JPH06269466A - 歯科補綴物 - Google Patents

歯科補綴物

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JPH06269466A
JPH06269466A JP6206193A JP6206193A JPH06269466A JP H06269466 A JPH06269466 A JP H06269466A JP 6206193 A JP6206193 A JP 6206193A JP 6206193 A JP6206193 A JP 6206193A JP H06269466 A JPH06269466 A JP H06269466A
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dental prosthesis
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casting
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Withdrawn
Application number
JP6206193A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Fukuda
宏 福田
Toshihiro Isshiki
敏浩 一色
Hideki Nishishita
英樹 西下
Takeshi Hidaka
猛 日高
Yoshimitsu Inoue
義光 井上
Kazuhiro Watanabe
一博 渡辺
Naoki Mizutsuki
直樹 水月
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】生体親和性に優れ、容易に製造でき、製造後に
切削加工による形状修正が可能であると共に天然歯に近
似した審美性を再現できる歯科補綴物及びその製造方法
を提供する。 【構成】歯科補綴物50は、支台歯53の色を遮蔽し得る程
度に低い透明度を有するガラスセラミックスからなる内
層部51と、内層部51よりも外側に配置された内層部51の
透明度よりも高い透明度を有するガラスセラミックスか
らなる外層部52を具備する。結晶化が進行し易いガラス
組成物を鋳造成型して内層部51を作製し、内層部51の上
に結晶化した後に内層部51のガラス組成物よりも結晶化
が進行し難いガラス組成物を鋳造成型して外層部52を鋳
接により積層する。この後、内層部51及び外層部52に加
熱処理を施して結晶化させて歯科補綴物50を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科補綴物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、審美性及び生体親和性に優れたセ
ラミックス製の歯科補綴物が脚光を浴びている。従来の
セラミックス製の歯科補綴物としては、以下のようなも
のが知られている。
【0003】(1)内層部を陶材焼付用合金を用いてロ
ストワックス鋳造法で作製し、この内層部に外層部とし
て歯科用陶材を築盛した後に焼付けてなる、所謂、金属
焼付け陶材による歯科補綴物。
【0004】(2)内層部を金属箔または耐火材上で歯
科用陶材を築盛および焼成して作製し、この内層部に外
層部として歯科用陶材を焼付けたオールポーセレン製歯
科補綴物(特開昭64−64647号公報)。
【0005】(3)内層部を導電性セラミックス焼結体
を用いて形彫放電加工法で作製し、この内層部に外層部
として歯科用陶材を焼付けた歯科補綴物(特開平2−2
55135号公報)。
【0006】(4)マイカ結晶、マイカ結晶およびスポ
ンジュメン結晶、リン酸カルシウム等の結晶を析出する
結晶化ガラスをロストワックス鋳造法により成型し、そ
の後熱処理を施して結晶化させた、所謂、ガラスセラミ
ックス製歯科補綴物(特開昭62−12637号公報、
特開昭51−73019号公報、特開昭56−4914
5号公報)。
【0007】(5)結晶化ガラスをロストワックス鋳造
法により成型し、その後、熱処理して結晶化させて結晶
化ガラス成型体を得て、その表面に金属元素を含有する
ステイン材を塗布した後に所定の熱処理を施すことによ
り着色した歯科補綴物。
【0008】(6)内層部を結晶化ガラスを用いてロス
トワックス鋳造法により成型した後に熱処理して作製
し、この内部層に外層部として歯科用陶材を築盛し焼付
けた歯科用補綴物(本出願人特許出願 特願平3−21
4979号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような従来の歯科補綴物は以下のような欠点を有する。
すなわち、従来例(1)の金属焼付陶材による歯科補綴
物は、内層部に用いた陶材焼付用合金から口腔内への金
属成分の溶出が生じるため、金属アレルギーを引き起こ
す問題がある。
【0010】また、従来例(2)のオールポーセレン製
の歯科補綴物、従来例(3)の導電性セラミックス焼結
体に歯科用陶材を焼付けた歯科補綴物、および、従来例
(6)に示す結晶化ガラスからなる内層部の上に歯科用
陶材を焼付けた歯科補綴物に関しては、これらの製造に
おいて陶材の築盛および焼付けを行うのに熟練を要し、
補綴物内部に気泡が生じ易く機械的強度が劣化してしま
う。また、陶材は、一般的に天然歯より硬度が高いた
め、製造後に口腔内で形状修正を行うのが難しく、一
方、使用中には歯科補綴物に対合する天然歯を摩耗させ
易い欠点がある。
【0011】また、従来例(4)に示す結晶化ガラスを
鋳造成型して得られる歯科補綴物は、容易に所望の形状
を付与でき製造に熟練を要しない点で優れている。しか
し、一度の鋳造により成型され単一の材料で構成される
ため、結晶化によって単一色で単一透明度のものしか製
造できない。
【0012】歯科補綴物への着色に着目すれば、従来例
(5)の歯科補綴物のように、金属元素を含有するステ
イン材を塗布した後に所定の熱処理を施す着色方法がよ
く用いられる。しかし、この方法によっても、天然歯切
端部のエナメル様の透明な部分を再現することは難し
い。これに対して、歯科補綴物において、天然歯切端部
の透明度を再現するためには、例えば、補綴物全体の透
明度を高くすることが考えられるが、支台の色の影響を
受けてしまうため審美性に劣る。
【0013】本発明は、かかる点に鑑みてされたもので
あり、生体親和性に優れ、容易に製造でき、かつ、製造
後に切削加工による形状修正が可能であると共に、天然
歯に近似した審美性を再現することができる歯科補綴物
およびその製造方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、支台
の色を遮蔽し得る程度に低い透明度を有するガラスセラ
ミックスからなる内層部と、前記内層部よりも外側に配
置された前記内層部の透明度よりも高い透明度を有する
ガラスセラミックスからなる外層部とを具備することを
特徴とする歯科補綴物を提供する。
【0015】また、本発明は、結晶化した後に支台の色
を遮蔽し得る程度に低い透明度を呈するような第1結晶
化ガラス組成物を鋳造成型して内層部を得る工程と、結
晶化した後に前記内層部の透明度よりも高い透明度を呈
するような第2結晶化ガラス組成物を前記内層部の表面
上に鋳造成型して外層部を得る工程と、得られた前記内
層部および前記外層部に加熱処理を施して結晶化させる
工程とを具備することを特徴とする歯科補綴物の製造方
法(以下、第1の製造方法という)を提供する。
【0016】また、本発明は、結晶化ガラス組成物を鋳
造成型した後に所定温度で加熱処理を施して結晶化させ
る工程と、結晶化ガラス組成物を前記内層部の表面上に
鋳造成型した後に前記内層部を結晶化させた温度よりも
低い温度で加熱処理を施して結晶化させて外層部を得る
工程とを具備することを特徴とする歯科補綴物の製造方
法(以下、第2の製造方法という)を提供する。
【0017】さらに、本発明は、結晶化ガラス組成物を
鋳造成型した後に所定温度で加熱処理を施して結晶化さ
せる工程と、結晶化ガラス組成物を前記内層部の表面上
に鋳造成型した後に前記内層部を結晶化させた処理時間
よりも短い時間で加熱処理を施して結晶化させて外層部
を得る工程とを具備することを特徴とする歯科補綴物の
製造方法(以下、第3の製造方法という)を提供する。
以下、本発明の歯科補綴物およびその製造方法を詳細に
説明する。
【0018】本発明の歯科補綴物は、透明度が互いに異
なる2層以上のガラスセラミックス層で構成される。す
なわち、歯科補綴物は、支台の色を遮蔽し得る程度に低
い透明度を有するガラスセラミックスからなる内層部
と、内層部よりも外側に配置された内層部の透明度より
も高い透明度を有するガラスセラミックスからなる外層
部を具備する。
【0019】内層部および外層部のガラスセラミックス
の透明度の相違は、例えば、同一結晶が析出するガラス
セラミックスにおける結晶化したガラスの割合(以下、
結晶化度という)が異なることによって生じる。すなわ
ち、結晶化度が高くなるほど透明度が低くなる。ガラス
セラミックスの結晶化度は、結晶化ガラス組成物の組
成、加熱処理の温度および時間に依存する。例えば、同
一の加熱温度および加熱時間では、結晶化し難い結晶化
ガラス組成物を用いるほど透明度が高い。また、同一の
結晶化ガラス組成物を用いた場合には、加熱処理の温度
が高いほど、また、加熱処理の時間が長いほど透明度が
低い。
【0020】内層部は、支台の色を遮蔽し得る程度に低
い透明度を有し、例えば、結晶化度が高いガラスセラミ
ックスで構成され、天然歯の内層に近似した象牙色を呈
することが好ましい。一方、外層部は、内層部よりも高
い透明度を有し、例えば、結晶化度が低いガラスセラミ
ックスで構成され、天然歯の切端エナメル部と同等の透
明度を有することが好ましい。
【0021】内層部および外層部は、互いに鋳接により
積層されることが好ましい。鋳接とは、先に製造した内
層部の上に歯科用ワックスを用いて外層部の形状に対応
したワックスパターンを築盛し、このワックスパターン
にスプルー線を取付ける。次いで、ワックスパターンを
元に歯科用埋没材を用いて常法に従って鋳型を作製し、
この鋳型に外層部を構成する結晶化ガラス組成物の溶融
体を流し込み鋳造することにより内層部と外層部とを接
合させることをいう。本発明の歯科補綴物は、2層構造
に限らず多層構造にすることができる。
【0022】本発明の歯科補綴物に用いられるガラスセ
ラミックスは、マイカ結晶とスポジュメンを析出する組
成からなる結晶化ガラス組成物を原料とするが、これに
限定されず、ガラス組成を変更することにより結晶化度
を調整できる結晶化ガラスの系であれば使用できる。し
かし、切削加工性、機械的強度の面からは、マイカ結
晶、および、スポジュメン結晶のような機械的強度を付
与し得る結晶の二種類以上の結晶を析出する結晶化ガラ
ス組成物が特に好ましい。さらに、外層部の表面に、常
法に従ってステイン材を用いて着色することも可能であ
り、透明感だけでなく色調を再現することもできる。
【0023】以上のような構成からなる本発明の歯科補
綴物によれば、内層部が透明度が低いガラスセラミック
ス結晶化物で構成されているため、支台の色を遮蔽する
ことができ、支台の色の影響が表面に出て審美性が損な
われることがない。また、外層部が透明度が高いガラス
セラミックス結晶化物で構成されているので、より天然
歯に近い質感を再現でき、審美性が著しく改善される。
【0024】また、歯科補綴物の全体が、切削加工が容
易であるガラスセラミックス結晶化物で構成されてい
る。このため、従来のポーセレンを用いた歯科補綴物に
比べて、口腔内での形状修正も容易である。また、天然
歯と同程度の硬度を有するため、口腔内で歯科補綴物と
対合する天然歯を摩耗させることも起こり難い。さら
に、ガラスセラミックスは生体親和性に優れているの
で、従来の金属を用いた歯科補綴物のように、アレルギ
ーを引き起こすこともなく、人体に対して安全である。
【0025】一方、本発明の歯科補綴物の製造方法は、
いずれも、結晶化度が異なるガラスセラミックスを鋳接
により積層することにより、内層部よりも外層部の透明
度が高い歯科補綴物を得ることを特徴とする。
【0026】第1の製造方法は、同一の結晶化温度およ
び時間における析出結晶化度が異なる結晶化ガラス組成
物を用いる。すなわち、内層部には結晶化が進み易い結
晶化ガラス組成物を用い、外層部には、結晶化が進み難
い結晶化ガラス組成物を用いる。一般に、同一結晶が析
出する結晶化ガラスの系では、結晶核となる元素が少な
く、ガラスのネットワークを構成する元素を多く含む結
晶化ガラス組成物ほど結晶化が進み難くなることが知ら
れている。この際、加熱処理の温度および時間は同一で
足りる。
【0027】また、第2の製造方法は、内層部を鋳造し
た後に所定の温度で加熱処理を施して結晶化させ、次い
で、内層部の上に外層部を鋳接により積層させた後に、
得られた鋳造物に内層部の結晶化よりも低い温度で加熱
処理を施して結晶化させる。この際に、内層部および外
層部の加熱処理時間は同一で足りる。
【0028】また、第3の製造方法は、内層部を鋳造し
た後に所定の時間で加熱処理を施して結晶化させ、次い
で、内層部の上に外層部を鋳接により積層させた後に、
得られた鋳造物に内層部の結晶化よりも短い時間で加熱
処理を施して結晶化させる。この際に、内層部および外
層部の加熱温度は同一で足りる。
【0029】ただし、内層部および外層部が異なる結晶
を析出する異なる系の結晶化ガラス組成物を用いても良
い。しかし、上述の第1〜第3の製造方法では、ガラス
組成物の組成、加熱温度または加熱時間のいずれか一つ
を変更することにより、内層部よりも外層部の透明度が
高い歯科補綴物を得ることができるので、製造設備、製
造条件を簡略化できる点で優れている。また、上述の加
熱処理の温度および時間は、使用する結晶化ガラス組成
物の結晶化度に依存して決定される。
【0030】以上のような歯科補綴物の製造方法によれ
ば、結晶化度が異なるガラスセラミックスからなる内層
部および外層部を鋳接により積層している。このため、
従来のポーセレン歯科補綴物の製造における陶材の築盛
および焼付けのような熟練を必要とする工程が含まれて
おらず、形状加工が容易なワックスパターンの築盛だけ
で済むので歯科補綴物の作業効率が著しく向上する。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。 実施例1 内層部および外層部に夫々異なる組成を有する結晶化ガ
ラス組成物を用いて同一条件で結晶化させた歯科補綴物
の製造方法の一例について説明する。まず、表1に示す
各種原料を所定の組成で混合したバッチを1480℃で
溶融した後急冷させて2種の結晶化ガラス組成物a,b
を作製した。
【0032】
【表1】
【0033】2種の結晶化ガラス組成物a,bは、加熱
処理を施して結晶化させることにより、マイカ結晶およ
びスポンジュメン結晶を析出する。結晶化ガラス組成物
aのバッチ組成は、結晶化ガラス組成物bのバッチ組成
よりも同一の加熱温度および加熱時間で結晶化させた場
合に結晶が析出する結晶化が進み方が若干大きくなって
いる。次に、歯科用ワックスを用いて、歯科補綴物の内
層部に相当する形状からなる第1ワックスパターンを築
盛して作製した。
【0034】作製した第1ワックスパターン11を、図
1に示すように、スプルー線12を介してクルシブルフ
ォーマー13の円錐台部13aの頂点に接合した。次い
で、クルシブルフォーマー13の土台部13bの周縁部
上に、第1ワックスパターン11、スプルー線12、円
錐台部13aを囲包するようにリング14を載置した。
次に、リング14の内部に、スラリー状にした歯科用埋
没材を流し込んで、第1ワックスパターン11を埋没さ
せた。歯科用埋没材が完全に固化した後、歯科用埋没材
からクルシブルフォーマー13を取り外して所定温度で
焼成し、図2に示すような、内部に第1ワックスパター
ン11に対応した窩洞21とスプルー線12に対応した
スプルー線部22が形成された第1鋳型20を得た。
【0035】次いで、上述の結晶化ガラス組成物aを1
450℃で溶融し1250℃まで冷却した後、550℃
に加熱した第1鋳型20に流し込んで遠心鋳造し、内層
部に相当する第1鋳造物を得た。次に、得られた第1鋳
造物の上に歯科用ワックスを築盛して外層部に相当する
形状を有する第2ワックスパタ−ンを作製した。
【0036】第1鋳造物31および第2ワックスパター
ン32を、図3に示すように、スプルー線33を介して
クルシブルフォーマー34の円錐台部34aの頂点に接
合した。次いで、クルシブルフォーマー34の土台部3
4bの周縁部上に、第1鋳造物31、第2ワックスパタ
ーン32、スプルー線33、円錐台部34aを囲包する
ようにリング35を載置した。次に、リング35の内部
に、スラリー状にした歯科用埋没材を流し込んで第1鋳
造物31および第2ワックスパターン32を埋没させ
た。歯科用埋没材を完全に固化した後、歯科用埋没材か
らクルシブルフォーマー34を取り外した後に所定温度
で焼成し、図4に示すような、内部に第2ワックスパタ
ーン32に対応した窩洞41とスプルー線33に対応し
たスプルー線部42が形成された第2鋳型40を得た。
次いで、上述の結晶化ガラス組成物bを1450℃で
溶融した後1250℃まで冷却し、550℃に加熱した
第2鋳型40に流し込んで遠心鋳造し、第1鋳造物に外
層部に相当する第2鋳造物が鋳接により接合された接合
体を得た。
【0037】得られた接合体を、加熱炉中で20℃/分
の昇温速度で750℃まで昇温し、2時間保持した。こ
の後、さらに20℃/分の昇温速度で910℃まで昇温
し、2分間保持して結晶化させた後直ちに加熱炉中で徐
冷させた。これにより、図5に示すように、内層部51
とこの上に積層された外層部52からなる2層構造の歯
科補綴物50を得た。
【0038】この歯科補綴物50は、内層部51および
外層部52は、夫々同一の加熱温度および加熱時間で結
晶化させた場合に結晶化の進み方が異なる結晶化ガラス
組成物a,bを鋳造成型した後に同時に加熱処理が施さ
ている。このため、内層部51および外層部52の結晶
化度が異なり透明度が異なっていた。すなわち、第1鋳
造物および第2鋳造物の接合体を同一の温度および時間
で加熱したが、第1鋳造物は結晶化が進み易いガラス組
成の結晶化ガラス組成物aで構成されているため、十分
に結晶化ガラスの結晶化が進み、支台歯53の色を遮蔽
するに十分な程度まで透明度が低くなった。一方、第2
鋳造物は、結晶化ガラス組成物aに比べて結晶化が進み
難いガラス組成の結晶化ガラス組成物bで構成されてい
るため、結晶化度が低く、天然歯の切端部に近似した透
明度を再現することができた。
【0039】なお、加熱処理の最高温度を950℃に上
げて保持時間を無くしても上述の歯科補綴物50と同様
な歯科補綴物を得ることができた。さらに、予め第1鋳
造物にある程度加熱処理を施して結晶化させた後、上述
と同様にして第1鋳造物の上に第2鋳造物を鋳造して接
合することによっても、上述の歯科補綴物50と同様な
歯科補綴物を得ることができた。 実施例2 次に、内層部および外層部に同一の結晶ガラス組成物を
用いて異なる温度で加熱処理を施して結晶化させた実施
例について説明する。
【0040】まず、表2に示す各種原料を所定の組成で
混合したバッチを1470℃で2時間かけて溶融した後
カーボン中に急冷させて2種の結晶化ガラス組成物c,
dを作製した。
【0041】
【表2】
【0042】次に、実施例1と同様の手順に従って、内
層部に相当する形状の第1鋳造物を鋳造するための第1
鋳型を作製し、上述の結晶化ガラス組成物c,dを鋳造
して第1鋳造物を夫々作製した。得られた第1鋳造物
を、加熱炉中で15℃/分の昇温速度で750℃まで昇
温し、2時間保持した。この後、さらに15℃/分の昇
温速度で950℃まで昇温し、1分間保持して結晶化さ
せた後加熱炉中で徐冷させて夫々の内層部を得た。
【0043】次に、得られた内層部の上に、実施例1と
同様の手順に従って上述の結晶化ガラス組成物c,dを
鋳造成型して、内層部の上に第2鋳造物が鋳造により接
合された接合体を得た。この接合体を加熱炉中で15℃
/分の昇温速度で750℃まで昇温して2時間保持し、
さらに15℃/分の昇温速度で900℃まで昇温し、1
分間保持して結晶化させた後直ちに加熱炉中で徐冷させ
た。これにより、結晶化ガラス組成物c,dで構成され
た2層構造の歯科補綴物が夫々得られた。
【0044】このようにして得られた歯科補綴物は、内
層部および外層部は夫々同一の結晶化ガラス組成物から
成型されるが、異なる温度で加熱され結晶化している。
このため、内層部および外層部の結晶化度が異なり透明
度が異なっていた。すなわち、内層部は高い温度で結晶
化されているので十分に結晶化が進み、支台歯の色を遮
蔽するに十分な程度まで透明度が低くなった。一方、外
層部は、内層部の結晶化に比べて低い温度で加熱してい
るため、内層部よりも結晶化度が低く天然歯の切端部に
近似した透明度を再現することができた。 実施例3 次に、内層部および外層部に同一の結晶ガラス組成物を
用いて同一温度で異なる時間で加熱処理を施して結晶化
させた実施例について説明する。実施例2と同様にして
表2に示す各種原料からなる2種の結晶化ガラス組成物
c,dを作製した。
【0045】次に、実施例1と同様の手順に従って、内
層部に相当する形状の第1鋳造物を鋳造するための第1
鋳型を作製し、上述の結晶化ガラス組成物c,dを鋳造
して第1鋳造物を夫々作製した。得られた第1鋳造物
を、加熱炉中で15℃/分の昇温速度で750℃まで昇
温し、2時間保持した。この後、さらに15℃/分の昇
温速度で900℃まで昇温し30分間保持して結晶化さ
せた後加熱炉中で徐冷させて夫々の内層部を得た。
【0046】次に、得られた内層部の上に、実施例1と
同様の手順に従って上述の結晶化ガラス組成物c,dを
鋳造成型して、内層部の上に第2鋳造物が鋳造により接
合された接合体を得た。この接合体を加熱炉中で15℃
/分の昇温速度で750℃まで昇温して2時間保持し、
さらに15℃/分の昇温速度で900℃まで昇温し、1
分間保持して結晶化させた後直ちに加熱炉中で徐冷させ
た。これにより、結晶化ガラス組成物c,dで構成され
た2層構造の歯科補綴物が夫々得られた。
【0047】このようにして得られた歯科補綴物は、内
層部および外層部は夫々同一の結晶化ガラス組成物から
成型されるが、同一の温度で異なる時間加熱され結晶化
している。このため、内層部および外層部の結晶化度が
異なり透明度が異なっていた。すなわち、内層部は合計
の加熱処理時間が十分に長いので十分に結晶化が進み、
支台歯の色を遮蔽するに十分な程度まで透明度が低くな
った。一方、外層部は、内層部の結晶化に比べて加熱処
理時間が短いため、内層部よりも結晶化度が低く天然歯
の切端部に近似した透明度を再現することができた。
【0048】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の歯科補綴物
によれば、透明度が十分に低い内層部により支台の色を
遮蔽できるので支台の色の影響が表面に出て審美性が損
なわれるのを防止できる。また、外層部が透明度が高い
ガラスセラミックス結晶化物で構成されているので、よ
り天然歯に近い質感を再現でき、審美性が著しく改善さ
れる。また、歯科補綴物の全体が、切削加工が容易であ
るガラスセラミックス結晶化物で構成されているので口
腔内での形状修正も容易である。また、天然歯と同程度
の硬度を有するため、口腔内で歯科補綴物と対合する天
然歯を摩耗させることも起こり難い。
【0049】また、本発明の歯科補綴物の製造方法によ
れば、結晶化度が異なるガラスセラミックスからなる内
層部および外層部を鋳接により積層しているため、特別
な熟練を必要とする工程が含まれておらず、形状加工が
容易なワックスパターンの築盛だけで済むので歯科補綴
物の作業効率が著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯科補綴物の製造方法の第1鋳型の作
製工程を示す断面図。
【図2】同実施例の歯科補綴物の製造に用いる第1鋳型
を示す断面図。
【図3】同実施例の歯科補綴物の製造方法の第2鋳型の
作製工程を示す断面図。
【図4】同実施例の歯科補綴物の製造に用いる第2鋳型
を示す断面図。
【図5】本発明の歯科補綴物の一実施例を示す説明図。
【符号の説明】
11…第1ワックスパターン、12,33…スプルー
線、13,34…クルシブルフォーマー、14,35…
リング、20…第2鋳型、21,41…窩洞、22,4
2…スプルー線部、31…第1鋳造物、32…第2ワッ
クスパターン、40…第2鋳型、50…歯科補綴物、5
1…内層部、52…外層部、53…支台歯。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日高 猛 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 井上 義光 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 渡辺 一博 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 水月 直樹 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支台の色を遮蔽し得る程度に低い透明度
    を有するガラスセラミックスからなる内層部と、前記内
    層部よりも外側に配置された前記内層部の透明度よりも
    高い透明度を有するガラスセラミックスからなる外層部
    とを具備することを特徴とする歯科補綴物。
JP6206193A 1993-03-22 1993-03-22 歯科補綴物 Withdrawn JPH06269466A (ja)

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