JPH0626865Y2 - 薄型時計 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は水晶発振器や同期モータを用いた時計に関し、
特にムーブメントを薄くする時計体に関するものであ
る。

［従来の技術］ 今日、水晶発振器を用いて正確な基準周波数信号を発生
させ、この基準周波数信号によりステップモータ等の同
期モータを回転させ、この同期モータの回転を輪列を構
成する歯車列により減速し、分針や時針等の指針を駆動
するものが多く用いられている。

この水晶発振器や同期モータを用いた時計では、モータ
のロータと同軸に形成したロータカナを５番車と噛合さ
せ、５番車と同軸の５番カナを秒針車（４番車）と噛合
させ、秒針車と同軸の４番カナを３番車と、３番車と同
軸の３番カナを分針車（２番車）と、分針車と同軸の分
針カナを日の裏車の大径歯車と噛合させ、日の裏車の小
径歯車を時針車（１番車）と噛合させることにより順次
回転速度を減速する構成としている。

そして、この様な輪列を同期モータにより駆動する時計
体においても、該時計体を薄く、即ちムーブメントを薄
型とすることが要求される様になり、歯車の肉厚を薄く
することが試みられ、更に、同軸の秒針や分針及び時針
を回転させる為に、多数の歯車が同軸位置に積層配置さ
れる指針軸の部分を薄くする為に歯車の配置を改良する
ことも行なわれ、ムーブメントにおける指針軸部分を薄
く組み立てる為に、秒針、分針、及び時針を同一軸とす
ることを廃止し、以て秒針車、分針車及び時針車を重ね
ることなく配置し、歯車を同一軸に積層配置する為に必
要とされていた空間の厚みを薄くするもの（例えば実開
昭63-152.586号）や、カナを有しない秒針車および分針
車を用い、指針軸部分には時針車、分針車、及び、秒針
車のみを配置して歯車の積層枚数を３枚にし、輪列の４
番車をもって秒針車を、輪列の２番車をもって分針車
を、輪列の１番車をもって時針車を回転させ、以て指針
軸部分に必要とされていた秒針カナや分針カナを廃止す
ることにより歯車の積層配置に必要な空間の厚みを薄く
するもの（例えば実開昭63-156.087号）が有る。

［考案が解決しようとする課題］ 前述の様に、時針や分針等の指針を同軸に配置した時計
体では指針軸部分に複数枚の歯車を積層する様に配置す
る必要が有り、又、日の裏車を介することにより分針車
の回転を減速して時針車に伝達する為に、同軸とされる
分針車と時針車との間に日の裏車の大径歯車が挿入され
得る間隙を必要とする故、未だ指針軸の部分を充分に薄
くすることは困難な欠点が有った。

又、分針や時針を同軸に配置しない時計体は、そのムー
ブメントを容易に極めて薄くすることが可能であるも、
秒針、分針、及び、時針が文字板の異なる位置に配置さ
れる為、瞬時に時刻を読み取ることは困難であった。

［課題を解決するための手段］ 本考案は秒針を廃止し、以て指針を分針と時針との二針
のみとする時計とし、カナを有しない分針車と時針車と
を同軸に設けると共に、同期モータから順次減速の為の
１番車迄の輪列を前記分針車及び時針車の周囲に配置
し、２番車と１番車とを分針車と同一高さとするときは
１番車と時針車との間に２個の減速しない中間車を、２
番車と１番車とを時針車と同一高さとするときは２番車
と分針車との間に２個の減速しない中間車を介在させる
様に噛合させることとする。

［作用］ 本考案は秒針を廃止すると共に同軸の分針車及び時針車
にカナを有しない歯車を用いた故、指針軸部分の歯車の
積層枚数を２枚とすることができる。

更に、１番車と時針車との間に２個の中間車を配置する
故、時針車の回転方向と分針車の回転方向とを同一回転
方向とすることができ、且つ、１番車と時針車との高さ
をずらすことができる。

従って、１番車を分針車と同一高さに設けられる２番車
に対して同一高さとし、時針車を１番車と異なる高さに
ずらすことにより、同軸に配置する時針車と分針車との
間の間隙を極めて小さくする様にして時針車と分針車と
を同軸に配置することができる。

又、２番車と分針車との間に２個の中間車を配置すると
きは、２番車と分針車との回転方向を同一とし、２番車
と分針車との高さをずらして１番車と２番車及び時針車
とを同一高さとすることが出来る。

［実施例］ 本考案に係る薄型時計の実施例は、第１図に示す様に、
分針車43と時針車47とを同軸に設け、該分針車43及び時
針車47の周囲に同期モータのロータ17と同軸に形成され
たロータカナ19から順次回転を減速する１番車37迄の輪
列を配置したムーブメントを使用するものである。

この実施例では秒針を有しないムーブメントとしている
故、同期モータのロータ17と同軸のロータカナ19を直接
４番車21と噛合させるものであり、第２図に示す様に、
同期モータ15におけるロータ17の上方に形成されるロー
タカナ19を４番車21と噛合させ、４番車21と同軸に４番
車21の下方に設けた４番カナ23を３番車25と、３番車25
と同軸に３番車25の上方に設けた３番カナ27を２番車29
と噛合させ、２番車29は60分間に１回転となる様にロー
タ17の回転数及び各歯車の減速比を定めている。

そして、該２番車29は２番車29と同一直径を有する分針
車43と噛合させ、２番車29と同軸に２番車29の下方に設
けた２番カナ31を日の裏車の大径歯車33と噛合させ、大
径歯車33の上方に設けた日の裏車の小径歯車35を１番車
37と噛合させ、該１番車37は第１中間車39を介して日の
裏車の大径歯車33と同一高さに設けた第２中間体41と噛
合させ、該第２中間体41を前記１番車37と同一直径を有
する時針車47と噛合させるものである。

尚、３番カナ27は３番車25に対してスリップ可能とさ
れ、日の裏車と噛合する修正歯車50を外力により回転さ
せたとき、ロータ17の回転を変化させることなく分針車
43及び時針車47を回転させて分針45及び時針49である指
針の修正を行ない得る様にしている。

本実施例は、上述の様に第１中間体39及び第２中間体41
を介して１番車37を時針車47と等速度で時針車47と逆方
向に回転させており、第１中間車39により時針車47及び
時針車47と同一高さに設ける第２中間車41に対して１番
車37の高さとをずらすことができる故、従来は、２番車
29、即ち分針車43の高さに対し、２番車29の下に２番カ
ナ31を設ける場合は２番カナ31を日の裏車の大径歯車33
と同一高さとし、日の裏車の小径歯車35を大径歯車33の
更に下方に設け、該日の裏車の小径歯車35と同一高さに
１番車37即ち時針車47を設ける様にし、同軸とされる時
針車47と分針車43との間に日の裏車の歯車が１枚挿入さ
れる間隙を上下方向に必要とされていたのに対し、前記
本実施例では、１番車37を分針車43と等速逆回転する２
番車29に対して同一高さに配置することができ、且つ、
分針車43と時針車47との間に歯車を挿入し得る幅の間隙
を設ける必要が無く、指針軸の部分を歯車２枚分の厚み
と僅かな歯車間の間隙のみとして薄く構成することがで
きる。

又、１番車37と２番車29とを同一高さとしている故、日
の裏車の大径歯車33を２番カナ31や３番車25、及び４番
カナ23と同一高さに配置し、２番車29を３番カナ27と同
一高さとすることにより、同軸位置で２層に配置される
べき各歯車の高さを揃えることができ、上板11と下板13
との間に形成されるムーブメント内の間隙に挿入する各
歯車を２層とし、以てムーブメント内に形成する間隙の
幅を小さくし、従ってムーブメントの厚みを薄くするこ
とができる。

更に、図面に示した前記実施例は、第１中間車39及び第
２中間車41を１番車37と時針車47との間に配置している
も、第１中間車39及び第２中間車41を２番車29と分針車
43との間に配置することもできる。

尚、上記実施例は、同期モータ15のロータ17と同軸のロ
ータカナ19を４番車21へ直接噛合させているも、ロータ
カナ19と４番車21との間に５番車及び５番車と同軸の５
番カナを配置する場合も上板11と下板13との間の間隙を
変更することなく容易に５番車を挿入し得るものであ
る。

［考案の効果］ 本考案に係る薄型時計は、該時計体のムーブメントにお
いて、カナを有しない分針車と時針車のみを指針軸部分
へ同軸に配置する故、指針軸の部分における歯車の積層
数を２枚とし、又、時針車と１番車との間か分針車と２
番車との間かに２個の中間車を挿入している故、時針車
と１番車との間に中間車を設けたときは１番車と時針車
との高さをずらせて時針車と分針車との間の間隙を詰め
ることができ、分針車と２番車との間に中間車を設けた
ときは２番車と分針車との高さをずらせて同様に時針車
と分針車との間の間隙を詰めることができ、ムーブメン
トの上板と下板との間に、輪列全体として隣接歯車の噛
合する平面が２層になる様に歯車を収納し得る間隙を設
けるのみとしてムーブメントの厚みを容易に薄くし、以
て時計体を薄くすることを容易に可能とした薄型時計で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る薄型時計のムーブメントにおける
歯車の配置を示す平面図にして、第２図は輪列の噛合状
態を示す側面図である。 11……ムーブメント上板、13……ムーブメント下板、15
……同期モータ、19……ロータカナ、21……４番車、25
……３番車、29……２番車、33……日の裏車大径歯車、
35……日の裏車小径歯車、37……１番車、39……第１中
間車、41……第２中間車、43……分針車、47……時針
車。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】カナを有しない分針車と時針車とを同軸に
   配置し、同期モータのロータカナから順次輪列を介して
   分時刻を表示する分針車を駆動する２番車へ減速する様
   に回転を伝達し、該２番車と同軸の２番カナから日の裏
   車を介して２番車と同一高さとされる１番車に回転を伝
   達し、この１番車により時時刻を表示する時針車に回転
   を伝達して時針車を駆動し、１番車と時針車との間又は
   ２番車と分針車との間の何れか一方には２個の減速しな
   い中間車を介在させるものとし、２番車と分針車とが同
   一高さのときは１番車と時針車との間に、１番車と時針
   車とが同一高さのときは２番車と分針車との間に前記中
   間車を介在させて各針車に回転を伝達させる構造とした
   ことを特徴とする薄型時計