JPH06271751A - ポリエステル系重合体組成物 - Google Patents

ポリエステル系重合体組成物

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JPH06271751A
JPH06271751A JP1986194A JP1986194A JPH06271751A JP H06271751 A JPH06271751 A JP H06271751A JP 1986194 A JP1986194 A JP 1986194A JP 1986194 A JP1986194 A JP 1986194A JP H06271751 A JPH06271751 A JP H06271751A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 (a)ポリエステル系重合体、および(b)
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックおよび
1,2−結合量が20%以下のポリブタジエンを水素添
加して得られる水添ポリブタジエンブロックからなる群
より選ばれるブロックAと、水素添加されたポリイソプ
レンブロック、1,2−結合量が30〜70%のポリブ
タジエンを水素添加して得られる水添ポリブタジエンブ
ロックおよび水素添加されたイソプレンとブタジエンの
ランダム共重合体ブロックからなる群より選ばれるブロ
ックBとを含有するブロック共重合体の末端に水酸基を
有する変性ブロック共重合体(b−1)および/または
芳香族ビニル化合物及びポリイソブチレンを含有する末
端に水酸基を有する変性ブロック共重合体(b−2)を
含有するポリエステル系重合体組成物。 【効果】 優れた耐熱性、耐溶剤性、成形加工性等の諸
特性を保ちつつ、耐衝撃性の向上と軽量化を達成した成
形品を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステル系重合体
と、末端に水酸基を有するブロック共重合体とを主成分
とするポリエステル系重合体組成物に関するものであ
り、該ポリエステル系重合体組成物は耐熱性、耐溶剤
性、成型加工性等の特性だけでなく、耐衝撃性に優れて
いる。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系重合体は、その優れた耐
熱性、耐溶剤性、成型加工性等の特性を活かして、近
年、電気部品、電子部品、自動車用部品、産業機械部品
等の種々の分野で広く用いられている。しかしながらポ
リエステル系重合体は衝撃強度が不十分であること、ま
た比重が汎用のエンジニアリングプラスチックの中で比
較的重いという欠点があり、この改良が望まれている。
【0003】ポリエステル系重合体の耐衝撃性の改良の
方法として、ポリエステル系重合体にゴム成分を混合す
ることが試みられている(例えば、特公昭46−522
4号公報、特公昭46−5225号公報、特公昭46−
5227号公報、特公昭46−32866号公報など参
照)。またポリエステル系重合体の低比重化の方法とし
て、ポリエステル系重合体にポリエチレン、ポリプロピ
レンのような比重の小さい重合体を配合するという試み
がある(例えば、特開昭53−147号公報参照)。
【0004】異種の重合体を混合して組成物とする場
合、一般に、相溶性の良いものの組合せは極めて少な
い。上記のポリエステル系重合体にゴム成分やポリエチ
レン、ポリプロピレン等を混合して組成物とする場合に
おいても、多くの場合、相溶性の悪さに起因する不均一
性、相間剥離等の問題が生じ、ポリエステル系重合体の
耐衝撃性の改良や低比重化の目的は達成されていないの
が現状である。ポリエステル系重合体と、P−Q−P
(P:芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロック、
Q:共役ジエン化合物からなる重合体ブロック)の構造
を有する、共役ジエン化合物部分の70%以上が水素添
加されたブロック共重合体との組成物が、破断時の引張
強度に優れた成形体を与えるとの報告がなされているが
(例えば、英国特許第1581167号明細書、特開昭
52−150464号公報など参照)、この組成物は耐
衝撃性の点で不満足であり、また引張伸びが必ずしも十
分ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、弾性
および耐衝撃性を改善するだけでなく、低比重化を実現
したポリエステル系重合体組成物を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。す
なわち本発明は、(a)ポリエステル系重合体、および
(b)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック
および1,2−結合量が20%以下のポリブタジエンを
水素添加して得られる水添ポリブタジエンブロックから
なる群より選ばれる少なくとも1個のブロックAと、水
素添加されたポリイソプレンブロック、1,2−結合量
が30〜70%のポリブタジエンを水素添加して得られ
る水添ポリブタジエンブロックおよび水素添加されたイ
ソプレンとブタジエンのランダム共重合体ブロックから
なる群より選ばれる少なくとも1個のブロックBとを含
有するブロック共重合体の末端に水酸基を有する変性ブ
ロック共重合体(b−1)および/または芳香族ビニル
化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックC
と、少なくとも1個のポリイソブチレンブロックDを含
有するブロック共重合体の末端に水酸基を有する変性ブ
ロック共重合体(b−2)を含有し、かつ成分(a)と
成分(b)の重量比が(a)/(b)=98/2〜40
/60であることを特徴とするポリエステル系重合体組
成物に関する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
重合体組成物において(a)成分として用いられるポリ
エステル系重合体は、芳香族ジカルボン酸、p−ヒドロ
キシ芳香族カルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジオー
ル、脂肪族ジカルボン酸を適当な組み合わせで重縮合し
て得られるポリマー、またはラクトンの開環重合により
得られるポリマーであり、ポリエチレンテレフタレート
系重合体(以後「PET系重合体」と略記する)、ポリ
ブチレンテレフタレート系重合体(以後「PBT系重合
体」と略記する)、ポリアリレート、ポリp−ヒドロキ
シ安息香酸系ポリマー、ポリエチレンナフタレート系重
合体(以後「PEN系重合体」と略記する)、ポリブチ
レンナフタレート、ポリ1,4−シクロヘキサンジメチ
レンテレフタレート、ポリカプロラクトンはその代表的
なものである。
【0008】〔PET系重合体〕PET系重合体を製造
するための酸成分は、テレフタル酸またはそのエステル
形成性誘導体のみからなっていてもよいが、必要に応じ
て、少量(通常20モル%以下)の他の酸成分を含んで
いてもよい。そのような併用しうる酸成分の例として
は、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p
−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボ
ン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボ
ン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカ
ンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸などの脂環式ジカルボン酸;またはこれらのジカ
ルボン酸のエステル形成性誘導体(メチルエステル、エ
チルエステル等の低級アルキルエステルなど)が挙げら
れる。これらの併用しうる酸成分は1種のみでもよく、
2種以上でもよい。
【0009】また、PET系重合体を製造するためのジ
オール成分は、エチレングリコールのみからなっていて
もよいが、必要に応じて、少量(通常20モル%以下)
の他のジオール成分を含んでいてもよい。そのような併
用しうるジオール成分の例としては、プロピレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタ
ノール、シクロヘキサンジオールなどの炭素数3〜10
の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、
ポリテトラメチレングリコールなどの分子量6000以
下のポリアルキレングリコールなどを挙げることができ
る。これらの併用しうるジオール成分は1種のみでもよ
く、2種以上でもよい。
【0010】更に、PET系重合体はその特性に大きな
悪影響を受けないかぎり、例えばグリセリン、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット
酸、ピロメリット酸などの三官能以上の共重合成分を少
量含んでもよい。
【0011】本発明で使用するPET系重合体は、従来
公知の方法により製造することができ、その製造方法等
は特に限定されない。またPET系重合体の分子量や極
限粘度等は、通常の範囲であればいずれでもよい。
【0012】〔PBT系重合体〕PBT系重合体を製造
するための酸成分は、テレフタル酸またはそのエステル
形成性誘導体のみからなっていてもよいが、必要に応じ
て、少量(通常20モル%以下)の他の酸成分を含んで
いてもよい。そのような併用しうる酸成分の例として
は、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p
−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボ
ン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボ
ン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカ
ンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸などの脂環式ジカルボン酸;これらのジカルボン
酸のエステル形成性誘導体(メチルエステル、エチルエ
ステル等の低級アルキルエステルなど)が挙げられる。
これらの併用しうる酸成分は1種のみでもよく、2種以
上でもよい。
【0013】また、PBT系重合体を製造するためのジ
オール成分は、1,4−ブタンジオールのみからなって
いてもよいが、必要に応じて少量(通常20モル%以
下)の他のジオール成分を含んでいてもよく、そのよう
な併用しうるジオール成分の例としては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−
ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シク
ロヘキサンジオールなどの炭素数2〜10の脂肪族ジオ
ール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコールなどの分子量6000以下のポリアルキレン
グリコールなどを挙げることができる。これらの併用し
うるジオール成分は1種のみでもよく、2種以上でもよ
い。
【0014】更に、PBT系重合体は、その特性に大き
な影響を与えない限り、例えばグリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット
酸、ピロメリット酸などの三官能以上のモノマー成分を
少量含んでいてもよい。本発明で使用するPBT系重合
体は、従来公知の方法により製造することができ、その
製造方法等は特に限定されない。またPBT系重合体の
分子量や極限粘度等は、通常の範囲であればいずれでも
よい。
【0015】〔PEN系重合体〕PEN系重合体を製造
するための酸成分は、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸またはそれらのエ
ステル形成性誘導体のみからなっていてもよいが、必要
に応じて、少量(通常20モル%以下)の他の酸成分を
含んでいてもよい。そのような併用しうる酸成分の例と
しては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ビス
(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカ
ルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ジフ
ェノキシエタン−4′,4″−ジカルボン酸等の芳香族
ジカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等の
脂肪族ジカルボン酸;またはそれらのエステル形成性誘
導体などを挙げることができる。これらの併用しうる酸
成分は1種のみでもよく、2種以上でもよい。
【0016】また、PEN系重合体を製造するためのジ
オール成分は、エチレングリコールのみからなっていて
もよいが、必要に応じて、少量(通常20モル%以下)
の他のジオール成分を含んでいてもよい。そのような併
用しうるジオール成分の例としては、プロピレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、デカメチレンジオール、シクロヘキサンジオール
等の炭素数3〜10の脂肪族ジオール;ジエチレングリ
コール、ポリ1,3−プロピレングリコール、ポリテト
ラメチレングリコール等の分子量6000以下のポリア
ルキレングリコールなどを挙げることができる。これら
の併用しうるジオール成分は1種のみでもよく、2種以
上でもよい。
【0017】更に、PEN系重合体は、その特性に大き
な影響を与えない限り、例えばグリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット
酸、ピロメリット酸等の三官能以上の共重合成分を少量
含んでいてもよい。本発明で使用するPEN系重合体
は、従来公知の方法により製造することができ、その製
造方法等は特に限定されない。またPEN系重合体の分
子量や極限粘度等は、通常の範囲であればいずれでもよ
い。
【0018】本発明におけるもう一方の成分である変性
ブロック共重合体(b−1)はアニオン重合法によって
製造することができ、変性ブロック共重合体(b−2)
はカチオン重合法によって製造することができる。
【0019】変性ブロック共重合体(b−1)として
は、例えば、次の各式で示されるものが挙げられる。 (W−X)k−OH (X−W)l−OH W−(X−W)m−OH X−(W−X)n−OH (各式中、Wは重合体ブロックAを表わし、Xは重合体
ブロックBを表わし、k,l,mおよびnはそれぞれ1
以上の整数を表わし、OHは水酸基を表わす。)変性ブ
ロック共重合体(b−1)における重合体ブロックAと
重合体ブロックBとの反復数k,l,mおよびnは任意
に決め得るが、通常5以下であることが好ましい。な
お、使用する変性ブロック共重合体(b−1)は1種類
のみであってもよく、2種類以上であってもよい。
【0020】重合体ブロックAを構成する芳香族ビニル
化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、3−
メチルスチレン、4−プロピルスチレン、1−ビニルナ
フタレン、2−ビニルナフタレン等のうちから1種また
は2種以上が選ばれ、とりわけスチレンが好ましい。
【0021】かかる変性ブロック共重合体(b−1)
は、通常の有機アルカリ金属触媒を用いるアニオンリビ
ング重合等によりリビングポリマーを得、末端に水酸基
を付加させた後、水添することによって得られる。例え
ば、式(W−X′)kまたは式W−(X′−W)m(各
式中、W,kおよびmは前記定義のとおりであり、X′
は水素添加されたポリイソプレンブロックを表わす。)
で示されるブロック共重合体のうち2元ブロック共重合
体の水添前駆体は、n−ブチルリチウム、s−ブチルリ
チウム等を重合開始剤に用い、ヘキサン、ヘプタン、シ
クロヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素化合物、またはベ
ンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素化合物を溶媒に用
いて30から60℃の温度条件下で、芳香族ビニル化合
物単量体またはブタジエン単量体をアニオン重合するこ
とによってリビングポリマーを得、続いてイソプレン単
量体をアニオン重合することによって製造することがで
きる。かかる2元ブロック共重合体の製造において、引
き続き芳香族ビニル単量体またはブタジエン単量体をア
ニオン重合すれば3元ブロック共重合体を製造すること
ができ、さらにこの重合操作を繰り返すことにより4元
以上のブロック共重合体を製造することができる。
【0022】(X′−W)lまたはX′−(W−X′)
n(各式中、W、lおよびnは前記定義のとおりであ
り、X′は水素添加されたポリイソプレンブロックを表
わす。)で示されるブロック共重合体のうち2元ブロッ
ク共重合体の水添前駆体は、イソプレン単量体をアニオ
ン重合することによってリビングポリマーを得、続いて
芳香族ビニル単量体またはブタジエン単量体をアニオン
重合することによって製造することができる。かかる2
元ブロック共重合体の製造において、引き続きイソプレ
ン単量体をアニオン重合すれば3元ブロック共重合体を
製造することができ、さらにこの重合操作を繰り返すこ
とにより4元以上のブロック共重合体を製造することが
できる。上記ブロック共重合体の製造において、ブタジ
エン単量体とイソプレン単量体の混合液をアニオン重合
に付することにより、イソプレンとブタジエンのランダ
ム共重合体ブロックを導入することができる。また、ブ
タジエン単量体を適当量のジオキサンまたはテトラヒド
ロフランの存在下にアニオン重合することにより、1,
2−結合量が30〜70%のポリブタジエンブロックを
導入することができる。これと同様に、イソプレン単量
体を適当量のジオキサンまたはテトラヒドロフランの存
在下にアニオン重合することにより、3,4−結合量が
30〜70%のポリイソプレンブロックを導入すること
ができる。
【0023】ブロック共重合体が所望の分子構造および
分子量に達した時点でエチレンオキサイドまたはプロピ
レンオキサイドを付加した後、アルコール類、カルボン
酸類、水等の活性水素化合物を添加して重合を停止す
る。
【0024】次いで、得られたブロック共重合体は水添
される。水添触媒としては均一系触媒または不均一系触
媒を用いることができる。均一系触媒を用いる場合、有
機遷移金属触媒(例えば、ニッケルアセチルアセトナー
ト、コバルトアセチルアセトナート、ナフテン酸ニッケ
ル、ナフテン酸コバルト等)とアルミニウム、アルカリ
金属、アルカリ土類金属等の金属のアルキル化物との組
み合わせによるチーグラー触媒等を水添反応に供される
ブロック重合体中に含まれる炭素−炭素二重結合に対す
るモル比で0.01〜0.1%程度使用する。水添反応
は通常、常温〜150℃、常圧〜50kg/cm2 の水
素圧下で行われ、約1〜50時間で終了する。反応終了
後、反応容器中に酸性の水を加え、激しく撹拌すること
で水添触媒を水中に溶解させる。相分離している2相の
うち水相を除去し、さらに溶媒を留去することで、目的
とする変性ブロック共重合体(b−1)を得る。
【0025】本発明において用いられる変性ブロック共
重合体(b−1)は、イソプレン単量体またはブタジエ
ン単量体に基づく炭素−炭素二重結合の50%以上が水
添されていることが好ましく、耐熱劣化性、耐候性等の
観点から水添率は80%以上であるのがより好ましい。
【0026】変性ブロック共重合体(b−2)として
は、例えば、次の各式で示されるもが挙げられる。 HO−(Y−Z−Y)p−OH HO−(Z−Y−Z)q−OH (各式中、Yは重合体ブロックCを表わし、Zは重合体
ブロックDを表わし、pおよびqはそれぞれ1以上の整
数を表わし、OHは水酸基を表わす。)
【0027】重合体ブロックCを構成する芳香族ビニル
化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロロ
スチレン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、と
りわけスチレンが好ましい。
【0028】変性ブロック共重合体(b−2)は、通常
の1,4−ジ(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン
を用いるカチオンリビング重合等によりリビングポリマ
ーを得、末端に水酸基を付加させることによって得られ
る。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等
のシクロアルカン、または塩化メチル、塩化メチレン等
のハロゲン化アルカンの溶媒中で1,4−ジ(2−メト
キシ−2−プロピル)ベンゼンおよび4塩化チタンを開
始剤として−10℃〜−90℃の温度条件下でイソブチ
レン単量体をカチオン重合してリビングポリマーを得、
続いてN,N−ジメチルアセトアミドおよび2,6−ジ
−t−ブチルピリジンを加えた後、スチレン単量体をカ
チオン重合することによって末端に塩素原子を有するス
チレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体
を得、次いで、得られたブロック共重合体を脱塩酸、ハ
イドロボレーションおよび酸化して、末端に水酸基を有
するスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共
重合体を製造する。この重合操作を繰り返すことにより
5元以上でかつ繰り返し単位数が奇数のブロック共重合
体を製造することができる。
【0029】変性ブロック共重合体(b−1)における
水酸基、および変性ブロック共重合体(b−2)におけ
る水酸基は、それぞれ相当する重合体ブロックAおよび
重合体ブロックBの末端、ならびに重合体ブロックCお
よび重合体ブロックDの末端のいずれに付加されていて
もよいが、ハードブロックである重合体ブロックAおよ
び重合体ブロックCの末端に付加されたものが好まし
く、スチレンブロックの末端に付加されたものが最も好
ましく用いられる。かかる末端水酸基の付加量は、変性
ブロック共重合体1分子あたり0.5個以上であるのが
よく、特に0.7個以上であるのがよい。
【0030】変性ブロック共重合体(b−1)における
重合体ブロックAの数平均分子量、および変性ブロック
共重合体(b−2)における重合体ブロックCの数平均
分子量はともに4000〜50000の範囲にあるのが
好ましい。変性ブロック共重合体(b−1)における重
合体ブロックBの数平均分子量、および変性ブロック共
重合体(b−2)における重合体ブロックDの数平均分
子量はともに10000〜100000の範囲にあるの
が好ましい。さらに、変性ブロック共重合体(b−1)
の数平均分子量、および変性ブロック共重合体(b−
2)の数平均分子量は14000〜150000の範囲
にあるのが好ましい。変性ブロック共重合体(b−1)
における重合体ブロックAとブロックBの重量比、なら
びに変性ブロック共重合体(b−2)における重合体ブ
ロックCとブロックDの重量比について特に制限はない
が、いずれも1:9から7:3の範囲内にあるのが好ま
しい。
【0031】本発明のポリエステル系重合体組成物にお
いて、ポリエステル系重合体と変性ブロック共重合体
(b−1)および/または変性ブロック共重合体(b−
2)とは、該ポリエステル系重合体/該変性ブロック共
重合体の重量比において98/2〜40/60となる割
合で用いられる。ポリエステル系重合体組成物における
ポリエステル系重合体の使用割合が40重量%より少な
いとポリエステル系重合体が本来有する優れた耐熱性、
耐溶剤性、力学特性等が発現しなくなる。一方、変性ブ
ロック共重合体の使用割合が2重量%より少ないと耐衝
撃性、低比重化の改良効果が得られなくなる。
【0032】本発明の重合体組成物は、必要に応じて、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類や
ポリスチレン等のその他の重合体、ならびに補強剤、充
填剤、酸化防止剤、離型剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、結晶核剤、難燃剤等の各種の添加剤を含有す
ることができる。
【0033】本発明の重合体組成物は、上記した2種類
の重合体および必要に応じて他の添加剤を同時にまたは
逐次に混合し、常法により溶融混練を行うことにより製
造することができる。溶融混練は単軸押出機、二軸押出
機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機等を使用
して行うことができる。使用される装置の種類や溶融混
練条件等は特に限定されないが、180〜270℃の温
度条件下では3〜15分程度の時間で混練可能である。
【0034】本発明の重合体組成物は、射出成形、押出
成形、プレス成形、ブロー成形、押出ブロー成形、カレ
ンダー成形、流延成形等の任意の成形法によって成形す
ることができ、それによって電気部品、電子部品、機械
部品、自動車部品、パイプ、シート、フィルム、日用品
等の任意の形状および用途の成形体を製造することがで
きる。
【0035】
【実施例】以下に本発明を実施例等により具体的に説明
するが、本発明はそれにより限定されるものではない。
なお、本実施例で使用した重合体の種類をその略号とと
もに下記の表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】(実施例1〜15、比較例1〜17)表1
に示した各重合体をブラベンダーを用いて、表2および
表3に示した重量割合で混合して種々の重合体組成物を
調製した。得られた重合体組成物について、以下に記載
するプレス法により試験片を作製した。試験片を用い
て、軽量性の判定のためにその比重を、また弾性の判定
のために引張伸びを、耐衝撃性の判定のためにアイゾッ
ト衝撃試験を下記の方法により測定した。
【0038】試験片の製造とその引張伸びの測定:各重
合体組成物をブラベンダーで温度240℃〜250℃の
条件下に混練し、細断した後、温度240℃〜250
℃、プレス圧100kg/cm2 でプレス成形して、J
IS K7113に準じて引張り伸びを測定した。
【0039】その結果、下記の表2および表3に示すと
おりの結果を得た。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】上記表2および表3の結果から、本発明の
組成物からはポリエステル系重合体単品と比較して、よ
り大きな伸びを示す成形品が得られることがわかる。
【0043】試験片の製造とその耐衝撃性の測定:各重
合体組成物をブラベンダーで温度240℃〜250℃の
条件下に混練し、細断した後、温度240℃〜250
℃、プレス圧100kg/cm2 でノッチ付きアイゾッ
ト試験片を成形し、JIS K7110に準じて耐衝撃
性を測定した(測定温度23℃)。
【0044】その結果、上記の表2および表3に示すと
おりの結果を得た。
【0045】上記表2および表3の結果から、ポリエス
テル系重合体と比較して、よりアイゾット耐衝撃値の高
い成形品が得られることがわかる。
【0046】また上記表2および表3の結果から、本発
明の組成物からはポリエステル系重合体単品と比較し
て、より比重の小さい軽量化の達成された成形品が得ら
れることがわかる。
【0047】
【発明の効果】本発明のポリエステル系重合体組成物か
らは、ポリエステル系重合体が本来有する優れた耐熱
性、耐溶剤性、成形加工性等の諸特性を保ちつつ、伸
び、耐衝撃性の向上、軽量化が達成された実用上極めて
有効な各種の成型品を得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリエステル系重合体、および
    (b)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック
    および1,2−結合量が20%以下のポリブタジエンを
    水素添加して得られる水添ポリブタジエンブロックから
    なる群より選ばれる少なくとも1個のブロックAと、水
    素添加されたポリイソプレンブロック、1,2−結合量
    が30〜70%のポリブタジエンを水素添加して得られ
    る水添ポリブタジエンブロックおよび水素添加されたイ
    ソプレンとブタジエンのランダム共重合体ブロックから
    なる群よりから選ばれる少なくとも1個のブロックBと
    を含有するブロック共重合体の末端に水酸基を有する変
    性ブロック共重合体(b−1)および/または芳香族ビ
    ニル化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロッ
    クCと、少なくとも1個のポリイソブチレンブロックD
    を含有するブロック共重合体の末端に水酸基を有する変
    性ブロック共重合体(b−2)を含有し、かつ成分
    (a)と成分(b)の重量比が(a)/(b)=98/
    2〜40/60であることを特徴とするポリエステル系
    重合体組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997013801A1 (fr) * 1995-10-12 1997-04-17 Kuraray Co., Ltd. Procede de production de composition de resine thermoplastique

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