JPH06267129A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JPH06267129A
JPH06267129A JP5080163A JP8016393A JPH06267129A JP H06267129 A JPH06267129 A JP H06267129A JP 5080163 A JP5080163 A JP 5080163A JP 8016393 A JP8016393 A JP 8016393A JP H06267129 A JPH06267129 A JP H06267129A
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哲 喜々津
Katsutaro Ichihara
勝太郎 市原
Susumu Hashimoto
進 橋本
Keiichirou Yuzusu
圭一郎 柚須
Koichiro Inomata
浩一郎 猪俣
Akio Hori
昭男 堀
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Abstract

(57)【要約】 【目的】変調磁界の小さい磁性人工格子薄膜を用いた光
磁気記録媒体、及び磁性人工格子薄膜を用い、光変調ダ
イレクトオーバーライトの可能な光磁気記録媒体を提供
することを目的としている。 【構成】 磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積層さ
れ、垂直磁気異方性を有する磁性人工薄膜からなる記録
層を形成して光磁気記録媒体を作製し、記録層の磁化を
S 、膜厚をdとしたときに、dとMS との積を650
0nm・emu/cc以下に設定する。また、上記記録
層に静磁的に結合するようにバイアス層を設けて光磁気
記録媒体を作製し、dとMS との積を3000nm・
emu/cc以下に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はいわゆる磁性人工格子薄
膜を利用した光磁気記録媒体に関し、さらには直接重ね
書きが可能な光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】垂直磁気異方性を持つ磁性体薄膜にレー
ザを照射し、情報の記録・再生・消去を行う光磁気記録
技術は、光記録技術の有する高記録密度性や媒体の可換
性といった特徴と、磁気記録技術の有するデータの書換
え性とを併せ持つメモリ技術として実用化されている。
【0003】しかし、光磁気記録では、レンズによって
絞りこんだレーザビームスポットによって記録・消去・
再生を行っているため、記録密度はレーザの波長によっ
て上限が与えられる。現在よく使われている波長830
〜780nmの半導体レーザを用いて、十分なキャリア
−ノイズ比(C/N)で記録・再生ができるのはトラッ
クピッチで1.6μm程度の密度であり、現行のレー
ザ、記録媒体、及び記録方法を用いる限りこれ以上の記
録密度を得ることはできない。
【0004】この問題点を解決するために、レーザの波
長を短くしてビームスポット径を小さくする方法が検討
されている。従来用いられてきたアモルファス希土類−
遷移金属合金薄膜(RE−TM)は、短波長でカー回転
角が減少するため、上記のような短波長レーザを用いた
高密度記録に用いるには信号強度を増加させる工夫が必
要となる。
【0005】この欠点を補う新しい高密度記録材料とし
て、近年Coに代表される磁性薄膜と、Pt、Pdなど
に代表される貴金属薄膜を多数回積層させた磁性人工格
子薄膜が研究されている。
【0006】しかし、磁性人工格子薄膜全体の飽和磁化
はRE−TMに比べて大きく、そのため自己漏洩磁界が
大きくなり、記録・消去が可能な磁界幅(変調磁界)が
大きくなるという欠点がある。このため、実用化するた
めに必要な、1kOe程度以下の外部磁界で記録・消去
が可能であるという条件を満たすのが困難である。
【0007】また、磁性人工格子薄膜を用いた光磁気記
録媒体を直接重ね書き(オーバーライト)することがで
きれば、高速・高密度の記録媒体が実現するが、交換結
合方式による光変調ダイレクトオーバーライト(例えば
特開昭62−175948)を行うには、数kOe以上
の磁界が印加される初期化プロセスにおいて磁化反転し
てはならない、という条件を満たす必要があり、保磁力
が数kOe程度以下と小さい磁性人工格子薄膜をこのオ
ーバーライト方式に用いることは困難である。
【0008】さらに、磁性人工格子を用いた光磁気記録
媒体において再生信号を大きくするためには、カー回転
角などの磁気光学効果を増大させればよいが、磁気光学
効果に直接寄与するのがCo等の磁性体であるため、磁
性体の量はできるだけ多いほが好ましい。従って、磁性
人工格子の各層の膜厚比をtM /tN (ただし、tM
磁性体薄膜、tN は貴金属薄膜)で表わした場合に、t
M /tN の値はできるだけ大きいほうが好ましい。しか
しながら、この値が1/2を超えて大きくなると角形比
が低下し、良好な垂直磁化膜が得られないという問題が
ある(J.Appl.Phys.,67(4), p2136, (1990) )。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情に鑑みてなされたものであって、その目的は、第1
に、変調磁界の小さい磁性人工格子薄膜を記録層として
用いた光磁気記録媒体を提供することにある。第2に、
再生信号が大きく、かつ変調磁界の小さい磁性人工格子
薄膜を記録層として用いた光磁気記録媒体を提供するこ
とにある。第3に、磁性人工格子薄膜を用い、光変調直
接重ね書き(ダイレクトオーバーライト)が可能な光磁
気記録媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、第1に、磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交
互に積層され、垂直磁気異方性を有する磁性薄膜からな
る記録層を備えた光磁気記録媒体であって、前記磁性薄
膜の磁化をMS 、膜厚をdとしたときに、dとMS との
積が6500nm・emu/cc以下であることを特徴
とする光磁気記録媒体を提供する。
【0011】第2に、記録層と、この記録層に静磁的に
結合されたバイアス層からなる光磁気記録媒体であっ
て、前記記録層が磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積
層され、垂直磁気異方性を有する磁性薄膜であり、その
磁化をMS 、膜厚をdとしたときに、dとMS との積が
3000nm・emu/cc以下であることを特徴とす
る光磁気記録媒体を提供する。
【0012】第3に、磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互
に積層され、その状態を(M/N)n(ただし、Mは磁
性体薄膜、Nは貴金属薄膜、nは積層数)で表わし、1
層当りの膜厚比をtM /tN (ただし、tM は磁性体薄
膜、tN は貴金属薄膜)で表わした場合に、1≦n≦
5、かつ0.6≦tM /tN の条件を満足し、垂直磁気
異方性を有する磁性薄膜からなる記録層を備えた光磁気
記録媒体であって、前記磁性薄膜の磁化をMS 、膜厚を
dとしたときに、dとMS との積が6500nm・em
u/cc以下であることを特徴とする光磁気記録媒体を
提供する。
【0013】第4に、記録層と、この記録層に静磁的に
結合されたバイアス層からなる光磁気記録媒体であっ
て、前記記録層が磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積
層され、その状態を(M/N)n(ただし、Mは磁性体
薄膜、Nは貴金属薄膜、nは積層数)で表わし、1層当
りの膜厚比をtM /tN (ただし、tM は磁性体薄膜、
N は貴金属薄膜)で表わした場合に、1≦n≦5、か
つ0.6≦tM /tN の条件を満足し、垂直磁気異方性
を有する磁性薄膜であり、その磁化をMS 、膜厚をdと
したときに、dとMS との積が3000nm・emu/
cc以下であることを特徴とする光磁気記録媒体を提供
する。
【0014】第5に、磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互
に積層され、磁性薄膜が非磁性層を介して積層された垂
直磁気異方性を有する積層体からなる記録層を備えた光
磁気記録媒体であって、前記積層体の磁化をMS 、膜厚
をdとしたときに、dとMSとの積が6500nm・e
mu/cc以下であることを特徴とする光磁気記録媒体
を提供する。
【0015】第6に、記録層と、この記録層に静磁的に
結合されたバイアス層からなる光磁気記録媒体であっ
て、前記記録層が磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積
層され、磁性薄膜が非磁性層を介して積層された垂直磁
気異方性を有する積層体からなり、その磁化をMS 、膜
厚をdとしたときに、dとMS との積が3000nm・
emu/cc以下であることを特徴とする光磁気記録媒
体を提供する。
【0016】この発明の第1の態様により変調磁界が小
さい磁性人工格子薄膜を記録層として用いた光磁気記録
媒体が提供される。また、第3及び第5の態様により、
再生信号が大きく、かつ変調磁界の小さい磁性人工格子
薄膜を記録層として用いた光磁気記録媒体が提供され
る。さらに、第2、第4、第6の態様により磁性人工格
子薄膜を用い、光変調直接重ね書き(ダイレクトオーバ
ーライト)が可能な光磁気記録媒体が提供される。
【0017】先ず、本発明の第1の態様について説明す
る。
【0018】図1は本発明の第1の態様に係る光磁気記
録媒体の典型的な断面構成を示す。図1において、11
は基板、12は干渉層、13は磁性人工格子薄膜からな
る記録層、14は保護層、17は外部印加磁石、18は
レーザ光である。
【0019】記録層13は磁性体薄膜(以下、磁性層と
いう)と貴金属薄膜(以下、貴金属層という)を交互に
積層した磁性人工格子薄膜薄膜からなる。各層の界面は
原子オーダーで平坦である必要はない。また、磁性層と
貴金属層の厚さは、磁性人工格子薄膜が垂直磁気異方性
を持つ限りにおいて特に限定されない。また、各層の厚
さは、磁性人工格子薄膜全体を通して常に一定の厚さで
ある必要はない。磁性層を構成する材料としては磁性金
属であるCoが代表的であるが、他にFe、Ni等が挙
げられる。また、磁性層はこれらの複合系でも構わな
い。貴金属層を構成する材料としては、Ptが代表的で
あるが、他にPd、Ru、Au、Ag等が挙げられ、こ
れも複合系でも構わない。また、保磁力の向上、角形比
の向上のために、貴金属あるいは他の材料からなる下地
層を最初に積層することも可能である。記録層13は、
その磁化をMS 、膜厚をdとしたときに、dとMS との
積が6500nm・emu/cc以下である。これによ
り自己漏洩磁界を低減し、変調磁界を実用的な800
Oe以下にすることができる。
【0020】干渉層12、保護層14は通常の光磁気記
録媒体で用いるSi−N、Si−O、Zr−O、Al−
O、Al−N、Zn−S、Ti−O等の金属化合物材料
や保護機能を高めるなど本発明とは別の目的で金属元素
等を添加した金属化合物材料、プラズマ重合膜等の有機
物材料などの非磁性体であり、用いるレーザの波長に対
して本発明を実施する上で必要な透光性を有していれば
何を用いてもかまわない。また、保護層14は透光性を
有していなくてもかまわない。なお、干渉層12と保護
層14は必須なものではなく、省略することもできる。
【0021】基板11としては、ガラス、ポリカーボネ
イト、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン等従
来より光ディスク基板として用いられている材料等の中
から幅広く選択が可能である。
【0022】上記の光磁気記録媒体の記録・消去・再生
時には外部磁石17を使って外部磁界Hexを印加しても
よい。外部磁石は電磁石であっても永久磁石であっても
かまわない。Hexは必ずしも必要ではなく、また、再生
時のみに印加しても、記録・消去・再生全過程を通して
印加してもよい。
【0023】次に、本発明の第2の態様について説明す
る。
【0024】図2に本発明の光磁気記録媒体の典型的な
断面構成を示す。図2において、21は基板、22は干
渉層、23は磁性人工格子薄膜からなる記録層、24は
保護層、25は中間層、26はバイアス層、27は外部
印加磁石、28はレーザ光である。
【0025】磁性人工格子薄膜からなる記録層23は、
図1の記録層と、dとMS の積の条件を除いて同じもの
である。そして、そのdとMS との積を3000nm・
emu/cc以下になるように設定して自己漏洩磁界を
更に低減し、その磁性人工格子薄膜に静磁的に結合され
たバイアス層を積層して、光変調ダイレクトオーバーラ
イトを実現するものである。
【0026】バイアス層26は記録層23に対しその磁
化の反転に必要なバイアス磁界を与えるためのものであ
り、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、それ自体単層で
あっても多層であってもかまわない。熱伝導率の大きい
中間層25を設けることによって、交換力、漏洩磁界が
適切になるように各層の温度上昇をコントロールするこ
ともできる。また、透明な誘電体層を中間層25として
用いることによって、カー回転角の増加、各層の吸収率
のコントロールといった干渉層としての役割を担わせる
こともできる。なお、この態様において最低限必要なの
は記録層23、バイアス層26であって、記録層23と
バイアス層26が静磁結合が主となるように積層されて
いれば中間層25は必ずしも必要がなく、例えば記録層
の表面を酸化等で改質させたものでもかまわない。
【0027】干渉層22、中間層25、保護層24は通
常の光磁気記録媒体で用いるSi−N、Si−O、Zr
−O、Al−O、Al−N、Zn−S、Ti−O等の金
属化合物材料や保護機能を高めるなど本発明とは別の目
的で金属元素等を添加した金属化合物材料、プラズマ重
合膜等の有機物材料などの非磁性体で、用いるレーザの
波長に対して本発明を実施する上で必要な透光性を有し
ていれば何を用いてもかまわない。また、保護層24は
透光性を有していなくてもかまわない。なお、干渉層2
2及び保護層24は必須なものではなく、省略すること
もきる。
【0028】なお、基板21は第1の態様における基板
11と同様なものを用いることができる。また、外部磁
石27は第1の態様の外部磁石17と同様のものを用い
ることができる。さらに、Hexは必ずしも必要ではな
く、また、再生時のみに印加しても、記録・消去・再生
全過程を通して印加してもよい。
【0029】次に、本発明の第3の態様について説明す
る。
【0030】図3に本発明の第3の態様に係る光磁気記
録媒体の典型的な断面構成を示す。図3において、31
は基板、32は干渉層、33は磁性人工格子薄膜からな
る記録層、34は保護層、37は外部印加磁石、38は
レーザ光である。
【0031】基板31、干渉層32、保護層34は第1
の態様と同様に構成される。また、干渉32、保護層3
4は必須なものではなく、省略することもできる。
【0032】記録層13は、図4に示すように、磁性層
41及び貴金属層42の(M/N)ユニットをn回積層
して構成されている。磁性層41を構成する材料として
は磁性金属であるCoが代表的であるが、他にFe、N
i等が挙げられる。また、磁性層41はこれらの複合系
でも構わない。貴金属層42を構成する材料としては、
Ptが代表的であるが、他にPd、Ru、Au、Ag等
が挙げられ、これも複合系でも構わない。十分な保磁力
を得るためには、磁性層41の膜厚tM と貴金属層42
の膜厚tN との比tM /tN が0.6以上であることが
必要である。また、磁性体の比率が高くなると垂直磁化
膜が得にくくなるため、tM /tN は3以下であること
が好ましい。
【0033】磁性層の厚さtM は、あまり厚いと垂直磁
化膜が得にくくなるので、その厚さは16オングストロ
ーム以下が好ましい。また、あまり薄すぎると良好な磁
性を示さなくなるため、最低2オングストローム(以下
Aと記す)であることが好ましい。さらに好ましくは、
3A≦tM ≦15Aである。
【0034】貴金属層の厚さtN は、あまり薄すぎると
垂直磁化膜が得にくくなるので、その厚さは最低2Aあ
ることが好ましい。また、磁性層間の磁気的結合を疎外
しない程度の厚さである16A以下であることが好まし
い。さらに好ましくは、3A≦tN ≦15Aである。
【0035】積層数nは、多すぎると角形比が低下し、
良好な垂直磁化膜が得られなくなるので、5以下に規定
される。
【0036】磁性体層、貴金属層の界面は原子オーダー
で平坦であってもなくてもよい。また、保磁力の向上、
角形比の向上のために、貴金属あるいは他の材料からな
る下地層を最初に積層することも可能である。なお、外
部磁石37は第1の態様の外部磁石17と同様のものを
用いることができる。
【0037】次に、本発明の第4の態様について説明す
る。
【0038】図5に本発明の第4の態様に係る光磁気記
録媒体の典型的な断面構成を示す。図5において、51
は基板、52は干渉層、53は磁性人工格子薄膜からな
る記録層、54は保護層、55は中間層、56はバイア
ス層、57は外部印加磁石、58はレーザ光である。
【0039】磁性人工格子薄膜からなる記録層53は、
図4で示した第3の態様と同様な構造を有しているが、
dとMS の積の条件が異なる。そして、そのdとMS
の積を3000nm・emu/cc以下になるように設
定して自己漏洩磁界を更に低減し、その磁性人工格子薄
膜に静磁的に結合されたバイアス層を積層して、光変調
ダイレクトオーバーライトを実現するものである。
【0040】バイアス層56は記録層53に対しその磁
化の反転に必要なバイアス磁界を与えるためのものであ
り、第2の態様におけるバイアス層26と基本的に同じ
ものである。すなわち、記録層53との間で静磁結合が
主となるような結合を形成する。
【0041】干渉層52、中間層55、保護層54も第
2の態様における干渉層22、中間層25、保護層24
と同様に構成される。なお、基板51は第1の態様にお
ける基板11と同様なものを用いることができる。ま
た、外部磁石57は第1の態様の外部磁石17と同様の
ものを用いることができる。さらに、Hexは必ずしも必
要ではなく、また、再生時のみに印加しても、記録・消
去・再生全過程を通して印加してもよい。
【0042】次に本発明の第5の態様について説明す
る。
【0043】この態様における光磁気記録媒体の構造
は、基本的に第3の態様と同じであり、例えば図3に示
した構造を有している。ただし記録層は第3の態様と異
なる構造を有している。この態様における記録層の構造
例を図6に示す。図6において、61は磁性層、62は
貴金属層、63は非磁性層であり、磁性層61及び貴金
属層62の(M/N)ユニットをn回積層した(M/
N)n ユニットが非磁性層63を介してm回積層されて
いる。
【0044】磁性層61及び貴金属層62は、第3の態
様の磁性層41及び貴金属層42と同様に構成される。
また(M/N)n ユニットに関しては、tM /tN の制
限を除いて第3の態様と同様である。
【0045】非磁性層63は、これを介して対向してい
る垂直磁化膜の磁気的相互作用を消す機能を有してお
り、非磁性体であればよい。例えば、SiO2 、Al2
3 、各種ガラス、Pt、Pd、Au、Ag、Al、C
u、Mn、Cr、Siなどが挙げられる。非磁性層63
の膜厚は磁気的結合を遮断する観点からは10A以上で
あることが好ましい。しかし、磁気光学効果を考慮する
と光の損失を最低限にするためにできるだけ薄いことが
望ましい。また、あまり厚いと磁気的に一体となった積
層膜としては取り扱えなくなる。従って、膜厚の上限は
100A程度であることが好ましい。さらに好ましくは
20A〜100Aの範囲である。なお、(M/N)n
ニットの最後の貴金属層を厚くして、この非磁性層の機
能をもたせることも可能である。
【0046】この態様においては、記録層が垂直磁化膜
でありさえすればよいから、磁性層61の膜厚tM と貴
金属層62の膜厚tN との比tM /tN には第3の態様
のような制限は存在しない。しかし、磁性金属量を多く
する観点からは第3の態様のように規定することが好ま
しい。さらに好ましくは、0.3≦tM /tN ≦3であ
る。
【0047】非磁性層として貴金属以外の層を用いた場
合には、垂直磁気異方性を向上させるために、必ず貴金
属層が非磁性層との界面に位置するような構成にするこ
とが好ましい。
【0048】次に、本発明の第6の態様について説明す
る。
【0049】この態様における光磁気記録媒体の構造
は、基本的に第4の態様と同じであり、例えば図5に示
した構造を有している。ただし、磁性人工格子薄膜から
なる記録層の構造が異なっている。すなわち、この態様
における記録層の構造自体は第5の態様の記録層と同様
であるが、dとMS の積の条件が異なる。そして、その
dとMS との積を3000nm・emu/cc以下にな
るように設定して自己漏洩磁界を更に低減し、その磁性
人工格子薄膜に静磁的に結合されたバイアス層を積層し
て、光変調ダイレクトオーバーライトを実現するもので
ある。
【0050】
【作用】本発明の第1の態様は、磁性体薄膜と貴金属薄
膜とを交互に積層した垂直磁気異方性を有する磁性薄膜
を記録層とし、その磁化MS と膜厚dとの積を6500
nm・emu/cc以下とすることによって自己漏洩磁
界を低減し、変調磁界(記録・消去が可能な磁界の幅)
を実用的な800 Oe以下とするものである。
【0051】自己漏洩磁界を低減することによって変調
磁界を小さくする作用について説明する。一般に光磁気
記録媒体での記録過程は以下のように説明される。記録
媒体にレーザを照射すると、照射された部分の温度が上
昇し、磁性体層のキュリー温度Tc を超えた部分では磁
化が消失する。レーザ照射後の冷却過程において、外部
から磁界が印加されていれば、媒体温度がTc 以下とな
り磁化が再び発生するときに磁化が外部磁界の向きに揃
い反転磁区ができる。
【0052】ところで、レーザ照射によって記録媒体の
温度が上昇した場合、磁化の空間分布ができるため、自
己漏洩磁界が発生する。磁性人工格子薄膜のような、磁
化が温度に対して一様に減少する熱磁気特性を持つ材料
の場合、この漏洩磁界の向きは冷却部分の磁化の向きと
は逆の向き、すなわち、通常の記録過程においては反転
磁区ができる向きとなる。自己漏洩磁界が大きいと、反
転磁区を消去しようとする場合には、記録方向の自己漏
洩磁界があるためより消去方向に大きな磁界が必要であ
り、また、反転磁区を形成しようとする場合には、一度
磁化反転を起こした部分から発生するその磁化の向きと
逆方向の自己漏洩磁界のため迷路状磁区が発生しやす
く、記録方向により大きな磁界が必要となる。すなわ
ち、消去時には消去方向に、記録時には記録方向に、自
己漏洩磁界分以上の余分な磁界が必要となり、変調磁界
は大きくなる。したがって、変調磁界を小さくするには
自己漏洩磁界を小さくすればよいということになる。
【0053】自己漏洩磁界は、理論的には磁化の大きさ
に比例し、膜厚と正の相関がある。従って、磁性層の飽
和磁化MS と厚さdとの積MS ・dの大きさと変調磁界
との関係を模式的に示すと図7のようになる。この関係
を用いれば、変調磁界はMS・dという物理量によって
制御することが可能であることが理解される。すなわ
ち、この関係から、MS ・dを6500nm・emu/
cc以下になるように制御することにより、変調磁界を
実用的な800 Oe以下となるようにすることができ
るのである。
【0054】第3の態様では、第1の態様にさらにカー
回転角を大きくして再生出力を増加させ、保磁力を大き
くするという点を加味したものである。カー回転角を大
きくして再生出力を増加させるためには磁性体量を増加
させることが好ましいが、従来の磁性人工格子薄膜では
積層数を10回以上、全膜厚を数100Aとするのが常
識であっため、磁性体量を増加させるために磁性層を厚
くすると十分な垂直磁気異方性及び角形比が得られなか
った。この態様では積層数を5以下に規定して垂直磁気
異方性や角形比を十分なものとすると共に、tM /tN
を0.6以上に設定して保磁力を上昇させる。これによ
り、大きなカー回転角を得ることができ、再生出力を増
加させることができる。
【0055】このような構成にすることにより、静的な
磁気特性は光磁気記録媒体にとって好ましいものとなる
が、さらに動的な記録特性を十分なものとする観点か
ら、第1の態様と同様にdとMS との積を6500nm
・emu/cc以下に規定するのである。
【0056】第5の態様では、第3の態様に係る光磁気
記録媒体よりも、さらに垂直磁気異方性を改善するもの
である。上述したように、カー回転角を増加させるため
には磁性人工格子薄膜中の磁性層の厚さを増せばよい
が、この場合には垂直磁気異方性が小さくなって満足な
垂直磁化膜が得られない恐れがある。この問題を解決す
るためには積層数nを小さくすればよいが、nが小さい
分だけ磁性層の増加量は自ずと制限され、大きな効果は
期待できない。そこで、第5の態様では、磁性人工格子
薄膜を非磁性層を介して積層し、このような問題を解決
している。すなわち、この態様では、(M/N)n ユニ
ットを非磁性層を介して複数回積層するので、各ユニッ
トの積層数nが小さくてもtM /tN を大きくとること
により磁性体量を十分に増加させることができ、カー回
転各を大きくすることができる。また各ユニットのnが
小さければ垂直磁気異方性が損なわれることがない。し
かも、この態様では磁性体量の増加に伴うカー回転角の
増大効果に加えて、非磁性層の存在によるカー回転増大
効果を得ることもできる。すなわち、非磁性層は、各
(M/N)n ユニットの磁気的相互作用を消し、かつ全
体として一体となった積層膜として扱うことがことが可
能であることに加えて、非磁性層がある程度透光性を有
することにより光学干渉が生じ、カー回転角が増加する
のである。このような光学干渉は、非磁性層の厚さを2
0〜100A程度に設定することにより、ある程度の透
光性を有する薄膜が光学定数の異なる層に挟まれて多数
積層された状態となっているために生じるのである。
【0057】このような構造の磁性人工格子薄膜が、静
的な磁気特性に関して光磁気記録媒体にとって好ましい
特性を有することはすでに報告されている(K.Yusuら:
Jpn.J.Appl.Phys.,Vol.31(1992) pp435-438,Part1,No2
B) 。しかしながら、動的な光磁気記録特性に関しては
十分とはいえず、その観点から第1の態様と同様にdと
S との積を6500nm・emu/cc以下に規定す
るのである。
【0058】第2、第4、第6の態様では、上記のdと
S との積を3000nm・emu/cc以下に設定し
て自己漏洩磁界を更に低減し、上記各構成を有する磁性
人工格子薄膜からなる記録層にバイアス層を静磁的に結
合させることにより、光変調ダイレクトオーバーライト
を実現するものである。
【0059】バイアス層を静磁的に結合するように積層
することによって、静磁結合方式の光強度変調ダイレク
トオーバーライト(市原ら:J.Magn.Soc.J
pn.,15−S1,p.315(1991))が可能
となる。この方式には、前述の交換結合方式のような記
録層に課せられる保磁力の制限がないので、保磁力の小
さい磁性人工格子薄膜でもこのような記録層として十分
に適用することができる。ただし、記録層の磁界感度は
通常の光磁気記録媒体よりも良いことが必要で、 20
0 Oe以下である(市原ら、日本応用磁気学会第73
回研究会資料,p.99(1992))。上述したよう
にMS ・dの大きさと変調磁界との間には図7のような
関係があり、この関係からMS ・dを3000nm・e
mu/cc以下になるように制御することにより、変調
磁界を200 Oe以下となるようにすることができる
ことが把握され、光変調ダイレクトオーバーライトが実
現されるのである。
【0060】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。 (実施例1)この実施例では、図8に示す構成を有する
光磁気記録媒体を作製した。図8において71は基板、
72は干渉層、73は磁性人工格子薄膜からなる記録
層、74は保護層である。記録層73は、Pt下地層7
5上にCo層76とPt層77とが交互に積層されて構
成されている。基板71としては5インチのグルーブつ
きガラスディスクを用いた。干渉層72及び保護層74
には、それぞれ、60nm及び40nmのSi−Nを用
いた。Pt下地層75は5nm、Pt層77は1.43
nmの厚さに設定した。成膜は全てマグネトロンスパッ
タ法によって行った。
【0061】この試料に対して、波長830nmの半導
体レーザを用い、線速8m/s、記録パワー6mW、記
録周波数1MHz、記録パルス幅400nsで記録実験
を行った。
【0062】実験に用いた試料と記録実験の結果を表1
に示す。パラメータとしてCo層の厚さと積層数を変え
た。各試料とも同じ記録感度になるように、HC =0と
なる温度(磁化反転温度と考えられる)を約200℃に
揃えてある。実験で得られたMS ・dと変調磁界との関
係を図9に示す。この結果より、通常の光磁気記録装置
で印加可能な800Oeの変調磁界で記録・消去が可能
なのは、MS ・dの値が6500nm・emu/cc以
下であることが確認された。また、静磁結合方式のダイ
レクトオーバーライト媒体では、変調磁界が200 O
e以下であることが必要であるが、この図からこれを満
足するのに必要なMS ・dの値は3000nm・emu
/cc以下であることが確認された。
【0063】
【表1】 (実施例2)この実施例では図10に示す構成を有する
光磁気記録媒体を作製した。図10において81は基
板、82は干渉層、83は磁性人工格子薄膜からなる記
録層、84は保護層、85は中間層、86は第1バイア
ス層、87は第2バイアス層である。第1バイアス層8
6と第2バイアス層87とはお互いに交換力が作用しあ
うように積層されている。記録層83は、Pt下地層9
1上にCo層92とPt層93とが交互に積層されて構
成されている。基板81としては5インチのグルーブつ
きガラスディスクを用いた。干渉層82、保護層84、
中間層85には、それぞれ、60nm、40nm、20
nmのSi−Nを用いた。記録層83としては、表1に
示した積層数4のもの(MS ・d=2240nm・em
u/cc、変調磁界90 Oe)を用いた。第1バイア
ス層86には200nmの(Gd75Tb250.18(Fe
97Co3 0.82、第2バイアス層87には200 nm
の(Gd50Tb500.26(Fe50Co500.74を用い
た。成膜は全てマグネトロンスパッタ法によって行っ
た。
【0064】図11に、第1バイアス層86の熱磁気特
性を示す。ここでは、第1バイアス層の保磁力HC1及び
飽和磁化MS1、第2バイアス層から第1バイアス層への
交換力HW21 を示している。全ての温度においてHW21
はHC1を上回っており、記録・消去過程において第2バ
イアス層が磁化反転しない限り第1バイアス層も磁化反
転しないことを意味している。MS1がゼロになる温度
(キュリー温度)Tcb1は220℃である。図12に、
第2バイアス層87の熱磁気特性を示す。ここでは、第
2バイアス層の保磁力HC2、飽和磁化MS2を示してい
る。200℃近辺にHC2が発散する補償温度Tcompが存
在するので、第2バイアス層自体は磁化反転しにくい。
従って、第1、第2バイアス層は記録・消去過程におい
て磁化反転を起こしにくい。
【0065】この媒体に対し、レーザ照射パワーを、図
13に示すような、再生レベルPr以上の消去レベルP
e に記録レベルPW を重畳したものに設定して照射する
ことによって、ダイレクトオーバーライトを行うことが
できる。
【0066】ダイレクトオーバーライトが行われる作用
について以下に述べる。消去レベル照射時、記録レベル
照射時ともに、レーザ照射によって第1、第2バイアス
層に磁化分布ができるので、前記したような漏洩磁界が
バイアス層の外に向かって発生し、記録層に印加され
る。
【0067】図14にオーバーライト動作原理の模式的
な図を示す。この図には、第1、第2バイアス層から記
録層に印加される漏洩磁界H1 、及び、記録層の磁化反
転温度TCSの等温線の2次元分布が示されている。最も
上の図が記録レベルのレーザ照射直後の状態で、図の上
から下に向かって時間が経過する。101はTCSの等温
線(等TCS線)、102は外部印加磁界、103は第
1、第2バイアス層が発生する漏洩磁界の和H1 、10
4は等TCS線上での漏洩磁界と外部磁界の和、105は
反転磁区である。(a)、(b)、(c)、(d)の順
に時間が経過する。(a)は媒体の温度が最高温度に達
した時刻である。図14のx,y軸はディスク平面、z
軸は磁界強度を表わす。磁界の向きは、図の上向きが記
録層が磁化反転する向きとした。
【0068】先ず、図14左側のPW 照射時について説
明する。レーザが照射された直後((a))は、等TCS
線101は大きく広がり、等TCS線位置でのH1 は下向
き、すなわち消去条件が満たされている。この後、冷却
過程が進むにつれ、記録層とバイアス層の間の熱拡散に
より、等TCS線101が収縮し、(b)に示すように等
CS線上のH1 は記録方向に増加していき、(c)で記
録方向となり、以降の時刻で記録層の磁化が反転を始め
る。(c)以降、H1 は常に上向きで、等TCS線が消滅
する時刻(d)までに斜線部で示した反転磁区105が
形成される。
【0069】次に、図14右側のPe 照射時について説
明する。Pe はPW より小さいので、最高温度到達時の
様子は(b)に示すようになっている。記録時と同程度
の大きさの等TCS線が得られているにもかかわらず、H
1 は小さい。これは、レーザ照射直後のため、記録層と
バイアス層の間の温度差が大きく、記録層に比べ第1、
第2バイアス層の温度が相対的に低いためである。この
温度差の影響は等TCS線が記録層から消滅してしまう
(d)以降の時刻まで残り、等TCS線上のH1 は消去方
向のままで記録層に反転磁区は形成されない。Pe 照射
時の時刻(b)の等TCS線の大きさが、PW 照射時の時
刻(d)で示した反転磁区よりも大きければ、完全なオ
ーバーライトができる。
【0070】上記のダイレクトオーバーライトの原理を
踏まえて、この試料に対して、波長830nmの半導体
レーザを用い、線速9m/s、記録パルス幅500ns
の条件で記録実験を行った。外部磁界−30Oe、PW
13mW、Pe 9.4mWの条件で1MHzと1.25
MHzの間でダイレクトオーバーライトができた。キャ
リア−ノイズ比は32dBであった。
【0071】なお、図10において、人工格子薄膜8
3、中間層85を除いた構成の試料を試作し、上記と同
じ条件で記録実験を行ったところ、記録信号が検出でき
ず、第1、第2バイアス層の磁化反転は起こっていない
ことをあらかじめ確認しておいた。 (実施例3)実施例2と同様な構成の光磁気記録媒体
で、磁性人工格子記録層の部分を表1に示した積層数5
のもの(MS ・d=2630nm・emu/cc、変調
磁界150Oe)とした試料を作製した。この試料に対
して、波長830nmの半導体レーザを用い、線速9m
/s、記録パルス幅500nsの条件で記録実験を行っ
た。外部磁界−30Oe、PW 13mW、Pe 9.4m
Wの条件で1MHzと1.25MHzの間のオーバーラ
イトができた。キャリア−ノイズ比は25dBであっ
た。 (実施例4)この実施例では、上述した図3に示す構成
を有する光磁気記録媒体を作製した。基板31としては
5インチのグルーブつきガラスディスクを用いた。干渉
層32及び保護層34には、それぞれ、60nm及び4
0nmのSi−Nを用いた。記録層33は図4に示す構
造の磁性人工格子薄膜とし、磁性層41として膜厚5A
のCo層、貴金属層42として膜厚5AのPt層を用い
た。成膜は全てRFマグネトロンスパッタ法によって行
った。スパッタは5mTorのArガス雰囲気中で行った。
Coターゲット及びPtターゲットを用い、シャッタを
交互に開け閉めすることにより人工格子を作製した。
【0072】その結果、人工格子の積層数が5以下の範
囲で、角形比=1、保磁力0.8kOe以上の良好な磁
気特性が得られた。積層数n=5の光磁気記録媒体につ
いて、dとMS との積を求めたところ、3125nm・
emu/ccであった。
【0073】この試料に対して、波長830nmの半導
体レーザを用い、線速8m/s、記録パワー10mW、
記録周波数1MHz、記録パルス幅400nsで記録実
験を行った。その結果±400 Oeの外部磁界で十分
に記録及び消去を行うことができた。 (実施例5)この実施例では、実施例4と同様な構造の
光磁気記録媒体を作製し、磁性層を膜厚5AのCoと
し、積層数n=2に固定して、磁性層と貴金属層との膜
厚比tM /tN を変化させた。tM /tN が0.5〜2
の間で角形比1となり、良好な角形比が得られることが
確認された、また、この試料のdとMS との積は147
0nm・emu/ccであった。
【0074】この試料に対して、波長830nmの半導
体レーザを用い、線速8m/s、記録パワー10mW、
記録周波数1MHz、記録パルス幅400nsで記録実
験を行った。その結果±400 Oeの外部磁界で十分
に記録及び消去を行うことができた。 (実施例6)この実施例では、上述した図3に示す構成
を有し、磁性人工格子薄膜からなる記録層が図6に示す
構造を有する光磁気記録媒体を作製した。基板31とし
ては5インチのグルーブつきガラスディスクを用いた。
干渉層32及び保護層34には、それぞれ、60nm及
び40nmのSi−Nを用いた。記録層の磁性層61と
しては膜厚5AのCo層、貴金属層62としては膜厚5
AのPt層、非磁性63としては膜厚5AのPt層を用
いた。また、磁性人工格子構造の記録層の下地層とし
て、最初の磁性層を成膜する前に、膜厚10AのPt層
を成膜した。(M/N)ユニットの積層数nは2とし、
(M/N)n ユニットの積層数mは3とした。なお、成
膜方法は実施例4と同様とした。
【0075】この試料のカー回転角を測定したところ、
基板面入射で0.82度という大きな値が得られた。ま
た、保磁力は0.8 kOeであった。なお、この試料
のdとMS との積は3750nm・emu/ccであっ
た。
【0076】この試料に対して、波長830nmの半導
体レーザを用い、線速8m/s、記録パワー10mW、
記録周波数1MHz、記録パルス幅400nsで記録実
験を行った。その結果±400 Oeの外部磁界で十分
に記録及び消去を行うことができた。 (実施例7)この実施例では図5に示す構成を有する光
磁気記録媒体を作製した。基板61としては5インチの
グルーブつきガラスディスクを用いた。干渉層62、保
護層64、中間層65には、それぞれ、60nm、40
nm、15nmのSi−Nを用いた。人工格子薄膜から
なる記録層63は図4に示す構造の磁性人工格子薄膜と
し、磁性層41として膜厚5AのCo層、貴金属層42
として膜厚5AのPt層を用いた。試料の作製方法は実
施例4と同様とした。この時dとMS との積は2500
nm・emu/ccであった。
【0077】バイアス層56としては、第1バイアス層
と第2バイアス層との2層構造であって、お互いに交換
力が作用しあうように積層したものを用いた。第1バイ
アス層には200nmの(Gd75Tb250.18(Fe97
Co3 0.82、第2バイアス層には200nmの(Gd
50Tb500.26(Fe50Co500.74を用いた。これら
の組成は実施例2と同じであり、従って熱磁気特性も図
11及び図12に示すようになった。
【0078】このような光磁気記録媒体に対して、図1
4の原理に従って、波長830nmの半導体レーザを用
い、線速9m/s、記録パルス幅500nsの条件で記
録実験を行った。その結果1MHzと1.25MHzの
間でダイレクトオーバーライトができた。 (実施例8)この実施例では、上述した図5に示す構成
を有し、磁性人工格子薄膜からなる記録層が図6に示す
構造を有する光磁気記録媒体を作製した。基板51とし
ては5インチのグルーブつきガラスディスクを用いた。
干渉層52、保護層54、中間層55には、それぞれ、
60nm、40nm、15nmのSi−Nを用いた。記
録層の磁性層61としては膜厚5AのCo層、貴金属層
62としては膜厚5AのPt層、非磁性63としては膜
厚5AのPt層を用いた。また、磁性人工格子構造の記
録層の下地層として、最初の磁性層を成膜する前に、膜
厚10AのPt層を成膜した。(M/N)ユニットの積
層数nは2とし、(M/N)n ユニットの積層数mも2
とした。なお、成膜方法は実施例4と同様とした。
【0079】この試料のカー回転角を測定したところ、
基板面入射で0.73度という大きな値が得られた。ま
た、保磁力は0.8 kOeであった。なお、この試料
のdとMS との積は2500nm・emu/ccであっ
た。
【0080】図14に示すダイレクトオーバーライトの
原理を踏まえて、この試料に対して波長830nmの半
導体レーザを用い、線速9m/s、記録パルス幅500
nsの条件で記録実験を行った。その結果1MHzと
1.25MHzの間でダイレクトオーバーライトができ
た。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、磁性人工格子薄膜を用
いた、高磁界感度の光磁気記録媒体を得ることができ
る。また、再生信号が大きく、かつ変調磁界の小さい磁
性人工格子薄膜を記録層として用いた光磁気記録媒体を
得ることができる。さらに、記録層として磁性人工格子
薄膜を用い、ダイレクトオーバーライトを行うことがで
きる光磁気記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の態様に係る光磁気記録媒体の構
成を示す断面図。
【図2】本発明の第2の態様に係る光磁気記録媒体の構
成を示す断面図。
【図3】本発明の第3の態様に係る光磁気記録媒体の構
成を示す断面図。
【図4】図3における光磁気記録媒体の記録層の構造を
示す断面図。
【図5】本発明の第4の態様に係る光磁気記録媒体の構
成を示す断面図。
【図6】本発明の第5の態様に係る光磁気記録媒体の記
録層の構造を示す断面図。
【図7】飽和磁化MS と磁性体層の膜厚dとの積と変調
磁界との関係を模式的に示す図。
【図8】実施例1に用いた光磁気記録媒体の構成を示す
断面図。
【図9】実施例1における、飽和磁化MS と膜厚dとの
積と、変調磁界との関係を示す図。
【図10】実施例2に用いた光磁気記録媒体の構成を示
す断面図。
【図11】実施例2に用いた第1バイアス層の磁気特性
の温度依存性を示す図。
【図12】実施例2に用いた第2バイアス層の磁気特性
の温度依存性を示す図。
【図13】ダイレクトオーバーライト実験における照射
レーザパワーを示す図。
【図14】ダイレクトオーバーライトの動作原理を模式
的に示す図。
【符号の説明】
11,21,31,51,71,81…基板、12,2
2,32,52,72,82…干渉層、13,23,3
3,53,73,83…磁性人工格子薄膜記録層、1
4,24,34,54,74,84…保護層、17,2
7,37,57…外部印加磁石、18,28,38,5
8…レーザ光、25,55,85…中間層、26,5
6,86,87…バイアス層、41,61,76,92
…磁性層、42,62,77,93…貴金属層、63…
非磁性層、75,91…下地層。
フロントページの続き (72)発明者 柚須 圭一郎 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 猪俣 浩一郎 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 堀 昭男 神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社 東芝柳町工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積層
    され、垂直磁気異方性を有する磁性薄膜からなる記録層
    を備えた光磁気記録媒体であって、前記記録層の磁化を
    S 、膜厚をdとしたときに、dとMS との積が650
    0nm・emu/cc以下であることを特徴とする光磁
    気記録媒体。
  2. 【請求項2】 記録層と、この記録層に静磁的に結合さ
    れたバイアス層からなる光磁気記録媒体であって、前記
    記録層が磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積層され、
    垂直磁気異方性を有する磁性薄膜であり、その磁化をM
    S 、膜厚をdとしたときに、dとMS との積が3000
    nm・emu/cc以下であることを特徴とする光磁気
    記録媒体。
  3. 【請求項3】 磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積層
    され、その状態を(M/N)n(ただし、Mは磁性体薄
    膜、Nは貴金属薄膜、nは積層数)で表わし、1層当り
    の膜厚比をtM /tN (ただし、tM は磁性体薄膜、t
    N は貴金属薄膜)で表わした場合に、1≦n≦5、かつ
    0.6≦tM /tN の条件を満足し、垂直磁気異方性を
    有する磁性薄膜からなる記録層を備えた光磁気記録媒体
    であって、前記記録層の磁化をMS 、膜厚をdとしたと
    きに、dとMS との積が6500nm・emu/cc以
    下であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積層
    され、磁性薄膜が非磁性層を介して積層された垂直磁気
    異方性を有する積層体からなる記録層を備えた光磁気記
    録媒体であって、前記記録層の磁化をMS 、膜厚をdと
    したときに、dとMS との積が6500nm・emu/
    cc以下であることを特徴とする光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 記録層と、この記録層に静磁的に結合さ
    れたバイアス層からなる光磁気記録媒体であって、前記
    記録層が磁性体薄膜と貴金属薄膜とが交互に積層され、
    磁性薄膜が非磁性層を介して積層された垂直磁気異方性
    を有する積層体からなり、その磁化をMS 、膜厚をdと
    したときに、dとMS との積が3000nm・emu/
    cc以下であることを特徴とする光磁気記録媒体。
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