JPH06267063A - 磁気ディスクおよびその製造方法 - Google Patents

磁気ディスクおよびその製造方法

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JPH06267063A
JPH06267063A JP5058593A JP5058593A JPH06267063A JP H06267063 A JPH06267063 A JP H06267063A JP 5058593 A JP5058593 A JP 5058593A JP 5058593 A JP5058593 A JP 5058593A JP H06267063 A JPH06267063 A JP H06267063A
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JP
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film
magnetic
magnetic disk
amorphous carbon
carbon film
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JP5058593A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Matsumoto
洋 松本
Yuichi Kokado
雄一 小角
Shigehiko Fujimaki
成彦 藤巻
Hiroshi Inaba
宏 稲葉
Satoru Matsunuma
悟 松沼
Makoto Kito
諒 鬼頭
Heigo Ishihara
平吾 石原
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐摩耗性と電気絶縁性に優れた非晶質炭素膜を
保護層とし、耐久性を向上させた高記録密度対応の磁気
ディスクを得る。 【構成】炭素系保護層5をラマンスペクトルの波形を二
つのガウス関数型波形に分離したとき、一つの波形
(A)のピーク位置が1545cm~1以下、他の波形
(B)のピーク位置が1320〜1360cm~1であ
り、これらの波形の半値幅における面積比(B/A)が
0.3〜0.7となる非晶質水素化カーボン層とするこ
とにより耐摺動性を向上する。 【効果】磁気ディスクの耐久性が高くなり、寿命が長く
なる。また、その結果として低い浮上量あるいは接触状
態での動作が可能となり、記録密度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ディスクおよびそ
の製造方法に係り、特に大型コンピュ−タからパ−ソナ
ルコンピュ−タ−までの広い範囲で用いられる高密度磁
気ディスク装置に搭載するのに好適な磁気ディスクおよ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュ−タ−等に用いられる磁
気記憶装置の小型化、大容量化に伴い、高記録密度、高
信頼性を有する磁気記録媒体が要求されている。一般に
記録密度を向上させるためには磁気記録膜と磁気ヘッド
との距離をできるだけ小さくする必要があり、このため
に磁性膜の保護膜として用いられている非晶質炭素膜
は、できるだけ薄膜化し、なおかつ強度が必要とされて
いる。さらに、薄膜磁気ヘッド(以下、MRヘッドと略
称)方式にも対応するために絶縁性の高い炭素膜が要求
されている。
【0003】以上のことより、近年では非晶質炭素膜の
研究が多数行われるようになってきており、その膜質と
耐摺動特性の関係が調べられている。特にラマンスペク
トルや水素含有量による膜質の評価がさかんに行われて
いる。例えば、特開平2−29919号公報では、ラマ
ンスペクトルのピ−ク位置とピ−ク比とを規定した磁気
記録媒体、特開昭62−241124号公報ではラマン
スペクトルのピ−ク位置、ビッカ−ス硬さ、比抵抗を規
定した磁気記録媒体、また水素含有量では、特開平1−
258220号公報で水素含有量を規定した高硬度スラ
イダ−用磁気ディスク、特開平2−71422号公報で
は水素含有量とラマンスペクトルのピ−ク位置を規定
し、それぞれ磁気記録媒体の耐摺動性を向上させてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
記録密度向上の要求は非常に厳しく、ヘッドの浮上スペ
−スが極限まで小さくなっていること、及びデ−タ転送
速度の向上のため回転数が上げられていること等のた
め、上記従来技術では、最適な耐摺動特性を示す膜質を
得ることができないのが実状である。
【0005】したがって、本発明の目的は、上記従来の
非晶質炭素膜の膜構造を改良し、総合的に磁気ディスク
として最も優れた耐摺動特性が達成できる非晶質炭素膜
を得ることによって低浮上、高速回転でも耐え得る磁気
ディスクを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は上記
目的を達成するために非晶質炭素膜の膜質を厳密に検討
し、最も性能の良い膜質範囲を見出べく、種々実験検討
した。従来のラマンスペクトルにおけるラマンシフトが
1550〜1600cm~1にピークが存在する波形Aと
1350〜1400cm~1にピークが存在する波形B
と、そのピーク強度比B/Aが0.4〜0.7の膜質を
ベースに検討したところ、以外にもこれらの条件が外れ
た領域において、しかもその他の条件をも加味したとこ
ろでさらに優れた特性の得られることを見出した。
【0007】すなわち、本発明はかかる知見に基づいて
なされたものであり、その検討結果について具体的に述
べれば、以下の通りである。実験、検討した項目として
は、ラマンスペクトルを2つのピークに分離し、それぞ
れのピーク位置及び半値幅、ピーク面積比と摩耗量との
関係、さらには膜の密度、密度と燃焼開始温度との関
係、膜中の水素原子の含有率、水素原子密度、膜の抵抗
率等である。
【0008】まず、上記ラマンスペクトルのピーク分離
の方法について述べる。ラマンスペクトルはアルゴンレ
ザー(514.5nm)を用いて測定し、その結果の波
形をガウス関数で二つに分離し、得られた二つの波形を
非線形最小二乗法により最適化を行った。その一例を図
1に示す。このようにして分離された波形で1537c
m~1付近にピークをもつ波形をA、1328cm~1付近
のピークを持つ波形をBとし、それぞれのピーク位置、
半値幅、ピーク面積比(B/A)を求めた。
【0009】その結果、非磁性基板上に、磁気記録膜、
非晶質炭素膜、潤滑膜を積層した磁気ディスクにおい
て、励起波長514.5nmにて得られたラマン散乱分
光測定によって前記非晶質炭素膜のラマンスペクトルの
波形を二つのガウス関数型波形に分離したとき、一方の
波形Aのピーク位置が1545〜1520cm~1、他方
の波形Bのピーク位置が1320〜1360cm~1であ
り、これら二つの波形の半値幅における面積比(B/
A)が0.3〜0.7である非晶質炭素膜を保護層とす
ることにより、耐摺動性の優れた磁気ディスクを得るこ
とができる。
【0010】このときの波形Aのピーク位置の半値幅
は、80cm~1以上、好ましくは80〜120cm~1
あり、波形Bのピーク位置の半値幅は、120〜160
cm~1であった。なお、従来のスパッタカーボンの半値
幅は波形Aのピーク位置で60〜70cm~1であり、波
形Bの位置で160〜170cm~1である。
【0011】さらに性能を向上させるためには、非晶質
炭素膜の密度が1.65〜2.0g/cm3であり、膜
中の水素の含有率が20〜45原子%、そのときの水素
原子密度が2〜5×1022/cm3の範囲に規定するの
が良く、さらに耐摺動性の優れた磁気ディスクが得られ
る。
【0012】なお、非晶質炭素膜の密度、膜中の水素原
子密度、水素原子の含有率はHFS(水素前方散乱分
析)とRBS(ラザフォード後方散乱分析)により測定
した。この方法は、他の方法では困難な表面層の高濃度
水素の定量が可能である。ヘリウムイオンエネルギー
(2.275MeV)に対して30゜に検出器をセット
し、試料表面をビームに対して常に15゜になるように
を回転させることにより、試料の前方に散乱する水素の
シグナルを測定し、同時に、イオンの入射ビームに対し
て160゜の角度に検出器をセットし炭素のシグナルを
測定した。
【0013】また、磁気ヘッドとの組み合わせで考える
と、例えばMRヘッドを用いる場合、磁気ディスクの保
護膜として用いられている非晶質炭素膜には高絶縁性が
要求されるが、本発明によれば非晶質炭素膜の抵抗率が
105Ωcm以上のものが得られ、ある程度磁気ヘッド
の種類に影響されず耐摺動性の優れた磁気ディスクが得
られる。
【0014】本発明の非晶質炭素膜の作成には、種々の
成膜方法が採用できる。例えば成膜室に原料ガスを供給
してプラズマCVD法により炭素膜を磁気記録膜上に形
成するに際し、原料ガスとして炭化水素系、炭化水素系
+H2、炭化水素系+O2、またはCF4、CF4+H2
何れかを用いて、基板温度及びプラズマ発生電力を所定
の条件に設定して反応性気体から成膜する方法、さらに
具体的に一例を挙げれば、基板温度を例えば200℃前
後に保持してメタンガスを用いてRFプラズマCVDに
より成膜する方法である。
【0015】また、成膜室に炭素質ターゲットを配設
し、原料ガスを供給してマグネトロンスパッタ法により
炭素膜を磁気記録膜上に形成するに際し、前記原料ガス
としてCH4、CH4+Ar、Ar+O2、CH4+H2
何れかを用いて、基板温度及びプラズマ発生電力を所定
の条件に設定してスパッタリングにより成膜する方法、
さらに具体的に一例を挙げれば、基板温度を例えば37
3K以下(好ましくは室温程度)に保持して、炭素質タ
ーゲットを用いると共に、アルゴンガスとメタンガス
(CH4+Ar)を導入するDCマグネトロンスパッタ
リング法により成膜する方法である。
【0016】非磁性基板には、アルミ、ガラス、セラッ
ミクなどの非磁性材料を用いるのが好ましく、磁性膜に
は、例えば、Co−Cr系合金などが用いられる。ま
た、近年磁気記録膜としてCr層、Co系合金層を順次
交互に二層づつ積層して二層構造の磁性膜とすることに
よりノイズが低減することが知られており、この積層さ
れた磁性膜の上に本発明の非晶質炭素膜を形成すること
により、ノイズが低く、耐摺動特性が優れていることよ
り、記録密度の向上が得られる。
【0017】なお、摩耗量の測定は、非晶質炭素膜を堆
積させた基板を回転させ、この基板上に一定荷重のサフ
ァイヤ摺動子を押しつけ、これにより摩耗した非晶質炭
素膜の体積を測定し、これを相対摩耗量として評価し
た。
【0018】
【作用】本発明において、性能の優れた非晶質炭素保護
膜が得られるのは以下の理由による。すなわち、ラマン
スペクトルの波形を二つのガウス関数型の波形に分離し
たとき、Aのピークは1580cm~1にあるグラファイ
ト(sp2結合)のピークに起因するものと考えられる
ため、sp2成分を減少させるためにはAのピーク位置
が変化し、半値幅が広がることが考えられる。そこでA
のピーク位置と非晶質炭素膜の摩耗量との関係を調べて
みると図2のような結果となり、ピーク位置が1580
cm~1以下で摩耗量は低下し、特に1545〜1520
cm~1でその傾向は顕著に現れ、1580cm~1の摩耗
量に対し1540cm-1のそれは約4倍低かった。ま
た、そのときのAの半値幅は80cm~1〜120cm~1
が好ましく、従来の60〜70cm~1に比べより広くな
っていることがわかった。
【0019】また、Bのピークは無秩序な2重結合をも
つ微結晶に起因するものと考えられており、このピーク
位置が高波数側に移動するとクラスターサイズの大きな
結晶の比率が多くなると考えられるために、ピーク位置
は1350cm~1以下が望ましく、摩耗量の結果から考
えると1320〜1360cm~1の範囲が好ましい。
【0020】図3および図4は、ピーク面積比(B/
A)と応力および摩耗量との関係について示したもので
あり、ピーク面積比(B/A)が0.3より小さくなる
と有機的な膜となり応力(図3に表示)が低下し、それ
に反して摩耗量(図4に表示)が増加する。また、0.
7より大きくなると膜中のグラファイト成分の割合が増
加し応力が低下し、同様に摩耗量が増加する。したがっ
て、ピーク面積比は摩耗量の少ない0.3〜0.7の範
囲にあることが好ましい。なお、ピーク面積とは、図1
中に斜線で表示したようにA、Bピーク高さのそれぞれ
1/2、すなわち、半値幅における相対強度の面積であ
り、ピーク面積比はこれら二つの波形の面積比(B/
A)で、Aのピーク面積でBのそれを除した値である。
【0021】高密度記録になると益々磁気ヘッドの浮上
量が低下し、ディスクの回転速度が上昇する。それに伴
い、ヘッドとディスクの間で摩擦が起こりディスク表面
が高温度になり、ディスクは燃焼による摩耗が進行する
と考えられ、できるだけ燃焼開始温度の高い保護膜が必
要となる。そこで、上記ラマン特性を満足する条件下で
炭素膜の密度と燃焼開始温度との関係について詳細に検
討したところ、図5に示す結果を得た。上記ラマン特性
を満足する条件下では摩耗量、絶縁特性については指針
になるが、耐燃焼性についてはさらに別の条件が必要と
なり、密度が深い関係を有していることがこの特性図か
ら明らかとなった。
【0022】すなわち、特定範囲の密度は、燃焼開始温
度を高める作用があり、従来の非晶質炭素膜の燃焼開始
温度が、高々523〜573Kであったのに対し、本発
明の好ましい密度である1.65〜2.0g/cm3
は623〜673Kに上昇し、好ましいラマン特性の規
制による性能向上に加えて、さらに密度規制による性能
向上が図られた。
【0023】図6は、密度と摩耗量との関係について検
討した結果であり、スパッタリングと正バイアスプラズ
マCVD法の二つの製造方法による違いを示している。
いずれの製造方法においても、上記の好ましい密度範囲
内(1.65〜2.0g/cm3)では低い摩耗量を示
している。そして、スパッタリングよりは正バイアスプ
ラズマCVD法の方が耐摩耗性に優れた膜質を示してい
る。
【0024】次に、図7は膜中の水素の含有率と摩耗量
の関係を示している。水素の含有率(原子%)は20〜
45%の範囲では良好な結果を示しているが、20%よ
り少ない領域ではグラファイト成分の増加、45%より
多い領域では有機膜になっていると考えられ摩耗量の急
激な増加が認められた。特に、そのときの水素原子密度
が2〜5×1022原子/cm3であると好ましい。
【0025】さらに抵抗率の異なる非晶質炭素膜を実デ
ィスク上に堆積させ、MRヘッドを用いて検討したが、
上記本発明のラマン特性、さらには好ましい密度の条件
を満たす非晶質炭素膜は、いずれも比抵抗105Ωcm
以上を示し良好な駆動状態を保持したが、上記本発明の
条件を満たさない膜の場合は比抵抗105Ωcm未満と
なり非晶質炭素膜上に帯電が生じ、MRヘッド素子が破
壊した。
【0026】また、保護膜としての非晶質炭素膜の膜厚
は10nmより薄い場合には、現状の技術では膜が基板
上に均一に成膜されない状況にあり、また、均一に成膜
されたとしてもその強度はかなり低い。逆に50nmよ
り厚いと磁気記録膜との距離が増加し、電磁変換特性が
悪化するので高密度記録には好ましくない。よって保護
膜としての非晶質炭素膜の膜厚は10〜50nmが好ま
しい。
【0027】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
する。なお、この項の末尾には参考データとしての比較
例を示した。 〈実施例1〉図8は本発明の一実施例となる磁気ディス
クの断面図である。同図において、1はアルミ合金基
板、2は基板1上に無電解めっきによって形成されたN
i−P合金膜、3はスパッタリング法により形成したC
r下地膜、4はスパッタリング法によって形成したCo
−Cr系磁性膜、5は本発明の非晶質炭素膜、6は潤滑
膜である。
【0028】先ず、図8のNi−P合金膜2を形成した
ディスク基板を試料とし、このときのNi−P合金膜2
の表面に平均粗さRa10nmのテクスチャー加工を施
し、下地膜3としてCrを100nm、次いで磁性膜4
としてCo−Cr−Ta磁性合金膜を45nmを形成
し、その上に正バイアスプラズマCVDにより本発明の
非晶質炭素膜を20nm積層した。
【0029】以下、非晶質炭素膜5の作成方法の一例に
ついて詳細に述べる。先ず、図示していないCVD装置
を用いて、真空ポンプにより真空チャンバー内を1×1
0~6Torrまで排気する。次にメタンガス(CH4
を導入し、このときのガス流量は10sccm、ガス圧
は50mTorrに調整する。
【0030】そして13.56MHzの高周波電源によ
り1000Wを投入し、チャンバー内にプラズマ放電を
発生させる。このときの基板温度は473Kに設定し
た。このようにして膜厚20nmの非晶質炭素膜5を積
層した。
【0031】この正バイアスプラズマCVD法から形成
された非晶質炭素膜の膜質は以下の通りであった。 (1)ラマンスペクトルを二つのピークに分離した波形
のAバンドピーク位置は、1537cm~1、Bバンドピ
ーク位置は1329cm~1、Aバンド半値幅は87cm
~1、Bバンド半値幅は144cm~1、ピーク面積比(B
/A)は0.36であった。 (2)非晶質炭素膜の密度は1.85g/cm3で燃焼
開始温度は673Kであった。また、水素原子の含有率
は38%、水素原子密度は4.2×1022原子/cm3
であった。 (3)この非晶質炭素膜を保護膜として形成した磁気デ
ィスクについて、実用機薄膜ヘッドを用いてCSS試験
(コンタクト・スタート・ストップ試験の略)を行った
ところ、50k回以上になっても摩擦係数は変化せずデ
ィスクのクラッシュは起こらなかった。また、この炭素
膜の比抵抗は1012Ωcmであった。
【0032】〈実施例2〉この例は、実施例1において
非晶質炭素膜5の形成方法として用いた正バイアスプラ
ズマCVDの代わりに、DCマグネトロンスパッタリン
グにより形成したものである。実施例1と同様の手法に
より、図8のNi−P合金膜2の表面に平均粗さRa1
0nmのテクスチャー加工を施し、下地膜3としてCr
を100nm、磁性膜4としてCo−Cr−Ta磁性合
金を45nmを形成し、その上にDCマグネトロンスパ
ッタリングにより本発明の非晶質炭素膜を20nm積層
した。
【0033】以下、非晶質炭素膜5の作成方法について
詳細に述べる。先ず、図示していないDCマグネトロン
スパッタリング成膜装置を用いて、真空ポンプにより真
空チャンバー内を1×10~6Torrまで排気する。次
にメタンガス(CH4)とアルゴンガス(Ar)を導入
し、このときのガス流量はメタンガス20sccm、ア
ルゴンガス30sccm、ガス圧は4mTorrに調整
する。ターゲットはグラファイトを用い、DC電源によ
り4kWを投入し、チャンバー内にプラズマ放電を発生
させる。このときの基板温度は室温で行った。
【0034】このDCマグネトロンスパッタ法から形成
された非晶質炭素膜5の膜質は、以下の通りである。 (1)ラマンスペクトルを二つのピークに分離した波形
のAバンドピーク位置は、1544cm~1、Bバンドピ
ーク位置は1352cm~1、Aバンド半値幅は89cm
~1、Bバンド半値幅は137cm~1、ピーク面積比(B
/A)は0.41であった。 (2)非晶質炭素膜の密度は1.7g/cm3で燃焼開
始温度は643Kであった。また、水素原子の含有率は
30%、水素原子密度は5×1022原子/cm3であっ
た。 (3)また、この膜のCSS試験を行ったところ、実施
例1の場合と同様に50k回以上になっても摩擦係数は
変化せず、ディスクのクラッシュは起こらずに良好な結
果を示した。また、この炭素膜の比抵抗は1010Ωcm
であった。
【0035】〈実施例3〉実施例1の図1に示した構造
の磁気ディスクを用いて、実際にMRヘッドを浮上させ
て非晶質炭素膜5の放電耐圧を測定した。本発明の非晶
質炭素膜では印加電圧10Vまでは、MR素子の破壊は
起こらず良好な絶縁特性を示した。
【0036】〈実施例4〉磁気ディスクと、この磁気デ
ィスクに情報を記録再生する磁気ヘッド(MRヘッド使
用)と、磁気ディスクを回転させる回転機構部と、磁気
ヘッドからの入出力信号を記録再生する信号処理部とを
具備した周知の構成からなる磁気ディスク装置に、実施
例1で得た磁気ディスクを装着して低浮上、高速回転で
高密度記録、再生の性能試験を行った。その結果、50
k回以上のCSS試験においても何らヘッドクラッシュ
の発生は見られず良好な特性を示した。
【0037】〈比較例1〉この比較例は、実施例1と同
様に好ましい非晶質炭素膜密度を有しているが、水素含
有量およびラマン特性の結果については満たしていない
ものである。非晶質炭素膜の成膜方法としては、DCマ
グネトロンスパッタリング装置を用いて行った。なお、
磁性膜の形成工程までは実施例1と同様なので記載を省
略する。以下、炭素膜の作成方法について詳細に述べ
る。
【0038】先ず、真空ポンプにより真空チャンバー内
を1×10~6Torrまで排気する。次にアルゴンガス
を導入し、このときのガス流量は、アルゴンガス30s
ccm、ガス圧は4mTorrに調整する。ターゲット
はグラファイトを用い、DC電源により4kWを投入
し、チャンバー内にプラズマ放電を発生させる。このと
きの基板温度は室温で行った。
【0039】このDCマグネトロンスパッタ法から形成
された非晶質炭素膜の膜質は以下の通りである。 (1)ラマンスペクトルを二つのピークに分離した波形
のAバンドピーク位置は、1580cm~1、Bバンドピ
ーク位置は1387cm~1、Aバンド半値幅は83cm
~1、Bバンド半値幅は196cm~1、ピーク面積比は
1.25であった。 (2)非晶質炭素膜の密度は1.80g/cm3である
が、水素原子の含有率は5%、水素原子密度は1×10
22原子/cm3であった。 (3)非晶質炭素膜のCSS試験結果は、20k回にな
ると摩擦係数が急激に増加しディスクがクラッシュし
た。また、この非晶質炭素膜の放電耐圧は印加電圧が3
V以上で非晶質炭素膜表面に帯電が起こりMR素子が破
壊した。
【0040】〈比較例2〉この比較例は、実施例1と同
様に好ましい非晶質炭素膜密度および水素含有量を有し
ているが、ラマン特性の結果については満たしていない
ものである。非晶質炭素膜の形成条件が異なるだけで、
その他の条件は比較例1と同様なので省略し、以下、炭
素膜の作成方法について詳細に述べる。
【0041】先ず、真空ポンプにより真空チャンバー内
を1×10~6Torrまで排気する。次にメタンガスと
アルゴンガスとを導入し、このときのガス流量は、メタ
ンガス25sccm、アルゴンガス25sccm、ガス
圧は4mTorrに調整する。ターゲットはグラファイ
トを用い、DC電源により4kWを投入し、チャンバー
内にプラズマ放電を発生させる。このときの基板温度は
200℃で行った。
【0042】このDCマグネトロンスパッタ法から形成
された非晶質炭素膜の膜質は以下の通りである。 (1)ラマンスペクトルを二つのピークに分離した波形
のAバンドピーク位置は、1565cm~1、Bバンドピ
ーク位置は1386cm~1、Aバンド半値幅は71cm
~1、Bバンド半値幅は163cm~1、ピーク面積比は
0.73であった。 (2)非晶質炭素膜の密度は1.68g/cm3である
が、水素原子の含有率は29%であった。 (3)非晶質炭素膜のCSS試験結果は、40k回以上
になると摩擦係数が急激に増加しディスクがクラッシュ
した。
【0043】〈比較例3〉この比較例は、実施例1と同
様に好ましい水素含有量およびラマン特性の結果を満た
しているが、非晶質炭素膜密度の条件は満たしていない
ものである。非晶質炭素膜の形成条件が異なるだけで、
その他の条件は比較例1と同様なので省略し、以下、炭
素膜の作成方法について詳細に述べる。
【0044】先ず、真空ポンプにより真空チャンバー内
を1×10~6Torrまで排気する。次にメタンガスと
アルゴンガスとを導入し、このときのガス流量は、メタ
ンガス25sccm、アルゴンガス25sccm、ガス
圧は4mTorrに調整する。ターゲットはグラファイ
トを用い、DC電源により4kWを投入し、チャンバー
内にプラズマ放電を発生させる。このときの基板温度は
室温で行った。
【0045】このDCマグネトロンスパッタ法から形成
された非晶質炭素膜の膜質は以下の通りである。 (1)ラマンスペクトルを二つのピークに分離した波形
のAバンドピーク位置は、1538cm~1、Bバンドピ
ーク位置は1338cm~1、Aバンド半値幅は85cm
cm~1、Bバンド半値幅は126cm~1、ピーク面積比
は0.38であった。(2)非晶質炭素膜の密度は1.
50g/cm3であるが、水素原子の含有率は40%で
あった。 (3)非晶質炭素膜のCSS試験結果は、40k回以上
になると摩擦係数が急激に増加し、比較例2の場合と同
様にディスクがクラッシュした。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により所期
の目的を達成することができた。すなわち、本発明の非
晶質炭素膜を用いた磁気ディスクは、耐摺動特性が著し
く向上するので、高密度記録を達成することができ小型
大容量の磁気記憶装置の実用化に貢献することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するためのラマンスペクト
ルのピーク分離図。
【図2】ラマンスペクトルのAのピーク位置と摩耗量の
関係を示した特性図。
【図3】ラマンスペクトルのピーク面積比(B/A)と
応力の関係を示した特性図。
【図4】ラマンスペクトルのピーク面積比(B/A)と
摩耗量の関係を示した特性図。
【図5】非晶質炭素膜の密度と燃焼開始温度との関係を
示した特性図。
【図6】同じく非晶質炭素膜の密度と摩耗量との関係を
示した特性図。
【図7】膜中の水素含有率と摩耗量との関係を示した特
性図。
【図8】本発明の一実施例となる磁気ディスクの断面構
造図。
【符号の説明】 1…アルミ合金基板、 2…NiーP
合金層、3…Cr下地膜、 4…
Co−Cr−Ta磁性膜、5…非晶質炭素膜、
6…潤滑膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲葉 宏 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 松沼 悟 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 鬼頭 諒 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 石原 平吾 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式会 社日立製作所ストレージシステム事業部内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性基板上に、磁気記録膜、非晶質炭素
    膜、潤滑膜を積層した磁気ディスクにおいて、励起波長
    514.5nmにて得られたラマン散乱分光測定によっ
    て前記非晶質炭素膜のラマンスペクトルの波形を二つの
    ガウス関数型波形に分離したとき、一方の波形(A)の
    ピーク位置が1545〜1520cm~1、他方の波形
    (B)のピーク位置が1320〜1360cm~1であ
    り、これら二つの波形の半値幅における面積比(B/
    A)が0.3〜0.7である非晶質炭素膜を保護層とし
    て有して成る磁気ディスク。
  2. 【請求項2】上記一方のガウス関数型波形(A)の半値
    幅が80〜120cm~1であり、他方の波形(B)の半
    値幅が120〜160cm~1である請求項1記載の磁気
    ディスク。
  3. 【請求項3】上記非晶質炭素膜の水素含有量が20〜4
    5原子%であり、そのときの密度が1.65〜2.0g
    /cm3である請求項1もしくは2記載の磁気ディス
    ク。
  4. 【請求項4】上記非晶質炭素膜に含有される水素の原子
    密度が2〜5×1022原子/cm3である請求項3記載
    の磁気ディスク。
  5. 【請求項5】上記非晶質炭素膜の膜厚を10〜50nm
    として成る請求項1もしくは2記載の磁気ディスク。
  6. 【請求項6】上記非磁性基板を、Ni−Pメッキされそ
    の表面にテクスチャ−加工されたアルミディスク基板で
    構成し、その上に磁気記録膜としてCr層、Co系合金
    層を順次交互に二層づつ形成して二層構造の磁性膜とし
    て成る請求項1乃至5何れか記載の磁気ディスク。
  7. 【請求項7】成膜室に原料ガスを供給してプラズマCV
    D法により炭素膜を磁気記録膜上に形成するに際し、前
    記原料ガスとして炭化水素系、炭化水素系+H2、炭化
    水素系+O2、またはCF4、CF4+H2の何れかを用い
    て、基板温度及びプラズマ発生電力を所定の条件に設定
    して反応性気体から請求項1乃至5何れか記載の非晶質
    炭素膜を積層させる工程を有して成る磁気ディスクの製
    造方法。
  8. 【請求項8】成膜室に炭素質ターゲットを配設し、原料
    ガスを供給してマグネトロンスパッタ法により炭素膜を
    磁気記録膜上に形成するに際し、前記原料ガスとしてC
    4、CH4+Ar、Ar+O2、CH4+H2の何れかを
    用いて、基板温度及びプラズマ発生電力を所定の条件に
    設定してスパッタリングにより請求項1乃至5何れか記
    載の非晶質炭素膜を積層させる工程を有して成る磁気デ
    ィスクの製造方法。
  9. 【請求項9】アルミディスク基板上にNi−Pをメッキ
    する工程と、その表面にテクスチャ−加工を施す工程
    と、その上に下地膜としてCr膜を形成する工程と、さ
    らにその上に磁性膜としてCo系合金をスパッタリング
    により堆積する工程と、前記磁性膜上に非晶質炭素膜を
    形成する工程と、さらに潤滑膜を形成する工程とを有し
    て成る磁気ディスクの製造方法において、前記非晶質炭
    素膜を形成する工程を、請求項8もしくは9記載の非晶
    質炭素膜を積層する工程で構成して成る磁気ディスクの
    製造方法。
  10. 【請求項10】磁気ディスクと、前記磁気ディスクに情
    報を記録再生する磁気ヘッドと、前記磁気ディスクを回
    転させる回転機構部と、前記磁気ヘッドからの入出力信
    号を記録再生する信号処理部とを具備して成る磁気ディ
    スク装置において、前記磁気ディスクを請求項1乃至6
    何れか記載の磁気ヘッドで構成して成る磁気ディスク装
    置。
  11. 【請求項11】上記磁気ヘッドを、MRヘッドで構成し
    て成る請求項10記載の磁気ディスク装置。
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