JPH0627110B2 - N−(1−置換−2,2,2−トリクロロエチル)−5−ブロモサリチルアミド誘導体 - Google Patents

N−(1−置換−2,2,2−トリクロロエチル)−5−ブロモサリチルアミド誘導体

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JPH0627110B2
JPH0627110B2 JP61044099A JP4409986A JPH0627110B2 JP H0627110 B2 JPH0627110 B2 JP H0627110B2 JP 61044099 A JP61044099 A JP 61044099A JP 4409986 A JP4409986 A JP 4409986A JP H0627110 B2 JPH0627110 B2 JP H0627110B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、各種植物病原菌による農作物等の病害の防除
等に主として利用される新規なN−(1−置換−2,2,2
−トリクロロエチル)−5−ブロモサリチルアミド誘導
体に関する。
従来技術 従来、N−(1−置換−2,2,2−トリクロロエチル)−
サリチルアミド誘導体において置換基としてアルコキシ
基、シクロアルコキシ基又はフエノキシ基を有する化合
物が知られている(特開昭54−39040号、特開昭57−163
354号)。
しかし、これらの公知化合物は、いずれもそのベンゼン
環に置換基を有していない。すなわち、本発明が対象と
するベンゼン環に置換基を導入したN−(1−置換−2,
2,2−トリクロロエチル)−5−ブロモサリチルアミド
誘導体は、本発明者らにより始めて合成された文献未載
の新規化合物である。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、各種植物病原菌に対して広範囲な抗菌スペク
トルを有し、植物病原菌による農作物等の病害防除にも
有用性を有する新規化学物質を提供することを課題とす
る。
以下本発明を詳しく説明する。
発明の構成 本発明の特徴は、下記一般式(I)で表わされるN−
(1−置換−2,2,2−トリクロロエチル)−5−ブロモ
サリチルアミド誘導体にある。
(式中、Rは2−ブロモエトキシ基、2−クロロエトキ
シ基、2−フルオロエトキシ基、2−ヨードエトキシ
基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、3−ブロモプロ
ポキシ基、3−クロロプロポキシ基又は4−クロロブト
キシ基を示し、R1は水素原子、アセチル基、プロピオ
ニル基、n−オクタノイル基、n−ドデカノイル基、メ
トキシアセチル基又はシクロプロピルカルボニル基を示
す。但し、Rが2−クロロエトキシ基でR1が水素原子
である場合及びRが2,2,2−トリフルオロエトキシ基で
1が水素原子である場合は除く。) 上記一般式(I)で表わされる化合物の具体例及びその
理化学的性質を示すと表1のとおりである。
次に、本発明に係るN−(1−置換−2,2,2−トリクロ
ロエチル)−5−ブロモサリチルアミド誘導体の調製法
について説明する。
本発明の化合物の合成法の概要は下記のように示すこと
ができる。
(式中、R、R1は前記と同じ意味を示す) すなわち、N−(1−2,2,2−テトラクロロエチル)−
o−アセチル−5−−ブロモサリチルアミド(式(II)
においてR1=COCH3)をベンゼン等の有機溶媒中で等モ
ル乃至それより稍々過剰の置換アルコール類と等モルの
トリエチルアミンの存在下に、室温で30分乃至数時間撹
拌下に反応させることにより、目的化合物(式(I)中
のR1=COCH3)を容易に得ることができる。
なお、得られた目的化合物が油状の場合はシリカゲルカ
ラムクロマトグラフイー等により分離、精製し、また、
結晶性である場合は再結晶等により精製することができ
る。
また、式(I)のR1が水素原子である化合物を所望の
場合は、上記方法で得られたアセチル化物をメタノール
等の溶媒中で少量の濃塩酸と共に数時間加熱還流するこ
とにより得ることができる。さらに、式(I)のR1
アセチル基以外のアシル誘導体である化合物を所望の場
合は、式(I)のR1が水素原子である化合物に氷水冷
却下にアセトニトリル等の有機溶媒中で等モル乃至それ
より稍々過剰モルの酸クロリドとトリエチルアミンを加
え、30分乃至数時間撹拌下に反応させることにより容易
に得ることができる。
以下に本発明に係る化合物の合成例を示してその調製法
を具体的に説明する。
合成例1 N−〔2,2,2−トリクロロ−1−(2,2,2−トリフルオロ
エトキシ)エチル〕−o−アセチル−5−ブロモサリチ
ルアミド(化合物番号1)の合成: N−(1,2,2,2−テトラクロロエチル)−o−アセチル
−5−ブロモサリチルアミド4.2g(0.01モル)をベンゼン
環100mlに溶解し、これに2,2,2−トリフルオロエタノー
ル1.2g(0.012モル)を加えた後、室温でトリエチルアミ
ン1.0g(0.01モル)を加え、2時間撹拌下に反応させた。
得られた反応液から析出したトリエチルアミン塩酸塩を
濾別、ベンゼン層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、ベンゼンを減圧留去し白色結晶4.43gを得た。
これをn−ヘキサン:ベンゼン=3:1混合溶媒25mlで
再結晶し、融点110〜1℃の表1における化合物番号1
を白色結晶として3.7g(収率77.2%)を得た。
得られた化合物の理化学的性質は下記のとおりである。
IR(KBr、cm-1);3350(NH)、1750(OCO)、1665(CONH)、NMR
*(CCl4)δ(ppm);2.28(3H,s:COCH 3)、4.18(2H,q,J=8H
z:OCH 2CF3)、5.99(1H,d,J=10Hz:NHCH)、7.10(1H,d,
J=9Hz:ベンゼン環−) 7.61(1H,d,J=10Hz:NH)、7.69(1H,d,d,J=3Hz,9Hz,:
ベンゼン環−)、8.02(1H,d,J=3Hz:ベンゼン環−
) 合成例2 N−〔2,2,2−トリクロロ−1−(2,2,2−トリフルオロ
エトキシ)エチル〕−o−メトキシアセチル−5−ブロ
モサリチルアミド(化合物番号5)の合成: N−〔(2,2,2−トリクロロ−1−(2,2,2−トリフルオ
ロロエトキシ)エチル)−5−ブロモサリチルアミド1.
0g(0.0022モル)をアセトニトリル20mlに溶解した後、
これにメトキシアセチルクロリド0.27g(0.024モル)を加
え、氷水冷却下にトリエチルアミン0.24g(0.0024モル)
を加え4時間撹拌下に反応させた。
得られた反応液を氷水中に投入し、沈降する油状物をク
ロロホルムで抽出した。クロロホルム層を分取、無水硫
酸ナトリウムで乾燥後、濃縮してを微黄色油状物1.4g
を得た。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフイーで精製(ベ
ンゼン展開)して無色油状物0.93g(収率82.3%)を得
た。これを固化させ、n−ヘキサン:ベンゼン15:1混
合溶媒15mlで再結晶し、融点82〜4℃の表1における化
合物番号5を白色結晶として0.79g(収率70%)を得
た。
この化合物の理化学的性質は下記のとおりである。
IR(KBr、cm-1):3320(NH)、1770(OCO)、1660(CONH)、NMR
*(CCl4)δ(ppm):3.47(3H,s:OCH 3)、4.13(2H,q,J=8H
z:OCH 2CF3)、4.22(2H,s:COCH 2)、5.97(1H,d,J=10H
z:NHCH)、7.17(1H,d,J=9Hz:ベンゼン環−)、7.58
(1H,d,J=10Hz:NH)、7.69(1H,d,,d,J=2Hz,9Hz:ベ
ンゼン環−)、8.02(1H,d,J=2Hz:ベンゼン環−) 合成例3 N−〔1−(2−ブロモエトキシ)−2,2,2−トリクロ
ロエチル〕−o−アセチル−5−ブロモサリチルアミド
(化合物番号8)の合成: N−(1,2,2,2−テトラクロロエチル)−o−アセチル
−5−ブロモサリチルアミド4.2g(0.01モル)をベンゼン
100mlに溶解し、これに2−ブロモエタノール1.5g(0.01
2モル)を加えた後、室温でトリエチルアミン1.0g(0.01
モル)を加え2時間撹拌下に反応させた。
得られた反応液から析出したトリエチルアミン塩酸塩を
濾別、ベンゼン層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで
乾燥後、濃縮して微黄色油状物を得た。これを固化させ
n−ヘキサン:ベンゼン=3:1混合溶媒40mlで再結晶
し、融点104〜6℃の表1における化合物番号8を白色
結晶として2.7g(収率53%)を得た。
この化合物の理化学的性質は下記のとおりである。
IR(KBr、cm-1):3320(NH)、1740(OCO)、1665(CONH)、NMR
*(CDCl3)δ(ppm):2.37(3H,s,:COCH 3) 3.50(2H,t,J=6Hz:CH 2Br)、4.11(2H,t,J=6Hz:OC
H 2)、5.93(1H,d,J=10Hz:NHCH)、7.09(1H,d,J=9H
z:ベンゼン環−)、7.40(1H,d,J=10Hz,:NH)、7.72
(1H,d,d,J=3Hz,9Hz:ベンゼン環−)、8.14(1H,d,J
=3Hz:ベンゼン環−) 合成例4 N−〔2,2,2−トリクロロ−1−(2−フルオロエトキ
シエチル〕−o−アセチル−5−ブロモサリチルアミド
(化合物番号11)の合成: N−〔1,2,2,2−テトラクロロエチル)−o−アセチル
−5−ブロモサリチルアミド4.2g(0.001モル)をベンゼ
ン100mlに溶解し、これに2−フルオロエタノール0.77g
(0.012モル)を加えた後、室温でトリエチルアミン1.0g
(0.01モル)を加え3.5時間撹拌下に反応させた。得られ
た反応液から析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別、
ベンゼン層を水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、濃縮して微黄色油状物を得た。
これを固化させ、n−ヘキサン:ベンゼン=5:2混合
溶媒30mlで再結晶し、融点103〜5℃の表1における化
合物番号11を白色結晶として3.04g(収率67.6%)を得
た。この化合物の理化学的性質は下記のとおりである。
IR(KBr、cm-1):3400(NH)、1760(OCO)、1670(CONH)、NMR
*(CDCl3)δ(ppm):2.38(3H,s,:COCH 3)、4.00(2H,m,J
=26Hz:OCH 2)、4.78(2H,m,JHF=45Hz:CH 2F)、5.99(1
H,d,J=10Hz:NHCH)、7.13(1H,d,J=9Hz:ベンゼン環
)、7.48(1H,d,J=10Hz,:NH)、7.78(1H,d,d,J=2
Hz,9Hz,:ベンゼン環−)、8.19(1H,d,J=2Hz:ベン
ゼン環−) 合成例5 N−〔2,2,2−トリクロロ−1−(3−クロロプロポキ
シ)エチル〕−5−ブロモサリチルアミド(化合物番号
21)の合成: N−〔2,2,2−トリクロロ−1−(3−クロロプロポキ
シ)エチル〕−o−アセチル−5−ブロモサリチルアミ
ド1.89g(0.0039モル)をメタノール25mlに溶解し、これ
に濃塩酸1mlを加え、2時間加熱還流した。
冷却後、得られた反応液を水中に投入し、析出する白色
結晶を濾別、良く水洗、乾燥後n−ヘキサン:ベンゼン
=3:2混合溶媒25mlで再結晶し、融点149〜50℃の表
1における化合物番号21を白色結晶として1.25g(収率
73.1%)を得た。
この化合物の理化学的性質は下記のとおりである。
IR(KBr、cm-1):3300(NH)、3100(OH)、1625(CONH)、NMR*
(d6-DMSO)δ(ppm):2.06(2H,p,J=6Hz:CH 2CH2Cl)、3.
73(2H,t,:J=6H:CH 2Cl)、3.90(2H,t,J=6Hz:OC
H 2)、5.91(1H,d,J=10Hz:NHCH)、6.99(1H,d,J=9H
z:ベンゼン環−)、7.61(1H,d,d,J=3Hz,9Hz:ベン
ゼン環−)、8.11(1H,d,J=3Hz,:ベンゼン環−)、
11.99(1H,ds,ベンゼン環−O) 上記各合成例におけるNMRに関するデータは下記を表
す。 s……単一線、d……二重線、t……三重線、 q……四重線、p……五重線、 bs……幅広い単一線 J……カツプリング定数 発明の有効性 本発明に係るN−(1−置換−2,2,2−トリクロロエチ
ル)−5−ブロモサリチルアミド誘導体は各種植物病原
菌に対して広範囲な抗菌スペクトルを示し、後記試験例
に示すように、特にキウリべと病、トマト疫病、インゲ
ン灰色かび病、小麦うどんこ病及び赤さび病の農作物の
病害防除に優れた効果を示す。
以下に上記誘導体の植物病害に対する防除効果の試験例
及びそれを用いるための製剤例を具体的に示す。
本発明の化合物の製剤化に当つては担体(希釈剤)及び
助剤の種類、その混合比、有効成分の量は広い範囲で変
更し得る。
製剤例1 本例は粉剤形態の製剤化を示す。
上記配合のものを粉砕混合し散粉として使用する。
製剤例2 本例は水和剤形態を示す。
上記配分のものを粉砕混合て水和剤とし、水で希釈して
使用する。
次に、上記製剤例に従つて本発明の各化合物を製剤化し
たものについてその農作物における殺菌効果を試験した
例を示す。
試験例1 トマト疫病防除試験 径10cmの素焼鉢を用いて栽培した4葉期のトマト幼苗
(品種:福寿2号、1本植/鉢、3鉢/処理区使用)に
製剤例2に従つて調製した各化合物の水和剤を所定濃度
に水で希釈、懸濁し1鉢当り5ml散布した。散布葉に風
乾後、罹病葉から採取したトマト疫病菌の胞子液を噴霧
接種し、20〜22℃の湿室に24時間保ち、その後ガラス温
室に放置した。接種6日後に次の調査基準により罹病度
を調査し、1本当りの平均罹病度をしめした。
調査基準 結果は表2に示すとおりである。
試験例2 キユウリべと病防除効果試験 径10cmの素焼鉢を用いて栽培した第2本葉時のキユウリ
葉(品種:相模半白、1本播き/鉢、3鉢/処理区使
用)に製剤例2に従つて調製した各化合物の水和剤を所
定濃度に水で希釈、懸濁し、1鉢当り5ml散布した。次
いで、散布葉に乾燥後、罹病葉から採取したキユウリべ
と病菌の胞子液を噴霧接種し、22〜23℃高湿度条件に24
時間保ち、その後は温室に放置した。接種後7日後に次
の調査基準により1葉/鉢、3鉢/処理について罹病度
を調整し、1葉当りの平均罹病度で示した。
(調査基準) 結果は表3に示すとおりである。
試験例3 インゲン灰色かび病防除効果試験 径10cmの素焼鉢を用いて栽培した第1本葉時のインゲン
葉(品種;本金時)に対し製剤例2に従つて調製した各
化合物の水和剤を所定濃度に水で希釈、懸濁し、1鉢当
り5ml散布した。散布葉に風乾後、予め庶糖加用馬鈴薯
煎汁寒天培地を用いて20℃で4日間培養した灰色かび病
菌の含菌寒天円形切片(径5mm)を葉の中央部に直接付
着せしめ、4日間20〜22℃の湿室に保つた後、次の調査
基準により無処理の葉の発病面積と比較して罹病度を求
め平均罹病度で示した。(1処理区当り4葉使用) 調査基準 結果は表4に示すとおりである。
試験例4 小麦うどんこ病防除効果試験 径10cmの素焼鉢を用いて栽培した第2本葉時の幼苗小麦
(品種;農林64号、16本/鉢)に製剤例2に従つて調
製した各化合物の水和剤を所定濃度に水で希釈、懸濁
し、1鉢当り5ml散布した。風乾後、罹病葉から採取し
た小麦うどんこ病菌の胞子の懸濁液を噴霧接種し、20〜
22℃で高湿度条件に24時間保ち、その後は温室に放置し
た。接種10日後に次の調査基準により無処理のものと比
較して罹病度を調査した。
(調査基準) 結果は表5に示すとおりである。
試験例5 小麦赤さび病防除効果試験 径10cmの素焼鉢を用いて栽培した第2本葉時の幼苗小麦
(品種;農林64号、16本/鉢)に製剤例2に従つて調
製した各化合物の水和剤を所定濃度に水で希釈、懸濁
し、1鉢当り5ml散布した。散布風乾後、罹病葉から採
取した小麦赤さび病菌夏胞子の懸濁液を噴霧接種し、20
〜22℃、高湿度条件に24時間保つた。その後ガラス温室
に放置し、7日後に次の調査基準により無処理のものと
比較して罹病度を調査した。
(調査基準) 結果は表6に示すとおりである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) (式中、Rは2−ブロモエトキシ基、2−クロロエトキ
    シ基、2−フルオロエトキシ基、2−ヨードエトキシ
    基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、3−ブロモプロ
    ポキシ基、3−クロロプロポキシ基又は4−クロロブト
    キシ基を示し、R1は水素原子、アセチル基、プロピオ
    ニル基、n−オクタノイル基、n−ドデカノイル基、メ
    トキシアセチル基又はシクロプロピルカルボニル基を示
    す。但し、Rが2−クロロエトキシ基でR1が水素原子
    である場合及びRが2,2,2−トリフルオロエトキシ基で
    1が水素原子である場合は除く。) で表わされるN−(1−置換−2,2,2−トリクロロエチ
    ル)−5−ブロモサリチルアミド誘導体。
JP61044099A 1986-03-03 1986-03-03 N−(1−置換−2,2,2−トリクロロエチル)−5−ブロモサリチルアミド誘導体 Expired - Lifetime JPH0627110B2 (ja)

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