JPH06195691A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH06195691A
JPH06195691A JP4319804A JP31980492A JPH06195691A JP H06195691 A JPH06195691 A JP H06195691A JP 4319804 A JP4319804 A JP 4319804A JP 31980492 A JP31980492 A JP 31980492A JP H06195691 A JPH06195691 A JP H06195691A
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carbon
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Yoshiaki Ito
芳昭 伊藤
Michio Osawa
通夫 大沢
Yoichi Tei
用一 鄭
Yoshiharu Kashiwakura
良晴 柏倉
Michinori Nishimura
通徳 西村
Kazuo Futamura
和男 二村
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Fuji Electric Co Ltd
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    • G11B5/727Inorganic carbon protective coating, e.g. graphite, diamond like carbon or doped carbon
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気記録媒体において、硬度の高いスライダ
ー材料を用いてもクラッシュの発生が少なく、耐CSS
特性の良いカーボン保護層が形成された磁気記録媒体を
実現する。 【構成】 メタンを所定の混入量以上に混入させたスパ
ッタリングガスを用いてカーボン保護層を形成すると、
ダイアモンド結合の比率がグラファイト結合の比率より
高く、さらに、ポリマー性の結合が適度に存在するカー
ボン保護層を形成できる。このようなカーボン保護層を
有する磁気記録媒体(ケース3)は、CSSサイクル試
験において非常に高い耐久性を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータのハード
ディスク装置などに用いられる磁気ディスク等の磁気記
録媒体の構成に関するものであり、特に、磁気記録媒体
の磁性層を保護するために形成される保護層に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータなどの情報処理装置
の外部記録装置として固定磁気ディスク装置が多く用い
られている。図9に、この固定磁気ディスク装置に用い
られている一般的な磁気記録媒体の構成を示してある。
この磁気記録媒体は、非磁性基板11上に非磁性金属層
12を形成して非磁性の基体1とし、この基体1の上
に、非磁性の金属下地層2を積層してある。そして、こ
の金属下地層2上に、強磁性合金体であるCo−Cr−
Ta(コバルト−クロム−タンタル)、またはCo−C
r−Pt(コバルト−クロム−白金)などにより磁性層
3を薄膜状に積層形成し、さらに、これらの磁性層上に
アモルファスカーボン保護層4を形成する。
【0003】そして、この保護層4の上に、必要に応じ
て液体潤滑剤からなる潤滑層5を設けて磁気ディスクを
形成している。
【0004】非磁性の基体1としては、例えばAl−M
g合金の非磁性基板11に無電解メッキによりNi−P
メッキ層12を形成したもの、アルマイト基体、ガラス
基体、セラミック基体、などが用いられる。そして、こ
の基体1を必要に応じて研磨し、テクスチャーなどによ
り凹凸を形成する場合もある。この非磁性の基体1を〜
200°Cに加熱しながらAr雰囲気下のスパッタリン
グによりCrからなる非磁性金属下地層2、Co−Cr
−Taなどからなる磁性層3、およびアモルファスカー
ボンからなる保護層4を順次スパッタ法により積層成形
する。そして、保護層4上に、フロロカーボン系の液体
潤滑剤を塗布して潤滑層5を形成し、磁気ディスクを製
造する。
【0005】このような磁気ディスクがハードディスク
装置などに実装されると、装置の記録ヘッドとの接触動
作を繰り返すこととなる。これは、一般に、ハードディ
スク装置などにおいて、停止時にヘッドと磁気ディスク
表面が接触する状態であり、この状態から稼動時にのみ
にヘッドが磁気ディスク表面から僅かに浮上して、情報
の読み取り動作または書込み動作が行われるCSS(コ
ンタクト・スタート・ストップ)方式が採用されている
ためである。従って、電源のオン・オフ、およびヘッド
のシーク動作に伴いヘッドと磁気ディスク表面の突起等
の間には、瞬間的にエネルギーの高いヘッドタッチが発
生する。このような物理的な衝撃などから磁性層を保護
するために磁性層の表面に保護層を形成しており、ま
た、場合によっては、液体潤滑膜も形成する。一般的
に、5インチ以下の少口径のディスクの場合は、保護層
の材料としてカーボンが用いられ、Ar雰囲気中でのス
パッタリングにより層を形成することが多いが、この他
にも酸化物系、例えば、酸化ジルコニアなどが使用され
ることもある。保護層としてカーボンが採用される理由
の一つとして、スパッタリングにより形成されるアモル
ファスカーボン層は、比較的グラファイト性が強いた
め、グラファイト特有の水を含んだ大気下において低い
摩擦係数を示すという特徴を有する点がある。
【0006】しかしながら、このようなカーボン保護層
は、従来のMn−Znフェライトヘッド(ビッカース硬
度約650)に対しては十分な耐磨耗性を有し、良好な
耐CSS特性を示すが、最近になり固定磁気ディスク装
置に採用される薄膜ヘッドやMIGヘッドのスライダー
材料であるAl2 3 ・TiCやCaTiO3 といった
硬質のセラミック材料(ビッカース硬度約2000)と
比較すると硬度が低いため、これら硬質スライダーに対
しては磨耗を引き起こし易く、場合によっては、ヘッド
がクラッシュするという問題がある。これに対し、硬度
の高い酸化物系の保護層を用いた場合は、磨耗は起こし
難いが、その硬すぎる性質と、摩擦係数が高い点が問題
となる。すなわち、シーク動作に伴う浮上動作中、ある
いはCSS動作中にディスク表面の異物や突起物によっ
て起きる瞬間的なエネルギーの高い状態でのヘッドタッ
チにより、瞬時にヘッドがクラッシュしてしまうのであ
る。このような問題を解決するために、近年ではカーボ
ン保護層の性質のうち、硬度の高いダイアモンド的な性
質を増長させ、ダイアモンド結合状態の比率がグラファ
イト結合状態の比率に比して高いダイアモンド状炭素膜
を磁性層上に保護層として形成する方法が示されてい
る。このダイアモンド状炭素膜は、炭素の優れた摺動特
性に加えて、ダイアモンド構造を取るため硬度が高く、
高硬度のAl23 ・TiCスライダーやCaTiO3
スライダーに対しての耐磨耗特性を改善することがで
き、既に様々な提案がなされている。例えば、特開昭6
1−126627には不活性ガスと炭化水素ガスとの混
合雰囲気中でのスパッタリング法またはCVD法で形成
した硬質カーボン層と含フッ素潤滑層との複合層が示さ
れている。また、特開平2−71422には膜中結合水
素とラマンスペクトルから規定された膜質のカーボン層
が示され、特開平2−29919にはラマンスペクトル
により規定されたカーボン層の例がある。また、特開平
2−87322には水素を含む炭素膜とその上に潤滑剤
が塗布された磁気記録媒体の例があり、特開平1−25
8220では高硬度スライダー用保護層として、水素含
有量2〜7×1022原子個数/ccのダイアモンド状炭
素膜が高硬度スライダーと同程度の硬度を有し、耐CS
S特性に優れることが示されている。さらに、特開平2
−282470では、炭化水素ガス中でスパッタして形
成し、カーボンをArのみでスパッタリング成膜した従
来のグラファイト保護膜と同程度の硬度を持つこととそ
の表面が疎水性を持つことを規定したカーボン保護膜が
提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】我々は上記の提案につ
いて各々検討を試みたが、いずれの提案もAl2 3
TiCやCaTiO3 の硬質スライダーに対する摺動特
性を十分満足する結果は得られなかった。上記構成のカ
ーボン保護層において、ダイアモンド的な性質を増長さ
せてダイアモンド結合状態の比率が高い高硬度な層を形
成すれば、硬質スライダーに対しての耐磨耗性を向上さ
せることができるが、硬すぎると、かえって磁気ヘッド
を傷つけ、その磨耗粉が磁気ヘッドおよび磁気ディスク
をさらに傷つけて磨耗を促進させるという問題がある。
逆に、軟らかすぎると、アモルファスカーボン層の場合
と同じく、硬質スライダーによって磨耗されてしまう。
このように、上記従来技術では、低摩擦係数と耐磨耗性
とを具備する優れた摺動特性を有し、最適な耐CSS特
性を示す膜質を見出すには至っていない。
【0008】そこで、本発明においては、上記の問題点
に鑑みて、カーボン保護層の特質を保持しながら、硬度
の高いスライダー材料に対応できる低硬度の保護層の形
成された磁気記録媒体を実現することを目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明においては、グラファイト的なカーボンの
摩擦係数が低いという性質を残しながら、硬度の高いA
2 3 ・TiCスライダーやCaTiO3 スライダー
に対応するために、スパッタリングにより形成されるカ
ーボン保護層の性質のうち、硬度の高いダイアモンド的
な性質を増長させながら、一方で、ポリマー的な結合を
導入し、硬度を低下させたカーボン保護層を形成してい
る。すなわち、本発明に係る非磁性の基体上に積層され
た磁性層を保護するカーボン保護層を少なくとも有する
磁気記録媒体においては、カーボン保護層の主成分であ
る炭素のラマンスペクトル解析(波長514.5nmの
アルゴンイオンレーザー励起による)により、ポリマー
性結合状態と、グラファイト結合状態に比して高い比率
のダイアモンド結合状態とを示すことを特徴としてい
る。ここで、カーボン保護層のラマンスペクトル解析に
より、1545〜1575cm-1領域に得られるピーク
の蛍光分を除いた実質的なピーク強度Aと、ピークの蛍
光分を含んだ全体的なピーク強度Bとの比率(B/A)
が1.5以上であることが好ましく、2.0以上である
場合にはさらに好ましい。また、カーボン保護層のラマ
ンスペクトル解析により得られるラマンスペクトルから
蛍光分を除き、ラマンスペクトルをガウス関数で2つの
ピークに分離したときの、1545〜1575cm-1
域のピーク強度Dと、1340〜1440cm-1領域の
ピーク強度Gとの比率(D/G)が1.3〜3.5の範
囲内にあることが好ましい。このような磁気記録媒体
は、同時に、カーボン保護層の微小硬度が30〜50G
Paであり、また、カーボン保護層の比抵抗が少なくと
も107 Ω・cmである。
【0010】この磁気記録媒体において、カーボン保護
層は主成分である炭素に、少なくとも第2成分が添加さ
れていることを特徴としており、第2成分として水素を
用いた場合には、添加量を30〜50アトミック%とす
ることが望ましい。また、カーボン保護層は主成分であ
る炭素、および第2成分である水素に加えて第3成分で
ある酸素が、カーボン保護層の摺動特性を向上可能な程
度に、例えば7アトミック%以下の添加量で添加されて
いることが好ましい。そして、カーボン保護層の膜厚は
100〜400Åであることが好ましく、さらに好まし
くは、カーボン保護層の表面側に、一般式 −(CF2 CF2 O−)m −(−CF2 O−)n − (式中のmおよびnは整数を示す)で示される分子量2
000〜5000のパーフルオロポリエーテルを主成分
として形成された潤滑層を有していることである。
【0011】このような磁気記録媒体は、非磁性の基体
上に積層された磁性層の表面に、Arガスを主成分とす
るスパッタリングガス雰囲気下のスパッタリングにより
カーボン保護層を形成する保護層形成工程を有する磁気
記録媒体の製造方法において、スパッタリングガスはメ
タンを10〜35モル%含有した混合ガスであることを
特徴とする製造方法によって製造することができる。
【0012】
【作用】スパッタリングにより形成されたカーボン保護
層は、アモルファス状態に近く、微視的には、すなわち
短周期的には、グラファイト結合とダイアモンド結合を
有し、全体として、すなわち長周期的にはこれらの結合
の混合状態である。従って、ダイアモンド結合の比率を
高めることにより、微視的な硬度は増加させ、さらに、
ポリマー状の結合を導入することにより、全体として
は、低硬度である保護層を形成することが可能となる。
このようなカーボン保護層を用いた場合は、硬度の高い
スライダー材料が用いられたヘッドに対しても、磨耗は
起こし難く、同時に、硬すぎる性質は除去され、摩擦係
数も低い。従って、CSSサイクルにおいても、摩擦係
数の変化は少なく、CSS動作中にディスク表面の異物
や突起物によるヘッドタッチに起因したクラッシュも防
止でき、CSS耐久性の高い磁気記録媒体を実現するこ
とができる。このような、最適な耐CSS特性を示すカ
ーボン保護層の膜質の指標として、そのラマンスペクト
ル解析の結果、1545〜1575cm-1領域に現れる
ピークの蛍光分を除いた実質的なピーク強度Aと、ピー
クの蛍光分を含んだ全体的なピーク強度Bとの比率(B
/A)を算出して、この蛍光強度比が1.5以上、好ま
しくは2.0以上である場合に、カーボン保護層の膜質
を最適化できる。これはカーボン保護層におけるポリマ
ー状の結合が蛍光強度として測定されるからであり、ダ
イアモンド結合を示す1545〜1575cm-1領域の
ピークが蛍光によるバックグラウンドよりも大きく突出
しているカーボン膜は、蛍光強度比が1.5よりも小さ
くなり、膜質が硬すぎるので、ヘッドがクラッシュする
可能性が高く、良好なCSS耐久性を得ることはできな
い。また、カーボン保護層において、ラマンスペクトル
解析のラマンシフトにより得られる1340〜1440
cm-1領域のピークで示されるグラファイト結合と、1
545〜1575cm-1領域のピークで示されるダイア
モンド結合とのピーク強度比は1.3〜3.5の範囲内
においてカーボン保護層の膜質を最適化することができ
る。
【0013】このようなカーボン保護層を形成するため
には、幾つかの手段が考えられるが、ダイアモンド構
造、すなわち、立体対角線の方向に1/4だけずれた2
個の面心立方格子の核となる第2成分を添加すること、
6炭素環の層状構造であるグラファイト構造をなす炭素
原子間の2重結合を断ち切ることが有効である。従っ
て、正四面体構造を有するメタンなどを添加することに
よりCSS耐久性の高いカーボン保護層を形成できる。
このような保護層においては、メタンの水素が第2成分
として添加されることとなり、また、水素を添加するこ
とにより2重結合を断ち切ることが可能である。これに
よってもダイアモンド結合状態、およびポリマー性の結
合状態を導入することができ、その結果は、カーボン保
護層の比抵抗の上昇として捉えることができる。また、
カーボン保護層の形成工程において、第2成分の水素に
加えて、第3成分として酸素を添加することにより、炭
素原子間の2重結合が断ち切られて、アルデヒド基(−
CHO)やカルボニル基(−CO)などの炭素と酸素と
の結合からなる有機化学基が形成されるため、保護層の
膜質にポリマー性の結合を導入する上で有効である。
【0014】さらに、カーボン保護層の膜厚を100〜
400Åとすることにより、磁性層上に略均一な膜厚の
保護層を形成して、保護層としての十分な効果を発揮せ
しめると共に、磁性層と磁気ヘッドとの距離が拡大する
ことが抑制されるので、電磁変換特性が良好な状態に維
持され、磁気記録媒体の高記録密度化が達成される。
【0015】水素、すなわち、メタンの導入は、スパッ
タリングガスにメタンを添加することによって行なうこ
とが可能である。
【0016】
【実施例】以下に図面を参照して、本発明の実施例を説
明する。
【0017】〔実施例1〕図1に、本実施例において製
造したカーボン保護膜のビッカース硬さを示す微小硬度
と、スパッタリングする際に含有させたメタンガスの混
入量との関係を示してある。本例の磁気ディスクは、先
に図9に基づき説明した従来の磁気ディスクと同様の構
成で、同様の製造方法により製造したディスクであり、
共通する部分の説明は省略する。なお、本例の磁気ディ
スクは、Al−Mg合金の基板11にNi−Pメッキ1
2を施して基体1を製造しており、この基体表面はテー
プ研磨され各層のスパッタリングを行っている。そし
て、本例の磁気ディスクにおいては、225〜300Å
程度のカーボン保護層4をスパッタリングにより形成す
る際に、Arを主成分とするスパッタリングガスに、図
1に示す量のメタンを混入させてスパッタリングを行な
っている。なお、スパッタリングガスであるAr圧は5
〜10mmTorr程度としているが、本実施例に示す
効果においては、メタンの混入量以外の影響がないこと
が確かめられている。
【0018】図1において判るように、メタン混入量が
増加すると、微小硬度は増加し、メタン混入量が略1の
時に微小硬度は最高となる。そして、さらに、メタン混
入量を増加させると、微小硬度は低下する。なお、メタ
ン混入量(含有量)は図1に示すように、 含有量=〔ガス流量〕×〔ガス濃度〕/〔成膜レート〕・・・(1) をユニットとして示してある。
【0019】このように製造された磁気ディスクのう
ち、メタン混入量がそれぞれ0、1、4のものをケース
1、2、3として選択し、各々のカーボン保護層のラマ
ンスペクトル分析を行なった。その結果を図2に示す。
図2(a)に示すケース1の磁気ディスクのカーボン保
護層は、ダイアモンド結合を示すSP3のピークと、グ
ラファイト結合を示すSP2のピークの高さが略同じ
か、あるいはSP2のピークの方が高く、グラファイト
性が強いカーボン保護層であることが判る。これに対し
て、図2(b)に示すケース2のカーボン保護層は、ダ
イアモンド結合を示すSP3のピークがグラファイト結
合を示すSP2のピークと比較し、非常に高く、ダイア
モンド結合の比率が増加していることが判る。このた
め、図1に示す微小硬度が増加していると考えられる。
さらに、メタン混入量が増えたケース3のカーボン保護
層のラマンスペクトルは、図2(c)に示してある。ダ
イアモンド結合を示すSP3のピークはやはりグラファ
イト結合を示すSP2のピークと比較し、非常に高く、
ダイアモンド結合の比率は高い。さらに、ケース3にお
いては、各ピークの裾野の部分が増加しており、ランダ
ムなポリマー性の結合が増加していることが判る。従っ
て、微小的にはダイアモンド結合が増加していることか
ら硬度は高いと考えられるが、微小硬度として得られる
値は、ポリマー性の結合が反映されて硬度が低下してい
ると考えられる。そして、微小硬度の低下量は非常に大
きく、微小硬度の値としては、Arのみのスパッタリン
グガスを用いたケース1の場合よりもむしろ低くなる。
【0020】このようなカーボン保護層が形成された磁
気ディスクに対しCSSの繰り返し試験を行っており、
その結果を図3に示してある。この試験は、Al2 3
・TiCの薄膜ヘッドを用いて10gfの荷重によりC
SS動作を繰り返す試験であり、一般には、25000
〜30000回の繰り返し耐力が通常要求される。図3
(a)に示すケース1の磁気ディスク、すなわち、グラ
ファイト性の高い保護膜の形成された磁気ディスクにお
いては、急激に摩擦係数が増加し、20000回前にお
いてクラッシュしてしまう。ケース2の磁気ディスク、
すなわち、ダイアモンド結合の比率が高いカーボン保護
層を有するものにおいては、図3(b)に示すように、
全体として摩擦係数の増加は緩やかであるが、硬すぎる
ため、すぐにクラッシュしてしまう場合もあり、クラッ
シュが直ぐに発生しないものであっても、20000回
前後の耐CSS性能である。これに対し、ケース3の磁
気ディスク、すなわち、ポリマー性の結合が導入された
カーボン保護層を有するものは、摩擦係数の上昇も緩や
かであり、また、クラッシュの発生もないことから40
000回のCSSサイクルを繰り返しても性能の劣化は
見られない。一方、これよりメタン混入量を増加させた
スパッタリングガス中でのカーボン保護層の形成は、ス
パッタリングが難しいことから製造上は実際的でないと
考えられ、また、ポリマー性の結合がさらに増加するこ
とから硬度の低下が著しいことが想定される。
【0021】カーボン保護層の特性を調査するため、さ
らに、比抵抗と、水素含有量の測定を行なった。その結
果を図4および図5に示してある。比抵抗は図4に示す
ように、メタン混入量が増加すると上昇し、耐CSS性
能が良好なケース3近傍においては、107 Ω・cmを
越えている。これは、メタンおよびメタンを構成する水
素が導入されたことで、グラファイト結合をなすダング
リングボンドが切断され比抵抗が増加していること、お
よび、水素がさらに導入されたことによりポリマー性の
結合が増加していることと密接に結びついていると考え
られる。このことは、図5に示す水素の含有量が、メタ
ンの混入量と共に増加していることからも判る。ケース
3と同様に良好な耐CSS性能を示す場合は、スパッタ
リングガス中のメタンの混入量が1.5〜5程度(モル
濃度で10〜35%、好ましくは20〜35%、さらに
好ましくは30%程度と想定される)と考えられ、これ
に相当する、すなわちケース3を含んだ水素の含有量は
30〜50at%である。
【0022】このように、スパッタリングガスにメタン
に加えてカーボン保護層を形成することにより、ダイア
モンド結合を導入でき、さらに、メタン濃度を上げるこ
とにより、ポリマー性の結合も導入することができる。
このような状態のカーボン保護層は、微小硬度は低下す
るが、比抵抗、水素含有量は増加し、硬度の高いスライ
ダーを用いたCSSサイクル試験において非常に良好な
耐CSS特性を示すことが本発明において判明した。従
って、本実施例に示すようなカーボン保護層を用いるこ
とにより、高密度化に必要な、Al2 3 ・TiC等の
硬度の高いスライダーを用いられる場合であっても、摩
擦係数の増加が少なく、耐久性に富んだ磁気記録媒体を
実現することができる。
【0023】〔実施例2〕本発明の実施例2に係る磁気
ディスクは、図9に示す従来の磁気ディスクと同様の構
成で、同様の製造方法により製造したディスクであり、
共通する部分の説明は省略する。なお、本例の磁気ディ
スクは、Al基板11の上に、Ni−Pメッキ層12を
形成し、この基体表面にはRa約60Åのテクスチャー
加工が施され、基体1が製造されている。そして、本例
の磁気ディスクにおいては、Arを主成分とするスパッ
タリングガスに、30%モル濃度のメタンを混入させた
混合スパッタリングガスを用いて、カーボンをターゲッ
トとした搬送型のDCマグネトロンスパッタにより、カ
ーボン保護層4を膜厚さ250Åに形成している。な
お、その他の成膜条件は、チャンバー内圧力が10mT
orr,混合スパッタリングガス流量が20sccM,
放電パワー密度が1.2W/cm2 ,搬送速度が220
mm/minとなっている。そして、このように形成さ
れたカーボン保護層4上に、パーフルオロポリエーテル
系潤滑剤、アウジモント社(伊)製のフォンブリンAM
2001を同社製の溶媒ZS−100で希釈し、0.1
5wt.%の溶液を作成してディップ法により、1.0
mm/sの引上げ速度で潤滑剤を塗布して20〜23Å
の潤滑層5を形成し、本例の磁気ディスクを製造した。
このように製造された本例の磁気ディスクにおいて、カ
ーボン保護層4の評価結果、および磁気ディスクのCS
S試験結果を表1にまとめて示してある。
【0024】〔実施例3〕本発明の実施例3に係る磁気
ディスクとして、図9に示す従来の磁気ディスクと同様
の構成で、カーボン保護層4の形成工程における混合ス
パッタリングガスの流量を30sccMとした他は実施
例2の磁気ディスクと同様の条件で本例の磁気ディスク
を製造した。この磁気ディスクのカーボン保護層4の評
価結果、および磁気ディスクのCSS試験結果を表1に
まとめて示してある。
【0025】〔実施例4〕本発明の実施例4に係る磁気
ディスクとして、図9に示す従来の磁気ディスクと同様
の構成で、カーボン保護層4の成膜を直流プラズマCV
D法により、エタノールをガスソースとして基板温度5
0℃,チャンバー内圧力0.2Torr,放電パワー7
00Wの条件で行ない、その他の条件は実施例2の磁気
ディスクと同様にして本例の磁気ディスクを製造した。
この磁気ディスクのカーボン保護層4の評価結果、およ
び磁気ディスクのCSS試験結果を表1にまとめて示し
てある。
【0026】〔比較例1〕さらに、保護層形成工程のD
Cマグネトロンスパッタに用いるスパッタリングガスを
Arガスを主成分とする不活性スパッタリングガスと
し、放電パワー密度を1.0W/cm2 としてカーボン
保護層4を形成し、その他の条件は実施例2の磁気ディ
スクと同様にして比較例1の磁気ディスクを製造した。
この磁気ディスクのカーボン保護層4の評価結果、およ
び磁気ディスクのCSS試験結果を表1にまとめて示し
てある。
【0027】〔比較例2〕また、カーボン保護層4の形
成工程における混合スパッタリングガスの流量を5sc
cMとした他は実施例2の磁気ディスクと同様にして比
較例2の磁気ディスクを製造した。この磁気ディスクの
カーボン保護層4の評価結果、および磁気ディスクのC
SS試験結果を表1にまとめて示してある。
【0028】〔比較例3〕また、カーボン保護層4の形
成工程における混合スパッタリングガスの流量を10s
ccMとした他は実施例2の磁気ディスクと同様にして
比較例2の磁気ディスクを製造した。この磁気ディスク
のカーボン保護層4の評価結果、および磁気ディスクの
CSS試験結果を表1にまとめて示してある。
【0029】〔比較例4〕そして、カーボン保護層4を
形成するまでは実施例2の磁気ディスクと全く同様に行
い、カーボン保護層4上に潤滑層5を設けない磁気ディ
スクを比較例4として用意した。この磁気ディスクのカ
ーボン保護層4の評価結果、および磁気ディスクのCS
S試験結果を表1にまとめて示してある。
【0030】
【表1】
【0031】表1に、上記実施例2〜4、および比較例
1〜4のそれぞれの磁気ディスクについて、波長51
4.5nmのアルゴンイオンレーザーを用いて測定した
カーボン保護層のラマンスペクトルにおける蛍光強度比
と、ピーク強度比を示してある。この蛍光強度比、およ
びピーク強度比について、図6を参照して説明する。図
6(a)は、実施例2に係る磁気ディスクのカーボン保
護層のラマンスペクトルである。図において、実施例2
のカーボン保護層のラマンスペクトルは、1350cm
-1付近にグラファイト結合を示すSP2のピークと、1
560cm-1付近(1562cm-1)にダイアモンド結
合を示すSP3のピークとがあり、主ピークであるSP
3のピークの両側方の裾野を結ぶ直線20の下方側の領
域Sがこのラマンスペクトルにおける蛍光分である。従
って、実施例2のカーボン保護層の蛍光強度比は、SP
3のピークにおける蛍光分を除いた実質的なピーク強度
Aと、蛍光分を含んだ全体的なピーク強度Bとの比率
(B/A)であり、3.02となる。なお、図6(a)
において、蛍光分として示されるラマンスペクトルのバ
ックグラウンド(領域S)は、カーボン保護層のポリマ
ー性結合を示すものであり、実施例2のカーボン保護層
には高い比率のダイアモンド結合に加えて、ポリマー性
結合も多く導入されていることが判る。図6(b)は、
図6(a)に示すラマンスペクトルに対して蛍光による
バックグラウンド(領域S)を直線近似で除去して、ガ
ウス関数によりSP2とSP3との2つのピークに波形
分離した波形図である。図において、実施例2のカーボ
ン保護層は、ダイアモンド結合を示すSP3のピークが
グラファイト結合を示すSP2のピークと比較して非常
に高く、ダイアモンド結合の比率が増加していることが
判る。この図から実施例2のカーボン保護層のピーク強
度比は、SP3のピーク強度DとSP2のピーク強度G
との比率(D/G)によって2.25となる。
【0032】表1の各磁気ディスクについて、この蛍光
強度比とピーク強度比とを見ると、実施例2〜4、およ
び比較例4の磁気ディスクの蛍光強度比が2.17〜
6.50と高いのに対して、比較例1〜3の磁気ディス
クの蛍光強度比は1.19〜1.38と低い。この蛍光
強度比は、カーボン保護層におけるダイアモンド結合の
強度とポリマー性結合の強度との比率であり、微視的な
硬度が高く、全体としては低硬度なカーボン保護層が達
成されていることの指標となる。それ故、比較例1〜3
の磁気ディスクの微小硬度が54〜87GPaと高いの
に比して、実施例2〜4、および比較例4の磁気ディス
クの微小硬度は30〜38GPaと低く、ポリマー性の
結合が反映されていることが判る。このような、実施例
2〜4、および比較例4の磁気ディスクの性質は、カー
ボン保護層の膜中に含まれる含有水素量と含有酸素量に
よって決定される。すなわち、実施例2〜4、および比
較例4の磁気ディスクにおいては、カーボン保護層の膜
中の全水素濃度が37〜42at.%、全酸素濃度が3
〜5at.%と略同レベルに混入されている。一方、比
較例1〜3のカーボン保護層の膜中の全水素濃度は12
〜32at.%と不均一であり、全酸素濃度についても
0at.%、または6at.%となっている。
【0033】カーボン保護層の膜中に含まれる水素およ
び酸素は、カーボン保護層の主成分である炭素の2重結
合を断ち切って、そのダイアモンド的な性質を増長させ
ると共に、ポリマー性の結合を導入するものと考えられ
る。なお、カーボン保護層の膜中に取り込まれる酸素
は、カーボン保護層が成膜されるチャンバー内の水分な
どから分離された酸素である。従って、カーボン保護層
の膜中に適度な水素および酸素を有する実施例2〜4の
磁気ディスクにおいては、そのカーボン保護層の膜質と
して、微視的にはダイアモンド構造による硬さを持ちな
がら、全体的にはポリマー性結合の導入による軟らかさ
を具備するため、Al2 3 ・TiCなどの硬質スライ
ダーに対しても、磨耗は起こし難く、同時に、硬すぎる
性質は除去され、摩擦係数も低い。従って、実施例2〜
4の磁気ディスクは、CSSサイクルにおいても、摩擦
係数の変化は少なく、CSS耐久性の向上を図ることが
できると想定され、このことは表1に示す実施例2〜
4、および比較例1〜4のそれぞれの磁気ディスクに対
してCSSの繰り返し試験を行った結果によって裏付け
られる。なお、図7は、実施例2の磁気ディスクおよび
比較例1の磁気ディスクのCSSの繰り返し試験による
摩擦係数の変化を示すグラフ図である。
【0034】この試験は、Al2 3 ・TiCの薄膜ヘ
ッドを用いて9.5gfの荷重によりCSS動作を繰り
返す試験である。表1に明らかなように、実施例2〜4
の磁気ディスクにおいては、CSSの繰り返しが200
00回を越えたときの摩擦係数がそれぞれ0.35(実
施例2),0.38(実施例3),0.43(実施例
4)と低く、CSSを繰り返しても摩擦係数の変化は少
ないことが判る。これに対して、比較例1および比較例
3の磁気ディスクにおいては、CSSを繰り返すに従っ
て摩擦係数が増加し、CSSの繰り返しが20000回
を越えたときの摩擦係数はそれぞれ0.80(比較例
1),0.65(比較例3)と高く、カーボン保護層の
微小硬度が、実施例2〜4の磁気ディスクの微小硬度に
比してかなり高いにも拘らず、磁気ディスクの表面には
Al2 3 ・TiCスライダーの摺動による損傷が認め
られた。また、比較例2の磁気ディスクは、微小硬度が
87GPaもあり、硬すぎるため、CSSの繰り返し回
数が1000回前後でヘッドクラッシュが発生した。そ
して、比較例4の磁気ディスクにおいては、そのカーボ
ン保護層の膜質評価は実施例2〜4のカーボン保護層と
同様に良好であったが、潤滑層を持たないために、CS
Sの繰り返しによりカーボン保護層が磨耗し、ヘッドク
ラッシュが発生した。
【0035】図8は、実施例2〜4、および比較例1〜
3に係る磁気ディスクのラマンスペクトルにおける蛍光
強度比(B/A)と、CSSサイクルとの対応を示すグ
ラフ図である。図において、CSS耐久性は蛍光強度比
に対応しており、蛍光強度比が2以上の実施例2〜4の
磁気ディスクは良好なCSS耐久性を示している。ま
た、Arとメタンとの混合スパッタリングガスを用いて
形成された実施例2および3、比較例2および3から蛍
光強度比は、カーボン保護層の形成工程における混合ス
パッタリングガスの流量によって決定されていることが
判る。すなわち、蛍光強度比は混合スパッタリングガス
の流量が増加するに従って大きくなっており、多量の混
合スパッタリングガスによってメタンが増加するので、
メタン中の水素やチャンバー内の水分などの酸素がカー
ボン保護層の成膜過程において膜中に取り込まれ易くな
るためと思われる。
【0036】以上述べてきたように、実施例2ないし実
施例4においては、カーボン保護層の膜中に水素および
酸素を導入することにより、微視的な硬度は高く、全体
としては、低硬度な保護層を実現することができる。従
って、かかるカーボン保護層を用いた磁気ディスクにお
いては、Al2 3 ・TiCやCaTiO3 などの硬質
ヘッドに対し、摩擦係数を低減して耐磨耗性を向上さ
せ、ヘッドダメージを極めて少なくし、CSS耐久性を
大幅に向上させることができるので、信頼性の高い磁気
ディスクを得ることができる。
【0037】
【発明の効果】以上において説明したように、本発明に
係る磁気記録媒体においては、その表面に、ダイアモン
ド結合の比率の高いながらポリマー性の結合を導入する
ことにより、硬度の低いカーボン保護層を形成すること
ができる。そして、このようなカーボン保護層が形成さ
れた磁気記録媒体は、Al2 3 ・TiCやCaTiO
3 といった硬度の高いスライダー材料の用いられたヘッ
ドに対応可能し、優れた耐磨耗性を得ることができるこ
とが判った。従って、本発明に含まれる磁気記録媒体を
用いて、これらのヘッドに対して良好な磨耗性と、ヘッ
ドをクラッシュすることの少ない磁気記録媒体を実現す
ることができる。
【0038】さらに、ダイアモンド結合の比率が高く、
同時にポリマー性の結合が適度に導入されたカーボン保
護層を成膜する製造方法を開示しており、この製造方法
により、所望の硬度、比抵抗のカーボン保護層を容易に
形成することができる。従って、安価で高い耐久性を有
し、さらに、硬度の高いスライダー材料を用いられたヘ
ッドに対してもクラッシュなどの不具合の発生すること
のない磁気記録媒体を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スパッタリングガスへのメタン混入量に対し、
カーボン保護層の微小硬度の変化を示したグラフ図であ
る。
【図2】メタンの混入量の異なる3つのケース(ケース
1〜3)のカーボン保護層のラマンスペクトルを示した
グラフ図である。
【図3】メタンの混入量の異なる3つのケース(ケース
1〜3)のCSSサイクルと摩擦係数の変化を示すグラ
フ図である。
【図4】スパッタリングガスへのメタンの混入量に対
し、カーボン保護層の比抵抗の変化を示したグラフ図で
ある。
【図5】スパッタリングガスへのメタンの混入量に対
し、カーボン保護層の水素の含有量の変化を示したグラ
フ図である。
【図6】(a)は本発明の実施例2に係る磁気ディスク
のカーボン保護層の蛍光分を含むラマンスペクトルを示
す波形図、(b)は(a)に示すラマンスペクトルから
蛍光分を除去したラマンシフトを示す波形図である。
【図7】メタンの混入量の異なる2つのケース(実施例
2,比較例1)のCSSサイクルと摩擦係数の変化を示
すグラフ図である。
【図8】本発明の実施例2〜4、および比較例1〜3に
係る磁気ディスクのラマンスペクトルにおける蛍光強度
比と、CSSサイクルとの対応を示すグラフ図である。
【図9】一般的な磁気記録媒体の構成を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ・・・ 基体 2 ・・・ 金属下地層 3 ・・・ 磁性層 4 ・・・ 保護層 5 ・・・ 潤滑層 11・・・ 非磁性基板 12・・・ 非磁性金属層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏倉 良晴 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 西村 通徳 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 二村 和男 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性の基体上に積層された磁性層を保
    護するカーボン保護層を少なくとも有する磁気記録媒体
    において、前記カーボン保護層の主成分である炭素のラ
    マンスペクトル解析により、ポリマー性結合状態と、グ
    ラファイト結合状態に比して高い比率のダイアモンド結
    合状態とを示すことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記カーボン保護層
    のラマンスペクトル解析により、1545〜1575c
    -1領域に得られるピークの蛍光分を除いた実質的なピ
    ーク強度をAとし、前記ピークの蛍光分を含んだ全体的
    なピーク強度をBとしたときの比率(B/A)が1.5
    以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記カーボン保護層
    のラマンスペクトル解析により得られるラマンスペクト
    ルから蛍光分を除き、当該ラマンスペクトルをガウス関
    数で2つのピークに分離して、1545〜1575cm
    -1領域のピーク強度をDとし、1340〜1440cm
    -1領域のピーク強度をGとしたときに、これらの比率
    (D/G)が1.3〜3.5の範囲内にあることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 非磁性の基体上に積層された磁性層を保
    護し、炭素を主成分とするカーボン保護層が少なくとも
    形成された磁気記録媒体において、前記カーボン保護層
    の微小硬度が30〜50GPaであることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 非磁性の基体上に積層された磁性層を保
    護し、炭素を主成分とするカーボン保護層が少なくとも
    形成された磁気記録媒体において、前記カーボン保護層
    の比抵抗が少なくとも107 Ω・cmであることを特徴
    とする磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかの項
    において、前記カーボン保護層は主成分である炭素に、
    少なくとも第2成分が添加されていることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記第2成分は水素
    であって、添加量が30〜50アトミック%であること
    を特徴とする磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項5のいずれかの項
    において、前記カーボン保護層は主成分である炭素、お
    よび第2成分である水素に加えて第3成分である酸素が
    添加されており、その添加量が7アトミック%以下であ
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれかの項
    において、前記カーボン保護層の膜厚が100〜400
    Åであることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれかの
    項において、前記カーボン保護層の表面側には、一般式 −(CF2 CF2 O−)m −(−CF2 O−)n − (式中のmおよびnは整数を示す)で示される分子量2
    000〜5000のパーフルオロポリエーテルを主成分
    として形成された潤滑層を有していることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 非磁性の基体上に積層された磁性層の
    表面に、Arガスを主成分とするスパッタリングガス雰
    囲気下のスパッタリングによりカーボン保護層を形成す
    る保護層形成工程を有する磁気記録媒体の製造方法にお
    いて、前記スパッタリングガスはメタンを10〜35モ
    ル%含有した混合ガスであることを特徴とする磁気記録
    媒体の製造方法。
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