動制御回路２０１は、
その制御棒挿入引き抜き要求信号２１５に基づいて該当
する電動機１１を駆動させる。このため、該当する選択
制御棒２０２が、制御棒駆動装置２１７の電動機駆動モ
ードで炉心１０内に指定された深さまで挿入される。制
御手段演算回路２０９は、第一次選択制御棒挿入によっ
て炉心内に投入される負の反応度の変化割合よりも小さ
い変化割合でその負の反応度が変化するように該当する
選択制御棒２０２の挿入を、電動駆動モードで、前述の
水圧駆動モードでの挿入に比べてゆっくり行なうよう制
御棒挿入要求信号２１５を出力する。この操作によっ
て、第一次処理により減少した中性子束は、前述したよ
うに炉心内に投入される負の反応度の変化割合が小さい
ので、図４の実線で示すように一旦上昇傾向を示し、増
加した状態でほぼ一定に制御される。その後、負荷遮断
発生時点から約９０秒が経過したとき、電動駆動モード
で挿入した制御棒の効果が現れ、中性子束は、発電所内
単独負荷運転時における所定の値まで減少し、以後その
値に保持される。このように、電動駆動モードでの選択
制御棒操作によって負荷遮断後の目標整定出力に原子炉
出力を保持する制御である第二次処理が行なわれる。上
記の制御によって、原子炉水位は、図５に示すように従
来例よりも早く所定水位に整定される。

【００１７】本実施例では、第一次の選択制御棒の挿入
を水圧駆動モードで行ない、第二次の選択制御棒の挿入
を電動駆動モードで行なう。

【００１８】なお、負荷遮断発生信号９を直接制御棒駆
動制御装置２００，再循環流量制御装置３００に入力す
ることをやめ、自動出力調整装置１００のみに入力し、
本装置からインターナルポンプランバック及び第一次選
択制御棒挿入の信号を出力すれば、自動出力調整装置１
００の指令のみで負荷遮断発生後の出力低下から出力整
定までの一連の操作を行なうことも可能である。また、
記憶器１１４内の値を外部から設定可能にすれば、任意
の出力に復旧させることも可能となる。

【００１９】また、負荷急減事象が発生しても出力が所
定値(Ａ％)以下の場合は、判定回路１２１から条件成立
信号２１９が出力されないため、制御棒駆動制御装置２
００内の切替スイッチ２０３はａ側に切り替わらない
が、自動出力調整装置１００内の切替スイッチ１１５は
負荷遮断発生信号９と信号１２０とのＡＮＤ条件により
信号１１６が発生するためａ側に切替られる。

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、負荷急減後、所内単独
負荷運転を達成するまでの原子炉主要パラメータの変動
を抑制した制御を実施することができ、原子炉水位の変
動を抑制できる。しかも、原子炉出力の低下度合いを緩
和できるので復水器の保護も十分に行なえる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の好適な一実施例である原子炉出力制御
装置の構成図である。

【図２】図１の自動出力調整装置の詳細構成図である。

【図３】図１の制御棒駆動制御装置の詳細構成図であ
る。

【図４】負荷遮断後の中性子束の変化を示す特性図であ
る。

【図５】負荷遮断後の原子炉水位の変化を示す特性図で
ある。

【図６】従来の原子炉出力制御装置の構成図である。

【符号の説明】

１…原子炉、２…蒸気加減弁、２…タービンバイパス
弁、９…負荷遮断発生信号、１００…自動出力調整装
置、２００…制御棒駆動制御装置、２０２…制御棒、３
００…再循環流量制御装置、３０２…インターナルポン
プ。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】電動機及び駆動水圧力により制御棒を操作
する複数の制御棒駆動装置を備えた原子炉の出力を制御
する方法において、異常時における原子炉出力の低減に際して、前記制御棒
駆動装置への駆動水の供給によって複数の選択制御棒の
一部を炉心内に挿入し、その後、前記電動機を駆動して
前記制御棒駆動装置によって他の前記選択制御棒を炉心
内に挿入することを特徴とする原子炉出力制御方法。
【請求項２】前記電動機の駆動による選択制御棒の挿入
は、前記制御棒駆動装置への駆動水の供給による前記選
択制御棒の挿入により原子炉出力が所定レベル以下にな
ったときに行なう請求項１の原子炉出力制御方法。
【請求項３】電動機及び駆動水圧力により制御棒を操作
する複数の制御棒駆動装置を備えた原子炉の出力を制御
する装置において、複数の選択制御棒の一部である、前記制御棒駆動装置へ
の駆動水の供給により炉心内に挿入される第１選択制御
棒を設定する第１選択制御棒設定手段と、異常時におい
て原子炉出力を低減させるときに、前記第１選択制御棒
の挿入を行なう前記制御棒駆動装置に駆動水を供給する
手段と、前記第１制御棒以外の選択制御棒である第２選
択制御棒を設定する第２選択制御棒設定手段と、前記第
１選択制御棒の挿入後に、前記第２選択制御棒の挿入を
行なうために前記制御棒駆動装置の電動機を制御する手
段とを備えたことを特徴とする原子炉出力制御装置。
【請求項４】前記第２選択制御棒設定手段は、測定され
た原子炉出力と目標原子炉出力との偏差に基づいて前記
第２選択制御棒を設定するように構成されている請求項
３の原子炉出力制御装置。